JPH11222653A - 電気自動車モータ用無方向性電磁鋼板およびその製造方法 - Google Patents

電気自動車モータ用無方向性電磁鋼板およびその製造方法

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JPH11222653A
JPH11222653A JP10025441A JP2544198A JPH11222653A JP H11222653 A JPH11222653 A JP H11222653A JP 10025441 A JP10025441 A JP 10025441A JP 2544198 A JP2544198 A JP 2544198A JP H11222653 A JPH11222653 A JP H11222653A
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sheet
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた高周波鉄損と磁束密度を併せ持つ電気
自動車モータ用の無方向性電磁鋼板とその安定製造方法
を提供する。 【解決手段】 重量%で、C≦0.005%、Si:
2.2〜4.0%、Al:0.1〜1.5%、Mn:
0.07〜1.5%を含有し、残部がFe及び不可避的
不純物からなり、板厚が0.25〜0.4mm、平均結晶
粒径が70〜125μmであって、鋼板表面に0.5〜
3g/m2 の絶縁皮膜が付与されており、鉄損W15/50
2.6W/kg 、B50≧1.69T、W10/400≦20W/k
g であることを特徴とする電気自動車モータ用の無方向
性電磁鋼板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は, 電気自動車モータ
用の無方向性電磁鋼板およびその製造方法に関するもの
で、特に、電気自動車メインモータ用途に最適な高トル
クとバッテリー消費電力の少ない無方向性電磁鋼板およ
びその製造方法を提供する。
【0002】
【従来の技術】地球環境の観点から、近年のエネルギー
多消費文明の弊害が問題視されている。このため無方向
性電磁鋼板の使用される電気機器の分野で更なる消費電
力の低減が求められている。特に近年、排ガスの問題か
らガソリン消費量の少ない電気自動車が大いに注目され
ている。電気自動車用の駆動モータ、即ち、メインモー
タに求められる性能としては、例えば、日本能率協会主
催の’92モータ技術シンポジュウム・’92モータゼネラ
ルセッション(1992.4.23 、幕張メッセ)に報告がされ
ている。モータ重量低減のための起動時や低速運転時で
の高トルク、即ち、高磁束密度無方向性電磁鋼板であ
り、また高速道路等での高速回転、即ち高周波(400
Hz程度)での高効率、低鉄損無方向性電磁鋼板であ
る。
【0003】従来の無方向性電磁鋼板としては、例えば
特開平8−49044号公報記載の鋼板が知られてい
る。しかしながら、その鋼板における鉄損(W15/50
よびW5/1000)並びに磁束密度B50の関係は、電気自動
車のメインモーターに用いるには適しておらず、実施例
に示されるように磁束密度B50が1.68T以下と低か
ったため、この鋼板を電気自動車のメインモーターに使
用すると特にモータトルクの面で問題があった。また、
高級無方向性電磁鋼板として知られている特開昭59−
74258号公報記載の鋼板では、優れた商用周波数磁
気特性が得られているが、その発明の実施例に示される
ように結晶粒径が128μmと大きすぎたため高周波鉄
損が劣化し、この鋼板を電気自動車のメインモーターに
使用すると高速道路などでバッテリー消費が大きくなる
という問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の点に鑑
み、優れた高周波鉄損と磁束密度を併せ持つ電気自動車
モータ用の無方向性電磁鋼板とその安定的な製造方法を
提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、
(1) 重量%で、 C ≦0.005%、 Si:2.2〜4.0%、 Al:0.1〜1.5%、 Mn:0.07〜1.5% を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、板
厚が0.25〜0.4mm、平均結晶粒径が70〜125
μmであって、鋼板表面に0.5〜3g/m2 の絶縁皮膜
が付与されており、鉄損W15/50 ≦2.6W/kg 、B50
≧1.69T、W10/400≦20W/kg であることを特徴
とする電気自動車モータ用の無方向性電磁鋼板であり、
(2) 重量%で、 C ≦0.005%、 Si:2.2〜4.0%、 Al:0.1〜1.5%、 Mn:0.07〜1.5% を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなるスラ
ブを1200℃以下の温度で加熱して熱間圧延を行い
1.0〜2.0mm厚さの熱延板とし、次いで950〜1
200℃の温度で熱延板連続焼鈍を実施し、この際60
℃/s以下の冷却速度で冷却した後、冷延して厚さ0.2
5〜0.4mmとし、次いで850℃以上の温度で焼鈍を
行って鋼板の結晶粒径を70〜125μmとしてから、
鋼板表面に0.5〜3g/m2 の絶縁皮膜を塗布・焼き付
けすることを特徴とする電気自動車モータ用の無方向性
電磁鋼板の製造方法である。
【0006】本発明のポイントは、以下の4点である。
第1は、熱延板の厚みが薄いと磁束密度が改善されるこ
と。第2に、磁束密度改善のために熱延板焼鈍を高温焼
鈍する必要があるが、高温焼鈍しても徐冷すれば従来か
ら課題であった鋼板の脆性が無くなること。第3に、製
品結晶粒径制御により、優れた高周波鉄損と磁束密度の
両立ができること。第4に、絶縁皮膜の塗布量制御によ
り、高周波特性を改善することである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
C量は、0.005%以下とする。C量が0.005%
を超えると、磁気時効に問題があるためである。
【0008】Si量は、2.2〜4.0%とする。Si
量は多い方が、鉄損が減少することが知られている。S
i量が2.2%未満では本発明の目的とする鉄損値が得
られず、4.0%超では鋼板の脆性問題が生じるので、
Si量は2.2〜4.0%とする。
【0009】Al量は0.1〜1.5%とする。Alも
鉄損を減少させるが、Al量が0.1%未満では本発明
の目的とする鉄損値が得られず、4.0%超では添加コ
ストの問題があるので、0.1〜1.5%とする。
【0010】Mn量は0.07〜1.5%とする。Mn
は熱延での赤熱脆性を防止して熱延板の耳荒れを改善す
るのに有効で、0.07%以上の添加でその効果を発揮
する。一方、多すぎるとコストアップの問題があるので
1.5%以下とする。
【0011】その他の成分、すなわちP,S,N,T
i,Nb,Vなどの不純物は極力少ない方が鉄損を改善
する。
【0012】また、以上の元素の他に、磁気特性を損な
わない元素として公知のSn,Ni,Cu,Sb,C
r,Bなどを添加しても本発明の効果は損なわないが、
添加コストの面からは0.1%以下とすることが好まし
い。
【0013】次に、本発明の製造方法について説明す
る。熱延のスラブ加熱温度は、1200℃以下とする。
高周波鉄損の劣化を防止する目的で低温が良く、その限
界が1200℃である。次いで、通常の熱間圧延を行う
が、熱延板の厚みは1.0〜2.0mmに制限する。熱延
板厚みは薄い方が鋼板脆性を回避できるが、1.0mm未
満では熱間圧延中の仕上温度の低下が著しくなって圧下
のパワー不足となるため工業的には難しく、また、2.
0mmを超えると磁束密度が劣化するので避けなければな
らない。
【0014】次いで、熱延板の連続焼鈍を行う。熱延板
の焼鈍には長時間のバッチ焼鈍、短時間の連続焼鈍があ
るがバッチ焼鈍ではコイルの内、中、外あるいは幅方向
に温度のムラが生じ易く磁性のバラツキや冷延形状が悪
い問題があるため不可である。焼鈍温度は950〜12
00℃とする。950℃未満では磁束密度が不満で、1
200℃超ではレンガやハースロールなどの寿命に問題
が生じる。また、連続焼鈍後の冷却速度が重要で、60
℃/s以下に制限する。冷却速度は遅い方が前述の薄手熱
延板との交互作用で脆性に効果がある。冷却速度が60
℃/sを超えると、次の冷延などで割れが発生する。この
冷却速度は、冷却開始温度(均熱温度)から100℃ま
での平均冷却速度である。
【0015】熱延板焼鈍の前もしくは後に酸洗を行い、
次いで冷延を施す。冷延は通常のレバースまたはタンデ
ムで行われるが、ゼンジマーミルなどのレバースが磁束
密度の面で好ましい。なお、公知のように磁束密度改善
のため温度100〜300℃程度での温間圧延を行うこ
とも好ましい。
【0016】冷延での板厚は、0.25〜0.4mmとす
る。0.25mm未満では、薄いため鋼板剛性が少なくモ
ータのティース部先端などで変形し易く、騒音が大きく
なったり、巻線が難しくなるため不可で、また、0.4
mm超では高周波鉄損が不満のため避ける。
【0017】冷延後は、脱脂して通常の連続焼鈍に供さ
れる。焼鈍の温度は850℃以上とする。この焼鈍によ
って、特に結晶粒径を70μm以上、125μm以下に
制御する必要がある。結晶粒径が70μm未満では低周
波での鉄損が劣化し、また125μm超では高周波鉄損
が劣化するためである。結晶粒径の制御は温度または均
熱時間によって行うが、Si,Al,Mn量や不純物量
などによっても結晶粒成長速度が異なってくるため、十
分注意して焼鈍条件を決定する必要がある。しかし、焼
鈍温度が850℃未満では均熱時間を5分程度とっても
結晶粒径が70μm未満となるため、少なくとも焼鈍温
度は850℃以上とする必要がある。一方、焼鈍温度の
上限について本発明は特に規定しないが、焼鈍温度が必
要以上に高いと結晶粒径が125μm超となるため、成
分系によっても異なるが結晶粒径が125μmとなる温
度を焼鈍温度が超えないようにすることが好ましい。
【0018】また、この焼鈍は、鋼板の表面酸化による
高磁場鉄損の劣化を防止するため、特開昭56−166
23号公報に記載のように、還元性雰囲気が好ましい。
焼鈍の後は有機質と無機質との混合、全有機または全無
機質の絶縁被膜を塗布・焼付けする。塗布量は、0.5
〜3g/m2 とする。0.5g/m2 未満では高周波鉄損に
絶縁不良のためか異常値が発生し、3g/m2 超では占積
率が劣化し、モータコアとしての有効な磁束密度が劣化
するためである。焼き付け温度は、通常の100〜60
0℃である。
【0019】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。 [実施例1]C量を、0.002%と固定して、その他
の成分を表1に記載の通りとしたスラブを連続鋳造し、
加熱温度を1000℃として熱延を行い、1.8mmの熱
延板を得た。この熱延板に対して、1070℃×25秒
の焼鈍を窒素ガス中で行い、冷却速度を50℃/sとし
た。次いで酸洗後、ゼンジマーミルで常温の冷延を行
い、脱脂・焼鈍した。焼鈍は50%水素+50%窒素中
で900〜1000℃×30秒均熱し、結晶粒径を約1
00μmに調整した。結晶粒径は、光顕組織の鋼板厚み
方向に直線を引いて、それと交わる結晶粒界の数をカウ
ントして求める方法で求めた。その後、エポキシ樹脂と
クロム酸の混合絶縁皮膜を2g/m2 焼き付け、得られた
製品をエプスタイン試料に切り出し、JIS C 25
50(1975年)に準じて磁性を測定した。
【0020】
【表1】
【0021】表1に示すように、本発明範囲の成分系
で、優れた低周波〜高周波鉄損と優れた磁束密度が得ら
れることが分かる。なお、磁束密度B50は、50Hzで
計測したが、5000A/mの最大磁化力を与えた時の最
大磁束密度が周波数によって変化するかどうかを、直流
から1KHzまで調査したが、最大磁束密度は、周波数
によらず一定の値を示した。
【0022】[実施例2]C:0.001%、Si:
3.1%、Al:0.45%、Mn:0.4%、S:
0.0004%、N:0.0005%を含むスラブをス
ラブ加熱温度を表2のように変更して均熱時間を1時間
とった。次いで、熱延板の厚みを変更して、熱延し、1
000℃×10秒の熱延板焼鈍の後、冷却を冷速10℃
/sで行ってから、酸洗し、タンデム冷延して0.30mm
厚とした。次いで900×5秒の水素中焼鈍を行って、
エポキシ樹脂、水酸化マグネシュウムとクロム酸の混合
絶縁皮膜を1g/m2 焼き付けてから、磁性を測定した。
また、最終製品の結晶粒径を表2に示す。
【0023】
【表2】
【0024】表2で見るごとく、スラブ加熱温度と熱延
板厚みとが本発明範囲のものが、優れた高周波鉄損と磁
束密度を示した。
【0025】[実施例3]C:0.003%、Si:
2.8%、Al:0.75%、Mn:0.1%、S:
0.0003%、N:0.0015%を含むスラブをス
ラブ加熱温度を1000℃として均熱時間を2時間とった。
次いで、1.4mm厚に熱延し、この熱延板に対して、表
2の温度に変更して20秒間の均熱処理を窒素ガス中で
行い、冷却速度を表2の如くに変えた。次いで、酸洗
し、ゼンジマーミルで200℃の冷延を行って、0.3
5mm厚とした。次いで、焼鈍温度1000℃で均熱時間
5秒の水素中焼鈍を行って、エポキシ樹脂、水酸化マグ
ネシュウムとクロム酸の混合絶縁皮膜を1g/m2 焼き付
けてから、磁性を測定した。なお、製品での結晶粒径
は、110μm と一定であった。
【0026】
【表3】
【0027】表3に示すように、熱延板焼鈍温度が本発
明範囲のもので、優れた磁束密度B50≧1.69Tが得
られ、また冷速が本発明範囲で割れが発生しなかった。
【0028】[ 実施例4]C:0.001%、Si:
3.1%、Al:0.45%、Mn:0.4%、S:
0.0004%、N:0.0005%を含むスラブを1
160℃×2時間加熱してから、1.9mmに熱延し、熱
延板焼鈍を1100℃×15秒実施してから、40℃/s
で冷却し、酸洗後0.30mmまでゼンジマーミルで冷延
し、次いで、表4に示す条件で連続焼鈍を均熱20秒で
行って、絶縁皮膜(エポキシ樹脂、水酸化マグネシュウ
ムとクロム酸の混合)を表に示す塗布量で焼き付けた。
【0029】
【表4】
【0030】表4に示すように、冷延板の焼鈍温度、結
晶粒径、絶縁皮膜が本発明範囲に制御したものは、優れ
た磁気特性が得られた。また、絶縁皮膜の塗布量が上限
を外れたものは占積率が劣化した。
【0031】
【発明の効果】以上の如く、優れた高周波鉄損と磁束密
度を併せ持つ電気自動車モータ用の無方向性電磁鋼板を
提供することができた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H02K 1/02 H01F 1/16 A (72)発明者 佐藤 浩明 兵庫県姫路市広畑区富士町1番地 新日本 製鐵株式会社広畑製鐵所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 C ≦0.005%、 Si:2.2〜4.0%、 Al:0.1〜1.5%、 Mn:0.07〜1.5% を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、板
    厚が0.25〜0.4mm、平均結晶粒径が70〜125
    μmであって、鋼板表面に0.5〜3g/m2 の絶縁皮膜
    が付与されており、鉄損W15/50 ≦2.6W/kg 、B50
    ≧1.69T、W10/400≦20W/kg であることを特徴
    とする電気自動車モータ用の無方向性電磁鋼板。
  2. 【請求項2】 重量%で、 C ≦0.005%、 Si:2.2〜4.0%、 Al:0.1〜1.5%、 Mn:0.07〜1.5% を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなるスラ
    ブを1200℃以下の温度で加熱して熱間圧延を行い
    1.0〜2.0mm厚さの熱延板とし、次いで950〜1
    200℃の温度で熱延板連続焼鈍を実施し、この際60
    ℃/s以下の冷却速度で冷却した後、冷延して厚さ0.2
    5〜0.4mmとし、次いで850℃以上の温度で焼鈍を
    行って鋼板の結晶粒径を70〜125μmとしてから、
    鋼板表面に0.5〜3g/m2 の絶縁皮膜を塗布・焼き付
    けすることを特徴とする電気自動車モータ用の無方向性
    電磁鋼板の製造方法。
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