JP3870725B2 - 無方向性電磁鋼板及びその製造方法 - Google Patents

無方向性電磁鋼板及びその製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エアコン、冷蔵庫などのコンプレッサー用モータ、電気自動車やハイブリッド自動車の駆動用モータなどに使用される高効率モータに用いられる無方向性電磁鋼板およびその製造方法に関する。特に、高速回転に耐えうる材料強度と、リラクタンストルクを有効に活用するのに必要な磁気特性とを兼ね備えた高強度かつ高磁束密度特性を備えた無方向性電磁鋼板およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、地球環境問題がクローズアップされ、省エネルギに対する要求が一段と高まっている。特に、エアコンや冷蔵庫のコンプレッサーモータのように連続運転されるモータの効率改善は非常に重要である。また、自動車分野においても電気自動車やハイブリッド車のようにモータを駆動源とする自動車の実用化が進んでいる。
【0003】
コンプレッサーモータや自動車の駆動用モータには、低速回転から高速回転まで回転数を任意に制御できるようにするために、インバータ制御方式が採用されている。インバータ制御方式のモータは、従来の商用周波数(50、60Hz)のみでなく、より高い周波数領域で使用される。従ってその鉄心材料となる無方向性電磁鋼板には商用周波数以上の高周波数領域で鉄損が低いことが望まれており、これを満足するために種々の提案がなされている。
【0004】
例えば電気自動車用モータに好適な無方向性電磁鋼板として、特開平8-49044 号公報には質量%で(以下、鋼の化学組成を表す%は質量%を意味する)Si を 1.0〜 4.5%含有し、鉄損と磁束密度が、W15/50+(W5/1000/10)≦7.0、W15/50+(W5/1000/10) ≦62B50-97の関係を満足した鋼板が提案されている。また、特開平11-92891号公報にはSi を 1.5〜 3.0%含有し、極低SでSb および/またはSn を含有し、板厚が 0.1〜0.35mmで平均結晶粒径が70〜 200μm である鋼板が提案されている。特開平11-222653 号公報にはSi を 2.2〜 4.0%含有し鉄損がW15/50 で 2.6W/kg以下、W10/400で20W/kg以下、磁束密度がB50で1.69T 以上である鋼板が提案されている。特開2000-96195号公報にはSi を 1%以上、 2.2%未満含有し、W15/50 が 2.6W/kg以下、B50が1.70T を超え、かつ、鉄損との関係でその下限を規定した鋼板が提案されている。
【0005】
さらに、特開平10-25554号公報には、表面粗さ、固有抵抗および最終歪み取り焼鈍後の結晶粒径を特定した、広い周波数帯で低い鉄損が得られる高磁束密度のインバータ制御コンプレッサーモータ用無方向性電磁鋼板が、特開平10-324957 号公報には 3.0〜 4.5%のSi を含有し、極低SでSb および/またはSn を含有し、板厚が 0.1〜0.35mmの高周波鉄損の低い無方向性電磁鋼板が提案されている。
【0006】
高速回転時に必要な材料強度を有する高抗張力無方向性電磁鋼板として、例えば、特開昭60-238421 号公報には 3.5〜 7%のSi に加えて、Ti 、W、Mo 、Mn 、Ni 、Co 、Al の内の 1種または 2種以上を20%を超えない範囲で含有する鋼板の製造方法が、特開平01-162748 号公報には、Si 、Mn などに加えて、Bおよび多量のNi を含有し、結晶粒径が30μm 以下である鋼板が、特開平02-8346 号公報および特開平06-330255 号公報には、Nb 、Zr 、B、Ti 、Vなどによる炭窒化物で鋼の強度を高めた鋼板が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
最近ではモータの効率を高める観点からモータの構造そのものも種々改善されている。中でも、従来の回転子の表面に永久磁石を設けたモータ(以下「表面磁石型モータ」と記す)に対して、永久磁石を回転子内部に埋め込んだ構造を有するモータ(以下、「埋込磁石型モータ」と記す)が注目されている。この埋込磁石型モータは、省エネルギを重視したエアコンや冷蔵庫のコンプレッサ用モータとして採用されており、ハイブリッド自動車の駆動モータとしても実用化されている。
【0008】
埋込磁石型モータでは、その特有の構造からリラクタンストルクを付加した出力が得られるため、表面磁石型モータよりも大きなトルクを得ることができるという特徴がある。よく知られているように、リラクタンストルクは永久磁石部分を含めた実質的なエアギャップ差に起因するd軸方向とq軸方向の自己インダクタンスの差を利用している。
【0009】
従って、リラクタンストルクを有効に活用するには鉄心材料である無方向性電磁鋼板の磁束密度を高めるのが有効である。また、鉄心が磁気飽和すると自己インダクタンスの差が無くなることに起因してリラクタンストルクが発生しなくなるため、飽和磁束密度が高いことも重要である。
【0010】
一般に、モータの回転数が増すにつれて逆起電力(誘起電圧)が大きくなり、モータに付与できる電圧と逆起電力が等しくなるとモータは回転しなくなることが知られている。しかしながら埋込磁石型モータにおいては、従来よりも電流値を大きくして逆起電力を弱める、いわゆる弱め磁束制御を用いることにより、表面磁石型モータよりも高速回転が可能となる。従ってその鉄心材料となる無方向性電磁鋼板には高周波領域における鉄損が低いことと共に、高速回転に耐えうる為にその強度が高いことも必要とされる。
【0011】
しかしながら特開平8-49044 号公報、特開平11-92891号公報、特開平11-222653 号公報、特開平10-25554号公報あるいは特開平10-324957 号公報などで提案された鋼板は、埋込磁石型モータの鉄心に使用しても十分なモータ性能を得ることができない。それは、これらの鋼板がリラクタンストルクを有効に活用するには磁束密度及び飽和磁束密度が低いか、鉄損が必ずしも十分に低くないことなどの理由による。
【0012】
例えば特開平8-49044 号公報で提案された鋼では磁束密度B50が低く、特開平11-92891号公報、特開平11-222653 号公報および特開平10-25554号公報で提案された鋼は飽和磁束密度については考慮されておらず、磁気飽和によりリラクタンストルクを十分に活用することができない場合がある。また鋼板の厚さが厚い(0.50mm)場合には高周波領域での鉄損が増加し高速回転時のモータ効率がよくない。特開2000-96195号公報で提案された鋼板では高周波領域での鉄損が大きく、高速回転時のモータ効率が低下するという問題もある。
【0013】
さらに、上述の技術には高速回転時に必要な材料強度に関して何ら記載はなく、埋込磁石型モータに使用した場合、高速回転時の回転子変形によりモータ性能が劣化するおそれもある。
【0014】
さらに特開平01-162748号公報、特開平02-8346号公報、特開平06-330255 号公報および特開昭60-238421 号公報で提案された高抗張力無方向性電磁鋼板では、高速回転モータ用の素材として強度は良好であるが、それらの磁気特性は必ずしも満足なものではないために、リラクタンストルクを活用できず、埋込磁石型モータ用の鉄心材料としては十分ではない。
【0015】
あるいは公知の例えばJIS-C2552 に記載されているような合金含有量を抑制した、いわゆる低合金系の無方向性電磁鋼板は、磁束密度は高いが鉄損が大きいうえ、材料強度が低いために高速回転用鉄心材料には不向きである。
【0016】
このように従来の無方向性電磁鋼板では、リラクタンストルクを活用した高効率で高速回転も可能な埋込磁石型モータ用の鉄心材料としては十分なものではなく、これらの要望を満足できる鋼板の実現が望まれていた。
【0017】
本発明の目的とするところは、リラクタンストルクを有効に活用する際に必要な磁気特性である高い飽和磁束密度及び磁束密度を備え、高周波領域での低鉄損と高速回転時に必要な材料強度とを兼ね備え、特に埋込磁石型モータ用の鉄心材料として好適な無方向性電磁鋼板およびその製造方法を提供することにある。
【0018】
【発明が解決しようとする手段】
本発明者らは、リラクタンストルクを活用する埋込磁石型モータの鉄心材料として好適な無方向性電磁鋼板について種々研究を重ねた結果、以下の知見を得た。
【0019】
高速回転におけるモータ効率改善には高周波領域での鉄損を小さくするのが有効であることが知られている。埋込磁石型モータにおいては、弱め磁束制御をおこなうための電流増加に伴ない銅損が増す傾向がある。これを避けるには、電磁鋼板の高磁束密度化が有効である。また、低速回転−高トルク域でのモータ効率には鉄損W15/50 よりも磁束密度B50の高低が大きく影響し、B50をある限界値以上に高めることが高トルク域での高効率化に有効であった。
【0020】
リラクタンストルクを活用する埋込磁石型モータ用の鉄心材料として種々の性能の無方向性電磁鋼板を使用し、鋼板性能とモータ効率との関係を調査した結果、高トルク域での効率を向上し、高速回転域での効率を同等以上とするためには、磁束密度がB50で1.70T 以上、鉄損がW15/50 で 3.0W/kg以下、W10/400で20W/kg以下の特性を備えた電磁鋼板が好適であることを知った。
【0021】
本発明者が上記知見を得るに至った実験結果の一例を以下に示す。
3種類の無方向性電磁鋼板を用いて3種類の4極の埋込磁石型モータを作製した。
【0022】
用いた無方向性電磁鋼板は、C:0.0012%、Si :2.0%、Mn :0.2%、sol.Al :0.3%を含有し、後述するFe*が7.50でB50:1.73T 、W15/50 : 2.4W/kg、W10/400:17W/kg、板厚:0.27mmの無方向性電磁鋼板(以下、「鋼板A」と記す)、C:0.0021%、Si :3.1%、Mn :0.2%、sol.Al :1.1%を含有し、Fe*が7.21でB50:1.66T 、W15/50 : 2.1W/kg、W10/400:17W/kg、板厚:0.35mmの無方向性電磁鋼板(以下「鋼板B」と記す)、および、C:0.0012%、Si :0.8%、Mn :1.6%、sol.Al :1.5%を含有し、Fe*が7.34でB50:1.70T 、W15/50 :2.3W/kg 、W10/400:17W/kg、板厚:0.27mmの無方向性電磁鋼板(以下、「鋼板C」と記す)である。用いた4極の埋込磁石型モータの固定子外径は 112mm、回転子外径は55mm、固定子スロット数は24とし、永久磁石は希土類鉄系を用いた。
【0023】
端子電圧の上限を 50V、電流の上限を8.5Aとし、トルク、回転数を種々変更した運転状態で、それぞれのモータ効率を調査し、鉄心素材の性能がモータ効率に及ぼす影響を調査した。
【0024】
図1は、鋼板Bを用いたモータ(以下、「モータB」と記す)の効率を基準とした場合の、鋼板Aを用いたモータ(以下、「モータA」と記す)の効率向上代〔モータAの効率(%)−モータBの効率(%)〕を等高線で示すグラフである。図1の横軸は回転数、縦軸はモータトルク、図中の破線は弱め磁束制御を施さない場合の速度限界線であり、約2000rpm で逆起電力とモータに付与できる電圧が等しくなるため、それ以上の高速回転はできない。
【0025】
図1からわかるようにモータAは鉄心の磁束密度が高くリラクタンストルクを有効に活用できるため高トルク域で効率が高い。また、高速回転時においてもモータBと同等以上の効率を示す。これは、弱め磁束制御時には従来より電流値を高める必要があるため、鋼板の磁束密度が高い方が銅損(モータに電流を通じた場合に巻き線の電気抵抗により生じるジュール熱として消費されるエネルギ)が減少することが影響している。
【0026】
図2は、モータAと、鋼板Cを用いたモータ(以下、「モータC」と記す)の効率向上代〔モータAの効率(%)−モータCの効率(%)〕を等高線で示すグラフである。図2の横軸、縦軸および線図の意味は図1と同様である。
【0027】
図2からわかるようにモータAは、Fe*が小さい鋼板Cで試作したモータCに比較して高トルク域での効率に優れている。
鋼の飽和磁束密度は、単位体積に含まれるFe 原子がそれぞれ有する磁気モーメントの総和として発現される。すなわち、飽和磁束密度は単位体積当たりのFe 原子の個数(以下、単に「Fe 原子密度」とも記す)に比例し、Fe 原子密度は単位体積当たりの総原子数とFe の原子分率との積に等しい。
【0028】
単位体積あたりの総原子数は、単位体積当たりの質量(密度)を原子の質量で除せばよく、原子の質量は原子量をアボガドロ数で除せばよい。これらのことから単位体積あたりの総原子数は、密度とアボガドロ数の積を原子量で除した値として求めることができる。鋼のような合金の場合には、上記原子量として各構成元素の原子量と原子分率より算出した平均の原子量を用いればよい。
【0029】
また、Fe の原子分率は質量%から換算できる。原子%と質量%の換算により平均の原子量の項は相殺され、単位体積あたりのFe 原子の個数であるFe 原子密度は、鋼の密度とFe の質量分率との積に比例することになる(以下、この積を「Fe*」とも記す)。なお、本発明でいう「Fe の質量分率」は、C、Si 、Al 、Mn 、P、S、Nの各元素の質量分率(%表示の含有量の 1/100)を 1から差し引いた値を意味する。
【0030】
図3は、本発明者の実験による、種々の化学組成を有する無方向性電磁鋼板の磁束密度B400 (40000A/mの磁界中での磁束密度)と、それぞれのFe*との関係を示すグラフである。図3に示す様に磁束密度B400 とFe*との間には良好な相関関係があり、Fe*が大きいほど磁束密度B400 が良好となる。なお、40000A/m以上の磁界では磁束密度の増加は認められなかったため、本発明においてはB400 を飽和磁束密度の尺度とした。
【0031】
Fe*を高めるには合金元素の含有量を抑制すればよいが、鉄損を低減する場合には所望の固有抵抗を得るためにある程度合金元素を含有させる必要がある。従って、所望の固有抵抗を得たうえでFe*を高めるには、鋼の密度に及ぼす合金元素の影響を考慮してSi 、Al 、Mn などの含有量を定めればよい。
【0032】
埋込磁石型モータは、高速回転が可能であることに加え、永久磁石が回転子内部に埋め込まれている構造上、回転中に鉄心にかかる遠心力は従来の表面磁石型よりも大きなものとなる。上述のように、埋込磁石型モータはエアギャップ差に起因する自己インダクタンスの差を利用しており、回転子の変形によるエアギャップ変化に極めて敏感な構造である。従って、回転子の変形によるモータ性能の低下は従来の表面磁石型よりも大きなものとなる。さらに、永久磁石を埋込んだ部分が切欠きとなり、応力集中が生じやすくなる。
【0033】
高速回転時の遠心力、応力集中に耐えうるために鉄心材料である無方向性電磁鋼板として必要な鋼板強度を評価した結果、高速回転する小型モータ用材料としては降伏強度が300MPa以上である鋼板が必要であった。
【0034】
材料強度を確保するには合金添加量を増加すればよいが、磁束密度の低下は避けられない。磁束密度の低下を極力抑制しつつ、高速回転時に必要な材料強度と所望の磁気特性を確保するには、適量のNi および/またはPを含有させ、結晶粒径と集合組織を特定した熱間圧延鋼板を冷間圧延し焼鈍するのが好適である。熱間圧延鋼板に上記集合組織を備えさせるには、熱間圧延鋼板に適度の塑性加工と熱延板焼鈍を施すのが好ましい。
【0035】
本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものであり、その要旨は下記の(1)、(2)に記載の高強度無方向電磁鋼板、および(3)、(4)に記載のその製造方法にある。
【0036】
(1)化学組成が質量%で、C:0.005%以下、Si:0.8%以上、2.5%以下、Mn:0.1%以上、2.5%以下、sol.Al:1.5%以下、Pおよび/またはNiをP:0.100%以上、0.30%以下、Ni:0.05%以上、1.5%以下の範囲で含有し、残部がFeおよび不可避的不純物よりなり、Feの質量分率と鋼の密度との積が7.35以上、磁束密度がB50で1.70T以上、鉄損がW15/50で3.0W/kg以下、W10/400で20W/kg以下、降伏強度が 300MPa以上、かつ、厚さが0.15mm以上、0.40mm以下であることを特徴とする無方向性電磁鋼板。
【0037】
(2)鋼のsol.Al含有量が0.01%以下であることを特徴とする上記(1)に記載の無方向性電磁鋼板。
【0038】
(3)上記(1)または(2)に記載の化学組成を有し、Feの質量分率と鋼の密度との積が7.35以上、平均結晶粒径が100μm以上、板厚中央部における鋼板面に平行な[200]面の集積度が2.0以上、[222]面の集積度が4.5以下である熱間圧延鋼板を、厚さ:0.15mm以上、0.40mm以下に冷間圧延し、次いで、700℃以上、1150℃以下で連続焼鈍することを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
【0039】
(4)上記(1)または(2)に記載の化学組成を有し、Feの質量分率と鋼の密度との積が7.35以上であるスラブを熱間圧延した後、伸び歪みで0.5〜3%の引張曲げ加工を施し、さらに680℃以上 900℃以下での熱延板焼鈍を施した後、厚さ:0.15mm以上、0.40mm以下に冷間圧延し、次いで、700℃以上、1150℃以下で連続焼鈍することを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
鋼板の化学組成;
C:Cは鉄損に悪影響を及ぼすので少ないほどよい。しかしながらC含有量を低減するには製造コストが増加する。これらのバランスを考慮して、C含有量は 0.005%以下とする。
【0041】
Si :Si は鋼板の固有抵抗を高めて渦電流損を減少させ、鉄損を低減する作用がある。さらに鋼板の強度を高め高速回転を可能にする作用もある。これらの効果を得るためにSi を 0.8%以上含有させる。望ましくは 1.0%以上、さらに望ましくは 1.2%以上である。
【0042】
他方、Si を含有させると鋼板の飽和磁束密度が低下する。これを避けるためにSi 含有量は 2.5%以下とする。望ましくは 2.2%以下である。さらに、低速回転時のトルクを優先する場合には、特に磁束密度が重要となるため 2.0%以下とするのが望ましい。上記範囲内で目的とする磁気特性レベルと所望の回転数に応じてSi 含有量を定めればよい。
【0043】
Mn :Mn はSi と同様に鋼の固有抵抗を高め鉄損を低減する作用がある。しかも単位含有量当たりの鋼板の密度低下量が小さいため磁束密度低下作用が小さい。従って鉄損を低減するのに好適な元素である。この効果を得るにはMn を 0.1%以上含有させる。
【0044】
他方、Mn を多量に含有させるとα−γ変態を生じ、α域でおこなうべき最終の仕上焼鈍温度を低くしなければいけないので良好な磁気特性が得られなくなる。これを避けるためにMn 含有量は 2.5%以下とする。望ましくは 2.0%以下である。
【0045】
sol.Al :Si とほぼ同程度の鋼の固有抵抗を高める作用があり、渦電流損を低減して鉄損を低減させることができる。他方、Al が鋼中で微細な窒化物を形成すると焼鈍時の結晶粒成長を阻害し磁気特性向上の障害になる。上記窒化物の形成を避けるには、sol.Al 含有量を0.01%以下とするか、または 0.1%以上とするのが有効である。
【0046】
Al はFe の格子間隔を大きくするため、単位体積あたりに含有されるFe 原子の個数が減少する。鋼の飽和磁束密度は、単位体積あたりに含有されるFe 原子がそれぞれ持っている磁気モーメントの総和として発現されるものであるから、Al を大量に含有させると鋼の飽和磁束密度が低下し、高磁束密度化が困難となる。従って、Al を含有させる場合のsol.Al の上限を 1.5%とする。望ましくは 1.2%以下、さらに望ましくは 1.0%以下である。
【0047】
PおよびNi :これらの元素は鋼の磁束密度を低下させることなく強度を高める作用がある。また、後述する冷間圧延前の鋼板の結晶粒径、集合組織制御との組み合わせにより、無方向性電磁鋼板の集合組織を改善する作用もある。これらの効果を得るためにPとNi の内のいずれか、または双方を含有させるのが望ましい。
【0048】
上記効果を得るには、Pであれば0.100%以上含有させるのが望ましい。他方、Pを過剰に含有させると鋼の靱性を損ない、冷間圧延時に破断が生じやすくなるので、P含有量は0.30%以下とするのが望ましい。より望ましくは0.25%以下、さらに望ましくは0.20%以下である。
【0049】
上記効果を得るためにNi を含有させる場合にはその含有量は0.05%以上とするのが望ましい。より望ましくは 0.1%以上である。他方、Ni を過剰に含有させるとα−γ変態を生じ、最終の仕上焼鈍温度を低くしなければいけないので良好な磁気特性が得られなくなる。これを避けるためにNi 含有量は 1.5%以下とするのが望ましい。より望ましくは 1.0%以下である。
【0050】
なお、後ほど述べるように本発明の電磁鋼板の製造に際しては冷間圧延前の熱間圧延鋼板に熱延板焼鈍を施して冷間圧延前の鋼板の結晶集合組織を特定のものとするが、鋼に微量のCu またはCr を含有させておくことにより、上記集合組織の形成が促進される場合があるので、これらの元素の内の 1種または 2種を0.01%以上、0.08%以下含有させても構わない。
【0051】
さらに、Sb またはSn には鋼板の表面酸化を抑制する作用があり、これにより磁気特性を向上させることができる。従ってこれらの元素の内の1種または2種を0.05 %以上、0.3%以下含有させても構わない。
【0052】
残部はFe および不可避的不純物である。特に不可避的不純物の内のSおよびNは析出物や介在物を形成して磁気特性を劣化させる。これを避けるためにS含有量は0.01%以下、N含有量は 0.005%以下とするのが望ましい。
【0053】
鋼の密度とFe の質量分率との積(Fe*);
Fe 原子密度が高いほど高い飽和磁束密度が得られる。鉄損低減や鋼板の強度向上のために合金元素を含有させる際に、飽和磁束密度の著しい低下を避けるために、Fe 原子密度に比例する数値である鋼の密度とFe の質量分率との積(Fe*)が7.35以上であるものとする。特に優れた磁束密度が要求される場合には、Fe*は7.40以上とするのが望ましい。
【0054】
鋼のFe*は、鋼の密度を大気中と水中での重量から求め、Fe の質量分率を鋼の化学組成から求めることで計算できる。
鋼の化学組成はFe*が上記限界値以上になるように、C、Si 、Al 、Mn などの元素の含有量を調整する。具体的にいえば、Fe*を高めるには、鋼の密度を小さくする作用が大きいAl 含有量を少なくし、Si 、Mn 等の含有量を増すことにより、同一の固有抵抗でもFe*を高めることができる。
【0055】
磁気特性と強度;
50が1.70T に満たない場合にはリラクタンストルクを有効に活用することができず、弱め磁束制御をおこなう際の銅損も大きくなる。従って埋込磁石型モータの実機特性を改善(具体的には、高トルク化、モータ効率向上)するためにB50は1.70T 以上とする。望ましくは1.72T 以上である。
【0056】
低速回転時のモータ効率を良好にするために、商用周波数領域での鉄損はW15/50 で 3.0W/kg以下とする。望ましくは 2.7W/kg以下である。また、高速回転時のモータ効率を良好にするために、 1.0T、400Hzでの鉄損W10/400で20W/kg以下とする。望ましくは19W/kg以下、より望ましくは18W/kg以下である。
【0057】
これらの磁気特性はJIS-C2550 に規定された25cmエプスタイン試験枠で測定すればよい。
高速回転時の遠心力及び永久磁石埋込部などでの応力集中に耐えうるものとするために、鋼板の強度は降伏強度で300MPa以上とする。望ましくは330MPa以上、より望ましくは360MPa以上である。
【0058】
電磁鋼板の上記特性は、モータに使用時の鋼板の特性が上記範囲を満足する必要がある。従って、鉄心を打ち抜きままで組み立てる場合には打ち抜きままの特性が、打ち抜き後に歪取焼鈍を施して組み立てる場合には歪取焼鈍後の特性が、上記範囲を満足するものとする。
【0059】
無方向性電磁鋼板の厚さ;
本発明の無方向性電磁鋼板の厚さが薄くなると渦電流損が減少してモータ効率が向上する。特に高周波領域での鉄損低減には板厚を薄くするのが有効である。しかしながら過度に板厚を薄くすると鋼板の剛性が低下して鉄心への連続打ち抜き加工時に変形が生じやすくなり、モータの実用特性が劣化する場合がある。また、厚さが薄くなるにつれて鉄芯の占積率が低下しモータの実用特性が劣化する。さらに、厚さを薄くするために冷間圧延の圧下率を増すと、最終製品の集合組織において [222]面が発達し、本発明の目的である高磁束密度を達成できない。
【0060】
これらの点から、本発明の無方向性電磁鋼板の厚さは0.15mm以上とする。望ましくは0.20mm以上である。他方、厚さが0.40mmを超えると高周波域での鉄損が増し、モータの実用特性は向上しない。このため、その上限は0.40mmとする。望ましくは0.35mm以下である。
【0061】
製造方法;
以下に本発明の電磁鋼板の好適な製造方法を説明する。
上記化学組成を有する鋼は、連続鋳造法、鋼塊を分塊圧延する方法など、任意の公知の方法によりスラブとし、加熱炉に装入して熱間圧延するか、スラブ温度が高い場合には加熱炉に装入しないで熱間圧延しても構わない。スラブ加熱時に鋼中のMnS が溶解すると最終製品の磁気特性が損なわれる。これを避けるためにスラブ加熱を施す場合の加熱温度は1300℃以下とするのが望ましい。より望ましくは1250℃以下である。
【0062】
他方、スラブ加熱温度を過度に低くすると熱間圧延が困難となるので、これを避けるためにスラブ加熱温度は1000℃以上とするのが望ましい。より望ましくは1050℃以上である。熱間圧延は特に限定する必要はなく、例えば仕上げ温度は 700〜 950℃、巻き取り温度は 700℃以下など、公知の条件に従っておこなえばよい。
【0063】
冷間圧延前の鋼板(以下、単に「冷圧母材」とも記す)の平均結晶粒径が 100μm 以上、板厚中央部における鋼板面に平行な [200]面の集積度(以下、単に「 [200]集積度」とも記す)がランダム比で 2.0以上、板厚中央部における鋼板面に平行な [222]面の集積度(以下、単に「 [222]集積度」とも記す)がランダム比で 4.5以下であるものを用いる。
【0064】
ここでランダム比とは、結晶方位の集積状況がランダムである試料のX線積分強度に対する比を意味する。板厚中央部の結晶方位の集積度は、例えば化学研磨等の方法で鋼板の片側を板厚中央部まで除去して板厚中央部を測定面とする試料を作製し、これをX線回折することにより測定することができる。
【0065】
冷圧母材の平均結晶粒径が 100μm に満たないか、板厚中央部の [200]集積度が低く [222]集積度が高すぎる場合には、最終冷間圧延後に施す再結晶と結晶粒成長のための焼鈍(以下、単に「仕上焼鈍」と記す)時に [222]面が発達するため、製品の磁気特性、特に本発明において重要な特性である磁束密度B50を高めるのが容易ではない。
【0066】
前述のように、モータの実用特性向上には製品板厚を0.15〜0.40mmとする必要があり、通常の無方向性電磁鋼板の製造工程においては冷延圧下率の増加は避けられない。従って冷延圧下率増加に伴う製品集合組織中の [222]面の増加を抑制し、薄肉かつ高磁束密度を達成するには、上述の冷延前組織、方位制御が重要である。
【0067】
上述の冷圧母材の平均結晶粒度や結晶集合組織は、熱間圧延した鋼板に熱延板焼鈍を施すことで調整する。
板厚中央部の [200]集積度を高めて [222]集積度を低めるという結晶集合組織変化は板厚中央部の粒成長に伴い進行する。この集合組織制御を効果的に行うには、酸洗装置などに設けられるテンションレベラなどを利用して鋼板に引張曲げ加工を施し、その後に熱延板焼鈍を施すのが簡便である。
【0068】
この際の加工度は伸び率で 0.5%以上与えることが望ましい。伸び率は高くても構わないが、上記設備により工業的に付与できる伸び率は 3.0%が限界であり、それ以上の加工を加えることは設備の負荷がが過大になる等の理由で困難である。従って、伸び率は 3.0%以下とするのがよい。
【0069】
上述の冷延前組織、結晶集合組織を安定的に得るには、熱延板焼鈍は箱焼鈍とするのが望ましく、熱延板焼鈍温度は 680℃以上、 900℃以下とするのが望ましい。焼鈍温度が 680℃未満では所望の結晶粒径を得るために長時間要するために経済的でない。 900℃を超える場合には、過度の粒成長にともなう集合組織のランダム化により所望の集合組織が得られない。なお、鋼の化学組成がα−γ変態を有するものである場合には、α域の焼鈍温度とする必要がある。
【0070】
焼鈍時間は特に限定するものではないが、生産性の観点から30分以上、24時間以下とするのが望ましい。
熱延板焼鈍後、0.15mm〜0.40mm厚に冷間圧延する。冷間圧延は中間焼鈍を施さないでおこなうのが望ましい。これは、中間焼鈍時に [222]集積度が高くなるため、前述の冷間圧延前組織、方位制御の効果が発揮されないからである。
【0071】
冷間圧延後は仕上焼鈍を施す。仕上焼鈍は連続焼鈍方式とし、焼鈍温度を 700℃以上、1150℃以下とする。焼鈍温度が 700℃に満たない場合には再結晶組織が十分に得られず良好な磁気特性が得られない。望ましくは 800℃以上である。
【0072】
焼鈍温度が1150℃を超えると結晶粒が著しく粗大化し、高周波域での鉄損が増大し、モータ特性が劣化するため好ましくない。なお、鋼がα−γ変態を有するものである場合にはα域の焼鈍温度とする必要がある。これ以外の連続焼鈍条件は、公知の条件にしたがえばよい。
【0073】
仕上焼鈍後、常法に従って樹脂のみ、あるいは樹脂と無機バインダーの混合物などからなる表面コーティングを施すのが望ましい。
以上述べたように、磁気特性と強度を最適化した本発明の無方向性電磁鋼板をインバータ制御されるエアコンや冷蔵庫などのコンプレッサーモータ、自動車の駆動用モータなどに使用した場合、以下の効果がある。従来のインバータ制御モータ用電磁鋼板よりも磁束密度が高いため、リラクタンストルクを有効に活用することができる。特に高トルク域での効率改善に大きく寄与できる。また、弱め磁束制御による高速回転時にも、鉄損、銅損とも効果的に低減できるため、モータ効率は良好となる。さらに、磁束密度が高くとも材料強度が確保されているので、高速回転時の回転子変形のおそれもない。
【0074】
【実施例】
種々の化学組成を有する鋼スラブを1150℃に加熱し、 780℃で仕上げ圧延をおこない 580℃で巻き取り、厚さが 2.0mmの熱間圧延鋼板を得た。これらを酸洗し、種々の伸び率で冷間加工を施した後、水素雰囲気中にて10時間均熱する箱焼鈍による熱延板焼鈍を行い、 1回の冷間圧延で製品板厚に圧延した。一部の熱間圧延鋼板は冷間加工を施さないで熱延板焼鈍をおこない、また、一部の熱間圧延鋼板は冷間加工も熱延板焼鈍も施さないで冷間圧延に供した。その後、1000℃で30秒均熱する連続焼鈍を施し、アクリル樹脂エマルジョン、クロム酸マグネシウム、ホウ酸よりなる膜厚0.4μmの表面コーティングを施し、種々の無方向性電磁鋼板を得た。
【0075】
得られた鋼板の磁気特性は、750℃で2時間保持する歪取焼鈍後に、JIS−C2550に規定される25cmエプスタイン試験枠を用いて測定した。
表1に鋼の化学組成を、表2に冷圧母材の結晶組織、集合組織および得られた無方向性電磁鋼板の磁気特性を示した。だたし、試験番号2、4、17は参考例である。
【0076】
【表1】
Figure 0003870725
【0077】
【表2】
Figure 0003870725
【0078】
表2に示すように、本発明の規定する条件を満足する試験番号 1〜17はいずれも鉄損W15/50、W10/400 、磁束密度B50、降伏強度が良好で高いFe*を有しており、磁気特性と機械特性が両立した無方向性電磁鋼板が得られた。特に適度のPおよび/またはNiを含有した鋼を用いた試験番号 1〜16では特に優れた総合特性を備えた無方向性電磁鋼板が得られた。
【0079】
これに対し、鋼のSi 含有量が低すぎたうえ、sol.Al 含有量が高すぎた鋼18を用いた試験番号18では所望の降伏強度が得られなかった。鋼のC含有量が高すぎた鋼19を用いた試験番号19では磁気特性が劣っていたうえ、使用中に磁気特性が劣化する磁気時効の可能性も有していた。Si 含有量が高すぎた鋼を用いた試験番号20または21では、磁束密度B50が劣っていたばかりか、Fe*が小さく、飽和磁束密度が低いためにリラクタンストルクを活用することはできない。
【0080】
Mn 含有量が高すぎた鋼を用いた試験番号22では、α−γ変態により熱延板焼鈍時の結晶粒成長性が悪く、仕上連続焼鈍時もα−γ変態の影響により磁気特性が極めて悪かった。鋼のsol.Al 含有量が高すぎた試験番号23では、磁束密度が劣っており、Fe*が小さかった。
【0081】
鋼のSi 含有量が低すぎた試験番号24は降伏強度が低いうえ、磁気特性、特に鉄損が劣っていた。鋼のsol.Al 含有量が好ましい範囲でなかった試験番号25では微細な窒化物により粒成長性が悪いため、磁気特性が劣ったものとなった。鋼の成分は本発明で規定する範囲に入っていてもFe*が低かった鋼26では、飽和磁束密度が低いためにリラクタンストルクを活用できない。鋼のP含有量が高すぎた試験番号27では冷間圧延時に破断したため、以降の製作を中止した。試験番号28〜30は、冷間圧延前の鋼板の平均結晶粒径または [222]面または [200]面の集積度がが好ましくなかったために、得られた最終製品の磁気特性はよくなかった。試験番号31は、最終製品の板厚が厚いため、鉄損がよくなかった。最終製品の厚さが薄すぎた試験番号32ではB50がよくなかった。
【0082】
【発明の効果】
本発明の無方向性電磁鋼板は、インバータ制御されるエアコン・冷蔵庫のコンプレッサーモータ、自動車の駆動用モータ等の高効率モータの鉄心素材として、高速回転時の材料強度を保持しているとともに、従来よりも磁気特性、特に磁束密度が高いためリラクタンストルクを有効に活用でき、モータ効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】[電磁鋼板Aを用いたモータの効率(%)]−[電磁鋼板Bを用いたモータの効率(%)]を等高線で示すグラフである。
【図2】[電磁鋼板Aを用いたモータの効率(%)]−[電磁鋼板Cを用いたモータの効率(%)]を等高線で示すグラフである。
【図3】種々の化学組成を有する無方向性電磁鋼板の磁束密度B400 と、それぞれのFe*との関係を示すグラフである。

Claims (4)

  1. 化学組成が質量%で、C:0.005%以下、Si:0.8%以上、2.5%以下、Mn:0.1%以上、2.5%以下、sol.Al:1.5%以下、Pおよび/またはNiをP:0.100%以上、0.30%以下、Ni:0.05%以上、1.5%以下の範囲で含有し、残部がFeおよび不可避的不純物よりなり、Feの質量分率と鋼の密度との積が7.35以上、磁束密度がB50で1.70T以上、鉄損がW15/50で3.0W/kg以下、W10/400で20W/kg以下、降伏強度が 300MPa以上、かつ、厚さが0.15mm以上、0.40mm以下であることを特徴とする無方向性電磁鋼板。
  2. 鋼のsol.Al含有量が0.01%以下であることを特徴とする請求項1に記載の無方向性電磁鋼板。
  3. 請求項1または2に記載の化学組成を有し、Feの質量分率と鋼の密度との積が7.35以上、平均結晶粒径が100μm以上、板厚中央部における鋼板面に平行な[200]面の集積度が2.0以上、[222]面の集積度が4.5以下である熱間圧延鋼板を、厚さ:0.15mm以上、0.40mm以下に冷間圧延し、次いで、700℃以上、1150℃以下で連続焼鈍することを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
  4. 請求項1または2に記載の化学組成を有し、Feの質量分率と鋼の密度との積が7.35以上であるスラブを熱間圧延した後、伸び歪みで0.5〜3%の引張曲げ加工を施し、さらに680℃以上 900℃以下での熱延板焼鈍を施した後、厚さ:0.15mm以上、0.40mm以下に冷間圧延し、次いで、700℃以上、1150℃以下で連続焼鈍することを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
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