JP2001073096A - パワーステアリングモータ用無方向性電磁鋼板およびその製造法 - Google Patents

パワーステアリングモータ用無方向性電磁鋼板およびその製造法

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JP2001073096A
JP2001073096A JP24740899A JP24740899A JP2001073096A JP 2001073096 A JP2001073096 A JP 2001073096A JP 24740899 A JP24740899 A JP 24740899A JP 24740899 A JP24740899 A JP 24740899A JP 2001073096 A JP2001073096 A JP 2001073096A
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power steering
steel sheet
steering motor
space factor
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JP24740899A
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English (en)
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Taisei Nakayama
大成 中山
Noriyuki Honjo
法之 本庄
Hiroyoshi Yashiki
裕義 屋鋪
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の無方向性電磁鋼板では、占積率の低下
を招くことなく優れた低周波数での特性を得られず、自
動車電動パワーステアリングモータ用の無方向性電磁鋼
板を提供できない。 【解決手段】 C:0.01%以下、Si:3.5 %以下、Mn:
2.0 %以下、S:0.01%以下、酸可溶Al:3.0 %以下、
P:0.005 %以上0.1 %以下、N:0.0053%以下、残部
Feおよび不可避的不純物からなる鋼組成を有し、表面粗
度の平均粗さRaが0.5 μm以下であるパワーステアリン
グモータ用無方向性電磁鋼板である。JIS に定められた
製品板厚0.35mmの占積率同等以上の占積率を有し、かつ
20Hz磁束密度1.5Tの鉄損が0.80W/kg以下 (50Hz磁束密度
1.5Tでの鉄損は3.0W/kg 以下) である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パワーステアリン
グモータ用無方向性電磁鋼板およびその製造法に関し、
より具体的には、低回転かつ高トルクを要求される自動
車電動パワーステアリングモータに用いるのに好適なパ
ワーステアリングモータ用無方向性電磁鋼板およびその
製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、地球温暖化を引き起こすとされる
環境問題やエネルギー問題を解決するための方策の一つ
として、自動車の燃費を向上することによって自動車の
排気ガスに含まれるCO2 や窒素酸化物等の排出総量を削
減することが、積極的に推進されている。具体的には、
ガソリン1リットルで30kmを走行できる超低燃費車を開
発することが急務とされている。
【0003】このような超低燃費車を開発するためには
自動車に搭載される各部品の効率を向上する必要があ
り、その一つとして、自動車のパワーステアリングの駆
動源を変更することが検討されている。すなわち、これ
までの自動車のパワーステアリングの大部分は、エンジ
ンの動力を利用したパワーステアリング用油圧ポンプに
よって駆動されているが、このパワーステアリング用油
圧ポンプは常時運転されており、操舵時以外の駆動が不
要な時にも駆動されている。このため、不要時に駆動さ
れている分だけエンジンの燃費が悪化する。そこで、自
動車のパワーステアリングの駆動源を、油圧ポンプから
電動モータに変更することが急務とされている。
【0004】このパワーステアリング用電動モータに
は、その優れた電磁的性質によりモータやトランス等の
電気や磁気を応用した機器に多数用いられてきた無方向
性電磁鋼板を複数枚積層した鉄心を用いることが有効で
ある。また、パワーステアリング用電動モータは、自動
車に搭載される蓄電池を電源として使用することになる
とともに、その特性上、低回転かつ高トルクを要求され
る。このため、パワーステアリング用電動モータには、
直流ブラシ付きのモータや、インバータ変換により得ら
れる交流を用いた高効率モータを用いる必要がある。す
なわち、50〜60Hzの商用周波数よりも低い10〜50Hzの周
波数の交流を用いる場合には、例えばPWM(パルス幅変調
波) やPAM(パルス増幅変調波)等の非正弦波を用いるた
め、非正弦波の低周波特性に優れた無方向電磁鋼板によ
り鉄心を構成する必要がある。
【0005】この種の無方向性電磁鋼板は、例えば特開
平8−60252 号公報や同8−49044号公報等により、提
案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】これらの公報では、得
られる無方向性電磁鋼板の鉄損や磁束密度等の電磁特性
については開示しているものの、この無方向性電磁鋼板
を用いた電動モータの効率については一切言及していな
い。
【0007】すなわち、パワーステアリング用電動モー
タの効率には、積層された多数の無方向性電磁鋼板の密
着程度を示す占積率が影響する。占積率が低下すると、
パワーステアリング用電動モータの効率の低下につなが
り、鉄心を構成する無方向性電磁鋼板自体のエプスタイ
ン磁気特性が良好であっても、得られるパワーステアリ
ング用電動モータの特性が悪化してしまう。
【0008】このため、これらの公報により提案された
発明によっても、低回転かつ高トルクを有するパワース
テアリング用電動モータの鉄心を構成する無方向性電磁
鋼板を得ることはできなかった。
【0009】ここに、本発明の目的は、占積率の低下を
招くことなく低周波数での特性に優れ、特に、低回転高
トルクを要求される自動車電動パワーステアリングモー
タに用いるのに好適なパワーステアリングモータ用無方
向性電磁鋼板およびその製造法を提供することである。
【0010】より具体的には、本発明の目的は、JIS に
定められた製品板厚0.35mmの占積率同等以上の占積率を
有し、かつ20Hz磁束密度1.5Tでの鉄損が0.80W/kg以下
(50Hz磁束密度1.5Tでの鉄損は3.0W/kg 以下) である、
インバータなどの非正弦波励磁による磁気特性を有する
パワーステアリングモータ用無方向性電磁鋼板およびそ
の製造法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意検討を重ねた結果、無方向性電磁鋼
板のP含有量、表面粗度および板厚をいずれも最適値に
設定することにより、JIS に定められた製品板厚0.35mm
の占積率同等以上の占積率を有し、かつ20Hz磁束密度1.
5Tでの鉄損が0.80W/kg以下 (50Hz磁束密度1.5Tでの鉄損
は3.0W/kg 以下) の磁気特性を有し、パワーステアリン
グモータの鉄心を構成するのに好適な無方向性電磁鋼板
を提供できることを知見して、本発明を完成した。
【0012】本発明は、C:0.01% (以下、特にことわ
りがない限り、「%」は「重量%」を意味するものとす
る。) 以下、Si:3.5 %以下、Mn:2.0 %以下、S:0.
01%以下、酸可溶Al:3.0 %以下、P:0.005 %以上0.
1 %以下、N:0.0053%以下、残部Feおよび不可避的不
純物からなる鋼組成を有し、表面粗度が平均粗さRaで0.
5 μm以下であるとともに板厚が0.2 mm以上であること
を特徴とするパワーステアリングモータ用無方向性電磁
鋼板である。
【0013】別の観点からは、本発明は、C:0.01%以
下、Si:3.5 %以下、Mn:2.0 %以下、S:0.01%以
下、酸可溶Al:3.0 %以下、P:0.005 %以上0.1 %以
下、N:0.0053%以下、残部Feおよび不可避的不純物か
らなる鋼組成を有する鋼片を、1300℃以下の温度に加熱
して熱間圧延を行った後、該熱間圧延を行ったまま、あ
るいは600 〜1000℃の温度で熱延板焼鈍を行ってから、
ロール粗度が平均粗さRaで1.5 μm以下である仕上最終
パスロールを用いて、冷間圧延を1回行うか、または中
間焼鈍をはさんで冷間圧延を2回以上行い、700 〜1100
℃の温度での連続仕上焼鈍を行い、必要に応じて、仕上
焼鈍を行った後に、有機表面コーティングまたは、有機
および無機の複合表面コーティングを鋼板表面に形成す
ることを特徴とするパワーステアリングモータ用無方向
性電磁鋼板の製造法である。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかるパワーステ
アリングモータ用無方向性電磁鋼板およびその製造法の
実施の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明す
る。なお、以降の説明では、鋼片がスラブである場合を
例にとる。
【0015】まず、本発明にかかるパワーステアリング
モータ用無方向性電磁鋼板の製造法において、用いるス
ラブの組成を限定する理由を説明する。
【0016】(C:0.01%以下)C含有量が0.01%を越え
ると磁気時効を引き起こし、磁気特性を劣化させる。そ
こで、本発明では、C含有量は0.01%以下と限定する。
同様の観点から、C含有量の上限は、0.08%であること
が望ましく、0.005 %であることがさらに望ましい。ま
た、C含有量の下限は、0.001 %であることが望まし
く、0.002 %であることがさらに望ましい。
【0017】(Si:3.5 %以下)Siは、磁気特性を改善す
るために必須の元素であるが、Si含有量が3.5 %を越え
ると冷間圧延が困難になる。そこで、本発明では、Si含
有量は3.5 %以下と限定する。同様の観点から、Si含有
量の上限は、3.3 %であることが望ましく、3.0 %であ
ることがさらに望ましい。また、Si含有量の下限は、0.
3 %であることが望ましく、0.5 %であることがさらに
望ましい。
【0018】(Mn:2.0 %以下)Mnは、磁気特性を改善す
るために有効な元素であるが、Mn含有量が2.0 %を越え
ると冷間圧延が困難になる。そこで、本発明では、Mn含
有量は2.0 %以下と限定する。同様の観点から、Mn含有
量の上限は、1.7 %以下であることが望ましく、1.5 %
以下であることがさらに望ましい。また、Mn含有量の下
限は、0.05%または0.1 %であることが望ましく、0.2
%であることがさらに望ましい。
【0019】(S:0.01%以下)S含有量が0.01%を超え
ると、逆に磁気特性を劣化させる。そこで、本発明で
は、S含有量は0.01%以下と限定する。同様の観点か
ら、S含有量の上限は、0.005 %であることが望まし
く、0.004 %であることがさらに望ましい。また、S含
有量の下限は、0.0005%であることが望ましく、0.001
%であることがさらに望ましい。
【0020】(酸可溶Al:3.0 %以下)酸可溶Alは、磁気
特性を改善するために重要な元素であるが、酸可溶Alの
含有量が3.0 %を越えると冷間圧延が困難となる。そこ
で、本発明では、酸可溶Alの含有量は3.0 %以下と限定
する。同様の観点から、酸可溶Alの含有量の上限は、2.
5 %であることが望ましく、2.3 %であることがさらに
望ましい。また、酸可溶Alの含有量の下限は、0.0005%
であることが望ましく、0.2 %であることがさらに望ま
しい。
【0021】(P:0.005 %以上0.1 %以下)Pは、0.00
5 %以上含有することにより、得られた無方向性電磁鋼
板を鉄心の素材に打ち抜き加工する際の打抜き性を確保
するための機械的性質を改善することができ、最終的に
得られるパワーステアリングモータの鉄心の占積率の低
下を防止できるが、P含有量が0.1 %を超えると、冷間
圧延時の破断を引き起こす。そこで、本発明では、P含
有量は0.005 %以上0.1 %以下と限定する。同様の観点
から、P含有量の上限は、0.05%であることが望まし
く、0.03%であることがさらに望ましい。また、P含有
量の下限は、0.005 %であることが望ましく、0.01%で
あることがさらに望ましい。
【0022】(N:0.0053%以下)Nは、磁気特性にとっ
て有害であり、N含有量が0.0053%を超えると、Alと結
合してAlNを形成して結晶粒を微細化させ、磁気特性劣
化を招く。そこで、本発明では、N含有量は0.0053%以
下と限定する。同様の観点から、N含有量の上限は0.00
3 %であることが望ましく、N含有量の下限は0.0005%
であることが望ましい。上記以外の組成は、Feおよび不
可避的不純物である。
【0023】(スラブ加熱、熱間圧延)本発明にかかるパ
ワーステアリングモータ用無方向性電磁鋼板の製造法で
は、かかる鋼組成を有するスラブを、1300℃以下の温度
に加熱して熱間圧延を行う。スラブ加熱温度が1300℃を
越えると、鋼中のMnS を溶解させて磁気特性の劣化を招
く。そこで、本発明では、スラブ加熱温度は1300℃以下
と限定する。同様の観点からスラブ加熱温度の上限は12
50℃であることが望ましく、1180℃であることがさらに
望ましい。一方、スラブ加熱温度が1000℃を下回ると圧
延性が低下するため、スラブ加熱温度の下限は1000℃で
あることが望ましく、1050℃であることがさらに望まし
い。熱間圧延は、公知の条件にしたがって行えばよく、
特定の条件には限定されない。
【0024】(熱延板焼鈍、冷間圧延)このようにして熱
間圧延を行った後に、この熱間圧延を行ったまま、ある
いは600 〜1000℃の温度で熱延板焼鈍を行ってから、ロ
ール粗度Raが1.5 μm以下である仕上最終パスロールを
用いて、冷間圧延を1回行うか、または中間焼鈍をはさ
んで冷間圧延を2回以上行う。
【0025】すなわち、熱間圧延を行った後、必要に応
じて、磁気特性を改善するために熱延板焼鈍を行う。熱
延板焼鈍温度が600 ℃未満であると磁気特性の改善効果
が得られず、一方、熱延板焼鈍温度が1000℃を越えると
結晶粒が過度に粗大化して、冷間圧延時に破断等のトラ
ブルを引き起こす。そこで、熱延板焼鈍を行う場合に
は、熱延板焼鈍温度は600 ℃以上1000℃以下と限定する
ことが望ましい。同様の観点から熱延板焼鈍温度の上限
は900 ℃であることが望ましく、下限は750 ℃であるこ
とが望ましい。
【0026】このようにして熱間圧延または熱延板焼鈍
を行った後に、1回または中間焼鈍をはさんで2回以上
の冷間圧延を行うことにより、所望の製品板厚を有する
冷延鋼板とする。
【0027】この冷間圧延において、冷間圧延を行う仕
上最終パスロールのロール表面粗度は1.5 μm以下であ
る。ここで、「仕上最終パスロール」とは、リバース式
圧延機を用いてこの冷間圧延を行う場合にはワークロー
ルの表面粗度を意味し、タンデム式圧延機を用いてこの
冷間圧延を行う場合には最終スタンドのワークロールの
表面粗度を意味する。
【0028】ロール表面粗度が1.5 μm超である仕上最
終パスロールを用いて最終圧延を行うと、表面転写率か
ら、得られる製品の表面粗さRaが0.5 μmを超えてしま
い、パワーステアリングモータの鉄心を構成した場合に
所望の占積率を得ることができなくなる。そこで、本発
明では、冷間圧延を行う仕上最終パスロールのロール表
面粗度は1.5 μm以下と限定する。これ以外の冷間圧延
条件は、公知の条件にしたがえばよい。
【0029】(連続仕上焼鈍)このようにして、冷間圧延
を行った後、700 〜1100℃の温度での連続仕上焼鈍を行
う。連続仕上焼鈍温度が700 ℃未満では再結晶組織が十
分得られず磁気特性が不良となる。一方、連続仕上焼鈍
温度が1100℃を超えると、結晶粒が著しく粗大化して加
工性が劣化する。そこで、本発明では、連続仕上焼鈍温
度は700 ℃以上1100℃以下と限定する。これ以外の連続
焼鈍条件は、公知の条件にしたがえばよい。
【0030】(表面コーティング)そして、打抜き性を特
に重視する用途の場合には、仕上焼鈍を行った後に、有
機表面コーティングまたは、有機および無機の複合表面
コーティングを鋼板表面に形成する。
【0031】有機表面コーティングまたは、有機および
無機の複合表面コーティングは、公知の手法を用いれば
よく、特定の手段には限定されない。有機表面コーティ
ングとしては、例えばアクリル樹脂エマルジョンよりな
る表面コーティングが例示され、複合表面コーティング
としては、アクリル樹脂エマルジョン、クロム酸マグネ
シウムおよびホウ酸よりなる表面コーティングが例示さ
れる。これらのコーティングはローラコータを用いて行
うことが、生産性の向上および占積率の低下防止の観点
から、望ましい。
【0032】このようにして、C:0.01%以下、Si:3.
5 %以下、Mn:2.0 %以下、S:0.01%以下、酸可溶A
l:3.0 %以下、P:0.005 %以上0.1 %以下、N:0.0
053%以下、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼組
成を有する、本発明にかかるパワーステアリングモータ
用無方向性電磁鋼板が提供される。
【0033】この本発明にかかるパワーステアリングモ
ータ用無方向性電磁鋼板の表面粗度は、平均粗さRaで0.
5 μm以下である。すなわち、パワーステアリングモー
タ用無方向性電磁鋼板の表面粗度は、得られるパワース
テアリングモータの鉄心の占積率にとって、極めて重要
である。平均粗さRaが0.5 μmを超えると、占積率が97
%未満と著しく低下してしまう。
【0034】図1は、パワーステアリングモータ用無方
向性電磁鋼板の表面粗度の平均粗さRa (μm) と、得ら
れるパワーステアリングモータの鉄心の占積率 (%) と
の関係の一例を示すグラフである。なお、図1に示すグ
ラフにおける○印は板厚が0.4 mm以下の場合を示し、□
印は板厚が0.4 mm超である場合を示す。
【0035】図1に示すグラフから、平均粗さRaが0.5
μm以下であれば、97%超の占積率を得られることがわ
かる。平均粗さRaの下限は、かかる観点からは限定する
必要はないが、工業的に0.1 μmを下回る平均粗さRaを
得ることは難しいため、平均粗さRaは0.1 μm以上であ
ることが望ましい。
【0036】また、この本発明にかかるパワーステアリ
ングモータ用無方向性電磁鋼板の板厚は、0.20mm以上で
ある。0.20mm未満であると、所望の占積率を得ることが
できなくなるからである。
【0037】このような組成および表面粗度の平均粗さ
Raを有する本発明にかかるパワーステアリングモータ用
無方向性電磁鋼板は、JIS に定められた製品板厚0.35mm
の占積率同等以上の占積率を有し、かつ20Hz磁束密度1.
5Tの鉄損が0.80W/kg以下 (50Hz磁束密度1.5Tでの鉄損は
3.0W/kg 以下) である、インバータなどの非正弦波励磁
による磁気特性を有するパワーステアリングモータ用無
方向性電磁鋼板である。
【0038】したがって、占積率の低下を招くことなく
低周波数での特性に優れ、特に、低回転かつ高トルクを
要求されるパワーステアリングモータに用いるのに好適
なパワーステアリングモータ用無方向性電磁鋼板が提供
される。
【0039】
【実施例】さらに、本発明を実施例を参照しながら詳細
に説明する。表1に示す鋼組成を有する18種のスラブ
(厚さ227 mm、幅1000mm) を、表1に示すスラブ加熱温
度に加熱して通常の条件で熱間圧延を行って、板厚が1.
8 mmの熱延コイルに仕上げた。
【0040】次いで、通常条件で酸洗を行った後に、一
部の熱延コイルについて800 ℃または900 ℃で熱延板焼
鈍を行い、ロール粗度の平均粗さRaが1.2 μm以下であ
る仕上最終パスロールを用いて冷間圧延を行い、板厚が
0.50mmの冷延コイルに仕上げた。この冷延コイルの表面
粗さの平均粗さRaを表1にあわせて示す。
【0041】そして、表1に示す温度での連続仕上焼鈍
を行った後、アクリル樹脂エマルジョン、クロム酸マグ
ネシウムおよびほう酸よりなる膜厚0.4 μmの表面コー
ティングを、ロールコータ方式により鋼板表面に形成さ
せた。
【0042】得られた無方向性電磁鋼板である試料No.1
〜試料No.18 について、磁気特性は25cmエプスタイン試
験枠を用い、非正弦波のうちPWM(パルス幅変調) により
キャリア周波数10kHz 、駆動周波数50Hzと20Hz、磁束密
度1.5Tの時の鉄損を測定した。また、これらの試料No.1
〜試料No.18 を用いて、パワーステアリングモータの鉄
心を構成し、占積率 (%) を測定した。鉄損(W/kg)およ
び占積率 (%) の測定結果を表1にあわせて示す。
【0043】
【表1】
【0044】表1における試料No.1〜試料No.9は、いず
れも、本発明で規定する条件を全て満足する本発明例で
ある。これらは、JIS に定められた製品板厚0.35mmの占
積率同等以上の占積率 (98.4%以上) を有し、かつ20Hz
磁束密度1.5Tでの鉄損が0.80W/kg以下 (50Hz磁束密度1.
5Tでの鉄損は3.0W/kg 以下) である。このため、インバ
ータなどの非正弦波励磁による磁気特性を有することか
ら、占積率の低下を招くことなく低周波数での特性に優
れ、特に、低回転かつ高トルクを要求されるパワーステ
アリングモータに用いるのに好適である。
【0045】一方、試料No.10 はSi含有量が、試料No.1
1 はMn含有量が、試料No.12 は酸可溶Alの含有量が、さ
らに、試料No.17 はP含有量が、いずれも、本発明の範
囲の上限を上回るために冷間圧延時に破断した。
【0046】試料No.13 は、表面粗度の平均粗さRaが本
発明の範囲の上限を上回っているため、鉄損が劣化し
た。試料No.14 は、占積率が本発明の範囲の下限を下回
っているため、鉄損が劣化した。
【0047】試料No.15 は、S含有量が本発明の範囲の
上限を上回っているため、鉄損が劣化した。試料No.16
は、C含有量が本発明の範囲の上限を上回っているとと
もに表面粗度の平均粗さRaが本発明の範囲の上限を上回
っているため、鉄損および占積率がともに劣化した。
【0048】さらに、試料No.18 は、N含有量が本発明
の範囲の上限を上回っているため、鉄損が劣化した。
【0049】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、占積率の低
下を招くことなく低周波数での特性に優れ、特に、低回
転高トルクを要求される自動車電動パワーステアリング
モータに用いるのに好適なパワーステアリングモータ用
無方向性電磁鋼板およびその製造法を提供すること、よ
り具体的には、JIS に定められた製品板厚0.35mmの占積
率同等以上の占積率を有し、かつ20Hz磁束密度1.5Tの鉄
損が0.80W/kg以下 (50Hz磁束密度1.5Tでの鉄
損は3.0W/kg 以下) である、インバータなどの非正弦波
励磁による磁気特性を有するパワーステアリングモータ
用無方向性電磁鋼板およびその製造法を提供することが
可能となった。
【0050】このため、自動車の燃費性能を向上させて
超低燃費車の開発の一助となる電動パワーステアリング
を確実に製造することができ、これにより、地球温暖化
の抑制に寄与することができる。かかる効果を有する本
発明の意義は、極めて著しい。
【図面の簡単な説明】
【図1】パワーステアリングモータ用無方向性電磁鋼板
の表面粗度の平均粗さRa (μm) と、得られるパワース
テアリングモータの鉄心の占積率 (%) との関係の一例
を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 屋鋪 裕義 和歌山市湊1850番地 住友金属工業株式会 社和歌山製鉄所内 Fターム(参考) 4K033 AA01 FA01 FA12 HA01 HA03 PA04 RA03 RA10 SA03 5E041 AA02 AA11 AA19 BC01 BC05 CA04 HB05 HB07 HB11 NN01 NN06 NN17 NN18

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、C:0.01%以下、Si:3.5 %
    以下、Mn:2.0 %以下、S:0.01%以下、酸可溶Al:3.
    0 %以下、P:0.005 %以上0.1 %以下、N:0.0053%
    以下、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼組成を有
    し、表面粗度が平均粗さRaで0.5 μm以下であるととも
    に板厚が0.2 mm以上であることを特徴とするパワーステ
    アリングモータ用無方向性電磁鋼板。
  2. 【請求項2】 重量%で、C:0.01%以下、Si:3.5 %
    以下、Mn:2.0 %以下、S:0.01%以下、酸可溶Al:3.
    0 %以下、P:0.005 %以上0.1 %以下、N:0.0053%
    以下、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼組成を有
    する鋼片を、1300℃以下の温度に加熱して熱間圧延を行
    った後、該熱間圧延を行ったまま、あるいは600 〜1000
    ℃の温度で熱延板焼鈍を行ってから、ロール粗度が平均
    粗さRaで1.5 μm以下である仕上最終パスロールを用い
    て、冷間圧延を1回行うか、または中間焼鈍をはさんで
    冷間圧延を2回以上行い、700 〜1100℃の温度での連続
    仕上焼鈍を行うことを特徴とするパワーステアリングモ
    ータ用無方向性電磁鋼板の製造法。
  3. 【請求項3】 前記仕上焼鈍を行った後に、有機表面コ
    ーティングまたは、有機および無機の複合表面コーティ
    ングを鋼板表面に形成する請求項2に記載されたパワー
    ステアリングモータ用無方向性電磁鋼板の製造法。
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