JP2003113451A - 電動パワーステアリングモータ用の無方向性電磁鋼板およびその製造方法 - Google Patents

電動パワーステアリングモータ用の無方向性電磁鋼板およびその製造方法

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JP2003113451A JP2001309318A JP2001309318A JP2003113451A JP 2003113451 A JP2003113451 A JP 2003113451A JP 2001309318 A JP2001309318 A JP 2001309318A JP 2001309318 A JP2001309318 A JP 2001309318A JP 2003113451 A JP2003113451 A JP 2003113451A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 高調波重畳時の鉄損劣化が少なく、かつ磁気
異方性が小さい、従ってトルク脈動が小さい、電動パワ
ーステアリングモータ用コア材料として好適な無方向性
電磁鋼板を提供する。 【解決手段】 C≦0.005 %, Si:2.0 〜4.0 %, Al:
0.15〜2.0 %, Mn:0.05〜1.0 %, P:0.01〜0.2 %,
S≦0.005 %,N≦0.005 %を含み、残部はFe及び不可
避的不純物の組成とし、さらに製品板試料の圧延方向、
圧延直角方向及び圧延方向に対して45°をなす方向の磁
化力H=2000 A/mにおける磁束密度を、それぞれB
20(L), B20(C), B20(D) とした時、これらについて
次式(1), (2) 〔B20(L) +B20(C) +2×B20(D) 〕/4≧ 1.55 (T) --- (1) B20(D) ≧ 0.96 ×〔B20(L) +B20(C) 〕/2 --- (2) の関係を満足させ、かつ磁束密度:1.5 T、周波数:50
Hzの正弦波で、製品板試料のL方向, C方向およびD方
向に磁化した時の鉄損を、それぞれW15/50(L),W15/50
(C), W15/50(D)とした時、これらについて次式(3) W15/50(D)≦1.10×〔W15/50(L)+W15/50(C)〕/2 --- (3) の関係を満足させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低回転でかつ高ト
ルクが要求されるモータ、例えば高電圧バッテリー(42
V以上)を有する車両に積載される電動パワーステアリ
ング用モータの鉄心素材に用いて好適な、高調波重畳時
の鉄損劣化が少なく、かつ磁気異方性が小さい無方向性
電磁鋼板およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、自動車においては、大衆車クラス
で20個弱、高級車クラスでは50個以上のモータが使われ
ており、今後もその使用数は増加する傾向にある。自動
車用モータに求められる特性は、 (1)低騒音、(2) 小型
・軽量、(3) 高応答・高分解能、(4) 低コストなどであ
るが、モータを構成するコアやステータ素材について
は、通常、コスト重視の観点からSPCC(JIS G 3141
に定められている一般用冷延鋼板)クラスの冷延鋼板が
用いられている。
【0003】ところで, 自動車の電源システムには、現
在14V系が使われているが、搭載されるエレクトロニク
ス機器が増大し、また制御においても機械的制御から電
気的制御へと変化しているため、14Vの電源システムで
は出力不足になりつつある。しかしながら、上記の問題
は、14Vよりも高い電圧の電気系統を導入することによ
って解決することができる。その候補として挙がってい
るのが42V系で、現在、アメリカ、ヨーロッパおよび日
本など世界各地で、その研究・開発が進められている。
【0004】なお、ガソリンエンジンとモーターを組み
合わせた動力源で、電気自動車のような外部充電を必要
としない、低燃費で環境問題に対応したハイブリッド自
動車であるトヨタのプリウス(登録商標)のモータ入力
電圧は 288V、ホンダのインサイト(登録商標)のモー
タ入力は 144Vであるが、42V系の電源を用いれば簡易
ハイブリッド車の製造が可能であり、環境問題への対応
からも、その動きが生じつつある。
【0005】一方、バッテリーの高電圧化に対応して、
自動車のパワーステアリングシステムを電動化すること
が検討されている。従来のパワーステアリングシステム
では、エンジンの動力を利用した油圧ポンプによって操
舵が補助されていたが、この場合には、油圧ポンプは常
に駆動されているため、操舵時以外にもエネルギーが消
費され、その分エンジンの燃費の悪化を招くという問題
があった。このような無駄を解消するために、モータに
よって操舵を補助する電動パワーステアリングシステム
の開発が進められている。このシステムでは、コーナリ
ング時等の操舵補助が必要な時にのみモータに電流を流
してパワーをアシストすれば良いため, 油圧システムに
比べると燃費が2〜3%程度向上する。
【0006】なお、軽自動車や小型車の一部では、電動
パワーステアリングシステムが既に採用されているが、
中型車や大型車では普及しておらず、実用化には至って
いない。その理由は、中型車や大型車では、モータによ
り高トルクが要求されるため、従来の14V系の電源シス
テムでは充分な出力を得ることが難しかったからであ
る。
【0007】上述したとおり、電動パワーステアリング
システムでは、小型で、かつ低回転・高トルク特性を有
するモータが必要とされるため、永久磁石を使用するP
Mモータやスイッチトリラクタンスモータ(SRM)等
の使用が検討されている。例えば、低回転・高トルクが
要求されるモータに使用して好適な鋼板として、特開20
01−64756 号公報には、鋼板中のTi量を 20ppm以下にし
てヒステリシス損を低減させる技術が開示されている。
また、特開2001−73095 号公報には鋼板を再結晶焼鈍後
に調質圧延することにより、特開2000−73096 号公報に
は鋼板の表面粗度を一定範囲に調整することにより、電
動パワーステアリング用モータに好適な鋼板を提供する
技術がそれぞれ開示されている。さらに、特開2001−12
3252号公報には、鋼板の結晶粒径と内部酸化層厚みを制
御することによって、電動パワーステアリング用モータ
に好適な鋼板を提供する技術が開示されている。
【0008】上記した技術により、モータのトルクロス
の低減や効率の上昇は達成されたものの、パワーステア
リングに要求される操舵時の滑らかさは、依然、従来の
油圧ポンプを用いた場合に比べて劣っていた。滑らかさ
を達成するためには、モータのトルク脈動(コギングト
ルクやリプルトルク)を低減することが必要である。こ
れにより、モータ回転時のムラを抑制でき、操舵時の滑
らかさを向上させることができる。また、特にSRMを
使用する場合には、騒音の低減も必要であるが、トルク
脈動の低減が騒音の抑制にも有効に作用する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の現状
に鑑み開発されたもので、トルク脈動が小さく、電動パ
ワーステアリングモータ用コア材料として優れた特性を
有する無方向性電磁鋼板を、その有利な製造方法と共に
提案することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】さて、発明者らは、上記
の目的を達成すべく、トルク脈動に及ぼす素材鋼板の磁
気特性の影響を詳細に検討した。その結果、トルク脈動
の低減には、鋼板の磁気異方性を低減することが有効で
あるとの知見を得た。
【0011】また、小型モータは比較的高回転で使用さ
れることが多く、その場合には、励磁磁束密度波形が歪
んで高調波成分を含むようになるため、モータ効率の良
否の目安となる磁気特性を、従来の標準的な50/60Hzで
のエプスタインサイズ試料の鉄損値で評価することは不
適切であり、例えば磁束密度:1.0 T,周波数:400Hz
での鉄損W10/400で表す方が好ましいと、最近報告され
ている。しかしながら、電動パワーステアリング用モー
タは比較的低回転で使用されるために、高次高調波の影
響は少なく、低次高調波の影響が多いと推定される。
【0012】さらに, 実際のモータでの鉄損を考えるに
は、高調波の重畳による鉄損劣化や二次元での回転鉄損
を考慮する必要があることが従来から知られている。そ
こで、低次(5,7次)高調波が鉄損に及ぼす影響を調
査した結果、素材Si量を 2.0mass%以上にすると、高調
波重畳時の回転鉄損の劣化量が少なくなり、モータ特性
の向上につながることが見出された。本発明は、上記の
知見に立脚するものである。
【0013】すなわち、本発明の要旨構成は次のとおり
である。 1.質量%で、C≦0.005 %, Si:2.0 〜4.0 %, Al:
0.15〜2.0 %, Mn:0.05〜1.0 %, P:0.01〜0.2 %,
S≦0.005 %およびN≦0.005 %を含有し、残部はFeお
よび不可避的不純物の組成になり、さらに製品板試料の
圧延方向(L方向)、圧延直角方向(C方向)および圧
延方向に対して45°をなす方向(D方向)の磁化力H=
2000 A/mにおける磁束密度を、それぞれB20(L), B20
(C), B20(D) とした時、これらが次式(1), (2) 〔B20(L) +B20(C) +2×B20(D) 〕/4≧ 1.55 (T) --- (1) B20(D) ≧ 0.96 ×〔B20(L) +B20(C) 〕/2 --- (2) の関係を満足し、かつ磁束密度:1.5 (T)、周波数:
50Hzの正弦波で、製品板試料のL方向, C方向およびD
方向に磁化した時の鉄損を、それぞれW15/50(L), W
15/50(C), W15/50(D)とした時、これらが次式(3) W15/50(D)≦1.10×〔W15/50(L)+W15/50(C)〕/2 --- (3) の関係を満足することを特徴とする、高調波重畳時の鉄
損劣化が少なく、かつ磁気異方性が小さい無方向性電磁
鋼板。
【0014】2.鋼板が、さらに質量%で、Sb:0.005
〜0.1 %, Sn:0.01〜0.5 %, Cu:0.02〜0.5 %および
Ni:0.1 〜3.0 %のうちから選んだ1種または2種以上
を含有する組成になることを特徴とする上記1記載の無
方向性電磁鋼板。
【0015】3.高電圧バッテリー(42V以上)を有す
る車両のパワーステアリング用モータの鉄心用素材とし
て用いることを特徴とする上記1または請求項2記載の
無方向性電磁鋼板。
【0016】4.質量%で、C≦0.005 %, Si:2.0 〜
4.0 %, Al:0.15〜2.0 %, Mn:0.05〜1.0 %, P:0.
01〜0.2 %, S≦0.005 %およびN≦0.005 %を含有
し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋼スラ
ブを、熱間圧延後、熱延板焼鈍を施したのちまたは施さ
ずに、圧下率:60〜85%で冷間圧延を施して最終板厚に
仕上げ、ついで 500〜800 ℃間の平均昇温速度:20℃/s
以上, 鋼板に対する付与張力:2 MPa以下、焼鈍温度:
850 〜1050℃の条件で再結晶焼鈍を施したのち、冷却速
度:25℃/s以下で冷却することを特徴とする、高調波重
畳時の鉄損劣化が少なく、かつ磁気異方性が小さい無方
向性電磁鋼板の製造方法。
【0017】5.鋼スラブが、さらに質量%で、Sb:0.
005 〜0.1 %, Sn:0.01〜0.5 %, Cu:0.02〜0.5 %お
よびNi:0.1 〜3.0 %のうちから選んだ1種または2種
以上を含有する組成になることを特徴とする上記4記載
の無方向性電磁鋼板の製造方法。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的に説明す
る。まず、本発明の解明経緯について説明する。石田ら
の研究では、ブラシレスDCモータのステータコア・テ
ィース部の誘導起電力波形を測定したところ、基本波
(正弦波) に5次から7次の高調波に対応する強いパル
スが重畳していて、そのために, モータの最大効率は50
Hzでの鉄損ではなく、それより高い周波数(例えば 400
Hz)での鉄損と強い相関を示したと報告されている(In
fluence of Core Material on Performance of Brushle
ssDCMotor〔SMIC'99 東京〕) 。
【0019】また、西岡らの研究では、三相誘導電動機
・ティース部の磁束密度波形には、16, 18次の高調波成
分が含まれていて、それらが鉄損に与える影響は大きい
と報告されている(三相誘導電動機の鉄損解析〔電気学
会マグネティックス研究会資料MAG-00-121〕)。
【0020】そこで、高調波の重畳が交番磁界下の鉄損
に及ぼす影響を調べるために、表1に示す成分組成の無
方向性電磁鋼板を、表2に示す条件に従って基本波(正
弦波) に5次から19次の高調波を重畳させ、その際の鉄
損変化について調査した。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】得られた結果を図1に示す。同図に示した
とおり、一次電圧波形での重畳率を一定にした場合、高
調波次数が低いほど鉄損劣化量は大きく、また成分中の
Si量が多い素材ほど鉄損劣化量は少ないことが判る。
【0024】次に、発明者らは、従来, あまり報告例が
ない回転鉄損に及ぼす高調波重畳の影響についても調査
を行った。測定結果を図2に示す。同図に示したとお
り、5,7次の高調波が重畳した場合の鉄損劣化量は、
図1に示した交番磁界下の鉄損劣化量よりかなり小さい
ことが判る。この場合も成分中のSi量が多い素材ほど鉄
損劣化量は少なく、高調波重畳時の鉄損劣化を抑えるに
は、素材成分中のSi量は多い方が望ましいといえる。特
に、Si量が3.05mass%と高い素材Cでは、5次高調波重
畳時の鉄損劣化は極めて少なかった。
【0025】さらに、高調波の重畳無しの場合と5次高
調波重畳時の場合における磁束密度ベクトルの軌跡につ
いて調べた結果を、図3に示す。この場合、L,C方向
の磁束密度は重畳無しの時より増大するが、D方向の磁
束密度は低くなることが判る。このことも、5次高調波
重畳時の回転鉄損の劣化量が、交番磁界下の5次高調波
重畳時の鉄損劣化量よりも小さかった原因の一つと考え
られる。それ故に、高調波重畳時の回転鉄損の劣化量
は、L,C方向とD方向の鉄損の違いの影響を受けると
推定できる。一般に、D方向の鉄損はL,C方向の鉄損
に比べて劣っている。この原因の一つは、D方向の集合
組織がL,C方向の集合組織より劣っていて、その磁束
密度が低いことにある。そこで, D方向とL,C方向の
鉄損にも着目して、以下に述べる実験を行った。
【0026】質量%で、C≦0.005 %, Si:0.5 〜3.5
%, Al:0.15〜2.0 %, Mn:0.05〜1.0 %, P:0.01〜
0.2 %, S≦0.005 %およびN≦0.005 %を含有し、残
部はFeおよび不可避的不純物の組成範囲にある無方向性
電磁鋼板の製品板を多数用意し、かかる製品板のL,
C,D方向から試料を採取し、磁束密度:1.5 (T)、
周波数:50Hzの交番磁界下における鉄損W15/50(L), W
15/50(C), W15/50(D)を測定した。また、 500WのPM
モータを試作してそのモータ効率を測定した。得られた
結果を、W15/50(L), W15/50(C), W15/50(D)を変数と
する X=W15/50(D)/{〔W15/50(L)+W15/50(C)〕/2} という指標Xと素材中のSi量との関係で整理したとこ
ろ、図4に示す結果が得られた。
【0027】すなわち、多くの場合、素材中のSi量が
2.0mass%以上で、かつX≦1.10の時に、モータ効率は9
2%以上の高い値が得られることが判った。しかしなが
ら、上記の条件を満たす場合でも、モータ効率が低い場
合があるので、それらの素材の磁気特性をL,C,D方
向にて調べたところ、D方向の磁束密度B20(D) が, L
方向の磁束密度B20(L) とC方向の磁束密度B20(C) の
平均値の96%未満であり, D方向の磁束密度が、L,C
方向の磁束密度の平均値より相当劣ってることが判明し
た。
【0028】以上から、低次(5,7次)高調波による
鉄損劣化を抑制してモータ効率を向上させるには、素材
中のSi量を 2.0mass%以上にし、かつ磁束密度:1.5
(T)、周波数:50Hzの正弦波で、試料のL方向, C方
向およびD方向に磁化した時の鉄損W15/50(L), W
15/50(C), W15/50(D)が W15/50(D)≦1.10×〔W15/50(L)+W15/50(C)〕/2 --- (3) の関係を満たし、かつ、試料のL方向、C方向およびD
方向の磁化力H=2000 A/mにおける磁束密度B20(L),
20(C), B20(D) が B20(D) ≧ 0.96 ×〔B20(L) +B20(C) 〕/2 --- (2) の関係を満たす電磁鋼板を使用する必要があることが判
明した。
【0029】なお、自動車の電源を14Vから42Vに移行
したときの電装品・小型モータへの影響については、次
のような推測が成り立つ。すなわち、モータに要求され
る出力(P)は一定と考えられるので、P=V(電圧)
×I(電流)の関係から電圧が3倍になれば、電流は従
来の1/3 で十分である。しかしながら、モータで発生す
る磁界(H)は、H=n(巻き数)×I(電流)である
ため、電流が1/3 になると同じ強さの磁界を発生させる
には巻き線数を3倍にする必要がある。巻き線数の増加
は、コストアップやモータ銅損の増大につながる。巻き
線数をさほど増やさずに、必要とする磁場を満たすため
には永久磁石を使用することが考えられるが、永久磁石
の使用は大幅なコストアップとなる。また、巻き線数お
よび電流値を従来並にしたのでは、電源の高電圧化のメ
リットは充分には得られないことになる。
【0030】これらを回避するための別手段として、鉄
心材料の磁束密度をアップする方法が挙げられる。これ
により、従来よりモータで発生する磁界(H)が低くて
も高い磁束密度を確保できるので、巻き線数をさほど増
やさずにコイルに流す電流を小さくでき、電源の高電圧
化のメリットが充分に享受できることになる。これは、
モータの動作条件の主範囲が鋼板の飽和磁束密度に近い
値まで磁化される磁場領域ではなく、比較的低磁場領域
である場合に特に有効である。無方向性電磁鋼板の磁束
密度を示す特性は、従来、磁化力H=5000(A/m) の時の
磁束密度(B50) で表されることが多いが、発明者ら
は、上述した点を考慮して、比較的低い磁化力H=2000
(A/m) の時の磁束密度(B20) に着目して検討を行っ
た。すなわち、低磁化力である程度磁束密度の高い電磁
鋼板を提供することができれば、特に自動車バッテリー
の高電圧化に対応するモータの場合、モータの巻き線数
および電流値設定の自由度が増し、モータ設計における
フレキシビリティが増す利点があり、広い磁化力の範囲
で高い磁束密度が得られるので、モータ効率が高くなる
メリットがあると考えたからである。上記の検討を基
に、発明者らは、モータのトルク脈動に及ぼす鋼板の磁
気異方性の影響について調査した。
【0031】質量%で、C≦0.005 %, Si≧2.0 %, A
l:0.15〜2.0 %, Mn:0.05〜1.0 %, P:0.01〜0.2
%, S≦0.005 %, N≦0.005 %を含有し、残部はFeお
よび不可避的不純物の組成範囲にある無方向性電磁鋼板
の製品板を多数用意し、L,C,D方向から試料を採取
して、磁気特性を調査した。その後、磁束密度:1.5
(T)、周波数:50Hzの正弦波で、試料のL方向、C方
向およびD方向に磁化した時の鉄損W15/50(L), W
15/50(C), W15/50(D)が W15/50(D)≦1.10×〔W15/50(L)+W15/50(C)〕/2 --- (3) の関係を満たす製品板のみを用いて、 500 WのSRモ
ータを試作してそのトルク脈動を測定した。これらの結
果を、B20(L), B20(C), B20(D) を変数とする Y=〔B20(L) +B20(C) +2×B20(D) 〕/4 Z=B20(D) /{〔B20(L) +B20(C) 〕/2} という2つの指標で整理したところ、図5に示す結果が
得られた。すなわち、Y≧1.55で、かつZ≧0.96の時
に、トルク脈動は 0.5%以下に減少することが判明し
た。
【0032】上記の結果から、素材成分中のSi量が 2.0
mass%以上で、 〔B20(L) +B20(C) +2×B20(D) 〕/4≧ 1.55 (T) --- (1) B20(D) ≧ 0.96 ×〔B20(L) +B20(C) 〕/2 --- (2) W15/50(D)≦1.10×〔W15/50(L)+W15/50(C)〕/2 --- (3) の特性を有する無方向性電磁鋼板を用いれば、トルク脈
動が小さく、高いモータ効率が得られることになる。
【0033】そこで、上記したような特性を有する無方
向性電磁鋼板を得るべく、無方向性電磁鋼板の製造条件
を詳細に調べて、重回帰分析を行ったところ、上記の磁
気特性を満たすには、素材成分、最終冷延圧下率、再結
晶時の昇温速度、鋼板張力、焼鈍温度および冷却速度が
大きく影響し、上記の特性を満足する無方向性電磁鋼板
を安定して収率良く製造するためには、これらの要因を
制御する必要があることが判明した。
【0034】すなわち、質量%で、C≦0.005 %, Si:
2.0 〜4.0 %, Al:0.15〜2.0 %,Mn:0.05〜1.0 %,
P:0.01〜0.2 %, S≦0.005 %およびN≦0.005 %を
含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋼
スラブを、熱間圧延後、熱延板焼鈍を施したのちまたは
施さずに、圧下率:60〜85%で冷間圧延を施して最終板
厚に仕上げ、ついで 500〜800 ℃間の平均昇温速度:20
℃/s以上, 鋼板に対する付与張力:2 MPa以下、焼鈍温
度:850 〜1050℃の条件で再結晶焼鈍を施したのち、冷
却速度:25℃/s以下で冷却することにより、磁気異方性
およびトルク脈動が小さい、モータ効率に優れた無方向
性電磁鋼板が安定して得られることが究明されたのであ
る。
【0035】上記の製造条件によって、上掲した式(1),
(2)および(3) の関係を満足する磁気特性の無方向性電
磁鋼板を製造できる理由は、次のように考えられる。上
記の特性を満足させるためには、得られる集合組織を異
方性の少ない等方的なものにし、かつ(100)や(1
10)方位粒が多い集合組織にする必要がある。これら
の制御因子として、素材成分、最終冷延圧下率、再結晶
時の昇温速度、鋼板張力、焼鈍温度および冷却速度が有
効に作用していると考えられる。
【0036】すなわち、Al≧0.15mass%とする必要があ
るのは、本調査範囲のAl量(Al>0.01mass%)では、Al
量が0.15mass%未満では微細な析出物が生成し易いため
であり、比較的低磁場での磁束密度を高くするために
は, 析出物に起因するヒステリシス損の増大は望ましく
ないからである。また、含有量が多すぎると連続鋳造に
おいてモールドとの潤滑性が低下し鋳造が困難になるの
で、 2.0mass%以下で含有させるものとした。また、S
≦0.005 mass%とする必要があるのは、Sに起因する析
出物の生成量を抑えることでヒステリシス損が低減する
と共に、比較的低磁場での磁束密度を向上させることが
可能となるためである。
【0037】また、最終冷延圧下率が60%未満では、再
結晶焼鈍後に熱延時の未再結晶粒が残存し易くなり、均
一で異方性の少ない集合組織が得られなくなる。一方、
最終冷延圧下率が85%を超えると、再結晶後の集合組織
に(111)が多くなり、高い磁束密度を得ることが難
しくなる。
【0038】さらに、再結晶焼鈍時の昇温速度を20℃/s
以上にすることで、(111)方位粒が減少し、(10
0),(110)方位粒が増加する。また、鋼板張力
を、2MPa以下にすることで、鋼板幅方向(C方向)お
よび45°方向(D方向)の磁気特性が向上する。すなわ
ち、鋼板張力が2 MPaを超えると、鋼板長手方向(L方
向)の磁気特性に比べて幅方向(C方向)および45°方
向(D方向)の磁気特性が大幅に劣化する。さらに、焼
鈍温度を 850〜1050℃にすることで結晶粒の大きさを最
適化することができ、磁気特性の向上に有効に作用す
る。また、再結晶焼鈍後の冷却速度を25℃/sにすること
で、冷却歪みが低減でき、特に45°方向(D方向)の磁
気特性を向上させることができる。
【0039】次に、本発明において, 素材の成分組成を
前記の範囲に限定した理由について説明する。なお、成
分に関する「%」表示は特に断らない限り質量%を意味
するものとする。 C≦0.005 % Cが 0.005%を超えると、磁気特性の時効劣化が顕著に
なるので、Cは 0.005%以下に限定した。
【0040】Si:2.0 〜4.0 % Siは、鋼の比抵抗を高くし鉄損を低下させる有用元素で
ある。そして、低次高調波重畳時の鉄損劣化量を低く
し、モータ効率を向上させるためには、前掲図4にも示
したとおり、 2.0%以上添加する必要がある。ただし、
添加量の増加と共に鋼板の飽和磁束密度は低下する。ま
た、本発明では、トルク脈動を低減するために磁化力H
=2000 A/mで、一定値以上の磁束密度を得る必要がある
ために、Si量の上限は 4.0%とした。
【0041】Al:0.15〜2.0 % Alは、Siと同様、鋼の比抵抗を高め鉄損を低減させる有
用元素である。ここに、Al≧0.15%とする必要があるの
は、本調査範囲のAl量(Al>0.01%)では、Al量が0.15
%未満では微細な析出物が生成し易いためであり、比較
的低磁場での磁束密度を高くするためには、析出物に起
因するヒステリシス損の増大は望ましくないからであ
る。また、含有量が多すぎると連続鋳造においてモール
ドとの潤滑性が低下し鋳造が困難になるので、 2.0%以
下で含有させるものとした。
【0042】Mn:0.05〜1.0 % Mnも、SiやAlほどではないが, 鋼の比抵抗を高め、鉄損
を低減させる効果がある。また、熱間圧延性を改善し、
かつ熱延時にSを固定するために必要な元素でもある。
しかしながら、含有量が0.05%に満たないとその添加効
果に乏しく、一方 1.0%を超えると飽和磁束密度の低下
が顕著になるため、Mnは0.05〜1.0 %の範囲に限定し
た。
【0043】P:0.01〜0.2 % Pは、粒界偏析により冷延再結晶後の集合組織を改善し
て磁束密度を向上させる有用元素である。しかしなが
ら、過度の粒界偏析は粒成長性を阻害し鉄損を劣化させ
るので、上限は 0.2%とした。また、鋼板の強度を得る
ための必要量とした、下限は0.01%とした。
【0044】S≦0.005 % 不純物の中でも特にSは、析出物・介在物を形成して粒
成長性を阻害するので、極力低減することが望ましい。
特に含有量が 0.005%を超えると低磁場での磁束密度に
影響し、それを低下させる方向に作用するので、Sは
0.005%以下に制限した。
【0045】N≦0.005 % Nは、0.005 %を超えるとヒステリシス損を増大させ、
また低磁場での磁束密度を低下させる方向に作用するの
で、Nは 0.005%以下に制限した。
【0046】以上、必須成分について説明したが、本発
明では、その他にも以下に述べる元素を適宜含有させる
ことができる。 Sb:0.005 〜0.1 % Sbは、集合組織を改善して磁束密度を向上させるだけで
なく、鋼板表層の酸窒化やそれに伴う表層微細粒の生成
を抑制することによって磁気特性の劣化を防止すると共
に、表面硬度の上昇を抑制して打ち抜き加工性を向上さ
せる等、種々の作用効果を有する元素である。しかしな
がら、含有量が 0.005%に満たないとその添加効果に乏
しく、一方 0.1%を超えると結晶粒の成長性が阻害され
て磁気特性の劣化を招くので、Sbは 0.005〜0.1 %の範
囲で含有させるものとした。
【0047】Sn:0.01〜0.5 % Snも、Sbと同様の添加効果を有する元素であるが、含有
量が0.01%に満たないとその添加効果に乏しく、一方
0.5%を超えると結晶粒の成長性が阻害され、磁気特性
の劣化を招くので、Snは0.01〜0.5 %の範囲で含有させ
るものとした。
【0048】Cu:0.02〜0.5 % Cuは、鋼板表層の酸窒化を抑制することによって、磁気
特性の劣化を抑制する作用効果を有する元素である。し
かしながら、含有量が0.02%に満たないとその添加効果
に乏しく、一方 0.5%を超えると結晶粒の成長性が阻害
され、磁気特性の劣化を招くので, Cuは0.02〜0.5 %の
範囲で含有させるものとした。
【0049】Ni:0.1 〜3.0 % Niは、集合組織を改善して磁束密度を向上させる作用効
果を有する元素である。しかしながら、含有量が 0.1%
に満たないとその添加効果に乏しく、一方 3.0%を超え
て添加してもそれ以上の効果に少なく、むしろ圧延性の
劣化を招くので、Niは 0.1〜3.0 %の範囲で含有させる
ものしとた。
【0050】次に、本発明の製造方法について説明す
る。上記の好適成分組成に調整した溶鋼を、転炉、電気
炉などを用いる公知の方法で精錬し、必要があれば真空
処理などを施したのち、通常の造塊法や連続鋳造法を用
いてスラブを製造する。また、直接鋳造法を用いて 100
mm以下の厚さの薄鋳片を直接製造してもよい。
【0051】得られたスラブを、通常の方法で加熱した
のち、熱間圧延に供する。熱間圧延時の仕上げ圧延温度
や巻取り温度等の熱延条件は特に規定しないが、省エネ
ルギーの面からスラブ加熱は1250℃以下で行うことが望
ましい。ただし、最終仕上げ板厚を考慮して, 最終冷延
圧下率が60〜85%になるように熱延板の板厚を制御する
必要がある。たとえば、最終仕上げ板厚が0.35mmの場
合、熱延板の許容板厚は0.875mm 以上、2.33mm以下であ
る。また、最終板厚が 0.2mmの場合、熱延板の許容板厚
は0.5mm 以上、1.33mm以下である。ついで、熱延板焼鈍
を施し、または施さずに、上記範囲の圧下率で最終板厚
まで冷間圧延する。ここに、最終冷延における圧下率を
60〜85%の範囲にしたのは、圧下率が60%に満たない
と、再結晶焼鈍後に熱延時の未再結晶粒が残存し易くな
り、均一で異方性の少ない集合組織が得られなくなり、
一方、圧下率が85%を超えると、再結晶後の集合組織に
(111)が多くなり、高い磁束密度を得ることが難し
くなるからである。
【0052】その後 500〜800 ℃間の平均昇温速度を20
℃/s以上、鋼板張力を2MPa 以下にして、 850〜1050℃
の温度範囲で再結晶焼鈍を行ったのち、冷却速度:25℃
/s以下で冷却することで、本発明の鋼板を得ることがで
きる。ここに、再結晶焼鈍時における 500〜800 ℃間の
平均昇温速度を20℃/s以上としたのは、平均昇温速度を
20℃/s以上にすることによって、(111)方位粒が減
少し、(100),(110)方位粒が増加するからで
ある。また、鋼板張力を2 MPa以下としたのは、鋼板張
力を2 MPa以下とすることによって、鋼板幅方向(C方
向)および45°方向(D方向)の磁気特性が向上するか
らである。この点、鋼板張力が2 MPaを超えると、鋼板
長手方向(L方向)の磁気特性に比べて幅方向(C方
向)および45°方向(D方向)の磁気特性の大幅な劣化
を招く。さらに、焼鈍温度を 850〜1050℃とし、かつそ
の後の冷却速度を25℃/s以下としたのは、焼鈍温度を 8
50〜1050℃とすることによって結晶粒の大きさを最適化
することができ、磁気特性の向上に有効に寄与するから
であり、また、再結晶焼鈍後の冷却速度を25℃/sにする
ことで、冷却歪みが低減でき、特に45°方向(D方向)
の磁気特性を向上させることができるからである。な
お、上記の再結晶焼鈍に引き続いて、既知のコーティン
グ処理を行っても良いのはいうまでもない。
【0053】
【実施例】実施例1 表3に示す成分組成になる鋼スラブを用意し、ガス加熱
炉により1100℃に加熱したのち、熱間圧延により板厚:
0.8 〜3.0 mmの熱延板とした。ついで、この熱延板を1
回の冷間圧延にて最終板厚:0.35mmに仕上げたのち、 5
00〜800 ℃間の平均昇温速度、鋼板に対する付与張力お
よび焼鈍温度を表4に示すように種々に変更して、30秒
の再結晶焼鈍(仕上げ焼鈍)を行ったのち、同じく表4
に示す冷却速度で冷却した。かくして得られた製品板か
ら、圧延方向(L方向),圧延直角方向(C方向)およ
び圧延方向に対して45°をなす方向(D方向)のエプス
タイン試験片を採取し、磁気特性を測定した。さらに、
700WのPMモータを試作してそのトルク脈動を測定し
た。なお、トルク脈動が 0.5%以下であれば、これらの
特性はそれぞれ良好といえる。かくして得られた結果を
表5に示す。
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【0056】
【表5】
【0057】表5から明らかなように、素材特性が本発
明で規定した関係を満足する発明例はいずれも、良好な
トルク脈動が得られている。
【0058】実施例2 表6に示す成分組成になる鋼スラブを、ガス加熱炉によ
り1100℃に加熱したのち、熱間圧延により 2.0mm厚の熱
延板とした。引き続き、1000℃,30秒の熱延板焼鈍後、
1回の冷間圧延にて最終板厚:0.35mmに仕上げた。つい
で 500〜800 ℃間の平均昇温速度、鋼板に対する付与張
力および焼鈍温度を表7に示すように種々に変更して、
30秒の再結晶焼鈍(仕上げ焼鈍)を行ったのち、同じく
表7に示す冷却速度で冷却した。かくして得られた製品
板から、圧延方向(L方向)、圧延直角方向(C方向)
および圧延方向に対して45°をなす方向(D方向)のエ
プスタイン試験片を採取し、磁気特性を測定した。さら
に、 700WのPMモータを試作してそのトルク脈動を測
定した。かくして得られた結果を表8に示す。
【0059】
【表6】
【0060】
【表7】
【0061】
【表8】
【0062】表8から明らかなように、素材特性が本発
明で規定した関係を満足する発明例はいずれも、良好な
トルク脈動が得られている。
【0063】
【発明の効果】かくして、本発明によれば、高調波重畳
時の鉄損劣化が少なく、かつ磁気異方性が小さい無方向
性電磁鋼板を安定して得ることができる。従って、本発
明の無方向性電磁鋼板を用いれば、トルク脈動が小さ
い、優れた特性を有する電動パワーステアリング用モー
タを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 交番磁界下において、高調波の重畳が鉄損に
及ぼす影響を示す図である。
【図2】 回転鉄損に及ぼす高調波重畳の影響を示す図
である。
【図3】 高調波の重畳がない場合および5次高調波重
畳時の場合における回転磁界・磁束密度ベクトルの軌跡
を示す図である。
【図4】 素材中のSi量および製品板の磁気特性(X=
15/50(D)/{〔W15/5 0(L)+W15/50(C)〕/2}とモ
ータ効率との関係を示す図である。
【図5】 製品板の磁気特性(Y=〔B20(L) +B
20(C) +2×B20(D) 〕/4およびZ=B20(D) /
{〔B20(L) +B20(C) 〕/2})とトルク脈動との関
係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01F 1/16 H01F 1/16 A (72)発明者 本田 厚人 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 Fターム(参考) 4K033 CA01 CA02 CA03 CA08 HA04 KA01 KA02 RA03 SA01 TA05 5E041 AA02 AA19 CA04 HB11 NN06 NN13 NN15 NN18

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 質量%で、C≦0.005 %, Si:2.0 〜4.
    0 %, Al:0.15〜2.0 %, Mn:0.05〜1.0 %, P:0.01
    〜0.2 %, S≦0.005 %およびN≦0.005 %を含有し、
    残部はFeおよび不可避的不純物の組成になり、さらに製
    品板試料の圧延方向(L方向)、圧延直角方向(C方
    向)および圧延方向に対して45°をなす方向(D方向)
    の磁化力H=2000 A/mにおける磁束密度を、それぞれB
    20(L), B20(C), B20(D) とした時、これらが次式
    (1), (2) 〔B20(L) +B20(C) +2×B20(D) 〕/4≧ 1.55 (T) --- (1) B20(D) ≧ 0.96 ×〔B20(L) +B20(C) 〕/2 --- (2) の関係を満足し、かつ磁束密度:1.5 (T)、周波数:
    50Hzの正弦波で、製品板試料のL方向, C方向およびD
    方向に磁化した時の鉄損を、それぞれW15/50(L), W
    15/50(C), W15/50(D)とした時、これらが次式(3) W15/50(D)≦1.10×〔W15/50(L)+W15/50(C)〕/2 --- (3) の関係を満足することを特徴とする、電動パワーステア
    リングモータ用の無方向性電磁鋼板およびその製造方
    法。
  2. 【請求項2】 鋼板が、さらに質量%で、Sb:0.005 〜
    0.1 %, Sn:0.01〜0.5%, Cu:0.02〜0.5 %およびN
    i:0.1 〜3.0 %のうちから選んだ1種または2種以上
    を含有する組成になることを特徴とする請求項1記載の
    無方向性電磁鋼板。
  3. 【請求項3】 高電圧バッテリー(42V以上)を有する
    車両のパワーステアリング用モータの鉄心用素材として
    用いることを特徴とする請求項1または請求項2記載の
    無方向性電磁鋼板。
  4. 【請求項4】 質量%で、C≦0.005 %, Si:2.0 〜4.
    0 %, Al:0.15〜2.0 %, Mn:0.05〜1.0 %, P:0.01
    〜0.2 %, S≦0.005 %およびN≦0.005 %を含有し、
    残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋼スラブ
    を、熱間圧延後、熱延板焼鈍を施したのちまたは施さず
    に、圧下率:60〜85%で冷間圧延を施して最終板厚に仕
    上げ、ついで 500〜800 ℃間の平均昇温速度:20℃/s以
    上, 鋼板に対する付与張力:2 MPa以下、焼鈍温度:85
    0 〜1050℃の条件で再結晶焼鈍を施したのち、冷却速
    度:25℃/s以下で冷却することを特徴とする、電動パワ
    ーステアリングモータ用の無方向性電磁鋼板の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 鋼スラブが、さらに質量%で、Sb:0.00
    5 〜0.1 %, Sn:0.01〜0.5 %, Cu:0.02〜0.5 %およ
    びNi:0.1 〜3.0 %のうちから選んだ1種または2種以
    上を含有する組成になることを特徴とする請求項4記載
    の無方向性電磁鋼板の製造方法。
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