JP2005129806A - 抵抗体ペースト及び厚膜抵抗体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高い抵抗値と、抵抗値のバラツキ(C.V.値)、温度特性(TCR)、耐電圧特性(STOL)等の特性を両立する。
【解決手段】 少なくとも実質的に鉛を含まないガラス組成物及び実質的に鉛を含まない導電材料を含有し、これらが有機ビヒクルと混合されてなる抵抗体ペーストである。導電材料の平均粒径は、5μm以上、50μm以下である。また、導電材料において、粒径0.1μm以下の粒子の割合は10%以下である。導電材料としては、例えば、CaRuO3、SrRuO3、BaRuO3を用いる。形成される抵抗体において、導電材料の反応割合が15%以上、80%以下である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、抵抗体ペースト及び厚膜抵抗体に関するものであり、特に、鉛フリーで高抵抗値を有する抵抗体ペースト及び厚膜抵抗体に関する。
ガラスや導電材料を含む抵抗体ペーストを基板上に塗布し焼成することによって形成される厚膜抵抗体においては、通常、導電材料として酸化ルテニウム(RuO2)等が用いられ、ガラスとしてPbO系ガラスが用いられている。ガラスは、導電材料及び基板との結着剤としての機能を果たし、また導電材料とガラスの比率によって抵抗値調整が可能である。
近年、環境問題が盛んに議論されてきており、例えば半田材料等においては、鉛を除外することが求められている。厚膜抵抗体も例外ではなく、したがって、環境に配慮した場合、PbO系ガラスの使用は避けなければならない。このような状況から、鉛を含有した抵抗体ペーストを用いることは望ましくなく、鉛フリーの厚膜抵抗体ペーストについての研究がなされている(例えば、特許文献1〜特許文献5等を参照)。
一方、例えば、10kΩ/□以上の高抵抗を有する厚膜抵抗体の場合、導電材料として抵抗率の低いRuO2を用いると、その添加量を大幅に減らす必要があり、僅かな添加量の変動が抵抗値の大きな変動に繋がり、抵抗値調整が難しくなる。そこで、このような高抵抗を有する厚膜抵抗体には、通常、抵抗率の高い鉛ルテニウムの複合酸化物、例えばPb2Ru26が導電材料として用いられている。抵抗率の高いPb2Ru26を導電材料として用いることで、高抵抗の厚膜抵抗体を得ることは比較的容易である。
しかしながら、先にも述べたように、環境に配慮した場合、PbO系ガラスは勿論のこと、導電材料についても鉛を含む材料の使用は避けなければならず、Pb2Ru26に代わる導電材料が必要になっている。
上記Pb2Ru26と同程度の抵抗率を持つ導電材料としては、SrRuO3、BaRuO3、CaRuO3等の複合酸化物が挙げられる。しかしながら、これらの複合酸化物を導電材料として使用した場合、焼成中にガラス組成物と反応し、RuO2へと分解してしまうため、高い抵抗値を得るためには、導電材料の量を少なくしなければならず、抵抗値のバラツキ(C.V.値)、温度特性(TCR)、耐電圧特性(STOL)等の特性を両立した抵抗体を得ることは困難である。
前記複合酸化物のガラスとの反応による分解を抑えるためには、Ruイオンのガラスに対する溶解度を小さくすればよいものと考えられ、そのためには予めガラスをRuで飽和させておけばよいものと考えられる。このような観点から、本願出願人は、特許文献6において、ガラス組成物に、導電性を与えるための金属元素を含む第1の導電性材料(RuO2)をあらかじめ溶解させてガラス材料を得る工程を備えた抵抗体ペーストの製造方法を既に提案している。
特開平8−253342号公報 特開平10−224004号公報 特開2001−196201号公報 特開平11−251105号公報 特許第3019136号公報 特開2003−7517号公報
しかしながら、予めガラス材料に導電材料を溶解させるためには、そのための工程を増やす必要があり、生産性や製造コスト等の点で不利である。また、ガラスを形成する酸化物とRuO2とを混合し、溶融、急冷して厚膜抵抗体用ガラスを作製しても、必ずしも十分に、且つ安定に高抵抗化することができないということがわかってきた。これは、製造条件等によっては添加したRuO2の全量がガラス化せず、その結果、一部RuO2が結晶状態のまま残存することによるものと推測される。先にも述べた通り、RuO2は抵抗率が低く、結晶状態のままガラス中に残存すると、高抵抗化の妨げとなり、実使用上、十分なC.V.値を得ることは難しい。
一方、特許文献1〜特許文献5記載の発明は、Pbフリー抵抗体を得るための発明ではあるが、目的や視点が異なり、高抵抗で、抵抗値のバラツキ(C.V.値)、温度特性(TCR)、耐電圧特性(STOL)等の特性に優れた抵抗体を提供するという観点からは、不十分と言わざるを得ない。
本発明は、このような先行技術の有する課題を解決するために提案されたものである。すなわち、本発明は、10kΩ/□以上の高い抵抗値を有し、抵抗値のバラツキ(C.V.値)、温度特性(TCR)、耐電圧特性(STOL)等の特性にも優れた抵抗体ペースト及び抵抗体を提供することを目的とし、さらには電子部品を提供することを目的とする。また、本発明は、余分な工程を追加する必要がなく、安定に高抵抗化することが可能な抵抗体ペースト及び抵抗体を提供することを目的とし、さらには電子部品を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述の課題を解決することを目的として、長期に亘り種々の研究を重ねてきた。その結果、使用する導電材料の粒径を適正な範囲とし、反応相を除いた導電材料の実質的な粒径を確保することで、前述の問題を解消し得ることを見出すに至った。本発明は、このような知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明の抵抗体ペーストは、少なくとも実質的に鉛を含まないガラス組成物及び実質的に鉛を含まない導電材料を含有し、これらが有機ビヒクルと混合されてなる抵抗体ペーストであって、前記導電材料の平均粒径が5μm以上、50μm以下であることを特徴とする。また、本発明の抵抗体は、前記抵抗体ペーストを塗布、または印刷した後、焼成することによって形成されてなることを特徴とするものであり、本発明の電子部品は、このようにして形成される抵抗体を備えることを特徴とするものである。
本発明は、鉛フリーのガラス材料、及び鉛フリーの導電材料を使用することで、10kΩ/□以上の高い抵抗値を実現するものである。本発明では、導電材料の平均粒径を所定の値にすることで、反応相を除いた導電材料の実質的な粒径を確保し、高抵抗値を実現している。また、抵抗値のバラツキも抑えられ、温度特性(TCR)や耐電圧特性(STOL)等の特性も良好なものとなる。
本発明においては、導電材料の平均粒径を5μm以上、50μm以下としているので、10kΩ/□以上の高い抵抗値を有しながらも、抵抗値のバラツキが小さく、温度特性(TCR)の絶対値が小さく、耐電圧特性(STOL)も良好なものとすることが可能である。また、本発明によれば、余分な工程を追加する必要がないので、生産性や製造コストの点でも有利であり、安定に高抵抗化が可能であるという利点も有する。
以下、本発明を適用した抵抗体ペースト、抵抗体、及び電子部品について詳細に説明する。
本発明の抵抗体ペーストは、ガラス組成物及び導電材料を含み、これらが有機ビヒクルと混合されてなるものである。ここで重要なことは、使用する導電材料の平均粒径を適正な範囲、具体的には5μm以上、50μm以下とすることであり、これにより、高抵抗化と、抵抗値のバラツキ(C.V.値)、温度特性(TCR)、耐電圧特性(STOL)等の特性の両立が可能となる。また、前記導電材料においては、前記平均粒径の他、粒径0.1μm以下の粒子の割合も各特性に影響を及ぼし、粒径0.1μm以下の粒子の割合を10%以下とすることが好ましい。
導電材料としては、必要な抵抗値に応じて任意の材料を選択することができるが、鉛を実質的に含まない鉛フリーで高抵抗値の厚膜抵抗体を得るという目的からは、Pb2Ru26と同程度の抵抗率を持つ導電材料、すなわち、SrRuO3、BaRuO3、CaRuO3から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
一方、ガラス組成物は、特に限定されることはないが、本発明では、環境保全上、やはり鉛を実質的に含まない鉛フリーのガラス組成物を用いる。なお、本発明において、「鉛を実質的に含まない」とは、不純物レベルとは言えない量を越える鉛を含まないことを意味し、不純物レベルの量(例えば、ガラス材料または導電性材料中の含有量が0.05体積%以下程度)であれば含有されていてもよい趣旨である。鉛は、不可避不純物として極微量程度に含有されることがある。
ガラス組成物の原料としては、通常、ガラス形成酸化物とガラス修飾酸化物とを混合して用いるが、ガラス形成酸化物としては、B23、SiO2、P25等を挙げることができ、これらの中から選択される少なくとも1種を用いる。ガラス修飾酸化物としては、Na2O、Li2O、K2O等のアルカリ酸化物や、CaO、SrO、BaO等のアルカリ土類酸化物、Al23、TiO2、ZrO2、TiO2、NiO、ZnO、MnO等の酸化物等を挙げることができ、これらの中から適宜選択して用いればよい。また、酸化物の代わりにCaCO3等の炭酸塩を原料に用いることも可能である。さらに、必要に応じて、その他の金属酸化物を原料酸化物として添加してもよい。この場合、ガラス化し得る範囲内であれば、これらの添加量に制限はない。
前記ガラス組成物においては、その平均粒径を適正に設定することが好ましく、平均粒径が0.5μm以上、10μm以下であることが好ましい。前記平均粒径が0.5μm未満であると、温度特性(TCR)が大きくなる虞れがある。逆に、前記平均粒径が10μmを越えると、抵抗値のバラツキ(C.V.値)が大きくなり、また、温度特性(TCR)も大きくなる虞れがある。
ビヒクルとしては、この種の厚膜抵抗体ペーストに用いられるものがいずれも使用可能であり、例えば、エチルセルロース、ポリビニルブチラール、メタクリル樹脂、ブチルメタクリレート等のバインダ樹脂と、ターピネオール、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、アセテート、トルエン、各種アルコール、キシレン等の溶剤とを混合して用いることができる。このとき、各種の分散剤や活性剤、可塑剤等を用途等に応じて適宜併用することも可能である。さらに、必要に応じて、遷移金属群元素の酸化物、典型金属群元素の酸化物等の各種酸化物をTCR調整剤、またはその他の目的で添加してもよい。
抵抗体ペーストには、ガラス組成物、導電材料の他、抵抗値及び温度特性の調整等を目的として、添加物が含まれていてもよい。添加物としては、CuO、MnO2、TiO2、Mn34、ZnO、MgO、V25、V23、Nb25、Cr23、Fe23、CoO、Al23、ZrO2、SnO2、HfO2、WO3、Bi23等が例示される。中でも、耐フラックス性等の観点から、CuOは好ましい添加物である。CuOを添加物として使用する場合、その体積添加割合は、5体積%以下とすることが好ましく、1〜3体積%とすることがより好ましい。CuOの体積添加割合が多すぎると、抵抗体の温度特性を劣化させる傾向にある。
前述のガラス組成物、導電材料、添加物は、有機ビヒクルと混合することで抵抗体ペーストとして調製されるが、この時、ガラス組成物、導電材料、及び添加物を合計した体積を100とした場合に、前記ガラス組成物の割合を63体積%以上、88体積%以下、前記導電材料の割合を10体積%以上、35体積%以下とすることが好ましい。
抵抗体を形成するには、前述の成分を含む抵抗体ペーストを例えば基板上にスクリーン印刷等の手法で印刷(塗布)し、850℃程度の温度で焼成すればよい。基板としては、アルミナ基板、AlN基板等のセラミック基板等を用いることができ、基板形態としては、単層基板、複合基板、多層基板のいずれであってもよい。多層基板の場合、厚膜抵抗体は、表面に形成してもよいし、内部に形成してもよい。
抵抗体の形成に際しては、通常、基板に電極となる導電パターンを形成するが、この導電パターンは、例えば、AgやPt等の良導電材料を含む導電ペーストを印刷することにより形成することができる。また、形成した抵抗体の表面に、ガラス膜等の保護膜を形成してもよい。
形成した抵抗体においては、導電材料粒子がガラス組成物と反応し、外側がRuO2で覆われ、内側には原料として用いた高抵抗導電材料が残った形となる。ここで、反応によりRuO2となった部分の割合、すなわち導電材料の反応割合が15%以上、80%以下とすることが望ましい。この反応割合が大きすぎると、抵抗値のバラツキ(C.V.値)、温度特性(TCR)、耐電圧特性(STOL)等の特性が劣化する虞れがある。逆に、反応割合が小さすぎると、導電材料粒子とガラス組成物の結着が不十分となり、温度特性(TCR)や耐電圧特性(STOL)等の特性が劣化する虞れがある。
前記反応割合は、ガラス組成物の組成や粒径、配合量、さらには、添加物の種類及び添加量、焼成条件等によっても制御することが可能である。したがって、抵抗体の形成に際しては、これらの条件を最適化し、反応割合が前記範囲内となるように制御することが好ましい。
以下、本発明の具体的な実施例について、実験結果に基づいて説明する。
導電材料の作製
組成がCaRuO3となるように所定量のCaCO3粉末とRuO2粉末を秤量し、ボールミルにて混合して乾燥した。得られた粉末を5℃/分の速度で1200〜1400℃の間まで昇温し、その温度に5〜64時間保持した後、5℃/分の速度で室温まで冷却することによってCaRuO3化合物の粉末を得た。得られた粉末をボールミルにて粉砕した。SrRuO3及びBaRuO3についても同様にして作製した。
以上の作製方法において、焼成条件と粉砕時間を調節することにより、様々な平均粒径を有する導電材料を得た。得られた導電材料について、平均粒径及び粒径0.1μm以下の粒子の割合を測定した。
ガラス組成物の作製
23、SiO2、CaCO3、MnO、Al23、ZrO2、TiO2、CuO、NiO、ZnO、MnO等の酸化物を所定量秤量し、ボールミルにて混合した後、乾燥した。得られた粉末を5℃/分の速度で1300℃まで昇温し、その温度に1時間保持した後、水中に投入することによって急冷し、ガラス化した。得られたガラス化物をボールミルで粉砕し、ガラス組成物粉末を得た。作製したガラス組成物の組成を表1に示す。
Figure 2005129806
抵抗体ペーストの作製
上述の如く作製した導電材料の粉末と、ガラス組成物粉末、添加物、及び有機ビヒクルを各組成となるように秤量し、3本ロールミルで混練し、抵抗体ペーストを得た。なお、有機ビヒクルは、樹脂としてエチルセルロースを用い、溶剤としてターピネオールを用い、溶剤を加熱攪拌しながら樹脂を溶かして作製した。添加物としては、CuOを用いた。また、導電材料粉末、ガラス組成物粉末及び添加物粉末の合計重量と有機ビヒクルの重量の比は、得られた抵抗体ペーストがスクリーン印刷に適した粘度となるように、重量比で1:0.25〜1:4の範囲で調合し、抵抗体ペーストを作製した。
抵抗体の作製
96%のアルミナ基板上に、Ag−Pt導体ペーストを所定形状にスクリーン印刷して乾燥させた。Ag−Pt導体ペーストにおけるAgの割合は95重量%、Ptの割合は5重量%とした。このアルミナ基板をベルト炉に入れ、投入から排出まで1時間のパターンで焼き付けを行った。この時の焼き付け温度は850℃、その温度での保持時間は10分間とした。
このようにして導体が形成されたアルミナ基板上に、先に作製した抵抗体ペーストをスクリーン印刷法にて所定の形状(1mm×1mmの方形状)のパターンで塗布し、乾燥した。その後、導体焼き付けと同じ条件で抵抗体ペーストを焼き付け、厚膜抵抗体を得た。
厚膜抵抗体の特性評価
(1)導電材料の反応率
得られた抵抗体を透過型電子顕微鏡(TEM)にて観察し、抵抗体中の導電材料が内側に原料として用いた高抵抗導電材料が残り、外側はRuO2で覆われていることを確認した。そして、抵抗体をXRDにて分析を行い、得られた回折線の高抵抗導電材料とRuO2の強度比から導電材料の反応率を算出した。
(2)抵抗値
Agilent Technologies 社製の製品番号 34401Aにより測定。試料数36個の平均値を求めた。
(3)C.V.値(抵抗値のバラツキ)
C.V.値=抵抗値の標準偏差/抵抗値の平均値である。C.V.値<5.0が特性の基準となる。
(4)TCR
室温25℃を基準として、125℃へ温度を変えた時の抵抗値変化率を求めた。試料数10個の平均値である。25℃、125℃の抵抗値をR25、R125(Ω/□)とおくと、TCR(ppm/℃)=(R25-R125)/R25/100×1000000であり、TCR<±100ppm/℃が特性の基準となる。
(5)STOL(短時間過負荷)
厚膜抵抗体に試験電圧を5秒間印加し、その前後における抵抗値の変化率を求めた。試料数10個の平均値である。試験電圧=2.5×定格電圧であり、定格電圧=√(R/8)、Rは抵抗値(Ω/□)である。計算した試験電圧が200Vを越える抵抗値を持つ抵抗体については、試験電圧を200Vにて行った。STOL<±5.0%が特性の基準となる。
導電材料の平均粒径に関する検討
導電材料をCaRuO3とし、導電材料の平均粒径を変えた試料1〜13を作製し、抵抗体の特性を評価した。結果を表2に示す。なお、以下の各表においても同様であるが、本発明で規定する範囲を外れる試料(比較例に相当する。)には、*印を付してある。
Figure 2005129806
この表2から明らかなように、導電材料の平均粒径を5〜50μmとした試料5〜試料11において、高抵抗値が得られ、抵抗値のバラツキ(C.V.値)、温度特性(TCR)、耐電圧特性(STOL)の各特性についても良好な結果が得られている。これに対して、導電材料の平均粒径が5μm未満の試料1〜試料4や、50μmを越える試料12,13では、抵抗値のバラツキ(C.V.値)や温度特性(TCR)が大きくなり、耐電圧特性(STOL)も劣化している。
粒径0.1μm以下の割合に関する検討
導電材料の平均粒径を一定(5μm)とし、粒径0.1μm以下の粒子の割合を変えた試料14〜18を作製し、抵抗体の特性を評価した。結果を表3に示す。表3から明らかなように、粒径0.1μm以下の粒子の割合が10%を越えると、抵抗値のバラツキ(C.V.値)が大きくなっている。
Figure 2005129806
SrRuO 3 を用いた例
導電材料をSrRuO3とし、導電材料の平均粒径を変えた試料19〜24を作製し、抵抗体の特性を評価した。結果を表4に示す。導電材料をSrRuO3を用いた場合にも、導電材料をCaRuO3とした場合と同様の傾向が確認された。
Figure 2005129806
BaRuO 3 を用いた例
導電材料をBaRuO3とし、導電材料の平均粒径を変えた試料25〜30を作製し、抵抗体の特性を評価した。結果を表5に示す。導電材料をBaRuO3を用いた場合にも、導電材料をCaRuO3とした場合と同様の傾向が確認された。
Figure 2005129806
ガラス組成物の平均粒径に関する検討
ガラス組成物の平均粒径を変えて試料31〜35を作製し、抵抗体の特性を評価した。結果を表6に示す。表6から明らかなように、ガラス組成物の平均粒径が10μmを越えると、抵抗値のバラツキ(C.V.値)が大きくなっている。
Figure 2005129806
ガラス組成物の種類に関する検討
ガラス組成物の種類を変えて試料36〜44を作製し、抵抗体の特性を評価した。結果を表7に示す。表7から明らかなように、いずれのガラス組成物においても、導電粒子の平均粒径や粒径0.1μm以下の粒子の割合を本発明の範囲内に設定することで、良好な特性が得られている。
Figure 2005129806
導電材料とガラス組成物の比率に関する検討
導電材料とガラス組成物の配合比率を変えて試料45〜50を作製し、抵抗体の特性を評価した。結果を表8に示す。当然のことながら、表8に示す通り、導電材料の比率が少なくなれば抵抗値が高くなり、導電材料の比率が多くなれば抵抗値が低くなっている。導電材料の比率が少なく抵抗値が高い場合にも、導電粒子の平均粒径や粒径0.1μm以下の粒子の割合を本発明の範囲内に設定することで、抵抗値のバラツキ(C.V.値)や温度特性(TCR)、耐電圧特性(STOL)についても良好な特性が得られている。
Figure 2005129806
導電材の反応率に関する検討
焼成条件等を変えて導電材料の反応率が異なる試料51〜58を作製し、抵抗体の特性を評価した。結果を表9に示す。表9に示す通り、導電材料の平均粒径や粒径0.1μm以下の粒子の割合が同じでも、反応率が80%を越えて高い場合(試料51)や、15%未満と低い場合(試料57,58)には、各特性の低下が見られる。これに対して、導電材料の反応率を15%〜80%とすることで、抵抗値のバラツキ(C.V.値)や温度特性(TCR)、耐電圧特性(STOL)が、低いレベルに抑えられている。
Figure 2005129806
ガラス組成物への導電性の付与(比較例)
ガラス組成物に導電性を与えるためにRuO2を予め溶解させておき、抵抗体ペーストを作製した。この方法は、特許文献6に開示される方法であり、本発明の比較例に相当するものである。
作製に際しては、先の表2に示す試料6と基本的に同じ条件とした。すなわち、導電材料として、平均粒径1μm、粒径0.1μm以下の粒子の割合が10%のCaRuO3を用いた。ガラス組成物に導電性を与えるためのRuO2を含めた導電材料全体の割合は、30体積%とした。ガラス組成物の平均粒径は1.0μ、割合は70体積%である。抵抗体における導電材料の反応率は80%であった。
得られた抵抗体の抵抗値は、52000000Ωと非常に高いものであったが、C.V.値は21.0、TCRは±210ppm/℃、STOLは−4.9%と、本発明を適用した各試料に比べて大きく劣っていることがわかった。

Claims (9)

  1. 少なくとも実質的に鉛を含まないガラス組成物及び実質的に鉛を含まない導電材料を含有し、これらが有機ビヒクルと混合されてなる抵抗体ペーストであって、
    前記導電材料の平均粒径が5μm以上、50μm以下であることを特徴とする抵抗体ペースト。
  2. 前記導電材料において、粒径0.1μm以下の粒子の割合が10%以下であることを特徴とする請求項1記載の抵抗体ペースト。
  3. 前記導電材料は、CaRuO3、SrRuO3、BaRuO3から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の抵抗体ペースト。
  4. 前記ガラス組成物の平均粒径が0.5μm以上、10μm以下であることを特徴とする請求項1記載の抵抗体ペースト。
  5. 添加物を含むことを特徴とする請求項1記載の抵抗体ペースト。
  6. 前記ガラス組成物、導電材料、及び添加物を合計した体積を100とした場合に、
    前記ガラス組成物の割合が63体積%以上、88体積%以下であり、
    前記導電材料の割合が10体積%以上、35体積%以下であることを特徴とする請求項5記載の抵抗体ペースト。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の抵抗体ペーストを塗布、または印刷した後、焼成することによって形成されてなる厚膜抵抗体。
  8. 導電材料の反応割合が15%以上、80%以下であることを特徴とする請求項7記載の厚膜抵抗体。
  9. 請求項7記載の厚膜抵抗体を備えていることを特徴とする電子部品。
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