JP2005209738A - 厚膜抵抗体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 例えば10kΩ/□以上の高い抵抗値を有する厚膜抵抗体において、温度特性(TCR)及び耐電圧特性(STOL)の両立を図る。
【解決手段】 ガラス組成物及びRuを含む導電性材料を含有する厚膜抵抗体である。Ruの分布のばらつきを示すC.V.値を40%以上とする。C.V.値は、電子線マイクロアナライザーによる元素マッピングから算出される。元素マッピングは、厚膜抵抗体表面の200μm×200μmの領域について行う。また添加元素としてNiを含む場合、Niの分布とRuの分布が重なり合っていない箇所を100箇所以下とする。Mgを含む場合、Mgの分布とRuの分布が重なり合っていない箇所を80箇所以下とする。
【選択図】 図4

Description

本発明は、Ruを含む導電性材料を用いた厚膜抵抗体に関するものであり、さらには、その製造方法に関する。
例えば抵抗体ペーストは、一般に、抵抗値の調節及び結合性を与えるためのガラス組成物と、導電性材料と、有機ビヒクルとを主たる成分として構成されており、これを基板上に印刷した後、焼成することによって、厚さ5〜20μm程度の厚膜抵抗体が形成される。そして、この種の抵抗体ペースト(厚膜抵抗体)においては、通常、導電性材料として酸化ルテニウム(RuO2)や鉛ルテニウム酸化物等が用いられ、ガラスとして酸化鉛(PbO)系ガラス等が用いられている。
近年、環境問題が盛んに議論されてきており、鉛等の有害物質の電子部品からの排除が進められている。前記抵抗体ペーストや厚膜抵抗体も例外ではなく、鉛フリーとするための研究が行われている。
抵抗体ペーストの鉛フリー化における課題の一つとして、特に高抵抗(10kΩ/□以上)の抵抗体ペーストにおいて、温度特性(TCR)と耐電圧特性(STOL)の両立が挙げられる。例えば、従来の鉛系抵抗体ペーストにおいて用いられてきた金属酸化物を添加することによるTCRの調節を、そのまま鉛フリーの組成に応用した場合、電圧印加による抵抗値の変動が鉛系組成と比較して大きく起こるため、結果としてTCRとSTOLの両立を実現することは困難である。
このような事情から、鉛を含まないガラス組成物、鉛を含まない導電性材料、及び有機ビヒクルを主成分とする抵抗体ペーストにおいて、添加物としてCaTiO3若しくはNiOを添加し、温度特性(TCR)と耐電圧特性(STOL)とを両立する試みがなされている(例えば、特許文献1等を参照)。
特許文献1には、抵抗体ペーストに例えばCaTiO3を0vol%超、13vol%以下、若しくはNiOを0vol%超、12vol%以下含有させることが好ましく、さらにはCuO、ZnO、MgO等の添加物を同時に添加させることが好ましい旨の記述があり、それにより、高い抵抗値を有しながらも、抵抗値の温度特性(TCR)および耐電圧特性(STOL)が小さい抵抗体を得ることに適した鉛フリーの抵抗体ペーストを提供することが可能であるとされている。
特開2003−197405号公報
しかしながら、特許文献1記載の発明のように、添加物を多量に含有させることでTCR特性を調整した抵抗体ペーストを用いて形成された抵抗体では、従来の鉛系組成の抵抗体ペーストを用いた場合よりもSTOL特性が低下する傾向にある。したがって、例えば添加物をあまり多量に添加しない状態で、STOL特性をさらに向上させることが望まれる。また、経時変化の抑制も課題である。
そこで本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、例えば10kΩ/□以上の高い抵抗値を有する厚膜抵抗体において、温度特性(TCR)及び耐電圧特性(STOL)を両立し、さらに経時変化を抑制することを目的とする。また、本発明は、高抵抗で温度特性(TCR)及び耐電圧特性(STOL)に優れた厚膜抵抗体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、厚膜抵抗体において、温度特性(TCR)と耐電圧特性(STOL)を両立することを目的に、長期に亘り種々の研究を重ねてきた。その結果、厚膜抵抗体中の導電性材料や添加物の分布が特性に大きな影響を与え、これを最適化することで特性向上が実現可能であるとの結論を得るに至った。
本発明は、このような知見に基づいて完成されたものである。すなわち、本発明に係る厚膜抵抗体は、ガラス組成物及びRuを含む導電性材料を含有し、Ruの分布のばらつきを示すC.V.値が40%以上であることを特徴とする。
C.V.値は、電子線マイクロアナライザー(EPMA:Electron Probe Microanalyzer)により測定される元素分布の指標であり、この値が小さいほど元素が均一に分布し、逆に大きいほど元素の分布に偏りがあることを示す。本発明において、Ruの分布のばらつきを示すC.V.値が40%以上とは、Ruの分布に偏りが大きいことを意味し、厚膜抵抗体において、このような分布のときにTCRとSTOLの両立が実現され、経時変化も抑制される。
前記元素の分布状態は、導電性材料(Ru)に限られず、例えば添加物においても同様である。すなわち、例えば添加元素がNiである場合、Niの分布とRuの分布が重なり合っていない箇所を100箇所以下とする。同様に、添加元素がMgである場合、Mgの分布とRuの分布が重なり合っていない箇所を80箇所以下とする。これら規定は、添加元素も導電性材料と同様の分布を有することが好ましいことを意味する。
前述の元素分布とするためには、製造上に工夫を要する。これを規定したのが、本発明の製造方法である。すなわち、本発明の厚膜抵抗体の製造方法は、ガラス組成物、導電性材料、及び添加物を有機ビヒクルと混合し、得られた抵抗体ペーストを基板上に塗布し、焼成することによって厚膜抵抗体を形成する厚膜抵抗体の製造方法であって、予め導電性材料と添加物を前混合し、得られた混合物をガラス組成物及び有機ビヒクルと混合、混練することで、前記元素分布となるように制御することを特徴とする。
本発明によれば、特に高抵抗値を有する厚膜抵抗体において、TCR特性及びSTOL特性を両立することができ、また経時変化を抑制することができる。
以下、本発明に係る厚膜抵抗体及びその製造方法について説明する。
本発明の厚膜抵抗体は、基本的には、ガラス組成物、Ruを含む導電性材料、及び必要に応じて添加物とを含むものである。各構成材料は、焼成後の厚膜抵抗体の状態では、互いに固溶する等して一体化し、ガラス様の形態を呈する。
このとき、厚膜抵抗体に含まれる導電性材料(Ru)の厚膜抵抗体中での分布が重要であり、厚膜抵抗体中である程度偏りをもって分布していることが好ましい。このRuの分布状態は、電子線マイクロアナライザー(EPMA:Electron Probe Microanalyzer)により測定されるC.V.値によって把握することができ、Ruの分布において、このC.V.値が40%以上であることが必要である。前記C.V.値とすることで、高い抵抗値を有する厚膜抵抗体において、TCR特性とSTOL特性が両立され、また経時変化が抑制される。
前記Ruの分布のばらつきを示すC.V.値は、電子線マイクロアナライザーによる元素マッピングから算出されるが、この元素マッピングは、厚膜抵抗体表面の200μm×200μmの領域について行うのが好ましい。元素マッピングする領域が小さすぎると、元素分布を的確に把握することが難しくなり、逆に元素マッピングする領域が大きすぎると、算出作業が膨大なものとなり現実的でない。
元素分布は、基本的には導電性材料(Ru)について見ればよいが、添加物を含有する場合には、添加元素の元素分布も最適化することが望ましい。具体的には、これら添加元素もRuと同様に分布に偏りを持ち、しかもRuの分布とできる限り重なり合っていることが好ましい。例えば、添加元素がNiである場合、Niの分布とRuの分布が重なり合っていない箇所を100箇所以下とする。同様に、添加元素がMgである場合、Mgの分布とRuの分布が重なり合っていない箇所を80箇所以下とする。
前記Ruと添加元素の重なりは、各元素についてEPMAで元素マッピングを行い、これらを比較することで算出することができる。例えば、Ruの元素濃度が高い領域で、Niの元素濃度も高ければ、これは重なると判定する。逆に、Ruの元素濃度が高い領域で、Niの元素濃度が低ければ、重なっていないことになる。この元素の重なり状態についても、厚膜抵抗体表面の200μm×200μmの領域について行い、その数で判断する。
前述の厚膜抵抗体は、通常、ガラス組成物、導電性材料、及び添加物を有機ビヒクルと混合した抵抗体ペーストを用いて形成される。ここで、用いる抵抗体ペーストについて説明すると、抵抗体ペーストは、前記の通りガラス組成物、導電性材料、添加物、有機ビヒクルとから構成される。
ここで、導電性材料は、絶縁体であるガラス中に分散されることで、構造物である厚膜抵抗体に導電性を付与する役割を持つ。導電性材料は、Ruを含む導電性材料が用いられ、例えば、RuO2、またはRu複合酸化物を用いる。Ru複合酸化物としては、CaRuO3、SrRuO3、BaRuO3、Bi2Ru27から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
抵抗体ペースト中の導電性材料の含有量は、ガラス組成物、導電性材料、及び添加物の合計重量を100重量%とした場合に、9.4重量%〜53.3重量%とするのが好ましい。導電性材料の含有量が前記範囲を下回る場合、抵抗値が高くなりすぎてしまい、抵抗体ペーストとしての使用に適さなくなるおそれがある。逆に、導電性材料の含有量が前記範囲を越えると、ガラス組成物による導電性材料の結着が不十分になり、信頼性が低下するおそれがある。
ガラス組成物は、前述の方法で製造されるものであれば、その組成は特に限定されないが、本発明では環境保全上、鉛を実質的に含まない鉛フリーのガラス組成物を用いることが好ましい。なお、本発明において、「鉛を実質的に含まない」とは、不純物レベルとは言えない量を越える鉛を含まないことを意味し、不純物レベルの量(例えば、ガラス組成物中の含有量が0.05重量%以下程度)であれば含有されていてもよい趣旨である。鉛は、不可避不純物として極微量程度に含有されることがある。
ガラス組成物は、抵抗体とされたとき、抵抗体中で導電性材料及び添加物を基板と結着させる役割を持つ。ガラス組成物は、原料として、修飾酸化物成分、網目形成酸化物成分等を混合して用いることができる。主たる修飾酸化物成分としては、アルカリ土類酸化物、具体的にはCaO、SrO、BaOから選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。また、網目形成酸化物成分としては、B23及びSiO2を挙げることができる。また、前記主たる修飾酸化物成分の他、その他の修飾酸化物成分として、任意の金属酸化物を用いることができる。具体的な金属酸化物は、例えばZrO2、Al23、ZnO、CuO、NiO、CoO、MnO、Cr23、V25、MgO、Li2O、Na2O、K2O、TiO2、SnO2、Y23、Fe23等から選ばれる少なくとも一種であり、中でもZrO2、Al23、MnOから選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
ガラス組成物における各成分の含有量にはそれぞれ最適範囲が存在し、例えば主たる修飾酸化物成分の含有量が少なすぎると、導電性材料との反応性が低下し、TCR、STOL特性を劣化させるおそれがある。逆に、主たる修飾酸化物成分の含有量が多すぎる場合、抵抗体を形成した時に、過剰な金属酸化物の析出が起こり、特性、信頼性を劣化させるおそれがある。網目形成酸化物成分の含有量が少ない場合、ガラス組成物の軟化点が高くなるため、所定の焼成温度にて抵抗体を形成した場合、抵抗体の焼結が不十分となり、信頼性を著しく低下させるおそれがある。逆に、網目形成酸化物成分の含有量が多すぎる場合、ガラス組成物の耐水性が低下するため、抵抗体としたときの信頼性を著しく低下させるおそれがある。また、その他の修飾酸化物成分の含有量が少なすぎる場合、ガラス組成物の耐水性が低下するため、抵抗体としたときの信頼性を著しく低下させるおそれがある。逆に、その他の修飾酸化物成分の含有量が多すぎる場合、抵抗体を形成した時に、過剰な金属酸化物の析出が起こり、特性、信頼性を劣化させるおそれがある。
抵抗体ペースト中のガラス組成物の含有量は、導電性材料、ガラス組成物、添加物の合計の重量を100重量%とした時に、47.7重量%〜90.6重量%とするのが好ましい。含有量が少ない場合、導電性材料、添加物の結着が不十分となり、信頼性が著しく低下するおそれがある。逆に、ガラス組成物の含有量が前記範囲を越えると、抵抗値が高くなり過ぎてしまい、抵抗体ペーストとしての使用に適さなくなるおそれがある。
抵抗体ペーストには、前述のガラス組成物、導電性材料の他、特性の調整等を目的として、添加物が含まれていてもよい。抵抗体ペーストにおける添加物の含有量は、ガラス組成物、導電性材料、及び添加物の合計重量を100重量%とした場合に、0〜27.2重量%とするのが好ましく、1.0重量%〜27.2重量%とするのがより好ましい。添加物の含有量が少ない場合、十分な特性の調整が困難となる。逆に、添加物の含有量が多すぎる場合、導電性材料、添加物の結着が不十分となり、信頼性が著しく低下するおそれがある。
添加物としては、任意の金属酸化物を用いることができる。具体的には、MgO、TiO2、SnO2、ZnO、CoO、CuO、NiO、MnO、Mn34、Fe23、Cr23、Y23、V25等が挙げられる。中でも、TCR調整剤として効果の高い酸化物であるCuO、NiO、MgOが好ましい。それぞれの添加物の含有量が多すぎる場合、STOL特性が劣化するおそれがある。
有機ビヒクルは、ガラス組成物、導電性材料と添加物とを混練しペースト化させる役割を有し、この種の抵抗体ペーストに用いられるものがいずれも使用可能である。有機ビヒクルは、バインダを有機溶剤中に溶解することによって調製されるものである。バインダとしては、特に限定されず、例えば、エチルセルロース、ポリビニルブチラール等、各種バインダから適宜選択すればよい。有機溶剤も限定されず、テルピネオール、ブチルカルビトール、アセトン、トルエン等、各種有機溶剤から適宜選択すればよい。さらに、抵抗体ペーストの物性を調節するために、分散剤等の各種添加剤を加えてもよい。
前記有機ビヒクルの配合比率であるが、ガラス組成物、導電性材料、及び添加物を合計した合計重量(W1)と、有機ビヒクルの重量(W2)の比率(W2/W1)が、0.25〜4(W2:W1=1:0.25〜1:4)であることが好ましい。より好ましくは、前記比率(W2/W1)が0.5〜2である。前記比率を外れると、抵抗体を例えば基板上に形成するのに適した粘度の抵抗体ペーストを得ることができなくなるおそれがある。
抵抗体ペーストは、前述の各成分、すなわちガラス組成物、導電性材料、添加物を有機ビヒクルと混合することにより調製するが、このとき、最終的に得られる厚膜抵抗体において所定の元素分布となるように、工程に改良を加える。
すなわち、従来は、各成分(ガラス組成物、導電性材料、添加物)を一括して有機ビヒクルに投入し混合するが、ここでは、予め導電性材料と添加物を前混合し、得られた混合物をガラス組成物及び有機ビヒクルと混合、混練する。これにより、抵抗体ペースト中で導電性材料と添加物が同じような分布となり、混合、混練の時間や条件を適正に設定することで、前述の元素分布を実現することができる。
ここで、前記前処理は、例えばボールミルにて行うことが好ましい。ボールミルによる混合では、粉砕混合となり、導電性材料に含まれるRuと添加元素の分布を重なり合わせるのに好適である。一方、有機ビヒクルとの混合、混練は、3本ロールミルにて行うことが好ましい。3本ロールミルは、量産性に優れ、簡便に混合、混練を行うことができる。
厚膜抵抗体を形成するには、前述の成分を含む抵抗体ペーストを例えば基板上にスクリーン印刷等の手法で印刷(塗布)し、温度800℃〜900℃、例えば850℃で焼成すればよい。基板としては、Al23基板やBaTiO3基板の誘電体基板や、低温焼成セラミック基板、AlN基板等を用いることができる。基板形態としては、単層基板、複合基板、多層基板のいずれであってもよい。多層基板の場合、抵抗体は、表面に形成してもよいし、内部に形成してもよい。
厚膜抵抗体の形成に際しては、通常、基板に電極となる導電パターンを形成するが、この導電パターンは、例えば、AgやPt、Pd等を含むAg系の良導電材料を含む導電ペーストを印刷することにより形成することができる。また、形成した抵抗体の表面に、ガラス膜等の保護膜を形成してもよい。
本発明の厚膜抵抗体は、各種電子部品に適用可能である。適用可能な電子部品としては特に限定されないが、例えば単層または多層の回路基板、チップ抵抗器等の抵抗器、アイソレータ素子、C−R複合素子、モジュール素子の他、積層チップコンデンサ等のコンデンサやインダクタ等が挙げられ、コンデンサやインダクタ等の電極部分にも適用することができる。
以下、本発明を適用した具体的な実施例について、実験結果に基づいて説明する。なお、本発明が以下の実施例に限定されるものでないことは言うまでもない。
<導電性材料の作製>
CaCO3粉末とRuO2粉末をCaRuO3となるように秤量し、ボールミルにて混合して乾燥した。得られた粉末を5℃/分の速度で1200℃まで昇温し、その温度に5時間保持した後、5℃/分の速度で室温まで冷却することによってCaRuO3の粉末を得た。得られた導電性材料は、ボールミルにて粉砕した。
<ガラス組成物の作製>
23、SiO2、CaCO3、ZrO2を所定量秤量し、ボールミルにて混合した後、乾燥した。得られた粉末を5℃/分の速度で1300℃まで昇温し、その温度に1時間保持した後に急冷し、ガラス化した。得られたガラス化物をボールミルで粉砕し、ガラス組成物粉末を得た。
<添加物>
添加物として、CuO、NiO、MgOを用いた。
<有機ビヒクルの作製>
バインダとしてエチルセルロース、有機溶剤としてテルピネオールを用い、有機溶剤を加熱撹拌しながらバインダを溶かして、有機ビヒクルを作製した。
<抵抗体ペーストの作製>
前述の導電性材料の粉末と、ガラス組成物粉末、添加物、及び有機ビヒクルを各組成となるように秤量し、3本ロールミルで混練し、抵抗体ペーストを得た。抵抗体ペーストの組成は、導電性材料(CaRuO3)19.8重量%、ガラス組成物(B23−SiO2−CaCO3−ZrO2)55.0重量%、添加物であるNiO16.7重量%、MgO5.0重量%、CuO3.5重量%である。なお、組成は、導電性材料、ガラス組成物、添加物の合計重量を100とした時の各成分の重量比率である。
この抵抗体ペーストの作製において、比較例ペーストでは、通常方法、すなわち、秤量した各粉末を一括して有機ビヒクル中に投入して混合し、3本ロールミルにて混練することにより抵抗体ペーストを調製した。実施例ペーストでは、秤量した各粉末のうち、導電性材料と添加物のみをボールミルにて前混合し、得られた混合物をガラス組成物とともに有機ビヒクル中に投入し、3本ロールミルにて混練することにより抵抗体ペーストを調製した。
<抵抗体の作製>
96%のアルミナ基板上に、Ag−Pt導体ペーストを所定形状にスクリーン印刷して乾燥させた。Ag−Pt導体ペーストにおけるAgの割合は95重量%、Ptの割合は5重量%とした。このアルミナ基板をベルト炉に入れ、投入から排出まで1時間のパターンで焼き付けを行った。この時の焼き付け温度は850℃、その温度での保持時間は10分間とした。
このようにして導体が形成されたアルミナ基板上に、先に作製した抵抗体ペースト(比較例ペースト及び実施例ペースト)をスクリーン印刷法にて所定の形状(1mm×1mmの方形状)のパターンで塗布し、乾燥した。その後、導体焼き付けと同じ条件で抵抗体ペーストを焼き付け、厚膜抵抗体を得た。比較例ペーストを用いて作製された厚膜抵抗体を比較例、実施例ペーストを用いて作製された厚膜抵抗体を実施例とする。
<抵抗体の特性評価>
(1)抵抗値
Agilent Technologies 社製の製品番号 34401Aにより測定。試料数24個の平均値を求めた。
(2)TCR
室温25℃を基準として、−55℃及び125℃へ温度を変えた時の抵抗値変化率を求めた。試料数10個の平均値である。−55℃、25℃、125℃の抵抗値をR-55、R25、R125(Ω/□)とおくと、TCR(ppm/℃)=[(R-55-R25)/R25/80]×1000000、あるいは、TCR(ppm/℃)=[(R125-R25)/R25/100]×1000000である。数値の大きい方をTCR値とした。
(3)STOL(耐電圧特性)
厚膜抵抗体に試験電圧を5秒間印加し、その前後における抵抗値の変化率を求めた。試料数10個の平均値である。試験電圧=2.5×定格電圧であり、定格電圧=√(R/8)、Rは抵抗値(Ω/□)である。計算した試験電圧が200Vを越える抵抗値を持つ抵抗体については、試験電圧を200Vにて行った。
(4)経時変化
温度85℃、相対湿度85%の環境下に100時間放置したときの抵抗値の変化率ΔR(%)を測定した。ΔR≦±1.0%が特性の基準となる。
(5)元素分析
EPMAにて厚膜抵抗体表面の元素分布を調べた。
EPMA測定条件
測定部位:厚膜抵抗体表面
加速電圧:20kV
照射電流:1×10-7
照射時間:60msec/点
範囲:200μm×200μm(1μmステップ)
<評価結果>
先ず、比較例の厚膜抵抗体について、元素分布を調べた。図1はRuの分布、図2はNiの分布、図3はMgの分布を示す元素マッピングである。Ruの分布のばらつきを示すC.V.値は、38.8%であった。また、Ni分布において、Ruの分布と重ならない箇所は110箇所、Mgの分布において、Ruの分布と重ならない箇所は82箇所であった。この比較例の厚膜抵抗体の抵抗値は1.723MΩ、TCRは−95ppm/℃、STOLは−15.1%、経時変化は2.5%であった。
同様に、実施例の厚膜抵抗体についても、元素分布を調べた。図4はRuの分布、図5はNiの分布、図6はMgの分布を示す元素マッピングである。Ruの分布のばらつきを示すC.V.値は、47.6%であった。また、Ni分布において、Ruの分布と重ならない箇所は63箇所、Mgの分布において、Ruの分布と重ならない箇所は74箇所であった。この比較例の厚膜抵抗体の抵抗値は1.807MΩ、TCRは−64ppm/℃、STOLは−4.9%、経時変化は0.5%であった。
これら比較例及び実施例の厚膜抵抗体の特性を比較すると明らかなように、RuのC.V.値、及び添加元素との重なり合いを適正な状態とすることで、高い抵抗値を有する厚膜抵抗体において、TCR特性とSTOL特性が両立され、また経時変化が抑制されている。
比較例の厚膜抵抗体におけるRuの元素マッピングである。 比較例の厚膜抵抗体におけるNiの元素マッピングである。 比較例の厚膜抵抗体におけるMgの元素マッピングである。 実施例の厚膜抵抗体におけるRuの元素マッピングである。 実施例の厚膜抵抗体におけるNiの元素マッピングである。 実施例の厚膜抵抗体におけるMgの元素マッピングである。

Claims (15)

  1. ガラス組成物及びRuを含む導電性材料を含有し、Ruの分布のばらつきを示すC.V.値が40%以上であることを特徴とする厚膜抵抗体。
  2. 前記Ruの分布のばらつきを示すC.V.値は、電子線マイクロアナライザーによる元素マッピングから算出されることを特徴とする請求項1記載の厚膜抵抗体。
  3. 前記元素マッピングは、厚膜抵抗体表面の200μm×200μmの領域について行うことを特徴とする請求項2記載の厚膜抵抗体。
  4. Niを含み、Niの分布とRuの分布が重なり合っていない箇所が100箇所以下であることを特徴とする請求項3記載の厚膜抵抗体。
  5. Mgを含み、Mgの分布とRuの分布が重なり合っていない箇所が80箇所以下であることを特徴とする請求項3記載の厚膜抵抗体。
  6. 前記導電性材料が、RuO2、Ru複合酸化物の少なくとも1種であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の厚膜抵抗体。
  7. 前記導電性材料が、RuO2、CaRuO3、SrRuO3、BaRuO3、Bi2Ru27から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項6記載の厚膜抵抗体。
  8. NiO、CuO、MgOの少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の厚膜抵抗体。
  9. 前記ガラス組成物は、主たる修飾酸化物成分としてCaO、SrO及びBaOから選ばれる少なくとも1種と、網目形成酸化物成分としてB23及びSiO2から選ばれる少なくとも1種とを含有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項記載の厚膜抵抗体。
  10. 前記ガラス組成物が、その他の修飾酸化物成分としてZrO、Al23、ZnOから選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項9記載の厚膜抵抗体。
  11. Al23基板上に形成されていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項記載の厚膜抵抗体。
  12. ガラス組成物、導電性材料、及び添加物を有機ビヒクルと混合し、得られた抵抗体ペーストを基板上に塗布し、焼成することによって厚膜抵抗体を形成する厚膜抵抗体の製造方法であって、
    予め導電性材料と添加物を前混合し、得られた混合物をガラス組成物及び有機ビヒクルと混合、混練することで、請求項1乃至5のいずれか1項記載の元素分布となるように制御することを特徴とする厚膜抵抗体の製造方法。
  13. 前記前混合をボールミルにて行うことを特徴とする請求項12記載の厚膜抵抗体の製造方法。
  14. 前記混練を3本ロールミルにて行うことを特徴とする請求項12又は13記載の厚膜抵抗体の製造方法。
  15. 前記焼成は、空気中、800℃〜900℃で行うことを特徴とする請求項12乃至14のいずれか1項記載の厚膜抵抗体の製造方法。
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