JPWO2005008691A1 - 抵抗体ペースト、抵抗体及び電子部品 - Google Patents

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Abstract

鉛を実質的に含まずに0.1〜10モル%のNiOを含むガラス材料と、鉛を実質的に含まない導電性材料と、有機ビヒクルとを、有する抵抗体ペースト。この発明によると、高い抵抗値を有しながらも、抵抗値の温度特性(TCR)及び短時間過負荷(STOL)が小さい抵抗体を得ることに適した鉛フリーの抵抗体ペーストを提供することができる。

Description

本発明は、抵抗体ペースト、抵抗体及び電子部品に関する。
抵抗体ペーストは、一般に、抵抗値の調節及び結合性を与えるためのガラス材料と、導電体材料と、有機ビヒクル(バインダーと溶剤)とで主として構成されており、これを基板上に印刷した後、焼成することによって厚膜(10〜15μm程度)の抵抗体が形成される。
従来の多くの抵抗体ペーストは、ガラス材料として酸化鉛系のガラスを、導電性材料として酸化ルテニウムまたはこの酸化ルテニウム及び鉛の化合物を、それぞれ用いており、従って鉛を含有したペーストとなっている。
しかしながら、鉛を含有した抵抗体ペーストを用いることは、環境汚染の観点から望ましくないため、鉛フリーの厚膜抵抗体ペーストについて種々の提案がなされている(たとえば特許文献1〜5参照)。
通常、厚膜抵抗体において、シート抵抗値が100kΩ/□以上の高抵抗値を有するものは、抵抗値の温度特性(TCR)が、一般的には負の値をとり、CuOなどの添加物をTCR調整剤として添加してTCRを0に近づけるようにしている。TCR調整剤については、種々の提案がなされている(たとえば特許文献6,7参照)。
しかしながら、これらの方法は鉛を含むガラス系について示されたものであり、導電性材料及びガラス材料を鉛フリーで構成した抵抗体ペーストにおいては、CuOなどの添加物を添加する従来の方法では、TCRの調節に伴い、耐電圧特性の短時間過負荷(STOL)の悪化が問題となり、特性の調節が困難であった。
特開平8−253342号公報 特開平10−224004号公報 特開2001−196201号公報 特開平11−251105号公報 特許第3019136号 特開昭61−67901号公報 特開平5−242722号公報
本発明の目的は、高い抵抗値を有しながらも、抵抗値の温度特性(TCR)及び短時間過負荷(STOL)が小さい抵抗体を得ることに適した鉛フリーの抵抗体ペーストを提供することである。
また、本発明は、高い抵抗値を有しながらも、TCR及びSTOLが小さい抵抗体、及びこの抵抗体を有する回路基板などの電子部品を提供することも目的とする。
上記目的を達成するために、本発明によれば、鉛を実質的に含まずにNiOを含むガラス材料と、鉛を実質的に含まない導電性材料と、有機ビヒクルとを、有する抵抗体ペーストが提供される。
本発明によれば、鉛を実質的に含まずに0.1〜10モル%のNiOを含むガラス材料と、鉛を実質的に含まない導電性材料と、有機ビヒクルとを、有する抵抗体ペーストが提供される。
本発明によれば、鉛を実質的に含まずにNiOを含むガラス材料と、鉛を実質的に含まない導電性材料とを、有する抵抗体が提供される。本発明によれば、鉛を実質的に含まずに0.1〜10モル%のNiOを含むガラス材料と、鉛を実質的に含まない導電性材料とを、有する抵抗体が提供される。
本発明によれば、上記抵抗体を有する電子部品が提供される。
好ましくは、前記ガラス材料の含有量が65〜93体積%(または49〜88重量%)であり、前記導電性材料の含有量が7〜35体積%(または10〜51重量%)である。
好ましくは、前記ガラス材料が、
CaO、SrO、BaO及びMgOから選ばれる少なくとも1種を含むA群と、
を含むB群と、
SiOを含むC群と、
ZrOおよびAlの少なくとも何れかを含むD群と、
NiOを含むE群とを、有するものである。
好ましくは、前記各群の含有量が、
A群:20〜40モル%、
B群:18〜45モル%、
C群:21〜40モル%、
D群:10モル%以下(但し、0モル%を除く)、
E群:0.1〜10モル%、である。
好ましくは、前記ガラス材料が、
CaO、SrO、BaO及びMgOから選ばれる少なくとも1種を含むA群と、
を含むB群と、
SiOを含むC群と、
NiOを含むE群とを、有するものである。
好ましくは、前記各群の含有量が、
A群:20〜40モル%、
B群:18〜45モル%、
C群:21〜40モル%、
E群:0.1〜10モル%、である。
前記ガラス材料は、さらに、ZnO、MnO、CuO、CoO、LiO、NaO、KO、P、TiO、Bi、V、及びFeから選ばれる少なくとも1種を含むF群を有していてもよい。この場合のF群の含有量は、好ましくは0〜5モル%(但し、0モル%を除く)である。
好ましくは、本発明による抵抗体ペースト及び抵抗体は、添加物としてのCuOを有し、該CuOの含有量が0.1〜2体積%(または0.1〜6重量%)である。
好ましくは、本発明による抵抗体ペースト及び抵抗体は、添加物としての、ペロブスカイト型結晶構造を持つ酸化物を有し、該酸化物の含有量が0.1〜12体積%(または0.1〜20重量%)である。
前記ペロブスカイト型結晶構造を持つ酸化物としては、CaTiOが好ましい。
好ましくは、前記導電性材料が、RuOまたはRuの複合酸化物を含む。
本発明において、”鉛を実質的に含まない”とは、不純物レベルとは言えない量を超える鉛を含まないことを意味し、不純物レベルの量(たとえばガラス材料または導電性材料中の含有量が0.05体積%以下)であれば含有されていてもよい趣旨である。鉛は、不可避的不純物として極微量程度に含有されることがある。
本発明では、鉛フリーで構成した導電性材料に、NiOを含む鉛フリーで構成したガラス材料を添加して抵抗体ペーストを構成している。このため、これを用いて形成された抵抗体は、高い抵抗値(たとえば100kΩ/□以上、好ましくは1MΩ/□以上)を有しながらも、TCRの絶対値が小さく(たとえば±400ppm/℃以内、好ましくは±200ppm/℃以内、より好ましくは±100ppm/℃以内)、しかもSTOLを低く抑える(たとえば±7%未満、好ましくは±5%未満)ことができる。すなわち、本発明の抵抗体ペーストを用いて形成された抵抗体は、使用環境における温度や印加電圧が変化しても、良好な特性を保持することができるので、その有用性が高い。
なお、先に、鉛フリーで構成した導電性材料及びガラス材料に、NiOを添加物として添加した抵抗体ペーストを提案している(特願2001−390243号)。この抵抗体ペーストによっても、本発明と同等の作用効果を奏することができるが、本発明と比較して、抵抗体中のNiO含有量を比較的多くしなければならなかった。この先願に対する本発明の有利な点は、抵抗体中のNiO含有量が少なくても(具体的には、例えば先願含有量の1/8程度であっても)、先願発明と同等の作用効果を奏することができる点である。
本発明に係る抵抗体は、単層または多層の回路基板の他、コンデンサやインダクタなどの電極部分に適用することもできる。その厚みは、厚膜(10〜15μm程度)の抵抗体が形成される。
本発明に係る電子部品としては、特に限定されないが、回路基板、コンデンサ、インダクタ、チップ抵抗器、アイソレータなどが挙げられる。
抵抗体ペースト
本発明に係る抵抗体ペーストは、鉛を実質的に含まずにNiOを含むガラス材料と、鉛を実質的に含まない導電性材料と、有機ビヒクルとを、有する。
本発明では、NiOを、添加物としてではなく、ガラス材料中に含めるようにした点が特徴である。これにより、添加物として添加した場合より少ない量で、得られる抵抗体のTCRとSTOLのバランスが図られる。ガラス材料中でのNiOの含有量は、ペースト中に添加物として添加する場合のおよそ15%以下程度の量で良く、好ましくは0.1モル%以上、より好ましくは1モル%以上、さらに好ましくは2モル%以上で、好ましくは10モル%以下、より好ましくは6モル%以下である。
ガラス材料
鉛を実質的に含まずにNiOを含むガラス材料としては、特に限定されないが、
CaO、SrO、BaO及びMgOから選ばれる少なくとも1種(好ましくはCaO)を含むA群と、
を含むB群と、
SiOを含むC群と、
NiOを含むE群とを、有するものであることが好ましい。
より好ましくは、前記ガラス材料として、CaOと、Bと、SiOと、NiOとを、有するものを用いる。
各群の含有量は、
A群:20〜40モル%、
B群:18〜45モル%、
C群:21〜40モル%、
E群:0.1〜10モル%(特に1〜10モル%)、であることが好ましく、
より好ましくは、
A群:25〜38モル%、
B群:20〜40モル%、
C群:21〜30モル%、
E群:2〜6モル%、である。
前記ガラス材料は、上記A〜C,E群の他に、さらに、ZrOおよびAlの少なくとも何れか(好ましくはZrO)を含むD群を有することが好ましい。より好ましくは、前記ガラス材料として、CaOと、Bと、SiOと、ZrOと、NiOとを、有するものを用いる。
このケースでの各群の含有量は、
A群:20〜40モル%、
B群:18〜45モル%、
C群:21〜40モル%、
D群:10モル%以下(但し、0モル%を除く)、
E群:0.1〜10モル%(特に1〜10モル%)、であることが好ましく、
より好ましくは、
A群:25〜38モル%、
B群:20〜40モル%、
C群:21〜30モル%、
D群:1〜5モル%、
E群:2〜6モル%、である。
前記ガラス材料は、さらに、ZnO、MnO、CuO、CoO、LiO、NaO、KO、P、TiO、Bi、V、及びFeから選ばれる少なくとも1種を含むF群を有していてもよい。この場合のF群の含有量は、好ましくは0〜5モル%(但し、0モル%を除く)、より好ましくは0〜3モル%(但し、0モル%を除く)である。
ペースト中での前記ガラス材料の含有量は、好ましくは65〜93体積%(または49〜88重量%)、より好ましくは68〜90体積%(または50〜86重量%)である。
導電性材料
鉛を実質的に含まない導電性材料としては、特に限定されないが、ルテニウム酸化物の他、Ag−Pd合金、TaN、LaB、WC、MoSiO、TaSiO、及び金属(Ag、Au、Pd、Pt、Cu、Ni、W、Moなど)などが挙げられる。これらの物質は、それぞれ単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いても良い。中でも、ルテニウム酸化物が好ましい。ルテニウム酸化物としては、酸化ルテニウム(RuO、RuO、RuO)の他、ルテニウム系パイロクロア(BiRu7x、TlRuなど)やルテニウムの複合酸化物(SrRuO、CaRuO、BaRuOなど)なども含まれる。中でも、酸化ルテニウムやルテニウムの複合酸化物が好ましく、より好ましくはRuOやSrRuO、CaRuO、BaRuOなどである。
ペースト中での導電性材料の含有量は、好ましくは7〜35体積%、より好ましくは8〜30体積%である。
有機ビヒクル
有機ビヒクルとは、バインダを有機溶剤中に溶解したものである。有機ビヒクルに用いるバインダは特に限定されず、エチルセルロース、ポリビニルブチラール等の通常の各種バインダから適宜選択すればよい。また、用いる有機溶剤も特に限定されず、テルピネオール、ブチルカルビトール、アセトン、トルエン等の各種有機溶剤から適宜選択すればよい。
添加物
本発明に係る抵抗体ペーストは、上記成分以外に添加物が含有してあってもよい。添加物としては、CuO、ペロブスカイト型結晶構造(ABXで表現される結晶構造)を持つ酸化物、ZnO、MgOなどが挙げられる。
CuOは、TCR調整剤としての役割を果たす。この場合のCuOの含有量は、好ましくは0.1〜2体積%(または0.1〜6重量%)、より好ましくは0.5〜2体積%(または0.5〜6重量%)、さらに好ましくは1〜3体積%(または1〜4重量%)である。CuOの添加量が増加すると、STOLが悪化する傾向にある。
ペロブスカイト型結晶構造を持つ酸化物としては、CaTiO、SrTiO、BaTiO、CaZrO、SrZrOなどの単純ペロブスカイトの他に、欠陥ペロブスカイト、複合ペロブスカイトなども挙げられる。中でも、CaTiO、SrTiO及びBaTiOの少なくともいずれかを用いることが好ましく、より好ましくはCaTiOを用いる。ペロブスカイト型結晶構造を持つ酸化物は、TCRとSTOLのバランスを調整する作用を持つ。この場合のペロブスカイト型結晶構造を持つ酸化物の含有量は、好ましくは0.1〜12体積%(または0.1〜20重量%)、より好ましくは1〜15体積%(または1〜17重量%)、さらに好ましくは1.5〜12体積%(または2〜15重量%)である。
ZnOは、TCR調整剤としての役割を果たす。この場合のZnOの含有量は、好ましくは0.1〜5体積%、より好ましくは1〜4体積%である。ZnOの添加量が増加すると、STOLが悪化する傾向にある。
MgOは、TCR調整剤としての役割を果たす。この場合のMgOの含有量は、好ましくは1〜8体積%、より好ましくは2〜6体積%である。MgOの添加量が増加すると、STOLが悪化する傾向がある。
なお、その他のTCR調整剤としての役割を果たす添加物としては、たとえば、MnO、V、TiO、Y、Nb、Cr、Fe、CoO、Al、ZrO、SnO、HfO、WO及びBiなどが挙げられる。
ペーストの製造方法
本発明に係る抵抗体ペーストは、導電性材料、ガラス材料及び必要に応じて配合される各種添加物に、有機ビヒクルを加えて、たとえば3本ロールミルで混練して製造される。この場合、ガラス材料、導電性材料および必要に応じて添加される添加物の各粉末を合計した重量(W1)と、有機ビヒクルの重量(W2)との比(W2/W1)が、0.25〜4であることが好ましく、より好ましくは0.5〜2である。
抵抗体及び電子部品
本発明に係る抵抗体は、鉛を実質的に含まずにNiOを含むガラス材料と、鉛を実質的に含まない導電性材料とを、有する。抵抗体の膜厚は、薄膜であっても良いが、通常は1μm以上、好ましくは10〜15μm程度の厚膜とされる。
本発明に係る抵抗体は、上述した抵抗体ペーストを、たとえばアルミナ、ガラスセラミックス、誘電体、AlNなど基板上に、たとえばスクリーン印刷法などにより形成して乾燥させ、800〜900℃程度の温度で5〜15分程度、焼き付けることにより製造される。
この抵抗体は、電子部品としての、単層または多層の回路基板の他、コンデンサやインダクタなどの電極部分に適用することもできる。
次に、本発明の実施の形態をより具体化した実施例を挙げ、本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
抵抗体ペーストの作製
導電性材料を次のように作製した。所定量のCaCOまたはCa(OH)粉末と、RuO粉末とを、CaRuOの組成となるように秤量し、ボールミルにて混合して乾燥した。得られた粉末を5℃/minの速度で1200℃まで昇温し、その温度を5時間保持した後に5℃/minの速度で室温まで冷却した。得られたCaRuO化合物をボールミルにて粉砕し、CaRuO粉末を得た。得られた粉末はXRDにて所望の化合物が単一相で得られていることを確認した。
また、上記CaRuO粉末以外にも、同様の手順で、SrRuO粉末、BiRu粉末を得た。
本実施例では、導電性材料として、CaRuO粉末、SrRuO粉末、BiRu粉末以外に、RuO粉末を準備した。
ガラス材料を次のように作製した。所定量のCaCO、SrCO、MgO、B、SiO、ZrO、Al及びNiOを、表1に示す最終組成(18種類)となるように秤量し、ボールミルにて混合して乾燥した。得られた粉末を5℃/minの速度で1300℃まで昇温しその温度を1時間保持した後に水中投下することによって急冷し、ガラス化した。得られたガラス化物をボールミルで粉砕し、ガラス粉末を得た。得られたガラス粉末はXRDにより非晶質であることを確認した。
Figure 2005008691
有機ビヒクルを次のように作製した。溶剤としてのターピネオールを加熱撹拌しながら、樹脂としてのエチルセルロースを溶かして有機ビヒクルを作製した。
添加物としては、表2に示すような添加物を選択した。
作製した導電性材料の粉末及びガラス粉末と、選択した添加物とを、表2に示す各組成になるように秤量(体積%と重量%を並記)し、これに有機ビヒクルを加えて、3本ロールミルで混練し、抵抗体ペーストを得た。導電性粉末、ガラス材料及び添加物の各粉末の合計重量と有機ビヒクルの重量比は、得られたペーストがスクリーン印刷に適した粘度となるように、重量比で1:0.25〜1:4の範囲内で適宜、調合してペースト化した。
厚膜抵抗体の作製
96%のアルミナ基板上に、Ag−Pt導体ペーストを所定形状にスクリーン印刷して乾燥させた。Ag−Pt導体ペーストにおけるAgは95重量%、Ptは5重量%であった。このアルミナ基板をベルト炉に入れ、投入から排出まで1時間のパターンで、該基板上に導体を焼き付けした。焼き付け温度は850℃、この温度の保持時間は10分とした。導体が形成されたアルミナ基板上に、前述のごとく作成した抵抗体ペーストを所定形状(1×1mm)にスクリーン印刷して乾燥させた。そして、導体の焼き付けと同じ条件で抵抗体ペーストを焼き付け、厚膜抵抗体を得た。抵抗体の厚みは12μmであった。
厚膜抵抗体の特性(TCR、STOL)評価
得られた厚膜抵抗体に対して、TCRとSTOLの評価を行った。
TCR(抵抗値の温度特性)の評価は、室温25℃を基準として、125℃へ温度を変えたときの抵抗値の変化率を確認することにより行った。具体的には、25℃、−55℃、125℃のそれぞれの抵抗値をR25、R125(Ω/□)とした場合に、TCRを、TCR=(R25−R125)/R25/100×1000000、により求めた(単位はppm/℃)。結果を表2に示す。通常、TCR<±400ppm/℃が特性の基準となる。
STOL(短時間過負荷)の評価は、厚膜抵抗体に試験電圧を5秒印加した後に30分放置し、その前後における抵抗値の変化率を確認することにより行った。試験電圧は、定格電圧の2.5倍とした。定格電圧は、√(R/8)とした。ここでR:抵抗値(Ω/□)である。なお、計算した試験電圧が200Vを越える抵抗値をもつ抵抗体については、試験電圧を200Vにて行った。結果を表2に示す。通常、STOL<±5%が特性の基準となる。
なお、各評価に使用した試料数は24個である。
Figure 2005008691
表2に示すように、ガラス組成を変化させた場合(試料1,3〜10−1,19〜26)に関し、以下のことが理解される。
NiO(E群)が添加されていないガラスを含む試料1,21,23,25は、TCRが悪化することが確認された。これに対して、NiOを0.1〜10モル%の範囲で添加したガラスを含む試料3〜10,19,20,22,24,26では、TCR及びSTOLを低く抑えることが出来ることを確認した。なお、NiO(E群)を11モル%添加したガラスを含む試料10−1では、NiOが添加されていないガラスを含む試料1,21,23,25と比較して、STOLが悪化する傾向があるが許容範囲内であった。
CaO(A群)に対して、同じII族のMgO、SrO、BaOについて置換して同様の実験を行ったところ、同様の傾向があることも確認した(試料23〜26参照)。ZrOをAl(D群)に代えた場合も、同様の傾向があることが確認できた(試料21,22参照)。
なお、ZnO、MnO、CuO、CoO、LiO、NaO、KO、P、TiO、Bi、V及びFeから選ばれる少なくとも1種をさらに添加した場合も同様の傾向があることが確認できた。
なお、導電性材料の種類を変化させても(試料13〜18)、上記記載と同様の傾向があることが確認できた。
添加物を添加した場合(試料2,11,12)に関し、以下のことが理解される。CuOを添加物として添加したが、NiOが添加されていないガラスを含む試料2は、STOLが悪化することが確認できた。STOLが悪化したのは、NiOが添加されていないため、CuOの添加によるSTOLの悪化を抑制することができなかったことによるものと考えられる。これに対し、NiOを5モル添加したガラスを含む試料11は、TCR及びSTOLの改善効果が認められた。CuOとともにCaTiOを添加物として添加した試料12は、TCR及びSTOLのより一層の改善効果が認められた。
実施例2
所定量のCaCO、B、SiO及びZrOを準備し、CaO:B:SiO:ZrO=34モル%:36モル%:25モル%:5モル%となるように配合し、実施例1と同様にしてガラス粉末を得た。
得られたガラス粉末と、実施例1の導電性材料及び添加物としてのNiOとを、導電性材料(CaRuO)28体積%、ガラス粉末60体積%、NiO12体積%となるように秤量し、これに有機ビヒクルを加えて、3本ロールミルで混練し、実施例1と同様の抵抗体ペースト(試料27)を得た。
得られた抵抗体ペーストを用いて、実施例1と同様にして厚膜抵抗体を得た。抵抗体中のNiO含有量を測定したところ、19.8重量%であった。得られた厚膜抵抗体に対して、実施例1と同様に、TCRとSTOLの評価を行った。その結果、抵抗値:110100Ω、TCR:90ppm/℃、STOL:−0.8%と良好な結果が得られた。
これに対し、上述した表2の試料7では、5モル%のNiOを含むガラス材料を用いた例が記載されている。この試料7の抵抗体ペーストを用いて得られた厚膜抵抗体中のNiO含有量を算出してみると、2.9重量%である。しかし、この試料7では、上記試料27とほぼ同等の評価が得られている。
これらのことから、NiOを、添加物として添加してもTCR及びSTOL改善効果が認められるが、ガラス材料に含める試料7の場合と比較して、多くの量のNiOを添加する必要がある。
これに対し、NiOをガラス材料内に含める場合、抵抗体中のNiO含有量が少なくても、添加物として含めた場合と同等の結果を得ることができ、生産性を向上させることができることが分かった。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々なる態様で実施し得ることは勿論である。

Claims (15)

  1. 鉛を実質的に含まずにNiOを含むガラス材料と、鉛を実質的に含まない導電性材料と、有機ビヒクルとを、有する抵抗体ペースト。
  2. 鉛を実質的に含まずに0.1〜10モル%のNiOを含むガラス材料と、鉛を実質的に含まない導電性材料と、有機ビヒクルとを、有する抵抗体ペースト。
  3. 前記ガラス材料の含有量が65〜93体積%であり、前記導電性材料の含有量が7〜35体積%である請求項1または2に記載の抵抗体ペースト。
  4. 前記ガラス材料の含有量が49〜88重量%であり、前記導電性材料の含有量が10〜51重量%である請求項1または2に記載抵抗体ペースト。
  5. 前記ガラス材料が、
    CaO、SrO、BaO及びMgOから選ばれる少なくとも1種を含むA群と、
    を含むB群と、
    SiOを含むC群と、
    ZrO およびAlの少なくとも何れかを含むD群と、
    NiOを含むE群とを、有するものである請求項1〜4の何れかに記載の抵抗体ペースト。
  6. 前記各群の含有量が、
    A群:20〜40モル%、
    B群:18〜45モル%、
    C群:21〜40モル%、
    D群:10モル%以下(但し、0モル%を除く)、
    E群:0.1〜10モル%、である請求項5に記載の抵抗体ペースト
  7. 前記ガラス材料が、
    CaO、SrO、BaO及びMgOから選ばれる少なくとも1種を含むA群と、
    を含むB群と、
    SiOを含むC群と、
    NiOを含むE群とを、有するものである請求項1〜4の何れかに記載の抵抗体ペースト。
  8. 前記各群の含有量が、
    A群:20〜40モル%、
    B群:18〜45モル%、
    C群:21〜40モル%、
    E群:0.1〜10モル%、である請求項7に記載の抵抗体ペースト
  9. 添加物としてのCuOを有し、該CuOの含有量が0.1〜2体積%である請求項1〜8のいずれかに記載の抵抗体ペースト。
  10. 添加物としてのCuOを有し、該CuOの含有量が0.1〜6重量%である請求項1〜8のいずれかに記載の抵抗体ペースト。
  11. 添加物としての、ペロブスカイト型結晶構造を持つ酸化物を有し、該酸化物の含有量が0.1〜12体積%である請求項1〜10の何れかに記載の抵抗体ペースト。
  12. 添加物としての、ペロブスカイト型結晶構造を持つ酸化物を有し、該酸化物の含有量が0.1〜20重量%である請求項1〜10の何れかに記載の抵抗体ペースト。
  13. 前記ペロブスカイト型結晶構造を持つ酸化物が、CaTiOである請求項11または12に記載の抵抗体ペースト。
  14. 鉛を実質的に含まずにNiOを含むガラス材料と、鉛を実質的に含まない導電性材料とを、有する抵抗体。
  15. 抵抗体を有する電子部品であって、
    前記抵抗体が、鉛を実質的に含まずにNiOを含むガラス材料と、鉛を実質的に含まない導電性材料とを、有するものである電子部品。
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