JP2005209743A - 導電性材料、抵抗体ペースト、抵抗体、電子部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】 例えば10kΩ/□以上の高い抵抗値を有する抵抗体において、温度特性(TCR)及び耐電圧特性(STOL)の両立を図る。
【解決手段】 ガラス組成物及び導電性材料を含有し、これらが有機ビヒクルと混合されてなる抵抗体ペーストである。導電性材料として、基本組成がA(1-x)Mg(x)RuO3(ただし、式中Aは任意元素である。)で表され、0.0<x<1.0であるRu系複合酸化物を含有する。xは、0.1≦x≦0.9であることが好ましい。任意元素Aは、Ca、Sr、Baから選ばれる少なくとも1種である。
【選択図】 なし
【解決手段】 ガラス組成物及び導電性材料を含有し、これらが有機ビヒクルと混合されてなる抵抗体ペーストである。導電性材料として、基本組成がA(1-x)Mg(x)RuO3(ただし、式中Aは任意元素である。)で表され、0.0<x<1.0であるRu系複合酸化物を含有する。xは、0.1≦x≦0.9であることが好ましい。任意元素Aは、Ca、Sr、Baから選ばれる少なくとも1種である。
【選択図】 なし
Description
本発明は、新規なRu系複合酸化物を含有する導電性材料、この導電性材料を用いて形成される抵抗体ペースト、抵抗体、電子部品に関する。
例えば抵抗体ペーストは、一般に、抵抗値の調節及び結合性を与えるためのガラス組成物と、導電性材料と、有機ビヒクルとを主たる成分として構成されており、これを基板上に印刷した後、焼成することによって、厚さ5〜20μm程度の厚膜抵抗体が形成される。そして、この種の抵抗体ペースト(厚膜抵抗体)においては、通常、導電性材料として酸化ルテニウム(RuO2)や鉛ルテニウム酸化物等が用いられ、ガラスとして酸化鉛(PbO)系ガラス等が用いられている。
近年、環境問題が盛んに議論されてきており、鉛等の有害物質の電子部品からの排除が進められている。前記抵抗体ペーストや厚膜抵抗体も例外ではなく、鉛フリーとするための研究が行われている。
抵抗体ペーストの鉛フリー化における課題の一つとして、特に高抵抗(10kΩ/□以上)の抵抗体ペーストにおいて、温度特性(TCR)と耐電圧特性(STOL)の両立が挙げられる。例えば、従来の鉛系抵抗体ペーストにおいて用いられてきた金属酸化物を添加することによるTCRの調節を、そのまま鉛フリーの組成に応用した場合、電圧印加による抵抗値の変動が鉛系組成と比較して大きく起こるため、結果としてTCRとSTOLの両立を実現することは困難である。
このような事情から、鉛を含まないガラス組成物、鉛を含まない導電性材料、及び有機ビヒクルを主成分とする抵抗体ペーストにおいて、添加物としてCaTiO3若しくはNiOを添加し、温度特性(TCR)と耐電圧特性(STOL)とを両立する試みがなされている(例えば、特許文献1等を参照)。
特許文献1には、抵抗体ペーストに例えばCaTiO3を0vol%超、13vol%以下、若しくはNiOを0vol%超、12vol%以下含有させることが好ましく、さらにはCuO、ZnO、MgO等の添加物を同時に添加させることが好ましい旨の記述があり、それにより、高い抵抗値を有しながらも、抵抗値の温度特性(TCR)および耐電圧特性(STOL)が小さい抵抗体を得ることに適した鉛フリーの抵抗体ペーストを提供することが可能であるとされている。
特開2003−197405号公報
しかしながら、特許文献1記載の発明のように、添加物を多量に含有させることでTCR特性を調整した抵抗体ペーストを用いて形成された抵抗体では、従来の鉛系組成の抵抗体ペーストを用いた場合よりもSTOL特性が低下する傾向にある。したがって、添加物を添加しない状態、すなわちガラス組成物及び導電性材料からなる組成の抵抗体ペーストを用いて形成された抵抗体の段階で、STOL特性をさらに向上させる必要がある。
そこで本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、例えば10kΩ/□以上の高い抵抗値を有し、温度特性(TCR)及び耐電圧特性(STOL)の両立を図ることができる抵抗体を実現することが可能な導電性材料を提供することを目的とする。また、本発明は、前記導電性材料を使用することで、高抵抗で温度特性(TCR)及び耐電圧特性(STOL)に優れる抵抗体ペースト、及びこの抵抗体ペーストを用いて作製された抵抗体、さらにはこの抵抗体を有する電子部品を提供することを目的とする。
本発明者らは、温度特性(TCR)及び耐電圧特性(STOL)の両立が可能な導電性材料について長期に亘り研究を重ねた結果、ARuO3におけるAサイトの一部をMgで置換したRu系複合酸化物が、このような目的にかなう導電性材料であるとの結論を得た。
本発明は、このような知見に基づいて完成されたものである。すなわち、本発明に係る導電性材料は、基本組成がA(1-x)Mg(x)RuO3(ただし、式中Aは任意元素である。)で表され、0.0<x<1.0であるRu系複合酸化物を含有することを特徴とする。また、本発明に係る抵抗体ペーストは、ガラス組成物及び導電性材料を含有し、これらが有機ビヒクルと混合されてなる抵抗体ペーストであって、前記導電性材料が、基本組成がA(1-x)Mg(x)RuO3(ただし、式中Aは任意元素である。)で表され、0.0<x<1.0であるRu系複合酸化物を含有することを特徴とする。また、本発明に係る抵抗体は、前記抵抗体ペーストを用いて形成されたことを特徴とする。また、本発明に係る電子部品は、前記抵抗体を有することを特徴とする。
導電性材料として用いる、基本組成がA(1-x)Mg(x)RuO3(ただし、式中Aは任意元素である。)で表され、0.0<x<1.0であるRu系複合酸化物は、例えば従来型のRu系複合酸化物(ARuO3)に比べて、TCR特性及びSTOL特性の両方に優れる材料であり、したがって、係るRu系複合酸化物を抵抗体ペースト、抵抗体の導電性材料として用いることで、例えば10kΩ/□以上の高抵抗で、TCR特性、STOL特性が両立される。
本発明の導電性材料は、例えば抵抗体ペーストや抵抗体に適用した場合、高抵抗で且つTCR特性及びSTOL特性を両立することが可能な抵抗体を得ることができる。したがって、本発明によれば、高抵抗で温度特性(TCR)及び耐電圧特性(STOL)に優れた抵抗体ペースト、抵抗体、電子部品を提供することが可能である。
以下、本発明に係る導電性材料、この導電性材料を用いて形成される抵抗体ペースト、この抵抗体ペーストを用いて形成される抵抗体、及びこの抵抗体を有する電子部品について説明する。
本発明の導電性材料は、ARuO3におけるAOの一部をMgOで置換したRu系複合酸化物、すなわち、基本組成がA(1-x)Mg(x)RuO3(ただし、式中Aは任意元素である。)で表され、0.0<x<1.0であるRu系複合酸化物を含有するものである。置換元素Mgの比率xがゼロ又は1であると、TCR特性及びSTOL特性の両立が困難である。任意元素Aを置換するMgの置換比率xのより好ましい範囲は、0.1≦x≦0.9である。
Ru系複合酸化物において、例えば任意元素AをCa、Sr、Ba等から選ばれる少なくとも1種とすることで、従来、高抵抗用途に用いられているPb2Ru2O6等と同等の抵抗率を有する導電性材料を得ることができる。
本発明の抵抗体ペーストは、ガラス組成物、導電性材料、及び必要に応じて添加物を含み、これらが有機ビヒクルと混合されてなるものである。そして、導電性材料として、前述のRu系複合酸化物を用いる。抵抗体ペースト中の導電性材料の含有量は、ガラス組成物、導電性材料、及び添加物の合計重量を100重量%とした場合に、9.4重量%〜53.3重量%とするのが好ましい。導電性材料の含有量が前記範囲を下回る場合、抵抗値が高くなりすぎてしまい、抵抗体ペーストとしての使用に適さなくなるおそれがある。逆に、導電性材料の含有量が前記範囲を越えると、ガラス組成物による導電性材料の結着が不十分になり、信頼性が低下するおそれがある。
ガラス組成物は、特に限定されないが、本発明では環境保全上、鉛を実質的に含まない鉛フリーのガラス組成物を用いることが好ましい。なお、本発明において、「鉛を実質的に含まない」とは、不純物レベルとは言えない量を越える鉛を含まないことを意味し、不純物レベルの量(例えば、ガラス組成物中の含有量が0.05重量%以下程度)であれば含有されていてもよい趣旨である。鉛は、不可避不純物として極微量程度に含有されることがある。
ガラス組成物は、抵抗体とされたとき、抵抗体中で導電性材料及び添加物を基板と結着させる役割を持つ。ガラス組成物は、原料として、修飾酸化物成分、網目形成酸化物成分等を混合して用いることができる。主たる修飾酸化物成分としては、アルカリ土類酸化物、具体的にはCaO、SrO、BaOから選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。また、網目形成酸化物成分としては、B2O3及びSiO2を挙げることができる。また、前記主たる修飾酸化物成分の他、その他の修飾酸化物成分として、任意の金属酸化物を用いることができる。具体的な金属酸化物は、例えばAl2O3、ZrO2、MgO、TiO2、SnO2、K2O、Na2O、Li2O、CuO、NiO、ZnO、CoO、MnO、Fe2O3、Cr2O3、Y2O3、V2O5等から選ばれる少なくとも一種であり、中でもZrO2、Al2O3、ZnOから選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
ガラス組成物における各成分の含有量にはそれぞれ最適範囲が存在し、例えば主たる修飾酸化物成分の含有量が少なすぎると、導電性材料との反応性が低下し、TCR、STOL特性を劣化させるおそれがある。逆に、主たる修飾酸化物成分の含有量が多すぎる場合、抵抗体を形成した時に、過剰な金属酸化物の析出が起こり、特性、信頼性を劣化させるおそれがある。網目形成酸化物成分の含有量が少ない場合、ガラスの作製が困難となるおそれがある。逆に、網目形成酸化物成分の含有量が多すぎる場合、ガラス組成物の耐水性が低下するため、抵抗体としたときの信頼性を著しく低下させるおそれがある。また、その他の修飾酸化物成分の含有量が少なすぎる場合、ガラス組成物の耐水性が低下するため、抵抗体としたときの信頼性を著しく低下させるおそれがある。逆に、その他の修飾酸化物成分の含有量が多すぎる場合、抵抗体を形成した時に、過剰な金属酸化物の析出が起こり、特性、信頼性を劣化させるおそれがある。
抵抗体ペースト中のガラス組成物の含有量は、導電性材料、ガラス組成物、添加物の合計の重量を100重量%とした時に、47.7重量%〜90.6重量%とするのが好ましい。含有量が少ない場合、導電性材料、添加物の結着が不十分となり、信頼性が著しく低下するおそれがある。逆に、ガラス組成物の含有量が前記範囲を越えると、抵抗値が高くなり過ぎてしまい、抵抗体ペーストとしての使用に適さなくなるおそれがある。
抵抗体ペーストには、前述のガラス組成物、導電性材料の他、特性の調整等を目的として、添加物が含まれていてもよい。抵抗体ペーストにおける添加物の含有量は、ガラス組成物、導電性材料、及び添加物の合計重量を100重量%とした場合に、0〜27.2重量%とするのが好ましく、1.0重量%〜27.2重量%とするのがより好ましい。添加物の含有量が少ない場合、十分な特性の調整が困難となる。逆に、添加物の含有量が多すぎる場合、導電性材料、添加物の結着が不十分となり、信頼性が著しく低下するおそれがある。
添加物としては、任意の金属酸化物を用いることができる。具体的には、MgO、TiO2、SnO2、ZnO、CoO、CuO、NiO、MnO、Mn3O4、Fe2O3、Cr2O3、Y2O3、V2O5等が挙げられる。中でも、TCR調整剤として効果の高い酸化物であるCuO、NiO、MgOが好ましい。それぞれの添加物の含有量が多すぎる場合、STOL特性が劣化するおそれがある。
有機ビヒクルは、ガラス組成物、導電性材料と添加物とを混練しペースト化させる役割を有し、この種の抵抗体ペーストに用いられるものがいずれも使用可能である。有機ビヒクルは、バインダを有機溶剤中に溶解することによって調製されるものである。バインダとしては、特に限定されず、例えば、エチルセルロース、ポリビニルブチラール等、各種バインダから適宜選択すればよい。有機溶剤も限定されず、テルピネオール、ブチルカルビトール、アセトン、トルエン等、各種有機溶剤から適宜選択すればよい。さらに、抵抗体ペーストの物性を調節するために、分散剤等の各種添加剤を加えてもよい。
前記有機ビヒクルの配合比率であるが、ガラス組成物、導電性材料、及び添加物を合計した合計重量(W1)と、有機ビヒクルの重量(W2)の比率(W2/W1)が、0.25〜4(W2:W1=1:0.25〜1:4)であることが好ましい。より好ましくは、前記比率(W2/W1)が0.5〜2である。前記比率を外れると、抵抗体を例えば基板上に形成するのに適した粘度の抵抗体ペーストを得ることができなくなるおそれがある。
抵抗体を形成するには、前述の成分を含む抵抗体ペーストを例えば基板上にスクリーン印刷等の手法で印刷(塗布)し、850℃程度の温度で焼成すればよい。基板としては、Al2O3基板やBaTiO3基板の誘電体基板や、低温焼成セラミック基板、AlN基板等を用いることができる。基板形態としては、単層基板、複合基板、多層基板のいずれであってもよい。多層基板の場合、抵抗体は、表面に形成してもよいし、内部に形成してもよい。
抵抗体の形成に際しては、通常、基板に電極となる導電パターンを形成するが、この導電パターンは、例えば、AgやPt、Pd等を含むAg系の良導電材料を含む導電ペーストを印刷することにより形成することができる。また、形成した抵抗体の表面に、ガラス膜等の保護膜を形成してもよい。
本発明の抵抗体を適用可能な電子部品としては特に限定されないが、例えば単層または多層の回路基板、チップ抵抗器等の抵抗器、アイソレータ素子、C−R複合素子、モジュール素子の他、積層チップコンデンサ等のコンデンサやインダクタ等が挙げられ、コンデンサやインダクタ等の電極部分にも適用することができる。
また、本発明の導電性材料は、抵抗体ペーストや抵抗体の導電性材料に限らず、あらゆる用途の導電性材料として利用することができ、例えば直接基板上に本発明の導電性材料を含むパターンを形成し、電極や配線として利用することも可能である。
以下、本発明を適用した具体的な実施例について、実験結果に基づいて説明する。なお、本発明は以下の実施例の記載に限定されるものではない。
<導電性材料の作製>
Ru系ペロブスカイト型複合酸化物である、基本組成がA(1-x)Mg(x)RuO3で表される化合物において、任意元素AとしてCa、Sr、Baを用い、Mgの比率xがx=0.0〜1.0となるように、CaCO3、SrCO3、BaCO3、MgCO3粉末及びRuO2粉末を所定量秤量し、ボールミルにて混合し、乾燥した。
Ru系ペロブスカイト型複合酸化物である、基本組成がA(1-x)Mg(x)RuO3で表される化合物において、任意元素AとしてCa、Sr、Baを用い、Mgの比率xがx=0.0〜1.0となるように、CaCO3、SrCO3、BaCO3、MgCO3粉末及びRuO2粉末を所定量秤量し、ボールミルにて混合し、乾燥した。
得られた粉末を5℃/分の速度で1200℃まで昇温し、その温度に5時間保持して焼成した後、5℃/分の速度で室温まで冷却することによってRu系複合酸化物の粉末を得た。得られた粉末をボールミルにて粉砕し、試料A〜Jを得た。得られた導電性材料(Ru系複合酸化物)を表1に示す。
<ガラス組成物の作製>
B2O3、SiO2、CaCO3、BaCO3、Al2O3、ZnO、ZrO2等の化合物を所定量秤量し、ボールミルにて混合した後、乾燥した。得られた粉末を5℃/分の速度で1300℃まで昇温し、その温度に1時間保持した後、水中に投入することによって急冷し、ガラス化した。得られたガラス化物をボールミルで粉砕し、試料a〜eのガラス組成物粉末を得た。作製したガラス組成物の組成を表2に示す。
B2O3、SiO2、CaCO3、BaCO3、Al2O3、ZnO、ZrO2等の化合物を所定量秤量し、ボールミルにて混合した後、乾燥した。得られた粉末を5℃/分の速度で1300℃まで昇温し、その温度に1時間保持した後、水中に投入することによって急冷し、ガラス化した。得られたガラス化物をボールミルで粉砕し、試料a〜eのガラス組成物粉末を得た。作製したガラス組成物の組成を表2に示す。
<添加物>
添加物として、CuO、NiO、MgO等を用いた。
添加物として、CuO、NiO、MgO等を用いた。
<有機ビヒクルの作製>
バインダとしてエチルセルロース、有機溶剤としてテルピネオールを用い、有機溶剤を加熱撹拌しながらバインダを溶かして、有機ビヒクルを作製した。
バインダとしてエチルセルロース、有機溶剤としてテルピネオールを用い、有機溶剤を加熱撹拌しながらバインダを溶かして、有機ビヒクルを作製した。
<抵抗体ペーストの作製>
前述の導電性材料の粉末と、ガラス組成物粉末、添加物、及び有機ビヒクルを各組成となるように秤量し、3本ロールミルで混練し、抵抗体ペーストを得た。なお、導電性材料粉末、ガラス組成物粉末及び添加物粉末の合計重量と有機ビヒクルの重量の比は、得られた抵抗体ペーストがスクリーン印刷に適した粘度となるように、重量比で1:0.25〜1:4の範囲で調合し、抵抗体ペーストを作製した。
前述の導電性材料の粉末と、ガラス組成物粉末、添加物、及び有機ビヒクルを各組成となるように秤量し、3本ロールミルで混練し、抵抗体ペーストを得た。なお、導電性材料粉末、ガラス組成物粉末及び添加物粉末の合計重量と有機ビヒクルの重量の比は、得られた抵抗体ペーストがスクリーン印刷に適した粘度となるように、重量比で1:0.25〜1:4の範囲で調合し、抵抗体ペーストを作製した。
<抵抗体の作製>
96%のアルミナ基板上に、Ag−Pt導体ペーストを所定形状にスクリーン印刷して乾燥させた。Ag−Pt導体ペーストにおけるAgの割合は95重量%、Ptの割合は5重量%とした。このアルミナ基板をベルト炉に入れ、投入から排出まで1時間のパターンで焼き付けを行った。この時の焼き付け温度は850℃、その温度での保持時間は10分間とした。
96%のアルミナ基板上に、Ag−Pt導体ペーストを所定形状にスクリーン印刷して乾燥させた。Ag−Pt導体ペーストにおけるAgの割合は95重量%、Ptの割合は5重量%とした。このアルミナ基板をベルト炉に入れ、投入から排出まで1時間のパターンで焼き付けを行った。この時の焼き付け温度は850℃、その温度での保持時間は10分間とした。
このようにして導体が形成されたアルミナ基板上に、先に作製した抵抗体ペーストをスクリーン印刷法にて所定の形状(1mm×1mmの方形状)のパターンで塗布し、乾燥した。その後、導体焼き付けと同じ条件で抵抗体ペーストを焼き付け、厚膜抵抗体を得た。
<抵抗体の特性評価>
(1)抵抗値
Agilent Technologies 社製の製品番号 34401Aにより測定。試料数24個の平均値を求めた。
(1)抵抗値
Agilent Technologies 社製の製品番号 34401Aにより測定。試料数24個の平均値を求めた。
(2)TCR
室温25℃を基準として、−55℃及び125℃へ温度を変えた時の抵抗値変化率を求めた。試料数10個の平均値である。−55℃、25℃、125℃の抵抗値をR-55、R25、R125(Ω/□)とおくと、TCR(ppm/℃)=[(R-55-R25)/R25/80]×1000000、あるいは、TCR(ppm/℃)=[(R125-R25)/R25/100]×1000000である。数値の大きい方をTCR値とした。
室温25℃を基準として、−55℃及び125℃へ温度を変えた時の抵抗値変化率を求めた。試料数10個の平均値である。−55℃、25℃、125℃の抵抗値をR-55、R25、R125(Ω/□)とおくと、TCR(ppm/℃)=[(R-55-R25)/R25/80]×1000000、あるいは、TCR(ppm/℃)=[(R125-R25)/R25/100]×1000000である。数値の大きい方をTCR値とした。
(3)STOL(短時間過負荷)
厚膜抵抗体に試験電圧を5秒間印加し、その前後における抵抗値の変化率を求めた。試料数10個の平均値である。試験電圧=2.5×定格電圧であり、定格電圧=√(R/8)、Rは抵抗値(Ω/□)である。計算した試験電圧が200Vを越える抵抗値を持つ抵抗体については、試験電圧を200Vにて行った。
厚膜抵抗体に試験電圧を5秒間印加し、その前後における抵抗値の変化率を求めた。試料数10個の平均値である。試験電圧=2.5×定格電圧であり、定格電圧=√(R/8)、Rは抵抗値(Ω/□)である。計算した試験電圧が200Vを越える抵抗値を持つ抵抗体については、試験電圧を200Vにて行った。
(4)恒温恒湿負荷試験
抵抗体の信頼性試験の一つである。厚膜抵抗体に15Vの電圧を印加しながら、85℃、85%RHの雰囲気に放置し、1000時間後の抵抗値変動を評価した。試験前後での抵抗値の変動をΔR(%)とすると、±1.0%以下であることが好ましい。
抵抗体の信頼性試験の一つである。厚膜抵抗体に15Vの電圧を印加しながら、85℃、85%RHの雰囲気に放置し、1000時間後の抵抗値変動を評価した。試験前後での抵抗値の変動をΔR(%)とすると、±1.0%以下であることが好ましい。
<導電性材料の検討>
導電性材料A〜Jを用いて試料1〜10を作製し、抵抗体の特性(抵抗値、TCR、STOL、恒温恒湿負荷試験)を評価した。抵抗体ペーストの組成及び抵抗体の特性の評価結果を表3に示す。なお、以下の各表においても同様であるが、本発明で規定する範囲を外れる試料(比較例に相当する。)には、*印を付してある。
導電性材料A〜Jを用いて試料1〜10を作製し、抵抗体の特性(抵抗値、TCR、STOL、恒温恒湿負荷試験)を評価した。抵抗体ペーストの組成及び抵抗体の特性の評価結果を表3に示す。なお、以下の各表においても同様であるが、本発明で規定する範囲を外れる試料(比較例に相当する。)には、*印を付してある。
表3から、基本組成がA(1-x)Mg(x)RuO3で表され、xが0<x<1の範囲内であるRu系複合酸化物を用いた試料2、3、4、5、8、10は、x=0である試料1、6及びx=1である試料7、9と比較して、TCR特性、STOL特性及び恒温恒湿負荷試験のいずれも改善していることがわかる。
<ガラス組成物の検討>
ガラス組成物b〜eを用い、導電性材料A又はCを用いて試料11〜18を作製し、抵抗体の特性(抵抗値、TCR、STOL、恒温恒湿負荷試験)を評価した。抵抗体ペーストの組成及び抵抗体の特性の評価結果を表4に示す。
ガラス組成物b〜eを用い、導電性材料A又はCを用いて試料11〜18を作製し、抵抗体の特性(抵抗値、TCR、STOL、恒温恒湿負荷試験)を評価した。抵抗体ペーストの組成及び抵抗体の特性の評価結果を表4に示す。
表4から、いずれのガラス組成物を用いた場合も、A(1-x)Mg(x)RuO3で表され、xが0.0<x<1.0であるRu系複合酸化物を用いた試料と、xが0である試料との比較から、A(1-x)Mg(x)RuO3で表され、xが0.0<x<1.0であるRu系複合酸化物を導電性材料として用いることによって、TCR特性及びSTOL特性の両方を向上させ、さらに恒温恒湿負荷特性にも優れることがわかる。
<添加物の検討>
抵抗体ペースト中に表5に示すように各種の添加物を含有させて試料19〜試料24を作製し、抵抗体の特性を評価した。試料19〜試料24の抵抗体ペーストの組成及び特性の評価結果を表5に示す。
抵抗体ペースト中に表5に示すように各種の添加物を含有させて試料19〜試料24を作製し、抵抗体の特性を評価した。試料19〜試料24の抵抗体ペーストの組成及び特性の評価結果を表5に示す。
表5から、いずれの添加物を用いた場合も、A(1-x)Mg(x)RuO3で表され、Ru系複合酸化物におけるxが0.0<x<1.0である試料と、xが0である試料との比較から、A(1-x)Mg(x)RuO3におけるxが0.0<x<1.0であるRu系複合酸化物を導電性材料として用いることによって、良好な特性を得られることがわかる。
<導電性材料及びガラス組成物の混合比の検討>
導電性材料とガラス組成物との混合比を表6に示すように変えて試料25〜試料29を作製し、抵抗体の特性を評価した。試料25〜試料29の抵抗体ペーストの組成及び特性の評価結果を表6に示す。
導電性材料とガラス組成物との混合比を表6に示すように変えて試料25〜試料29を作製し、抵抗体の特性を評価した。試料25〜試料29の抵抗体ペーストの組成及び特性の評価結果を表6に示す。
表6から、導電性材料とガラス組成物との混合比が重量比で7.6:92.4である試料25では、抵抗値が高くなりすぎてしまうのに対し、試料27及び試料29では、10kΩ/□以上の適度な抵抗値を示すとともに、導電性材料として基本組成がA(1-x)Mg(x)RuO3で表されるRu系複合酸化物におけるxがx=0であるものを用いた試料28及び試料30と比較してTCR特性及びSTOL特性の両立を図ることができ、さらに恒温恒湿負荷特性にも優れている。したがって、抵抗体ペースト中のガラス組成物や導電性材料等を合計した合計重量を100とした場合に、ガラス組成物の割合を47.7%〜90.6%とし、導電性材料の割合を9.4%〜53.3%の範囲内とすることが好ましいとわかる。
Claims (14)
- 基本組成がA(1-x)Mg(x)RuO3(ただし、式中Aは任意元素である。)で表され、0.0<x<1.0であるRu系複合酸化物を含有することを特徴とする導電性材料。
- 前記任意元素AがCa、Sr、Baから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1記載の導電性材料。
- 0.1≦x≦0.9であることを特徴とする請求項1記載の導電性材料。
- ガラス組成物及び導電性材料を含有し、これらが有機ビヒクルと混合されてなる抵抗体ペーストであって、
前記導電性材料が、基本組成がA(1-x)Mg(x)RuO3(ただし、式中Aは任意元素である。)で表され、0.0<x<1.0であるRu系複合酸化物を含有することを特徴とする抵抗体ペースト。 - 前記任意元素AがCa、Sr、Baから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項4記載の抵抗体ペースト。
- 0.1≦x≦0.9であることを特徴とする請求項4記載の抵抗体ペースト。
- 前記ガラス組成物が、主たる修飾酸化物成分としてCaO、SrO及びBaOから選ばれる少なくとも1種と、
網目形成酸化物成分としてB2O3及びSiO2から選ばれる少なくとも一種とを含有することを特徴とする請求項4記載の抵抗体ペースト。 - 前記ガラス組成物が、他の修飾酸化物成分として、ZrO2、Al2O3、ZnOから選ばれる少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項7記載の抵抗体ペースト。
- 添加物を含有することを特徴とする請求項4記載の抵抗体ペースト。
- 前記添加物が、CuO、NiO、MgOから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項9記載の抵抗体ペースト。
- 前記ガラス組成物、導電性材料、及び添加物を合計した合計重量を100とした場合に、前記ガラス組成物の割合が47.7%〜90.6%、前記導電性材料の割合が9.4%〜53.3%、前記添加物の割合が0〜27.2%であることを特徴とする請求項4記載の抵抗体ペースト。
- 前記ガラス組成物、導電性材料、及び添加物を合計した合計重量と、前記有機ビヒクルの重量との比率が、1:0.25〜1:4であることを特徴とする請求項4記載の抵抗体ペースト。
- 請求項4乃至12のいずれか一項記載の抵抗体ペーストを用いて形成されたことを特徴とする抵抗体。
- 請求項13記載の抵抗体を有することを特徴とする電子部品。
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