JP2005209747A - 抵抗体ペースト及びその製造方法、抵抗体、電子部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】 例えば10kΩ/□以下の低い抵抗値を有する抵抗体において、温度特性(TCR)及び信頼性の両立を図る。
【解決手段】 RuO2を含有する導電性材料及びTCR調整剤を含有し、これらが有機ビヒクルと混合されてなる抵抗体ペーストである。RuO2及びTCR調整剤の少なくとも一部が互いに固溶した状態とされている。RuO2とTCR調整剤を固溶状態とするには、RuO2及びTCR調整剤を混合した混合物を焼成し、RuO2及びTCR調整剤を少なくとも一部互いに固溶させる。
【選択図】 なし
【解決手段】 RuO2を含有する導電性材料及びTCR調整剤を含有し、これらが有機ビヒクルと混合されてなる抵抗体ペーストである。RuO2及びTCR調整剤の少なくとも一部が互いに固溶した状態とされている。RuO2とTCR調整剤を固溶状態とするには、RuO2及びTCR調整剤を混合した混合物を焼成し、RuO2及びTCR調整剤を少なくとも一部互いに固溶させる。
【選択図】 なし
Description
本発明は、導電性材料としてRuO2を含有する抵抗体ペースト及びその製造方法、抵抗体ペーストを用いて形成される抵抗体、電子部品に関する。
例えば抵抗体ペーストは、一般に、抵抗値の調節及び結合性を与えるためのガラス組成物と、導電性材料と、有機ビヒクルとを主たる成分として構成されており、これを基板上に印刷した後、焼成することによって、厚さ5〜20μm程度の厚膜抵抗体が形成される。そして、この種の抵抗体ペースト(厚膜抵抗体)においては、通常、導電性材料として酸化ルテニウム(RuO2)や鉛ルテニウム酸化物等が用いられ、ガラスとして酸化鉛(PbO)系ガラス等が用いられている。
近年、環境問題が盛んに議論されてきており、鉛等の有害物質の電子部品からの排除が進められている。前記抵抗体ペーストや厚膜抵抗体も例外ではなく、鉛フリーとするための研究が行われている。例えば特許文献1には、抵抗体ペーストに例えばCaTiO3を0vol%超、13vol%以下、若しくはNiOを0vol%超、12vol%以下含有させることが好ましく、さらにはCuO、ZnO、MgO等の添加物を同時に添加させることが好ましい旨の記述があり、それにより、高い抵抗値を有しながらも、抵抗値の温度特性(TCR)および耐電圧特性(STOL)が小さい抵抗体を得ることに適した鉛フリーの抵抗体ペーストを提供することが可能であるとされている。
特開2003−197405号公報
ところで、抵抗体ペーストの鉛フリー化における課題の一つとして、低抵抗(10kΩ/□以下)の抵抗体において、温度特性(TCR)及び経時変化等の信頼性の両立が挙げられる。抵抗体ペースト中のガラス組成物を鉛フリーとすると、抵抗体の抵抗値を下げることが困難となる。特に100Ω/□以下の低抵抗値の抵抗体を形成する場合、抵抗値を下げるために導電性材料の含有量を(大幅に)増加させる必要があるため、抵抗体に占める導電性材料及び添加物の割合が過剰に大きくなる。その結果、ガラス組成物による結着力が不十分となり、経時変化等の信頼性が損なわれる。
また、抵抗値の低下を目的として導電性材料の含有量を増加させると、導電性材料のTCRはプラスの値をとるため、結果として抵抗体のTCRもプラス側の大きな値をとるという不都合がある。このとき、添加物として金属酸化物をさらに多量に添加することによりTCRを所定の値以下に調整する必要があるが、これによって前述のようにガラス組成物による結着力が不足し、経時変化等の信頼性の低下を招くことになる。
そこで本発明はこのような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、例えば10kΩ/□以下の低い抵抗値を有し、温度特性(TCR)及び信頼性の両立を図ることができる抵抗体ペースト及びその製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、前記抵抗体ペーストを用いて作製された抵抗体、さらにはこの抵抗体を有する電子部品を提供することを目的とする。
本発明者らは、温度特性(TCR)及び信頼性の両立が可能な抵抗体ペーストについて長期に亘り研究を重ねた結果、TCR調整剤の少なくとも一部を固溶したRuO2を導電性材料として用いることが有効であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明に係る抵抗体ペーストは、RuO2を含有する導電性材料及びTCR調整剤を含有し、これらが有機ビヒクルと混合されてなる抵抗体ペーストであって、前記RuO2及び前記TCR調整剤の少なくとも一部が互いに固溶した状態とされていることを特徴とする。また、本発明に係る抵抗体は、RuO2を含有する導電性材料、TCR調整剤及びガラス組成物を含有する抵抗体であって、前記RuO2及び前記TCR調整剤の少なくとも一部が互いに固溶した状態とされていることを特徴とする。また、本発明に係る電子部品は、前記抵抗体を有することを特徴とする。
RuO2及びTCR調整剤の少なくとも一部が互いに固溶した状態とした抵抗体ペーストは、従来のように導電性材料としてのRuO2とTCR調整剤とが互いに固溶していない状態の抵抗体ペーストと比較して、例えば10kΩ/□以下の低抵抗で、TCR特性、信頼性が両立される。
また、本発明に係る抵抗体ペーストの製造方法は、RuO2を含有する導電性材料及びTCR調整剤を含有し、これらが有機ビヒクルと混合されてなる抵抗体ペーストの製造方法であって、前記RuO2及び前記TCR調整剤を混合した混合物を焼成し、前記RuO2及び前記TCR調整剤を少なくとも一部互いに固溶させることを特徴とする。
以上のような抵抗体ペーストの製造方法では、焼成前にRuO2とTCR調整剤とを予め混合しておくことで、RuO2及びTCR調整剤の少なくとも一部が固溶した状態を形成することができる。
本発明の抵抗体ペーストは、低抵抗でTCR特性及び信頼性を両立することが可能な抵抗体を得ることができる。したがって、本発明によれば、低抵抗で温度特性(TCR)及び信頼性に優れた抵抗体、電子部品を提供することが可能である。
また、本発明の抵抗体ペーストの製造方法によれば、低抵抗でTCR特性及び信頼性を両立することが可能な抵抗体ペーストを得ることができる。
以下、本発明に係る抵抗体ペースト及びその製造方法、抵抗体ペーストを用いて形成される抵抗体、及び抵抗体を有する電子部品について説明する。
本発明の抵抗体ペーストは、ガラス組成物、RuO2を含有する導電性材料及びTCR調整剤を含有し、これらが有機ビヒクルと混合されてなり、RuO2及びTCR調整剤の少なくとも一部が互いに固溶した状態とされているものである。ここで、TCR調整剤は、RuO2に対して一部が固溶した状態、全量が固溶した状態のいずれでもかまわないが、従来の抵抗体ペーストのようにRuO2及びTCR調整剤が互いに固溶せずに抵抗体ペースト中に存在する場合に比べてTCR調整剤の含有量を低減できることから、RuO2に対して全量が固溶した状態とすることが好ましい。
RuO2に少なくとも一部が固溶されるTCR調整剤は、MnO、MnO2、Mn3O4、TiO2、Fe2O3、Cr2O3、Sc2O3、V2O5、Nb2O3、WO3、SnO2、CeO2、Eu2O3、Gd2O3、Tb4O7、Ho2O3、Er2O3、Tm2O3、Yb2O3、Lu2O3、CuO、ZnO、NiOから選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。これらTCR調整剤は、単独で用いてもTCR特性の調整を行うことができるが、これらを複数種類適当に組み合わせて用いることで、TCR特性の合わせ込みを容易とすることができる。中でも低抵抗値を有する抵抗体を実現するのに有効であることから、TCR調整剤としてMnO、MnO2、Mn3O4から選ばれる少なくとも一種を用いることが好ましい。
抵抗体ペースト中の導電性材料の含有量は、ガラス組成物、導電性材料、及び添加物の合計重量を100重量%とした場合に、16.3重量%〜59.1重量%とするのが好ましい。導電性材料の含有量が前記範囲を下回る場合、抵抗値が高くなりすぎてしまい、抵抗体ペーストとしての使用に適さなくなるおそれがある。逆に、導電性材料の含有量が前記範囲を越えると、ガラス組成物による導電性材料の結着が不十分になり、信頼性が低下するおそれがある。
ガラス組成物は、特に限定されないが、本発明では環境保全上、鉛を実質的に含まない鉛フリーのガラス組成物を用いることが好ましい。なお、本発明において、「鉛を実質的に含まない」とは、不純物レベルとは言えない量を越える鉛を含まないことを意味し、不純物レベルの量(例えば、ガラス組成物中の含有量が0.05重量%以下程度)であれば含有されていてもよい趣旨である。鉛は、不可避不純物として極微量程度に含有されることがある。
ガラス組成物は、抵抗体とされたとき、抵抗体中で導電性材料及び添加物を基板と結着させる役割を持つ。ガラス組成物は、原料として、修飾酸化物成分、網目形成酸化物成分等を混合して用いることができる。主たる修飾酸化物成分としては、アルカリ土類酸化物、具体的にはCaO、SrO、BaOから選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。また、網目形成酸化物成分としては、B2O3及びSiO2を挙げることができる。また、前記主たる修飾酸化物成分の他、その他の修飾酸化物成分として、任意の酸化物を用いることができる。具体的な酸化物は、例えばAl2O3、ZrO2、MgO、TiO2、SnO2、K2O、Na2O、Li2O、CuO、NiO、ZnO、CoO、MnO、Fe2O3、Cr2O3、Y2O3、V2O5等から選ばれる少なくとも一種であり、中でもZrO2、Al2O3、ZnO、MnOから選ばれる少なくとも一種であることが好ましく、低抵抗の抵抗体を得やすいことから、MnOを用いることが特に好ましい。
なお、ガラス組成物においては、各酸化物はそのままの形で含有されるわけではなく、例えば複合酸化物の形態となっているものと推測される。しかしながら、本明細書においては、ガラス組成物における組成の表記は、通例にしたがい、各酸化物に換算したときの値として表記する。例えば、厚膜抵抗体ペーストや厚膜抵抗体に含まれるガラス組成物は、厳密に言えばCaをCaOの形態のまま含有するわけではない。また、Ca原料は、通常はCaCO3の形で原料組成に添加される。したがって、「CaO10〜30重量%」とは、ガラス組成物を構成する酸化物がCaをCaO換算で10〜30重量%含有するという意味である。
ガラス組成物における各成分の含有量にはそれぞれ最適範囲が存在し、例えば主たる修飾酸化物成分の含有量が少なすぎると、導電性材料との反応性が低下し、TCR特性を劣化させるおそれがある。逆に、主たる修飾酸化物成分の含有量が多すぎる場合、抵抗体を形成した時に、過剰な金属酸化物の析出が起こり、特性、信頼性を劣化させるおそれがある。網目形成酸化物成分の含有量が少ない場合、ガラスの作製が困難となるおそれがある。逆に、網目形成酸化物成分の含有量が多すぎる場合、ガラス組成物の耐水性が低下するため、抵抗体としたときの信頼性を著しく低下させるおそれがある。また、その他の修飾酸化物成分の含有量が少なすぎる場合、ガラス組成物の耐水性が低下するため、抵抗体としたときの信頼性を著しく低下させるおそれがある。逆に、その他の修飾酸化物成分の含有量が多すぎる場合、抵抗体を形成した時に、過剰な金属酸化物の析出が起こり、特性、信頼性を劣化させるおそれがある。
抵抗体ペースト中のガラス組成物の含有量は、導電性材料、ガラス組成物、添加物の合計の重量を100重量%とした時に、37.9重量%〜83.4重量%とするのが好ましい。含有量が少ない場合、導電性材料、添加物の結着が不十分となり、信頼性が著しく低下するおそれがある。逆に、ガラス組成物の含有量が前記範囲を越えると、抵抗値が高くなり過ぎてしまい、抵抗体ペーストとしての使用に適さなくなるおそれがある。
抵抗体ペーストには、前述のガラス組成物、導電性材料、導電性材料であるRuO2に固溶したTCR調整剤の他、特性の調整等を目的として、添加物が含まれていてもよい。抵抗体ペーストにおける添加物の含有量は、ガラス組成物、導電性材料、及び添加物の合計重量を100重量%とした場合に、0.3重量%〜5.4重量%とするのが好ましい。逆に、添加物の含有量が多すぎる場合、導電性材料、添加物の結着が不十分となり、信頼性が著しく低下するおそれがある。
添加物としては、任意の金属酸化物を用いることができる。具体的には、MgO、TiO2、SnO2、ZnO、CoO、CuO、NiO、MnO、MnO2、Mn3O4、Fe2O3、Cr2O3、Y2O3、V2O5等が挙げられる。中でも、CuO、NiO、MnO、MnO2、Mn3O4、ZnOが好ましく、低抵抗値を有する抵抗体を実現するためには、特にCuO、Mn3O4、ZnOを用いることが好ましい。
有機ビヒクルは、ガラス組成物、導電性材料と添加物とを混練しペースト化させる役割を有し、この種の抵抗体ペーストに用いられるものがいずれも使用可能である。有機ビヒクルは、バインダを有機溶剤中に溶解することによって調製されるものである。バインダとしては、特に限定されず、例えば、エチルセルロース、ポリビニルブチラール等、各種バインダから適宜選択すればよい。有機溶剤も限定されず、テルピネオール、ブチルカルビトール、アセトン、トルエン等、各種有機溶剤から適宜選択すればよい。さらに、抵抗体ペーストの物性を調節するために、分散剤等の各種添加剤を加えてもよい。
前記有機ビヒクルの配合比率であるが、ガラス組成物、導電性材料、及び添加物を合計した合計重量(W1)と、有機ビヒクルの重量(W2)の比率(W2/W1)が、0.25〜4(W2:W1=1:0.25〜1:4)であることが好ましい。より好ましくは、前記比率(W2/W1)が0.5〜2である。前記比率を外れると、抵抗体を例えば基板上に形成するのに適した粘度の抵抗体ペーストを得ることができなくなるおそれがある。
以下、本発明の抵抗体ペーストの製造方法について説明する。先ず、RuO2及びTCR調整剤を所定量秤量し、例えばボールミル等を用いて混合する。これらを混合する際には、乾式混合、湿式混合のいずれを採用することも可能であるが、良好な混合状態を得られることから湿式混合を採用することが好ましい。
次に、各種原料を混合した混合物を例えば大気中で焼成することにより、TCR調整剤の少なくとも一部を固溶したRuO2が得られる。焼成温度は600℃〜1400℃とすることが好ましい。焼成温度が前記範囲を下回ると、RuO2とTCR調整剤との固溶が不十分となるおそれがあり、逆に前記範囲を上回ると、RuO2が分解するおそれがある。
そして、得られたTCR調整剤の少なくとも一部を固溶したRuO2及びTCR調整剤と、ガラス組成物と、必要に応じて添加物とを、適当な有機ビヒクルと混合し、ペースト化することにより、抵抗体ペーストが得られる。
抵抗体を形成するには、前述の成分を含む抵抗体ペーストを例えば基板上にスクリーン印刷等の手法で印刷(塗布)し、850℃程度の温度で焼成すればよい。基板としては、Al2O3基板やBaTiO3基板の誘電体基板や、低温焼成セラミック基板、AlN基板等を用いることができる。基板形態としては、単層基板、複合基板、多層基板のいずれであってもよい。多層基板の場合、抵抗体は、表面に形成してもよいし、内部に形成してもよい。
抵抗体の形成に際しては、通常、基板に電極となる導電パターンを形成するが、この導電パターンは、例えば、AgやPt、Pd等を含むAg系の良導電材料を含む導電ペーストを印刷することにより形成することができる。また、形成した抵抗体の表面に、ガラス膜等の保護膜を形成してもよい。
本発明の抵抗体を適用可能な電子部品としては特に限定されないが、例えば単層または多層の回路基板、チップ抵抗器等の抵抗器、アイソレータ素子、C−R複合素子、モジュール素子の他、積層チップコンデンサ等のコンデンサやインダクタ等が挙げられ、コンデンサやインダクタ等の電極部分にも適用することができる。
以下、本発明を適用した具体的な実施例について、実験結果に基づいて説明する。なお、本発明は以下の実施例の記載に限定されるものではない。
導電性材料(比較例)
後述の導電性材料試料2の原料として用いるRuO2を、導電性材料試料1とする。
後述の導電性材料試料2の原料として用いるRuO2を、導電性材料試料1とする。
導電性材料の作製(実施例)
RuO2を100重量%としたとき、TCR調整剤としてMnO2を5重量%秤量し、これらを混合した(状態:RuO2、MnO2混合物)。この混合粉末を、アルミナポット及びZrO2ボールを用いたボールミルにて、16時間湿式混合し、混合物スラリーを得た(状態:RuO2、MnO2混合物)。溶媒としては純水を用いた。得られた混合物スラリーを120℃、空気中で乾燥し、混合粉末を得た(状態:RuO2、MnO2混合物)。
RuO2を100重量%としたとき、TCR調整剤としてMnO2を5重量%秤量し、これらを混合した(状態:RuO2、MnO2混合物)。この混合粉末を、アルミナポット及びZrO2ボールを用いたボールミルにて、16時間湿式混合し、混合物スラリーを得た(状態:RuO2、MnO2混合物)。溶媒としては純水を用いた。得られた混合物スラリーを120℃、空気中で乾燥し、混合粉末を得た(状態:RuO2、MnO2混合物)。
前記混合粉末を大気中で5℃/分の速度で900℃まで昇温し、その温度に5時間保持して仮焼きした(状態:Mnを一部固溶したRuO2、MnO2混合物)。次に、得られたMnを一部固溶したRuO2及びMnO2混合物を、アルミナポット及びZrO2ボールを用いたボールミルにて64時間湿式粉砕した(状態:Mnを一部固溶したRuO2、MnO2混合物)。溶媒としては純水を用いた。次に、得られたスラリーを120℃、空気中で乾燥させ、抵抗体ペーストに用いる導電性材料試料2(状態:Mnを一部固溶したRuO2、MnO2混合物)を得た。
ガラス組成物の作製
CaO、B2O3、SiO2、MnO等の化合物を所定量秤量し、ボールミルにて混合した後、乾燥した。得られた粉末を5℃/分の速度で1300℃まで昇温し、その温度に1時間保持した後、水中に投入することによって急冷し、ガラス化した。得られたガラス化物をボールミルで粉砕し、ガラス組成物粉末を得た。化合物の使用量は以下のとおりである。
CaO:B2O3:SiO2:MnO=30:35:25:10(mol%)
CaO、B2O3、SiO2、MnO等の化合物を所定量秤量し、ボールミルにて混合した後、乾燥した。得られた粉末を5℃/分の速度で1300℃まで昇温し、その温度に1時間保持した後、水中に投入することによって急冷し、ガラス化した。得られたガラス化物をボールミルで粉砕し、ガラス組成物粉末を得た。化合物の使用量は以下のとおりである。
CaO:B2O3:SiO2:MnO=30:35:25:10(mol%)
添加物
添加物として、CuO、Mn3O4、ZnOを用いた。
添加物として、CuO、Mn3O4、ZnOを用いた。
有機ビヒクルの作製
バインダとしてエチルセルロース、有機溶剤としてテルピネオールを用い、有機溶剤を加熱撹拌しながらバインダを溶かして、有機ビヒクルを作製した。
バインダとしてエチルセルロース、有機溶剤としてテルピネオールを用い、有機溶剤を加熱撹拌しながらバインダを溶かして、有機ビヒクルを作製した。
抵抗体ペーストの作製
前述の導電性材料の粉末と、ガラス組成物粉末、添加物、及び有機ビヒクルを各組成となるように秤量し、3本ロールミルで混練し、抵抗体ペーストを得た。なお、導電性材料粉末、ガラス組成物粉末及び添加物粉末の合計重量と有機ビヒクルの重量の比は、得られた抵抗体ペーストがスクリーン印刷に適した粘度となるように、重量比で1:0.25〜1:4の範囲で調合し、抵抗体ペーストを作製した。
前述の導電性材料の粉末と、ガラス組成物粉末、添加物、及び有機ビヒクルを各組成となるように秤量し、3本ロールミルで混練し、抵抗体ペーストを得た。なお、導電性材料粉末、ガラス組成物粉末及び添加物粉末の合計重量と有機ビヒクルの重量の比は、得られた抵抗体ペーストがスクリーン印刷に適した粘度となるように、重量比で1:0.25〜1:4の範囲で調合し、抵抗体ペーストを作製した。
抵抗体の作製
96%のアルミナ基板上に、Ag−Pt導体ペーストを所定形状にスクリーン印刷して乾燥させた。Ag−Pt導体ペーストにおけるAgの割合は95重量%、Ptの割合は5重量%とした。このアルミナ基板をベルト炉に入れ、投入から排出まで1時間のパターンで焼き付けを行った。この時の焼き付け温度は850℃、その温度での保持時間は10分間とした。
96%のアルミナ基板上に、Ag−Pt導体ペーストを所定形状にスクリーン印刷して乾燥させた。Ag−Pt導体ペーストにおけるAgの割合は95重量%、Ptの割合は5重量%とした。このアルミナ基板をベルト炉に入れ、投入から排出まで1時間のパターンで焼き付けを行った。この時の焼き付け温度は850℃、その温度での保持時間は10分間とした。
このようにして導体が形成されたアルミナ基板上に、先に作製した抵抗体ペーストをスクリーン印刷法にて所定の形状(1mm×1mmの方形状)のパターンで塗布し、乾燥した。その後、導体焼き付けと同じ条件で抵抗体ペーストを焼き付け、厚膜抵抗体を得た。それぞれの導電性材料について、抵抗値が10Ω付近となるようにペースト組成比を調整して抵抗体を作製し、以下のように特性の評価を行った。
抵抗体の特性評価
(1)抵抗値
Agilent Technologies 社製の製品番号 34401Aにより測定。試料数24個の平均値を求めた。
(1)抵抗値
Agilent Technologies 社製の製品番号 34401Aにより測定。試料数24個の平均値を求めた。
(2)TCR
室温25℃を基準として、−55℃及び125℃へ温度を変えた時の抵抗値変化率を求めた。試料数10個の平均値である。−55℃、25℃、125℃の抵抗値をR-55、R25、R125(Ω/□)とおくと、TCR(ppm/℃)=[(R-55-R25)/R25/80]×1000000、あるいは、TCR(ppm/℃)=[(R125-R25)/R25/100]×1000000である。数値の大きい方をTCR値とした。
室温25℃を基準として、−55℃及び125℃へ温度を変えた時の抵抗値変化率を求めた。試料数10個の平均値である。−55℃、25℃、125℃の抵抗値をR-55、R25、R125(Ω/□)とおくと、TCR(ppm/℃)=[(R-55-R25)/R25/80]×1000000、あるいは、TCR(ppm/℃)=[(R125-R25)/R25/100]×1000000である。数値の大きい方をTCR値とした。
(3)経時変化
厚膜抵抗体を85℃、85%RHの雰囲気に放置し、1000時間後の抵抗値変動率を求めた。経時変化≦±1.0%が特性の基準となる。
厚膜抵抗体を85℃、85%RHの雰囲気に放置し、1000時間後の抵抗値変動率を求めた。経時変化≦±1.0%が特性の基準となる。
導電性材料試料1又は導電性材料試料2を含有する抵抗体ペーストを用いて試料1及び試料2を作製し、抵抗体の特性(抵抗値、TCR、経時変化)を評価した。抵抗体ペーストの組成及び抵抗体の特性の評価結果を表1に示す。
表1から、10Ω付近の低抵抗値を有する抵抗体とした場合、焼成前に予めRuO2とTCR調整剤を混合し、焼成したものを用いた試料2は、RuO2を単独で用いた試料1と比較して、TCR特性及び経時変化のいずれも改善していることがわかる。
各種TCR調整剤についての検討
TCR調整剤として表2に示す酸化物を用い、他は導電性材料の作製の項で説明したのと同様の方法により、導電性材料(試料A〜試料L)を作製した。なお、表2中において、各酸化物の混合重量はRuO2を100重量%としたときの混合%である。
TCR調整剤として表2に示す酸化物を用い、他は導電性材料の作製の項で説明したのと同様の方法により、導電性材料(試料A〜試料L)を作製した。なお、表2中において、各酸化物の混合重量はRuO2を100重量%としたときの混合%である。
これら導電性材料(試料A〜試料L)を用い、抵抗体を作製し、得られた抵抗体の特性を評価した。結果を表3に示す。なお、表3において、導電性材料として試料Aを用いた試料(表中*を付与した試料)は、比較例に相当する。
この表3からも明らかなように、各種TCR調整剤をRuO2と固溶させることで、経時変化が抑えられている。
Claims (16)
- RuO2を含有する導電性材料、TCR調整剤及びガラス組成物を含有し、これらが有機ビヒクルと混合されてなる抵抗体ペーストであって、
前記RuO2及び前記TCR調整剤の少なくとも一部が互いに固溶した状態とされていることを特徴とする抵抗体ペースト。 - 前記TCR調整剤が、MnO、MnO2、Mn3O4、TiO2、Fe2O3、Cr2O3、Sc2O3、V2O5、Nb2O5、WO3、SnO2、CeO2、Eu2O3、Gd2O3、Tb4O7、Ho2O3、Er2O3、Tm2O3、Yb2O3、Lu2O3、CuO、ZnO、NiOから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1記載の抵抗体ペースト。
- 前記TCR調整剤が、MnO、MnO2、Mn3O4から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項2記載の抵抗体ペースト。
- 前記ガラス組成物が、主たる修飾酸化物成分としてCaO、SrO及びBaOから選ばれる少なくとも1種と、
網目形成酸化物成分としてB2O3及びSiO2から選ばれる少なくとも一種とを含有することを特徴とする請求項3記載の抵抗体ペースト。 - 前記ガラス組成物が、他の修飾酸化物成分として、ZrO2、Al2O3、ZnO、MnO、MnO2から選ばれる少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項4記載の抵抗体ペースト。
- 添加物をさらに含有することを特徴とする請求項1記載の抵抗体ペースト。
- 前記添加物が、CuO、Mn3O4、ZnOから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項6記載の抵抗体ペースト。
- ガラス組成物、導電性材料、及び添加物を合計した合計重量と、前記有機ビヒクルの重量との比率が、1:0.25〜1:4であることを特徴とする請求項1記載の抵抗体ペースト。
- RuO2を含有する導電性材料及びTCR調整剤を含有し、これらが有機ビヒクルと混合されてなる抵抗体ペーストの製造方法であって、
前記RuO2及び前記TCR調整剤を混合した混合物を焼成し、前記RuO2及び前記TCR調整剤を少なくとも一部互いに固溶させることを特徴とする抵抗体ペーストの製造方法。 - 前記TCR調整剤として、MnO、MnO2、Mn3O4、TiO2、Fe2O3、Cr2O3、Sc2O3、V2O5、Nb2O5、WO3、SnO2、CeO2、Eu2O3、Gd2O3、Tb4O7、Ho2O3、Er2O3、Tm2O3、Yb2O3、Lu2O3から選ばれる少なくとも一種を用いることを特徴とする請求項9記載の抵抗体ペーストの製造方法。
- 前記RuO2及び前記TCR調整剤を、湿式混合することを特徴とする請求項9記載の抵抗体ペーストの製造方法。
- 前記焼成を600℃〜1400℃で行うことを特徴とする請求項9記載の抵抗体ペーストの製造方法。
- RuO2を含有する導電性材料、TCR調整剤及びガラス組成物を含有する抵抗体であって、
前記RuO2及び前記TCR調整剤の少なくとも一部が互いに固溶した状態とされていることを特徴とする抵抗体。 - 請求項1乃至8のいずれか1項記載の抵抗体ペーストを用いて形成されたことを特徴とする請求項13記載の抵抗体。
- 10kΩ/□以下の抵抗値を有することを特徴とする請求項13又は14記載の抵抗体。
- 請求項13乃至15のいずれか1項記載の抵抗体を有することを特徴とする電子部品。
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JP2004012491A JP2005209747A (ja) | 2004-01-20 | 2004-01-20 | 抵抗体ペースト及びその製造方法、抵抗体、電子部品 |
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2004
- 2004-01-20 JP JP2004012491A patent/JP2005209747A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006248815A (ja) * | 2005-03-09 | 2006-09-21 | Sumitomo Metal Mining Co Ltd | Ru−Mn−O微粉末、その製造方法、及びそれを用いた厚膜抵抗体組成物 |
JP4692028B2 (ja) * | 2005-03-09 | 2011-06-01 | 住友金属鉱山株式会社 | Ru−Mn−O微粉末、その製造方法、及びそれを用いた厚膜抵抗体組成物 |
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