JP2006261349A - 抵抗体ペースト及び抵抗体、 - Google Patents
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Abstract
【課題】 所望の抵抗値を示すとともに、優れたTCR特性等を実現する抵抗体を形成可能とする。
【解決手段】 Ru複合酸化物及びガラス組成物を含有する抵抗体組成物が有機ビヒクル中に分散されてなる抵抗体ペーストであって、前記抵抗体組成物がアルカリ金属酸化物を含有する。前記ガラス組成物の成分として前記アルカリ金属酸化物を含有することが好ましい。前記アルカリ金属酸化物がLi酸化物、K酸化物、Na酸化物から選ばれる少なくとも1種であり、前記ガラス組成物における前記アルカリ金属酸化物の含有量が、Li2O、K2O又はNa2Oに換算して、0〜20モル%(ただし0は含まず。)である。
【選択図】 なし
【解決手段】 Ru複合酸化物及びガラス組成物を含有する抵抗体組成物が有機ビヒクル中に分散されてなる抵抗体ペーストであって、前記抵抗体組成物がアルカリ金属酸化物を含有する。前記ガラス組成物の成分として前記アルカリ金属酸化物を含有することが好ましい。前記アルカリ金属酸化物がLi酸化物、K酸化物、Na酸化物から選ばれる少なくとも1種であり、前記ガラス組成物における前記アルカリ金属酸化物の含有量が、Li2O、K2O又はNa2Oに換算して、0〜20モル%(ただし0は含まず。)である。
【選択図】 なし
Description
本発明は、Ru複合酸化物及びガラス組成物を含有する抵抗体ペーストに関し、さらにはかかる抵抗体ペーストを用いて形成される抵抗体に関する。
絶縁材料(ガラス)や導電性材料を含む厚膜抵抗体ペーストを基板上に塗布し焼成することによって形成される抵抗体においては、通常、導電性材料として酸化ルテニウム(RuO2)や鉛ルテニウム複合酸化物(Pb2Ru2O6)等の粒子(導電粒子)が用いられ、ガラスとしてPbO系ガラスが用いられている。ガラスは、導電粒子と基板との結着剤としての機能を果たし、これら導電粒子とガラスの比率によって抵抗値調整が可能である。
近年、環境問題が盛んに議論されており、例えばはんだ材料等においては、鉛を排除することが求められている。抵抗体も例外ではなく、したがって、環境に配慮した場合、PbO系ガラスは勿論のこと、導電性材料である鉛ルテニウム複合酸化物の使用も避けなければならない。このような状況から、使用するガラスや導電性材料から鉛を排除した鉛フリーの抵抗体ペーストについての研究がなされており、例えばRu複合酸化物は、酸化ルテニウムに比べて高い抵抗値を実現し得ることから、鉛ルテニウム複合酸化物に代わる導電性材料として有望視されている。
ところで、抵抗体ペーストを構成する導電性材料やガラス組成物として実質的に鉛を含まない材料を用いると、抵抗体の温度特性(TCR)特性が著しく悪化するという問題が生じる。そこで、例えば特許文献1においては、TCR特性の改善を目的としてWO3を添加物として加えている。また、例えば特許文献2や特許文献3には、鉛フリーの厚膜抵抗体のTCR特性等の改善を目的に、CaTiO3、NiO、BaTiO3等の添加物を抵抗体ペーストに含ませることが開示されている。
特開2002−198203号公報
特開2003−197405号公報
特開2004−356266号公報
しかしながら、特許文献2及び特許文献3によれば、抵抗体ペースト中に添加物を多量に含有させることで確かにTCRの改善が見られるものの、従来の鉛系抵抗体のTCRのレベルには未だ到達していない。そればかりか、CaTiO3、NiO、BaTiO3等の添加物の含有によって抵抗体組成物の組成が複雑になるので、抵抗体ペーストの設計上、支障をきたすおそれがある。また、添加物としてNiOを用いると、抵抗体のノイズ特性を悪化させる等、抵抗体の他の特性に悪影響を及ぼすおそれがある。さらに、添加物含有工程が追加されることになるので、抵抗体ペーストの作製の煩雑化も招く。
また、鉛フリーの抵抗体の前記導電性材料に用いられるRu複合酸化物は、抵抗体ペーストの状態、すなわちガラスと混合された状態で熱処理(焼成)を行うと、容易に分解されて酸化ルテニウムとなる。その結果、抵抗体において得られる抵抗値が所望の値から大きく外れるという問題がある。
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、TCR特性等に優れるとともに、所望の抵抗値を示す抵抗体を形成することが可能な抵抗体ペーストを提供することを目的とする。また、本発明は、前記抵抗体ペーストを用いた抵抗体を提供することを目的とする。
本発明者は、前述の目的を達成するために、長期に亘り鋭意研究を重ねてきた。その結果、アルカリ金属酸化物の使用がTCR特性の改善及び所望の抵抗値の実現に極めて有用であるとの知見を得るに至った。
本発明はこのような知見に基づいて完成されたものである。すなわち、本発明に係る抵抗体ペーストは、Ru複合酸化物及びガラス組成物を含有する抵抗体組成物が有機ビヒクル中に分散されてなる抵抗体ペーストであって、前記抵抗体組成物がアルカリ金属酸化物を含有することを特徴とする。また、本発明に係る抵抗体は、前記抵抗体ペーストを用いて形成されたことを特徴とする。
アルカリ金属酸化物の使用は、抵抗体ペーストを焼き付けて形成される抵抗体のTCRを改善する観点で、非常に有効である。抵抗体ペースト組成中にアルカリ金属酸化物を含ませておくことで、TCRが充分に改善される。したがって、CaTiO3、NiO、BaTiO3等のTCR調整剤は基本的には不要となり、抵抗体ペーストの組成が単純化される。また、アルカリ金属酸化物は他の特性、例えばノイズ特性等を劣化させることがない。
また、Ru複合酸化物とともにアルカリ金属酸化物を共存させることで、Ru複合酸化物の分解が抑制され、所望の抵抗値を示す抵抗体が得られる。Ru複合酸化物を含む抵抗体ペーストを焼き付けて抵抗体とした場合、容易に酸化ルテニウム等へ分解し、Ru複合酸化物本来の機能が失われる。その結果、抵抗値等が大きく変動し、所望の抵抗値から大きく外れる等の支障をきたす。アルカリ金属酸化物の使用は、このような不都合を解消することができる。
ここで、「抵抗体組成物がアルカリ金属酸化物を含有する」とは、抵抗体組成物がガラス組成物の成分としてアルカリ金属酸化物を含有する場合、抵抗体組成物が添加物としてアルカリ金属酸化物を含有する場合等のいずれの場合も含み、抵抗体組成物におけるアルカリ金属酸化物の存在形態を問わない趣旨である。
また、本発明に係る抵抗体ペーストは、前記ガラス組成物の成分として前記アルカリ金属酸化物を含有することが好ましい。
アルカリ金属酸化物は不安定な化合物であるため、基本的にはこれをガラス成分として安定な状態で存在させる。Ru複合酸化物は従来のガラス組成物と接触させた状態で熱処理を行うと容易に分解するが、アルカリ金属酸化物を含有するガラス組成物はそれ自体Ru複合酸化物分解抑制効果を有するため、焼成時のRu複合酸化物の分解を抑制し、焼成後の抵抗体中にRu複合酸化物を残存させることができる。また、ガラス組成物としてアルカリ金属酸化物を含有することで、ガラス組成物自体がTCR改善効果を持つので、TCR調整用の添加物が基本的に不要となる。
本発明によれば、TCR特性の改善を図るとともに、例えば導電性材料としてのRu複合酸化物の分解を抑制して所望の抵抗値を示す抵抗体を得ることができる。また、TCR調整用の添加物が基本的に不要となり、抵抗体ペーストの組成が単純化されるので、抵抗体ペーストの組成の設計自由度を高めることができる。さらには、TCR調整用の添加物の使用に起因するノイズ特性低下等の不都合を解消することもできる。
以下、本発明を適用した抵抗体ペースト及び抵抗体について詳細に説明する。
本発明の抵抗体ペーストは、導電性材料としてのRu複合酸化物と、ガラス組成物とを含み、これらの成分からなる抵抗体組成物が有機ビヒクルと混合されてなるものである。そして、本発明の抵抗体ペーストは、アルカリ金属酸化物を含む点に特徴がある。アルカリ金属酸化物の存在形態は問わないが、後述するように、ガラス組成物成分として存在させることが好ましい。
ここで、導電性材料は、絶縁体であるガラス組成物中に分散されることで、構造物である抵抗体に導電性を付与する役割を持つ。導電性材料としては、実質的に鉛を含まない導電性材料が用いられ、本発明ではRu複合酸化物が用いられる。Ru複合酸化物としては、CaRuO3、SrRuO3、BaRuO3、Bi2Ru2O7から選ばれる1種若しくは2種以上が好ましい。特に、導電性材料として、ABO3で表され、CaRuO3、SrRuO3、BaRuO3等のペロブスカイト型化合物を用いる場合に本発明を適用することが好ましい。導電性材料としては、前記Ru複合酸化物に加えて、RuO2を用いることもできる。
ガラス組成物は、抵抗体とされたとき、抵抗体中で導電性材料及び添加物を基板と結着させる役割を持つ。本発明では、前記アルカリ金属酸化物をガラス組成物として含有することが好ましい。抵抗体ペーストにおけるアルカリ金属の存在形態は問わないが、ガラス組成物の成分として含有することで、例えば添加物として含有する場合と比較してアルカリ金属酸化物を安定して存在させられる。その結果、TCR改善効果を効果的に得ることができる。また、その結果、Ru複合酸化物の分解を効果的に抑制することができる。アルカリ金属酸化物を含むガラス組成物自体がTCR改善機能及びRu複合酸化物の分解抑制機能を発揮するので、TCR調整やRu複合酸化物分解抑制を目的とする他の化合物の添加が不要となるか、あるいはその添加量を大幅に減少させることができる。その結果、抵抗体ペースト組成を単純化できる。また、添加物が不要となる場合、製造工程を簡略化できる。さらには、添加物に起因するノイズ特性の劣化等を生じないことも大きな利点である。
ガラス組成物におけるアルカリ金属酸化物の含有量には適正範囲が存在し、Li2O、K2O又はNa2Oに換算して、0〜20モル%(ただし0は含まず。)とすることが好ましい。アルカリ金属酸化物の含有量が20モル%を上回ると、抵抗体のTCR特性が大きく低下する傾向を示す。
なお、アルカリ金属酸化物を含有するガラス組成物を作製する際には、原料として不安定なLi2O、K2O、Na2O等のアルカリ金属酸化物をそのまま使用するのではなく、通常、LiCO3、KCO3、NaCO3等の炭酸塩を使用し、これらをその他のガラス成分の原料と混合し、ガラス化すればよい。
ガラス組成物としては、前述のアルカリ金属酸化物成分原料の他、原料である修飾酸化物成分、網目形成酸化物成分等を混合し、ガラス化したものを用いることができる。特に、主たる修飾酸化物成分として、アルカリ土類金属の酸化物、具体的にはCaO、SrO、BaOから選ばれる1種若しくは2種以上を用いた、いわゆるCaO系ガラスが好適である。また、主たる修飾酸化物成分として、ZnOを含むZnO系ガラス、Bi2O3を含むBi2O3系ガラス等も使用できる。
前記ガラス組成物におけるその他の成分であるが、網目形成酸化物成分としては、B2O3及びSiO2を挙げることができる。また、前記主たる修飾酸化物成分の他、その他の修飾酸化物成分として、任意の金属酸化物を用いることができる。具体的な金属酸化物としては、例えばZrO2、Al2O3、ZnO、CuO、NiO、CoO、MnO、Cr2O3、V2O5、MgO、TiO2、SnO2、Y2O3、Fe2O3、Ta2O5、Nb2O5等を挙げることができ、これらから選ばれる1種若しくは2種以上を用いればよい。中でも、ZrO2、Ta2O5、Nb2O5は、高抵抗を有する抵抗体ペースト用のガラス組成物の成分として好適な酸化物であり、これらを20モル%以下の範囲内で添加することが好ましい。
ガラス組成物は、本発明では環境保全上、やはり鉛を実質的に含まない鉛フリーのガラス組成物を用いることが好ましい。なお、本発明において、「鉛を実質的に含まない」とは、不純物レベルを越える鉛を含まないことを意味し、不純物レベルの量(例えば、ガラス組成物中の含有量が0.05質量%以下程度)であれば含有されていてもよい趣旨である。鉛は、不可避不純物として極微量程度に含有されることがある。
本発明の抵抗体ペーストは、前記導電性材料及びガラス組成物を抵抗体組成物における基本組成として含み、特に、ガラス組成物としてアルカリ金属酸化物を含有すればTCR調整用添加物、Ru複合酸化物分解抑制用の添加物が基本的に不要となるといった利点が得られるが、必要に応じて添加物を含んでもよい。
そして、本発明では、添加物としてアルカリ金属酸化物を抵抗体ペースト中に含ませてもよい。アルカリ金属酸化物を添加物として用いる場合も、ガラス組成物として含有する場合と同様に、Ru複合酸化物の分解抑制効果及びTCR改善効果を得ることができる。
また、添加物として、BaTiO3、SrTiO3、CaTiO3、MgTiO3等のアルカリ土類金属とTiとを含む複合酸化物、CoTiO3、NiTiO3等のペロブスカイト型結晶構造を持つ化合物が含まれていてもよい。先に説明したように、ガラス組成物としてアルカリ金属酸化物を含有していれば、他の添加物は基本的には不要となるが、必要に応じてこれらを添加してもよい。ガラス組成物としてアルカリ金属酸化物を含有しておけば、仮にBaTiO3等を添加する場合であってもその添加量を大幅に減少させることができる。また、BaTiO3等の分解を抑制し、本来の機能を発揮させることができる。
また、添加物として、金属材料を組み合わせて添加することも有効である。この場合、金属材料としては、任意の導電性金属の微粒子等が使用可能であるが、前記複合酸化物との組み合わせという観点からは、AgやPd等の単体金属の他、Ag−Pd等、AgやPdの合金等が好適である。
また、その他の添加物として、金属酸化物、特にCuO、Cu2O等を使用することで、STOLの改善を図ることができる。
前述の各成分を含む抵抗体成分については、組成も最適化することが好ましい。具体的には、抵抗体組成物の組成は、
導電性材料:30〜80質量%
ガラス組成物:10〜55質量%
金属材料:0〜20質量%
その他の添加物:0〜10質量%
であることが好ましい。
導電性材料:30〜80質量%
ガラス組成物:10〜55質量%
金属材料:0〜20質量%
その他の添加物:0〜10質量%
であることが好ましい。
前記抵抗体組成物の組成は、抵抗値の他、TCRやSTOLの観点から決められ、前記範囲とすることで、それぞれの抵抗値において、TCRやSTOLを確実に小さな値とすることができる。
前述の抵抗体組成物は、有機ビヒクル中に分散することで抵抗体ペーストとされるが、抵抗体ペースト用の有機ビヒクルとしては、この種の抵抗体ペーストに用いられるものがいずれも使用可能であり、例えば、エチルセルロース、ポリビニルブチラール、メタクリル樹脂、ブチルメタクリレート等のバインダ樹脂と、ターピネオール、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、トルエン、各種アルコール、キシレン等の溶剤とを混合して用いることができる。このとき、各種の分散剤や活性剤、可塑剤等を用途等に応じて適宜併用することも可能である。
前記有機ビヒクルの配合比率であるが、抵抗体組成物の質量(W1)と、有機ビヒクルの質量(W2)の比率(W2/W1)が、0.25〜4(W2:W1=1:0.25〜1:4)であることが好ましい。より好ましくは、前記比率(W2/W1)が0.5〜2である。前記比率を外れると、抵抗体を例えば基板上に形成するのに適した粘度の抵抗体ペーストを得ることができなくなるおそれがある。
抵抗体を形成するには、前述の成分を含む抵抗体ペーストを例えば基板上にスクリーン印刷等の手法で印刷(塗布)し、850℃程度の温度で焼成すればよい。基板としては、Al2O3基板やBaTiO3基板の誘電体基板や、低温焼成セラミック基板、AlN基板等を用いることができる。基板形態としては、単層基板、複合基板、多層基板のいずれであってもよい。多層基板の場合、抵抗体は、表面に形成してもよいし、内部に形成してもよい。
抵抗体の形成に際しては、通常、基板に電極となる導電パターンを形成するが、この導電パターンは、例えば、AgやPt,Pd等を含むAg系の良導電材料を含む導電ペーストを印刷することにより形成することができる。また、形成した抵抗体の表面に、ガラス膜等の保護膜(オーバーグレーズ)を形成してもよい。
本発明の抵抗体を適用可能な電子部品としては特に限定されないが、例えば単層または多層の回路基板、チップ抵抗器等の抵抗器、アイソレータ素子、C−R複合素子、モジュール素子の他、積層チップコンデンサ等のコンデンサやインダクタ等が挙げられ、コンデンサやインダクタ等の電極部分にも適用することができる。
以下、本発明の具体的な実施例について、実験結果に基づき説明する。
<ガラス組成物の作製>
B2O3、SiO2、CaCO3、SrCO3、BaCO3、ZrO2、Ta2O5、ZnO、Nb2O5、Bi2O3、LiCO3、KCO3、NaCO3等の原料を所定量秤量し、ボールミルにて混合して乾燥した。得られた粉末を5℃/分の速度で1300℃まで昇温しその温度を1時間保持した後に水中投下することによって急冷し、ガラス化した。得られたガラス化物をボールミルで粉砕し、ガラス粉末を得た。各成分の比率を変えることにより、各種のガラス組成物を作製した。
B2O3、SiO2、CaCO3、SrCO3、BaCO3、ZrO2、Ta2O5、ZnO、Nb2O5、Bi2O3、LiCO3、KCO3、NaCO3等の原料を所定量秤量し、ボールミルにて混合して乾燥した。得られた粉末を5℃/分の速度で1300℃まで昇温しその温度を1時間保持した後に水中投下することによって急冷し、ガラス化した。得られたガラス化物をボールミルで粉砕し、ガラス粉末を得た。各成分の比率を変えることにより、各種のガラス組成物を作製した。
<導電性材料>
導電性材料として、CaRuO3及びSrRuO3を用意した。
導電性材料として、CaRuO3及びSrRuO3を用意した。
<有機ビヒクルの作製>
バインダとしてエチルセルロース、有機溶剤としてターピネオールを用い、有機溶剤を加熱撹拌しながらバインダを溶かして、有機ビヒクルを作製した。
バインダとしてエチルセルロース、有機溶剤としてターピネオールを用い、有機溶剤を加熱撹拌しながらバインダを溶かして、有機ビヒクルを作製した。
<抵抗体ペーストの作製>
導電性材料、ガラス組成物及び有機ビヒクルを各組成となるように秤量し、3本ロールミルで混練し、抵抗体ペーストを得た。導電性材料とガラス組成物との割合は、導電性材料40質量%、ガラス組成物60質量%とした。なお、導電性材料及びガラス組成物粉末の合計質量と有機ビヒクルの質量の比は、得られた抵抗体ペーストがスクリーン印刷に適した粘度となるように、質量比で1:0.25〜1:4の範囲で調合し、抵抗体ペーストを作製した。
導電性材料、ガラス組成物及び有機ビヒクルを各組成となるように秤量し、3本ロールミルで混練し、抵抗体ペーストを得た。導電性材料とガラス組成物との割合は、導電性材料40質量%、ガラス組成物60質量%とした。なお、導電性材料及びガラス組成物粉末の合計質量と有機ビヒクルの質量の比は、得られた抵抗体ペーストがスクリーン印刷に適した粘度となるように、質量比で1:0.25〜1:4の範囲で調合し、抵抗体ペーストを作製した。
<抵抗体の作製>
純度96%のアルミナ基板上に、Ag−Pt導体ペーストを所定形状にスクリーン印刷して乾燥させた。Ag−Pt導体ペーストにおけるAgの割合は95質量%、Ptの割合は5質量%とした。このアルミナ基板をベルト炉に入れ、投入から排出まで1時間のパターンで焼き付けを行った。この時の焼き付け温度は850℃、その温度での保持時間は10分間とした。
純度96%のアルミナ基板上に、Ag−Pt導体ペーストを所定形状にスクリーン印刷して乾燥させた。Ag−Pt導体ペーストにおけるAgの割合は95質量%、Ptの割合は5質量%とした。このアルミナ基板をベルト炉に入れ、投入から排出まで1時間のパターンで焼き付けを行った。この時の焼き付け温度は850℃、その温度での保持時間は10分間とした。
このようにして導体が形成されたアルミナ基板上に、先に作製した抵抗体ペーストをスクリーン印刷法にて所定の形状(1mm×1mmの方形状)のパターンで塗布し、乾燥した。その後、導体焼き付けと同じ条件で抵抗体ペーストを焼き付け、抵抗体を得た。
<抵抗体の特性評価>
(1)抵抗値
Agilent Technologies 社製の製品番号 34401Aにより測定。試料数24個の平均値を求めた。
(1)抵抗値
Agilent Technologies 社製の製品番号 34401Aにより測定。試料数24個の平均値を求めた。
(2)TCR
室温25℃を基準として、−55℃及び125℃へ温度を変えた時の抵抗値変化率を求めた。試料数10個の平均値である。−55℃、25℃、125℃の抵抗値をR-55、R25、R125(Ω/□)とおくと、CTCR及びHTCRは以下のように表される。
CTCR(ppm/℃)=[(R-55−R25)/R25/80]×1000000
HTCR(ppm/℃)=[(R125−R25)/R25/100]×1000000
CTCR及びHTCRのうち絶対値の大きい方をTCR値とした。
室温25℃を基準として、−55℃及び125℃へ温度を変えた時の抵抗値変化率を求めた。試料数10個の平均値である。−55℃、25℃、125℃の抵抗値をR-55、R25、R125(Ω/□)とおくと、CTCR及びHTCRは以下のように表される。
CTCR(ppm/℃)=[(R-55−R25)/R25/80]×1000000
HTCR(ppm/℃)=[(R125−R25)/R25/100]×1000000
CTCR及びHTCRのうち絶対値の大きい方をTCR値とした。
<試料1〜試料17>
導電性材料としてCaRuO3又はSrRuO3を、ガラス組成物として下記表1に示す組成を有するCaO系ガラスを用いた。ガラス組成物が含有するアルカリ金属酸化物として、Li2O、K2O、Na2Oから適宜選択した。なお、試料1及び試料6は、アルカリ金属酸化物を含有しない例であり、本発明の比較例に相当する試料である。
導電性材料としてCaRuO3又はSrRuO3を、ガラス組成物として下記表1に示す組成を有するCaO系ガラスを用いた。ガラス組成物が含有するアルカリ金属酸化物として、Li2O、K2O、Na2Oから適宜選択した。なお、試料1及び試料6は、アルカリ金属酸化物を含有しない例であり、本発明の比較例に相当する試料である。
これら各試料における抵抗体組成物の組成及び特性評価結果を表1に示す。ガラス組成物の各成分の含有量をモル%で表す。なお、以下の表も同様であるが、表中の空欄は、当該成分を含有していないこと(含有量0)を表す。また、表中*印を付与した試料は、比較例に相当するものである。
表1から、Li2Oを含有しないガラス組成物を用いた試料1及び試料6は、LI2O含有ガラス組成物を用いた試料2〜5、試料7に比べて低い抵抗値を示すとともに、TCR特性が大幅に劣化していた。
また、試料1〜試料5に着目すると、ガラス組成物中のLi2Oの含有量を増やすにつれて抵抗体の抵抗値が高くなる傾向を示した。しかしながら、ガラス組成物中のLi2Oの含有量が22モル%である試料5は、試料2〜試料4に比べてTCR特性が大幅に悪化している。このことから、ガラス組成物におけるアルカリ金属酸化物の最適含有量は0〜20モル%(ただし0を含まず。)であることが確認された。
試料8〜試料12は、ガラス組成物中のアルカリ金属酸化物としてK2Oを含有する例である。アルカリ金属酸化物としてK2Oを含有する場合も、アルカリ金属酸化物を含有していない試料1及び試料6に比べて高い抵抗値を有し、TCR特性が良好な値を示している。また、K2Oを含有する場合も、Li2Oと同様に、ガラス組成物における含有量を0〜20モル%(ただし0を含まず。)の範囲内とすることが好ましいことがわかる。
試料13〜試料17は、ガラス組成物中のアルカリ金属酸化物としてNa2Oを含有する例である。アルカリ金属酸化物としてNa2Oを含有する場合も、Li2O又はK2Oを含有する場合と同様の傾向を示した。また、ガラス組成物における最適含有量も、Li2O又はK2Oを用いる場合と同様、0〜20モル%(ただし0を含まず。)であった。
<試料18〜試料20>
試料18〜試料20では、表2に示すSrO系ガラス組成物を用いた。これら各試料における抵抗体組成物の組成、及び特性評価結果を表2に示す。表2に示すように、SrO系ガラス組成物を用いる場合も、アルカリ金属酸化物を含有することで、高抵抗値を示すとともに良好なTCR特性が得られている。また、ZnO系ガラス組成物を用いる場合も良好なTCR特性が得られた。
試料18〜試料20では、表2に示すSrO系ガラス組成物を用いた。これら各試料における抵抗体組成物の組成、及び特性評価結果を表2に示す。表2に示すように、SrO系ガラス組成物を用いる場合も、アルカリ金属酸化物を含有することで、高抵抗値を示すとともに良好なTCR特性が得られている。また、ZnO系ガラス組成物を用いる場合も良好なTCR特性が得られた。
<試料21>
試料21は、ガラスの添加物としてNb2O5を含有する例である。CaO系ガラス組成物を用いた。この試料における抵抗体組成物の組成、及び特性評価結果を表3に示す。表3に示すように、ガラス組成物中のその他の金属酸化物成分をNb2O5に変更した場合であっても、本発明は有効であることが示された。
試料21は、ガラスの添加物としてNb2O5を含有する例である。CaO系ガラス組成物を用いた。この試料における抵抗体組成物の組成、及び特性評価結果を表3に示す。表3に示すように、ガラス組成物中のその他の金属酸化物成分をNb2O5に変更した場合であっても、本発明は有効であることが示された。
<試料22〜試料25>
さらに他の組成のガラス組成物についても検討を行った。試料22及び試料23は、Bi2O3系ガラス組成物を用いた例である。試料24及び試料25は、BaO系ガラス組成物を用いた例である。これら各試料における抵抗体組成物の組成、及び特性評価結果を表4に示す。表4から、アルカリ金属酸化物を含有することで、様々な組成のガラス組成物であっても、抵抗体の抵抗値低下を抑制し、良好なTCR特性を実現できることが示された。
さらに他の組成のガラス組成物についても検討を行った。試料22及び試料23は、Bi2O3系ガラス組成物を用いた例である。試料24及び試料25は、BaO系ガラス組成物を用いた例である。これら各試料における抵抗体組成物の組成、及び特性評価結果を表4に示す。表4から、アルカリ金属酸化物を含有することで、様々な組成のガラス組成物であっても、抵抗体の抵抗値低下を抑制し、良好なTCR特性を実現できることが示された。
Claims (7)
- Ru複合酸化物及びガラス組成物を含有する抵抗体組成物が有機ビヒクル中に分散されてなる抵抗体ペーストであって、
前記抵抗体組成物がアルカリ金属酸化物を含有することを特徴とする抵抗体ペースト。 - 前記アルカリ金属酸化物がLi酸化物、K酸化物、Na酸化物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の抵抗体ペースト。
- 前記ガラス組成物の成分として前記アルカリ金属酸化物を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の抵抗体ペースト。
- 前記ガラス組成物における前記アルカリ金属酸化物の含有量が、Li2O、K2O又はNa2Oに換算して、0〜20モル%(ただし0は含まず。)であることを特徴とする請求項3記載の抵抗体ペースト。
- 添加物として前記アルカリ金属酸化物を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の抵抗体ペースト。
- 前記Ru複合酸化物が、CaRuO3、SrRuO3、BaRuO3から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の抵抗体ペースト。
- 請求項1〜6のいずれか1項記載の抵抗体ペーストを用いて形成されたことを特徴とする抵抗体。
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