JP2006229165A - 厚膜抵抗体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 Pbフリーで、温度特性(TCR)に優れた厚膜抵抗体を実現する。
【解決手段】 ガラス中に導電性材料が分散されてなる厚膜抵抗体である。ガラスが貴金属元素を含有する。貴金属元素は、例えばAg、あるいはPdである。ガラスに含まれる貴金属元素の含有量は10質量%以下である。ガラス中に貴金属元素を導入するには、貴金属を添加物として加え、厚膜抵抗体を焼き付ける際の焼き付け時間、冷却速度を制御する。あるいは、厚膜抵抗体ペーストに、予め貴金属元素を溶け込ませたガラス組成物を用いる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ガラス中に導電性材料が分散されてなる厚膜抵抗体及びその製造方法に関するものであり、ガラス中に貴金属元素が溶け込んだ新規な厚膜抵抗体及びその製造方法に関する。
絶縁体であるガラスや導電性材料を含む厚膜抵抗体ペーストを基板上に塗布し焼成することによって形成される厚膜抵抗体においては、通常、導電性材料として酸化ルテニウム(RuO)や鉛ルテニウム複合酸化物(PbRu)等が用いられ、ガラスとしてPbO系ガラスが用いられている。ガラスは、導電性材料及び基板との結着剤としての機能を果たし、導電性材料とガラスの比率によって抵抗値調整が可能である。
近年、環境問題が盛んに議論されてきており、例えばはんだ材料等においては、鉛を除外することが求められている。厚膜抵抗体も例外ではなく、したがって、環境に配慮した場合、PbO系ガラスは勿論のこと、導電性材料であるPbRuの使用も避けなければならない。このような状況から、使用するガラスや導電性材料等から鉛を排除した鉛フリーの厚膜抵抗体ペーストについての研究がなされている(例えば、特許文献1〜特許文献5等を参照)。
特開平8−253342号公報 特開平10−224004号公報 特開2001−196201号公報 特開平11−251105号公報 特許第3019136号公報
しかしながら、前述の特許文献1〜特許文献5記載の発明では、例えば温度特性(TCR)に優れた厚膜抵抗体を提供するという観点からは、その効果は不十分と言わざるを得ない。前記各特許文献記載の発明は、これらの特性の改善を目的とするものではなく、前記効果の不足は当然とも言える。
厚膜抵抗体の鉛フリー化における課題の一つとして、抵抗値が温度によって大きく変動し、温度特性の低下が顕著になることが挙げられる。厚膜抵抗体に含まれる導電性材料はTCRをプラス(+)側にシフトさせる方向に作用し、その結果、厚膜抵抗体全体で見たときにTCR値が大きくなり、温度特性の低下が問題になる。
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、温度特性(TCR)に優れた厚膜抵抗体及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、前述の目的を達成するために、長期に亘り鋭意研究を重ねてきた。その結果、厚膜抵抗体を構成するガラス中に貴金属元素が溶け込んだ場合に、特異的にTCRが改善されるとの知見を得るに至った。
本発明は、このような知見に基づいて完成されたものである。すなわち、本発明の厚膜抵抗体は、ガラス中に導電性材料が分散されてなる厚膜抵抗体であって、前記ガラスが貴金属元素を含有することを特徴とする。
本発明の厚膜抵抗体において特徴的なのは、厚膜抵抗体を構成するガラスがAgやPd等の貴金属元素を含むことである。貴金属元素は、通常、導電性材料として厚膜抵抗体に含有されるが、ガラス中に溶け込ませることで、厚膜抵抗体におけるTCR特性が大幅に改善される。前記ガラス中にが貴金属元素が溶け込むことにより温度特性が改善される理由について、その詳細は不明であるが、本発明者らの実験により確かめられた事実である。
厚膜抵抗体を構成するガラス中に貴金属元素を溶け込ませるには、例えば、ガラス組成物、導電性材料、及び貴金属を含む抵抗体ペーストを用いるとともに、これを焼成して厚膜抵抗体とするに際し、焼成時の焼成条件を制御し、貴金属元素をガラス中に溶け込ませる。あるいは、予め貴金属元素を溶け込ませておいたガラス組成物を用い、当該ガラス組成物と導電性材料を含む抵抗体ペーストを焼成すればよい。
本発明によれば、温度特性に優れた高信頼性を有する厚膜抵抗体を実現することができる。
以下、本発明を適用した厚膜抵抗体及びその製造方法について、詳細に説明する。
本発明の厚膜抵抗体は、通常の厚膜抵抗体と同様、厚膜抵抗体ペーストを焼成(焼き付け)することにより形成されるものである。使用する厚膜抵抗体ペーストは、絶縁材料であるガラス組成物、導電性材料、及び必要に応じて添加物を含み、これらが有機ビヒクルと混合されてなるものである。
なお、本発明の厚膜抵抗体ペーストにおいては、環境保全上、鉛を実質的に含まない鉛フリーの厚膜抵抗体ペーストを用いることを前提としており、したがって、使用するガラス組成物や導電性材料は、鉛を実質的に含まないことが前提になる。ここで、「鉛を実質的に含まない」とは、不純物レベルを越える鉛を含まないことを意味し、不純物レベルの量(例えば、ガラス組成物中の含有量が0.05質量%以下程度)であれば含有されていてもよい趣旨である。鉛は、不可避不純物として極微量程度に含有されることがある。
導電性材料は、絶縁体であるガラス中に分散されることで、構造物である厚膜抵抗体に導電性を付与する役割を持つ。導電性材料は、環境保全上、やはり鉛を実質的に含まない導電性材料を用いることが好ましく、本発明では鉛を実質的に含まない導電性材料として、ルテニウム酸化物を用いる。ルテニウム酸化物としては、酸化ルテニウム(RuO、RuO等)の他、ルテニウム系パイロクロア(BiRu、TlRu等)やルテニウム複合酸化物(SrRuO、BaRuO、CaRuO、LaRuO等)等も含まれる。中でもRuO、CaRuO、SrRuO、BaRuO、BiRuが好ましい。
ガラス組成物は、厚膜抵抗体とされたとき、厚膜抵抗体構造中で導電性材料及び添加物を基板と結着させる役割を持つ。ガラス組成物も、実質的に鉛を含まないものであれば任意のものを用いることができるが、例えばCaO系ガラスやSrO系ガラス、ZnO系ガラス等が好適である。
具体的には、CaO系ガラスとしては、例えばCa−B−Si−Zr(Al)−Ta(Nb)−Oガラスを挙げることができる。このCa−B−Si−Zr(Al)−Ta(Nb)−Oガラスは、CaO、SrO、BaOのいずれかを主たる修飾酸化物成分とし、BやSiOを網目形成酸化物成分とするとともに、第2の修飾酸化物成分としてZrOやAlを、さらに第3の修飾酸化物成分としてTaやNbを含有するものである。
あるいは、CaO系ガラスとして、Ca−B−Si−Mn−O系のガラス組成物等も使用することが可能である。Ca−B−Si−Mn−O系のガラス組成物は、CaO、B、SiO、及びMnOを含むものであり、例えばCaO10〜30モル%、B25〜40モル%、SiO15〜30モル%、MnO10〜40モル%なる組成比で構成されている。
有機ビヒクルとしては、この種の厚膜抵抗体ペーストに用いられるものがいずれも使用可能であり、例えば、エチルセルロース、ポリビニルブチラール、メタクリル樹脂、ブチルメタクリレート等のバインダ樹脂と、ターピネオール、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、トルエン、各種アルコール、キシレン等の溶剤とを混合して用いることができる。このとき、各種の分散剤や活性剤、可塑剤等を用途等に応じて適宜併用することも可能である。さらに、必要に応じて、遷移金属群元素の酸化物、典型金属群元素の酸化物等の各種酸化物をTCR調整剤、またはその他の目的で添加してもよい。
厚膜抵抗体ペーストには、前記ガラス組成物、導電性材料の他、抵抗値及び温度特性の調整等を目的として、添加物が含まれていてもよい。添加物としては、チタン化合物や金属酸化物等を挙げることができ、適宜選択して使用すればよい。
特に、導電性材料としてRuO、CaRuO、SrRuO、BaRuO、BiRuから選択される1種若しくは2種以上を用いた場合に、チタン化合物としてアルカリ土類金属とのチタン酸化合物を添加物として使用することにより、TCRが大幅に改善される。
前記アルカリ土類金属のチタン酸化合物としては、BaTiO、SrTiO、CaTiO、MgTiO、CoTiO,NiTiO等を挙げることができる。これらチタン酸化合物は、抵抗値に応じて選択することが好ましく、また、その場合、組成もそれぞれ最適化することが好ましい。
金属酸化物としては、V、CuO、CuO、ZnO、CoO、MnO、Mnから選ばれる1種若しくは2種以上を組み合わせて使用することが効果的であるが、特に、CuOやCuO等を使用することで、STOLをより一層改善することが可能である。なお、CuOやCuOの添加量は、抵抗値に応じて最適範囲が異なり、1kΩ/□〜10MΩ/□の厚膜抵抗体を作製するための厚膜抵抗体ペースト用抵抗体組成物においては、0〜5質量%とすることが好ましく、0.1kΩ/□〜500kΩ/□の厚膜抵抗体を作製するための厚膜抵抗体ペースト用抵抗体組成物においては、0〜6質量%とすることが好ましい。なお、これら添加物は、酸化物の形態で添加されるが、厚膜抵抗体中には、そのままの形で存在するとは限らず、例えばガラス組成物に固溶した状態で存在する場合もある。
前述のガラス組成物、導電性材料、及び添加物は、前記有機ビヒクルと混合することで厚膜抵抗体ペーストとして調製されるが、この時、ガラス組成物、導電性材料、及び添加物を合計した質量を100とした場合に、ガラス組成物の割合が10〜55質量%、導電性材料の割合が35〜80質量%、添加物全体の割合が0.1〜35質量%であることが好ましい。
ガラス組成物の割合が55質量%を越えたり、導電性材料の割合が35質量%未満であると、所定の抵抗値が得られなくなるおそれがあるばかりでなく、温度特性(TCR)がマイナス側にシフトし過ぎて、却って温度特性を低下させる原因となる。逆に、ガラス組成物の割合が10質量%未満になったり、導電性材料の割合が80質量%を越えると、抵抗値変動や経時変化が大きくなる等、信頼性を損なうおそれがある。
また、前記有機ビヒクルの配合比率であるが、ガラス組成物、導電性材料、及び添加物を合計した合計質量(W1)と、有機ビヒクルの質量(W2)の比率(W2/W1)が、0.25〜4(W2:W1=1:0.25〜1:4)であることが好ましい。より好ましくは、前記比率(W2/W1)が0.5〜2である。前記比率を外れると、厚膜抵抗体を例えば基板上に形成するのに適した粘度の厚膜抵抗体ペーストを得ることができなくなるおそれがある。
本発明の厚膜抵抗体を形成するには、前述の各成分を含む厚膜抵抗体ペーストを例えば基板上にスクリーン印刷等の手法で印刷(塗布)し、850℃程度の温度で焼成すればよい。基板としては、Al基板やBaTiO基板の誘電体基板や、低温焼成セラミック基板、AlN基板等を用いることができる。基板形態としては、単層基板、複合基板、多層基板のいずれであってもよい。多層基板の場合、厚膜抵抗体は、表面に形成してもよいし、内部に形成してもよい。
厚膜抵抗体の形成に際しては、通常、基板に電極となる導電パターンを形成するが、この導電パターンは、例えば、AgやPt、Pd等を含むAg系合金等の良導電性材料料を含む導電ペーストを印刷することにより形成することができる。また、形成した厚膜抵抗体の表面に、ガラス膜等の保護膜(オーバーグレーズ)を形成してもよい。
本発明の厚膜抵抗体は、前記により形成されるものであるが、厚膜抵抗体を構成するガラスがAgやPd等の貴金属元素を含有することが大きな特徴である。厚膜抵抗体を構成するガラスがAgやPd等の貴金属元素を含有することにより、TCRが大幅に改善される。なお、ガラスが含有する貴金属元素の含有量としては、10質量%以下(0は含まず。)とすることが好ましい。貴金属元素は、比較的少量の添加でTCR改善に大きな効果を発揮するが、貴金属元素の含有量が10質量%を越えると、却ってTCRが劣化するおそれがある。
したがって、本発明の厚膜抵抗体を形成するに際しては、例えば前記厚膜抵抗体ペーストの組成(ガラス組成物、導電性材料、添加物、及び有機ビヒクル)に加えてAgやPd等の貴金属を添加するとともに、その焼成条件等を選択することにより、貴金属元素をガラス中に溶け込ませる。前記貴金属を含む厚膜抵抗体ペーストを用い、これを焼成して厚膜抵抗体とするに際し、貴金属の添加量を適宜選定するとともに、焼成時の焼き付け時間や冷却速度等を制御することにより、厚膜抵抗体としたときに、厚膜抵抗体構造中に含まれるガラスが貴金属元素を所定量含有するようになる。
あるいは、予め貴金属元素を溶け込ませておいたガラス組成物を用い、当該ガラス組成物と導電性材料を含む抵抗体ペーストを焼成することで、本発明の厚膜抵抗体を形成することもできる。
この場合、用いるガラス組成物としては、CaO、SrO、BaOのいずれかを主たる修飾酸化物成分とし、BやSiOを網目形成酸化物成分とするとともに、第2の修飾酸化物成分としてZrOやAlを、第3の修飾酸化物成分としてTaやNbを含有し、さらにAgやPd等の貴金属元素を含有するガラス組成物等を挙げることができる。
前記ガラス組成物における各成分の含有量について説明すると、先ず、主たる修飾酸化物成分は、ガラス組成物中に13モル%〜45モル%含有されることが好ましい。主たる修飾酸化物成分の含有量が前記範囲を下回る場合、TCRやSTOL等の特性を劣化させるおそれがある。逆に、主たる修飾酸化物成分の含有量が前記範囲を越える場合、厚膜抵抗体を形成した時に、過剰な修飾酸化物成分の析出が起こり、特性、信頼性を劣化させるおそれがある。
網目形成酸化物成分であるBとSiOは、ガラス組成物中に35モル%〜80モル%含有されることが好ましい。BとSiOの比率は任意である。網目形成酸化物成分の含有量が少ない場合、ガラス組成物の軟化点が高くなるため、所定の焼成温度にて厚膜抵抗体を形成した場合、厚膜抵抗体の焼結が不十分となり、信頼性を低下させるおそれがある。逆に、網目形成酸化物成分の含有量が多すぎる場合、ガラス組成物の耐水性が低下するため、厚膜抵抗体としたときの信頼性を低下させるおそれがある。
第2の修飾酸化物成分は、ガラス組成物中に11モル%以下の範囲で含有されることが好ましい。第2の修飾酸化物成分の含有量が11モル%を越える場合、厚膜抵抗体を形成した時に、過剰な金属酸化物の析出が起こり、特性、信頼性を劣化させるおそれがある。
第3の修飾酸化物成分は、ガラス組成物中に8モル%以下の範囲で含有されることが好ましい。第3の修飾酸化物成分の含有量が8モル%を越えると、TCRやSTOL等の特性が劣化するおそれがある。
また、前記ガラス組成物は、前記各成分に加えて、MnOを含んでいてもよい。MnOを含有することで、1kΩ程度の比較的抵抗値の低い厚膜抵抗体を実現することができる。ただし、この場合のMnOの含有量は、15モル%以下とすることが好ましい。MnOの含有量が15モル%を越えると、TCRに悪影響を及ぼす可能性がある。
前記ガラス組成物は、前記各酸化物成分の他、貴金属元素を含有する。貴金属元素としては、任意の元素を用いることができるが、AgやPdにおいて効果が高い。前記貴金属元素のガラス組成物中における含有量としては、0.1〜10モル%とすることが好ましい。貴金属元素は、比較的少量の添加でTCR改善に大きな効果を発揮する。逆に、貴金属元素の含有量が10モル%を越えると、却ってTCRが劣化するおそれがある。
なお、前記貴金属元素は、ガラス組成物中に析出した状態で分散しているのではなく、元素レベルで溶け込んでいる必要がある。したがって、ガラス組成物を調製する際に、予め原料組成として添加することが好ましい。勿論、これに限らず、例えば前記酸化物成分により調製したガラスに貴金属を加え、これを加熱溶融することで加えた貴金属元素をガラス中に溶け込ませることで調製することも可能である。
以上のことから、前記ガラス組成物の組成は、下記のように表すことができる。
CaO,SrO,BaOから選択される1種若しくは2種以上:13〜45モル%
,SiOから選択される1種若しくは2種:35〜80モル%
ZrO,Alから選択される1種若しくは2種:0〜11モル%
Ta,Nbから選択される1種若しくは2種:0〜8モル%
MnO:0〜15モル%
貴金属元素から選択される1種若しくは2種以上:0.1〜10モル%
以上により形成される厚膜抵抗体においては、ガラス中にAgやPd等の貴金属元素が溶け込み、TCRが大幅に改善される。なお、貴金属元素は、ガラス中に溶け込んだ形で含まれる他、一部が析出した状態で厚膜抵抗体中に存在しても良く、これによりより一層のTCRの改善が見られる。
以上の特徴を有する本発明の厚膜抵抗体は、各種電子部品に適用可能である。この場合、適用可能な電子部品としては特に限定されないが、例えば単層または多層の回路基板、チップ抵抗器等の抵抗器、アイソレータ素子、C−R複合素子、モジュール素子の他、積層チップコンデンサ等のコンデンサやインダクタ等が挙げられ、コンデンサやインダクタ等の電極部分にも適用することができる。
以下、本発明の具体的な実施例について、実験結果を基に説明する。
実験1
本実験では、厚膜抵抗体ペーストに貴金属であるAgを添加し、厚膜抵抗体を構成するガラス中に貴金属元素(Ag)を溶け込ませた。すなわち、CaRuO(導電性材料)、CaO系ガラス及び貴金属(Ag)を有機ビヒクルと混合して厚膜抵抗体用ペーストを作製し、アルミナ基板上に所定形状に印刷した後、850℃で10分間〜60分間焼き付け、ガラス中のAg量の異なる複数種類の厚膜抵抗体を作製した。なお、厚膜抵抗体ペーストにおける配合比率は、CaRuO:CaO系ガラス:Ag=20:68〜79.9:0.1〜12(質量%)とした。また、ガラス中に溶け込むAg量は、焼き付け時間と冷却速度によって制御した。
各厚膜抵抗体のガラス中のAg量、抵抗値、TCRを測定した。結果を表1に示す。なお、ガラス中のAg量は、TEM−EDSにより求めた。抵抗値は、Agilent Technologies 社製の製品番号 34401Aにより測定し、試料数24個の平均値を求めた。TCRは、室温25℃を基準として、−55℃及び125℃へ温度を変えた時の抵抗値変化率を求めた。試料数10個の平均値である。−55℃、25℃、125℃の抵抗値をR-55、R25、R125(Ω/□)とおくと、TCR(ppm/℃)=[(R-55-R25)/R25/80]×1000000、あるいは、TCR(ppm/℃)=[(R125-R25)/R25/100]×1000000である。数値の大きい方をTCR値とした。
Figure 2006229165
表1から明らかな通り、ガラス中にAgが溶け込むことにより、ガラス中にAgが含まれない場合に比べてTCRが大幅に改善されている。ただし、ガラス中のAg量が10質量%を越えると、TCRの改善効果の低下が見られる。
実験2
ガラスをSrO系ガラスに変え、他は実験1と同様にしてガラス中のAg量の異なる複数種類の厚膜抵抗体を作製した。そして、これら厚膜抵抗体について、ガラス中のAg量、抵抗値、TCRを測定した。結果を表2に示す。
Figure 2006229165
表2から明らかな通り、ガラスをSr系ガラスに変えた場合にも、ガラス中にAgが溶け込むことにより、ガラス中にAgが含まれない場合に比べてTCRが大幅に改善されている。また、ガラス中のAg量が10質量%を越えると、TCRの改善効果の低下が見られる。
実験3
導電性材料をSrRuOに変えるとともに、ガラスをZnO系ガラスに変え、他は実験1と同様にしてガラス中のAg量の異なる複数種類の厚膜抵抗体を作製した。そして、これら厚膜抵抗体について、ガラス中のAg量、抵抗値、TCRを測定した。結果を表3に示す。
Figure 2006229165
表3から明らかな通り、本例においても、ガラス中にAgが溶け込むことにより、ガラス中にAgが含まれない場合に比べてTCRが大幅に改善されている。
実験
導電性材料をSrRuO、ガラスをSrO系ガラス、貴金属をPdとし、他は実験1と同様にしてガラス中のPd量の異なる複数種類の厚膜抵抗体を作製した。そして、これら厚膜抵抗体について、ガラス中のPd量、抵抗値、TCRを測定した。結果を表4に示す。
Figure 2006229165
表4から明らかな通り、本例においても、ガラス中にPdが溶け込むことにより、ガラス中にPdが含まれない場合に比べてTCRが大幅に改善されている。
実験5
厚膜抵抗体ペーストにおける配合比率を、CaRuO:CaO系ガラス:Ag=20:75〜79.5:0.5〜5(質量%)とし、ガラス中にAgを溶け込ませるとともに、厚膜抵抗体中にAgが析出した状態で残存するようにしてガラス中のAg量や析出したAg量が異なる複数種類の厚膜抵抗体を作製した。なお、ガラス中のAg量や析出したAg量は、焼き付け時間と冷却速度によって制御した。そして、これら厚膜抵抗体について、ガラス中のAg量、析出したAg量(抵抗体におけるAg量)、抵抗値、及びTCRを測定した。結果を表5に示す。
Figure 2006229165
この表5から明らかなように、ガラス中にAgを溶け込ませるだけでなく、Agを厚膜抵抗体中に析出した状態で残存させることにより、TCRに関して、より一層の改善効果が見られる。
実験6
本実験では、予め貴金属(Ag)を溶け込ませたガラス組成物を用いて厚膜抵抗体用ペーストを調製し、この厚膜抵抗体ペーストを用いて厚膜抵抗体を作製した。本実験においては、先ず、ガラス組成物を調製した。ガラス原料としては、CaCO、B、SiO、ZrO、Al、Ta、Nb、MnCO、及びAgを用いた。これらの中から所定の成分を選択して所定量秤量し、白金るつぼに投入して1350℃で1時間溶融させた。そして、溶融物を水中に投入することによって急冷し、ガラス化した。得られたガラス化物をボールミルにて湿式粉砕し、ガラス組成物1〜21を得た。作製したガラス組成物の組成を表6に示す。なお、表6に示す組成において、数値は各成分の割合(モル%)を表し、*印は最適範囲を外れた値である。
Figure 2006229165
そして、表6に示す各ガラス組成物を用いて厚膜抵抗体(試料1〜試料23)を作製し、各厚膜抵抗体の特性(抵抗値、TCR)を評価した。評価結果を表7に示す。なお、表7において、*印を付した試料は、ガラス組成物の成分のいずれかの組成が最適範囲を外れている。
Figure 2006229165
表7から明らかなように、予めガラス組成物中にAgを溶け込ませ、ガラス組成を最適化した試料10〜試料23においては、TCRが大幅に改善されている。
実験7
厚膜抵抗体ペーストの作製に際して、ガラス組成物として表6中のガラス組成物16を用いるとともに、添加物としてBaTiO、SrTiO、CuO、CuOから選択して用い、実験6と同様に厚膜抵抗体(試料24〜試料28)を作製した。これら各試料における抵抗体ペーストの組成、及び特性評価結果を表8に示す。前記添加物を添加することにより、TCRがより一層改善されることがわかる。
Figure 2006229165

Claims (7)

  1. ガラス中に導電性材料が分散されてなる厚膜抵抗体であって、前記ガラスが貴金属元素を含有することを特徴とする厚膜抵抗体。
  2. 前記ガラスに含まれる貴金属元素の含有量が10質量%以下(ただし、0は含まず。)であることを特徴とする請求項1記載の厚膜抵抗体。
  3. 前記貴金属元素が、Ag、Pdから選択される1種または2種以上であることを特徴とする請求項1または2記載の厚膜抵抗体。
  4. 前記貴金属元素は、前記ガラスに含まれる他、析出した状態で存在することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の厚膜抵抗体。
  5. 前記導電性材料として、CaRuO、BaRuO、SrRuO、BiRu、RuOから選ばれる1種若しくは2種以上を含有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の厚膜抵抗体。
  6. ガラス組成物、導電性材料、及び貴金属を含む抵抗体ペーストを用い、これを焼成して厚膜抵抗体とするに際し、
    焼成時の焼成条件を制御し、貴金属元素をガラス中に溶け込ませることを特徴とする厚膜抵抗体の製造方法。
  7. 貴金属元素を含有するガラス組成物を用い、当該ガラス組成物と導電性材料を含む抵抗体ペーストを焼成することを特徴とする厚膜抵抗体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN113393955A (zh) * 2021-08-13 2021-09-14 西安宏星电子浆料科技股份有限公司 一种ltcc共烧匹配型电阻浆料

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