JP2006202613A - 厚膜抵抗体ペースト、厚膜抵抗体及び電子部品 - Google Patents

厚膜抵抗体ペースト、厚膜抵抗体及び電子部品 Download PDF

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Abstract

【課題】 例えば10kΩ/□以上の高い抵抗値を有し、温度特性(TCR)及び耐電圧特性(STOL)の両立を図ることができ、さらには充分な信頼性を実現する。
【解決手段】 ガラス組成物、導電性材料及び添加物を含有し、これらが有機ビヒクルと混合されてなる厚膜抵抗体ペーストであって、前記添加物として、非晶質構造を有しアルカリ土類金属酸化物と酸化チタンとを少なくとも含む複合酸化物を含有する。複合酸化物は、例えばBaO−TiO、CaO−TiO、SrO−TiO、BaO−CaO−TiO、BaO−CaO−TiO−ZrOから選択される1種又は2種以上である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ある程度高い抵抗値を有する厚膜抵抗体の形成に好適な厚膜抵抗体ペーストに関するものであり、さらには、かかる厚膜抵抗体ペーストを用いて形成される厚膜抵抗体、電子部品に関する。
例えば厚膜抵抗体ペーストは、一般に、抵抗値の調節及び結合性を与えるためのガラス組成物と、導電性材料と、有機ビヒクルとを主たる成分として構成されており、これを基板上に印刷した後、焼成することによって、厚さ5〜20μm程度の厚膜抵抗体が形成される。そして、この種の厚膜抵抗体ペースト(厚膜抵抗体)においては、通常、導電性材料として鉛ルテニウム酸化物等が用いられ、ガラス組成物として酸化鉛(PbO)系ガラス等が用いられている。
ところで、近年、環境問題が盛んに議論されてきており、例えば半田材料等においては、鉛を除外することが求められている。厚膜抵抗体ペーストや厚膜抵抗体においても例外ではなく、したがって、環境に配慮した場合、前記のように導電性材料として鉛ルテニウム酸化物を使用することや、ガラス組成物としてPbO系ガラスを使用することは避けなければならない。
このような状況から、鉛フリーの厚膜抵抗体ペースト、厚膜抵抗体についての研究が各方面でなされている。例えば特許文献1には、抵抗体ペーストに例えばCaTiOを0vol%超、13vol%以下、若しくはNiOを0vol%超、12vol%以下含有させることが好ましく、さらにはCuO、ZnO、MgO等の添加物を同時に添加させることが好ましい旨の記述があり、それにより、高い抵抗値を有しながらも、抵抗値の温度特性(TCR)及び耐電圧特性(STOL)が小さい抵抗体を得ることに適した鉛フリーの抵抗体ペーストを提供することが可能である旨、記載されている。
特開2003−197405号公報
しかしながら、特に10kΩレベルの高抵抗領域において、従来のPb系抵抗体ペーストと比べると、Pbフリー系抵抗体ペーストのSTOL特性は同等レベルではなく、さらに特性の改善を図る必要がある。
また、特許文献1記載の発明のように、添加物を多量に含有させることで特性を調整した抵抗体ペーストを用いて形成された抵抗体では、信頼性試験、例えば経時変化試験(85℃、85%RH、1000時間後の抵抗値変化)において、従来の鉛系組成の抵抗体ペーストよりも信頼性が低下する傾向にあり、このことが大きな問題となっている。信頼性が低下する原因としては、抵抗体ペーストに添加物が含まれることで、ガラスの含有量が低下し、ガラスによる導電性材料や添加物の結着が不十分になることが挙げられる。
そこで本発明はこのような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、例えば10kΩ/□以上の高い抵抗値を有し、温度特性(TCR)及び耐電圧特性(STOL)の両立を図ることができ、さらには充分な信頼性を有する厚膜抵抗体を実現することが可能な厚膜抵抗体ペーストを提供することを目的とする。また、本発明は、前記厚膜抵抗体ペーストを使用することで、高抵抗値を有し、温度特性(TCR)及び耐電圧特性(STOL)に優れ、さらには充分な信頼性を有する厚膜抵抗体、さらにはこの厚膜抵抗体を有する電子部品を提供することを目的とする。
本発明者らは、TCR特性及びSTOL特性の両方に優れ、信頼性の高い厚膜抵抗体を実現するためには、厚膜抵抗体ペーストに用いる添加物のガラスに対する反応性を向上させることが有効であると考え、長期にわたり研究を重ねてきた。その結果、アルカリ土類金属酸化物と酸化チタンとを含む複合酸化物の中でも、特に非晶質構造を有するものが、このような目的に適う添加物であるとの結論を得るに至った。
本発明は、このような知見に基づいて完成されたものである。すなわち、本発明に係る厚膜抵抗体ペーストは、ガラス組成物、導電性材料及び添加物を含有し、これらが有機ビヒクルと混合されてなる厚膜抵抗体ペーストであって、前記添加物として、非晶質構造を有しアルカリ土類金属酸化物と酸化チタンとを少なくとも含む複合酸化物を含有することを特徴とするを特徴とする。また、本発明に係る厚膜抵抗体は、前記厚膜抵抗体ペーストを用いて形成されたことを特徴とする。本発明に係る電子部品は、前記厚膜抵抗体を有することを特徴とする。
非晶質構造を有しアルカリ土類金属酸化物と酸化チタンとを少なくとも含む複合酸化物は、厚膜抵抗体ペースト中に添加物として含有されることで、結晶質構造を有する従来型の複合酸化物と比較して、経時変化が抑制され、信頼性の高い厚膜抵抗体を実現する。また、非晶質構造を有しアルカリ土類金属酸化物と酸化チタンとを少なくとも含む複合酸化物を添加物として用いることで、10kΩ/□以上の高抵抗値を有し、TCR特性及びSTOL特性を両立した厚膜抵抗体が実現される。
本発明によれば、高抵抗値を有する厚膜抵抗体の形成が可能であるとともに、抵抗値の温度特性(TCR)及び耐電圧特性(STOL)に優れ、且つ経時変化を抑えて信頼性の高い厚膜抵抗体の形成が可能な厚膜抵抗体ペーストを提供することができる。したがって、本発明によれば、TCR特性及びSTOL特性に優れ、信頼性の高い厚膜抵抗体並びに電子部品を提供することが可能である。
以下、本発明を適用した厚膜抵抗体ペースト及び厚膜抵抗体、並びに電子部品について、詳細に説明する。
本発明の厚膜抵抗体ペーストは、ガラス組成物、導電性材料、及び添加物を含み、これら成分からなる抵抗体組成物が有機ビヒクルと混合されてなるものである。
ここで、導電性材料は、絶縁体であるガラス中に分散されることで、構造物である厚膜抵抗体に導電性を付与する役割を持つ。導電性材料は、特に限定されないが、環境保全上、鉛を実質的に含まない導電性材料を用いることが好ましい。具体的な鉛を実質的に含まない導電性材料としては、ルテニウム酸化物の他、Ag−Pd合金、Ag−Pt合金、TaN、WC、LaB、MoSiO、TaSiO、及び金属(Ag、Au、Pt、Cu、Ni、W、Moなど)が挙げられる。これらの物質は、それぞれ単独で使用してもよいし、2種類以上組み合わせてもよい。この中でも、ルテニウム酸化物が好ましい。ルテニウム酸化物としては、酸化ルテニウム(RuO、RuO等)の他、ルテニウム系パイロクロア(BiRu、TlRu等)やルテニウム複合酸化物(SrRuO、BaRuO、CaRuO、LaRuO等)なども含まれる。中でもRuO、CaRuO、SrRuO、BaRuO、BiRuが好ましい。
抵抗体ペースト中の導電性材料の含有量は、導電性材料、ガラス組成物、添加物の合計の質量を100質量%とした時に、5質量%〜60質量%とするのが好ましく、10質量%〜55質量%とするのがより好ましい。導電性材料の含有量が少ない場合、抵抗値が高くなりすぎてしまい、抵抗体ペーストとしての使用に適さなくなるおそれがある。逆に、導電性材料の含有量が前記範囲を越えると、ガラス組成物による導電性材料の結着が不十分になり、信頼性が低下するおそれがある。
ガラス組成物は、本発明では環境保全上、鉛を実質的に含まない鉛フリーのガラス組成物を用いることが好ましい。なお、本発明において、「鉛を実質的に含まない」とは、不純物レベルを越える鉛を含まないことを意味し、不純物レベルの量(例えば、ガラス組成物や導電性材料中の含有量が0.05質量%以下程度)であれば含有されていてもよい趣旨である。鉛は、不可避不純物として極微量程度に含有されることがある。
ガラス組成物は、厚膜抵抗体とされたとき、厚膜抵抗体中で導電性材料及び添加物を基板と結着させる役割を持つ。ガラス組成物は、原料として、修飾酸化物成分、網目形成酸化物成分等を混合して用いる。主たる修飾酸化物成分としては、アルカリ土類酸化物、具体的にはCaO、SrO、BaOから選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。また、網目形成酸化物成分としては、B及びSiOを挙げることができる。また、前記主たる修飾酸化物成分の他、第2の修飾酸化物成分として、ZrOが含まれていることが好ましい。
ここで、ガラス組成物における各成分の含有量について説明すると、先ず、主たる修飾酸化物成分は、ガラス組成物中に13モル%〜45モル%含有されることが好ましい。主たる修飾酸化物成分の含有量が前記範囲を下回る場合、導電性材料との反応性が低下し、TCR、STOL特性を劣化させるおそれがある。逆に、主たる修飾酸化物成分の含有量が前記範囲を越える場合、厚膜抵抗体を形成した時に、過剰な金属酸化物の析出が起こり、特性、信頼性を劣化させるおそれがある。
網目形成酸化物成分であるB及びSiOは、ガラス組成物中に36モル%〜84モル%含有されることが好ましい。網目形成酸化物成分の含有量が少ない場合、ガラス組成物の作製が困難となるおそれがある。逆に、網目形成酸化物成分の含有量が多すぎる場合、ガラス組成物の耐湿性が低下するため、厚膜抵抗体としたときの信頼性を著しく低下させるおそれがある。
第2の修飾酸化物成分は、ガラス組成物中に1〜10モル%の範囲で含有されることが好ましい。第2の修飾酸化物成分の含有量が1モル%未満の場合、ガラス組成物の耐湿性が低下するため、厚膜抵抗体としたときの信頼性を著しく低下させるおそれがある。第2の修飾酸化物成分の含有量が10モル%を越える場合、厚膜抵抗体を形成した時に、過剰な金属酸化物の析出が起こり、特性、信頼性を劣化させるおそれがある。
また、ガラス組成物は、前記成分に加えて、その他の金属酸化物を含有してもよい。その他の金属酸化物としては、例えばAl、Ta、Nb、TiO、ZnO、MgO、CuO、NiO等が挙げられる。ガラス組成物中のその他の金属酸化物の含有量は、20モル%以下であることが好ましい。その他の金属酸化物の含有量が前記範囲を上回ると、STOL特性が劣化するおそれがある。
なお、ガラス組成物においては、各酸化物はそのままの形で含有されるわけではなく、例えば複合酸化物の形態となっているものと推測される。しかしながら、本明細書においては、ガラス組成物における組成の表記は、通例にしたがい、各酸化物に換算したときの含有量として表記する。例えば、厚膜抵抗体ペーストや厚膜抵抗体に含まれるガラス組成物は、厳密に言えばCaをCaOの形態のまま含有するわけではない。また、Ca原料は、通常はCaCOの形で原料組成に添加される。したがって、例えば「CaO13モル%〜45モル%」とは、ガラス組成物を構成する複合酸化物がCaをCaO換算で13モル%〜45モル%含有するという意味である。
抵抗体ペースト中のガラス組成物の含有量は、ガラス組成物、導電性材料、及び添加物の合計質量を100質量%とした場合に、20質量%〜70質量%とするのが好ましく、25質量%〜65質量%とするのがより好ましい。抵抗体ペーストにおけるガラス組成物の含有量が前記範囲を下回る場合、導電性材料、添加物の結着が不十分となり、信頼性が著しく低下するおそれがある。逆に、ガラス組成物の含有量が前記範囲を越えて多すぎると、抵抗値が高くなり過ぎてしまい、抵抗体ペーストとしての使用に適さなくなるおそれがある。
本発明の厚膜抵抗体ペーストは、添加物として、非晶質構造を有しアルカリ土類金属酸化物と酸化チタンとを少なくとも含む複合酸化物を含有することが大きな特徴点である。
ここで、アルカリ土類金属酸化物と酸化チタンとを少なくとも含む複合酸化物とは、組成中に少なくともアルカリ土類金属酸化物と酸化チタンとを含んでいればよく、他の酸化物成分等を含んでいてもよい意味である。アルカリ土類金属酸化物と酸化チタンとを少なくとも含む複合酸化物としては、例えばBaO−TiO、CaO−TiO、SrO−TiO、BaO−CaO−TiO、BaO−CaO−TiO−ZrO等を挙げることができる。
また、非晶質構造を有するとは、アルカリ土類金属酸化物と酸化チタンとを少なくとも含む複合酸化物の粉末X線回折において、ブロードなピークが得られる状態であるか、又は、アルカリ土類金属酸化物と酸化チタンとを少なくとも含む複合酸化物の透過電子顕微鏡(TEM)観察において、アルカリ土類金属酸化物と酸化チタンとを含む複合酸化物粒子の制限視野回折にて非晶質構造を示すハローリングが得られる状態であることを意味する。
また、非晶質構造を有しアルカリ土類金属酸化物と酸化チタンとを少なくとも含む複合酸化物としては、非晶質構造のみからなる複合酸化物でもよいし、非晶質構造と結晶質構造とが混在した複合酸化物でもよい。
非晶質構造を有しアルカリ土類金属酸化物と酸化チタンとを少なくとも含む複合酸化物を製造する方法は特に限定されないが、例えば、以下の(1)〜(6)に示す結晶質構造のチタン酸バリウム(BaTiO)の製造方法において、合成原料や合成条件を適宜変更すること等によって得ることができる。例えば、以下の(4)〜(6)において、加水分解後の仮焼条件を調整する(結晶化しないように仮焼温度を低く調整する)ことによって、非晶質構造を有する複合酸化物(BaO−TiO)を得ることができる。
(1)固相法:酸化チタンと炭酸バリウムの混合物を高温(1300℃)に加熱する方法(工業化学雑誌 70巻 P.847〜853 (1967))。
(2)シュウ酸塩法:TiCl4、BaCl2及びシュウ酸の水溶液中の反応によりBaTi(C2O4)2の沈殿を得て、これを熱分解する方法(J.Am.Ceram.Soc.,48巻 P.644〜647 (1965))。
(3)水熱合成法:水酸化バリウムと水酸化チタンとの混合物を水熱処理し、得られた反応物を仮焼する方法(工業化学雑誌 59巻 P.891〜894 (1956))(日本化学会誌 985〜990 (1975))。
(4)アルコキシド法:バリウムアルコキシドとチタンアルコキシドとの混合アルコキシド溶液を調整し、加水分解して仮焼する方法(J.Am.Ceram.Soc.,52巻 P.523〜526 (1969))(J.Am.Ceram.Soc.,54巻 P.548〜553 (1971))。
(5)水酸化物−アルコキシド法:水酸化バリウム水溶液中におけるチタンアルコキシドの加水分解により得られた反応物を仮焼する方法(J.Am.Ceram.Soc.,49巻 P.291〜295 (1966))。
(6)水酸化バリウムと水とチタンアルコキシドとを接触させてチタンアルコキシドを加水分解し、次いで得られた反応液に水溶性有機溶媒を加えて、該反応液中に未反応物として残存、溶解しているバリウムイオンの溶解度を低下させ、チタン酸バリウム生成反応を促進させる方法(特開2000−281338号公報)。
厚膜抵抗体ペーストは、添加物として、前述のような非晶質構造を有しアルカリ土類金属酸化物と酸化チタンとを少なくとも含む複合酸化物に加えて、任意の金属酸化物を含有することができる。
任意の金属酸化物としては、MgO、TiO、SnO、ZnO、CoO、CuO、NiO、MnO、Mn、Fe、Cr、Y、V、CaTiO、BaTiO等が挙げられ、中でもCuO、CaTiO、BaTiO等を用いることが好ましい。
CuOは、TCR調整剤として効果の高い酸化物である。抵抗体ペースト中のCuOの含有量は、ガラス組成物、導電性材料、及び添加物の合計質量を100質量%とした場合に、1.0質量%〜10.0質量%とするのが好ましく、1.5質量%〜6.0質量%とするのがより好ましい。CuOの含有量が少ない場合、TCR調整効果が不十分となり、厚膜抵抗体のTCR特性が劣化するおそれがある。CuOの含有量が多すぎる場合、STOL特性が著しく劣化するおそれがある。
抵抗体ペースト中の添加物の含有量は、導電性材料、ガラス組成物、添加物の合計の質量を100質量%とした時に、1.0質量%〜28質量%とするのが好ましい。添加物の含有量が多い場合、導電性材料、添加物の結着が不十分となり、信頼性が著しく低下するおそれがある。
前述の抵抗体組成物は、有機ビヒクル中に分散することで厚膜抵抗体ペーストとされるが、厚膜抵抗体ペースト用の有機ビヒクルとしては、この種の厚膜抵抗体ペーストに用いられるものがいずれも使用可能であり、例えば、エチルセルロース、ポリビニルブチラール、メタクリル樹脂、ブチルメタクリレート等のバインダ樹脂と、ターピネオール、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、アセテート、トルエン、各種アルコール、キシレン等の溶剤とを混合して用いることができる。このとき、各種の分散剤や活性剤、可塑剤等を用途等に応じて適宜併用することも可能である。
前記有機ビヒクルの配合比率であるが、抵抗体組成物の質量(W1)と、有機ビヒクルの質量(W2)の比率(W2/W1)が、0.25〜4(W2:W1=1:0.25〜1:4)であることが好ましい。より好ましくは、前記比率(W2/W1)が0.5〜2である。前記比率を外れると、厚膜抵抗体を例えば基板上に形成するのに適した粘度の厚膜抵抗体ペーストを得ることができなくなるおそれがある。
厚膜抵抗体を形成するには、前述の成分を含む厚膜抵抗体ペーストを例えば基板上にスクリーン印刷等の手法で印刷(塗布)し、850℃程度の温度で焼成すればよい。基板としては、Al基板やBaTiO基板の誘電体基板や、低温焼成セラミック基板、AlN基板等を用いることができる。基板形態としては、単層基板、複合基板、多層基板のいずれであってもよい。多層基板の場合、厚膜抵抗体は、表面に形成してもよいし、内部に形成してもよい。形成された厚膜抵抗体においては、前記厚膜抵抗体ペーストに含まれる抵抗体組成物の組成が、ほぼそのまま維持される。
厚膜抵抗体の形成に際しては、通常、基板に電極となる導電パターンを形成するが、この導電パターンは、例えば、AgやPt,Pd等を含むAg系の良導電材料を含む導電ペーストを印刷することにより形成することができる。また、形成した厚膜抵抗体の表面に、ガラス膜等の保護膜(オーバーグレーズ)を形成してもよい。
本発明の厚膜抵抗体を適用可能な電子部品としては特に限定されないが、例えば単層または多層の回路基板、チップ抵抗器等の抵抗器、アイソレータ素子、C−R複合素子、モジュール素子の他、積層チップコンデンサ等のコンデンサやインダクタ等が挙げられ、コンデンサやインダクタ等の電極部分にも適用することができる。
以下、本発明の具体的な実施例について、実験結果を基に説明する。
<ガラス組成物の作製>
ガラス原料としては、B、SiO、CaCO、SrCO、BaCO、ZrO、Ta等を用いた。これらの中から所定の成分を選択して所定量秤量し、白金るつぼに投入して1300℃で1時間溶融させた。そして、溶融物を水中に投入することによって急冷し、ガラス化した。得られたガラス化物をボールミルにて湿式粉砕し、ガラス組成物粉末を得た。作製したガラス組成物の組成を表1に示す。
Figure 2006202613
<導電性材料>
導電性材料としては、RuO、CaRuO、SrRuO、BaRuO、Agを用いた。
<添加物>
添加物として、非晶質構造を有するBaO−TiO、CaO−TiO、SrO−TiO、BaO−CaO−TiO、BaO−CaO−TiO−ZrO、及び、CuO、BaTiO、SrTiO、CaTiOを用いた。BaTiO、SrTiO、CaTiOは、結晶質構造の複合酸化物である。
<有機ビヒクルの作製>
バインダとしてエチルセルロース、有機溶剤としてテルピネオールを用い、有機溶剤を加熱撹拌しながらバインダを溶かして、有機ビヒクルを作製した。
<厚膜抵抗体ペーストの作製>
ガラス組成物粉末、導電性材料、添加物及び有機ビヒクルを各組成となるように秤量し、3本ロールミルで混練し、厚膜抵抗体ペーストを得た。なお、導電性材料、ガラス組成物粉末及び添加物の合計質量と有機ビヒクルの質量の比は、得られた抵抗体ペーストがスクリーン印刷に適した粘度となるように、質量比で1:0.25〜1:4の範囲で調合し、抵抗体ペーストを作製した。
<抵抗体の作製>
96%のアルミナ基板上に、Ag−Pt導体ペーストを所定形状にスクリーン印刷して乾燥させた。Ag−Pt導体ペーストにおけるAgの割合は95質量%、Ptの割合は5質量%とした。このアルミナ基板をベルト炉に入れ、投入から排出まで1時間のパターンで焼き付けを行った。この時の焼き付け温度は850℃、その温度での保持時間は10分間とした。
このようにして導体が形成されたアルミナ基板上に、先に作製した厚膜抵抗体ペーストをスクリーン印刷法にて所定の形状(1mm×1mmの方形状)のパターンで塗布し、乾燥した。その後、導体焼き付けと同じ条件で厚膜抵抗体ペーストを焼き付け、厚膜抵抗体を得た。
<抵抗体の特性評価>
(1)抵抗値
Agilent Technologies 社製の製品番号 34401Aにより測定。試料数24個の平均値を求めた。
(2)TCR
室温25℃を基準として、−55℃及び125℃へ温度を変えた時の抵抗値変化率を求めた。試料数10個の平均値である。−55℃、25℃、125℃の抵抗値をR-55、R25、R125(Ω/□)とおくと、CTCR(ppm/℃)=[(R-55-R25)/R25/80]×1000000、又はHTCR(ppm/℃)=[(R125-R25)/R25/100]×1000000である。絶対値の大きい方をTCR値とした。
(3)STOL(短時間過負荷)
厚膜抵抗体に試験電圧を5秒間印加し、その前後における抵抗値の変化率を求めた。試料数10個の平均値である。試験電圧=2.5×定格電圧であり、定格電圧=√(R/4)、Rは抵抗値(Ω/□)である。計算した試験電圧が400Vを越える抵抗値を持つ抵抗体については、試験電圧を400Vにて行った。
(4)経時変化
85℃、85%RHにおいて、1000時間放置したときの抵抗値の変化率を測定した。経時変化≦±1.0%が特性の基準となる。
<厚膜抵抗体に関する検討>
表2の組成を有する厚膜抵抗体ペーストを用いて厚膜抵抗体(試料1〜試料27)を作製し、各厚膜抵抗体の特性(抵抗値、TCR、STOL、経時変化)を評価した。なお、表2において、*印を付した試料は、厚膜抵抗体ペーストの組成が本発明で規定する範囲を外れており、比較例に相当するものである。また、表2中添加物1の項目において、「非晶質」とは、非晶質構造を有する複合酸化物であることを意味し、例えば非晶質の表記がなく単に「BaTiO」等としたものは、結晶質構造の従来型の複合酸化物であることを意味する。
Figure 2006202613
先ず、表2中、添加物1(アルカリ土類金属酸化物と酸化チタンとを含む複合酸化物)について検討する。表2から明らかなように、厚膜抵抗体ペースト中に、非晶質構造を有しアルカリ土類金属酸化物と酸化チタンとを少なくとも含む複合酸化物を添加物として含有する試料2においては、TCRが±100ppm以下と小さく、STOLも−1.0%以下と良好であり、且つ経時変化も±1.0%以下に抑えられている。これに対して、従来型の結晶質構造の複合酸化物を含有する試料1においては、経時変化が大きくなる等、信頼性の低下が見られる。複合酸化物の組成を変更した場合も、同様の傾向が見られる(試料3〜試料12)。
次に、導電性材料についての検討であるが、導電性材料として、CaRuOに代えてRuO、SrRuO、BaRuOを用いた場合も、添加物として非晶質構造のアルカリ土類金属酸化物と酸化チタンとを含む複合酸化物を用いることで、経時変化の改善が図られている(試料13〜試料18)。
また、ガラス組成物の組成を変更した場合も、添加物として非晶質構造のアルカリ土類金属酸化物と酸化チタンとを含む複合酸化物を用いることで、経時変化の改善が図られている(試料19〜試料24)。
試料25は導電性材料としてAgを含有せず、試料26は添加物としてCuOを含有しない厚膜抵抗体であるが、これらについても経時変化は±1.0%以下に抑えられ、良好な信頼性を示した。試料27は、結晶質構造のBaTiO:非晶質構造のBaO−TiO=9:1で混合した例であり、TCR特性、STOL特性に優れ、良好な信頼性が得られている。

Claims (4)

  1. ガラス組成物、導電性材料及び添加物を含有し、これらが有機ビヒクルと混合されてなる厚膜抵抗体ペーストであって、
    前記添加物として、非晶質構造を有しアルカリ土類金属酸化物と酸化チタンとを少なくとも含む複合酸化物を含有することを特徴とする厚膜抵抗体ペースト。
  2. 前記複合酸化物が、BaO−TiO、CaO−TiO、SrO−TiO、BaO−CaO−TiO、BaO−CaO−TiO−ZrOから選択される1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1記載の厚膜抵抗体ペースト。
  3. 請求項1又は2記載の厚膜抵抗体ペーストを用いて形成されたことを特徴とする厚膜抵抗体。
  4. 請求項3記載の厚膜抵抗体を有することを特徴とする電子部品。
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