JP4221417B2 - 厚膜抵抗体ペースト、厚膜抵抗体および電子部品 - Google Patents

厚膜抵抗体ペースト、厚膜抵抗体および電子部品 Download PDF

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本発明は、高抵抗を有する厚膜抵抗体の形成に用いて好適な厚膜抵抗体ペースト、厚膜抵抗体および電子部品に関する。
たとえば抵抗体ペーストは、一般に、ガラス組成物と、導電性材料と、有機ビヒクルとを主たる成分として構成されている。ガラス組成物は抵抗値の調節およびペーストの結着性を与えるために含有されている。抵抗体ペーストを基板上に印刷した後、焼成することによって、厚さ5〜20μm程度の厚膜抵抗体が形成される。そして、この種の抵抗体ペースト(厚膜抵抗体)においては、通常、導電性材料として酸化ルテニウム(RuO)や鉛ルテニウム酸化物等が用いられ、ガラスとして酸化鉛(PbO)系ガラス等が用いられている。
近年、環境問題が盛んに議論されてきており、鉛等の有害物質の電子部品からの排除が進められている。前記抵抗体ペーストや厚膜抵抗体も例外ではなく、鉛フリーとするための研究が行われている。
抵抗体ペーストの鉛フリー化における課題の一つとして、特に高抵抗(1kΩ/□以上)の抵抗体ペーストにおいて、温度特性(TCR)と耐電圧特性(STOL)の両立が挙げられる。たとえば、従来の鉛系抵抗体ペーストにおいて用いられてきた金属酸化物を添加することによるTCRの調節を、そのまま鉛フリーの組成に応用した場合、電圧印加による抵抗値の変動が鉛系組成と比較して大きく起こるため、結果としてTCRとSTOLの両立を実現することは困難である。
このような事情から、鉛を含まないガラス組成物、鉛を含まない導電性材料、および有機ビヒクルを主成分とする抵抗体ペーストにおいて、添加物としてCaTiOもしくはNiOを添加し、温度特性(TCR)と耐電圧特性(STOL)とを両立する試みがなされている。
たとえば特許文献1には、抵抗体ペーストにたとえばCaTiOを0vol%超、13vol%以下、もしくはNiOを0vol%超、12vol%以下含有させることが好ましく、さらにはCuO、ZnO、MgO等の添加物を同時に添加させることが好ましい旨の記述がある。これらの添加物を同時添加することにより、高い抵抗値を有しながらも、抵抗値の温度特性(TCR)および耐電圧特性(STOL)が小さい抵抗体を得ることに適した鉛フリーの抵抗体ペーストを提供することが可能である旨が特許文献1に記載されている。
しかしながら、特許文献1記載の発明のように、添加物を多量に含有させることでTCR特性を調整した抵抗体ペーストを用いて形成された抵抗体では、従来の鉛系組成の抵抗体ペーストを用いた場合よりもSTOL特性が低下する傾向にある。したがって、添加物を添加しない状態、すなわちガラス組成物および導電性材料からなる組成の抵抗体ペーストを用いて形成された抵抗体において、STOL特性をさらに向上させることができれば、前記STOL特性の低下を回避することができるものと考えられる。
また、前記特許文献1記載の技術では、確かにTCRやSTOLの改善が見られ、実際、TCRが±100ppm以内で、STOLがゼロに近いサンプルも開示されている。しかしながら、TCRとSTOLの両者について十分な特性が得られるのは、非常に限られた組成においてのみであり、大部分の組成では、STOLが小さいといっても1%以上の値である。このように、TCRとSTOLの両者について、十分に良好な特性が得られる組成が限られると、たとえば他の特性に関する自由度が制約され、抵抗体ペーストの設計上、支障をきたすおそれがあることから、より一層の改善が望まれるところである。
特開2003−197405号公報
そこで本発明はこのような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、たとえば1kΩ/□以上の高い抵抗値を有し、温度特性(TCR)および耐電圧特性(STOL)の両立を図ることができ、しかもTCRやSTOLを広範な組成において確実に小さな値とすることが可能な厚膜抵抗体ペースト用ガラス組成物を使用することで、高抵抗で温度特性(TCR)および耐電圧特性(STOL)に優れ、さらには熱的な安定性にも優れる厚膜抵抗体ペースト、およびこの厚膜抵抗体ペーストを用いて作製された厚膜抵抗体、さらにはこの厚膜抵抗体を有する電子部品を提供することを目的とする。
本発明者は、前述の目的を達成するために、長期に亘り鋭意研究を重ねてきた。その結果、厚膜抵抗体ペーストに使用するガラス組成物の組成を見直すことで、TCRやSTOLを大幅に改善し得ることを見出すに至った。
本発明は、このような知見に基づいて完成されたものである。
本発明の厚膜抵抗体ペーストは、ガラス組成物、導電性材料、BaTiOおよびCuOと、有機ビヒクルと、が混合されてなる厚膜抵抗体ペーストであって、前記導電性材料は、RuO、BiRu、CaRuO、SrRuO、BaRuOから選択される1種若しくは2種以上であり、前記ガラス組成物は、下記の組成を有することを特徴とする。
CaO、SrO、BaOから選択される1種若しくは2種以上:13モル%〜45モル%、
:0〜40モル%(ただし、0は含まず)、
SiO:17モル%〜72モル%(ただし、72モル%は含まず)、
ZrO:0〜10モル%(ただし、0は含まず)、
Ta、Nbから選択される1種若しくは2種以上:0〜10モル%(ただし、0は含まず)。
さらに、本発明の厚膜抵抗体は、前記厚膜抵抗体ペーストを用いて形成されたことを特徴とし、本発明に係る電子部品は、前記厚膜抵抗体を有することを特徴とする。
本願で用いる厚膜抵抗体用ガラス組成物は、従来の組成のガラス組成物と比較してTCR特性およびSTOL特性が良好である。したがって、このガラス組成物を厚膜抵抗体ペーストのガラス組成物として用いることで、広い組成範囲において、たとえば10kΩ以上の高抵抗値を示しつつ、好ましくはTCR±150ppm以内(さらに好ましくはTCR±100ppm以内)、好ましくはSTOL±1.0%以内(さらに好ましくはSTOL±0.5%以内)というような優れた特性が実現される。
なお、ガラス組成物においては、各酸化物はそのままの形で含有されるわけではなく、たとえば複合酸化物の形態となっているものと推測される。しかしながら、本明細書においては、ガラス組成物における組成の表記は、通例にしたがい、各酸化物に換算したときの含有量として表記する。たとえば、厚膜抵抗体ペーストや厚膜抵抗体に含まれるガラス組成物は、厳密に言えばCaをCaOの形態のまま含有するわけではない。また、Ca原料は、通常はCaCOの形で原料組成に添加される。したがって、「CaO20〜40モル%」とは、ガラス組成物を構成する複合酸化物がCaをCaO換算で20〜40モル%含有するという意味である。
本発明によれば、たとえば1.5MΩ/□以上の高抵抗値を有し、TCR特性およびSTOL特性を両立することが可能な高信頼性を有する厚膜抵抗体を実現することができ、品質に優れた電子部品を提供することができる。また、本発明によれば、得られる厚膜抵抗体において、TCRおよびSTOLを組成によらず確実に小さい値とすることが可能である。
以下、本発明に係る厚膜抵抗体ペースト、厚膜抵抗体、電子部品について説明する。
先ず、本願で用いる厚膜抵抗体ペースト用ガラス組成物は、環境保全上、鉛を実質的に含まない鉛フリーのガラス組成物である。なお、本発明において、「鉛を実質的に含まない」とは、不純物レベルを越える鉛を含まないことを意味し、不純物レベルの量(たとえば、ガラス組成物中の含有量が0.05質量%以下程度)であれば含有されていてもよい趣旨である。鉛は、不可避不純物として極微量程度、含有されることがある。
そして、本願で用いる厚膜抵抗体ペースト用ガラス組成物は、CaO、SrO、BaOから選択される1種若しくは2種以上を主たる修飾酸化物成分とし、BとSiOとを網目形成酸化物成分とするとともに、第2の修飾酸化物成分としてZrOを、さらに第3の修飾酸化物成分としてTa、Nbから選択される1種若しくは2種以上を含有するものであり、これら成分の組合せに大きな意味がある。
ここで、ガラス組成物における各成分の含有量について説明すると、先ず、主たる修飾酸化物成分は、ガラス組成物中に13モル%〜45モル%含有されることが好ましい。主たる修飾酸化物成分の含有量が前記範囲を下回る場合、導電性材料との反応性が低下し、TCR、STOL特性を劣化させるおそれがある。逆に、主たる修飾酸化物成分の含有量が前記範囲を越える場合、厚膜抵抗体を形成した時に、過剰な金属酸化物の析出が起こり、特性を劣化させると共に信頼性を低下させるおそれがある。
網目形成酸化物成分であるBは、ガラス組成物中に0〜40モル%以下(ただし、0は含まず。)含有されることが好ましい。また、網目形成酸化物成分であるSiOは、ガラス組成物中に17モル%〜72モル%(ただし、72モル%は含まず。)含有されることが好ましい。網目形成酸化物成分の含有量が少ない場合、ガラス組成物の軟化点が高くなるため、所定の焼成温度にて厚膜抵抗体を形成した場合、厚膜抵抗体の焼結が不十分となり、信頼性を著しく低下させるおそれがある。逆に、網目形成酸化物成分の含有量が多すぎる場合、ガラス組成物の耐水性が低下するため、厚膜抵抗体としたときの信頼性を著しく低下させるおそれがある。
第2の修飾酸化物成分は、ガラス組成物中に0〜10モル%(ただし、0は含まず。)の範囲で含有されることが好ましい。第2の修飾酸化物成分の含有量が10モル%を越える場合、厚膜抵抗体を形成した時に、過剰な金属酸化物の析出が起こり、特性を劣化させると共に信頼性を低下させるおそれがある。
本願で用いるガラス組成物では、前記各成分に加えて第3の修飾酸化物成分(Ta、Nbから選択される1種若しくは2種以上)を含有することが大きな特徴である。この第3の修飾酸化物成分は、ガラス組成物中の含有量が、0モル%〜10モル%(ただし、0モル%は含まず。)の範囲内とすることが好ましい。第3の修飾酸化物成分が全く含まれていなかったり、第3の修飾酸化物成分の含有量が前記範囲を上回ると、TCR、STOLのいずれもが大きくなり、これら特性が劣化する。
したがって、本願で用いる厚膜抵抗体ペースト用ガラス組成物の組成は、下記のように表すことができる。
CaO、SrO、BaOから選択される1種若しくは2種以上:13モル%〜45モル%、
:0〜40モル%(ただし、0は含まず)、
SiO:17モル%〜72モル%(ただし、72モル%は含まず)、
ZrO:0〜10モル%(ただし、0は含まず)、
Ta、Nbから選択される1種若しくは2種以上:0〜10モル%(ただし、0は含まず)。
前記組成範囲を外れると、前述のような効果を十分に得ることができなくなり、TCRやSTOLの改善が不十分になるおそれがある。
また、本願で用いるガラス組成物は、前記成分に加えて、その他の金属酸化物を含有してもよい。その他の金属酸化物としては、Al、ZnO、MgO等が挙げられる。ガラス組成物中における、その他の金属酸化物の含有量は、20モル%以下であることが好ましい。その他の金属酸化物の含有量が前記範囲を上回ると、STOL特性が劣化するおそれがある。
次に、本発明の厚膜抵抗体ペーストについて説明する。本発明の厚膜抵抗体ペーストは、ガラス組成物、導電性材料、および添加物としてのBaTiO 、CuOを含み、これらが有機ビヒクルと混合されてなるものである。そして、ガラス組成物として、前述のようなガラス組成物を用いる。ガラス組成物は、厚膜抵抗体とされたとき、厚膜抵抗体中で導電性材料および添加物を基板と結着させる役割を持つ。
抵抗体ペースト中のガラス組成物の含有量は、ガラス組成物、導電性材料、および添加物の合計質量を100質量%とした場合に、30質量%〜70質量%とするのが好ましく、35質量%〜65質量%とするのがより好ましい。抵抗体ペーストにおけるガラス組成物の含有量が前記範囲を下回る場合、導電性材料、添加物を結着させる効果が不十分となり、信頼性が著しく低下するおそれがある。逆に、ガラス組成物の含有量が前記範囲を越えて多すぎると、抵抗値が高くなり過ぎてしまい、抵抗体ペーストとしての使用に適さなくなるおそれがある。
導電性材料は、絶縁体であるガラス中に分散されることで、構造物である厚膜抵抗体に導電性を付与する役割を持つ。導電性材料は、環境保全上、やはり鉛を実質的に含まない導電性材料を用いることが好ましく、具体的な導電性材料としては、ルテニウム酸化物である。ルテニウム酸化物は、それぞれ単独で使用しても良いし、2種類以上組み合わせても良い。ルテニウム酸化物としては、RuO 、CaRuO 、SrRuO 、BaRuO 、Bi Ru である
抵抗体ペースト中の導電性材料の含有量は、導電性材料、ガラス組成物、添加物の合計の質量を100質量%とした時に、5質量%〜60質量%とするのが好ましく、10質量%〜55質量%とするのがより好ましい。導電性材料の含有量が少ない場合、抵抗値が高くなりすぎてしまい、抵抗体ペーストとしての使用に適さなくなるおそれがある。逆に、導電性材料の含有量が前記範囲を越えると、ガラス組成物による導電性材料の結着が不十分になり、信頼性が低下するおそれがある。
厚膜抵抗体ペーストには、前記ガラス組成物、導電性材料の他、抵抗値および温度特性の調整等を目的として、添加物が含まれる。添加物としては、金属酸化物、金属複合酸化物を挙げることができる。
金属複合酸化物としては、BaTiO である
特に、導電性材料としてRuO、CaRuO、SrRuO、BaRuO、BiRuから選択される1種若しくは2種以上を用いた場合に、本発明の範囲外であるが、金属複合酸化物としてアルカリ土類金属のチタン酸化合物と金属材料との両者を添加物として組み合わせることにより、前記ガラス組成物の効果と相俟って、TCRおよび/またはSTOLが大幅に改善される。
この場合、金属材料としては、AgやPd等の単体金属、Ag−Pd等、AgやPdの合金等、任意の導電性金属の微粒子等が使用可能であるが、特に、後述のチタン酸化合物との組み合わせを考慮すると、Agが最も好適である。
前記アルカリ土類金属のチタン酸化合物としては、BaTiO、CaTiO、SrTiO等を挙げることができる。これらチタン酸化合物は、抵抗値に応じて選択することが好ましく、また、その場合、組成もそれぞれ最適化することが好ましいが、本発明ではBaTiO である。
抵抗値が1kΩ/□〜15MΩ/□の厚膜抵抗体を作製するための厚膜抵抗体ペーストにおいては、本発明の範囲外であるが、具体的な抵抗体組成として、金属材料であるAgと、アルカリ土類金属のチタン酸化合物の中のBaTiOとを組み合わせることが好ましい。この場合の抵抗体組成物の組成は、
導電性材料:20〜45質量%、
ガラス組成物:30〜60質量%、
BaTiO:0〜25質量%(ただし、0は含まず)、
金属材料:0〜15質量%(ただし、0は含まず)、
であることが好ましい。
一方、抵抗値が0.1kΩ/□〜5MΩ/□の厚膜抵抗体を作製するための厚膜抵抗体ペーストにおいては、同様に本発明の範囲外であるが、抵抗体組成として、金属材料であるAgと、アルカリ土類金属のチタン酸化合物の中のCaTiO、またはSrTiOを組み合わせることが好ましい。この場合の抵抗体組成物の組成は、
導電性材料:15〜30質量%、
ガラス組成物:50〜65質量%、
CaTiO、SrTiOの1種若しくは2種以上:0〜15質量%(ただし、0は含まず)、
金属材料:0〜20質量%(ただし、0は含まず)、
であることが好ましい。
前記抵抗体組成物の組成は、抵抗値の他、TCRやSTOLを考慮して決められ、前記範囲とすることで、それぞれの抵抗値において、TCRやSTOLを確実に小さな値とすることができる。
なお、本発明の範囲外であるが、前記金属材料とアルカリ土類金属のチタン酸化合物の同時添加により、他の添加物を用いなくてもTCRやSTOLを十分に改善することができる。本発明では、添加物を用いる。添加物としては、BaTiO 任意の金属酸化物を挙げることができ、たとえば、MgO、TiO、SnO、ZnO、CoO、CuO、NiO、MnO、MnO、Fe、Cr、Y、V等が挙げられる。本発明では、BaTiO CuOを併用することで、STOLをより一層改善することが可能である。CuOについても、所望の抵抗値に応じて最適範囲が異なり、1kΩ/□〜15MΩ/□の厚膜抵抗体を作製するための厚膜抵抗体ペースト用抵抗体組成物においては、0〜8質量%とすることが好ましい。0.1kΩ/□〜5MΩ/□の厚膜抵抗体を作製するための厚膜抵抗体ペースト用抵抗体組成物においては、0〜10質量%とすることが好ましい。
前述の抵抗体組成物は、有機ビヒクル中に分散することで厚膜抵抗体ペーストとされるが、厚膜抵抗体ペースト用の有機ビヒクルとしては、この種の厚膜抵抗体ペーストに用いられるものがいずれも使用可能である。たとえば、エチルセルロース、ポリビニルブチラール、メタクリル樹脂、ブチルメタクリレート等のバインダ樹脂と、ターピネオール、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、アセテート、トルエン、各種アルコール、キシレン等の溶剤とを混合して用いることができる。このとき、各種の分散剤や活性剤、可塑剤等を用途等に応じて適宜併用することも可能である。
前記有機ビヒクルの配合比率であるが、抵抗体組成物の質量(W1)と、有機ビヒクルの質量(W2)の比率(W2/W1)が、0.25〜4(W2:W1=1:0.25〜1:4)であることが好ましい。より好ましくは、前記比率(W2/W1)が0.5〜2である。前記比率を外れると、厚膜抵抗体をたとえば基板上に形成するのに適した粘度の厚膜抵抗体ペーストを得ることができなくなるおそれがある。
厚膜抵抗体を形成するには、前述の成分を含む厚膜抵抗体ペーストをたとえば基板上にスクリーン印刷等の手法で印刷(塗布)し、850℃程度の温度で焼成すればよい。基板としては、Al基板やBaTiO基板の誘電体基板や、低温焼成セラミック基板、AlN基板等を用いることができる。基板形態としては、単層基板、複合基板、多層基板のいずれであってもよい。多層基板の場合、厚膜抵抗体は、表面に形成してもよいし、内部に形成してもよい。形成された厚膜抵抗体においては、前記厚膜抵抗体ペーストに含まれる抵抗体組成物の組成が、焼成後にもほぼそのまま維持される。
厚膜抵抗体の形成に際しては、通常、基板に電極となる導電パターンを形成するが、この導電パターンは、たとえば、AgやPt、Pd等を含むAg系の良導電材料を含む導電ペーストを印刷することにより形成することができる。また、形成した厚膜抵抗体の表面に、ガラス膜等の保護膜(オーバーグレーズ)を形成してもよい。
本発明の厚膜抵抗体を適用可能な電子部品としては特に限定されないが、たとえば単層または多層の回路基板、チップ抵抗器等の抵抗器、アイソレータ素子、C−R複合素子、モジュール素子が挙げられる。また、積層チップコンデンサ等のコンデンサやインダクタ等の電極部分にも適用することができる。
以下、本発明の具体的な実施例について、実験結果を基に説明する。
ガラス組成物の作製
ガラス原料としては、CaCO、SrCO、BaCO、B、SiO、ZrO、Ta、Nbを用いた。これらの中から所定の成分を選択して所定量秤量し、白金るつぼに投入して1350℃で1時間溶融させた。そして、溶融物を水中に投入することによって急冷し、ガラス化した。得られたガラス化物をボールミルにて湿式粉砕し、ガラス組成物粉末を得た。作製したガラス組成物の組成を表1に示す。なお、表1に示す組成において、数値は各成分の割合(モル%)を表し、*印は本発明で規定する範囲を外れた値である。
Figure 0004221417
有機ビヒクルの作製
バインダとしてエチルセルロース、有機溶剤としてテルピネオールを用い、有機溶剤を加熱撹拌しながらバインダを溶かして、有機ビヒクルを作製した。
厚膜抵抗体ペーストの作製
導電性材料(CaRuO粉末)、ガラス組成物粉末、添加物および有機ビヒクルを各組成となるように秤量し、3本ロールミルで混練し、厚膜抵抗体ペーストを得た。なお、導電性材料、ガラス組成物粉末および添加物の合計質量と有機ビヒクルの質量の比は、得られた抵抗体ペーストがスクリーン印刷に適した粘度となるように、質量比で1:0.25〜1:4の範囲で調合し、抵抗体ペーストを作製した。
抵抗体の作製
純度96%のアルミナ基板上に、Ag−Pt導体ペーストを所定形状にスクリーン印刷して乾燥させた。Ag−Pt導体ペーストにおけるAgの割合は95質量%、Ptの割合は5質量%とした。このアルミナ基板をベルト炉に入れ、投入から排出まで1時間のパターンで焼き付けを行った。この時の焼き付け温度は850℃、その温度での保持時間は10分間とした。
このようにして導体が形成されたアルミナ基板上に、先に作製した厚膜抵抗体ペーストをスクリーン印刷法にて所定の形状(1mm×1mmの方形状)のパターンで塗布し、乾燥した。その後、導体焼き付けと同じ条件で厚膜抵抗体ペーストを焼き付け、厚膜抵抗体を得た。
抵抗体の特性評価
(1)抵抗値
Agilent Technologies 社製の製品番号34401Aにより測定。試料数24個の平均値を求めた。
(2)TCR
室温25℃を基準として、−55℃および125℃へ温度を変えた時の抵抗値変化率を求めた。試料数10個の平均値である。−55℃、25℃、125℃の抵抗値をR-55、R25、R125(Ω/□)とおくと、TCR(ppm/□)=[(R-55-R25)/R25/80]×1000000、あるいは、TCR(ppm/□)=[(R125-R25)/R25/100]×1000000である。両者のうち数値の大きい方をTCR値とした。
(3)STOL(短時間過負荷)
厚膜抵抗体に試験電圧を5秒間印加し、その前後における抵抗値の変化率を求めた。試料数10個の平均値である。試験電圧=2.5×定格電圧であり、定格電圧=√(R/4)、Rは抵抗値(Ω/□)である。計算した試験電圧が400Vを越える抵抗値を持つ抵抗体については、試験電圧を400Vにて行った。
ガラス組成物の成分に関する検討
表1に示すガラス組成物を用いて厚膜抵抗体(試料1〜試料46)を作製し、各厚膜抵抗体の特性(抵抗値、TCR、STOL)を評価した。抵抗体の作製に際して、厚膜抵抗体ペーストの組成は、導電性材料(CaRuO粉末)25質量%、ガラス組成物75質量%とした。評価結果を表2に示す。なお、表2において、*印を付した試料は、ガラス組成物の組成が本発明で規定する範囲を外れており、比較例に相当するものである。
Figure 0004221417
表2から明らかなように、ガラス組成物の組成比を適正なものとした試料17〜試料46においては、TCRが±150ppm以内と小さく、STOLも±1.0%以内となっている。これに対して、本発明で規定した組成範囲を外れるガラス組成物を用いた試料では、TCRが±150ppmを大幅に越えたり、STOLが大きくなる等の特性劣化が見られる。
添加物に関する検討
前記厚膜抵抗体ペーストの作製に際して、ガラス組成物として表1中のCaO系ガラス組成物から選択して用いた。さらに添加物としてBaTiO、CaTiO、SrTiO、Ag、Pd、CuOから選択して用い、前記抵抗体の作製の項の記述にしたがって抵抗体(試料47〜試料62)を作製した。
これら各試料における抵抗体組成物の組成、および特性評価結果を表3に示す。なお、表中における数値は、各成分の組成(質量%)を表す。チタン酸化合物とAg、Pd等の金属材料、さらにはCuOを組み合わせて添加することにより、TCRが概ね±100ppm以内、STOLが±0.5%以内となり、より一層改善されることがわかる。なお、表3中、試料番号48および53が、本発明の実施例であり、それ以外の試料は比較例である。
Figure 0004221417
SrO系ガラス組成物の検討
表1に示すSrO系ガラス組成物を用いて厚膜抵抗体(試料63〜試料81)を作製し、各厚膜抵抗体の特性(抵抗値、TCR、STOL)を評価した。抵抗体の作製に際して、厚膜抵抗体ペーストの組成は、表4に示すとおりとした。評価結果を表4に併せて示す。
Figure 0004221417
BaO系ガラス組成物の検討
表1に示すBaO系ガラス組成物を用いて厚膜抵抗体(試料82〜試料87)を作製し、各厚膜抵抗体の特性(抵抗値、TCR、STOL)を評価した。抵抗体の作製に際して、厚膜抵抗体ペーストの組成は、表5に示すとおりとした。評価結果を表5に併せて示す。
Figure 0004221417
表4および5から明らかなように、表1に示すSrO系およびBaO系ガラス組成物を用いた場合も、チタン酸化合物とAg、Pd等の金属材料、さらにはCuOを組み合わせて添加することにより、TCRが概ね±100ppm以内、STOLが±0.5%以内となり、より一層改善されることがわかる。なお、表4中、試料番号64および71が、本発明の実施例であり、それ以外の試料は比較例である。また、表5に示す試料はすべて比較例である。

Claims (3)

  1. ガラス組成物、導電性材料、BaTiOおよびCuOと、有機ビヒクルと、が混合されてなる厚膜抵抗体ペーストであって、
    前記導電性材料は、RuO、BiRu、CaRuO、SrRuO、BaRuOから選択される1種若しくは2種以上であり、
    前記ガラス組成物は、下記の組成を有することを特徴とする厚膜抵抗体ペースト。
    CaO、SrO、BaOから選択される1種若しくは2種以上:13モル%〜45モル%、
    :0〜40モル%(ただし、0は含まず)、
    SiO:17モル%〜72モル%(ただし、72モル%は含まず)、
    ZrO:0〜10モル%(ただし、0は含まず)、
    Ta、Nbから選択される1種若しくは2種以上:0〜10モル%(ただし、0は含まず)。
  2. 請求項1に記載の厚膜抵抗体ペーストを用いて形成され、抵抗値が1.5MΩ/□以上であることを特徴とする厚膜抵抗体。
  3. 請求項に記載の厚膜抵抗体を有することを特徴とする電子部品。
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