JP2006073718A - 厚膜抵抗体ペースト及び厚膜抵抗体、電子部品 - Google Patents

厚膜抵抗体ペースト及び厚膜抵抗体、電子部品 Download PDF

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Abstract

【課題】 Pbフリーで、TCRやSTOLに優れた高抵抗厚膜抵抗体を実現する。
【解決手段】 ガラス組成物及び導電性材料を含み、これらが有機ビヒクルと混合されてなる厚膜抵抗体ペーストである。ガラス組成物は、異なる金属酸化物を含む2種類以上のガラスにより構成されている。2種類以上のガラスの軟化点の差は、50℃以内である。金属酸化物は、Ni、Ta、Nb、Co、Sc、Cu、Tiのいずれかの酸化物であり、2種類以上のガラスに含まれる金属酸化物の含有量は、合計で10モル%以下である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、高抵抗を有する厚膜抵抗体の形成に用いて好適な厚膜抵抗体ペーストに関するものであり、さらには、係る厚膜抵抗体ペーストを用いて形成される厚膜抵抗体、電子部品に関する。
例えば抵抗体ペーストは、一般に、抵抗値の調節及び結合性を与えるためのガラス組成物と、導電性材料と、有機ビヒクルとを主たる成分として構成されており、これを基板上に印刷した後、焼成することによって、厚さ5〜20μm程度の厚膜抵抗体が形成される。そして、この種の抵抗体ペースト(厚膜抵抗体)においては、通常、導電性材料として酸化ルテニウム(RuO)や鉛ルテニウム酸化物等が用いられ、ガラスとして酸化鉛(PbO)系ガラス等が用いられている。
近年、環境問題が盛んに議論されてきており、鉛等の有害物質の電子部品からの排除が進められている。前記抵抗体ペーストや厚膜抵抗体も例外ではなく、鉛フリーとするための研究が行われている。
抵抗体ペーストの鉛フリー化における課題の一つとして、特に高抵抗(1kΩ/□以上)の抵抗体ペーストにおいて、温度特性(TCR)と耐電圧特性(STOL)の両立が挙げられる。例えば、従来の鉛系抵抗体ペーストにおいて用いられてきた金属酸化物を添加することによるTCRの調節を、そのまま鉛フリーの組成に応用した場合、電圧印加による抵抗値の変動が鉛系組成と比較して大きく起こるため、結果としてTCRとSTOLの両立を実現することは困難である。
このような事情から、鉛を含まないガラス組成物、鉛を含まない導電性材料、及び有機ビヒクルを主成分とする抵抗体ペーストにおいて、添加物としてNiOやMnO等の金属酸化物を添加し、温度特性(TCR)と耐電圧特性(STOL)とを両立する試みがなされている(例えば、特許文献1等を参照)。
特開2003−197405号公報
しかしながら、前記従来技術のように、金属酸化物を添加物として厚膜抵抗体ペーストに加える構成では、特性改善に限界があるのが実情である。例えば、添加物である金属酸化物自体の添加量には自ずと限度があり、得られる特性改善効果にも限度がある。また、添加物として金属酸化物を加えた分だけ例えば導電性材料やガラス組成物の配合量が制約されることになり、厚膜抵抗体ペーストを設計する上で大きな制約が加わることになる。
ここで、前記金属酸化物を添加物として加えることによる不都合を解消するためには、例えば金属酸化物をガラス組成に加えることが考えられる。金属酸化物を予めガラス組成物中に取り込んでおけば、導電性材料やガラス組成物の配合が制約されることはなく、十分な特性改善が可能になるものと期待される。
ただし、前記のように金属酸化物をガラス組成に加える場合、ガラス組成物の軟化点に注意を払う必要がある。例えば、十分な特性改善を目的に複数種類の金属酸化物をガラス組成に加える場合、これらを一括してガラス組成に加えると、軟化点が高くなり過ぎるおそれがある。ガラス組成物の軟化点が高くなり過ぎると、低温での焼結が難しくなり、通常の焼結条件では焼結不良を起こす可能性がある。実際、1種類のガラスにNiOとMnOの両者を加えてガラス組成物を作製したところ、軟化点が著しく高くなり、通常の焼結条件(例えば850℃)では焼結が不可能であった。
そこで本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、高抵抗な厚膜抵抗体の形成に際し、温度特性(TCR)や耐電圧特性(STOL)を十分に改善することができ、しかも通常の焼結条件で厚膜抵抗体を焼結・形成することが可能な厚膜抵抗体ペーストを提供することを目的とする。さらには、かかる厚膜抵抗体ペーストを用いて作製された厚膜抵抗体、厚膜抵抗体を有する電子部品を提供することを目的とする。
本発明者は、前述の目的を達成するために、長期に亘り鋭意研究を重ねてきた。その結果、厚膜抵抗体ペーストに使用するガラス組成物に複数種類の金属酸化物をガラス組成として加えるに際し、1種類のガラスに全ての金属酸化物を加えるのではなく、2種類以上のガラスに分けて加えることで、ガラス組成物の軟化点の上昇を抑制することができ、焼結性を損なうことなく、TCRやSTOLを十分に改善し得ることを見出すに至った。
本発明は、このような知見に基づいて完成されたものである。すなわち、本発明の厚膜抵抗体ペーストは、少なくともガラス組成物及び導電性材料を含み、これらが有機ビヒクルと混合されてなる厚膜抵抗体ペーストであって、前記ガラス組成物は、異なる金属酸化物を含む2種類以上のガラスにより構成されていることを特徴とする。
本発明の厚膜抵抗体ペーストでは、金属酸化物を添加物として加えるのではなく、ガラス組成中に取り込んでいるので、例えば添加量の制約が緩和され、必要十分な量を加えることで、TCRやSTOLが十分に改善される。また、導電性材料やガラス組成物の配合に対する制約も緩和され、設計の自由度が増す。
一方、本発明では、例えば複数種類の金属酸化物をガラス組成に加えるに当たり、これら金属酸化物を2種類以上のガラスに分散して加えている。したがって、1種類のガラスに複数の金属酸化物を一括して加える場合に比べて、個々のガラスに加える金属酸化物の量が抑えられ、各ガラスの軟化点の上昇が抑えられる。
本発明によれば、例えば1kΩ/□以上の高抵抗値を有し、TCR特性及びSTOL特性が両立されるとともに、焼結性にも優れた高信頼性を有する厚膜抵抗体を実現することができ、これにより、品質に優れた電子部品を提供することができる。
以下、本発明を適用した厚膜抵抗体ペースト、厚膜抵抗体、電子部品について説明する。
本発明の厚膜抵抗体ペーストは、導電性材料及びガラス組成物を含み、これら成分からなる抵抗体組成物が有機ビヒクルと混合されてなるものである。ここで、本発明の厚膜抵抗体ペーストは、環境保全上、鉛を実質的に含まない鉛フリーの厚膜抵抗体ペーストであり、したがって、前記導電性材料やガラス組成物も鉛を実質的に含まない鉛フリーの導電性材料、ガラス組成物である。なお、本発明において、「鉛を実質的に含まない」とは、不純物レベルを越える鉛を含まないことを意味し、不純物レベルの量(例えば、ガラス組成物中の含有量が0.05重量%以下程度)であれば含有されていてもよい趣旨である。鉛は、不可避不純物として極微量程度、含有されることがある。
導電性材料は、絶縁体であるガラス中に分散されることで、構造物である厚膜抵抗体に導電性を付与する役割を持つ。導電性材料は、特に限定されないが、環境保全上、やはり鉛を実質的に含まない導電性材料を用いることが好ましい。具体的な鉛を実質的に含まない導電性材料としては、ルテニウム酸化物の他、Ag−Pd合金、Ag−Pt合金、TaN、WC、LaB、MoSiO、TaSiO、及び金属(Ag、Au、Pt、Cu、Ni、W、Moなど)が挙げられる。これらの物質は、それぞれ単独で使用しても良いし、2種類以上組み合わせても良い。この中でも、ルテニウム酸化物が好ましい。ルテニウム酸化物としては、酸化ルテニウム(RuO、RuO等)の他、ルテニウム系パイロクロア(BiRu、TlRu等)やルテニウム複合酸化物(SrRuO、BaRuO、CaRuO、LaRuO等)なども含まれる。中でもRuO、CaRuO、SrRuO、BaRuO、BiRuが好ましい。
ガラス組成物は、厚膜抵抗体とされたとき、厚膜抵抗体中で導電性材料及び添加物を基板と結着させる役割を持つ。ガラス組成物としては、原料である修飾酸化物成分、網目形成酸化物成分等を混合し、ガラス化したものを用いることができ、特に、主たる修飾酸化物成分として、アルカリ土類金属の酸化物、具体的にはCaO、SrO、BaOから選ばれる1種若しくは2種以上を用いた、いわゆるCaO系ガラスが好適である。この場合の網目形成酸化物成分としては、B及びSiOを挙げることができる。
この場合、主たる修飾酸化物成分は、ガラス組成物中に20モル%〜40モル%含有されることが好ましい。主たる修飾酸化物成分の含有量が前記範囲を下回る場合、導電性材料との反応性が低下し、TCR、STOL特性を劣化させるおそれがある。逆に、主たる修飾酸化物成分の含有量が前記範囲を越える場合、厚膜抵抗体を形成した時に、過剰な金属酸化物の析出が起こり、特性、信頼性を劣化させるおそれがある。
網目形成酸化物成分であるBとSiOは、ガラス組成物中にそれぞれ20モル%〜40モル%含有されることが好ましい。網目形成酸化物成分の含有量が少ない場合、ガラス組成物の軟化点が高くなるため、所定の焼成温度にて厚膜抵抗体を形成した場合、厚膜抵抗体の焼結が不十分となり、信頼性を著しく低下させるおそれがある。逆に、網目形成酸化物成分の含有量が多すぎる場合、ガラス組成物の耐水性が低下するため、厚膜抵抗体としたときの信頼性を著しく低下させるおそれがある。
本発明では、前記ガラス組成物の成分として金属酸化物を加え、TCRやSTOLの改善を図る。これら金属酸化物を、厚膜抵抗体ペースト中に添加物として加えるのではなく、ガラス組成物の成分として加えることで、添加物として加える場合の制約を回避することができる。
前記金属酸化物としては、Ni、Ta、Nb、Co、Sc、Cu、Tiのいずれかの酸化物であり、TCR、STOLの十分な改善を図るために、2種類以上をガラス成分中に加えることが好ましい。ただし、この場合、1種類のガラス中に全ての金属酸化物を加えると、ガラスの軟化点が上昇してしまい、焼結に支障をきたすおそれがある。そこで、本発明では、2種類以上のガラスに金属酸化物を分けて加え、各ガラスの軟化点の上昇を極力防ぐようにする。
この場合、2種類以上のガラスに含まれる金属酸化物の含有量が、合計で10モル%以下であることが好ましい。前記金属酸化物の含有量が10モル%を越える場合、厚膜抵抗体を形成した時に、過剰な金属酸化物の析出が起こり、特性、信頼性を劣化させるおそれがある。また、前記2種類以上のガラスにおいて、少なくとも1種類のガラスはNiの酸化物を含有することが好ましい。さらに、前記2種類のガラスの軟化点の差は、50℃以下とすることが好ましい。軟化点温度の差が大きいということは、結果としていずれかのガラスの軟化点が高いことを意味し、焼結性に問題が生ずるおそれがある。
厚膜抵抗体ペーストには、前記ガラス組成物、導電性材料の他、抵抗値及び温度特性の調整等を目的として、添加物が含まれていてもよい。添加物としては、任意の金属酸化物、金属複合酸化物等を挙げることができ、適宜選択して使用すればよい。
特に、導電性材料としてRuO、CaRuO、SrRuO、BaRuO、BiRuから選択される1種若しくは2種以上を用いた場合に、金属材料とチタン酸化合物の両者を添加物として組み合わせることにより、前記ガラス組成物の効果と相俟って、TCR及びSTOLが大幅に改善される。
この場合、金属材料としては、Ag等、任意の導電性金属の微粒子等が使用可能であるが、特に、後述のチタン酸化合物との組み合わせという観点からは、Agが最も好適である。
前記チタン酸化合物としては、BaTiO、CaTiO,SrTiO、MgTiO、CoTiO,NiTiO等を挙げることができるが、前記金属材料(例えばAg)との組み合わせという観点からは、BaTiO、CaTiO,SrTiO等のアルカリ土類金属のチタン酸化合物が好ましい。また、これらチタン酸化合物は、抵抗値に応じて選択することが好ましく、また、その場合、抵抗値に応じて組成もそれぞれ最適化することが好ましい。
具体的には、抵抗値が1kΩ/□〜10MΩ/□の厚膜抵抗体を作製するための厚膜抵抗体ペーストにおいては、抵抗体組成として、金属材料であるAgと、アルカリ土類金属のチタン酸化合物の中のBaTiOとを組み合わせることが好ましい。この場合の抵抗体組成物の組成は、
導電性材料:20〜40重量%
ガラス組成物:30〜60重量%
BaTiO:0〜20重量%(ただし、0は含まず。)
金属材料:0〜15重量%(ただし、0は含まず。)
であることが好ましい。
一方、抵抗値が0.1kΩ/□〜500kΩ/□の厚膜抵抗体を作製するための厚膜抵抗体ペーストにおいては、抵抗体組成として、金属材料であるAgと、アルカリ土類金属のチタン酸化合物の中のCaTiO、またはSrTiOを組み合わせることが好ましい。この場合の抵抗体組成物の組成は、
導電性材料:15〜30重量%
ガラス組成物:50〜65重量%
CaTiO,SrTiOの1種若しくは2種以上:0〜15重量%(ただし、0は含まず。)
金属材料:0〜20重量%(ただし、0は含まず。)
であることが好ましい。
前記抵抗体組成物の組成は、抵抗値の他、TCRやSTOLの観点から決められ、前記範囲とすることで、それぞれの抵抗値において、TCRやSTOLを確実に小さな値とすることができる。
なお、前記金属材料とアルカリ土類金属のチタン酸化合物の同時添加により、他の添加物を用いなくてもTCRやSTOLを十分に改善することができるが、必要に応じて、他の添加物が含まれていてもよい。添加物としては、任意の金属酸化物を挙げることができるが、特に、CuOを併用することで、STOLをより一層改善することが可能である。CuOについても、抵抗値に応じて最適範囲が異なり、1kΩ/□〜10MΩ/□の厚膜抵抗体を作製するための厚膜抵抗体ペースト用抵抗体組成物においては、0〜4重量%とすることが好ましく、0.1kΩ/□〜500kΩ/□の厚膜抵抗体を作製するための厚膜抵抗体ペースト用抵抗体組成物においては、0〜5重量%とすることが好ましい。
前述の抵抗体組成物は、有機ビヒクル中に分散することで厚膜抵抗体ペーストとされるが、厚膜抵抗体ペースト用の有機ビヒクルとしては、この種の厚膜抵抗体ペーストに用いられるものがいずれも使用可能であり、例えば、エチルセルロース、ポリビニルブチラール、メタクリル樹脂、ブチルメタクリレート等のバインダ樹脂と、ターピネオール、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、アセテート、トルエン、各種アルコール、キシレン等の溶剤とを混合して用いることができる。このとき、各種の分散剤や活性剤、可塑剤等を用途等に応じて適宜併用することも可能である。
前記有機ビヒクルの配合比率であるが、抵抗体組成物の重量(W1)と、有機ビヒクルの重量(W2)の比率(W2/W1)が、0.25〜4(W2:W1=1:0.25〜1:4)であることが好ましい。より好ましくは、前記比率(W2/W1)が0.5〜2である。前記比率を外れると、厚膜抵抗体を例えば基板上に形成するのに適した粘度の厚膜抵抗体ペーストを得ることができなくなるおそれがある。
厚膜抵抗体を形成するには、前述の成分を含む厚膜抵抗体ペーストを例えば基板上にスクリーン印刷等の手法で印刷(塗布)し、850℃程度の温度で焼成すればよい。基板としては、Al基板やBaTiO基板の誘電体基板や、低温焼成セラミック基板、AlN基板等を用いることができる。基板形態としては、単層基板、複合基板、多層基板のいずれであってもよい。多層基板の場合、厚膜抵抗体は、表面に形成してもよいし、内部に形成してもよい。形成された厚膜抵抗体においては、前記厚膜抵抗体ペーストに含まれる抵抗体組成物の組成が、ほぼそのまま維持される。
厚膜抵抗体の形成に際しては、通常、基板に電極となる導電パターンを形成するが、この導電パターンは、例えば、AgやPt,Pd等を含むAg系の良導電材料を含む導電ペーストを印刷することにより形成することができる。また、形成した厚膜抵抗体の表面に、ガラス膜等の保護膜(オーバーグレーズ)を形成してもよい。
本発明の厚膜抵抗体を適用可能な電子部品としては特に限定されないが、例えば単層または多層の回路基板、チップ抵抗器等の抵抗器、アイソレータ素子、C−R複合素子、モジュール素子の他、積層チップコンデンサ等のコンデンサやインダクタ等が挙げられ、コンデンサやインダクタ等の電極部分にも適用することができる。
以下、本発明の具体的な実施例について、実験結果を基に説明する。
<ガラス組成物の作製>
ガラス原料としては、CaCO、B、SiO、ZrO、及び各種金属酸化物(Ni、Ta、Nb、Co、Sc、Cu、Tiの酸化物)を用いた。これらの中から所定の成分を選択して所定量秤量し、白金るつぼに投入して1350℃で1時間溶融させた。そして、溶融物を水中に投入することによって急冷し、ガラス化した。得られたガラス化物をボールミルにて湿式粉砕し、ガラス組成物粉末を得た。
<有機ビヒクルの作製>
バインダとしてエチルセルロース、有機溶剤としてテルピネオールを用い、有機溶剤を加熱撹拌しながらバインダを溶かして、有機ビヒクルを作製した。
<厚膜抵抗体ペーストの作製>
導電性材料(CaRuO粉末)、ガラス組成物粉末、添加物及び有機ビヒクルを各組成となるように秤量し、3本ロールミルで混練し、厚膜抵抗体ペーストを得た。なお、導電性材料、ガラス組成物粉末及び添加物の合計重量と有機ビヒクルの重量の比は、得られた抵抗体ペーストがスクリーン印刷に適した粘度となるように、重量比で1:0.25〜1:4の範囲で調合し、抵抗体ペーストを作製した。
<抵抗体の作製>
96%のアルミナ基板上に、Ag−Pt導体ペーストを所定形状にスクリーン印刷して乾燥させた。Ag−Pt導体ペーストにおけるAgの割合は95重量%、Ptの割合は5重量%とした。このアルミナ基板をベルト炉に入れ、投入から排出まで1時間のパターンで焼き付けを行った。この時の焼き付け温度は850℃、その温度での保持時間は10分間とした。
このようにして導体が形成されたアルミナ基板上に、先に作製した厚膜抵抗体ペーストをスクリーン印刷法にて所定の形状(1mm×1mmの方形状)のパターンで塗布し、乾燥した。その後、導体焼き付けと同じ条件で厚膜抵抗体ペーストを焼き付け、厚膜抵抗体を得た。
<抵抗体の特性評価>
(1)抵抗値
Agilent Technologies 社製の製品番号 34401Aにより測定。試料数24個の平均値を求めた。
(2)TCR
室温25℃を基準として、−55℃及び125℃へ温度を変えた時の抵抗値変化率を求めた。試料数10個の平均値である。−55℃、25℃、125℃の抵抗値をR-55、R25、R125(Ω/□)とおくと、TCR(ppm/℃)=[(R-55-R25)/R25/80]×1000000、あるいは、TCR(ppm/℃)=[(R125-R25)/R25/100]×1000000である。数値の大きい方をTCR値とした。
(3)STOL(短時間過負荷)
厚膜抵抗体に試験電圧を5秒間印加し、その前後における抵抗値の変化率を求めた。試料数10個の平均値である。試験電圧=2.5×定格電圧であり、定格電圧=√(R/4)、Rは抵抗値(Ω/□)である。計算した試験電圧が400Vを越える抵抗値を持つ抵抗体については、試験電圧を400Vにて行った。
<金属酸化物のガラス組成中への添加に関する検討>
表1に示すような2種類のガラス(ガラスA及びガラスB)からなるガラス組成物を用い、厚膜抵抗体(試料1〜試料12)を作製した後、各厚膜抵抗体の特性(抵抗値、TCR、STOL)を評価した。評価結果を表1に示す。なお、抵抗体の作製に際して、厚膜抵抗体ペーストの組成は、導電性材料(CaRuO粉末)26重量%、ガラスA37重量%、ガラスB37重量%とした。また、各ガラスにおいて、金属酸化物として加えた金属元素(例えばNi等)に付与されている数値は、ガラス中の金属酸化物の割合(モル%)を表す。
Figure 2006073718
表1から明らかなように、金属酸化物を成分として含む2種類のガラスを組み合わせることにより、TCRが小さく、STOLも小さな値に抑えられることがわかる。ただし、2種類のガラスに含まれる金属酸化物の割合が10モル%を越えるとともに、2種類のガラスの軟化点の差が50℃を越え、ガラス組成物全体でも金属酸化物の合計量が10モル%を越える試料10〜試料12では、TCR、STOL共に劣化が見られる。
<添加物に関する検討>
前記厚膜抵抗体ペーストの作製に際して、金属酸化物を含む2種類のガラスからなるガラス組成物を用いるとともに、添加物としてBaTiO、及びAgを用い、前記抵抗体の作製の項の記述にしたがって抵抗体(試料13、試料14)を作製した。厚膜抵抗体ペーストの組成は、導電性材料(CaRuO粉末)32重量%、ガラスA22重量%、ガラスB22重量%、18重量%、Ag6重量%とした。これら各試料における特性評価結果を表2に示す。チタン酸化合物とAgを組み合わせて添加することにより、TCRやSTOLがより一層改善されることがわかる。
Figure 2006073718
<比較例>
前記厚膜抵抗体ペーストの作製に際して、金属酸化物を含む1種類のガラスのみからなるガラス組成物を用い、厚膜抵抗体(試料15、試料16)を作製した後、各厚膜抵抗体の特性(抵抗値、TCR、STOL)を評価した。評価結果を表3に示す。なお、抵抗体の作製に際して、厚膜抵抗体ペーストの組成は、導電性材料(CaRuO粉末)26重量%、ガラス組成物74重量%とした。また、各ガラスにおいて、金属酸化物として加えた金属元素(例えばNi等)に付与されている数値は、ガラス中の金属酸化物の割合(モル%)を表す。1種類のガラスに複数の金属酸化物を一括して添加すると、ガラスの軟化点が上昇し、焼結不良を起こして特性が著しく低下することがわかった。特に、試料16では、通常の焼結温度では焼結させることができず、したがって、各特性を測定することもできなかった。
Figure 2006073718

Claims (16)

  1. 少なくともガラス組成物及び導電性材料を含み、これらが有機ビヒクルと混合されてなる厚膜抵抗体ペーストであって、
    前記ガラス組成物は、異なる金属酸化物を含む2種類以上のガラスにより構成されていることを特徴とする厚膜抵抗体ペースト。
  2. 前記2種類以上のガラスの軟化点の差が50℃以内であることを特徴とする請求項1記載の厚膜抵抗体ペースト。
  3. 前記金属酸化物は、Ni、Ta、Nb、Co、Sc、Cu、Tiのいずれかの酸化物であることを特徴とする請求項1または2記載の厚膜抵抗体ペースト。
  4. 前記2種類以上のガラスに含まれる金属酸化物の含有量が、合計で10モル%以下であること特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の厚膜抵抗体ペースト。
  5. 前記2種類以上のガラスにおいて、少なくとも1種類のガラスはNiの酸化物を含有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の厚膜抵抗体ペースト。
  6. 前記2種類以上のガラスは、いずれもBとSiOをガラス基酸化物として含むとともに、CaO,SrO,BaOから選択される1種若しくは2種以上を含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の厚膜抵抗体ペースト。
  7. 前記2種類以上のガラスは、いずれもZrOを含有することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の厚膜抵抗体ペースト。
  8. 前記導電性材料は、RuO、BiRu、CaRuO、SrRuO、BaRuO、Ag、Pd、Ag−Pdから選ばれる1種若しくは2種以上であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載の厚膜抵抗体ペースト。
  9. 添加物として、金属酸化物、金属複合酸化物から選ばれる1種若しくは2種以上を含有することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項記載の厚膜抵抗体ペースト。
  10. 添加物として、金属酸化物であるCuOを含有することを特徴とする請求項9記載の厚膜抵抗体ペースト。
  11. 添加物として、金属複合酸化物であるチタン酸化合物を含有することを特徴とする請求項9または10記載の厚膜抵抗体ペースト。
  12. 前記チタン酸化合物が、BaTiO、CaTiO,SrTiO、MgTiO、CoTiO,NiTiOから選択される1種若しくは2種以上であることを特徴とする請求項11記載の厚膜抵抗体ペースト。
  13. 前記チタン酸化合物としてアルカリ土類金属のチタン酸化合物を含有するとともに、金属材料を併せて含有することを特徴とする請求項12記載の厚膜抵抗体ペースト。
  14. 請求項1から13のいずれか1項記載の厚膜抵抗体ペーストを用いて形成されたことを特徴とする厚膜抵抗体。
  15. 抵抗値が1kΩ/□以上であることを特徴とする請求項14記載の厚膜抵抗体。
  16. 請求項14又は15記載の厚膜抵抗体を有することを特徴とする電子部品。
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