JP2005244113A - 厚膜構造体、厚膜構造体用ペースト、及び厚膜構造体の製造方法 - Google Patents

厚膜構造体、厚膜構造体用ペースト、及び厚膜構造体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 導電体成分や半導体成分の分散状態を適正なものとし、抵抗値やその温度特性(TCR)、C.V値等に優れた厚膜構造体を提供する。
【解決手段】 絶縁体成分中に導電体成分、さらには必要に応じて半導体成分が分散されてなる厚膜構造体である。導電体成分間の距離、及び導電体成分と半導体成分との間の距離が5nm以下である。また、厚膜構造体の断面を観察した時に、絶縁体成分中における導電体成分と半導体成分を合わせた面積比が総面積の5%〜70%となるようにする。導電体成分の平均粒径dと半導体成分の平均粒径Dの比D/dは、2〜400とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、厚膜抵抗体や厚膜導体等の厚膜構造体に関するものであり、さらには、係る厚膜構造体の形成に用いられる厚膜構造体用ペースト、及びこの厚膜構造体用ペーストを用いた厚膜構造体の製造方法に関する。
例えば厚膜構造体の1種である厚膜抵抗体を形成するため抵抗体ペーストは、一般に、抵抗値の調節及び結合性を与えるためのガラス組成物と、導電性材料と、有機ビヒクルとを主たる成分として構成されており、これを基板上に印刷した後、焼成することによって、厚さ5〜20μm程度の厚膜抵抗体が形成される。そして、この種の抵抗体ペースト(厚膜抵抗体)においては、通常、導電体成分として酸化ルテニウム(RuO2)や鉛ルテニウム酸化物等が用いられ、ガラス組成物として酸化鉛(PbO)系ガラス等が用いられている。
厚膜構造体としては、その他、アルミナ基板、ガラスセラミックス多層基板等の上に形成される配線導体として用いられる導体組成物等もある。この種の導体組成物としては、空気中で焼き付けることのできるAg系の導体組成物が多く用いられており、それらの導体組成物には、導電体成分であるAgの他、基板との接着、あるいはAgの焼結助剤として、ガラス組成物が含まれている。
近年、環境問題が議論されてきており、例えば半田材料等においては、鉛を除外することが求められている。厚膜抵抗体や導体組成物も例外ではなく、したがって、環境に配慮した場合、PbO系ガラスは勿論のこと、導電体成分としてもPb系材料の使用を避けなければならない。このような状況から、鉛フリーの厚膜抵抗体ペースト、導電ペーストについての研究が盛んである(例えば、特許文献1〜特許文献6等を参照)。
特開平8−253342号公報 特開平10−224004号公報 特開2001−196201号公報 特開平11−251105号公報 特許第3019136号公報 特表平9−501136号公報
ところで、前述の厚膜抵抗体や導体組成物では、絶縁体成分であるガラス組成物中に導電体成分や半導体成分が分散され、これら導電体成分や半導体成分の働きによって電気伝導性を示す。したがって、厚膜抵抗体、導体組成物にあっては、これら導電体成分や半導体成分の分散状態によって、その特性が大きく左右されるものと推測される。
しかしながら、これまで導電体成分や半導体成分の分散状態に関しては、ほとんど注意が払われておらず、どのような状態とすることが特性上有利であるか等については、検討されたことがない。
そこで本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、導電体成分や半導体成分の分散状態を適正なものとすることで、特性、例えば抵抗値やその温度特性(TCR)、C.V値等に優れた厚膜構造体を提供することを目的とする。さらに、本発明は、導電体成分や半導体成分の分散状態を適正なものとし得る厚膜構造体用ペースト及び厚膜構造体の製造方法を提供することを目的とする。
前述の目的を達成するために、本発明の厚膜構造体は、絶縁体成分中に導電体成分が分散されてなる厚膜構造体において、導電体成分間の距離が5nm以下であることを特徴とし、さらには、半導体成分を含み、当該半導体成分と導電体成分との間の距離が5nm以下であることを特徴とする。
厚膜抵抗体等の厚膜構造体においては、絶縁体成分中に分散される導電体成分、半導体成分によって電気伝導性が発現する。このとき、分散される導電体成分同士間の距離、あるいは導電体成分と半導体成分との間の距離が大きいと、円滑な電気伝導の妨げとなり、抵抗値が大きくなったり、抵抗値の温度変化やばらつきの要因となる。本発明では、導電体成分間の距離、さらには半導体成分と導電体成分との間の距離が5nm以下とされており、円滑な電気伝導が実現され、抵抗値の温度変化やばらつきも抑制される。
一方、本発明の厚膜構造体用ペーストは、導電体成分と半導体成分とが絶縁体成分とともに有機ビヒクルに分散されてなる厚膜構造体用ペーストであって、前記導電体成分の平均粒径dと半導体成分の平均粒径Dの比D/dが2〜400であることを特徴とする。また、本発明の厚膜構造体の製造方法は、導電体成分と半導体成分とが絶縁体成分とともに有機ビヒクルに分散されてなる厚膜構造体用ペーストであって、前記導電体成分の平均粒径dと半導体成分の平均粒径Dの比D/dが2〜400である厚膜構造体用ペーストを用い、当該厚膜構造体用ペーストを基板上に印刷し、これを焼き付けて厚膜構造体とすることを特徴とし、さらには、前記絶縁体成分としてガラス組成物を用い、当該ガラス組成物の軟化点よりも50〜100℃高い温度で保持した後、前記焼き付けを行うことを特徴とする。
前述の導電体成分や半導体成分の分散状態は、例えば使用する導電体成分や半導体成分の平均粒径や、製造条件等によって制御される。本発明の厚膜構造体用ペーストは、使用する導電体成分と半導体成分の平均粒径の関係を最適化することで、導電体成分間の距離、さらには半導体成分と導電体成分との間の距離が5nm以下となるような分散状態を実現するものである。同様に、本発明の厚膜構造体の製造方法は、製造条件、具体的には焼き付けの前に適正な熱処理を施すことで、やはり、導電体成分間の距離、半導体成分と導電体成分との間の距離が5nm以下となるような分散状態を実現するものである。
本発明の厚膜構造体によれば、導電体成分や半導体成分の分散状態が適正な状態とされているので、安定した電気伝導性を示し、例えば抵抗値が小さく、温度特性(TCR)やC.V値に優れた厚膜構造体を提供することが可能である。
また、本発明の厚膜構造体用ペースト、厚膜構造体の製造方法によれば、導電体成分間の距離、さらには半導体成分と導電体成分との間の距離が5nm以下となるような分散状態を実現することができ、安定した電気伝導性を示し、例えば抵抗値が小さく、温度特性(TCR)やC.V値に優れた厚膜構造体を実現することが可能である。
以下、本発明に係る厚膜構造体、厚膜構造体用ペースト、及び厚膜構造体の製造方法について説明する。
厚膜抵抗体や導体組成物等の厚膜構造体は、基本的には、絶縁体成分であるガラス組成物、導電体成分(導電材)、及び必要に応じて半導体成分(添加物)とを含むものである。各構成材料は、焼成後の抵抗体の状態では、互いに固溶する等して一体化し、ガラス様の形態を呈する。
このとき、厚膜構造体に含まれる導電体成分、半導体成分の厚膜構造体中での分布が重要であり、先ず第1に、導電体成分間の距離が5nm以下となるようにする。さらに、半導体成分を含有する場合には、当該半導体成分と導電体成分との間の距離が5nm以下となるような分散状態とする。図1は、厚膜抵抗体中における導電体成分(ここではRuO2)及び半導体成分(ここではNiO)の分散状態の一例を示すものである。図1(a)に示す分散状態では、導電体成分間の距離はほとんどゼロであるが、導電体成分と半導体成分との間の距離が大きく、導電体成分と半導体成分との間の距離は、スケールからわかるように、概ね10nmである。このように導電体成分と半導体成分との間の距離が大きいと、電気伝導が円滑に行われず、特に低抵抗値とすることは難しく、抵抗値の温度変化やばらつきも大きくなる。これに対して、図1(b)に示す分散状態では、導電体成分間の距離ばかりでなく、導電体成分と半導体成分との間の距離もほとんどゼロ(5nm以下)である。このように導電体成分と半導体成分との間の距離が5nm以下になると、いわゆるトンネル電流等によって良好な電気伝導性が得られ、低抵抗値が実現され、また抵抗値の温度変化やばらつきも抑制される。
導電体成分同士、あるいは半導体成分との距離を5nm以下とするためには、使用する各成分の選定や、製造条件の適正化等を挙げることができるが、一つの要素として、使用する導電体成分や半導体成分の粒径の選択を挙げることができる。具体的には、導電体成分の平均粒径dと半導体成分の平均粒径Dの比D/dを2〜400とすることが好ましい。前記範囲を外れて半導体成分の平均粒径が大きすぎたり小さすぎると、所望の分散状態を得ることができず、導電体成分と半導体成分との間の距離を5nm以下とすることが難しくなる。
また、適正な分散状態とし、導電体成分や半導体成分を有効に機能させるためには、厚膜構造体中の導電体成分や半導体成分の含有量についても、適正な範囲とすることが好ましい。本発明では、この導電体成分や半導体成分の含有量の指標として、導電体成分や半導体成分の面積比率を用いることとする。すなわち、厚膜構造体の断面を観察すると、絶縁体成分中に導電体成分や半導体成分が分散した状態が観察される。このとき観察される導電体成分と半導体成分が占める部分の面積を求め、絶縁体成分を含めた厚膜構造体全体に占める割合を求めれば、厚膜構造体中の導電体成分や半導体成分の含有量の実効的な比率が求められる。本発明では、前述のように厚膜構造体の断面を観察した時に、絶縁体成分中における導電体成分と半導体成分を合わせた面積比を、総面積の5%〜70%とすることが好ましい。前記範囲を越えて導電体成分や半導体成分が多すぎると、結着剤として機能する絶縁体成分の割合が相対的に少なくなり過ぎ、信頼性が低下するおそれがある。逆に、導電体成分や半導体成分の含有量が前記値で5%未満であると、導電体成分同士、あるいは導電体成分と半導体成分の間の距離を5nm以下に制御することが難しくなるおそれがある。
前述の構成の厚膜構造体において、前記導電体成分としては、例えば厚膜構造体が厚膜抵抗体の場合、ルテニウム系酸化物や、ルテニウム系酸化物と抵抗値を下げるための金属との組み合わせ等が挙げられる。ここで、前記ルテニウム系酸化物としては、例えば、RuO2、CaRuO3、SrRuO3、BaRuO3、Bi2Ru27から選ばれる少なくとも1種である。前記金属としては、例えば、Ag、Pd、Pt、Au、Ir、Ru、Rhから選ばれる少なくとも1種である。厚膜構造体が導体組成物の場合には、前記金属を主体として選択される。
半導体成分としては、例えば金属酸化物や金属複合酸化物等が用いられる。半導体成分は、抵抗値の調整等、厚膜構造体の各種特性を調整すること等を目的に添加され、用途に応じて任意の金属酸化物、金属複合酸化物が用いられる。絶縁体成分は、通常はガラス質、すなわちガラス組成物が用いられる。使用するガラス組成物も任意であるが、環境保全の観点からは、鉛を含まない、いわゆる無鉛ガラスが好ましい。
次に、厚膜構造体の形成に用いられる厚膜構造体用ペーストについて、厚膜抵抗体を形成するための抵抗体ペーストを例にして説明する。
抵抗体ペーストは、絶縁体成分であるガラス組成物、導電体成分である導電性材料、半導体成分として機能する添加物を主たる無機物成分とし、これらを有機ビヒクルに分散することで構成される。
前記導電性材料は、絶縁体であるガラス中に分散されることで、構造物である抵抗体に導電性を付与する役割を持つ。導電性材料は、Ruを含む導電性材料が用いられ、例えば、RuO2、またはRu複合酸化物を用いる。Ru複合酸化物としては、CaRuO3、SrRuO3、BaRuO3、Bi2Ru27から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
抵抗体ペースト中の導電性材料の含有量は、ガラス組成物、導電性材料、及び添加物の合計重量を100重量%とした場合に、9.4重量%〜53.3重量%とするのが好ましい。導電性材料の含有量が前記範囲を下回る場合、抵抗値が高くなりすぎてしまい、抵抗体ペーストとしての使用に適さなくなるおそれがある。逆に、導電性材料の含有量が前記範囲を越えると、ガラス組成物による導電性材料の結着が不十分になり、信頼性が低下するおそれがある。なお、導電性材料の含有量の設定に際しては、断面観察における前記導電体成分と半導体成分を合わせた面積比を考慮する必要がある。
ガラス組成物は、その組成は特に限定されないが、環境保全上、鉛を実質的に含まない鉛フリーのガラス組成物を用いることが好ましい。なお、本発明において、「鉛を実質的に含まない」とは、不純物レベルとは言えない量を越える鉛を含まないことを意味し、不純物レベルの量(例えば、ガラス組成物中の含有量が0.05重量%以下程度)であれば含有されていてもよい趣旨である。鉛は、不可避不純物として極微量程度に含有されることがある。
ガラス組成物は、抵抗体とされたとき、抵抗体中で導電性材料及び添加物を基板と結着させる役割を持つ。ガラス組成物は、原料として、修飾酸化物成分、網目形成酸化物成分等を混合して用いることができる。主たる修飾酸化物成分としては、アルカリ土類酸化物、具体的にはCaO、SrO、BaOから選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。また、網目形成酸化物成分としては、B23及びSiO2を挙げることができる。また、前記主たる修飾酸化物成分の他、その他の修飾酸化物成分として、任意の金属酸化物を用いることができる。具体的な金属酸化物は、例えばZrO2、Al23、ZnO、CuO、NiO、CoO、MnO、Cr23、V25、MgO、Li2O、Na2O、K2O、TiO2、SnO2、Y23、Fe23等から選ばれる少なくとも一種であり、中でもZrO2、Al23、MnOから選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
ガラス組成物における各成分の含有量にはそれぞれ最適範囲が存在し、例えば主たる修飾酸化物成分の含有量が少なすぎると、導電性材料との反応性が低下し、TCR、STOL特性を劣化させるおそれがある。逆に、主たる修飾酸化物成分の含有量が多すぎる場合、抵抗体を形成した時に、過剰な金属酸化物の析出が起こり、特性、信頼性を劣化させるおそれがある。網目形成酸化物成分の含有量が少ない場合、ガラス組成物の軟化点が高くなるため、所定の焼成温度にて抵抗体を形成した場合、抵抗体の焼結が不十分となり、信頼性を著しく低下させるおそれがある。逆に、網目形成酸化物成分の含有量が多すぎる場合、ガラス組成物の耐水性が低下するため、抵抗体としたときの信頼性を著しく低下させるおそれがある。また、その他の修飾酸化物成分の含有量が少なすぎる場合、ガラス組成物の耐水性が低下するため、抵抗体としたときの信頼性を著しく低下させるおそれがある。逆に、その他の修飾酸化物成分の含有量が多すぎる場合、抵抗体を形成した時に、過剰な金属酸化物の析出が起こり、特性、信頼性を劣化させるおそれがある。
抵抗体ペースト中のガラス組成物の含有量は、導電性材料、ガラス組成物、添加物の合計の重量を100重量%とした時に、47.7重量%〜90.6重量%とするのが好ましい。含有量が少ない場合、導電性材料、添加物の結着が不十分となり、信頼性が著しく低下するおそれがある。逆に、ガラス組成物の含有量が前記範囲を越えると、抵抗値が高くなり過ぎてしまい、抵抗体ペーストとしての使用に適さなくなるおそれがある。
抵抗体ペーストには、前述のガラス組成物、導電性材料の他、特性の調整等を目的として、添加物が含まれていてもよい。抵抗体ペーストにおける添加物の含有量は、ガラス組成物、導電性材料、及び添加物の合計重量を100重量%とした場合に、0〜27.2重量%とするのが好ましく、1.0重量%〜27.2重量%とするのがより好ましい。添加物の含有量が少ない場合、十分な特性の調整が困難となる。逆に、添加物の含有量が多すぎる場合、導電性材料、添加物の結着が不十分となり、信頼性が著しく低下するおそれがある。なお、前記添加物の含有量の設定に際しても、断面観察における前記導電体成分と半導体成分を合わせた面積比を考慮する必要がある。
添加物としては、任意の金属酸化物を用いることができる。具体的には、MgO、TiO2、SnO2、ZnO、CoO、CuO、NiO、MnO、Mn34、Fe23、Cr23、Y23、V25等が挙げられる。中でも、TCR調整剤として効果の高い酸化物であるCuO、NiO、MgOが好ましい。それぞれの添加物の含有量が多すぎる場合、STOL特性が劣化するおそれがある。
有機ビヒクルは、ガラス組成物、導電性材料と添加物とを混練しペースト化させる役割を有し、この種の抵抗体ペーストに用いられるものがいずれも使用可能である。有機ビヒクルは、バインダを有機溶剤中に溶解することによって調製されるものである。バインダとしては、特に限定されず、例えば、エチルセルロース、ポリビニルブチラール等、各種バインダから適宜選択すればよい。有機溶剤も限定されず、テルピネオール、ブチルカルビトール、アセトン、トルエン等、各種有機溶剤から適宜選択すればよい。さらに、抵抗体ペーストの物性を調節するために、分散剤等の各種添加剤を加えてもよい。
前記有機ビヒクルの配合比率であるが、ガラス組成物、導電性材料、及び添加物を合計した合計重量(W1)と、有機ビヒクルの重量(W2)の比率(W2/W1)が、0.25〜4(W2:W1=1:0.25〜1:4)であることが好ましい。より好ましくは、前記比率(W2/W1)が0.5〜2である。前記比率を外れると、抵抗体を例えば基板上に形成するのに適した粘度の抵抗体ペーストを得ることができなくなるおそれがある。
抵抗体ペーストは、前述の各成分、すなわちガラス組成物、導電性材料、添加物を有機ビヒクルと混合することにより調製するが、このとき、最終的に得られる抵抗体において導電性材料や添加物が所定の分布となるように、これらの平均粒径を適正な範囲に設定する。具体的には、先にも説明したように、導電体成分である導電性材料の平均粒径dと半導体成分である添加物の平均粒径Dの比D/dを2〜400とする。
厚膜抵抗体を形成するには、前述の各成分を含む抵抗体ペーストを例えば基板上にスクリーン印刷等の手法で印刷(塗布)し、空気中で温度800℃〜900℃、例えば850℃で焼成する。このとき、例えば、使用するガラス組成物の軟化点よりも50〜100℃程度高い温度で10分間程度保持し、その後に本焼き付け、すなわち例えば850℃で10分間程度焼成を行うことによって、導電性材料や添加物が前述の分散状態(導電性材料同士間の距離や導電性材料と添加物との間の距離が5nm以下)とされた厚膜抵抗体を得ることができる。
基板としては、Al23基板やBaTiO3基板の誘電体基板や、低温焼成セラミック基板、AlN基板等を用いることができる。基板形態としては、単層基板、複合基板、多層基板のいずれであってもよい。多層基板の場合、抵抗体は、表面に形成してもよいし、内部に形成してもよい。
厚膜抵抗体の形成に際しては、通常、基板に電極となる導電パターンを形成するが、この導電パターンは、例えば、AgやPt、Pd等を含むAg系の良導電材料を含む導電ペーストを印刷することにより形成することができる。また、形成した抵抗体の表面に、ガラス膜等の保護膜を形成してもよい。
このようにして形成される厚膜抵抗体は、各種電子部品に適用可能である。適用可能な電子部品としては特に限定されないが、例えば単層または多層の回路基板、チップ抵抗器等の抵抗器、アイソレータ素子、C−R複合素子、モジュール素子の他、積層チップコンデンサ等のコンデンサやインダクタ等が挙げられ、コンデンサやインダクタ等の電極部分にも適用することができる。
以下、本発明を適用した具体的な実施例について、実験結果に基づいて説明する。なお、本発明が以下の実施例に限定されるものでないことは言うまでもない。
<実験1>
本実験では、導電性材料(導電体成分)としてRuO2を、添加物(半導体成分)としてNiOを用い、抵抗体を作製して抵抗値、TCR、抵抗値のばらつき(C.V値)について調べた。
抵抗体ペーストの組成は、RuO2(平均粒径5nm)を10体積%、NiOを5体積%、ガラス組成物を85体積%とした。用いたガラス組成物は、CaO系ガラス組成物である。これら成分を有機ビヒクルとともに3本ロールにて混練し、ペースト化した。なお、NiOについては、表1に示すように平均粒径の異なるNiOを用い、各種抵抗体ペーストを作製した。
次いで、市販の96%アルミナ基板上に、Ag−Pt導体ペーストを所定形状にスクリーン印刷して乾燥させた。Ag−Pt導体ペーストにおけるAgの割合は95重量%、Ptの割合は5重量%とした。このアルミナ基板をベルト炉に入れ、投入から排出まで1時間のパターンで焼き付けを行った。この時の焼き付け温度は850℃、その温度での保持時間は10分間とした。
このようにして導体が形成されたアルミナ基板上に、先に作製した抵抗体ペーストをスクリーン印刷法にて所定の形状(1mm×1mmの方形状)のパターンで塗布し、乾燥した。その後、導体焼き付けと同じ条件で抵抗体ペーストを焼き付け、厚膜抵抗体を得た。得られた厚膜抵抗体について、抵抗値、TCR、及び抵抗値のばらつき(C.V値)を調べた。
抵抗体の特性評価方法は下記の通りである。
(1)抵抗値
Agilent Technologies 社製の製品番号 34401Aにより測定。試料数24個の平均値を求めた。
(2)TCR
室温25℃を基準として、−55℃及び125℃へ温度を変えた時の抵抗値変化率を求めた。試料数10個の平均値である。−55℃、25℃、125℃の抵抗値をR-55、R25、R125(Ω/□)とおくと、TCR(ppm/℃)=[(R-55-R25)/R25/80]×1000000、あるいは、TCR(ppm/℃)=[(R125-R25)/R25/100]×1000000である。数値の大きい方をTCR値とした。
(3)C.V.値(抵抗値のバラツキ)
C.V.値=抵抗値の標準偏差/抵抗値の平均値である。C.V.値<5.0%が特性の基準となる。
結果を表1に示す。
Figure 2005244113
この表1から明らかなように、導電体成分であるRuO2の平均粒径と半導体成分であるNiOの平均粒径の比率を適正なものとすることで、導電体成分や半導体成分間の距離が5nm以下となり、低抵抗値が達成されるとともに、TCRやC.V値も低い値に抑えられている。
<実験2>
本実験では、導電性材料(導電体成分)としてRuO2を、添加物(半導体成分)としてTiO2を用い、他は実験1と同様にして抵抗体を作製し、抵抗値、TCR、抵抗値のばらつき(C.V値)について調べた。結果を表2に示す。
Figure 2005244113
半導体成分としてTiO2を用いた場合にも、導電体成分であるRuO2の平均粒径と半導体成分であるTiO2の平均粒径の比率を適正なものとすることで、導電体成分や半導体成分間の距離が5nm以下となり、低抵抗値が達成されるとともに、TCRやC.V値も低い値に抑えられている。
<実験3>
本実験では、導電性材料(導電体成分)としてRuO2を、添加物(半導体成分)としてSc23を用い、他は実験1と同様にして抵抗体を作製し、抵抗値、TCR、抵抗値のばらつき(C.V値)について調べた。結果を表3に示す。
Figure 2005244113
半導体成分としてSc23を用いた場合にも、導電体成分であるRuO2の平均粒径と半導体成分であるSc23の平均粒径の比率を適正なものとすることで、導電体成分や半導体成分間の距離が5nm以下となり、低抵抗値が達成されるとともに、TCRやC.V値も低い値に抑えられている。
<実験4>
本実験では、導電体成分の量を変えて種々の抵抗体ペーストを作製し、他は実験1と同様にして抵抗体を作製した。得られた抵抗体について、透過型電子顕微鏡(TEM)により断面を観察し、画像処理解析機を用いてガラス中に存在する導電体成分と半導体成分の面積比を算出した。その時の抵抗値と信頼性試験(85℃、相対湿度85%で1000時間)後の抵抗値の変化率ΔRを調べた。結果を表4に示す。
Figure 2005244113
ガラス中に存在する導電体成分と半導体成分の面積比を適正なものとすることで、低抵抗値が達成され、信頼性試験後の抵抗値の変化率ΔRもほとんど見られない。これに対して、導電体成分が少なすぎると、抵抗値が測定不能なレベルになってしまい、逆に導電体成分が多すぎると、抵抗値の変化率ΔRが大きくなっている。
導電体成分と半導体成分の分散状態を示す透過電子顕微鏡写真であり、(a)は導電体成分と半導体成分の間の距離が5nmを越える場合、(b)は導電体成分と半導体成分の間の距離が5nm以下の場合をそれぞれ示す。

Claims (13)

  1. 絶縁体成分中に導電体成分が分散されてなる厚膜構造体において、導電体成分間の距離が5nm以下であることを特徴とする厚膜構造体。
  2. 半導体成分を含み、当該半導体成分と導電体成分との間の距離が5nm以下であることを特徴とする請求項1記載の厚膜構造体。
  3. 前記導電体成分の平均粒径dと半導体成分の平均粒径Dの比D/dが2〜400であることを特徴とする請求項2記載の厚膜構造体。
  4. 断面を観察した時に、絶縁体成分中における導電体成分と半導体成分を合わせた面積比が総面積の5%〜70%であることを特徴とする請求項2又は3記載の厚膜構造体。
  5. 前記導電体成分が、ルテニウム系酸化物、金属から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の厚膜構造体。
  6. 前記ルテニウム系酸化物が、RuO2、CaRuO3、SrRuO3、BaRuO3、Bi2Ru27から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項5記載の厚膜構造体。
  7. 前記金属が、Ag、Pd、Pt、Au、Ir、Ru、Rhから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項5記載の厚膜構造体。
  8. 前記半導体成分が、金属酸化物、金属複合酸化物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項2乃至7のいずれか1項記載の厚膜構造体。
  9. 前記絶縁体成分がガラス質であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項記載の厚膜構造体。
  10. 電気伝導性を示すことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項記載の厚膜構造体。
  11. 導電体成分と半導体成分とが絶縁体成分とともに有機ビヒクルに分散されてなる厚膜構造体用ペーストであって、
    前記導電体成分の平均粒径dと半導体成分の平均粒径Dの比D/dが2〜400であることを特徴とする厚膜構造体用ペースト。
  12. 導電体成分と半導体成分とが絶縁体成分とともに有機ビヒクルに分散されてなる厚膜構造体用ペーストであって、前記導電体成分の平均粒径dと半導体成分の平均粒径Dの比D/dが2〜400である厚膜構造体用ペーストを用い、
    当該厚膜構造体用ペーストを基板上に印刷し、これを焼き付けて厚膜構造体とすることを特徴とする厚膜構造体の製造方法。
  13. 前記絶縁体成分としてガラス組成物を用い、当該ガラス組成物の軟化点よりも50〜100℃高い温度で保持した後、前記焼き付けを行うことを特徴とする請求項12記載の厚膜構造体の製造方法。
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