JP2005128182A - 平版印刷版の作成方法 - Google Patents

平版印刷版の作成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は写真的に形成されたハロゲン化銀を親油性、インキ受容性として応用する平版印刷版の作成方法に於いて、平版印刷版の画像部が高いインキ受容性を有し、且つ耐刷力に優れ、常に安定した印刷物を得る事ができる平版印刷版の作成方法に関する。
【解決手段】ハロゲン化銀乳剤層を有する写真材料を露光し、現像処理(銀錯塩拡散転写現像を含まない)後、分子中にメルカプト基を有するピリジン−N−オキシド化合物を含有する処理液で処理する平版印刷版の作成方法。
【選択図】 なし

Description

本発明はハロゲン化銀乳剤を有する写真材料を露光し、現像処理(銀錯塩拡散転写現像を含まない)後、親油化処理を施し、未現像のハロゲン化銀像部を選択的に親油化しインキ受容性にする平版印刷版の作成方法に関するものである。
平版印刷は、油脂性のインキを受理する親油性の部分と、インキを受け付けない親水性の部分に、水とインキの両方を版面に供給して親油性部は着色性のインキを親水性部は水を選択的に受け入れ、該画線上のインキを紙などの基質に転写させることによってなされている。従って、良い印刷物を得るためには表面の親油性及び親水性の差が充分大きくて、水及びインキを適用したときに、親油性部は十分量のインキを受け付け、親水性部はインキを全く受け付けないことが必要である。
高い感度を有し、かつスペクトル増感できるハロゲン化銀乳剤からなる写真材料は印刷版の製造に好適で、既に幾つかの方法が知られている。その中で特に銀錯塩拡散転写法を利用した平版印刷版が一般的に知られており、実用化されている。この平版印刷版は、例えば、米国特許3,721,559号、同第3,490,905号、特公昭48−30562号、及びJ.Phot.Sci,8,26〜32(1960)A.Rott&L.Dehaes、にその基本概念が記載され、近年において多数の特許出願が成されている。
一方、本発明が対象とする平版印刷版の作成方法も知られている。この方法は、上記した銀錯塩拡散転写現像によるものではなく、通常の現像処理(化学現像)を施した後、未現像のハロゲン化銀像部を選択的に親油化しインキ受容化する方法である。例えば、米国特許3,454,398号、同3,764,323号、同3,099,209号、特公昭57−3939号、特公昭61−23545号、特開平4−12353号、特開平4−318552号、特開平9−304934号、特開平9−304935号等に開示されている(特許文献1)。この方法は、未現像のハロゲン化銀像部を親油化しインキ受容化するために、現像処理後にハロゲン化銀溶剤とメルカプト基を有する有機化合物を含有する処理液(以降、単に感脂化処理液と称す)で処理される。
上記の印刷版の作成方法において、前記した特開公報に開示された写真材料を用いて自動現像機等で、現像処理及び感脂化処理を行うと、インキ受容部に於けるインキ受容性と耐刷力に於いて充分な性能が得られず、安定した印刷物を得る事が出来なかった。
特開平9−304935号公報(第2頁、第11頁)
本発明の課題は、ハロゲン化銀乳剤層を有する写真材料を露光し、現像処理(銀錯塩拡散転写現像を含まない)後、未現像のハロゲン化銀像部を感脂化処理液で処理し、選択的に親油化することによる平版印刷版の作成方法に於いて、平版印刷版の画像部が高いインキ受容性を有し、且つ耐刷力に優れ、常に安定した印刷物を得るができる平版印刷版の作成方法を提供することである。
本発明者らは、この課題を解決するため研究を行った結果、ハロゲン化銀乳剤層を有する写真材料を露光し、現像処理(銀錯塩拡散転写現像を含まない)後、分子中にメルカプト基を有するピリジン−N−オキシド化合物を含有する処理液で処理する平版印刷版の作成方法で効果が得られる事を見出し、特に前記処理液が、分子中にメルカプト基を有するピリジン−N−オキシド化合物の他に、分子中にメルカプト基を有する有機化合物を含有する事による平版印刷版の作成方法により、顕著な効果が得られる事を見出した。
ハロゲン化銀乳剤層を有する写真材料を露光し、現像処理(銀錯塩拡散転写現像を含まない)後、未現像のハロゲン化銀像部を感脂化処理液で処理し、選択的に親油化することによる平版印刷版の作成方法に於いて、感脂化処理液に分子中にメルカプト基を有するピリジン−N−オキシド化合物を含有する事による平版印刷版の作成方法により、画像部が高いインキ受容性を有し、且つ耐刷力に優れた平版印刷版が得られ、特に前記処理液が、分子中にメルカプト基を有するピリジン−N−オキシド化合物の他に、分子中にメルカプト基を有する有機化合物を含有する事による平版印刷版の作成方法により、特に高い効果が得られた。
本発明に用いる感脂化処理液について詳細に説明する。本発明の感脂化処理液には分子中にメルカプト基を有するピリジン−N−オキシド化合物(以降、単にメルカプトピリジン−N−オキシド化合物と称す)が含まれる。本発明のメルカプトピリジン−N−オキシド化合物はハロゲン化銀を溶解し、銀イオンと錯体を形成する構造が好ましく、本発明に用いられるメルカプトピリジン−N−オキシド化合物は、ピリジン−N−オキシド環に1個以上のメルカプト基が直接にあるいはアルキレン基、アリーレン基、アミド基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、エーテル基、チオエーテル基等を介して間接的に結合した構造からなる。以下に本発明の分子中にメルカプトピリジン−N−オキシド化合物の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2005128182
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感脂化処理液におけるメルカプトピリジン−N−オキシド化合物の好ましい使用量は分子構造によって異なるが、好ましくは500ミリモル/リットル以下であり、より好ましくは、0.5ミリモル〜20ミリモル/リットルの範囲内である。
本発明の感脂化処理液の態様として、メルカプトピリジン−N−オキシド化合物とは別に分子中にメルカプト基を有する有機化合物(以降、単にメルカプト化合物と称す)を含有する事が好ましい。本発明のメルカプト化合物は銀イオンと錯体を形成し、安定度の高い難溶性化合物を形成する構造が好ましく、具体的には芳香族環もしくは含窒素複素環を基本構造とし、これらの環に少なくとも1個のメルカプト基が直接にあるいはアルキレン基、アリーレン基、アミド基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、エーテル基、チオエーテル基等を介して間接的に結合した構造からなる。ここで好ましい芳香族環もしくは含窒素複素環としては、ベンゼン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、イミダゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、テトラゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環、トリアジン環等が挙げられ、特に好ましいのはベンゼン環、テトラゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環、トリアジン環である。以下に好ましいメルカプト化合物の具体例を挙げる。
Figure 2005128182
Figure 2005128182
本発明の感脂化処理液の更に好ましい態様としては、本発明のメルカプト化合物が分子中に2個以上のメルカプト基を有する構造にある事である。具体的には芳香族環もしくは含窒素複素環を基本構造とし、これらの環に少なくとも2個以上のメルカプト基が直接にあるいはアルキレン基、アリーレン基、アミド基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、エーテル基、チオエーテル基等を介して間接的に結合した構造からなる。ここで好ましい芳香族環もしくは含窒素複素環は、前記メルカプト化合物と同様である。以下に更に好ましいメルカプト化合物の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2005128182
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感脂化処理液におけるメルカプト化合物の好ましい使用量は構造によって異なるが、好ましくは100ミリモル/リットル以下であり、より好ましくは、0.1ミリモル〜20ミリモル/リットルの範囲内である。又、二種類以上のメルカプト化合物を併用する事もできる。
本発明の感脂化処理液にはハロゲン化銀溶剤として、メルカプトピリジン−N−オキシド化合物の他に、別のハロゲン化銀溶剤を含有する事ができる。本発明のハロゲン化銀溶剤の具体例としては、亜硫酸塩(亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム等)、チオ硫酸塩(チオ硫酸ナトリウム等)、チオシアン酸塩(チオシアン酸カリウム等)、アミン類(エチレンジアミン等)、アルカノールアミン類(ジエタノールアミン、N−メチルモノエタノールアミン等)、チオエーテル類(3、6−ジチア−1,8−オクタンジオール等)、チオ尿素類(テトラメチルチオ尿素等)、沃化物(沃化カリウム、沃化ナトリウム等)、臭化物(臭化ナトリウム等)、塩化物(塩化カリウム等)等が挙げられる。好ましいハロゲン化銀溶剤としてはチオシアン酸塩、チオエーテル類、あるいは沃化物であり、特に好ましくは沃化物である。
感脂化処理液に用いられるハロゲン化銀溶剤は、感脂化処理液に含まれるメルカプトピリジン−N−オキシド化合物との含有モル比が重要であり、好ましくはハロゲン化銀溶剤とメルカプトピリジン−N−オキシド化合物との含有モル比が1:20〜20:1の範囲内にあり、特に好ましくは1:5〜5:1の範囲内にある。
本発明の感脂化処理液は、上記したメルカプトピリジン−N−オキシド化合物やメルカプト化合物の溶解性を良くするために、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等の水混和性有機溶媒を含有してもよい。
本発明の感脂化処理液はpH4〜9の間で緩衝されていることが好ましい。pHの緩衝剤としては、酢酸、クエン酸、リン酸等、pKa値が4〜9の酸と、それらの塩類の中から選択できる。また、該変換液は各種の他の成分を含んでもよい。例えばヒドロキシエチルセルロースなどの水可溶性ポリマー類、コロイダルシリカなどの表面親水化剤等を含むことができる。
本発明の感脂化処理液には、アミノポリカルボン酸塩(エチレンジアミン四酢酸ナトリウムなど)等を一種または二種以上を用いることができる。
本発明において、感脂化処理の前に施される現像処理は、銀錯塩拡散転写現像は含まれない、通常の写真材料の露光部位のみを現像する化学現像である。本発明に用いる現像液の現像主薬としてはハイドロキノン、クロロハイドロキノン、ブロモハイドロキノン、イソプロピルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、2,3−ジクロロハイドロキノン、2,5−ジクロロハイドロキノン、2,3−ジブロモハイドロキノン、2,5−ジメチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノスルホネートなどがある。
本発明には上記現像主薬に加えて1−フェニル−3−ピラゾリドン又はその誘導体又は、p−アミノフェノール系現像主薬を加えることができる。具体例としては1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−5−メチル−3−ピラゾリドン、1−(p−アミノフェニル)−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−(p−トリル)−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドンなどがある。本発明に用いるp−アミノフェノール系現像主薬としてはN−メチル−p−アミノフェノール、N−(β−ヒドロキシエチル)−p−アミノフェノール、N−(4−ヒドロキシフェニル)グリシン、2−メチル−p−アミノフェノール、p−ベンジルアミノフェノール等があるが、なかでもN−メチル−p−アミノフェノールが好ましい。
現像主薬は通常30ミリモル/リットル〜800ミリモル/リットルの量で用いられるのが好ましい。またジヒドロキシベンゼン類と1−フェニル−3−ピラゾリドン類又はp−アミノフェノール類との組合せを用いる場合には前者を100ミリモル/リットル〜500ミリモル/リットル、後者を10ミリモル/リットル〜100ミリモル/リットルの量で用いるのが好ましい。
本発明に用いる現像主薬の保恒剤としては亜硫酸塩類、例えば亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、ホルムアルデヒド重亜硫酸ナトリウムなどがある。使用量は特に制限されないが好ましくは50ミリモル/リットル〜1.0モル/リットルの範囲で用いられる。
現像液には、その他必要により緩衝剤(例えば、炭酸塩、ほう酸塩、アルカノールアミン、スルホサリチル酸等)、アルカリ剤(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等)、溶解助剤(ポリエチレングリコール類、これらのエステル等)、pH調整剤(例えば、酢酸の如き有機酸等)、現像促進剤、界面活性剤、硬膜剤等を含有させることができる。
現像液には更にカブリ防止剤(例えば、5−ニトロインダゾール、5−ニトロベンツイミダゾール、5−メチルベンゾトリアゾール、5−ニトロベンゾトリアゾールの如きベンゾトリアゾール、ベンゾチアゾール、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾールの如きテトラゾール、チアゾール或いは英国特許第1,269,268号に記載の化合物など)、キレート化剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸、これらのアルカリ金属塩、ポリリン酸塩、ニトリロ酢酸塩等)を含有させることができる。
上記成分以外に用いられる添加剤としては、臭化ナトリウム、ヨウ化カリウムのような現像抑制剤、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、N,N−ジメチルホルムアミド、メチルセロソルブ、ヘキシレングリコール、エタノール、メタノールのような有機溶剤を含んでもよく、更に必要に応じて色調剤、消泡剤、硬水軟化剤などを含んでもよい。
この様にして調整された現像液のpH値は所望の濃度とコントラストをあたえるに充分な程度に選択されるが、約8〜12の範囲にあることが望ましい。
本発明の用いられる写真材料について詳細に説明する。本発明の写真材料の最も好ましい態様としては、支持体上、反射防止染料もしくは顔料を有するコロイド下塗り層を有し、この下塗り層の上にハロゲン化銀乳剤層を有するものである。又、ハロゲン化銀乳剤層の上に保護層を設けてもよい。
ハロゲン化銀乳剤層は、例えば、塩化銀、臭化銀、塩臭化銀、及びこれらにヨウ化銀を含むものからなる。ハロゲン化銀結晶は、ロジウム塩、イリジウム塩、パラジウム塩、ルテニウム塩、ニッケル塩、白金塩等の重金属塩を含んでいてもよく、添加量はハロゲン化銀1モル当り10-8〜10-3モルである。ハロゲン化銀の結晶形態に特に制限はなく、立方体ないし14面体粒子、さらにはコアシェル型、平板状粒子でもよい。ハロゲン化銀結晶は、単分散、多分散結晶であってもよく、その平均粒径は0.2〜0.8μmの範囲である。好ましい例の一つとしては、ロジウム塩もしくはイリジウム塩を含む、塩化銀が70モル%以上の単分散もしくは多分散結晶がある。
ハロゲン化銀乳剤層は、それが製造される時又は塗布される時に種々な方法で増感することが出来る。例えば、チオ硫酸ナトリウム、アルキルチオ尿素によって、又は金化合物、たとえばロダン金、塩化金によって、又はこれらの両者の併用など当該技術分野において良く知られた方法で化学的に増感することが好ましい。ハロゲン化銀乳剤は、走査型露光装置(イメージセッター、プレートセッター)の光源の波長に応じて、増感色素で分光増感される。光源としては、ヘリウム−ネオンレーザー、アルゴンレーザー、赤色LED、バイオレットレーザー、各種波長の半導体レーザー等がある。増感色素としては、例えば、特開平2−251853号、同平3−274055号、同平4−9853号、同平9−244196号公報に記載のものが挙げられる。
ハロゲン化銀に対する結合剤、好ましくはゼラチンの質量比及び結合剤の絶対量は、本発明の印刷版の製造において、その品質を決定する重要な要素である。硝酸銀として表したハロゲン化銀の量を1とした時の結合剤の量は0.3〜2.0の間で好適である。結合剤の比率が0.3以下では乳剤層としての皮膜強度が低下しやすく、印刷特性として好ましくない結果を生じさせやすい。一方、結合剤の比率が高くなると、インキ受容性が低下することがある。ハロゲン化銀乳剤層は、硝酸銀量に換算して0.6〜7g/m2、結合剤量に換算して0.18〜2.1g/m2で塗布されることが好ましい。
本発明において、乳剤層等のゼラチン含有層は、硬膜剤で硬化することができる。硬膜剤としては、例えばクロム明ばんのような無機化合物、ホルマリン、グリオキザール、グルタルアルデヒドのようなアルデヒド類、尿素やエチレン尿素等のN−メチロール化合物、ムコクロル酸、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサンの様なアルデヒド類、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン塩のような活性ハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、ジビニルケトンやN、N、N−トリアクロイルヘキサヒドロトリアジン、活性な三員環であるエチレンイミノ基やエポキシ基を分子中に二個以上有する化合物類、高分子硬膜剤としてのジアルデヒド澱粉等の種々の化合物の一種もしくは二種以上を用いることができる。
本発明の平版印刷版の製造において、少なくとも印刷前の段階で、ハロゲン化銀乳剤層等の硬膜が十分に到達されていなければ、充分な印刷性能を発揮できない。通常安定した効果特性を得るためには硬膜剤を含むハロゲン化銀乳剤等を塗布乾燥後、適度に加温処理されることが好ましく、この加温処理は、良好な硬化度を得るための処理であり、それは、例えば80〜150℃で数分もしくは数十分間、あるいは30〜50℃で数日間(1〜20日間位)の処理であってもよい。
乳剤層等の各塗布層には、塗布助剤として、陰イオン、陽イオンもしくは中性界面活性剤のいくつかを含んでいてもよいし、カブリ防止剤、増粘剤、帯電防止剤等を含むことが出来る。
また、ハロゲン化銀乳剤層は、印刷中のコロイドの磨耗を防ぐために、粒子の大きさで約2〜10μmの径を有する微粒子を含有させるのが良く、シリカ、クレー、タルク、シークライト、米でんぷんなどが使用できるが、特にシリカが好ましい。
シリカは1平方メートルあたり0.01〜1gとなる様に写真材料のハロゲン化銀乳剤層等に添加される。シリカ粒子濃度が過度に高くなると、印刷中にインキ濃度が上がりにくくなったりスカミング現象を起こしたりする。
又、光反射性の顔料、例えば酸化チタン、硫酸バリウム、酸化マグネシウムなどの白色顔料もしくは黄色の有機顔料と光吸収性の染料または顔料とを併用してもよい。
ハレーション防止のための下塗り層は、好ましくはゼラチンよりなり、前述のような粒径2〜10μmの微粒子を含有させるのが好ましい。好適な微粒子はシリカである。結合剤のゼラチンは、一平方メートル当たり0.5g〜5.0gで、ハロゲン化銀乳剤層と同様良好に硬化されるべきである。又、シリカは一平方メートル当たり0.1g〜20gの間で付与される。ハレーション防止剤としては、カーボンブラックが好ましいが、着色染料や顔料を組み合わせて用いても良い。
ハロゲン化銀乳剤層の上に設けることができる保護層は、親水性バインダーとして、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ゼラチン等を、1g/m2以下で用いるのが好ましく、特に0.1〜0.5g/m2の範囲で用いるのが好ましい。又、保護層を塗布後、適度に加温処理(例えば25〜50℃で6時間〜10日間位)することができる。
その他、写真感光特性を維持するための安定剤、カブリ防止剤、増感色素、現像剤や、現像促進剤、染料、顔料等を任意にハロゲン化銀乳剤層等の構成層に含有できる。
本発明に用いられる支持体は紙の両面をポリエチレン等のポリオレフィン樹脂で被覆した樹脂被覆紙、及びポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートのようなポリエステル樹脂フィルムであり、カーボンブラックや染料、顔料を練り込んだ支持体であってもよい。更に金属箔などとの複合支持体であってもよい。上記した支持体の厚みは50〜300ミクロン程度が適当である。更に、下塗り層が薄くなるのでマット剤の効果をだす為に支持体のエンボス加工、サンドプラスト加工で支持体の表面粗さを加工する事もできる。
本発明の処理において用いることの出来る自動現像機としては、大日本スクリーン製造(株)製LD281Q、LD360、LD381、LD480Q、富士写真フィルム(株)製FG680A、FG950A、FG710A等があるが自動現像機の種類に限定されない。また、銀錯塩拡散転写法を利用した平版印刷版の処理に用いられる自動現像機も用いることができる。
写真材料の現像処理及び感脂化処理の処理温度及び時間は、約25〜40℃で10秒〜1分程度が適当であり、高速迅速処理の場合には約30〜40℃で10秒から40秒が好ましい。
本発明は未現像のハロゲン化銀をインキ受容部に変換して平版印刷版を作成する方法であり、用いるハロゲン化銀材料がネガタイプのときはポジタイプの印刷版、またポジタイプのハロゲン化銀感光材料のときはネガタイプの印刷版が得られる。
以下に実施例を掲げ本発明を更に詳細に説明するが、これだけに限定されるわけではない。
(1)写真材料の作成
混合釜に水600ml中に塩化ナトリウム5g、平均分子量10万のゼラチン40gを含む水溶液に40℃でpAg7.5にコントロールしたダブルジェット法で硝酸銀水溶液と3.25×10-6モル/モルAgの水溶性イリジウム塩と2.0×10-7モル/モルAgの水溶性ロジウム塩を含む塩化ナトリウム溶液を混合して、平均粒径0.33μmの塩臭化銀(塩化銀含有率99モル%)乳剤を調製し、銀1モルに対し0.01モルとなるようにヨウ化カリウム水溶液を添加した。次いで、凝集沈殿及び水洗脱水工程を施して物理熟成済みの乳剤を得た。
この乳剤に平均分子量10万のゼラチンの含むゼラチン溶液を加え、さらにpHを5.5に調整し、再溶解し、銀1モル当たりチオ硫酸ナトリウム3mg、塩化金酸5mgを加え、50℃で60分間加熱し、後にpHを4.2に調整し、化学熟成を施した。化学熟成後の乳剤を35℃で再溶解し、ヘリウム−ネオン用増感色素D1をハロゲン化銀1モル当たり0.035ミリモル加え、続いて1−フェニル−3−ピラゾリドン0.1g/m2、硬化剤としてN−メチロールエチレン尿素を80mg/m2を加えて乳剤塗布液を作成した。
Figure 2005128182
支持体として下引き済みの厚み175μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、この支持体の片面に平均粒子サイズ3.5μm(コールター・カウンター法)のシリカ粒子0.3g/m2を含有する裏塗り層(ゼラチン3g/m2)を設けた。支持体の反対側の面をコロナ放電加工後、カーボンブラックを0.7g/m2、平均粒径3.5μmのシリカ粉末(富士サイシリア製SY445)0.9g/m2及び2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンナトリウムを170mg/m2を含む下塗り層(ゼラチン3.5g/m2)と、その上に上記で作成した乳剤塗布液を硝酸銀として1.0g/m2(ゼラチン0.8g/m2)になるように、二層同時塗布を行い、乾燥を行った後、更に40℃6日間加温して写真材料前駆体を作成した。
更に、写真材料前駆体のハロゲン化銀乳剤層の上にポリビニルピロリドン(平均分子量1万)が0.15g/m2となる様に塗布を行い、乾燥を行った後、更に30℃1日間加温して写真材料を作成した。
(2)処理方法
上記写真材料をヘリウム−ネオンレーザー光源(633nm)を有する出力機で画像を露光し、下記処方の現像液及び感脂化処理液をそれぞれ自動現像機LD221(大日本スクリーン製造(株)製)の第1槽及び第2槽に入れ、各々の処理液を35℃に温調し、それぞれの処理時間を30秒に設定して処理を行い、平版印刷版を作製した。
<現像液>
水 600ml
EDTA・2Na 1g
水酸化ナトリウム 50g
亜硫酸カリウム 100g
ハイドロキノン 44g
N−メチル−p−アミノフェノール1/2硫酸塩 2.4g
ハイドロキノンモノスルホン酸カリウム 40g
5−メチルベンゾトリアゾール 0.2g
臭化カリウム 4g
水酸化カリウムを用いてpHを11.80に合わせ、水を加えて1リットルにした。
<感脂化処理液>
水 600ml
ジエチレングリコール 50g
水酸化ナトリウム 4g
リン酸水素二カリウム 25g
銀溶剤として沃化カリウム 0.5g
メルカプトピリジン−N−オキシド化合物(表1に記載) 無し又は0.5g
メルカプト化合物(表1に記載) 無し又は0.1g
リン酸(85%)を加えてpHを7.00に合わせ、水を加えて1リットルにし、本発明の感脂化処理液を作成した。又、比較用の感脂化処理液として、上記感脂化処理液の中で、メルカプトピリジン−N−オキシド化合物を含まない感脂化処理液も作成した。
(3)印刷と評価
上記のようにして作成した平版印刷版をオフセット印刷機リョービ3200CDに装着し、下記組成のエッチ液で版面を充分に湿し、下記組成の給湿液、インキとしては大日本インキ製Fグロス墨(ハードタイプ)を用いて印刷を行ない、インキ受容性と耐刷力を評価した。印刷時の条件は室内温度が23℃、室内湿度が55%であった。その結果を表1に示す。
<エッチ液>
イソプロパノール 400ml
エチレングリコール 50g
2−メルカプト−5−(n−ヘプチル)−1,3,4−オキサジアゾール
0.1g
を加えて1リットルにした。
<給湿液>
水 8L
コハク酸 6g
硫酸ナトリウム 25g
エチレングリコール 100g
コロイダルシリカ(20%水溶液) 28g
<インキ受容性評価基準>
インキ受容性は、十分なインキ濃度が得られるまでの印刷枚数で、以下の基準で評価した。
◎;10枚以下
○;11〜20枚
△;21〜30枚
×;31枚を越える
<耐刷力評価基準>
耐刷力は、画像が欠落して印刷できなくなったときの印刷枚数で、以下の基準で評価した。
◎;5万枚以上
○;2万枚以上5万枚未満
△;5千枚以上2万枚未満
×;5千枚未満
Figure 2005128182
メルカプトピリジン−N−オキシド化合物を含有する本発明の感脂化処理液を用いることによって、高いインキ受容性を有し、且つ耐刷力に優れた平版印刷版を作成できた。

Claims (2)

  1. ハロゲン化銀乳剤層を有する写真材料を露光し、現像処理(銀錯塩拡散転写現像を含まない)後、分子中にメルカプト基を有するピリジン−N−オキシド化合物を含有する処理液で処理する平版印刷版の作成方法。
  2. 前記処理液が、分子中にメルカプト基を有するピリジン−N−オキシド化合物の他に、分子中にメルカプト基を有する有機化合物を含有する請求項1に記載の平版印刷版の作成方法。
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