JP2003295475A - 平版印刷版の作成方法 - Google Patents

平版印刷版の作成方法

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JP2003295475A
JP2003295475A JP2002097507A JP2002097507A JP2003295475A JP 2003295475 A JP2003295475 A JP 2003295475A JP 2002097507 A JP2002097507 A JP 2002097507A JP 2002097507 A JP2002097507 A JP 2002097507A JP 2003295475 A JP2003295475 A JP 2003295475A
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silver halide
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ink
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JP2002097507A
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Kenji Hirata
賢治 平田
Toshiro Kondo
敏郎 近藤
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Mitsubishi Paper Mills Ltd
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Mitsubishi Paper Mills Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ハロゲン化銀乳剤層の未現像のハロゲン化銀像
部を親油性、インキ受容性として応用する平版印刷版の
作成方法に於いて、画像の視認性が高く、高耐刷の印刷
版を得る方法に関する。 【解決手段】ハロゲン化銀乳剤層を有する写真材料を露
光、現像処理後、親油化処理を施し、未現像のハロゲン
化銀像部を選択的に親油化し、インキ受容性にする平版
印刷版の作成方法において、現像処理後、親油化処理前
にジメルカプト化合物とトリアジントリチオールを含有
する処理液で処理することを特徴とする平版印刷版の作
成方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、未現像のハロゲン
化銀像をインキ受容性として応用する平版印刷版の作成
方法に於いて、画像の視認性が高く、高耐刷の印刷版を
得る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】平版印刷は、油脂性のインキを受理する
親油性の部分と、インキを受け付けない親水性の部分
に、水とインキの両方を版面に供給して親油性部は着色
性のインキを親水性部は水を選択的に受け入れ、該画線
上のインキを紙などの基質に転写させることによってな
されている。従って、良い印刷物を得るためには表面の
親油性及び親水性の差が充分大きくて、水及びインキを
適用したときに、親油性部は十分量のインキを受け付
け、親水性部はインキを全く受け付けないことが必要で
ある。
【0003】高い感度を有し、かつスペクトル増感でき
るハロゲン化銀乳剤からなる写真材料は印刷版の製造に
好適で、既に幾つかの方法が知られている。写真ゼラチ
ン、ハロゲン化銀乳剤を利用して平版印刷版を作成する
方法を大別すると、次のような方法が知られている。
【0004】(1)タンニング現像を利用する方法で、
親水性ゼラチン、およびハロゲン化銀乳剤をタンニング
現像して現像部のゼラチンを硬化させ親油性、インキ受
理性にする方法(米国特許第3,146,104号)。
【0005】(2)銀拡散転写法を応用し、形成された
表面金属銀模様を親油化し、インキ受理性として利用す
る印刷版(米国特許第3,721,559、同第3,490,905、特公
昭48-30562、J.Phot.Sci,8,26〜32(1960) A Rott & L.
DeHaes)
【0006】(3)エッチングブリーチを応用し、現像
された銀像部若しくは転写現像によって形成された銀像
部を漂白液で処理し、同時に銀画像部分のゼラチンを破
壊して親油性の表面を露出させることにより平版印刷版
を作成する方法。(米国特許第3,385,701、同第3,814,6
03号、特公昭44-27242)
【0007】(4)ハロゲン化銀乳剤層の未現像のハロ
ゲン化銀像部を選択的に親油化インキ受容化する方法
(米国特許第3,454,398号、同3,764,323号、同3,099,20
9号、特公昭57-3939号、特開平4-12353号、特開平9-304
934号、特開9-304935号等)。
【0008】本発明の平版印刷版は上記分類の(4)に
属する。上記原理による平版印刷版は、画像露光後、ハ
ロゲン化銀写真感光材料用の現像液で現像処理(拡散転
写現像を含まない)を行い、その後、未露光部のハロゲ
ン化銀(未現像のハロゲン化銀)にインキ受容性を持た
せるため、ハロゲン化銀溶剤及び銀イオンと反応して難
溶性銀化合物を形成する有機化合物を含む処理液(以後
感脂化処理液とする)で親油化処理を行い、必要に応じ
て安定化処理を行い、水洗、乾燥工程を経てつくられ
る。
【0009】従来上記方法によってつくられる平版印刷
版は、現像処理で形成された黒化銀(インキ受容性のな
いいわゆる非画像部)と親油化処理で形成された難溶性
銀化合物(インキ受容性のあるいわゆる画像部)との光
学的反射濃度差が小さい(いわゆるコントラストが低
い)ため、画像部の視認性が悪く、網点が適性サイズで
形成されているか否かの判定が困難であった。写真鮮鋭
度、最終的には印刷物の解像度および鮮鋭度を改良する
目的で、いわゆる反射防止染料又は顔料を適用されてい
る場合は、特に顕著である。特開平2−103187、
同平2−103186、同平2−207255、同平2
−207256に記載されているように、感脂化処理液
にジメルカプト化合物を含有させる例があるが、画像部
と非画像部の光学的反射濃度の差を大きくして、画像の
視認性を向上させる効果は皆無である。
【0010】また、現像処理直後に親油化処理を施した
場合、難溶性銀化合物が「島状」に形成され、印刷時の
機械的な圧力により破壊されやすく、所望の耐刷力が得
られない。特開平2−103186号公報に記載されて
いるように、ジメルカプト化合物とトリメルカプト化合
物の混合液を用いて画像部の耐刷力を向上させる例があ
るが、上記同様、画像の視認性を向上させる効果はな
い。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
(4)の方法によって作成される平版印刷版の画像部と
非画像部の光学的反射濃度の差を大きくして、画像の視
認性を向上させ、かつ、安定した高い耐刷力を得ること
である。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、ハ
ロゲン化銀乳剤層を有する写真材料を露光、現像処理
後、親油化処理を施し、未現像のハロゲン化銀像部を選
択的に親油化し、インキ受容性にする平版印刷版の作成
方法において、現像処理後、親油化処理前にジメルカプ
ト化合物とトリアジントリチオールを含有する処理液
(以後強化液とする)で処理することを特徴とする平版
印刷版の作成方法によって達成された。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
現像後で親油化処理前に施される強化液に含有するジメ
ルカプト化合物の代表例を以下に示す。
【0014】
【化2】
【0015】式中、R1、R2は水素原子、アルキル基、
またはアリール基である。
【0016】上記化2の具体化合物を以下に例示する。
【0017】
【化3】
【0018】本発明の強化液中のトリアジントリチオー
ルの添加量は、強化液1リットル当たり10〜1000
ミリモルの範囲が適当であり、好ましくは50〜500
ミリモルの範囲である。ジメルカプト化合物の添加量
は、強化液1リットル当たり0.1〜50ミリモルの範
囲が適当であり、好ましくは0.5〜10ミリモルの範
囲である。また、強化液は、室温で使用してもよいが、
未現像ハロゲン化銀との反応を促進するために室温より
も高めに保温してもよい。
【0019】また、メルカプト基の解離を促進するた
め、当業界で公知の酸・塩基類を用いてpH4〜10の
範囲で緩衝能をもたせてもよい。
【0020】更に、溶液中でのメルカプト化合物の溶解
性を良くするために、メタノール、エタノール、プロパ
ノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等
の水混和性有機溶媒を含有させてもよい。
【0021】本発明に用いられる感脂化処理液は、ハロ
ゲン化銀溶剤と銀イオンと反応して難溶性化合物を形成
する有機化合物を少なくとも含有する。前記有機化合物
は、ハロゲン化銀溶剤によって形成された可溶性銀錯体
よりも安定度が高く、且つ溶解度の低い銀錯体化合物を
形成できる有機化合物である。該有機化合物は、特公昭
57−3939に詳述されるように未露光部表面を親油
化させる有機化合物でもあり、詳細は後述する。
【0022】本発明に用いられる好ましいハロゲン化銀
溶剤としてはヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ
化アンモニウム塩等のヨウ化物、チオ硫酸ソーダ、チオ
硫酸カリウム等、チオ硫酸アンモニウム等の、チオ硫酸
塩、チオシアン酸カリウムや、チオシアン酸ソーダ等の
チオシアン酸塩、亜硫酸ナトリウムや亜硫酸カリウム、
亜硫酸アンモニウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水
素カリウム等の亜硫酸塩が挙げられる。
【0023】本発明の感脂化処理液に含まれている親油
化のための有機化合物としては、好ましくは、メルカプ
ト基を有する含窒素複素環化合物であり、更に炭素数3
以上の脂肪族基または芳香族基を有する化合物が好まし
い。以下にその代表的な一般式を挙げる。
【0024】
【化4】
【0025】式中のR3、R4、R5は水素原子、脂肪族
基(例えばアルキル基、アルケニル基、アラルキル基)
または芳香族基(例えばアリール基)を表す。好ましく
は、R3、R4、R5は、炭素数3〜12の脂肪族基また
は芳香族基である。m、nは0〜2の整数を表す。好ま
しくは、mは1または2である。Zは、式中のN、Cと
共に5ないし6員環を形成するのに必要な結合の残りの
原子団を示す。
【0026】5ないし6員環の具体的な例としてはイミ
ダゾール、イミダゾリン、チアゾール、チアゾリン、オ
キサゾリン、オキサゾール、ピラゾリン、トリアゾー
ル、チアジアゾール、オキサジアゾール、テトラゾー
ル、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ト
リアジン等があり、又これらの環は2個以上の縮合生成
した環であってもよい。化4で表される化合物の代表的
なものについて具体的に例示すると、2−メルカプト−
5−ヘプチル−1,3,4−オキサジアゾール、2−メ
ルカプト−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾー
ル、2−メルカプト−4−フェニルイミダゾール、2−
メルカプト−1−ベンジルイミダゾール、2−メルカプ
トベンツイミダゾール、2−メルカプト−1−エチル−
ベンツイミダゾール、2−メルカプト−1−ブチル−ベ
ンツイミダゾール、1,3−ジエチル−ベンツイミダゾ
リン−2−チオン、2,2‘−ジメチルカプト−1,
1’−デカメチレン−ジイミダゾリン、2−メルカプト
−4−フェニルチアゾール、2−メルカプトナフトチア
ゾール等がある。
【0027】本発明の目的に有効なハロゲン化銀溶剤の
使用量はハロゲン化銀乳剤の組成に依存して一律ではな
いが、10-2モル/L〜1モル/Lの範囲内である。ま
た、感脂化処理液に含まれている親油化させる有機化合
物の量は必ずしも各化合物について一律ではないが、1
-3モル/L〜10-1モル/Lの濃度で使用される。
【0028】親油化のための有機化合物及びハロゲン化
銀溶剤を含有する感脂化処理液は、該有機化合物の溶解
性を良くするために、メタノール、エタノール、プロパ
ノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等
の水混和性有機溶媒を含有しうる。
【0029】また、本感脂化処理液はpH4〜8の間で
緩衝されていることが好ましい。pHの緩衝剤として
は、酢酸、クエン酸、リン酸等、pKa値が4〜8の酸
と、それらの 塩類の中から選択できる。また、該感脂
化処理液は各種の他の成分を含んでもよい。例えばヒド
ロキシエチルセルロースなどの水可溶性ポリマー類、コ
ロイダルシリカなどの表面化親水化剤等を含むことがで
きる。
【0030】本発明に用いる現像液の現像主薬としては
ハイドロキノン、クロロハイドロキノン、ブロムハイド
ロキノン、イソプロピルハイドロキノン、メチルハイド
ロキノン、2,3−ジクロロハイドロキノン、2,5−
ジクロロハイドロキノン、2,3−ジブロモハイドロキ
ノン、2,5−ジメチルハイドロキノン、ハイドロキノ
ンモノスルホネートなどがある。
【0031】本発明には上記現像主薬に加えて1−フェ
ニル−3−ピラゾリドン又はその誘導体又は、p−アミ
ノフェノール系現像主薬の現像主薬を加えることができ
る。具体例としては1−フェニル−3−ピラゾリドン、
1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、
1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3
−ピラゾリドン、1−フェニル−5−メチル−3−ピラ
ゾリドン、1−p−アミノフェニル−4,4−ジメチル
−3−ピラゾリドン、1−p−トリル−4,4−ジメチ
ル−3−ピラゾリドンなどがある。本発明に用いるp−
アミノフェノール系現像主薬としてはN−メチル−p−
アミノフェノール、N−(β−ヒドロキシエチル)−p
−アミノフェノール、N−(4−ヒドロキシフェニル)
グリシン、2−メチル−p−アミノフェノール、p−ベ
ンジルアミノフェノール等があるが、なかでもN−メチ
ル−p−アミノフェノールが好ましい。
【0032】現像主薬は通常0.03モル/L〜0.8
モル/Lの量で用いられるのが好ましい。またジヒドロ
キシベンゼン類と1−フェニル−3−ピラゾリドン類又
はp−アミノフェノール類との組合せを用いる場合には
前者を0.1モル/L〜0.5モル/L、後者を0.0
1〜0.1モル/L以下の量で用いるのが好ましい。
【0033】本発明に用いる亜硫酸塩の保恒剤としては
亜硫酸塩類、例えば亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウ
ム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、ホル
ムアルデヒド重亜硫酸ナトリウムなどがある。使用量は
特に制限されないが好ましくは0.05モル/L〜1.
0モル/Lの範囲で用いられる。
【0034】現像液には、その他必要により緩衝剤(例
えば、炭酸塩、ほう酸、ほう酸塩、アルカノールアミ
ン、スルホサリチル酸)、アルカリ剤(例えば、水酸化
ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等)、溶
解助剤(ポリエチレングリコール類、これらのエステ
ル)、pH調整剤(例えば、酢酸の如き有機酸)、現像
促進剤、界面活性剤、硬膜剤などを含有させることがで
きる。
【0035】現像液には更にカブリ防止剤(例えば、5
−ニトロインダゾール、5−ニトロ−ベンツイミダゾー
ル、5−メチル−ベンゾトリアゾール、5−ニトロベン
ゾトリアゾールの如きベンゾトリアゾール、ベンゾチア
ゾール、1−フェニル−5−メルカプト−テトラゾール
の如きテトラゾール、チアゾール或は英国特許第1,2
69,268号に記載の化合物など)、キレート化剤
(例えば、エチレンジアミン四酢酸、これらのアルカリ
金属塩、ポリリン酸塩、ニトリロ酢酸塩)を含有させる
ことができる。
【0036】上記成分以外に用いられる添加剤として
は、臭化ナトリウム、ヨウ化カリウムのような現像抑制
剤、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリ
エチレングリコール、ジメチルホルムアミド、メチルセ
ロソルブ、ヘキシレングリコール、エタノール、メタノ
ールのような有機溶剤を含んでもよく、更に必要に応じ
て色調剤、消泡剤、硬水軟化剤などを含んでもよい。
【0037】この様にして調整された現像液のpH値は
所望の濃度とコントラストをあたえるに充分な程度に選
択されるが、約8〜12の範囲にあることが望ましい。
【0038】本発明の処理において用いることの出来る
自動現像機としては、大日本スクリーン製造(株)製L
D281Q、LD360、LD381、LD480Q、
富士写真フィルム(株)製FG680A、FG950
A、FG710A等があるが自動現像機の種類に限定さ
れない。また、銀錯塩拡散転写法を利用した平版印刷版
の処理に用いられる自動現像機についても処理に用いる
ことができる。通常、これらの自動現像機は三浴構成に
なっており、順に現像・定着・水洗処理に用いられ、最
後にドライヤーが併設されている。
【0039】本発明では、これらの自動現像機の三浴
に、順に現像液・強化液・感脂化処理液を投入して処理
する。
【0040】感光材料の現像処理温度及び時間は相互に
関係し、且つ全処理時間との関係において決定され、一
般に約20〜50℃で10秒〜3分であるが、高速迅速
処理の場合には約30〜50℃で10秒から40秒であ
る。
【0041】本発明の方法によれば、未現像のハロゲン
化銀の部分にインキ受容性を持たせる。従って、ネガタ
イプのハロゲン化銀材料を像に従って露光し、現像、親
油化処理することにより、ポジの印刷版を得ることがで
きる。また、ポジタイプのハロゲン化銀材料からは、ネ
ガタイプの印刷版が得られる。
【0042】本発明に用いられる印刷版のハロゲン化銀
は、塩化銀、塩臭化銀、臭化銀で、ヨウ化物を含んでい
てもよい。感光性材料の結合剤はゼラチンが好ましい。
しかしその一部又は全部を他のコロイド物質、例えば、
アルブミン、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビ
ニルアルコール−無水マレイン酸エステル、ポリビニル
アルコール−スチレン無水マレイン酸エステル、アルギ
ン酸塩、セルロース誘導体などで置換してもよい。
【0043】ハロゲン化銀に対する結合剤、好ましくは
ゼラチンの重量比及び結合剤の絶対量は、本発明の印刷
版の製造において、その品質を決定する重要な要素であ
る。硝酸銀として表したハロゲン化銀の量を1とした時
の結合剤の量は0.3〜2.0の間で好適である。結合
剤の比率が0.3以下では乳剤層としての皮膜強度が低
下しやすく、印刷特性として好ましくない結果を生じさ
せやすい。一方、結合剤の比率が高くなると、インキ受
容性が低下することがある。ハロゲン化銀乳剤層は、硝
酸銀量に換算して0.6〜7g/m2、結合剤量に換算
して0.18〜2.1g/m2で塗布されることが好ま
しい。
【0044】本発明の印刷版の製造において、他の重要
な要素は、感光性ハロゲン化銀乳剤層の硬膜にある。少
なくとも印刷前の段階で、十分に硬化されていなければ
ならない。硬化剤を通常の写真乳剤層の硬膜法と同様に
写真乳剤塗液中に添加してもよいし、また、現像、製版
処理の前もしくは後の段階で、例えば熱処理などの方法
で硬化されてもよい。安定した効果特性を得るためには
硬化剤を含むハロゲン化銀乳剤を塗布乾燥後、適度に加
温処理されることが好ましい。この加温処理は、良好な
硬化度を得るための処理であり、それは、例えば80〜
150℃で数分もし くは数十分間、あるいは30〜5
0℃で数日間(1〜20日間位)の処理であってもよ
い。
【0045】硬化剤としては、通常の写真乳剤層の硬化
剤として使用されている化合物が使用できる。例えばホ
ルマリン、グリオキザール、グルタールアルデヒド、ム
コクロム酸などのアルデヒド系硬化剤、更に、尿素−ホ
ルマリン縮合物、メラニン−ホルマリン縮合物も有効で
あり、また、エポキシ系、アジリジン系化合物、活性オ
レフィン類、イソシアネート系化合物、トリアジン類な
どの有機硬化剤、クロム、アルミニウム、ジルコニウム
などの無機多価金属塩類など、写真乳剤の硬化剤として
公知の化合物を単独もしくはいくつかを併用して使用で
きる。
【0046】また、ハロゲン化銀写真乳剤層は、印刷中
のコロイドの磨耗を防ぐために、粒子の大きさで約2〜
10μの径を有する微粒子を含有させるのが良く、シリ
カ、クレー、タルク、シークライト、米でんぷんなどが
使用できるが、特にシリカが好ましい。
【0047】シリカは1m2あたり0.01g〜1gと
なる様にハロゲン化銀乳剤中に添加される。シリカ粒子
濃度が過度に高くなると、印刷中にインキ濃度が上がり
にくくなったりスカミング現象を起こしたりする。
【0048】写真鮮鋭度、最終的には印刷物の解像度お
よび鮮鋭度を改良する目的で、いわゆる反射防止染料又
は顔料を適用することが好ましい。これらはハロゲン化
銀乳剤層中、あるいは支持体とハロゲン化銀乳剤層との
間のいわゆる反射防止層中に適用することによって目的
は達成される。特に、反射防止層中にカーボンブラック
を含有させるのが最も効果的である。
【0049】この反射防止染料もしくは顔料を有するコ
ロイド下塗層は、好ましくはゼラチンよりなり、前述の
ようなカーボンブラック粒子含有させる。結合剤のゼラ
チンは、平米当たり0.5g〜2.5gで、ハロゲン化
銀乳剤層と同様良好に硬化されるべきである。又、カー
ボンブラックは平米当たり0.1g〜20gの間で付与
される。
【0050】また、前述と同様、シリカ微粒子を下塗層
に含有させることで、印刷時におけるコロイドの磨耗性
を改良し、耐刷性を改良できる。この場合においては乳
剤層中の微粒子シリカは必ずしも必要ではない。
【0051】ハロゲン化銀乳剤用の支持体は、当技術分
野で普通に使用されている任意の支持体を用いることが
できる。例えば、両側をポリエチレンで被覆した紙、樹
脂フィルム、金属シート等を用いることができる。
【0052】その他、塗布性を改良するために界面活性
剤や、写真感光特性を維持するための安定剤、カブリ防
止剤、増感色素、現像剤や、現像促進剤および写真乳剤
層を着色させる目的で染料、顔料等を、任意に含有でき
る。
【0053】本発明に用いられる印刷版にはインキ受容
性を付与するメルカプト化合物もしくはチオン化合物、
あるいは、その他の有機複素環化合物の一部もしくは全
部をあらかじめハロゲン化銀乳剤層を有する材料中に添
加することもできる。それは、感光性ハロゲン化銀乳剤
層以外の層であっても良い。又、これらの有機化合物
は、油剤に溶解させ、微小油滴状に分散させてから加え
られても良い。
【0054】本発明に用いられる写真材料は、ハロゲン
化銀乳剤層の上に、ポリアクリル酸塩やポリアクリルア
ミドのような水溶性ポリマー層を被覆してもよい。
【0055】
【実施例】以下に実施例を掲げ本発明を詳細に説明する
が、これだけに限定されるわけではない。 実施例1 (1)平版印刷版の製造 コロナ状放電加工したポリエチレン被覆紙上にシリカ粒
子(平均粒径5μ)とカーボンブラックを含むゼラチン
下塗り液を塗布した。又、コロイド層硬化剤としてホル
マリンとジメチロール尿素を加えた。ゼラチンおよびシ
リカの付着量は1平方メートル当たりそれぞれ、1.2
g、0.7gであった。また、この層は、反射濃度で
0.9を示した。続いて、この下塗り層上にオルソ増感
され、コロイド層硬化剤としてホルマリンとジメチロー
ル尿素を含むハロゲン化銀乳剤を塗布した。
【0056】この乳剤層は下記の構成を有している。 ハロゲン化銀組成 塩臭化銀(臭化銀25モル%) ハロゲン化銀の平均粒子サイズ 0.33μ 硝酸銀で表したハロゲン化銀塗布量 1.2g/m2 ゼラチン塗布量 0.7g/m2 シリカ(平均粒径5μ)塗布量 0.1g/m2
【0057】この感光性ハロゲン化銀乳剤含有写真材料
を40℃で3日間加温後、下記処方の水溶性合成高分子
物質を含有する水溶液(上塗り液)を15ml/m2
なるよう塗布し、加熱乾燥して平版印刷版を作成した。 水 800ml ポリアクリル酸ソーダ(1%水溶液) 200ml 1%H3PO4 200ml 10%サポニン 15ml 10%グリオキザール 20ml 水を加えて1500mlに合わせる。
【0058】(2)処理方法 上記感光材料を製版用カメラで像露光を行い下記処方の
現像液、強化液、及び、感脂化処理液をそれぞれ自動現
像機LD221(大日本スクリーン製)の第1槽、第2
槽、及び、第3槽に入れた。第1槽では35℃30秒、
第2槽では30℃30秒、第3槽では30℃15秒処理
を行い、乾燥して印刷版を得た。各処理液に用いたジメ
ルカプト化合物を下記に示す。
【0059】比較のため、第1槽に現像液、第2槽に感
脂化処理液、第3槽に何も入れずに、また、それぞれの
液にトリアジントリチオール・ジメルカプト化合物を含
有させた処理も行った。温度・時間は上記と同じであ
る。
【0060】 <現像液> EDTA・2Na 1g 水酸化ナトリウム 48g 亜硫酸カリウム 108g ハイドロキノン 55g N−メチル−p−アミノフェノール1/2硫酸塩 0.8g ハイドロキノンモノスルホン酸カリウム 40g 5−メチルベンゾトリアゾール 0.2g 臭化カリウム 4g トリアジントリチオール Xミリモル ジメルカプト化合物(例示化合物C−1〜C−4) Yミリモル KOHを用いてpHを11.80に合わせ、水を加えて1Lにした。
【0061】 <強化液> 水 600ml ジエチレングリコール 50g トリアジントリチオール Xミリモル ジメルカプト化合物(例示化合物C−1〜C−4) Yミリモル リン酸2カリ 25g リン酸(85%) 4g 水を加えて1Lにした。
【0062】 <感脂化処理液> 水 600ml ジエチレングリコール 50g NaOH 4g 2−メルカプト−5−ヘプチル−1,3,4−オキサジアゾール 3g トリアジントリチオール Xミリモル ジメルカプト化合物(例示化合物C−1〜C−4) Yミリモル リン酸2カリ 25g リン酸(85%) 4g KI 25g 水を加えて1Lにした。
【0063】以上の操作により作成した平版印刷版の画
像部・非画像部の光学的反射濃度をTR927(Mac
beth社製濃度計)を用いて測定し、目視による画像
の視認性と対比した。表1中、○は明確に画像を視認す
ることができ、×は画像を視認しにくいことを表す。
【0064】次に、上記の方法で作成した印刷版をエー
ビーディック3200CD(A.B.Dick社製オフ
セット印刷機の商標)に装着し、インキはNew Ch
ampion墨H(大日本インキ製、商品名)を、給湿
液は下記をそれぞれ用いて印刷を行った。
【0065】<給湿液> o−リン酸 10g 硝酸ニッケル 5g 亜硝酸ナトリウム 5g エチレングリコール 100g コロイダルシリカ(20%液) 28g 水を加えて1Lとした。
【0066】耐刷力は画像に欠陥が生じる直前の印刷枚
数で評価した。画像の視認性と耐刷力との評価結果を表
1に示す。
【0067】
【表1】
【0068】表1からわかるように、現像液、若しく
は、感脂化処理液にジメルカプト化合物・トリアジント
リチオールを含有させても、非画像部と画像部の光学的
反射濃度の差は変化せず、画像の視認性は悪い。また、
場合によっては、耐刷力が大きく低下する場合がある。
【0069】それとは対照的に、本発明では濃度差が大
きくて画像の視認性がよく、耐刷力も良好である。
【0070】
【発明の効果】本発明によれば、ハロゲン化銀乳剤層を
有する写真材料を露光、現像処理後、親油化処理を施
し、未現像のハロゲン化銀像部を選択的に親油化し、イ
ンキ受容性にする平版印刷版の作成方法において、現像
処理後、親油化処理前にジメルカプト化合物とトリアジ
ントリチオールを含有する処理液で処理することで、画
像の視認性が向上し、かつ、安定した高耐刷力をもつ印
刷版を得ることができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハロゲン化銀乳剤層を有する写真材料を
    露光、現像処理後、親油化処理を施し、未現像のハロゲ
    ン化銀像部を選択的に親油化し、インキ受容性にする平
    版印刷版の作成方法において、現像処理後、親油化処理
    前にジメルカプト化合物とトリアジントリチオールを含
    有する処理液で処理することを特徴とする平版印刷版の
    作成方法。
  2. 【請求項2】 請求項1のジメルカプト化合物が化1で
    表される化合物であることを特徴とする平版印刷版の作
    成方法。 【化1】 1、R2は水素原子、アルキル基、またはアリール基で
    ある。
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