JP2004004265A - 平版印刷版の作成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】汚れが発生せず、インキ受容性が高く、高耐刷性の印刷版を作製する。
【解決手段】ハロゲン化銀乳剤層を有する写真材料を露光し、現像処理後、未現像のハロゲン化銀を親油化し、インキ受容性にする平版印刷版の作成において、前記ハロゲン化銀乳剤層が下記の式を満足することを特徴とする平版印刷版の作成方法によって達成された。
0<X−A≦0.5〔式1〕
式中、Xはハロゲン化銀乳剤層の厚み、Aはハロゲン化銀粒子の平均粒径を表す。
【解決手段】ハロゲン化銀乳剤層を有する写真材料を露光し、現像処理後、未現像のハロゲン化銀を親油化し、インキ受容性にする平版印刷版の作成において、前記ハロゲン化銀乳剤層が下記の式を満足することを特徴とする平版印刷版の作成方法によって達成された。
0<X−A≦0.5〔式1〕
式中、Xはハロゲン化銀乳剤層の厚み、Aはハロゲン化銀粒子の平均粒径を表す。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、未現像のハロゲン化銀像をインキ受容性として利用する平版印刷版に於いて、汚れが発生せず、インキ受容性が高く、且つ安定した高耐刷性が得られる平版印刷版の作成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
平版印刷版は、油脂性のインキを受理する親油性の部分と、インキを受け付けない親水性の部分に、水とインキの両方を版面に供給して親油性部は着色性のインキを親水性部は水を選択的に受け入れ、該画線上のインキを紙などの基質に転写させることによってなされている。従って、良い印刷物を得るためには表面の親油性及び親水性の差が充分大きくて、水及びインキを適用したときに、親油性部は十分量のインキを受け付け、親水性部はインキを全く受け付けないことが必要である。
【0003】
高い感度を有し、かつスペクトル増感できるハロゲン化銀乳剤からなる写真材料は印刷版の製造に好適で、既に幾つかの方法が知られている。写真ゼラチン、ハロゲン化銀乳剤を利用して平版印刷版を作成する方法を大別すると、次のような方法が知られている。
【0004】
(1)タンニング現像を利用する方法で、親水性ゼラチン、およびハロゲン化銀乳剤をタンニング現像して現像部のゼラチンを硬化させ親油性、インキ受理性にする方法(米国特許第3,146,104号)。
【0005】
(2)銀拡散転写法を応用し、形成された表面金属銀模様を親油化し、インキ受理性として利用する印刷版(米国特許第3,721,559、同第3,490,905、特公昭48−30562、J.Phot.Sci,8,26〜32(1960) A Rott & L. DeHaes)
【0006】
(3)エッチングブリーチを応用し、現像された銀像部若しくは転写現像によって形成された銀像部を漂白液で処理し、同時に銀画像部分のゼラチンを破壊して親油性の表面を露出させることにより平版印刷版を作成する方法。(米国特許第3,385,701、同第3,814,603号、特公昭44−27242)
【0007】
(4)ハロゲン化銀乳剤層の未現像のハロゲン化銀を選択的に親油化しインキ受容性にする方法(米国特許第3,454,398号、同3,764,323号、同3,099,209号、特公昭57−3939号、特公昭61−23545号、特開平4−12353号、特開平9−304934号等)。
【0008】
本発明の平版印刷版は上記分類の(4)に属する。従って、上記原理による平版印刷版の処理工程としては、画像露光後、ハロゲン化銀写真感光材料用の現像液で現像処理(拡散転写現像を含まない)を行い、その後、未現像のハロゲン化銀をインキ受容性を持たせるため、ハロゲン化銀溶剤及び銀イオンと反応して難溶性化合物を形成する有機化合物を含む処理液(以後感脂化処理液とする)で親油化処理を行う。
【0009】
上記(4)によってつくられる平版印刷版は、インキ受容性及び耐刷性の点で十分に満足するものではなく、実用化には至っていなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記(4)によって作成される平版印刷版において、汚れが発生せず、インキ受容性が高く、且つ安定した高耐刷性を得ることである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記の目的は、ハロゲン化銀乳剤層を有する写真材料を露光し、現像処理後、未現像のハロゲン化銀を親油化し、インキ受容性にする平版印刷版の作成において、前記ハロゲン化銀乳剤層が下記の式を満足することを特徴とする平版印刷版の作成方法によって達成された。
0<X−A≦0.5〔式1〕
式中、Xはハロゲン化銀乳剤層の厚み、Aはハロゲン化銀粒子の平均粒径を表し、単位はμmである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明において、ハロゲン化銀乳剤層の厚みは、電子顕微鏡による断面写真から求めることが出来る。また、ハロゲン化銀粒子の平均粒径は、乳剤を電子顕微鏡で観察したときに粒子の投影面積と等しい面積を有する円の直径で表される。
【0013】
本発明の平版印刷版は、未露光部の表面にインキ受容性部分をつくることから、高いインキ受容性及び高い耐刷性を得るためにはハロゲン化銀粒子が乳剤層の表面近くに存在するのが良い。従って、本発明は、ハロゲン化銀粒子径とハロゲン化銀乳剤層の膜厚の関係を上記の式1を満足するように設計する。即ち、乳剤層の膜厚X(μm)からハロゲン化銀の平均粒径A(μm)を差し引いた値が、0.5μm以下で、かつ0より大きくする。両者の差が0.5μmを越える場合は、高いインキ受容性及び高い耐刷性が得られず、両者の差が0以下の場合、即ち乳剤層の膜厚に対してハロゲン化銀の平均粒子径が同等か大きい場合、非画像部の地汚れが起こる。本発明において好ましくは、乳剤層の厚み(X)からハロゲン化銀粒子の平均粒径(A)を差し引いた値は0.02〜0.45μmで、更に好ましくは、0.02〜0.40μmである。
【0014】
ハロゲン化銀乳剤層の膜厚は、乳剤層に含まれるバインダー、即ちゼラチン量に大きく依存するが、ハロゲン化銀やその他の充填剤、たとえばシリカマット剤等の含有によって、膜厚はプラス側にシフトする。正確には、上述したように電子顕微鏡の断面写真から求められる。
【0015】
本発明に用いられる写真材料のハロゲン化銀は、塩化銀、塩臭化銀で、ヨウ化物を含んでいてもよい。ハロゲン化銀乳剤層及び必要に応じて設けられるその他の層のバインダーとしては、ゼラチンが好ましい。しかしゼラチンの一部を他のコロイド物質、例えば、アルブミン、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール−無水マレイン酸エステル、ポリビニルアルコール−スチレン無水マレイン酸エステル、アルギン酸塩、セルロース誘導体などで置換してもよい。
【0016】
本発明の写真材料において、ハロゲン化銀粒子の平均粒径は、0.08〜0.6μmが好ましく、特に0.1〜0.5μmが好ましい。上記したハロゲン化銀粒子径の範囲は、高いインキ受容性及び高耐刷性の銀画像をが得る上で好ましい。
【0017】
本発明の写真材料において、他の重要な要素は、ハロゲン化銀乳剤層の硬膜にある。少なくとも印刷前の段階で、十分に硬化されていなければならない。硬化剤を通常のハロゲン化銀乳剤層の硬膜法と同様にハロゲン化銀乳剤塗液中に添加してもよいし、また、現像、製版処理の前もしくは後の段階で、例えば熱処理などの方法で硬化されてもよい。安定した硬化特性を得るためには硬化剤を含むハロゲン化銀乳剤を塗布乾燥後、適度に加温処理されることが好ましい。この加温処理は、良好な硬化度を得るための処理であり、それは、例えば80〜150℃で数分もしくは数十分間、あるいは30〜50℃で数日間(1〜20日間位)の処理であってもよい。
【0018】
硬化剤としては、通常の乳剤層のゼラチン硬化剤として使用されている化合物が使用できる。例えばホルマリン、グリオキザール、グルタールアルデヒド、ムコクロム酸などのアルデヒド系硬化剤、更に、尿素−ホルマリン縮合物、メラニン−ホルマリン縮合物も有効であり、また、エポキシ系、アジリジン系化合物、活性オレフィン類、イソシアネート系化合物、トリアジン類などの有機硬化剤、クロム、アルミニウム、ジルコニウムなどの無機多価金属塩類など、写真乳剤の硬化剤として公知の化合物を単独もしくはいくつかを併用して使用できる。
【0019】
また、ハロゲン化銀乳剤層は、印刷中の磨耗を防ぐために、固体微粒子を含有させるのが良く、シリカ、クレー、タルク、シークライト、米でんぷんなどが使用できるが、特に0.1μm〜4μmのシリカが好ましい。
【0020】
シリカは1m2あたり0.01g〜1gとなる様にハロゲン化銀乳剤中に添加される。シリカ粒子濃度が過度に高くなると、印刷中にインキ濃度が上がりにくくなったりスカミング現象を起こしたりする。
【0021】
写真鮮鋭度、最終的には印刷物の解像度および鮮鋭度を改良する目的で、いわゆる反射防止染料又は顔料を適用することが好ましい。これらはハロゲン化銀乳剤層中、あるいは支持体とハロゲン化銀乳剤層との間のいわゆる反射防止層中、あるいは支持体をはさんでハロゲン化銀乳剤層と反対側の層中に適用することによって目的は達成される。
【0022】
又、光反射性の顔料、例えば酸化チタン、硫酸バリウム、酸化マグネシウムなどの白色顔料もしくは黄色の有機顔料と光吸収性の染料または顔料とを併用して使用することによっても目的は達成される。
【0023】
本発明の写真材料における最も好ましい態様は、支持体上に、反射防止染料もしくは顔料を有する下塗層を有し、この下塗り層の上にハロゲン化銀乳剤層を有するものである。
【0024】
この反射防止染料もしくは顔料を有する下塗層は、ゼラチンよりなり、粒径2〜10μm程度の固体微粒子を含有させるのが好ましい。好適な微粒子はシリカである。下塗層のゼラチンは、1平方メートル当たり0.5g〜2.5gで、ハロゲン化銀乳剤層と同様良好に硬化されるべきである。又、シリカは1平方メートル当たり0.1g〜20gの間で付与される。
【0025】
上記したような、微粒子を含有する下塗層は、印刷時における磨耗性を改良し、耐刷性を改良する効果をもつ。この場合においては乳剤層中の微粒子シリカは必ずしも必要ではない。
【0026】
本発明の写真材料に用いられる支持体は、当技術分野で普通に使用されている任意の支持体を用いることができる。例えば、両側をポリエチレンで被覆した紙、樹脂フィルム、金属シート等を用いることができる。
【0027】
その他、塗布性を改良するために界面活性剤や、写真感光特性を維持するための安定剤、カブリ防止剤、増感色素、現像剤や、現像促進剤および乳剤層を着色させる目的で染料、顔料等を、任意に含有できる。
【0028】
本発明に用いられる写真材料にはインキ受容性を付与する有機チオール化合物もしくはチオン化合物、あるいはその他の有機複素環化合物の一部もしくは全部を、あらかじめハロゲン化銀乳剤層を有する材料中に、添加することもできる。それは、ハロゲン化銀乳剤層以外の層であっても良い。又、これらの有機化合物は、油剤に溶解させ、微小油滴状に分散させてから加えられても良い。
【0029】
本発明に用いられる感脂化処理液は、ハロゲン化銀溶剤と銀イオンと反応して難溶性化合物を形成する有機化合物を少なくとも含有する。前記有機化合物は、ハロゲン化銀溶剤によって形成された可溶性銀錯体よりも安定度が高く、且つ溶解度の低い銀錯体化合物を形成できる有機化合物である。該有機化合物は、特公昭57−3939に詳述されるように未露光部表面を親油化させる有機化合物でもあり、詳細は後述する。
【0030】
本発明に用いられる好ましいハロゲン化銀溶剤としては、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化アンモニウム塩等のヨウ化物、チオ硫酸ソーダ、チオ硫酸カリウム等、チオ硫酸アンモニウム等の、チオ硫酸塩、チオシアン酸カリウムや、チオシアン酸ソーダ等のチオシアン酸塩、亜硫酸ナトリウムや亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム等の亜硫酸塩が挙げられる。
【0031】
本発明の感脂化処理液に含まれている親油化のための有機化合物としては、好ましくは、メルカプト基を有する含窒素複素環化合物であり、更に炭素数3以上の脂肪族基または芳香族基を有する化合物が好ましい。以下にその代表的な一般式を挙げる。
【0032】
【化1】
【0033】
式中のR1、R2、R3は水素原子、脂肪族基(例えばアルキル基、アルケニル基、アラルキル基)または芳香族基(例えばアリール基)を表す。好ましくは、R1、R2、R3は、炭素数3〜12の脂肪族基または芳香族基である。m、nは0〜2の整数を表す。好ましくは、mは1または2である。Zは、式中のN、Cと共に5ないし6員環を形成するのに必要な結合の残りの原子団を示す。
【0034】
5ないし6員環の具体的な例としては、イミダゾール、イミダゾリン、チアゾール、チアゾリン、オキサゾール、オキサゾリン、ピラゾリン、トリアゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、テトラゾール、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、トリアジン等であり、又これらの環は2個以上の縮合生成した環であってもよく、ベンゼン環やナフタリン環と縮合したものであってもよい。
【0035】
係る化合物の具体例としては、2−メルカプト−4−フェニルイミダゾール、2−メルカプト−1−ベンジルイミダゾール、2−メルカプト−ベンズイミダゾール、2−メルカプト−1−ブチル−ベンズイミダゾール、1,3−ジベンジル−イミダゾリジン−2−チオン、2−メルカプト−4−フェニルチアゾール、3−ブチル−ベンゾチアゾリン−2−チオン、3−ドデシル−ベンゾチアゾリン−2−チオン、2−メルカプト−4,5−ジフェニルオキサゾール、3−ペンチル−ベンゾオキサゾリン−2−チオン、1−フェニル−3−メチルピラゾリン−5−チオン、3−メルカプト−4−アリル−5−ペンタデシル−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−5−ノニル−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−4−アセタミド−5−ヘプチル−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−4−アミノ−5−ヘプタデシル−1,2,4−トリアゾール、2−メルカプト−5−フェニル−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−5−n−ヘプチル−オキサチアゾール、2−メルカプト−5−nヘプチル−オキサジアゾール、2−メルカプト−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、5−メルカプト−1−フェニル−テトラゾール、3−メルカプト−4−メチル−6−フェニル−ピリダジン、2−メルカプト−5,6−ジフェニル−ピラジン、2−メルカプト−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−アミノ−4−メルカプト−6−ベンジル−1,3,5−トリアジン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0036】
本発明の目的に有効なハロゲン化銀溶剤の使用量はハロゲン化銀乳剤の組成に依存して一律ではないが、10−2モル/L〜1モル/Lの範囲内である。また、感脂化処理液に含まれている親油化させる有機化合物の量は必ずしも各化合物について一律ではないが、10−3モル/L〜10−1モル/Lの濃度で使用される。
【0037】
親油化のための有機化合物及びハロゲン化銀溶剤を含有する感脂化処理液は、該有機化合物の溶解性を良くするために、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等の水混和性有機溶媒を含有しうる。
【0038】
また、本感脂化処理液はpH4〜8の間で緩衝されていることが好ましい。pHの緩衝剤としては、酢酸、クエン酸、リン酸等、pKa値が4〜8の酸と、それらの塩類の中から選択できる。また、該感脂化処理液は各種の他の成分を含んでもよい。例えばヒドロキシエチルセルロースなどの水可溶性ポリマー類、コロイダルシリカなどの表面化親水化剤等を含むことができる。
【0039】
本発明に用いる現像液の現像主薬としてはハイドロキノン、クロロハイドロキノン、ブロムハイドロキノン、イソプロピルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、2,3−ジクロロハイドロキノン、2,5−ジクロロハイドロキノン、2,3−ジブロモハイドロキノン、2,5−ジメチルハイドロキノン、ハオドロキノンモノスルホネートなどがある。
【0040】
本発明には上記現像主薬に加えて1−フェニル−3−ピラゾリドン又はその誘導体又は、p−アミノフェノール系現像主薬の現像主薬を加えることができる。具体例としては1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−5−メチル−3−ピラゾリドン、1−p−アミノフェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−p−トリル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドンなどがある。本発明に用いるp−アミノフェノール系現像主薬としてはN−メチル−p−アミノフェノール、N−(β−ヒドロキシエチル)−p−アミノフェノール、N−(4−ヒドロキシフェニル)グリシン、2−メチル−p−アミノフェノール、p−ベンジルアミノフェノール等があるが、なかでもN−メチル−p−アミノフェノールが好ましい。
【0041】
現像主薬は通常0.03モル/L〜0.8モル/Lの量で用いられるのが好ましい。またジヒドロキシベンゼン類と1−フェニル−3−ピラゾリドン類又はp−アミノフェノール類との組合せを用いる場合には前者を0.1モル/L〜0.5モル/L、後者を0.01〜0.1モル/L以下の量で用いるのが好ましい。
【0042】
本発明に用いる保恒剤としては亜硫酸塩類、例えば亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、ホルムアルデヒド重亜硫酸ナトリウムなどがある。使用量は特に制限されないが好ましくは0.05モル/L〜1.0モル/Lの範囲で用いられる。
【0043】
現像液には、その他必要により緩衝剤(例えば、炭酸塩、ほう酸、ほう酸塩、アルカノールアミン、スルホサリチル酸)、アルカリ剤(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等)、溶解助剤(ポリエチレングリコール類、これらのエステル)、pH調整剤(例えば、酢酸の如き有機酸)、現像促進剤、界面活性剤、硬膜剤などを含有させることができる。
【0044】
現像液には更にカブリ防止剤(例えば、5−ニトロインダゾール、5−ニトロ−ベンツイミダゾール、5−メチル−ベンゾトリアゾール、5−ニトロベンゾトリアゾールの如きベンゾトリアゾール、ベンゾチアゾール、1−フェニル−5−メルカプト−テトラゾールの如きテトラゾール、チアゾール或は英国特許第1,269,268号に記載の化合物など)、キレート化剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸、これらのアルカリ金属塩、ポリリン酸塩、ニトリロ酢酸塩)を含有させることができる。
【0045】
上記成分以外に用いられる添加剤としては、臭化ナトリウム、ヨウ化カリウムのような現像抑制剤、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジメチルホルムアミド、メチルセロソルブ、ヘキシレングリコール、エタノール、メタノールのような有機溶剤を含んでもよく、更に必要に応じて色調剤、消泡剤、硬水軟化剤などを含んでもよい。
【0046】
この様にして調整された現像液のpH値は所望の濃度とコントラストをあたえるに充分な程度に選択されるが、約8〜12の範囲にあることが望ましい。
【0047】
本発明の処理において用いることの出来る自動現像機としては、大日本スクリーン製造(株)製LD281Q、LD360、LD381、LD480Q、富士写真フィルム(株)製FG680A、FG950A、FG710A等があるが自動現像機の種類に限定されない。また、銀錯塩拡散転写法を利用した平版印刷版の処理に用いられる自動現像機についても処理に用いることができる。
【0048】
写真材料の現像処理温度及び時間は相互に関係し、且つ全処理時間との関係において決定され、一般に約20〜50℃で10秒〜3分であるが、高速迅速処理の場合には約30〜50℃で10秒から40秒である。
【0049】
本発明の方法によれば、金属銀像に相当する部分ではなく、未現像のハロゲン化銀の部分にインキ受容性を持たせる。従って、ネガタイプのハロゲン化銀材料を像に従って露光し、現像、感脂化処理することにより、ポジの印刷版を得ることができる。また、ポジタイプのハロゲン化銀材料からは、ネガタイプの印刷版が得られる。
【0050】
また、ハロゲン化銀感光材料を現像した後に定着するか、又は一浴現像定着液の後に残存する銀像を酸化して、再ハロゲン化し、感脂化することにより、ネガタイプのハロゲン化銀材料からネガタイプの印刷版を得ることができる。
【0051】
【実施例】
以下に実施例を掲げ本発明を詳細に説明するが、これだけに限定されるわけではない。
【0052】
実施例1
(1)写真材料の作成
コロナ状放電加工したPETにシリカ粒子(平均粒径3μm)とカーボンブラックを含むゼラチン下塗り液を塗布した。又、ゼラチン硬化剤としてホルマリンとジメチロール尿素を加えた。ゼラチンおよびシリカの付着量は1平方メートル当たりそれぞれ、3.5g、1.0gであった。また、この下塗り層は、反射濃度で0.9を示した。続いて、この下塗り層上に、赤色増感され、ゼラチン硬化剤としてホルマリンとジメチロール尿素を含む下記の様なハロゲン化銀乳剤層を塗布した。
【0053】
乳剤層は下記の構成を有する。
ハロゲン化銀組成 塩化銀
ハロゲン化銀の平均粒子サイズ 0.33μm
硝酸銀で表したハロゲン化銀塗布量 1.2g/m2
シリカ(平均粒径0.5μm)塗布量 0.1g/m2
ゼラチン塗布量 0.7g/m2
【0054】
上記のようにして支持体上に下塗り層及びハロゲン化銀乳剤層を塗布して得られた試料を40℃で3日間加温して、印刷版の前駆体である写真材料を作成した。
【0055】
作成した写真材料のハロゲン化銀乳剤層の厚みを測定したところ、厚みは0.88μmであった(比較例2)。更に、ゼラチン塗布量を調整して乳剤層の厚みを変えた写真材料を作製した。詳細を表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
(2)処理方法
上記写真材料を製版用カメラで像露光を行い下記処方の現像液及び感脂化処理液をそれぞれ自動現像機LD221(大日本スクリーン製)の第1槽及び第2槽に入れ、第1槽では35℃30秒、第2槽では30℃30秒処理を行い乾燥した。
【0058】
現像液
EDTA・2Na 1g
炭酸カリウム 24g
亜硫酸カリウム 47g
ハイドロキノン 14g
1フェニル5メルカプトテトラゾール 1g
ベンゾトリアゾール 1g
臭化カリウム 3g
KOHを用いてpHを10.50に合わせ、水を加えて1リットルにした。
【0059】
感脂化処理液
水 600ml
ジエチレングリコール 50g
NaOH 4g
2−メルカフ゜ト−5−ヘフ゜チル−1,3,4−オキサシ゛アソ゛ール 3g
リン酸2カリ 25g
リン酸(85%) 4g
KI 25g
水を加えて1Lにする。
【0060】
以上の操作により作成した平版印刷版をオフセット印刷機に装着し、下記の給湿液を版面にくまなく与え、同給湿液を用いて印刷を行った。
<給湿液>
o−リン酸 10 g
硝酸ニッケル 5 g
亜硝酸ナトリウム 5 g
エチレングリコール 100 g
コロイダルシリカ(20%液) 28 g
水を加えて1リットルとする。
【0061】
印刷評価は、エービーディック350CD(A.B.Dick社製オフセット印刷機の商標)を使用した。インキ受容性については、インキはNew Champion墨H(大日本インキ製、商品名)を使用し、版面にインキ付ローラーを接触させると同時に紙送りを始め、良好な画像濃度で印刷物が得られるまでの印刷枚数とした。
【0062】
また耐刷性については、銀画像部の欠落による画像飛びが生じて印刷に供せなくなった時の印刷枚数で、次の評価基準により判定した。
(A) 20,000枚以上
(B) 10,000〜20,000枚未満
(C) 5,000〜10,000枚未満
(D) 2,000〜 5,000枚未満
【0063】
一方、非画像部の保水性(地汚れ)を見るために、インキとして大日本インキ製Fグロス紫68Sを使用し、給湿液としてローソス社製KPS♯500の2.5%水溶液を使いAB Dick350CDで地汚れが発生し印刷に供せなくなた時の印刷枚数で、次の評価基準により判定した。
(A) 3,000枚以上
(B) 1,000〜3,000枚未満
(C) 500〜1,000枚未満
(D) 100〜 500枚未満
印刷結果を表2に示す。
【0064】
【表2】
【0065】
表2からわかるように、本発明は、インキ受容性、耐刷性及び保水性(耐汚れ性)がいずれも高いレベルにあるのに対して、比較例1はインキ受容性及び耐刷性は高いが保水性が著しく低下しており、比較例2は保水性は優れているがインキ受容性及び耐刷性が著しく低下している。
【0066】
【発明の効果】
本発明を用いることにより、ハロゲン化銀乳剤層を有する写真材料を露光し、現像処理後、未現像のハロゲン化銀像部を親油化し、インキ受容性にする平版印刷版の作成において、汚れの発生しない、インキ受容性と耐刷性に優れた平版印刷版が得られる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、未現像のハロゲン化銀像をインキ受容性として利用する平版印刷版に於いて、汚れが発生せず、インキ受容性が高く、且つ安定した高耐刷性が得られる平版印刷版の作成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
平版印刷版は、油脂性のインキを受理する親油性の部分と、インキを受け付けない親水性の部分に、水とインキの両方を版面に供給して親油性部は着色性のインキを親水性部は水を選択的に受け入れ、該画線上のインキを紙などの基質に転写させることによってなされている。従って、良い印刷物を得るためには表面の親油性及び親水性の差が充分大きくて、水及びインキを適用したときに、親油性部は十分量のインキを受け付け、親水性部はインキを全く受け付けないことが必要である。
【0003】
高い感度を有し、かつスペクトル増感できるハロゲン化銀乳剤からなる写真材料は印刷版の製造に好適で、既に幾つかの方法が知られている。写真ゼラチン、ハロゲン化銀乳剤を利用して平版印刷版を作成する方法を大別すると、次のような方法が知られている。
【0004】
(1)タンニング現像を利用する方法で、親水性ゼラチン、およびハロゲン化銀乳剤をタンニング現像して現像部のゼラチンを硬化させ親油性、インキ受理性にする方法(米国特許第3,146,104号)。
【0005】
(2)銀拡散転写法を応用し、形成された表面金属銀模様を親油化し、インキ受理性として利用する印刷版(米国特許第3,721,559、同第3,490,905、特公昭48−30562、J.Phot.Sci,8,26〜32(1960) A Rott & L. DeHaes)
【0006】
(3)エッチングブリーチを応用し、現像された銀像部若しくは転写現像によって形成された銀像部を漂白液で処理し、同時に銀画像部分のゼラチンを破壊して親油性の表面を露出させることにより平版印刷版を作成する方法。(米国特許第3,385,701、同第3,814,603号、特公昭44−27242)
【0007】
(4)ハロゲン化銀乳剤層の未現像のハロゲン化銀を選択的に親油化しインキ受容性にする方法(米国特許第3,454,398号、同3,764,323号、同3,099,209号、特公昭57−3939号、特公昭61−23545号、特開平4−12353号、特開平9−304934号等)。
【0008】
本発明の平版印刷版は上記分類の(4)に属する。従って、上記原理による平版印刷版の処理工程としては、画像露光後、ハロゲン化銀写真感光材料用の現像液で現像処理(拡散転写現像を含まない)を行い、その後、未現像のハロゲン化銀をインキ受容性を持たせるため、ハロゲン化銀溶剤及び銀イオンと反応して難溶性化合物を形成する有機化合物を含む処理液(以後感脂化処理液とする)で親油化処理を行う。
【0009】
上記(4)によってつくられる平版印刷版は、インキ受容性及び耐刷性の点で十分に満足するものではなく、実用化には至っていなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記(4)によって作成される平版印刷版において、汚れが発生せず、インキ受容性が高く、且つ安定した高耐刷性を得ることである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記の目的は、ハロゲン化銀乳剤層を有する写真材料を露光し、現像処理後、未現像のハロゲン化銀を親油化し、インキ受容性にする平版印刷版の作成において、前記ハロゲン化銀乳剤層が下記の式を満足することを特徴とする平版印刷版の作成方法によって達成された。
0<X−A≦0.5〔式1〕
式中、Xはハロゲン化銀乳剤層の厚み、Aはハロゲン化銀粒子の平均粒径を表し、単位はμmである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明において、ハロゲン化銀乳剤層の厚みは、電子顕微鏡による断面写真から求めることが出来る。また、ハロゲン化銀粒子の平均粒径は、乳剤を電子顕微鏡で観察したときに粒子の投影面積と等しい面積を有する円の直径で表される。
【0013】
本発明の平版印刷版は、未露光部の表面にインキ受容性部分をつくることから、高いインキ受容性及び高い耐刷性を得るためにはハロゲン化銀粒子が乳剤層の表面近くに存在するのが良い。従って、本発明は、ハロゲン化銀粒子径とハロゲン化銀乳剤層の膜厚の関係を上記の式1を満足するように設計する。即ち、乳剤層の膜厚X(μm)からハロゲン化銀の平均粒径A(μm)を差し引いた値が、0.5μm以下で、かつ0より大きくする。両者の差が0.5μmを越える場合は、高いインキ受容性及び高い耐刷性が得られず、両者の差が0以下の場合、即ち乳剤層の膜厚に対してハロゲン化銀の平均粒子径が同等か大きい場合、非画像部の地汚れが起こる。本発明において好ましくは、乳剤層の厚み(X)からハロゲン化銀粒子の平均粒径(A)を差し引いた値は0.02〜0.45μmで、更に好ましくは、0.02〜0.40μmである。
【0014】
ハロゲン化銀乳剤層の膜厚は、乳剤層に含まれるバインダー、即ちゼラチン量に大きく依存するが、ハロゲン化銀やその他の充填剤、たとえばシリカマット剤等の含有によって、膜厚はプラス側にシフトする。正確には、上述したように電子顕微鏡の断面写真から求められる。
【0015】
本発明に用いられる写真材料のハロゲン化銀は、塩化銀、塩臭化銀で、ヨウ化物を含んでいてもよい。ハロゲン化銀乳剤層及び必要に応じて設けられるその他の層のバインダーとしては、ゼラチンが好ましい。しかしゼラチンの一部を他のコロイド物質、例えば、アルブミン、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール−無水マレイン酸エステル、ポリビニルアルコール−スチレン無水マレイン酸エステル、アルギン酸塩、セルロース誘導体などで置換してもよい。
【0016】
本発明の写真材料において、ハロゲン化銀粒子の平均粒径は、0.08〜0.6μmが好ましく、特に0.1〜0.5μmが好ましい。上記したハロゲン化銀粒子径の範囲は、高いインキ受容性及び高耐刷性の銀画像をが得る上で好ましい。
【0017】
本発明の写真材料において、他の重要な要素は、ハロゲン化銀乳剤層の硬膜にある。少なくとも印刷前の段階で、十分に硬化されていなければならない。硬化剤を通常のハロゲン化銀乳剤層の硬膜法と同様にハロゲン化銀乳剤塗液中に添加してもよいし、また、現像、製版処理の前もしくは後の段階で、例えば熱処理などの方法で硬化されてもよい。安定した硬化特性を得るためには硬化剤を含むハロゲン化銀乳剤を塗布乾燥後、適度に加温処理されることが好ましい。この加温処理は、良好な硬化度を得るための処理であり、それは、例えば80〜150℃で数分もしくは数十分間、あるいは30〜50℃で数日間(1〜20日間位)の処理であってもよい。
【0018】
硬化剤としては、通常の乳剤層のゼラチン硬化剤として使用されている化合物が使用できる。例えばホルマリン、グリオキザール、グルタールアルデヒド、ムコクロム酸などのアルデヒド系硬化剤、更に、尿素−ホルマリン縮合物、メラニン−ホルマリン縮合物も有効であり、また、エポキシ系、アジリジン系化合物、活性オレフィン類、イソシアネート系化合物、トリアジン類などの有機硬化剤、クロム、アルミニウム、ジルコニウムなどの無機多価金属塩類など、写真乳剤の硬化剤として公知の化合物を単独もしくはいくつかを併用して使用できる。
【0019】
また、ハロゲン化銀乳剤層は、印刷中の磨耗を防ぐために、固体微粒子を含有させるのが良く、シリカ、クレー、タルク、シークライト、米でんぷんなどが使用できるが、特に0.1μm〜4μmのシリカが好ましい。
【0020】
シリカは1m2あたり0.01g〜1gとなる様にハロゲン化銀乳剤中に添加される。シリカ粒子濃度が過度に高くなると、印刷中にインキ濃度が上がりにくくなったりスカミング現象を起こしたりする。
【0021】
写真鮮鋭度、最終的には印刷物の解像度および鮮鋭度を改良する目的で、いわゆる反射防止染料又は顔料を適用することが好ましい。これらはハロゲン化銀乳剤層中、あるいは支持体とハロゲン化銀乳剤層との間のいわゆる反射防止層中、あるいは支持体をはさんでハロゲン化銀乳剤層と反対側の層中に適用することによって目的は達成される。
【0022】
又、光反射性の顔料、例えば酸化チタン、硫酸バリウム、酸化マグネシウムなどの白色顔料もしくは黄色の有機顔料と光吸収性の染料または顔料とを併用して使用することによっても目的は達成される。
【0023】
本発明の写真材料における最も好ましい態様は、支持体上に、反射防止染料もしくは顔料を有する下塗層を有し、この下塗り層の上にハロゲン化銀乳剤層を有するものである。
【0024】
この反射防止染料もしくは顔料を有する下塗層は、ゼラチンよりなり、粒径2〜10μm程度の固体微粒子を含有させるのが好ましい。好適な微粒子はシリカである。下塗層のゼラチンは、1平方メートル当たり0.5g〜2.5gで、ハロゲン化銀乳剤層と同様良好に硬化されるべきである。又、シリカは1平方メートル当たり0.1g〜20gの間で付与される。
【0025】
上記したような、微粒子を含有する下塗層は、印刷時における磨耗性を改良し、耐刷性を改良する効果をもつ。この場合においては乳剤層中の微粒子シリカは必ずしも必要ではない。
【0026】
本発明の写真材料に用いられる支持体は、当技術分野で普通に使用されている任意の支持体を用いることができる。例えば、両側をポリエチレンで被覆した紙、樹脂フィルム、金属シート等を用いることができる。
【0027】
その他、塗布性を改良するために界面活性剤や、写真感光特性を維持するための安定剤、カブリ防止剤、増感色素、現像剤や、現像促進剤および乳剤層を着色させる目的で染料、顔料等を、任意に含有できる。
【0028】
本発明に用いられる写真材料にはインキ受容性を付与する有機チオール化合物もしくはチオン化合物、あるいはその他の有機複素環化合物の一部もしくは全部を、あらかじめハロゲン化銀乳剤層を有する材料中に、添加することもできる。それは、ハロゲン化銀乳剤層以外の層であっても良い。又、これらの有機化合物は、油剤に溶解させ、微小油滴状に分散させてから加えられても良い。
【0029】
本発明に用いられる感脂化処理液は、ハロゲン化銀溶剤と銀イオンと反応して難溶性化合物を形成する有機化合物を少なくとも含有する。前記有機化合物は、ハロゲン化銀溶剤によって形成された可溶性銀錯体よりも安定度が高く、且つ溶解度の低い銀錯体化合物を形成できる有機化合物である。該有機化合物は、特公昭57−3939に詳述されるように未露光部表面を親油化させる有機化合物でもあり、詳細は後述する。
【0030】
本発明に用いられる好ましいハロゲン化銀溶剤としては、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化アンモニウム塩等のヨウ化物、チオ硫酸ソーダ、チオ硫酸カリウム等、チオ硫酸アンモニウム等の、チオ硫酸塩、チオシアン酸カリウムや、チオシアン酸ソーダ等のチオシアン酸塩、亜硫酸ナトリウムや亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム等の亜硫酸塩が挙げられる。
【0031】
本発明の感脂化処理液に含まれている親油化のための有機化合物としては、好ましくは、メルカプト基を有する含窒素複素環化合物であり、更に炭素数3以上の脂肪族基または芳香族基を有する化合物が好ましい。以下にその代表的な一般式を挙げる。
【0032】
【化1】
【0033】
式中のR1、R2、R3は水素原子、脂肪族基(例えばアルキル基、アルケニル基、アラルキル基)または芳香族基(例えばアリール基)を表す。好ましくは、R1、R2、R3は、炭素数3〜12の脂肪族基または芳香族基である。m、nは0〜2の整数を表す。好ましくは、mは1または2である。Zは、式中のN、Cと共に5ないし6員環を形成するのに必要な結合の残りの原子団を示す。
【0034】
5ないし6員環の具体的な例としては、イミダゾール、イミダゾリン、チアゾール、チアゾリン、オキサゾール、オキサゾリン、ピラゾリン、トリアゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、テトラゾール、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、トリアジン等であり、又これらの環は2個以上の縮合生成した環であってもよく、ベンゼン環やナフタリン環と縮合したものであってもよい。
【0035】
係る化合物の具体例としては、2−メルカプト−4−フェニルイミダゾール、2−メルカプト−1−ベンジルイミダゾール、2−メルカプト−ベンズイミダゾール、2−メルカプト−1−ブチル−ベンズイミダゾール、1,3−ジベンジル−イミダゾリジン−2−チオン、2−メルカプト−4−フェニルチアゾール、3−ブチル−ベンゾチアゾリン−2−チオン、3−ドデシル−ベンゾチアゾリン−2−チオン、2−メルカプト−4,5−ジフェニルオキサゾール、3−ペンチル−ベンゾオキサゾリン−2−チオン、1−フェニル−3−メチルピラゾリン−5−チオン、3−メルカプト−4−アリル−5−ペンタデシル−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−5−ノニル−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−4−アセタミド−5−ヘプチル−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−4−アミノ−5−ヘプタデシル−1,2,4−トリアゾール、2−メルカプト−5−フェニル−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−5−n−ヘプチル−オキサチアゾール、2−メルカプト−5−nヘプチル−オキサジアゾール、2−メルカプト−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、5−メルカプト−1−フェニル−テトラゾール、3−メルカプト−4−メチル−6−フェニル−ピリダジン、2−メルカプト−5,6−ジフェニル−ピラジン、2−メルカプト−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−アミノ−4−メルカプト−6−ベンジル−1,3,5−トリアジン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0036】
本発明の目的に有効なハロゲン化銀溶剤の使用量はハロゲン化銀乳剤の組成に依存して一律ではないが、10−2モル/L〜1モル/Lの範囲内である。また、感脂化処理液に含まれている親油化させる有機化合物の量は必ずしも各化合物について一律ではないが、10−3モル/L〜10−1モル/Lの濃度で使用される。
【0037】
親油化のための有機化合物及びハロゲン化銀溶剤を含有する感脂化処理液は、該有機化合物の溶解性を良くするために、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等の水混和性有機溶媒を含有しうる。
【0038】
また、本感脂化処理液はpH4〜8の間で緩衝されていることが好ましい。pHの緩衝剤としては、酢酸、クエン酸、リン酸等、pKa値が4〜8の酸と、それらの塩類の中から選択できる。また、該感脂化処理液は各種の他の成分を含んでもよい。例えばヒドロキシエチルセルロースなどの水可溶性ポリマー類、コロイダルシリカなどの表面化親水化剤等を含むことができる。
【0039】
本発明に用いる現像液の現像主薬としてはハイドロキノン、クロロハイドロキノン、ブロムハイドロキノン、イソプロピルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、2,3−ジクロロハイドロキノン、2,5−ジクロロハイドロキノン、2,3−ジブロモハイドロキノン、2,5−ジメチルハイドロキノン、ハオドロキノンモノスルホネートなどがある。
【0040】
本発明には上記現像主薬に加えて1−フェニル−3−ピラゾリドン又はその誘導体又は、p−アミノフェノール系現像主薬の現像主薬を加えることができる。具体例としては1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−5−メチル−3−ピラゾリドン、1−p−アミノフェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−p−トリル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドンなどがある。本発明に用いるp−アミノフェノール系現像主薬としてはN−メチル−p−アミノフェノール、N−(β−ヒドロキシエチル)−p−アミノフェノール、N−(4−ヒドロキシフェニル)グリシン、2−メチル−p−アミノフェノール、p−ベンジルアミノフェノール等があるが、なかでもN−メチル−p−アミノフェノールが好ましい。
【0041】
現像主薬は通常0.03モル/L〜0.8モル/Lの量で用いられるのが好ましい。またジヒドロキシベンゼン類と1−フェニル−3−ピラゾリドン類又はp−アミノフェノール類との組合せを用いる場合には前者を0.1モル/L〜0.5モル/L、後者を0.01〜0.1モル/L以下の量で用いるのが好ましい。
【0042】
本発明に用いる保恒剤としては亜硫酸塩類、例えば亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、ホルムアルデヒド重亜硫酸ナトリウムなどがある。使用量は特に制限されないが好ましくは0.05モル/L〜1.0モル/Lの範囲で用いられる。
【0043】
現像液には、その他必要により緩衝剤(例えば、炭酸塩、ほう酸、ほう酸塩、アルカノールアミン、スルホサリチル酸)、アルカリ剤(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等)、溶解助剤(ポリエチレングリコール類、これらのエステル)、pH調整剤(例えば、酢酸の如き有機酸)、現像促進剤、界面活性剤、硬膜剤などを含有させることができる。
【0044】
現像液には更にカブリ防止剤(例えば、5−ニトロインダゾール、5−ニトロ−ベンツイミダゾール、5−メチル−ベンゾトリアゾール、5−ニトロベンゾトリアゾールの如きベンゾトリアゾール、ベンゾチアゾール、1−フェニル−5−メルカプト−テトラゾールの如きテトラゾール、チアゾール或は英国特許第1,269,268号に記載の化合物など)、キレート化剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸、これらのアルカリ金属塩、ポリリン酸塩、ニトリロ酢酸塩)を含有させることができる。
【0045】
上記成分以外に用いられる添加剤としては、臭化ナトリウム、ヨウ化カリウムのような現像抑制剤、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジメチルホルムアミド、メチルセロソルブ、ヘキシレングリコール、エタノール、メタノールのような有機溶剤を含んでもよく、更に必要に応じて色調剤、消泡剤、硬水軟化剤などを含んでもよい。
【0046】
この様にして調整された現像液のpH値は所望の濃度とコントラストをあたえるに充分な程度に選択されるが、約8〜12の範囲にあることが望ましい。
【0047】
本発明の処理において用いることの出来る自動現像機としては、大日本スクリーン製造(株)製LD281Q、LD360、LD381、LD480Q、富士写真フィルム(株)製FG680A、FG950A、FG710A等があるが自動現像機の種類に限定されない。また、銀錯塩拡散転写法を利用した平版印刷版の処理に用いられる自動現像機についても処理に用いることができる。
【0048】
写真材料の現像処理温度及び時間は相互に関係し、且つ全処理時間との関係において決定され、一般に約20〜50℃で10秒〜3分であるが、高速迅速処理の場合には約30〜50℃で10秒から40秒である。
【0049】
本発明の方法によれば、金属銀像に相当する部分ではなく、未現像のハロゲン化銀の部分にインキ受容性を持たせる。従って、ネガタイプのハロゲン化銀材料を像に従って露光し、現像、感脂化処理することにより、ポジの印刷版を得ることができる。また、ポジタイプのハロゲン化銀材料からは、ネガタイプの印刷版が得られる。
【0050】
また、ハロゲン化銀感光材料を現像した後に定着するか、又は一浴現像定着液の後に残存する銀像を酸化して、再ハロゲン化し、感脂化することにより、ネガタイプのハロゲン化銀材料からネガタイプの印刷版を得ることができる。
【0051】
【実施例】
以下に実施例を掲げ本発明を詳細に説明するが、これだけに限定されるわけではない。
【0052】
実施例1
(1)写真材料の作成
コロナ状放電加工したPETにシリカ粒子(平均粒径3μm)とカーボンブラックを含むゼラチン下塗り液を塗布した。又、ゼラチン硬化剤としてホルマリンとジメチロール尿素を加えた。ゼラチンおよびシリカの付着量は1平方メートル当たりそれぞれ、3.5g、1.0gであった。また、この下塗り層は、反射濃度で0.9を示した。続いて、この下塗り層上に、赤色増感され、ゼラチン硬化剤としてホルマリンとジメチロール尿素を含む下記の様なハロゲン化銀乳剤層を塗布した。
【0053】
乳剤層は下記の構成を有する。
ハロゲン化銀組成 塩化銀
ハロゲン化銀の平均粒子サイズ 0.33μm
硝酸銀で表したハロゲン化銀塗布量 1.2g/m2
シリカ(平均粒径0.5μm)塗布量 0.1g/m2
ゼラチン塗布量 0.7g/m2
【0054】
上記のようにして支持体上に下塗り層及びハロゲン化銀乳剤層を塗布して得られた試料を40℃で3日間加温して、印刷版の前駆体である写真材料を作成した。
【0055】
作成した写真材料のハロゲン化銀乳剤層の厚みを測定したところ、厚みは0.88μmであった(比較例2)。更に、ゼラチン塗布量を調整して乳剤層の厚みを変えた写真材料を作製した。詳細を表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
(2)処理方法
上記写真材料を製版用カメラで像露光を行い下記処方の現像液及び感脂化処理液をそれぞれ自動現像機LD221(大日本スクリーン製)の第1槽及び第2槽に入れ、第1槽では35℃30秒、第2槽では30℃30秒処理を行い乾燥した。
【0058】
現像液
EDTA・2Na 1g
炭酸カリウム 24g
亜硫酸カリウム 47g
ハイドロキノン 14g
1フェニル5メルカプトテトラゾール 1g
ベンゾトリアゾール 1g
臭化カリウム 3g
KOHを用いてpHを10.50に合わせ、水を加えて1リットルにした。
【0059】
感脂化処理液
水 600ml
ジエチレングリコール 50g
NaOH 4g
2−メルカフ゜ト−5−ヘフ゜チル−1,3,4−オキサシ゛アソ゛ール 3g
リン酸2カリ 25g
リン酸(85%) 4g
KI 25g
水を加えて1Lにする。
【0060】
以上の操作により作成した平版印刷版をオフセット印刷機に装着し、下記の給湿液を版面にくまなく与え、同給湿液を用いて印刷を行った。
<給湿液>
o−リン酸 10 g
硝酸ニッケル 5 g
亜硝酸ナトリウム 5 g
エチレングリコール 100 g
コロイダルシリカ(20%液) 28 g
水を加えて1リットルとする。
【0061】
印刷評価は、エービーディック350CD(A.B.Dick社製オフセット印刷機の商標)を使用した。インキ受容性については、インキはNew Champion墨H(大日本インキ製、商品名)を使用し、版面にインキ付ローラーを接触させると同時に紙送りを始め、良好な画像濃度で印刷物が得られるまでの印刷枚数とした。
【0062】
また耐刷性については、銀画像部の欠落による画像飛びが生じて印刷に供せなくなった時の印刷枚数で、次の評価基準により判定した。
(A) 20,000枚以上
(B) 10,000〜20,000枚未満
(C) 5,000〜10,000枚未満
(D) 2,000〜 5,000枚未満
【0063】
一方、非画像部の保水性(地汚れ)を見るために、インキとして大日本インキ製Fグロス紫68Sを使用し、給湿液としてローソス社製KPS♯500の2.5%水溶液を使いAB Dick350CDで地汚れが発生し印刷に供せなくなた時の印刷枚数で、次の評価基準により判定した。
(A) 3,000枚以上
(B) 1,000〜3,000枚未満
(C) 500〜1,000枚未満
(D) 100〜 500枚未満
印刷結果を表2に示す。
【0064】
【表2】
【0065】
表2からわかるように、本発明は、インキ受容性、耐刷性及び保水性(耐汚れ性)がいずれも高いレベルにあるのに対して、比較例1はインキ受容性及び耐刷性は高いが保水性が著しく低下しており、比較例2は保水性は優れているがインキ受容性及び耐刷性が著しく低下している。
【0066】
【発明の効果】
本発明を用いることにより、ハロゲン化銀乳剤層を有する写真材料を露光し、現像処理後、未現像のハロゲン化銀像部を親油化し、インキ受容性にする平版印刷版の作成において、汚れの発生しない、インキ受容性と耐刷性に優れた平版印刷版が得られる。
Claims (1)
- ハロゲン化銀乳剤層を有する写真材料を露光し、現像処理後、未現像のハロゲン化銀を親油化し、インキ受容性にする平版印刷版の作成において、前記ハロゲン化銀乳剤層が下記の式を満足することを特徴とする平版印刷版の作成方法。
0<X−A≦0.5〔式1〕
式中、Xはハロゲン化銀乳剤層の厚み、Aはハロゲン化銀粒子の平均粒径を表し、単位はμmである。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002159307A JP2004004265A (ja) | 2002-05-31 | 2002-05-31 | 平版印刷版の作成方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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