JP2005126391A - 新規な芳香族スルホン酸エステル誘導体、そのポリアリーレン、スルホン酸基を有するポリアリーレンおよびその製造方法、ならびに高分子固体電解質およびプロトン伝導膜 - Google Patents

新規な芳香族スルホン酸エステル誘導体、そのポリアリーレン、スルホン酸基を有するポリアリーレンおよびその製造方法、ならびに高分子固体電解質およびプロトン伝導膜 Download PDF

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Abstract

【課題】多量のスルホン化剤を使用することなくスルホン酸基を有するポリアリーレンの製造方法を提供する。
【解決手段】新規な芳香族スルホン酸エステル誘導体は、下記一般式(1)で表されることを特徴としている;
Figure 2005126391

(式中、Xはフッ素を除くハロゲン原子、−OSO2CH3および−OSO2CF3から選ばれる原子または基を示し、Aは2価の電子吸引性基を示し、Bは2価の電子供与基または直接結合を示し、Raは炭素原子数1〜20の炭化水素基を示す。)で表される置換基を有する芳香族基を示す。Arは−SO3b(但し、Rbは炭素原子数1〜20の炭化水素基を示す。)で表される置換基を有し、かつ水素原子の一部がフッ素原子で置換された芳香族基を示す。mは0〜10の整数を示し、nは0〜10の整数を示し、pは1〜4の整数の整数を示す。)。
【選択図】 なし

Description

本発明は、新規な芳香族スルホン酸エステル誘導体、該化合物から導かれる繰り返し構成単位を含むポリアリーレン、該ポリアリーレンを加水分解してなるスルホン酸基を有するポリアリーレンおよびその製造方法、ならびに前記スルホン酸基を有するポリアリーレンからなる高分子固体電解質、該高分子固体電解質を含んでなるプロトン伝導膜に関する。
電解質は、通常、(水)溶液で用いられることが多い。しかし、近年、これが固体系に置き替えられている。その理由としては、例えば、電気・電子材料に応用する場合のプロセッシングの容易さであり、軽薄短小・省電力化への移行である。
従来、プロトン伝導性材料としては、無機物、有機物の両方が知られている。無機物の例としては、例えば水和化合物であるリン酸ウラニルが挙げられるが、これら無機化合物は界面での接触が充分でなく、伝導層を基板あるいは電極上に形成するには問題が多い。
一方、有機化合物の例としては、いわゆる陽イオン交換樹脂に属するポリマー、例えばポリスチレンスルホン酸などのビニル系ポリマーのスルホン化物、ナフィオン(商品名、デュポン社製)を代表とするパーフルオロアルキルスルホン酸ポリマー、パーフルオロアルキルカルボン酸ポリマーや、ポリベンズイミダゾールやポリエーテルエーテルケトンなどの耐熱性高分子にスルホン酸基やリン酸基を導入したポリマー(非特許文献1:Polymer Preprints, Japan, Vol.42, No.7, p.2490〜2492(1993)、非特許文献2:Polymer Preprints, Japan, Vol.43, No.3, p.735〜736(1994)、非特許文献3:Polymer Preprints,Japan,Vol.42,No.3,p730(1993))などが挙げられる。
しかしながら、ポリスチレンスルホン酸等のビニル系ポリマーのスルホン化物は化学的安定性(耐久性)に劣るという問題点がある。パーフルオロスルホン酸系電解質膜は、製造が困難であり非常に高価であるため、自動車用、家庭用燃料電池等の民生用途への適用上の大きな障害となっており、特殊用途への応用に限られている。また、パールオロスルホン酸系電解質膜は分子内に大量のフッ素原子を有しているため、使用後の廃棄処理についても環境上の大きな問題点を抱えている。また、ポリベンズイミダゾールやポリエーテルエーテルケトンなどの耐熱性高分子にスルホン酸基やリン酸基を導入したポリマーに関しても、耐熱水性、耐久性に劣るという問題点を有していた。
一方、工業的に安価に製造が可能で、耐熱水性、耐久性に優れたプロトン伝導性材料としては、スルホン化された芳香族系ポリマーが知られており、このスルホン化された芳香族系ポリマーは、通常芳香族化合物を重合してポリマーを製造し、次いでこのポリマーとスルホン化剤とを反応させてポリマーにスルホン酸基を導入することにより得られる。
しかしながら、従来の方法では、スルホン酸を導入する際に濃硫酸、発煙硫酸、クロル硫酸などのスルホン化剤を大量に用いるため製造上の危険性が大きいこと、プラントの材質に制限があること、ポリマーを回収する際の廃液処理の負荷が大きいことなどの問題がある。また、ポリマーへのスルホン酸基の導入量、および導入位置を制御することが容易ではないという問題もある。
また、このようなスルホン酸基を含む重合体では、プロトン伝導材料として使用する場合、スルホン酸基の酸強度が高い方が、広範な温度・湿度領域で高いプロトン伝導性を発現するので、燃料電池に使用した場合、変換効率が高く、このため、軽薄短小・省電力化を達成できる。このため、さらに、スルホン酸基の酸強度を高めることが望まれていた。
Polymer Preprints,Japan,Vol.42,No.7,p.2490〜2492(1993) Polymer Preprints,Japan,Vol.43,No.3,p.735〜736(1994) Polymer Preprints,Japan,Vol.42,No.3,p730(1993)
本発明は上記のような従来技術における問題点を解決するものであって、工業的に安価に製造可能でかつ、耐熱水性、耐久性に優れたプロトン伝導性材料を提供すること、更には、多量のスルホン化剤を使用することなくスルホン酸基を有するポリアリーレンが製造でき、ポリマーを回収時の処理の負荷が小さく、ポリマーへのスルホン酸基の導入量、および導入位置を制御することが容易であって、さらにスルホン酸基が高い酸強度を発現可能であり、スルホン酸基を有するポリアリーレンの製造方法およびそれにより得られるスルホン酸基を有するポリアリーレン、該スルホン酸基を有するポリアリーレンの製造に好適に用いられる新規な芳香族スルホン酸エステル誘導体およびポリアリーレンを提供することを目的としている。
また、本発明は上記スルホン酸基を有するポリアリーレンからなる高分子固体電解質および該高分子固体電解質を含んでなるプロトン伝導膜を提供することを目的としている。
本発明によれば、下記の新規な芳香族スルホン酸エステル誘導体、ポリアリーレン、スルホン酸基を有するポリアリーレンおよびその製造方法、ならびに高分子固体電解質、プロトン伝導膜およびその製造方法が提供されて、本発明の上記目的が達成される。特に、本発明ではスルホン酸基が結合した芳香族基にフッ素原子が結合しているので、スルホン酸基の酸性度が高く、このため、重合体にしたときに、プロトン伝導性が高いという特性を有している。
なお、本発明においてポリアリーレンとは、芳香環を有するジハライド化合物または−OSO2R(RはCH3、CF3等)で表される基を2つ有する芳香族化合物を原料とし、
芳香族環同士が直接結合する重合により得られる重合体を示す。
(1)本発明に係る新規な芳香族スルホン酸エステル誘導体は、下記一般式(1)で表されることを特徴としている。;
Figure 2005126391
(式中、Xはフッ素を除くハロゲン原子、−OSO2CH3および−OSO2CF3から選ばれる原子または基を示し、Aは2価の電子吸引性基を示し、Bは2価の電子供与基または直接結合を示し、Raは炭素原子数1〜20の炭化水素基を示す。)で表される置換基を
有する芳香族基を示す。Arは−SO3b(但し、Rbは炭素原子数1〜20の炭化水素
基を示す。)で表される置換基を有し、かつ水素原子の一部がフッ素原子で置換された芳
香族基を示す。mは0〜10の整数を示し、nは0〜10の整数を示し、pは1〜4の整数の整数を示す。)。
(2)本発明に係る芳香族スルホン酸エステル誘導体は、下記一般式(2)で表されること
を特徴とする;
Figure 2005126391
(式中、X、A、Arは式(1)と同じ)。
(3)本発明に係るポリアリーレンは、芳香族化合物から導かれる繰り返し構成単位からな
り、少なくとも下記一般式(1')で表される繰り返し構成単位を含むことを特徴としている;
Figure 2005126391
(式中、Aは2価の電子吸引性基を示し、Bは2価の電子供与基または直接結合を示し、Raは炭素原子数1〜20の炭化水素基を示す。)で表される置換基を有する芳香族基を
示す。Arは−SO3b(但し、Rbは炭素原子数1〜20の炭化水素基を示す。)で表
される置換基を有し、かつ水素原子の一部がフッ素原子で置換された芳香族基を示す。mは0〜10の整数を示し、nは0〜10の整数を示し、pは1〜4の整数を示す。)。
(4)芳香族化合物から導かれる繰り返し構成単位からなり、少なくとも下記一般式(2')で表される繰り返し構成単位を含むことを特徴とするポリアリーレン;
Figure 2005126391
(式中、X、A、Arは式(1)と同じ)。
(5)上記一般式(1')で表される繰り返し構成単位(両方含む場合は合計量)0.5〜1
00モル%と、下記一般式(A')で表される繰り返し構成単位0〜99.5モル%とか
らなるポリアリーレン;
Figure 2005126391
(式中、R1〜R8は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基、フッ素置換アルキル基、アリル基およびアリール基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子または基を示し、Wは2価の電子吸引性基を示し、Tは2価の有機基を示し、pは0または正の整数を示す。)。
(6)前記記載のポリアリーレンを加水分解することを特徴とするスルホン酸基を有するポ
リアリーレンの製造方法。
(7)前記記載の芳香族スルホン酸エステル誘導体を含む芳香族化合物をカップリング重合
し、得られたポリアリーレンを加水分解して、スルホン酸エステル基をスルホン酸基に転換するスルホン酸基を有するポリアリーレンの製造方法。
(6)前記方法で得られたスルホン酸基を有するポリアリーレンからなる高分子固体電解質

(7)前記記載の高分子固体電解質を含んでなる燃料電池用プロトン伝導膜。
本発明に係るスルホン酸基を有するポリアリーレンおよびその製造方法は、ポリアリーレンを、スルホン酸基を有するポリアリーレンとする際にスルホン化剤が用いられないため安全性が高く、ポリマーを回収する際の処理の負荷が小さい。また、ポリマーへのスルホン酸基の導入量、および導入位置を制御することが容易である。また、スルホン基が導入された芳香族基にフッ素原子も導入されているので、スルホン酸基の酸強度が高くなる。このため、燃料電池用のプロトン伝導膜に使用したときに、広範な温度・湿度領域で高いプロトン伝導性を発現する。そして、燃料電池に使用した場合、変換効率が高く、このため、軽薄短小・省電力化を達成できる。
以下、本発明に係る芳香族スルホン酸エステル誘導体、ポリアリーレン、スルホン酸基を有するポリアリーレンおよびその製造方法、ならびに高分子固体電解質およびプロトン伝導膜について具体的に説明する。
(芳香族スルホン酸エステル誘導体)
本発明に係る芳香族スルホン酸エステル誘導体は、下記一般式(1)で表される。
Figure 2005126391
mは0〜10、好ましくは0〜2の整数、nは0〜10、好ましくは0〜2の整数を示す。pは1〜4の整数である。
mが0、nが0の場合、本発明に係る芳香族スルホン酸エステル誘導体は、下記一般式(2)で表される;
Figure 2005126391
(式中、X、A、Arは式(1)と同じ)
式中、Xはフッ素を除くハロゲン原子(塩素、臭素、ヨウ素)、−OSO2CH3および−OSO2CF3から選ばれる原子または基を示す。
Aは2価の電子吸引性基を示し、具体的には−CO−、−CONH−、−(CF2p−(ここで、pは1〜10の整数である)、−C(CF32−、−COO−、−SO−、−SO2−など挙げられる。
Bは2価の電子供与基または直接結合を示し、具体的には−O−、−S−、−CH=CH−、−C≡C−および下記式
Figure 2005126391
で表される基などが挙げられる。
なお、電子吸引性基とは、ハメット(Hammett)置換基常数がフェニル基のm位の場合
、0.06以上、p位の場合、0.01以上の値となる基をいう。
aは炭素原子数1〜20、好ましくは4〜20の炭化水素基を示し、具体的にはメチ
ル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、tert−ブチル基、iso−ブチル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチル基、アダマンチルメチル基、2−エチルヘキシル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルメチル基、テトラヒドロフルフリル基、2−メチルブチル基、3,3−ジメチル−2,4−ジオキソランメチル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチルメチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルメチル基などの直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基、脂環式炭化水素基、5員の複素環を有する炭化水素基などが挙げられる。これらのうちn−ブチル基、ネオペンチル基、テトラヒドロフルフリル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチルメチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルメチル基が好ましく、さらにはネオペンチル基が好ましい。
Arは−SO3bで表される置換基を有し、かつ水素原子の一部がフッ素原子で置換された芳香族基を示す。芳香族基として具体的にはフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナンチル基などが挙げられる。これらの基のうち、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
置換基−SO3bは、芳香族基に1個または2個以上置換しており、置換基−SO3bが2個以上置換している場合には、これらの置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
置換基−SO3bを有する芳香族基は、その一部の水素原子が、フッ素原子で置換されている。フッ素原子は、1個置換していても、2個以上置換していてもよい。芳香族基におけるフッ素原子の置換部位は、−SO3bの直ぐ隣の位置(オルト位)または反対側の位置(パラ位)にあることが望ましい。
このような位置にフッ素原子が置換していると、その電子吸引性の効果によりスルホン酸の酸性度をより高めることが可能である。
ここで、Rbは炭素原子数1〜20、好ましくは4〜20の炭化水素基を示し、具体的
には上記Raと同様のものが例示される。これらのうちn−ブチル基、ネオペンチル基、
テトラヒドロフルフリル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチルメチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルメチル基が好ましく、さらにはネオペンチル基が好ましい。
上記一般式(1)で表される本発明に係る芳香族スルホン酸エステル誘導体としてより具
体的には以下のようなタイプ(a)〜(c)の化合物が挙げられる。
タイプ(a)の化合物
タイプ(a)の化合物は、下記一般式(1−a)で表される化合物である。
Figure 2005126391
このタイプ(a)の化合物は上記式(2)で表される化合物である。
式(1−a)中、X、AおよびRbは、上記一般式(1)中のX、AおよびRbと同義である。
上記一般式(1−a)で表される芳香族スルホン酸エステル誘導体は、Aが−CO−または−SO2−であることが好ましい。Rbは、ネオペンチル基、テトラヒドロフルフリル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチルメチル基またはビシクロ[2.2.1]ヘプチルメチル基であることが好ましく、さらにはネオペンチル基であることが好ましい。
上記一般式(1−a)で表される本発明に係る芳香族スルホン酸エステル誘導体としては、以下のような化合物が挙げられる。
Figure 2005126391
Figure 2005126391
Figure 2005126391
また、上記一般式(1−a)で表される本発明に係る芳香族スルホン酸エステル誘導体として、上記化合物において塩素原子が臭素原子に置き換わった化合物、上記化合物において−CO−が−SO2−に置き換わった化合物、上記化合物において塩素原子が臭素原
子に置き換わり、かつ−CO−が−SO2−に置き換わった化合物なども挙げられる。
上記一般式(1−a)中のRb基は、1級のアルコール由来で、β炭素が3級または4
級炭素であることが、重合工程中の安定性に優れ、脱エステル化によるスルホン酸の生成に起因する重合阻害や架橋を引き起こさない点で好ましく、さらには、これらのエステル基は1級アルコール由来でβ位が4級炭素であることが好ましい。
タイプ(a)化合物の合成方法
Figure 2005126391
工程(1)スルホン化
例えば、2,5−ジクロロ−4'−フルオロベンゾフェノンに、3倍量のクロロスルホン酸を加え、105℃で30時間加熱する。反応後、氷水中に反応液を注ぎ、生成物を有機溶媒で抽出する。有機層を洗浄後、溶媒を留去すると粗生成物が得られ、さらに再結晶で精製すると、5−(2,5−ジクロロベンゾイル)−2−フルオロベンゼンスルホン酸ク
ロリドが得られる。
工程(2)エステル化
例えば、5−(2,5−ジクロロベンゾイル)−2−フルオロベンゼンスルホン酸クロ
リドに対し、等量以上の(通常1〜3倍モル)のアルコール類(たとえばイソブチルアルコール)を、ピリジン溶媒中で反応させる。反応は、室温以下の温度で、2〜10時間程度行う。反応液を有機溶媒で希釈後、塩酸で洗浄、溶媒を留去したあと、再結晶で精製し、5−(2,5−ジクロロベンゾイル)−2−フルオロベンゼンスルホン酸イソブチルを
得る。
タイプ(b)の化合物
タイプ(b)の化合物は、下記一般式(1−b)で表される化合物である。
Figure 2005126391
式(1−b)中、X、A、B、Arおよびmは、上記一般式(1)中のX、A、B、Arおよびmと同義である。
上記一般式(1−b)で表される芳香族スルホン酸エステル誘導体は、Bが2価の電子供与基であり、Arが示す−SO3bで表される置換基を有する芳香族基が2核以上の多核芳香族基であり、Rbが炭素原子数3〜20の炭化水素基であることが好ましい。
多核芳香族基として好ましくは、ナフチル基、アントラセニル基、フェナンチル基などが挙げられ、ナフチル基が最も好ましい。
置換基−SO3bは、多核芳香族基に1個または2個以上置換している。置換基−SO3bが2個以上置換している場合には、これらの置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
多核芳香族基には、フッ素原子が1個または2個以上置換している。
本発明では−SO3bが、置換基(B)が置換していない芳香環に2個置換した構造が最も好ましい。またフッ素原子は、−SO3Rb基と同じ芳香環に置換した構造が好ましい。こ
のような位置にフッ素原子が置換していると、その電子吸引性の効果によりスルホン酸の酸性度をより高めることが可能である。
bは、iso−プロピル基、n−ブチル基、ネオペンチル基、テトラヒドロフルフリ
ル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチルメチル基またはビシクロ[2.2.1]ヘプチルメチル基であることが好ましく、さらにはネオペンチル基であることが好ましい。
mは好ましくは0〜3の整数である。
上記一般式(1−b)で表される本発明に係る芳香族スルホン酸エステル誘導体としては、以下のような化合物が挙げられる。
Figure 2005126391
Figure 2005126391
また、上記一般式(1−b)で表される本発明に係る芳香族スルホン酸エステル誘導体として、上記化合物において塩素原子が臭素原子に置き換わった化合物、上記化合物において−CO−が−SO2−に置き換わった化合物、上記化合物において塩素原子が臭素原
子に置き換わり、かつ−CO−が−SO2−に置き換わった化合物なども挙げられる。さ
らには、フッ素原子とスルホン酸基の位置が代わったもの、フッ素原子が2個以上の置換
されたものなども挙げられる。
上記一般式(1−b)中のRb基は1級のアルコール由来で、β炭素が3級または4級
炭素であることが、重合工程中の安定性に優れ、脱エステル化によるスルホン酸の生成に起因する重合阻害や架橋を引き起こさない点で好ましく、さらには、これらのエステル基は1級アルコール由来でβ位が4級炭素であることが好ましい。
タイプ(c)の化合物
タイプ(c)の化合物は、下記一般式(1−c)で表される化合物である。
Figure 2005126391
式(1−c)中、X、A、B、Ar、Ra、m、nおよびpは、上記一般式(1)中の
X、A、B、Ar、Ra、m、nおよびpと同義である。ただし、m+n≧1であり、n
=0の場合には、Arの芳香族基はフェニル基を示す。
上記一般式(1−c)で表される本発明に係る芳香族スルホン酸エステル誘導体としては、以下のような化合物が挙げられる。
Figure 2005126391
Figure 2005126391
Figure 2005126391
Figure 2005126391
また、上記一般式(1−c)で表される本発明に係る芳香族スルホン酸エステル誘導体として、上記化合物において塩素原子が臭素原子に置き換わった化合物、上記化合物において−CO−が−SO2−に置き換わった化合物、上記化合物において塩素原子が臭素原
子に置き換わり、かつ−CO−が−SO2−に置き換わった化合物なども挙げられる。さ
らには、フッ素原子とスルホン酸基の位置が代わったもの、フッ素原子が2個以上の置換
されたものなども挙げられる。
一般式(1−c)中のRb基は1級のアルコール由来で、β炭素が3級または4級炭素
であることが、重合工程中の安定性に優れ、脱エステル化によるスルホン酸の生成に起因する重合阻害や架橋を引き起こさない点で好ましく、さらには、これらのエステル基は1級アルコール由来でβ位が4級炭素であることが好ましい。
(スルホン酸基を有するポリアリーレン)
本発明に係るスルホン酸基を有するポリアリーレンは、上記一般式(1)で表される芳香族スルホン酸エステル誘導体から選ばれる少なくとも1種のモノマーを単独で重合する
か、または上記一般式(1)で表される芳香族スルホン酸エステル誘導体から選ばれる少なくとも1種のモノマーと、他の芳香族モノマー、好ましくは下記一般式(A)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種のモノマーとを共重合して得られるポリアリーレンを加水分解したものである。
Figure 2005126391
上記一般式(A)中、R'およびR''は互いに同一でも異なっていてもよく、フッ素原
子を除くハロゲン原子または−OSO2Z(ここで、Zはアルキル基、フッ素置換アルキ
ル基またはアリール基を示す。)で表される基を示す。
Zが示すアルキル基としてはメチル基、エチル基などが挙げられ、フッ素置換アルキル基としてはトリフルオロメチル基などが挙げられ、アリール基としてはフェニル基、p−トリル基などが挙げられる。
1〜R8は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基、フッ素置換アルキル基、アリル基およびアリール基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子または基を示す。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、ヘキシル基などが挙げられ、メチル基、エチル基などが好ましい。
フッ素置換アルキル基としては、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基などが挙げられ、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基などが好ましい。
アリル基としては、プロペニル基などが挙げられ、
アリール基としては、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基などが挙げられる。
Wは2価の電子吸引性基を示し、電子吸引性基としては、上述したものと同様のものが挙げられる。
Tは2価の有機基であって、電子吸引性基であっても電子供与性基であってもよい。電子吸引性基および電子供与性基としては、上述したものと同様のものが挙げられる。
pは0または正の整数であり、上限は通常100、好ましくは80である。
上記一般式(A)で表される化合物として具体的には、p=0の場合、例えば4,4'−ジクロロベンゾフェノン、4,4'−ジクロロベンズアニリド、ビス(クロロフェニル)ジフルオロメタン、2,2−ビス(4−クロロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4−ク
ロロ安息香酸−4−クロロフェニル、ビス(4−クロロフェニル)スルホキシド、ビス(4−クロロフェニル)スルホン、これらの化合物において塩素原子が臭素原子またはヨウ素原子に置き換わった化合物、さらにこれらの化合物において4位に置換したハロゲン原
子の少なくとも1つ以上が3位に置換した化合物などが挙げられる。
またp=1の場合、上記一般式(A)で表される具体的な化合物としては、例えば4,
4'−ビス(4−クロロベンゾイル)ジフェニルエーテル、4,4'−ビス(4−クロロベ
ンゾイルアミノ)ジフェニルエーテル、4,4'−ビス(4−クロロフェニルスルホニル)ジフェニルエーテル、4,4'−ビス(4−クロロフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート、4,4'−ビス〔(4−クロロフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフル
オロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4'−ビス〔(4−クロロフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4'−ビス〔(4−クロ
ロフェニル)テトラフルオロエチル〕ジフェニルエーテル、これらの化合物において塩素原子が臭素原子またはヨウ素原子に置き換わった化合物、さらにこれらの化合物において4位に置換したハロゲン原子が3位に置換した化合物、さらにこれらの化合物においてジフェニルエーテルの4位に置換した基の少なくとも1つが3位に置換した化合物などが挙げられる。
さらに上記一般式(A)で表される化合物としては、2,2−ビス[4−{4−(4−
クロロベンゾイル)フェノキシ}フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロ
パン、ビス[4−{4−(4−クロロベンゾイル)フェノキシ}フェニル]スルホン、および下記式で表される化合物が挙げられる。
Figure 2005126391
上記一般式(A)で表される化合物は、例えば以下に示す方法で合成することができる。
まず電子吸引性基で連結されたビスフェノールを対応するビスフェノールのアルカリ金属塩とするために、N−メチル−2−ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、スルホラン、ジフェニルスルホン、ジメチルスルホキサイドなどの誘電率の高い極性溶媒中でリチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、水素化アルカリ金属、水酸化アルカリ金属、アルカリ金属炭酸塩などを加える。
通常、アルカリ金属はフェノールの水酸基に対し、過剰気味で反応させ、通常、1.1
〜2倍当量を使用する。好ましくは、1.2〜1.5倍当量の使用である。この際、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、クロロベンゼン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール、フェネトールなどの水と共沸する溶媒を共存させて、電子吸引性基で活性化されたフッ素、塩素等のハロゲン原子で置換された芳香族ジハライド化合物、例えば、4,4'−ジフルオロベンゾフェノン、4,4'−ジクロロベンゾフェノン、4,4'−クロロフルオロベンゾフェノン、ビス(4−クロロフェニル)スルホン、ビス(4−フルオロフェニル)スルホン、4−フルオロフェニル−4'−クロロ
フェニルスルホン、ビス(3−ニトロ−4−クロロフェニル)スルホン、2,6−ジクロ
ロベンゾニトリル、2,6−ジフルオロベンゾニトリル、ヘキサフルオロベンゼン、デカ
フルオロビフェニル、2,5−ジフルオロベンゾフェノン、1,3−ビス(4−クロロベンゾイル)ベンゼンなどを反応させる。反応性から言えば、フッ素化合物が好ましいが、次の芳香族カップリング反応を考慮した場合、末端が塩素原子となるように芳香族求核置換反応を組み立てる必要がある。活性芳香族ジハライドはビスフェノールに対し、2〜4倍モル、好ましくは2.2〜2.8倍モルの使用である。芳香族求核置換反応の前に予め、ビスフェノールのアルカリ金属塩としていてもよい。反応温度は60℃〜300℃で、好ましくは80℃〜250℃の範囲である。反応時間は15分〜100時間、好ましくは1時間〜24時間の範囲である。最も好ましい方法としては、下記式で示される活性芳香族ジハライドとして反応性の異なるハロゲン原子を一個ずつ有するクロロフルオロ体を用いることであり、フッ素原子が優先してフェノキシドと求核置換反応が起きるので、目的の活性化された末端クロロ体を得るのに好都合である。
Figure 2005126391
(式中、Wは一般式(A)に関して定義した通りである。)
または特開平2−159号公報に記載のように求核置換反応と親電子置換反応を組み合わせ、目的の電子吸引性基、電子供与性基からなる屈曲性化合物の合成方法がある。
具体的には電子吸引性基で活性化された芳香族ビスハライド、例えば、ビス(4−クロロフェニル)スルホンをフェノールとで求核置換反応させてビスフェノキシ置換体とする。次いで、この置換体を例えば、4−クロロ安息香酸クロリドとのフリーデルクラフト反応から目的の化合物を得る。ここで用いる電子吸引性基で活性化された芳香族ビスハライドは上記で例示した化合物が適用できる。フェノール化合物は置換されていてもよいが、耐熱性や屈曲性の観点から、無置換化合物が好ましい。なお、フェノールの置換反応にはアルカリ金属塩とするのが、好ましく、使用可能なアルカリ金属化合物は上記に例示した化合物を使用できる。使用量はフェノール1モルに対し、1.2〜2倍モルである。反応に際し、上述した極性溶媒や水との共沸溶媒を用いることができる。ビスフェノキシ化合物を塩化アルミニウム、三フッ化ホウ素、塩化亜鉛などのルイス酸のフリーデルクラフト反応の活性化剤存在下に、アシル化剤として、クロロ安息香酸クロライドを反応させる。クロロ安息香酸クロライドはビスフェノキシ化合物に対し、2〜4倍モル、好ましくは2.2〜3倍モルの使用である。フリーデルクラフト活性化剤は、アシル化剤のクロロ安息香酸などの活性ハライド化合物1モルに対し、1.1〜2倍当量使用する。反応時間は15分〜10時間の範囲で、反応温度は−20℃から80℃の範囲である。使用溶媒は、フリーデルクラフト反応に不活性な、クロロベンゼンやニトロベンゼンなどを用いることが
できる。
また、一般式(A)において、pが2以上である化合物は、例えば、一般式(A)において電子供与性基Tであるエーテル性酸素の供給源となるビスフェノールと、電子吸引性基Wである、>C=O、−SO2−および>C(CF32から選ばれる少なくとも1種の
基とを組み合わせた化合物、具体的には2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケト
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンなどのビスフェノールのアルカリ
金属塩と、過剰の4,4−ジクロロベンゾフェノン、ビス(4−クロロフェニル)スルホンなどの活性芳香族ハロゲン化合物との置換反応をN−メチル−2−ピロリドン、N,N−
ジメチルアセトアミド、スルホランなどの極性溶媒存在下で前記単量体の合成手法に順次重合して得られる。
このような化合物の例示としては、下記式で表される化合物などを挙げることができる。
Figure 2005126391
上記において、qは2以上の整数、好ましくは2〜100の整数である。
本発明に係るポリアリーレンは、芳香族化合物から導かれる繰り返し構成単位からなり、少なくとも下記一般式(1')で表される繰り返し構成単位を含んでいる。
Figure 2005126391
式(1')中、A、B、RaおよびArは、上記一般式(1)中のA、B、RaおよびA
rと同様の基であり、m、nおよびpは一般式(1)中のm、nおよびpと同様の数である。
本発明に係るポリアリーレンを構成する上記一般式(1')以外の繰り返し構成単位は
例えば下記一般式(A')で表される。
Figure 2005126391
式(A')中、R1〜R8、WおよびTは、上記一般式(A)中のR1〜R8、WおよびT
と同様の原子または基であり、pは上記一般式(A)中のpと同様の数である。
本発明に係るポリアリーレン中の上記一般式(1')で表される繰り返し構成単位の含
有割合は、特に限定されないが、好ましくは0.5〜100モル%、より好ましくは10〜99.999モル%である。また、本発明に係るポリアリーレン中の上記一般式(A'
)で表される繰り返し構成単位の含有割合は、好ましくは0〜99.5モル%、より好ましくは0.001〜90モル%である。
(ポリアリーレンの合成)
本発明に係るポリアリーレンは、芳香族スルホン酸エステル誘導体を含む芳香族化合物をカップリング重合して得られる。
具体的には、本発明に係るポリアリーレンは、上記一般式(1)で表される芳香族スルホン酸エステル誘導体から選ばれる少なくとも1種のモノマーを触媒の存在下に反応させるか、または上記一般式(1)で表される芳香族スルホン酸エステル誘導体から選ばれる少なくとも1種のモノマー0.5〜100モル%、より好ましくは10〜99.999モル%と、他の芳香族モノマー、好ましくは上記一般式(A)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種のモノマー0〜99.5モル%、好ましくは0.001〜90モル%とを触媒の存在下に反応させることによりカップリング重合して得られる。このとき使用される触媒は、遷移金属化合物を含む触媒系であり、この触媒系としては、1)遷移金属塩および配位子となる化合物(以下、「配位子成分」という。)、または配位子が配位された遷移金属錯体(銅塩を含む)、ならびに2)還元剤を必須成分とし、さらに、重合速度を上げるために、「塩」を添加してもよい。
ここで、遷移金属塩としては、塩化ニッケル、臭化ニッケル、ヨウ化ニッケル、ニッケルアセチルアセトナートなどのニッケル化合物;塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウムなどのパラジウム化合物;塩化鉄、臭化鉄、ヨウ化鉄などの鉄化合物;塩化コバルト、臭化コバルト、ヨウ化コバルトなどのコバルト化合物などが挙げられる。これらのうち特に、塩化ニッケル、臭化ニッケルなどが好ましい。
また、配位子成分としては、トリフェニルホスフィン、2,2'−ビピリジン、1,5−
シクロオクタジエン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンなどが挙げられる
。これらのうち、トリフェニルホスフィン、2,2'−ビピリジンが好ましい。上記配位子成分である化合物は、1種単独で、または2種以上を併用することができる。
さらに、配位子が配位された遷移金属錯体としては、例えば、塩化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、臭化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、ヨウ化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、硝酸ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、塩化ニッケル(2,2'−ビピリジン)、臭化ニッケル(2,2'−ビピリジン)、ヨウ化ニッケル(2,2'−ビピリジン)、硝酸ニッケル(2,2'−ビピリジン)、ビス(1,5−シク
ロオクタジエン)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスファイト)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムなどが挙げられる。これらのうち、塩化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、塩化ニッケル(2,2'−ビピリジン)が好ましい。
上記触媒系に使用することができる還元剤としては、例えば、鉄、亜鉛、マンガン、アルミニウム、マグネシウム、ナトリウム、カルシウムなどが挙げられる。これらのうち、亜鉛、マグネシウム、マンガンが好ましい。これらの還元剤は、有機酸などの酸に接触させることにより、より活性化して用いることができる。
また、上記触媒系において使用することのできる「塩」としては、フッ化ナトリウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、硫酸ナトリウムなどのナトリウム化合物、フッ化カリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、硫酸カリウムなどのカリウム化合物;フッ化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、硫酸テトラエチルアンモニウムなどのアンモニウム化合物などが挙げられる。これらのうち、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化カリウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウムが好ましい。
各成分の使用割合は、遷移金属塩または遷移金属錯体が、上記モノマーの総計1モルに対し、通常、0.0001〜10モル、好ましくは0.01〜0.5モルである。0.0001モル未満では、重合反応が十分に進行しないことがあり、一方、10モルを超えると、分子量が低下することがある。
触媒系において、遷移金属塩および配位子成分を用いる場合、この配位子成分の使用割合は、遷移金属塩1モルに対し、通常、0.1〜100モル、好ましくは1〜10モルである。0.1モル未満では、触媒活性が不十分となることがあり、一方、100モルを超えると、分子量が低下することがある。
また、還元剤の使用割合は、上記モノマーの総計1モルに対し、通常、0.1〜100モル、好ましくは1〜10モルである。0.1モル未満では、重合が十分進行しないことがあり、100モルを超えると、得られる重合体の精製が困難になることがある。
さらに、「塩」を使用する場合、その使用割合は、上記モノマーの総計1モルに対し、通常、0.001〜100モル、好ましくは0.01〜1モルである。0.001モル未満では、重合速度を上げる効果が不十分であることがあり、100モルを超えると、得られる重合体の精製が困難となることがある。
使用することのできる重合溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、スルホラン、γ−ブチロラクタム、ジメチルイミダゾリジノン、テトラメチル尿素などが挙げられる。これらのうち、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンが好ましい。これらの重合溶媒は、十分に乾燥してから用いることが好ましい。
重合溶媒中における上記モノマーの総計の濃度は、通常、1〜90重量%、好ましくは5〜40重量%である。
また、重合する際の重合温度は、通常、0〜200℃、好ましくは50〜120℃である。また、重合時間は、通常、0.5〜100時間、好ましくは1〜40時間である。
このようにして上記一般式(1)で表される芳香族スルホン酸エステル誘導体から選ばれる少なくとも1種のモノマーを(共)重合させるか、または上記一般式(1)で表される芳香族スルホン酸エステル誘導体から選ばれる少なくとも1種のモノマーと、上記一般式(A)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種のモノマーとを共重合させることにより、ポリアリーレンを含む重合溶液が得られる。
このようにして得られるポリアリーレンの分子量は、ゲルパーミエションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量で、1万〜100万、好ましくは2万〜80万である。
(スルホン酸基を有するポリアリーレン)
本発明に係るスルホン酸基を有するポリアリーレンは、上記ポリアリーレンを加水分解して、上記一般式(1')で表される繰り返し構成単位中のスルホン酸エステル基(−S
3a、−SO3b)をスルホン酸基(−SO3H)に転換することにより得ることがで
きる。
加水分解は、
(1)少量の塩酸を含む過剰量の水またはアルコールに、上記ポリアリーレンを投入し、5分間以上撹拌する方法
(2)トリフルオロ酢酸中で上記ポリアリーレンを80〜120℃程度の温度で5〜10時間程度反応させる方法
(3)ポリアリーレン中のスルホン酸エステル基(−SO3a、−SO3b)1モルに対して1〜3倍モルのリチウムブロマイドを含む溶液、例えばN−メチルピロリドンなどの溶液中で上記ポリアリーレンを80〜150℃程度の温度で3〜10時間程度反応させた後、塩酸を添加する方法
などを挙げることができる。
このようにして得られる、スルホン酸基を有するポリアリーレン中の、スルホン酸基量は、0.5〜3meq/g、好ましくは0.8〜2.8meq/gである。0.5meq/g未満では、プロトン伝導性が上がらず、一方3meq/gを超えると、親水性が向上し、水溶性ポリマー、もしくは、水溶性でなくとも熱水に可溶となってしまうか、また水溶性に至らずとも耐久性が低下する。
上記のスルホン酸基量は、芳香族スルホン酸エステル誘導体と化合物(A)の使用割合、さらにモノマーの種類、組合せを変えることにより、容易に調整することができる。
また、スルホン酸基を有するポリアリーレンの構造は、例えば、赤外線吸収スペクトルによって、1,230〜1,250cm-1のC−O−C吸収、1,640〜1,660cm-1のC=O吸収などにより確認でき、また、核磁気共鳴スペクトル(1H-NMR)により、6.8〜8.0ppmの芳香族プロトンのピークから、その構造を確認することができる。
本発明においては、ポリアリーレン中のスルホン酸エステル基(−SO3a、−SO3
b)の90%以上が、スルホン酸基(−SO3H)に転換していることが好ましい。
(高分子固体電解質)
本発明に係る高分子固体電解質は、上述したようなスルホン酸基を有するポリアリーレンからなる。
本発明の高分子固体電解質は、例えば一次電池用電解質、二次電池用電解質、燃料電池用プロトン伝導膜、表示素子、各種センサー、信号伝達媒体、固体コンデンサー、イオン交換膜などに利用可能である。
(プロトン伝導膜)
本発明のプロトン伝導膜は、上記スルホン酸基を有するポリアリーレンからなり、スルホン酸基を有するポリアリーレンからプロトン伝導膜を調製する際には、上記スルホン酸基を有するポリアリーレン以外に、硫酸、リン酸などの無機酸、カルボン酸を含む有機酸、適量の水などを併用してもよい。
本発明では、スルホン酸基を有するポリアリーレンを、溶剤に溶解して溶液とした後、キャスティングにより、基体上に流延し、フィルム状に成形するキャスティング法などにより、フィルム状に成形することによりプロトン伝導膜を製造することができる。ここで、上記基体としては、通常の溶液キャスティング法に用いられる基体であれば特に限定されず、例えばプラスチック製、金属製などの基体が用いられ、好ましくは、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどの熱可塑性樹脂からなる基体が用いられる。
スルホン酸基を有するポリアリーレンを溶解する溶媒としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチル尿素、ジメチルイミダゾリジノンなどの非プロトン系極性溶剤が挙げられ、特に溶解性、溶液粘度の面から、N−メチル−2−ピロリドン(以下「NMP」ともいう。)が好ましい。非プロトン系極性溶剤は、1種単独であるいは2種以上を併用することができる。
またスルホン酸基を有するポリアリーレンを溶解させる溶媒として上記非プロトン系極性溶剤とアルコールとの混合物も用いることができる。アルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコールなどが挙げられ、特にメタノールが幅広い組成範囲で溶液粘度を下げる効果があり好ましい。アルコールは、1種単独であるいは2種以上を併用することができる。
なお、溶液粘度は、スルホン酸基を有するポリアリーレンの分子量や、ポリマー濃度にもよるが、通常、2,000〜100,000mPa・s、好ましくは3,000〜50,000mPa・sである。2,000mPa・s未満では、成膜中の溶液の滞留性が悪く、
基体から流れてしまうことがある。一方、100,000mPa・sを超えると、粘度が
高過ぎて、ダイからの押し出しができず、流延法によるフィルム化が困難となることがある。
キャスティング溶剤として高沸点溶剤を使用した場合、上記のさまにして製膜したフィルム中には、溶剤が大量に残留する場合があるが、得られた未乾燥フィルムを水に浸漬することにより、未乾燥フィルム中の溶剤を水と置換することができ、得られるフィルム中の残留溶剤量を低減させることができる。
未乾燥フィルムを水に浸漬する際は、枚葉を水に浸漬するバッチ方式であっても良いし、通常得られる基板フィルム(例えば、PET)上に成膜された状態の積層フィルムのまま、または基板から分離した膜を水に浸漬させて、巻き取っていく連続方法でも適用できる。
バッチ方式の場合は、処理フィルムを枠にはめるなどの方式が処理されたフィルムの表面の皺形成が抑制されるので好都合である。
未乾燥フィルムを水に浸漬する際には、未乾燥フィルム1重量部に対し、水が10重量部以上、好ましくは30重量部以上の接触比となるようにすることがよい。得られるプロトン伝導膜の残存溶媒量をできるだけ少なくするためには、できるだけ大きな接触比を維持するのがよい。また、浸漬に使用する水を交換したり、オーバーフローさせたりして、常に水中の有機溶媒濃度を一定濃度以下に維持しておくことも、得られるプロトン伝導膜の残存溶媒量の低減に有効である。プロトン伝導膜中に残存する有機溶媒量の面内分布を小さく抑えるためには、水中の有機溶媒濃度を撹拌等によって均質化させることは効果がある。
このような方法により得られるプロトン伝導膜は、その乾燥膜厚が、通常10〜100μm、好ましくは20〜80μmである。
また、本発明においては、上記ポリアリーレンを加水分解することなく、上述したような方法でフィルム状に成形した後、上記と同様の方法で加水分解することによりスルホン酸基を有するポリアリーレンからなるプロトン伝導膜を製造することもできる。
本発明に係る芳香族スルホン酸エステル誘導体およびポリアリーレンは、上記のようなスルホン酸基を有するポリアリーレンおよびその製造方法に用いられる。
[実施例]
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例において、スルホン酸基量(イオン交換容量)、プロトン伝導度、熱分解開始温度の測定、および引張強度特性、熱水耐性、フェントン試薬耐性の評価は、以下のようにして行った。
〈スルホン酸基量の測定〉
得られたスルホン酸基を有するポリアリーレンの水洗水が中性になるまで洗浄し、フリーの残存している酸を除いて充分に水洗し、乾燥後、所定量を秤量し、THF/水の混合溶剤に溶解し、フェノールフタレインを指示薬とし、NaOHの標準液を用いて滴定を行い、中和点から、スルホン酸基量を求めた。
〈プロトン伝導度の測定〉
交流抵抗は、5mm幅の短冊状にカットしたフィルムの表面に、白金線(φ=0.5mm)を押し当て、恒温恒湿装置中に試料を保持し、白金線間の交流インピーダンス測定から求めた。すなわち、後記の環境下で交流10kHzにおけるインピーダンスを測定した。抵抗測定装置として、(株)NF回路設計ブロック製のケミカルインピーダンス測定システムを用い、恒温恒湿装置には、(株)ヤマト科学製のJW241を使用した。白金線は、5mm間隔に5本押し当てて、線間距離を5〜20mmに変化させ、交流抵抗を測定した。線間距離と抵抗の勾配から、膜の比抵抗を算出し、比抵抗の逆数から交流インピーダンスを算出し、このインピーダンスから、プロトン伝導率を算出した。
比抵抗R(Ω・cm)=0.5(cm)×膜厚(cm)×抵抗線間勾配(Ω/cm)
〈引張強度特性〉
3mm×65mmの短冊形にカットしたフィルム試験片を作製し、引張試験機を用いて、弾性率、破断強度、伸びを測定した。
〈熱水耐性試験〉
フィルムを2.0cm×3.0cmにカットし秤量して、試験用のテストピースとする。このフィルムを、ポリカーボネート製の250ml瓶に入れ、そこに約100mlの蒸留水を加え、プレッシャークッカー試験機(HIRAYAMA MFS CORP製 PC-242HS)を用いて
、120℃で24時間加温する。試験終了後、各フィルムを熱水中から取り出し、軽く表面の水をキムワイプで拭き取り、含水時の重量を秤量し、含水率を求める。また、そのフィルムの寸法を測定し、膨潤率を求める。さらに、この膜を真空乾燥機で5時間乾燥し、水を留去して、熱水試験後の重量を秤量し、重量残存率を求める。
〈フェントン試薬耐性試験〉
フィルムを、3.0cm×4.0cmにカットし秤量して、試験用のテストピースとし、テストピース1枚あたり200mlの蒸留水に48時間浸漬し、膜中の残留溶媒を溶出させる。その際、蒸留水を2回交換する。水浸漬後、濾紙でフィルムを挟んで表面の水を吸い取り、一晩風乾し秤量する。
市販の30%過酸化水素水を3%になるよう蒸留水で希釈し、これに溶液中Fe(II)イオンが20ppmとなるよう第一硫酸鉄・七水和物を添加し、溶解させ、フェントン試薬を調整する。この溶液を、250mlポリ瓶に200ml注ぎ、45℃で一定となるようウオーターバスを用いて加温する。溶液が45℃になったのを確認した後、各フィルムを入れて26時間加温する。26時間後、溶液中から固形物を取り出し、一晩風乾して秤量し、重量残存率を求める。
〈熱分解温度〉
TGA(窒素下、20℃/分の昇温速度)により測定されたスルホン酸基を有するポリアリーレンの分解温度を熱分解温度とした。
実施例1
(1)5−(2,5−ジクロロベンゾイル)−2−フルオロベンゼンスルホニルクロリドの合成
Figure 2005126391
2,5−ジクロロ−4’−フルオロベンゾフェノン183g(680mmol)を、冷却管、三方コック、温度計をつけた3L三口フラスコにとり、乾燥窒素置換した。ここにクロロスルホン酸500gを加えて撹拌し溶解した。オイルバスで反応液を105℃まで加熱し、30時間撹拌した。反応終了後、室温まで放冷し、反応液を氷水に注ぎ、酢酸エチルにより抽出した。有機層を食塩水で洗浄液が中性になるまで洗浄し、次に硫酸マグネ
シウムで乾燥した。溶媒を留去し、酢酸エチル/ヘキサンから再結晶を行い、目的の化合物を29g得た。NMRスペクトルを図1に示す。
(2)5−(2,5−ジクロロベンゾイル)−2−フルオロベンゼンスルホン酸ネオペンチルの合成
Figure 2005126391
5−(2,5−ジクロロベンゾイル)−2−フルオロベンゼンスルホニルクロリド28.8g(78.3mmol)を、冷却管、三方コック、温度計をつけた1L三口フラスコにとり、ピリジン 100mLを加え、5℃以下に冷却した。ここに2,2−-ジメチル−1−プロパノール13.8g(156.7mol)を約30分かけて徐々に加えた後、4時間氷冷下で撹拌した。反応終了後、トルエンで希釈し、塩酸水溶液で2回洗浄した。有機層を5%炭酸水素ナトリウム水溶液洗浄で中性にし、飽和食塩水で処理した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。メタノール/ヘキサンから再結晶を行い、目的の化合物を26g得た。NMRスペクトルを図2に示す。
(3)ポリマーの合成
Figure 2005126391
撹拌羽根、温度計、窒素導入管を取り付けた500mL三口フラスコに、5−(2,5−ジクロロベンゾイル)−2−フルオロベンゼンスルホン酸ネオペンチル20.6g(49mmoL)、4,4’−ジクロロベンゾフェノン・2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)―1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン重縮合物(数平均分子量11,200)8.57g(0.7mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド0.98g(1.5mmol)、よう化ナトリウム0.23g(1.5mmol)、トリフェニルホスフィン5.25g(20mmol)、亜鉛7.84g(120mmol)をはかりとった。40℃に加熱したオイルバスにフラスコをつけ、2時間真空乾燥した。内部を数回乾燥窒素置換したあと、脱水したジメチルアセトアミド(DMAc)68mLを加え、重合を開始した。
反応温度が90℃を超えないように制御しながら、3時間重合を続けた。次にDMAc
250mLを加えて重合溶液を希釈し、ろ過により不溶分を取り除いた。固形分含量が12%になるようにエバポレーターにより濃縮した。濃縮した溶液を撹拌羽根、温度計、窒素導入管を取り付けた1L三口フラスコに移し、臭化リチウム6.4g(74mmol)を加えて、120℃で7時間加熱撹拌した。反応溶液をアセトンに注ぎ凝固させた。吸引濾過により固体を濾過し、得られた固体を蒸留水/濃塩酸溶液(3.0L/0.37L)で2度処理した後、蒸留水でpHが中性になるまで洗浄を行った。70℃で12時間乾燥し、目的のポリマーを18.8g得た。GPC(ポリスチレン換算)で求めた生成物の数平均分子量は100000、重量平均分子量は350000であった。このポリマーのイオン交換容量は2.16meq/gであった。N−メチルピロリドン溶液からキャスト法により膜厚40μmのフィルムを作製した。
(4)特性評価
得られたフィルムについて特性評価を行った。結果を表1にまとめた。
Figure 2005126391
比較例1
下記式で表されるスルホン酸基を有するポリアリーレン(GPC(THF溶媒)で求めたポリスチレン換算数平均分子量は78,000、同じく重量平均分子量は230,000。このスルホン酸基を有するポリアリーレンのイオン交換容量は2.19meq/g)をN−メチルピロリドン溶液からキャスト法により膜厚40μmのフィルムを作製した。
Figure 2005126391
得られたフィルムについて特性評価を行った。結果を表2にまとめた。
Figure 2005126391
実施例1(1)で得られた白色粉末のNMRスペクトルである。 実施例1(2)で得られた白色結晶のNMRスペクトルである。

Claims (15)

  1. 下記一般式(1)で表されることを特徴とする芳香族スルホン酸エステル誘導体;
    Figure 2005126391
    (式中、Xはフッ素を除くハロゲン原子、−OSO2CH3および−OSO2CF3(以降の箇所も同様)から選ばれる原子または基を示し、Aは2価の電子吸引性基を示し、Bは2価の電子供与基または直接結合を示し、Raは炭素原子数1〜20の炭化水素基を示す。
    )で表される置換基を有する芳香族基を示す。Arは−SO3b(但し、Rbは炭素原子
    数1〜20の炭化水素基を示す。)で表される置換基を有し、かつ水素原子の一部がフッ素原子で置換された芳香族基を示す。mは0〜10の整数を示し、nは0〜10の整数を示し、pは1〜4の整数を示す。)。
  2. 下記一般式(2)で表されることを特徴とする芳香族スルホン酸エステル誘導体;
    Figure 2005126391
    (式中、Xはフッ素を除くハロゲン原子、−OSO2CH3、−OSO2CF3から選ばれる原子または基を示し、Aは2価の電子吸引性基を示し、Arは−SO3b(但し、Rb
    炭素原子数1〜20の炭化水素基を示す。)で表される置換基を有し、かつ水素原子の一部がフッ素原子で置換された芳香族基を示す。)。
  3. −SO3bで表される置換基を有する芳香族基が、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基およびフェナンチル基から選ばれる基であることを特徴とする請求項1または2に記載の芳香族スルホン酸エステル誘導体。
  4. aおよびRbが直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基、脂環式炭化水素基および5員の複素環を有する炭化水素基から選ばれる炭素原子数4〜20の基であることを特徴とする請求項1または2に記載の芳香族スルホン酸エステル誘導体。
  5. 2価の電子吸引性基が、−CO−、−CONH−、−(CF2p−(ここで、pは1〜10の整数である)、−C(CF32−、−COO−、−SO−および−SO2−から選
    ばれ、かつ2価の電子供与性基が−O−、−S−、−CH=CH−、−C≡C−および下記式
    Figure 2005126391
    で表される基から選ばれることを特徴とする請求項1または2に記載の芳香族スルホン酸エステル誘導体。
  6. 芳香族化合物から導かれる繰り返し構成単位からなり、少なくとも下記一般式(1')で表される繰り返し構成単位を含むことを特徴とするポリアリーレン;
    Figure 2005126391
    (式中、Aは2価の電子吸引性基を示し、Bは2価の電子供与基または直接結合を示し、Raは炭素原子数1〜20の炭化水素基を示す。)で表される置換基を有する芳香族基を
    示す。Arは−SO3b(但し、Rbは炭素原子数1〜20の炭化水素基を示す。)で表
    される置換基を有し、かつ水素原子の一部がフッ素原子で置換された芳香族基を示す。mは0〜10の整数を示し、nは0〜10の整数を示し、pは1〜4の整数を示す。)。
  7. 芳香族化合物から導かれる繰り返し構成単位からなり、少なくとも下記一般式(2')
    で表される繰り返し構成単位を含むことを特徴とするポリアリーレン;
    Figure 2005126391
    (式中、Aは2価の電子吸引性基を示し、Arは−SO3b(但し、Rbは炭素原子数1
    〜20の炭化水素基を示す。)で表される置換基を有し、かつ水素原子の一部がフッ素原子で置換された芳香族基を示す。)
  8. 上記一般式(1')または(2')で表される繰り返し構成単位(両方含む場合は合計量
    )0.5〜100モル%と、下記一般式(A')で表される繰り返し構成単位0〜99.
    5モル%とからなることを特徴とする請求項6または7に記載のポリアリーレン;
    Figure 2005126391
    (式中、R1〜R8は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基、フッ素置換アルキル基、アリル基およびアリール基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子または基を示し、Wは2価の電子吸引性基を示し、Tは2価の有機基を示し、pは0または正の整数を示す。)。
  9. −SO3bで表される置換基を有する芳香族基が、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基およびフェナンチル基から選ばれる基であることを特徴とする請求項6または7に記載のポリアリーレン。
  10. aおよびRbが直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基、脂環式炭化水素基および5員の
    複素環を有する炭化水素基から選ばれる炭素原子数4〜20の基であることを特徴とする請求項6または7に記載のポリアリーレン。
  11. 2価の電子吸引性基が、−CO−、−CONH−、−(CF2p−(ここで、pは1〜10の整数である)、−C(CF32−、−COO−、−SO−および−SO2−から選
    ばれ、かつ2価の電子供与性基が−O−、−S−、−CH=CH−、−C≡C−および下記式
    Figure 2005126391
    で表される基から選ばれることを特徴とする請求項5に記載のポリアリーレン。
  12. 請求項6〜11のいずれかに記載のポリアリーレンを加水分解することを特徴とするスルホン酸基を有するポリアリーレンの製造方法。
  13. 請求項1〜5のいずれかに記載の芳香族スルホン酸エステル誘導体を含む芳香族化合物をカップリング重合し、得られたポリアリーレンを加水分解して、スルホン酸エステル基をスルホン酸基に転換することを特徴とするスルホン酸基を有するポリアリーレンの製造方法。
  14. 請求項12または13の方法で得られたスルホン酸基を有するポリアリーレンからなることを特徴とする高分子固体電解質。
  15. 請求項14に記載の高分子固体電解質を含んでなることを特徴とする燃料電池用プロトン伝導膜。
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