JP2005123329A - 板状物の分割方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 板板状物の内部に集光点を合わせて板状物に対して透過性を有するレーザー光線を照射することにより板状物の内部に変質層を形成し、この変質層に沿って表面から裏面に垂直に割断面を形成することができる板状物の分割方法を提供する。
【解決手段】 板状物を所定の分割予定ラインに沿って分割する板状物の分割方法であって、板状物に対して透過性を有するレーザー光線を分割予定ラインに沿って照射し板状物におけるレーザー光線が照射される面と反対側の面に露出し内部に向けて分割予定ラインに沿って変質層を形成する変質層形成行程と、変質層が形成された分割予定ラインに沿ってレーザー光線を照射し、分割予定ラインに沿って熱応力を発生せしめることにより板状物を分割予定ラインに沿って分割する分割行程とを含む。
【選択図】 図10
【解決手段】 板状物を所定の分割予定ラインに沿って分割する板状物の分割方法であって、板状物に対して透過性を有するレーザー光線を分割予定ラインに沿って照射し板状物におけるレーザー光線が照射される面と反対側の面に露出し内部に向けて分割予定ラインに沿って変質層を形成する変質層形成行程と、変質層が形成された分割予定ラインに沿ってレーザー光線を照射し、分割予定ラインに沿って熱応力を発生せしめることにより板状物を分割予定ラインに沿って分割する分割行程とを含む。
【選択図】 図10
Description
本発明は、板状の被加工物、特にサファイヤ基板の表面に窒化ガリウム系化合物半導体が積層された板状の被加工物を所定の分割予定ラインに沿って個々のチップに分割する板状物の分割方法に関する。
サファイヤ基板等の表面に格子状に形成された分割予定ライン(ストリート)によって複数の領域が区画され、この区画された領域に窒化ガリウム系化合物半導体等が積層された光デバイスが形成されたウエーハは、分割予定ラインに沿って個々の発光ダイオード、レーザーダイオード等の光デバイスに分割され、電気機器に広く利用されている。このウエーハの分割は通常、ダイサーと称されている切削装置によって行われている。この切削装置は、ウエーハやウエーハ等の被加工物を保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物を切削するための切削手段と、チャックテーブルと切削手段とを相対的に移動せしめる移動手段とを具備している。切削手段は、高速回転せしめられる回転スピンドルと該スピンドルに装着された切削ブレードを含んでいる。切削ブレードは円盤状の基台と該基台の側面外周部に装着された環状の切れ刃からなっており、切れ刃は例えば粒径3μm程度のダイヤモンド砥粒を電鋳によって基台に固定し厚さ20μm程度に形成されている。
しかるに、サファイヤ基板、炭化珪素基板等はモース硬度が高いため、上記切削ブレードによる切断は必ずしも容易ではない。また、切削ブレードは20μm程度の厚さを有するため、光デバイスを区画する分割予定ラインとしては幅が50μm程度必要となる。このため、例えば大きさが300μm×300μm程度の光デバイスの場合には、分割予定ラインが占める面積比率が大きく、生産性が悪いという問題がある。
一方、近年ウエーハ等の板状物の分割予定ラインに沿ってレーザー光線を照射して分割する加工方法も試みられている。(例えば、特許文献1参照。)
特開平6−120334号公報
しかしながら、ウエーハ等の板状物の表面にレーザー光線を照射して加工を行うと、レーザー光線が照射された領域に熱エネルギーが集中してデブリが発生し、このデブリがウエーハ等の板状物の表面に固着して分割されたチップの品質を著しく低下させるという問題がある。
また、ウエーハ等の板状物を分割予定ラインに沿ってレーザー光線を照射して分割する加工方法として、板状物に対して透過性を有するレーザー光線を用い、分割すべき領域の内部に集光点を合わせてレーザー光線を照射するレーザー加工方法も試みられている。このレーザー加工方法を用いた分割方法は、板状物の一方の面側から内部に集光点を合わせて板状物に対して透過性を有する例えば赤外光領域のレーザー光線を照射し、板状物の内部に分割予定ラインに沿って変質層を連続的に形成し、この変質層が形成されることによって強度が低下した分割予定ラインに沿って外力を加えることにより、板状物を分割するものである。(例えば、特許文献2参照。)
特開平2002−192367号公報
而して、上述した分割方法によると、板状物の内部に分割予定ラインに沿って変質層を形成することにより強度が低下せしめられた状態になっていても、分割予定ラインに沿って分割する際に機械的な外力が加えられるため、チップが破損したり、板状物の表面から裏面に割断面が垂直にならずチップに損傷を与えるという問題がある。
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、板状物に対して透過性を有するレーザー光線を照射することにより板状物の内部に変質層を形成し、この変質層に沿って表面から裏面に垂直に割断面を形成することができる板状物の分割方法を提供することである。
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、板状物を所定の分割予定ラインに沿って分割する板状物の分割方法であって、
該板状物に対して透過性を有するレーザー光線を該分割予定ラインに沿って照射し、
該板状物におけるレーザー光線が照射される面と反対側の面に露出し内部に向けて該分割予定ラインに沿って変質層を形成する変質層形成行程と、
該変質層が形成された該分割予定ラインに沿ってレーザー光線を照射し、該分割予定ラインに沿って熱応力を発生せしめることにより該板状物を該分割予定ラインに沿って分割する分割行程と、を含む、
ことを特徴とする板状物の分割方法が提供される。
該板状物に対して透過性を有するレーザー光線を該分割予定ラインに沿って照射し、
該板状物におけるレーザー光線が照射される面と反対側の面に露出し内部に向けて該分割予定ラインに沿って変質層を形成する変質層形成行程と、
該変質層が形成された該分割予定ラインに沿ってレーザー光線を照射し、該分割予定ラインに沿って熱応力を発生せしめることにより該板状物を該分割予定ラインに沿って分割する分割行程と、を含む、
ことを特徴とする板状物の分割方法が提供される。
上記変質層形成行程において板状物の内部に形成される変質層は、板状物の厚さの10〜70%に形成されている。上記分割行程は変質層が露出された面側から分割予定ラインに沿って連続波レーザー光線を照射する。また、上記分割行程を実施する前に、板状物をダイシングテープに貼着するダイシングテープ装着工程を実施することが望ましい。
本発明においては、変質層形成行程において板状物の内部に変質層が形成された分割予定ラインに、分割行程においてレーザー光線を照射して熱応力を発生せしめることにより分割予定ラインに沿って割断部を形成して分割する。この割断部の割断面は板状物の表面から裏面に垂直に形成されるので、割断面が板状物の表面から裏面に垂直に形成されないことにより分割されたチップに損傷を与えることを防止することができる。
以下、本発明による板状物の分割方法の好適な実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1には、本発明による板状物の分割方法を実施するためのレーザー加工装置の斜視図が示されている。図1に示されたレーザー加工装置は、静止基台2と、該静止基台2に矢印Xで示す加工送り方向に移動可能に配設され被加工物を保持するチャックテーブル機構3と、静止基台2に上記矢印Xで示す方向と直角な矢印Yで示す割り出し送り方向に移動可能に配設されたレーザー光線照射ユニット支持機構4と、該レーザー光線ユニット支持機構4に矢印Zで示す方向に移動可能に配設されたレーザー光線照射ユニット5とを具備している。
上記チャックテーブル機構3は、静止基台2上に矢印Xで示す方向に沿って平行に配設された一対の案内レール31、31と、該案内レール31、31上に矢印Xで示す方向に移動可能に配設された第一の滑動ブロック32と、該第1の滑動ブロック32上に矢印Yで示す方向に移動可能に配設された第2の滑動ブロック33と、該第2の滑動ブロック33上に円筒部材34によって支持された支持テーブル35と、被加工物保持手段としてのチャックテーブル36を具備している。このチャックテーブル36は多孔性材料から形成された吸着チャック361を具備しており、吸着チャック361上に被加工物である例えば円盤状のウエーハを図示しない吸引手段によって保持するようになっている。また、チャックテーブル36は、円筒部材34内に配設された図示しないパルスモータによって回転せしめられる。
上記第1の滑動ブロック32は、その下面に上記一対の案内レール31、31と嵌合する一対の被案内溝321、321が設けられているとともに、その上面に矢印Yで示す方向に沿って平行に形成された一対の案内レール322、322が設けられている。このように構成された第1の滑動ブロック32は、被案内溝321、321が一対の案内レール31、31に嵌合することにより、一対の案内レール31、31に沿って矢印Xで示す方向に移動可能に構成される。図示の実施形態におけるチャックテーブル機構3は、第1の滑動ブロック32を一対の案内レール31、31に沿って矢印Xで示す加工送り方向に移動させるための加工送り手段37を具備している。加工送り手段37は、上記一対の案内レール31と31の間に平行に配設された雄ネジロッド371と、該雄ネジロッド371を回転駆動するためのパルスモータ372等の駆動源を含んでいる。雄ネジロッド371は、その一端が上記静止基台2に固定された軸受ブロック373に回転自在に支持されており、その他端が上記パルスモータ372の出力軸に図示しない減速装置を介して伝動連結されている。なお、雄ネジロッド371は、第1の滑動ブロック32の中央部下面に突出して設けられた図示しない雌ネジブロックに形成された貫通雌ネジ穴に螺合されている。従って、パルスモータ372によって雄ネジロッド371を正転および逆転駆動することにより、第一の滑動ブロック32は案内レール31、31に沿って矢印Xで示す加工送り方向に移動せしめられる。
上記第2の滑動ブロック33は、その下面に上記第1の滑動ブロック32の上面に設けられた一対の案内レール322、322と嵌合する一対の被案内溝331、331が設けられており、この被案内溝331、331を一対の案内レール322、322に嵌合することにより、矢印Yで示す割り出し送り方向に移動可能に構成される。図示の実施形態におけるチャックテーブル機構3は、第2の滑動ブロック33を第1の滑動ブロック32に設けられた一対の案内レール322、322に沿って矢印Yで示す割り出し送り方向に移動させるための第1の割り出し送り手段38を具備している。第1の割り出し送り手段38は、上記一対の案内レール322と322の間に平行に配設された雄ネジロッド381と、該雄ネジロッド381を回転駆動するためのパルスモータ382等の駆動源を含んでいる。雄ネジロッド381は、その一端が上記第1の滑動ブロック32の上面に固定された軸受ブロック383に回転自在に支持されており、その他端が上記パルスモータ382の出力軸に図示しない減速装置を介して伝動連結されている。なお、雄ネジロッド381は、第2の滑動ブロック33の中央部下面に突出して設けられた図示しない雌ネジブロックに形成された貫通雌ネジ穴に螺合されている。従って、パルスモータ382によって雄ネジロッド381を正転および逆転駆動することにより、第2の滑動ブロック33は案内レール322、322に沿って矢印Yで示す割り出し送り方向に移動せしめられる。
上記レーザー光線照射ユニット支持機構4は、静止基台2上に矢印Yで示す割り出し送り方向に沿って平行に配設された一対の案内レール41、41と、該案内レール41、41上に矢印Yで示す割り出し送り方向に移動可能に配設された可動支持基台42を具備している。この可動支持基台42は、案内レール41、41上に移動可能に配設された移動支持部421と、該移動支持部421に取り付けられた装着部422とからなっている。装着部422は、一側面に矢印Zで示す方向に延びる一対の案内レール423、423が平行に設けられている。図示の実施形態におけるレーザー光線照射ユニット支持機構4は、可動支持基台42を一対の案内レール41、41に沿って割り出し送り方向である矢印Yで示す方向に移動させるための第2の割り出し送り手段43を具備している。第2の割り出し送り手段43は、上記一対の案内レール41、41の間に平行に配設された雄ネジロッド431と、該雄ねじロッド431を回転駆動するためのパルスモータ432等の駆動源を含んでいる。雄ネジロッド431は、その一端が上記静止基台2に固定された図示しない軸受ブロックに回転自在に支持されており、その他端が上記パルスモータ432の出力軸に図示しない減速装置を介して伝動連結されている。なお、雄ネジロッド431は、可動支持基台42を構成する移動支持部421の中央部下面に突出して設けられた図示しない雌ネジブロックに形成された雌ネジ穴に螺合されている。このため、パルスモータ432によって雄ネジロッド431を正転および逆転駆動することにより、可動支持基台42は案内レール41、41に沿って矢印Yで示す割り出し送り方向に移動せしめられる。
図示の実施形態のおけるレーザー光線照射ユニット5は、ユニットホルダ51と、該ユニットホルダ51に取り付けられたレーザー光線照射手段52を具備している。ユニットホルダ51は、上記装着部422に設けられた一対の案内レール423、423に摺動可能に嵌合する一対の被案内溝511、511が設けられており、この被案内溝511、511を上記案内レール423、423に嵌合することにより、矢印Zで示す方向に移動可能に支持される。
図示のレーザー光線照射手段52は、上記ユニットホルダ51に固定され実質上水平に延出する円筒形状のケーシング521を含んでいる。ケーシング521内には図2に示すようにパルスレーザー光線発振手段522と伝送光学系523とが配設されている。パルスレーザー光線発振手段522は、YAGレーザー発振器或いはYVO4レーザー発振器からなるパルスレーザー光線発振器522aと、これに付設された繰り返し周波数設定手段522bとから構成されている。このパルスレーザー光線発振手段522は、本発明における変質層形成行程を実施する際に用いられる。伝送光学系523は、ビームスプリッタの如き適宜の光学要素を含んでいる。上記ケーシング521の先端部には、それ自体は周知の形態でよい組レンズから構成される集光レンズ(図示せず)を収容した集光器524が装着されている。上記パルスレーザー光線発振手段522から発振されたレーザー光線は、伝送光学系523を介して集光器524に至り、集光器524から上記チャックテーブル36に保持される被加工物に所定の集光スポット径で照射される。
次に、本発明における分割行程を実施するレーザー光線照射手段について、図3を参照して説明する。なお、図3に示すレーザー光線照射手段520においては、上記図2のレーザー光線照射手段52と同一部材には同一符号を付して、その説明は省略する。図3に示すレーザー光線照射手段520は、CO2 レーザー光線発振器等からなる連続波レーザー光線発振手段525を備えている。この連続波レーザー光線発振手段525から発振されたレーザー光線は、伝送光学系523を介して集光器524に至り、集光器524から上記チャックテーブル36に保持される被加工物に所定の集光スポット径で照射される。
ここで、上述したレーザー光線照射手段52および520によって照射されるレーザー光線の集光スポット径Dについて、図4を参照して説明する。即ち、集光スポット径Dは、図4に示すようにガウス分布を示すレーザー光線が集光器524の対物レンズ524aを通して照射される場合、D(μm)=4×λ×f/(π×W)、ここでλはレーザー光線の波長(μm)、Wは対物レンズ524aに入射されるレーザー光線の直径(mm)、fは対物レンズ524aの焦点距離(mm)、で規定される。
図1に戻って説明を続けると、上記レーザー光線照射手段52を構成するケーシング521の前端部には、撮像手段6が配設されている。この撮像手段6は、図示の実施形態においては可視光線によって撮像する通常の撮像素子(CCD)の外に、被加工物に赤外線を照射する赤外線照明手段と、該赤外線照明手段によって照射された赤外線を捕らえる光学系と、該光学系によって捕らえられた赤外線に対応した電気信号を出力する撮像素子(赤外線CCD)等で構成されており、撮像した画像信号を図示しない制御手段に送る。
図示の実施形態におけるレーザー光線照射ユニット5は、ユニットホルダ51を一対の案内レール423、423に沿って矢印Zで示す方向に移動させるための集光点位置調整手段53を具備している。集光点位置調整手段53は、一対の案内レール423、423の間に配設された雄ネジロッド(図示せず)と、該雄ネジロッドを回転駆動するためのパルスモータ532等の駆動源を含んでおり、パルスモータ532によって図示しない雄ネジロッドを正転および逆転駆動することにより、ユニットホルダ51およびレーザビーム照射手段52を案内レール423、423に沿って矢印Zで示す方向に移動せしめる。なお、図示の実施形態においてはパルスモータ532を正転駆動することによりレーザビーム照射手段52を上方に移動し、パルスモータ532を逆転駆動することによりレーザビーム照射手段52を下方に移動するようになっている。従って、集光点位置調整手段53は、ケーシング521の先端に取り付けられた集光器524によって照射されるレーザー光線の集光点位置を調整することができる。
次に、上述したレーザー加工装置を用いて板状物を所定の分割予定ラインに沿って分割する方法について説明する。
図5には、本発明に従って分割される板状物としてのウエーハ10の斜視図が示されている。図5に示すウエーハ10は、表面2aに複数の分割予定ライン11が格子状に形成されているとともに該複数の分割予定ライン11によって区画された複数の領域に窒化ガリウム系化合物半導体等が積層された光デバイス半導体チップ12が形成されている。このウエーハ10を個々の半導体チップに分割する分割方法の第1の実施形態について、図6乃至図10を参照して説明する。
図5には、本発明に従って分割される板状物としてのウエーハ10の斜視図が示されている。図5に示すウエーハ10は、表面2aに複数の分割予定ライン11が格子状に形成されているとともに該複数の分割予定ライン11によって区画された複数の領域に窒化ガリウム系化合物半導体等が積層された光デバイス半導体チップ12が形成されている。このウエーハ10を個々の半導体チップに分割する分割方法の第1の実施形態について、図6乃至図10を参照して説明する。
第1の実施形態においては、先ず、上記ウエーハ10に対して透過性を有するレーザー光線を分割予定ライン11に沿って照射し、ウエーハ10のレーザー光線が照射される側の面と反対側の面に露出するように内部に分割予定ライン11に沿って溶融し再固化した変質層を形成する変質層形成行程を実施する。なお、サファイヤウエーハ、リチウムタンタレートウエーハ、石英ウエーハの内部に溶融再固化した変質層を形成するためには、レーザー光線を照射する側の面と反対側の面に最初に露出した変質層を形成する必要がある。即ち、原子の移動が規制された上述したウエーハにおいては、レーザー光線が照射される側の面と反対側の面に変質層を露出させないと内部にクラックが発生し、溶融再固化層を形成することができない。また、変質層形成行程は、レーザー光線照射手段として図2に示すパルスレーザー光線射手段52を装備したレーザー加工装置によって実施される。この変質層形成行程は、先ず上述した図1に示すレーザー加工装置のチャックテーブル36上にウエーハ10を裏面10bを上にして載置し、該チャックテーブル36上にウエーハ10を吸着保持する。ウエーハ10を吸引保持したチャックテーブル36は、加工送り手段37の作動により案内レール31、31に沿って移動せしめられレーザー光線照射ユニット5に配設された撮像手段6の直下に位置付けられる。
チャックテーブル36が撮像手段6の直下に位置付けられると、撮像手段6および図示しない制御手段によってウエーハ10のレーザー加工すべき加工領域を検出するアライメント作業を実行する。即ち、撮像手段6および図示しない制御手段は、ウエーハ10の所定方向に形成されている分割予定ライン11と、分割予定ライン11に沿ってレーザー光線を照射するレーザー光線照射ユニット5の集光器524との位置合わせを行うためのパターンマッチング等の画像処理を実行し、レーザー光線照射位置のアライメントを遂行する。また、ウエーハ10に形成されている上記所定方向に対して直角に延びる分割予定ライン11に対しても、同様にレーザー光線照射位置のアライメントが遂行される。このとき、ウエーハ10の分割予定ライン11が形成されている表面10aは下側に位置しているが、撮像手段6が上述したように赤外線照明手段と赤外線を捕らえる光学系および赤外線に対応した電気信号を出力する撮像素子(赤外線CCD)等で構成された撮像手段を備えているので、裏面10bから透かして分割予定ライン11を撮像することができる。
以上のようにしてチャックテーブル36上に保持されているウエーハ10に形成されている分割予定ライン11を検出し、レーザー光線照射位置のアライメントが行われたならば、図6の(a)で示すようにチャックテーブル36をレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段52の集光器524が位置するレーザー光線照射領域に移動し、所定の分割予定ライン11の一端(図6の(a)において左端)をレーザー光線照射手段52の集光器524の直下に位置付ける。そして、集光器524から透過性を有するパルスレーザー光線を照射しつつチャックテーブル36即ちウエーハ10を図6の(a)において矢印X1で示す方向に所定の加工送り速度で移動せしめる。そして、図6の(b)で示すようにレーザー光線照射手段52の集光器524の照射位置が分割予定ライン11の他端(図6の(b)において右端)の位置に達したら、パルスレーザー光線の照射を停止するとともにチャックテーブル36即ちウエーハ10の移動を停止する。この変質層形成工程においては、パルスレーザー光線の集光点Pをウエーハ10の表面10a(下面)付近に合わせることにより、表面10a(下面)に露出するとともに内部に向けて変質層110が形成される。この変質層110は、溶融再固化層として形成される。
なお、上記変質層形成行程における加工条件は、例えば次のように設定されている。
レーザー :波長1064nmのパルスレーザー
繰り返し周波数 :100kHz
パルス幅 :25ns
ピークパワー密度:3.2×1010W/cm2
集光スポット径 :φ1μm
加工送り速度 :100mm/秒
レーザー :波長1064nmのパルスレーザー
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集光スポット径 :φ1μm
加工送り速度 :100mm/秒
なお、ウエーハ10の厚さが厚い場合には、図7に示すように集光点Pを段階的に変えて上述した変質層形成工程を複数回実行することにより、複数の変質層110を形成する。この結果、ウエーハ10の内部に形成される変質層110は、分割予定ライン11に沿って表面10aからウエーハ10の厚さに対して10〜70%の厚さに形成される。なお、上記変質層110の厚さが70%を越えると、クラックが発生する率が高くなる。
上述したようにウエーハ10に形成された所定方向の分割予定ライン11に沿って変質層110を形成したならば、チャックテーブル36またはレーザー光線照射手段52を分割予定ライン11の間隔だけ図1において矢印Yで示す方向に割り出し送りし、再度上記のようにパルスレーザー光線を照射しつつ加工送りを遂行する。そして、所定方向に形成された全ての分割予定ライン11に沿って上記加工送りと割り出し送りを遂行したならば、チャックテーブル36を90度回動せしめて、上記所定方向に対して直角に形成された分割予定ライン11に沿って上記加工送りと割り出し送りを実行することにより、ウエーハ10の内部に全ての分割予定ライン11に沿って変質層110を形成することができる。
上述した変質層形成行程を実施したならば、分割予定ライン11に沿って変質層110が形成されたウエーハ10を、裏面11bをダイシングテープに貼着するダイシングテープ装着工程を実施する。即ち、図8に示すようにウエーハ10を環状の支持フレーム7の内側開口部を覆うように外周部が装着されたポリオリフィンシート等からなるダイシングテープ8の上面に裏面10b側を貼着する。従って、ウエーハ10は表面10aを上側にしてダイシングテープ8に貼着される。
次に、上記のように内部に変質層110が形成され表面10aに変質層110が露出したウエーハ10に分割予定ライン11に沿ってレーザー光線を照射し、分割予定ライン11に沿って熱応力を発生せしめることにとり、ウエーハ10を分割予定ライン11に沿って分割する分割行程を実施する。この分割行程は、レーザー光線照射手段として図3に示す連続波レーザー光線射手段520を装備したレーザー加工装置によって実施される。分割行程について図9を参照して説明する。上記ダイシングテープ装着工程によってダイシングテープ8の上面に裏面10b側が貼着されたウエーハ10を、図9に示すように表面10aを上にして載置し、該チャックテーブル36上にウエーハ10を吸着保持する。ウエーハ10を吸引保持したチャックテーブル36は、図1に示す加工送り手段37の作動により案内レール31、31に沿って移動せしめられレーザー光線照射ユニット5に配設された撮像手段6の直下に位置付けられる。そして、上述したようにレーザー光線照射位置のアライメントを遂行する。
次に、図9で示すようにチャックテーブル36をレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段52の集光器524が位置するレーザー光線照射領域に移動し、所定の分割予定ライン11の一端(図9において左端)をレーザー光線照射手段52の集光器524の直下に位置付ける。そして、集光器524から連続波レーザー光線を照射しつつチャックテーブル36即ちウエーハ10を図9において矢印X1で示す方向に所定の加工送り速度で移動せしめ、所定の分割予定ライン11の他端(図9において右端)が集光器724の照射位置に達したら、レーザー光線の照射を停止するとともにチャックテーブル36即ちウエーハ10の移動を停止する。この分割工程においては、連続波レーザー光線の集光点Pをウエーハ10の表面10a(上面)に合わせ、変質層110が形成された分割予定ライン11を加熱することにより熱応力を発生せしめ、ヒートショックを与える。この結果、図10に示すようにウエーハ10は、変質層110が形成された分割予定ライン11に沿って割断部111が形成され分割される。この割断部111の割断面は、ウエーハ10の表面10aから裏面10bに垂直に形成される。即ち、ウエーハ10の分割予定ライン11に沿って形成された変質層110は上述したように溶融再固化状態(単結晶でなない)で、分割予定ライン11以外の方向に向いたクラックができにくい。そのため、分割予定ライン11と異なる方向にクラックが発生して割れることがない。従って、割断部111によって回路12が損傷されることはない。また、ウエーハ10の分割予定ライン11に沿って形成された変質層110は表面10aに露出して形成されているので、分割に必要な応力が著しく低減する。このため、上記分割工程において照射する連続波レーザー光線の出力を低減することができ、装置および電力のコストダウンを図ることができるとともに、ウエーハに与える熱の影響を低減することができる。
なお、上記分割工程における加工条件は、例えば次のように設定されている。
レーザー :波長10.6μmのCO2 連続波レーザー
平均パワー :20W
集光スポット径 :略φ1mm
加工送り速度 :100mm/秒
レーザー :波長10.6μmのCO2 連続波レーザー
平均パワー :20W
集光スポット径 :略φ1mm
加工送り速度 :100mm/秒
上述したようにウエーハ10の表面10aに露出するとともに内部に変質層110が形成された所定方向の分割予定ライン11に分割行程を実施したならば、チャックテーブル36またはレーザー光線照射手段520を分割予定ライン11の間隔だけ図1において矢印Yで示す方向に割り出し送りし、再度上記のように連続波レーザー光線を照射しつつ加工送りを遂行する。そして、所定方向に形成された全ての分割予定ライン11に沿って上記加工送りと割り出し送りを遂行したならば、チャックテーブル36を90度回動せしめて、上記所定方向に対して直角に形成された分割予定ライン11に沿って上記加工送りと割り出し送りを実行することにより、ウエーハ10に形成された分割予定ライン11に沿って割断部111が形成され分割される。なお、分割予定ライン11に沿って割断部111が形成されることにより、ウエーハ10は個々の半導体チップに分割されるが、ウエーハ10の裏面10bがダイシングテープ8に貼着されているので、バラバラにはならずウエーハの形態が維持されている。
次に、本発明による板状物の分割方法の第2の実施形態について、図11乃至図13を参照して説明する。
第2の実施形態における分割方法は、上述した変質層形成工程において図11に示すようにレーザー加工装置のチャックテーブル36上に、ウエーハ10を表面10aを上にして保持し、分割予定ライン11に沿って裏面10bからウエーハ10の厚さの10〜70%の範囲で変質層110を形成する。次に、ダイシングテープ装着工程においては、図12に示すようにウエーハ10をダイシングテープ8の上面に表面10a側を貼着する。従って、ウエーハ10は変質層110が露出せしめられた裏面10bを上側にしてダイシングテープ8に貼着される。そして、分割行程においては、図13に示すように分割予定ライン11に沿って裏面10bに露出して形成された変質層110に沿って連続波レーザー光線を照射することにより、変質層110に熱応力を発生せしめ、ヒートショックを与える。この結果、ウエーハ10は、分割予定ライン11に沿って形成された変質層110に沿って割断部111が形成されるとともに、変質層110が形成されていない表面10a側にも割断部111が連続して形成され分割される。この割断部111の割断面は、上記第1の実施形態と同様にウエーハ10の表面10aから裏面10bに垂直に形成される。
第2の実施形態における分割方法は、上述した変質層形成工程において図11に示すようにレーザー加工装置のチャックテーブル36上に、ウエーハ10を表面10aを上にして保持し、分割予定ライン11に沿って裏面10bからウエーハ10の厚さの10〜70%の範囲で変質層110を形成する。次に、ダイシングテープ装着工程においては、図12に示すようにウエーハ10をダイシングテープ8の上面に表面10a側を貼着する。従って、ウエーハ10は変質層110が露出せしめられた裏面10bを上側にしてダイシングテープ8に貼着される。そして、分割行程においては、図13に示すように分割予定ライン11に沿って裏面10bに露出して形成された変質層110に沿って連続波レーザー光線を照射することにより、変質層110に熱応力を発生せしめ、ヒートショックを与える。この結果、ウエーハ10は、分割予定ライン11に沿って形成された変質層110に沿って割断部111が形成されるとともに、変質層110が形成されていない表面10a側にも割断部111が連続して形成され分割される。この割断部111の割断面は、上記第1の実施形態と同様にウエーハ10の表面10aから裏面10bに垂直に形成される。
2:静止基台
3:チャックテーブル機構
36:チャックテーブル
37:加工送り手段
38:第1の割り出し送り手段
4:レーザー光線照射ユニット支持機構
5:レーザー線照射ユニット
51:ユニットホルダ
52:パルスレーザー線照射手段
520:連続波レーザー線照射手段
524:集器
6:撮像手段
7:フレーム
8:ダイシングテープ
10:ウエーハ(板状物)
3:チャックテーブル機構
36:チャックテーブル
37:加工送り手段
38:第1の割り出し送り手段
4:レーザー光線照射ユニット支持機構
5:レーザー線照射ユニット
51:ユニットホルダ
52:パルスレーザー線照射手段
520:連続波レーザー線照射手段
524:集器
6:撮像手段
7:フレーム
8:ダイシングテープ
10:ウエーハ(板状物)
Claims (5)
- 板状物を所定の分割予定ラインに沿って分割する板状物の分割方法であって、
該板状物に対して透過性を有するレーザー光線を該分割予定ラインに沿って照射し、
該板状物におけるレーザー光線が照射される面と反対側の面に露出し内部に向けて該分割予定ラインに沿って変質層を形成する変質層形成行程と、
該変質層が形成された該分割予定ラインに沿ってレーザー光線を照射し、該分割予定ラインに沿って熱応力を発生せしめることにより該板状物を該分割予定ラインに沿って分割する分割行程と、を含む、
ことを特徴とする板状物の分割方法。 - 該変質層形成行程において板状物の内部に形成される変質層は、板状物の厚さの10〜70%に形成されている、請求項1記載の板状物の分割方法。
- 該分割行程は変質層が露出された面側から分割予定ラインに沿って連続波レーザー光線を照射する、請求項1又は2記載の板状物の分割方法。
- 該分割行程を実施する前に、該板状物をダイシングテープに貼着するダイシングテープ装着工程を実施する、請求項1から3のいずれかに記載の板状物の分割方法。
- 該板状物は、サファイヤウエーハからなっている、請求項1から4のいずれかに記載の板状物の分割方法。
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2003
- 2003-10-15 JP JP2003355296A patent/JP2005123329A/ja active Pending
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