JP4402974B2 - ウエーハの分割方法 - Google Patents

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Description

本発明は、表面に格子状に形成された分割予定ラインによって区画された領域に機能素子が配設されたウエーハを、分割予定ラインに沿って分割するとともに、個々のチップの裏面にダイボンディング用の接着フィルムを装着し、この分割された個々のチップをピックアップするウエーハの分割方法に関する。
半導体デバイス製造工程においては、略円板形状である半導体ウエーハの表面に格子状に配列されたストリートと呼ばれる分割予定ラインによって複数の領域が区画され、この区画された領域にIC、LSI等の回路(機能素子)を形成する。そして、半導体ウエーハを分割予定ラインに沿って切断することにより回路が形成された領域を分割して個々の半導体チップを製造している。また、サファイヤ基板の表面にフォトダイオード等の受光素子(機能素子)やレーザーダイオード等の発光素子(機能素子)等が積層された光デバイスウエーハも分割予定ラインに沿って切断することにより個々のフォトダイオード、レーザーダイオード等の光デバイスに分割され、電気機器に広く利用されている。
上述した半導体ウエーハや光デバイスウエーハ等の分割予定ラインに沿った切断は、通常、ダイサーと称されている切削装置によって行われている。この切削装置は、半導体ウエーハや光デバイスウエーハ等の被加工物を保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物を切削するための切削手段と、チャックテーブルと切削手段とを相対的に移動せしめる切削送り手段とを具備している。切削手段は、回転スピンドルと該スピンドルに装着された切削ブレードおよび回転スピンドルを回転駆動する駆動機構を備えたスピンドルユニットを含んでいる。切削ブレードは円盤状の基台と該基台の側面外周部に装着された環状の切れ刃からなっており、切れ刃は例えば粒径3μm程度のダイヤモンド砥粒を電鋳によって基台に固定し厚さ20μm程度に形成されている。
しかるに、切削ブレードは20μm程度の厚さを有するため、チップを区画する分割予定ラインとしては幅が50μm程度必要となり、ウエーハの面積に対する分割予定ラインが占める面積比率が大きく、生産性が悪いという問題がある。また、サファイヤ基板、炭化珪素基板等はモース硬度が高いため、上記切削ブレードによる切断は必ずしも容易ではない。
一方、近年半導体ウエーハ等の板状の被加工物を分割する方法として、その被加工物に対して透過性を有するパルスレーザー光線を用い、分割すべき領域の内部に集光点を合わせてパルスレーザー光線を照射するレーザー加工方法も試みられている。このレーザー加工方法を用いた分割方法は、被加工物の一方の面側から内部に集光点を合わせて被加工物に対して透過性を有する赤外光領域のパルスレーザー光線を照射し、被加工物の内部に分割予定ラインに沿って変質層を連続的に形成し、この変質層が形成されることによって強度が低下した分割予定ラインに沿って外力を加えることにより、被加工物を分割するものである。(例えば、特許文献1参照。)
特許第3408805号公報
また、個々に分割された半導体チップは、その裏面にエポキシ樹脂等で形成された厚さ20〜40μmのダイアタッチフィルムと称するダイボンディング用の接着フィルムが装着され、この接着フィルムを介して半導体チップを支持するダイボンディングフレームに加熱することによりボンディングされる。半導体チップの裏面にダイボンディング用の接着フィルムを装着する方法としては、半導体ウエーハの裏面に接着フィルムを貼着し、この接着フィルムを介して半導体ウエーハをダイシングテープに貼着した後、半導体ウエーハの表面に形成されたストリートに沿って切削ブレードにより接着フィルムと共に切断することにより、裏面に接着フィルムが装着された半導体チップを形成している。(例えば、特許文献2参照。)
特開2000−182995号公報
しかるに、特開2000−182995号公報に開示された方法によると、切削ブレードにより半導体ウエーハとともに接着フィルムを切断して個々の半導体チップに分割する際に、半導体チップの裏面に欠けが生じたり、接着フィルムに髭状のバリが発生してワイヤボンディングの際に断線の原因になるという問題がある。
このような問題を解決するために、ウエーハの裏面にダイボンディング用の接着フィルムを介在させて保護シートを貼着し、ウエーハの表面側からパルスレーザー光線を照射してウエーハの内部に変質層を形成し、その後、保護シートを拡張することにより接着フィルムとともにウエーハを個々のチップに分割する技術が提案されている。(例えば、特許文献3参照。)
特開2003−228467号公報
而して、特開2003−228467号公報に開示された技術においては、ウエーハの裏面にダイボンディング用の接着フィルムを介在させて保護シートを貼着した後に、ウエーハの表面側からパルスレーザー光線を照射するので、ウエーハの内部に変質層を均一に形成することができない。即ち、ウエーハの表面には各種の膜が積層されており、その表面は必ずしも平滑でない。従って、ウエーハの表面側からパルスレーザー光線を照射すると、レーザー光線が乱反射したりレーザー光線の集光点をウエーハ内部の所定位置に均一に位置付けることが困難であり、この結果、ウエーハの内部に変質層を均一に形成することができない。
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、パルスレーザー光線を用いてウエーハの内部に分割予定ラインに沿って変質層を均一に形成し、この変質層に沿って個々のチップに分割するとともに、個々のチップの裏面にダイボンディング用の接着フィルムを装着し、この分割された個々のチップをピックアップするプロセスを確立することができるウエーハの分割方法を提供することである。
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、表面に格子状に形成された分割予定ラインによって区画された領域に機能素子が配設されたウエーハを、分割予定ラインに沿って分割するウエーハの分割方法であって、
ウエーハの表面を環状のフレームに装着されたダイシングテープに貼着するフレーム保持工程と、
フレームに装着されたダイシングテープに表面が貼着されたウエーハの裏面を研磨する研磨工程と、
研磨加工されたウエーハの裏面側からウエーハに対して透過性を有するパルスレーザー光線を分割予定ラインに沿って照射し、ウエーハの内部に分割予定ラインに沿って変質層を形成する変質層形成工程と、
フレームに保持されたウエーハの変質層が形成された分割予定ラインに沿って外力を付与し、ウエーハを分割予定ラインに沿って個々のチップに分割する分割工程と、
個々のチップに分割されたウエーハの裏面にダイボンディング用の接着フィルムを貼着する接着フィルム貼着工程と、
個々のチップに分割されたウエーハが貼着されたダイシングテープを拡張して各チップ間の間隔を広げることにより該接着フィルムを破断する拡張工程と、
拡張されたダイシングテープから裏面に該接着フィルムが貼着された各チップをピックアップするピックアップ工程と、を含む、
ことを特徴とするウエーハの分割方法が提供される。
上記変質層形成工程においてウエーハの内部に形成される変質層は、少なくともウエーハの表面に露出して形成されることが望ましい。
本発明におけるウエーハの分割方法は上記工程からなっているので、表面に格子状に形成された分割予定ラインによって区画された領域に機能素子が配設されたウエーハに対して透過性を有するパルスレーザー光線を分割予定ラインに沿って照射することによりウエーハの内部に分割予定ラインに沿って変質層を均一に形成し、この変質層に沿って個々のチップに分割するとともに、個々のチップの裏面にダイボンディング用の接着フィルムを装着し、分割されたチップをピックアップするプロセスを確立することができる。
以下、本発明によるウエーハの分割方法の好適な実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1には、本発明に従って加工されるウエーハとしての半導体ウエーハの斜視図が示されている。図1に示す半導体ウエーハ2は、シリコンウエーハからなっており、表面2aに複数の分割予定ライン21が格子状に形成されているとともに、該複数の分割予定ライン21によって区画された複数の領域に機能素子としての回路22が形成されている。
このように構成された半導体ウエーハ2は、その表面2aを環状のフレームに装着されたダイシングテープに貼着するフレーム保持工程を実施する。フレーム保持工程は、図2に示すように環状のフレーム3に装着された伸長可能なダイシングテープ30の表面に半導体ウエーハ2の表面2aを貼着する。なお、上記ダイシングテープ30は、図示の実施形態においては厚さが100μmのポリ塩化ビニル(PVC)からなるシート基材の表面にアクリル樹脂系の糊が厚さが5μm程度塗布されている。この糊は紫外線等の外的刺激によって粘着力が低下する性質を有するものが用いられている。
フレーム保持工程を実施することにより半導体ウエーハ2の表面2aを環状のフレーム3に装着されたダイシングテープ30に貼着したならば、半導体ウエーハ2の裏面2bを研削して所定の厚さに形成する研削工程を実施する。半導体ウエーハ2の裏面2bを研磨して鏡面に加工する研磨工程を実施する。この研磨工程は、半導体ウエーハ2の裏面2b側から照射される赤外光レーザー光線が乱反射することを防ぐために実施する。即ち、シリコン等で形成されたウエーハにおいては、内部に集光点を合わせて赤外光レーザー光線を照射した場合、赤外光レーザー光線を照射する面の表面粗さが粗いと表面で乱反射して所定の集光点にレーザー光線が達せず、内部に所定の変質層を形成することが困難となるからである。この研磨工程は、図3に示す実施形態においては研磨装置によって実施する。即ち、研磨工程は、先ず図3に示すように研磨装置4のチャックテーブル41上に半導体ウエーハ2のダイシングテープ30側を載置し(従って、半導体ウエーハ2は裏面2bが上側となる)、図示しない吸引手段によってチャックテーブル41上に半導体ウエーハ2を吸着保持する。なお、図3においては、ダイシングテープ30が装着された環状のフレーム3を省いて示しているが、環状のフレーム3はチャックテーブル41に配設された適宜のクランプ機構に保持されている。このようにして、チャックテーブル41上に半導体ウエーハ2を保持したならば、チャックテーブル41を例えば300rpmで回転しつつ、フエルト等の柔軟部材に酸化ジルコニア等の砥粒を分散させ適宜のボンド剤で固定した研磨砥石52を備えた研磨工具53を例えば6000rpmで回転せしめて半導体ウエーハ2の裏面2bに接触することにより、半導体ウエーハ2の裏面2bを鏡面加工する。この鏡面加工工程において、加工面である半導体ウエーハ2の裏面2bは、JIS B0601 で規定する表面粗さ(Ra)を0.05μm以下(Ra≦0.05μm)、好ましくは0.02μm以下(Ra≦0.02μm)に鏡面加工される。
次に、鏡面加工された半導体ウエーハ2の裏面2b側からウエーハに対して透過性を有するパルスレーザー光線を分割予定ラインに沿って照射し、ウエーハの内部に分割予定ラインに沿って変質層を形成する変質層形成工程を実施する。この変質層形成工程は、図4乃至6に示すレーザー加工装置5を用いて実施する。図4乃至図6に示すレーザー加工装置5は、被加工物を保持するチャックテーブル51と、該チャックテーブル51上に保持された被加工物にレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段52と、チャックテーブル51上に保持された被加工物を撮像する撮像手段53を具備している。チャックテーブル51は、被加工物を吸引保持するように構成されており、図示しない移動機構によって図4において矢印Xで示す加工送り方向および矢印Yで示す割り出し送り方向に移動せしめられるようになっている。
上記レーザー光線照射手段52は、実質上水平に配置された円筒形状のケーシング521を含んでいる。ケーシング521内には図5に示すようにパルスレーザー光線発振手段522と伝送光学系523とが配設されている。パルスレーザー光線発振手段522は、YAGレーザー発振器或いはYVO4レーザー発振器からなるパルスレーザー光線発振器522aと、これに付設された繰り返し周波数設定手段522bとから構成されている。伝送光学系523は、ビームスプリッタの如き適宜の光学要素を含んでいる。上記ケーシング521の先端部には、それ自体は周知の形態でよい組レンズから構成される集光レンズ(図示せず)を収容した集光器524が装着されている。上記パルスレーザー光線発振手段522から発振されたレーザー光線は、伝送光学系523を介して集光器524に至り、集光器524から上記チャックテーブル51に保持される被加工物に所定の集光スポット径Dで照射される。この集光スポット径Dは、図6に示すようにガウス分布を示すパルスレーザー光線が集光器524の対物集光レンズ524aを通して照射される場合、D(μm)=4×λ×f/(π×W)、ここでλはパルスレーザー光線の波長(μm)、Wは対物レンズ524aに入射されるパルスレーザー光線の直径(mm)、fは対物レンズ524aの焦点距離(mm)、で規定される。
上記レーザー光線照射手段52を構成するケーシング521の先端部に装着された撮像手段53は、図示の実施形態においては可視光線によって撮像する通常の撮像素子(CCD)の外に、被加工物に赤外線を照射する赤外線照明手段と、該赤外線照明手段によって照射された赤外線を捕らえる光学系と、該光学系によって捕らえられた赤外線に対応した電気信号を出力する撮像素子(赤外線CCD)等で構成されており、撮像した画像信号を後述する制御手段に送る。
上述したレーザー加工装置5を用いて実施する変質層形成工程について、図4、図7および図8を参照して説明する。
この変質層形成行程は、先ず上述した図4に示すレーザー加工装置5のチャックテーブル51上に裏面2bが研磨加工された半導体ウエーハ2のダイシングテープ30側を載置し(従って、半導体ウエーハ2は研磨加工された裏面2bが上側となる)、図示しない吸引手段によってチャックテーブル51上に半導体ウエーハ2を吸着保持する。なお、図4、図7および図8においては、ダイシングテープ30が装着された環状のフレーム3を省いて示しているが、環状のフレーム3はチャックテーブル51に配設された適宜のクランプ機構に保持されている。このようにして半導体ウエーハ2を吸引保持したチャックテーブル51は、図示しない移動機構によって撮像手段53の直下に位置付けられる。
チャックテーブル51が撮像手段53の直下に位置付けられると、撮像手段53および図示しない制御手段によって半導体ウエーハ2のレーザー加工すべき加工領域を検出するアライメント作業を実行する。即ち、撮像手段53および図示しない制御手段は、半導体ウエーハ2の所定方向に形成されている分割予定ライン21と、分割予定ライン21に沿ってレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段52の集光器524との位置合わせを行うためのパターンマッチング等の画像処理を実行し、レーザー光線照射位置のアライメントを遂行する。また、半導体ウエーハ2に形成されている上記所定方向に対して直角に延びる分割予定ライン21に対しても、同様にレーザー光線照射位置のアライメントが遂行される。このとき、半導体ウエーハ2の分割予定ライン21が形成されている表面2aは下側に位置しているが、撮像手段53が上述したように赤外線照明手段と赤外線を捕らえる光学系および赤外線に対応した電気信号を出力する撮像素子(赤外線CCD)等で構成された撮像手段を備えているので、裏面2bから透かして分割予定ライン21を撮像することができる。
以上のようにしてチャックテーブル51上に保持されている半導体ウエーハ2に形成されている分割予定ライン21を検出し、レーザー光線照射位置のアライメントが行われたならば、図7の(a)で示すようにチャックテーブル51をレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段52の集光器524が位置するレーザー光線照射領域に移動し、所定の分割予定ライン21の一端(図7の(a)において左端)をレーザー光線照射手段52の集光器524の直下に位置付ける。そして、集光器524から透過性を有するパルスレーザー光線を照射しつつチャックテーブル51即ち半導体ウエーハ2を図7の(a)において矢印X1で示す方向に所定の送り速度で移動せしめる。そして、図7の(b)で示すようにレーザー光線照射手段52の集光器524の照射位置が分割予定ライン21の他端の位置に達したら、パルスレーザー光線の照射を停止するとともにチャックテーブル51即ち半導体ウエーハ2の移動を停止する。この変質層形成工程においては、パルスレーザー光線の集光点Pを半導体ウエーハ2の表面2a(下面)付近に合わせることにより、表面2a(下面)に露出するとともに表面2aから内部に向けて変質層210が形成される。この変質層210は、溶融再固化層として形成される。このように変質層210を半導体ウエーハ2の表面2aに露出して形成することにより、変質層210に沿って外力を付与することによる分割が容易となる。
なお、上記変質層形成工程における加工条件は、例えば次のように設定されている。
光源 ;LD励起QスイッチNd:YVO4スレーザー
波長 ;1064nmのパルスレーザー
パルス出力 :10μJ
集光スポット径 ;φ1μm
パルス幅 ;40ns
集光点のピークパワー密度;3.2×1010W/cm
繰り返し周波数 :100kHz
加工送り速度 ;100mm/秒
なお、半導体ウエーハ2の厚さが厚い場合には、図8に示すように集光点Pを段階的に変えて上述した変質層形成工程を複数回実行することにより、複数の変質層210を形成する。なお、上述した加工条件においては1回に形成される変質層の厚さは約50μmであるため、図示の実施形態においては厚さが300μmのウエーハ2に対して6層の変質層を形成する。この結果、半導体ウエーハ2の内部に形成される変質層210は、分割予定ライン21に沿って表面2aから裏面2bに渡って形成される。
上述した変質層形成工程によって半導体ウエーハ2の内部に分割予定ライン21に沿って変質層210を形成したならば、半導体ウエーハ2を分割予定ライン21に沿って分割する分割行程を実施する。
分割工程の第1の実施形態について、図9を参照して説明する。図9に示す分割工程の第1の実施形態は、超音波分割装置6を用いて実施する。超音波分割装置6は、円筒状のベース61と第1の超音波発振器62および第2の超音波発振器63とからなっている。超音波分割装置6を構成する円筒状のベース61は、上面に上記フレーム7を載置する載置面61aを備えており、この載置面61a上にフレーム3を載置しクランプ64によって固定する。このベース61は、図示しない移動手段によって図9において左右方向および紙面に垂直な方向に移動可能に構成されているとともに回動可能に構成されている。超音波分割装置6を構成する第1の超音波発振器62および第2の超音波発振器63は、円筒状のベース61の載置面61a上に載置されるフレーム3にダイシングテープ30を介して支持された半導体ウエーハ2の上側と下側に対向して配設されており、所定周波数の縦波(疎密波)を発生させる。このように構成された超音波分割装置6を用いて上記分割工程を実施するには、半導体ウエーハ2(分割予定ライン21に沿って変質層210が形成されている)をダイシングテープ30を介して支持したフレーム3を円筒状のベース61の載置面61a上にダイシングテープ30が装着されている側を載置し(従って、半導体ウエーハ2は裏面2bが上側となる)、クランプ64によって固定する。次に、図示しない移動手段によってベース61を作動し、半導体ウエーハ2に形成された所定の分割予定ライン21の一端(図9において左端)を第1の超音波発振器62および第2の超音波発振器63からの超音波が作用する位置に位置付ける。そして、第1の超音波発振器62および第2の超音波発振器63を作動しそれぞれ周波数が例えば28kHzの縦波(疎密波)を発生させるとともに、ベース61を矢印で示す方向に例えば50〜100mm/秒の送り速度で移動せしめる。この結果、第1の超音波発振器62および第2の超音波発振器63から発生された超音波が半導体ウエーハ2の分割予定ライン21に沿って表面および裏面に作用するため、半導体ウエーハ2は変質層210が形成されて強度が低下せしめられた分割予定ライン21に沿って分割される。このようにして所定の分割予定ライン21に沿って分割工程を実施したならば、ベース71を紙面に垂直な方向に分割予定ライン21の間隔に相当する分だけ割り出し送りし、上記分割工程を実施する。このようにして所定方向に延びる全ての分割予定ライン21に沿って分割工程を実施したならば、ベース61を90度回動し、半導体ウエーハ2に所定方向と直角な方向に形成された分割予定ライン21に対して上記分割工程を実施することにより、半導体ウエーハ2は個々のチップに分割される。なお、個々に分割されたチップは裏面がダイシングテープ30に貼着されているので、バラバラにはならずウエーハの形態が維持されている。
次に、分割工程の第2の実施形態について、図10を参照して説明する。図10に示す分割工程の第2の実施形態は、上記図4乃至図6に示したレーザー加工装置と同様のレーザー加工装置7を用いて実施する。即ち、図10示すようにフレーム3にダイシングテープ30を介して支持された半導体ウエーハ2(分割予定ライン21に沿って変質層210が形成されている)をレーザー加工装置7のチャックテーブル71上にダイシングテープ30側を載置し(従って、半導体ウエーハ2は裏面2bが上側となる)、図示しない吸引手段によって吸着保持するとともに、フレーム3をクランプ機構72によって固定する。次に、チャックテーブル71をレーザー光線照射手段の集光器73が位置するレーザー光線照射領域に移動し、所定の分割予定ライン21の一端(図10において左端)を集光器73の直下に位置付ける。そして、集光器73から半導体ウエーハ2に対して吸収性を有する連続波レーザー光線を照射しつつチャックテーブル71即ち半導体ウエーハ2を図10において矢印X1で示す方向に所定の加工送り速度で移動せしめ、所定の分割予定ライン21の他端(図10において右端)が集光器73の照射位置に達したら、レーザー光線の照射を停止するとともにチャックテーブル71即ち半導体ウエーハ2の移動を停止する。この分割工程においては、連続波レーザー光線の集光点Pを半導体ウエーハ2の裏面2b(上面)に合わせ、変質層210が形成された分割予定ライン21を加熱することにより熱応力を発生せしめ、ヒートショックを与える。この結果、半導体ウエーハ2は、変質層210が形成された分割予定ライン21に沿って割断部が形成され分割される。なお、分割工程において変質層210が形成された分割予定ライン21に沿って照射するレーザー光線は、半導体ウエーハ2を加熱して適度な温度勾配(100〜400°C)を与える程度の出力で十分であり、シリコンを溶融させることはない。
なお、上記分割工程における加工条件は、例えば次のように設定されている。
光源 ;LD励起Nd:YAG第二高調波レーザー(CW)
波長 ;532nm
出力 :10W
集光スポット径 :φ0.5mm(変質層110を含む比較的広い領域を加熱する)
加工送り速度 :100mm/秒
上述したよう分割行程を実施したならば、チャックテーブル71即ち半導体ウエーハ2を分割予定ライン21の間隔だけ図10において紙面に垂直な方向に割り出し送りし、再度上記のように連続波レーザー光線を照射しつつ加工送りを遂行する。そして、所定方向に形成された全ての分割予定ライン21に沿って上記加工送りと割り出し送りを遂行したならば、チャックテーブル71即ち半導体ウエーハ2を90度回動せしめて、上記所定方向に対して直角に形成された分割予定ライン21に沿って上記加工送りと割り出し送りを実行することにより、半導体ウエーハ2に形成された分割予定ライン21に沿って割断され分割される。なお、分割予定ライン21に沿って割断されることにより、半導体ウエーハ2は個々のチップに分割されるが、半導体ウエーハ2の裏面2bがダイシングテープ30に貼着されているので、バラバラにはならずウエーハの形態が維持されている。
次に、分割工程の第3の実施形態について、図11を参照して説明する。図11に示す分割工程の第3の実施形態は、円筒状のベース81と曲げ荷重付与手段83とからなる曲げ分割装置8を用いて実施する。即ち、半導体ウエーハ2(分割予定ライン21に沿って変質層210が形成されている)をダイシングテープ30を介して支持したフレーム6を円筒状のベース81の載置面81a上にダイシングテープ30側を上にして載置し(従って、半導体ウエーハ2は裏面2bが上側となる)、クランプ82によって固定する。そして、半導体ウエーハ2の表面2a(下面)を曲げ荷重付与手段83を構成する互いに並行に配列された円柱状の複数の支持部材84上に載置する。このとき、支持部材84と84の間に半導体ウエーハ2の所定方向に形成された分割予定ライン21が位置付けられるように載置する。そして、半導体ウエーハ2の裏面2bに貼着されたダイシングテープ30側から押圧部材85により分割予定ライン21に沿って押圧する。この結果、半導体ウエーハ2には分割予定ライン21に沿って曲げ荷重が作用して表面2aに引っ張り応力が発生し、半導体ウエーハ2は変質層210が形成され強度が低下した分割予定ライン21に沿って割断され分割される。そして、所定方向に形成された変質層210即ち分割予定ライン21に沿って分割したならば、円筒状のベース81即ち半導体ウエーハ2を90度回動せしめて、上記所定方向に対して直角に形成された分割予定ライン21に沿って上記分割作業を実施することにより、半導体ウエーハ2は個々のチップに分割することができる。なお、個々に分割されたチップは、裏面がダイシングテープ30に貼着されているので、バラバラにはならず半導体ウエーハ2の形態が維持されている。
次に、分割工程の第4の実施形態について、図12を参照して説明する。図12に示す分割工程の第4の実施形態は、円筒状のベース91と曲げ荷重付与手段としての押圧部材93とからな曲げ分割装置9を用いて実施する。このベース91は、図示しない移動手段によって図12において左右方向および紙面に垂直な方向に移動可能に構成されているとともに回動可能に構成されている。このように構成された円筒状のベース91の載置面91a上に半導体ウエーハ2(分割予定ライン21に沿って変質層210が形成されている)をダイシングテープ30を介して支持したフレーム3をダイシングテープ30側を載置し(従って、半導体ウエーハ2は裏面2bが上側となる)、クランプ92によって固定する。次に、図示しない移動手段によってベース91を作動し、半導体ウエーハ2に形成された所定の分割予定ライン21の一端(図12において左端)を押圧部材93と対向する位置に位置付けるとともに、押圧部材93を図12において上方に作動して半導体ウエーハ2が貼着されたダイシングテープ30を押圧する位置に位置付ける。そして、ベース91を矢印で示す方向に移動せしめる。この結果、半導体ウエーハ2には押圧部材93によって押圧された分割予定ライン21に沿って曲げ荷重が作用して裏面2bに引っ張り応力が発生し、半導体ウエーハ2は変質層210が形成され強度が低下した分割予定ライン21に沿って割断され分割される。このようにして所定の分割予定ライン21に沿って分割工程を実施したならば、ベース91を紙面に垂直な方向に分割予定ライン21の間隔に相当する分だけ割り出し送りし、上記分割工程を実施する。このようにして所定方向に延びる全ての分割予定ライン21に沿って分割工程を実施したならば、ベース91を90度回動し、半導体ウエーハ2に所定方向と直角な方向に形成された分割予定ライン21に対して上記分割工程を実施することにより、半導体ウエーハ2は個々のチップに分割される。なお、個々に分割されたチップは裏面がダイシングテープ30に貼着されているので、バラバラにはならずウエーハの形態が維持されている。
なお、半導体ウエーハ2を分割予定ライン21に沿って分割する分割行程においては、上述した分割方法の外に例えばダイシングテープに貼着された半導体ウエーハ2を柔軟なゴムシート上に載置し、その上面をローラーによって押圧することによって、半導体ウエーハ2を変質層210が形成され強度が低下した分割予定ライン21に沿って割断する方法を用いることができる。
上述した分割工程を実施したならば、図13に示すように半導体ウエーハ2の裏面にダイボンディング用の接着フィルム11を貼着する接着フィルム貼着工程を実施する。なお、接着フィルム11は、実施形態においては厚さが25μmのエポキシ樹脂によって形成されている。
上述した接着フィルム貼着工程を実施したならば、個々のチップに分割されたウエーハが貼着されたダイシングテープを拡張して各チップ間の間隔を広げることにより接着フィルム11を破断する拡張工程を実施する。この拡張工程は、図14および図15に示すピックアップ装置12によって実施される。ここで、ピックアップ装置12について説明する。図示のピックアップ装置12は、上記フレーム3を載置する載置面121aが形成された円筒状のベース121と、該ベース121内に同心的に配設されフレーム3に装着されたダイシングテープ30を押し広げるための拡張手段122を具備している。拡張手段122は、上記ダイシングテープ30における半導体ウエーハ2が存在する領域301を支持する筒状の拡張部材123を具備している。この拡張部材123は、図示しない昇降手段によって図15の(a)に示す基準位置と該基準位置から上方の図15の(b)に示す拡張位置の間を上下方向(円筒状のベース121の軸方向)に移動可能に構成されている。なお、図示の実施形態においては拡張部材123内には、紫外線照射ランプ124が配設されている。
上述したピックアップ装置12を用いて実施する拡張工程について、図14および図15を参照して説明する。
上述したように個々のチップ20に分割された半導体ウエーハ2の裏面2bが貼着されたダイシングテープ30を装着したフレーム3は、図14および図15の(a)に示すように円筒状のベース121の載置面121a上に載置され、クランプ125によってベース121に固定される。次に、図15の(b)に示すように上記ダイシングテープ30における半導体ウエーハ2が存在する領域301を支持した拡張手段122の拡張部材123を図示しない昇降手段によって図15(a)の基準位置から上方の図15の(b)に示す拡張位置まで移動する。この結果、伸長可能なダイシングテープ30は拡張されるので、ダイシングテープ30とチップ20との間にズレが生じ密着性が低下するため、チップ20がダイシングテープ30から容易に離脱できる状態となるとともに、個々の半導体チップ20間には隙間が形成される。また、半導体チップ20間に隙間が形成される際に半導体ウエーハ2の裏面に貼着されている接着フィルム11は、各半導体チップ20の各辺に沿って破断される。
次に、図14に示すようにピックアップ装置12の上方に配置されたピックアップコレット126を作動して、裏面に接着フィルム11が貼着された個々のチップ20をダイシングテープ30の上面から離脱し、図示しないトレーまたはダイボンディング工程に搬送する。このとき、拡張部材123内に配設された紫外線照射ランプ124を点灯してダイシングテープ30に紫外線を照射し、ダイシングテープ30の粘着力を低下せしめることにより、より容易に離脱することができる。なお、ピックアップコレット126にはチップ20の裏面に貼着された接着フィルム11側が保持されるので、表裏反転手段を介して図示しないトレーまたはダイボンディング工程に搬送することが望ましい。
本発明によるウエーハの分割方法によって分割される半導体ウエーハの斜視図。 図1に示す半導体ウエーハの表面を環状のフレームに装着されたダイシングテープに貼着した状態を示す斜視図。 本発明によるウエーハの加工方法における研磨工程の説明図。 本発明によるウエーハの加工方法における変質層形成工程を実施するレーザー加工装置の要部斜視図。 図4に示すレーザー加工装置に装備されるレーザ光線照射手段の構成を簡略に示すブロック図。 パルスレーザー光線の集光スポット径を説明するための簡略図。 本発明によるウエーハの加工方法における変質層形成行程の説明図。 図7に示す変質層形成行程においてウエーハの内部に変質層を積層して形成した状態を示す説明図。 本発明によるウエーハの加工方法における分割工程の第1の実施形態を示す説明図。 本発明によるウエーハの加工方法における分割工程の第2の実施形態を示す説明図。 本発明によるウエーハの加工方法における分割工程の第3の実施形態を示す説明図。 本発明によるウエーハの加工方法における分割工程の第4の実施形態を示す説明図。 本発明によるウエーハの分割方法における変質層形成行程が実施されたウエーハの裏面にダイボンディング用の接着フィルムを貼着する接着フィルム貼着工程を示す説明図。 本発明によるウエーハの分割方法における拡張工程およびピックアップ工程を実施するピックアップ装置の斜視図。 本発明によるウエーハの分割方法における拡張工程を示す説明図。
符号の説明
2:半導体ウエーハ
20:半導体チップ
21:分割予定ライン
22:回路
210:変質層
3:環状のフレーム
30:ダイシングテープ
4:研磨装置
41:研磨装置のチャックテーブル
43:研磨工具
5:レーザー加工装置
51:レーザー加工装置のチャックテーブル
51:レーザー光線照射手段
53:撮像手段
6:超音波分割装置
61:円筒状のベース
62:第1の超音波発振器
63:第2の超音波発振器
7:レーザー加工装置
71:レーザー加工装置のチャックテーブル
8:曲げ分割装置
1:円筒状のベース
82:曲げ荷重付与手段
9:曲げ分割装置
91:円筒状のベース
93:押圧部材
11:接着フィルム
12:ピックアップ装置
121:円筒状のベース
122:拡張手段
123:拡張部材
124:紫外線照射ランプ
126:ピックアップコレット

Claims (2)

  1. 表面に格子状に形成された分割予定ラインによって区画された領域に機能素子が配設されたウエーハを、分割予定ラインに沿って分割するウエーハの分割方法であって、
    ウエーハの表面を環状のフレームに装着されたダイシングテープに貼着するフレーム保持工程と、
    フレームに装着されたダイシングテープに表面が貼着されたウエーハの裏面を研磨する研磨工程と、
    研磨加工されたウエーハの裏面側からウエーハに対して透過性を有するパルスレーザー光線を分割予定ラインに沿って照射し、ウエーハの内部に分割予定ラインに沿って変質層を形成する変質層形成工程と、
    フレームに保持されたウエーハの変質層が形成された分割予定ラインに沿って外力を付与し、ウエーハを分割予定ラインに沿って個々のチップに分割する分割工程と、
    個々のチップに分割されたウエーハの裏面にダイボンディング用の接着フィルムを貼着する接着フィルム貼着工程と、
    個々のチップに分割されたウエーハが貼着されたダイシングテープを拡張して各チップ間の間隔を広げることにより該接着フィルムを破断する拡張工程と、
    拡張されたダイシングテープから裏面に該接着フィルムが貼着された各チップをピックアップするピックアップ工程と、を含む、
    ことを特徴とするウエーハの分割方法。
  2. 該変質層形成工程においてウエーハの内部に形成される変質層は、少なくともウエーハの表面に露出して形成される、請求項1記載のウエーハの分割方法。
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