JP2005121488A - 障害物検知装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 天候の影響を受け難い例えばミリ波帯電波を利用し踏切等で障害物を検知する障害物検知装置の自己診断機能を高めて装置の信頼性をより一層向上する。
【解決手段】 踏切道4の対角方向に配置され踏切道4の担当エリアに電波を送信し障害物からの反射電波を受信するセンサ部1a,1b,1cと、踏切道4を挟んでセンサ部1a,1b,1cと対向しセンサ部1a,1b,1cの送信電波を反射する反射板2a1,2a2b1,2c1,2c2と、センサ部1a,1b,1cの動作を制御する一方、反射電波の信号処理情報に基づいて障害物の有無を判定し、センサ部1a,1b,1cの動作状態に関連する複数の監視項目の正常/異常を判定してセンサ部1a,1b,1cを自己診断する制御論理部3を備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば踏切等の障害物検知領域内の人、車椅子、自転車及び自動車等の障害物の有無を検知する障害物検知装置に関し、特に、天候の影響を受けにくく、装置の設置及び保守が容易であると共に動作設定が容易であり、さらにセンサ部の自己診断機能を有する障害物検知装置に関する。
従来、この種の障害物検知装置としては、レーザ光や赤外線等を利用した光学式、カメラを利用した画像式、或いは、ループコイル等を利用した電磁式等がある。しかし、これら従来の障害物検知装置は、設置工事や保守が容易でなく、また、天候の影響を受け易いという問題があった。また、電磁式は人を検知することはできない欠点があった。
このような問題を解消する障害物検知装置として、例えばミリ波等の電波を利用したものが本出願人から提案されている(例えば、特許文献1参照)。
かかる障害物検知装置は、障害物検知領域の対向する隅部に配置されたセンサ部と、センサ部に対して障害物検知領域を挟んで対面配置され反射板とを備え、センサ部から天候の影響を受け難い例えばミリ波等の電波を送信して障害物検知領域を走査し、センサ部で受信した反射電波の信号を処理することにより障害物の有無を判断すると共に自己診断を行うよう構成されている。
特開2001−325690号公報
しかしながら、特許文献1に記載の障害物検知装置の自己診断機能は、センサ部から反射板に向けて電波を送信したときに反射板からの反射電波が受信されるか否かを監視することにより、センサ部の動作が正常か異常かを判断するという簡易な自己診断であった。
本発明は前記問題点に着目してなされたもので、センサ部の動作状態に関連する複数の監視項目の診断結果によりセンサ部の正常/異常を診断することで、より一層信頼性の高い障害物検知装置を提供することを目的とする。
このため請求項1の発明は、障害物検知領域の隅部に配置され前記障害物検知領域内に電波を送信し障害物からの反射電波を受信するセンサ部と、前記障害物検知領域を挟んで前記センサ部と対向して設けられセンサ部からの送信電波を反射する反射板と、前記センサ部の動作を制御すると共に、前記センサ部で受信した反射電波の信号処理情報に基づいて前記障害物検知領域内の障害物の有無を判定する制御論理部とを備えた障害物検知装置であって、前記制御論理部は、前記センサ部の動作状態に関連する予め設定した複数の監視項目の正常/異常を判定し、該判定結果に基づいて前記センサ部を診断する自己診断機能を備える構成とした。
かかる構成では、障害物検知領域の隅部に配置されたセンサ部で、障害物検知領域内に電波を送信し障害物からの反射電波を受信し、障害物検知領域を挟んでセンサ部と対向して設けられた反射板は、センサ部からの送信電波を反射し、制御論理部で、受信した反射電波の信号処理情報に基づいて障害物検知領域内の障害物の有無を判定すると共に、センサ部の動作状態に関連する予め設定した複数の監視項目の正常/異常を判定してセンサ部を診断する。
請求項2の発明では、前記センサ部は、前記送信電波を生成する送信系と、前記送信電波を前記障害物検知領域内に放射して反射電波を受信するアンテナ部と、該アンテナ部から伝送される反射電波を受信処理する受信系とを備える構成であり、前記制御論理部は、前記監視項目の判定結果から前記センサ部のいずれの個所が故障かを診断可能な構成とした。
かかる構成では、センサ部内の送信系、アンテナ部及び受信系の故障を診断できるようになる。
また、請求項3のように、前記センサ部が、予め設定した所定時間遅延された擬似反射電波を生成する距離較正回路を備えるとき、前記制御論理部は、前記擬似反射電波に基づいたビート信号の測定電圧値により前記監視項目の1つとして送信出力を診断する構成とするとよい。
また、請求項4のように、送信電波にID情報を付加する構成であるとき、前記制御論理部は、前記監視項目の1つとしてID情報の有無を診断する構成とするとよい。
また、請求項5のように、前記センサ部に設けた発振器にヒータ及び温度センサを設け、温度センサの検出温度値に基づいて前記ヒータの通電量を制御して前記発振器の温度管理を行う構成であるとき、前記制御論理部は、前記温度管理情報に基づいて前記監視項目の1つとして発振器の送信周波数の安定度を診断する構成とするとよい。
また、請求項6のように、前記複数の監視項目は、送信出力、送信周波数、アンテナ部、ID情報及び距離較正回路を含むようにするとよい。
以上説明したように本発明の障害物検知装置によれば、センサ部の動作状態に関連する複数の監視項目の正常/異常を判定してセンサ部の動作状態を診断するので、従来と比較して自己診断の信頼性が向上し、延いては障害物検知装置の信頼性をより一層向上することができる。また、監視項目を適切に設定することで故障個所を特定することが可能であり、故障発生後の対応を迅速にできる。
また、送信電波にID情報を付加すれば、受信電波が外部からの電波か送信電波の反射波かを識別でき、外部電波に起因する誤判定を防止できる。
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明による障害物検知装置の実施形態を示す構成概要図で、踏切道内の障害物検知に適用した例を示す。
図1において、本実施形態の障害物検知装置は、障害物検知領域である踏切道内の人、車椅子、自転車及び自動車等の障害物の有無を検知するもので、センサ部1a,1b,1cと、反射板2a1,2a2b1,2c1,2c2と、制御論理部3とを備える。
踏切道4は、道路5と線路6a(上り方向),6b(下り方向)とが同一平面上で交差しており、道路5と線路6a,6bとの交差部分において道路5を横切って水平に張られる遮断棹7a,7bを有する遮断機8a,8bが設けられている。そして、この場合の障害物検知領域としての踏切道4は、道路5と線路6a,6bとの交差部分の道路5の長手方向の幅と、遮断機8a,8bの遮断棹7a,7bとで囲まれた略四辺形の領域内となる。
前記センサ部1a,1b,1cは、踏切道4の領域内に例えばミリ波帯の電波を送信し障害物(図示せず)からの反射電波を受信するもので、センサ部1a,1cは、遮断機8a,8bの遮断棹7a,7bの内側で、踏切道4を挟んでその対角方向に二つ一組で配置され、踏切道4のそれぞれの担当エリアに送信電波を放射し障害物からの反射電波を受信するようになっている。
尚、このとき、前記線路6a,6bよりも外側の所定距離(例えば、それぞれの軌道中心から約190cm程度)には、線路6a,6b上を走行する列車の車体がそれより外方に出っ張らないという車両限界線12a,12bが設定してあり、前記二つのセンサ部1a,1bはその車両限界線12a,12bより外側に配置される。
前記反射板2a1,2a2b1,2c1,2c2は、図1に示すように、踏切道4の両側の外方に踏切道4を挟んで前記各センサ部1a,1b,1cとそれぞれ対向するように設けられる。この反射板2a1,2a2b1,2c1,2c2は、各センサ部1a,1b,1cからの送信電波を各センサ部1a,1b,1cに向けて反射するもので、図1においては、第1のセンサ部1aに踏切道4を挟んで対向して反射板2a1,2a2b1が設けられ、第2のセンサ部1bに踏切道4を挟んで対向して反射板2a2b1が設けられ、第3のセンサ部1cに踏切道4を挟んで対向して反射板2c1,2c2が設けられている。そして、第1のセンサ部1a及び反射板2a1,2a2b1は、踏切道4の領域内の例えば上り方向の線路6a側のエリアを検知対象とし、第2のセンサ部1b及び反射板2a2b1は、線路6a,6b間の踏切道エリアを検知対象とし、第3のセンサ部1c及び反射板2c1,2c2は、踏切道4の領域内の例えば下り方向の線路6b側のエリアを検知対象とするものである。
前記制御論理部3は、センサ部1a,1b,1cに接続され、各センサ部1a,1b,1cの動作を制御すると共に、各センサ部1a,1b,1cにおいて受信した反射電波に基づいて生成される信号処理情報を用いて踏切道4内の障害物の有無を判定する。更には、センサ部1a,1b,1cから伝送される、センサ部1a,1b,1cの動作状態に関連する予め設定した複数の監視項目の監視情報に基づいて、前記監視項目の正常/異常を判定してセンサ部1a,1b,1cの診断を行う自己診断機能を備えるもので、センサ部の近傍又は所定の電気機器室等に設けられる。
そして、制御論理部3から出力される障害物の有無判定結果及び自己診断結果は、例えば鉄道交通システムの運行制御を行う地上制御装置14へ送出され、踏切道の遮断機の開閉や列車の運行停止等の制御に用いられる。尚、地上制御装置14は、所定の電気機器室等に設けられている。
次に、図2に前記センサ部1a,1b,1cの具体的な構成例を示し説明する。尚、センサ部1a,1cは、同一構成であり、センサ部1bはアンテナ数が異なるだけであるので、ここではセンサ部1aについて説明する。
図2において、本実施形態のセンサ部1aは、例えばFM−CW方式で、送信系20と、受信系30と、アンテナ部40と、信号処理部50と備える。
送信系20は、発振器21、アイソレータ23、方向性結合器24、サーキュレータ25及びアンテナ切替部26を備える。そして、送信系20では、発振器21で連続波の搬送波を発振し、この搬送波を変調回路22により例えば三角波(又は鋸波)で変調して送信電波とする。この際、本実施形態では、外部の電波と反射電波を識別するために、送信電波にID情報を付加して送信する。ID情報は、変調回路22の変調動作を制御して付加する。この送信電波を、アイソレータ23、方向性結合器24、サーキュレータ25を介してアンテナ切替部26に伝送し、アンテナ切替部26の切替動作により選択的にアンテナ部40又は受信系30の後述する距離較正回路33に送信すると共に、送信電波の一部を方向性結合器24から受信系30に送信する。
前記受信系30は、ミキサ31、増幅器32及び前記距離較正回路33を備える。そして、受信系30では、方向性結合器24を介して伝送される一部の送信電波と、アンテナ部40で受信されサーキュレータ25を介して伝送される反射電波とをミキサ31でミキシングしてビート信号を生成し、このビート信号を増幅器32で増幅して信号処理部50に伝送する。また、前記距離較正回路33は、遅延回路33a及び全反射回路33bで構成され、送信系20のアンテナ切替部26を介して送信電波が送信された時に遅延回路33aで遅延した後に全反射回路33bで反射させ、この反射波を遅延回路33aで再度遅延することにより、予め設定した所定時間遅延させた擬似的な反射電波を生成し、送信系20のアンテナ切替部26からサーキュレータ25を介して前記擬似反射電波をミキサ31に伝送する。ここで、距離較正回路33の擬似反射電波に基づくビート信号から得られる距離情報は、前記遅延時間に見合った距離値であり、遅延回路33aによる遅延時間を予め設定することで設定することができる。
前記アンテナ部40は、図1に示す反射板数に対応して本実施形態では2つのアンテナ40a,40bを備え、各アンテナ40a,40bは、それぞれ対応する図1に示す反射板2a1,2a2b1に対向して設けられ、アンテナ切替部26により送信系20に順次切替え接続され、障害物検知領域を実質的に走査するように送信電波を対向する反射板2a1,2a2b1に向けて順次放射して反射板2a1,2a2b1からの反射電波を受信する。尚、センサ部1bは、線路6aと線路6bの間の踏切道4領域が長く監視領域が広いときには、アンテナ数を増やこともある。この場合は反射板も増やす。また、センサ部1a,1cについてもアンテナ数は2つに限るものではなく、監視エリア領域の広さに応じて適切な数を設けるようにできる。
前記信号処理部50は、受信系30から伝送されるビート信号を信号処理して送信電波を反射した物体までの距離情報及び移動速度情報を生成する。また、制御論理部3からの制御情報に基づいて、アンテナ切替部26及び変調回路22に制御指令を出力し、アンテナ切替部26の切替動作及び変調回路22の変調動作を制御する。また、信号処理部50は、送信系20の発振器21に取付けた温度センサ27の検出温度値に基づいてヒータ28の通電を制御して発振器21の温度管理を行っている。
前記制御論理部3は、センサ部1aの信号処理部50にセンサ部1aの動作制御のための前記制御情報を伝送すると共に、信号処理部50からの距離情報及び移動速度情報を用いて踏切道4内の障害物の有無を判定する。また、信号処理部50から伝送される監視情報、即ち、前記センサ部の動作状態に関連する予め設定した複数の監視項目、具体的には、送信出力、送信周波数、アンテナ部の動作状態、送信電波に付加したID情報の有無、距離較正回路33の動作状態の5つの監視項目の監視情報に基づいて、これら監視項目の正常/異常を判定してセンサ部1aの自己診断を行う。
ここで、本実施形態の障害物検知装置の障害物検知原理を図3及び図4を参照して簡単に説明する。尚、ここでは三角波で変調した例を示す。
発振器21の連続波である搬送波の周波数を三角波で変調した送信電波をアンテナ部40から外部に放射すると、送信電波の周波数と時間の関係は図3のようになる。一方、物体から反射されて受信された反射電波は、物体との相対速度が零の場合は物体までの距離による時間遅れのみであり図3のようになり、物体との相対速度がある場合は相対速度によるドップラ周波数が重畳されるので、距離による時間遅れと相対速度に相当する周波数偏移を受け、図4のようになる。受信した反射電波を受信系30で送信電波の一部とミキシングすることによってビート信号が得られる。このビート信号は、相対速度が零の場合は図3のように一定周波数frであり、相対速度がある場合は図4のように変調サイクル毎に周波数は変化し、その変化は下記の式(1)、(2)のようになる。
fb1=fr−fd (1)
fb2=fr+fd (2)
fb1は周波数が増加する区間のビート周波数、fb2は周波数が減少する区間のビート周波数、frは相対速度が零のときのビート周波数、fdは相対速度に基づくドップラ周波数である。
従って、変調の各サイクル毎にビート信号周波数fb1,fb2を別々に測定すれば、下記の式(3)、(4)により、frとfd、即ち、物体との距離と速度を独立に求めることができる。
fr=(fb1+fb2)/2 (3)
fd=(fb1−fb2)/2 (4)
上述の障害物検知原理を用いた本実施形態の障害物検知装置の動作についてセンサ部1aを例に簡単に説明すると、制御論理部3からの制御情報に基づいて、センサ部1aの信号処理部50が変調回路22の変調動作を制御してID情報を付加した変調送信電波を生成する。これと同時に、制御論理部3からの制御情報に基づいて、信号処理部50はアンテナ切替部26の切替動作を制御して、アンテナ部40の各アンテナ40a,40bを順次送信系20に切替接続する。これにより、送信電波が各アンテナ40a,40bから順次反射板2a1,2a2b1に向けて放射され、その反射電波を順次受信する。受信した反射電波は、受信系30のミキサ31からビート信号として信号処理部50に伝送され、信号処理部50で信号処理され、ID情報があれば自身の送信電波に基づいた反射電波によりビート信号と判断して上述の演算式により距離情報及び速度情報が生成され、制御論理部3に伝送される。制御論理部3では、予め記憶されている反射板2a1,2a2b1までの各既知距離と信号処理部50から伝送された測定距離情報とを照合し、全て一致すれば反射板からの反射電波のみと判断して障害物なしと判定する。一方、既知距離と異なる測定値が存在する場合、速度情報から固定障害物か移動障害物かを判定する。
尚、ID情報の付加方法は、図5(A)に示すように各アンテナから放射する送信電波毎にIDを異ならせて付加してもよく、同図(B)に示すように同一のIDを所定周期毎に付加してもよい。
次に、制御論理部3における自己診断動作について説明する。
制御論理部3では、センサ部の動作状態に関連する予め設定した複数の監視項目として、発振器21の送信出力及び送信周波数、アンテナ部、距離較正回路33の各動作状態が正常か否か及びID情報の有無を周期的に診断する。
送信出力の診断は、ビート信号の電力値が送信出力に比例することから、距離較正回路33を利用して距離較正回路33から得られる前述した擬似反射電波のビート信号の電力値を電圧値に変換しその電圧値が正常範囲か否かを判定して行う。具体的には、送信出力診断時に、アンテナ切替部26により送信系20を距離較正回路33に接続して送信電波を送信する。これにより、距離較正回路33の擬似反射電波が受信系30で受信され、ミキサ31から信号処理部50に送信電波の出力に応じた電力値のビート信号が伝送される。信号処理部50では、ビート信号の電力値をA/D変換して電圧値に変換し制御論理部3に伝送する。制御論理部3には、電圧値の判定用閾値範囲が記憶されており、測定された電圧値が前記閾値範囲内であれば発振器21の送信出力は正常と判定する。
次に、送信周波数の安定度の診断は、発振器の発振周波数が発振器の温度により規定されていることから発振器21の温度管理状態に基づいて行う。具体的には、信号処理部50は、温度センサ27の検出温度値に基づいてヒータ28の通電を制御して発振器21を温度管理している。従って、ヒータ28の通電状態から発振器21の温度管理状態を推定できるので、制御論理部3は、信号処理部50から伝送されるヒータ28の通電量から発振器21の現状の温度を推定する。制御論理部3には、予め記憶されている判定用閾値温度範囲が記憶されており、前記推定温度が前記判定用閾値温度範囲内であれば発振器21の送信周波数の安定度は正常と判定する。
次に、アンテナ部40の動作状態の診断は、各反射板2a1,2a2b1までの距離の実測値に基づいて行う。具体的には、各アンテナ40a,40bから対応する反射板2a1,2a2b1に向けて実際に送信電波を放出し、受信された反射電波に基づいて反射板2a1,2a2b1までの距離をそれぞれ実測する。制御論理部3には、各反射板2a1,2a2b1までの各既知距離データに基づいて予め各判定用閾値距離範囲が記憶されており、各実測値が対応する各判定用閾値距離範囲内であればアンテナ部40は動作正常と判定する。尚、アンテナ部40の診断は、遮断桿7a,7bにより踏切道4が遮断されているときは障害物検知動作を優先するため、遮断桿7a,7bで踏切道4が遮断される直前或いは踏切道4が開放された直後に行うのが望ましい。
次に、制御論理部3は、信号処理部50から伝送されるID情報の有無を診断する。信号処理部50からの情報に所定のID情報が存在すればその送信フレームは正常と判定し付随する距離情報や速度情報を有効と判断し、ID情報がなければその送信フレームは異常と判定する。
次に、距離較正回路33の動作状態の診断は、距離較正回路33に送信電波を伝送したときにビート信号が得られたか否かを判定して行う。具体的には、予め設定した所定診断回数以上ビート信号が得られないときには距離較正回路33は異常と判定する。
そして、制御論理部3は、これら各監視項目の診断結果で異常判定があった場合は障害物ありの判定情報を出力するので、フェールセーフな構成となっている。
図6の表は、各監視項目とこれら監視項目の診断結果から故障判定可能なセンサ部各個所の関係を示したものであり、図で○印が故障判定可能であることを示す。
即ち、送信出力が異常と診断されたときは、送信系20と受信系30のいずれかが故障と判定できる。送信周波数が異常と診断されたときも送信系20と受信系30のいずれかが故障と判定できる。アンテナ部40の動作状態が異常と診断されたときは送信系20とアンテナ部40のいずれかが故障と判定できる。IDが異常と診断されたときは送信系20、アンテナ部40及び受信系30のいずれかが故障と判定できる。距離較正回路33が異常と診断されたときは送信系20と受信系30のいずれかが故障と判定できる。
以上のように、本実施形態の障害物検知装置によれば、従来と比較して自己診断のための監視項目を増加したことにより障害物検知装置の信頼性が向上する。また、故障個所を特定できるので故障後の対応を迅速にできる。更に、送信電波にID情報を付加するので、受信電波が外部からの電波か送信電波の反射波かを識別でき、外部電波に起因する誤判定を防止できる。
尚、上記実施形態では、アンテナを複数設けて送信電波を放射するアンテナを順次切換えることにより、障害物検知領域に対して送信電波が実質的に走査される構成としたが、
前述した特許文献1に記載されているように、アンテナ自体を回動可能な構成としてアンテナを回動させて障害物検知領域に対して送信電波を走査する構成としてもよい。
また、本実施形態では、障害物検知領域を踏切としたが、本発明はこれに限らず、障害物の有無を検知する必要がある場所であればどのような場所又は領域にも適用できることは言うまでもない。また、本実施形態では送信電波にID情報を付加する構成としたが、付加しなくともよい。
また、自己診断のための監視項目は上記実施形態のものに限定するものではなく、センサ部の動作状態に関連するその他の項目を追加してもよい。更に、監視項目数も本実施形態の5つに限定するものではなく、少なくとも2つ以上で、センサ部の送信系、アンテナ部、受信系のいずれの個所が故障かを判別できるように監視項目を選択することが望ましい。
本発明に係る障害物検知装置の一実施形態を示す構成概要図 センサ部の概略構成を示すブロック図 検出原理を説明するための相対速度零の場合における送信電波、反射電波及びビート周波数の関係を示す図 検出原理を説明するための相対速度がある場合における送信電波、反射電波及びビート周波数の関係を示す図 (A)ID情報の付加方法の一例を示す図、(B)ID情報の付加方法の別の例を示す図 自己診断する監視項目と判定可能な故障個所の関係を示す表
符号の説明
1a,1b,1c センサ部
2a1,2a2b1,2c1,2c2 反射板
3 制御論理部
4 踏切道
7a,7b 遮断桿
8a,8b 遮断機
20 送信系
27 温度センサ
28 ヒータ
30 受信系
33 距離較正回路
40 アンテナ部
50 信号処理部

Claims (6)

  1. 障害物検知領域の隅部に配置され前記障害物検知領域内に電波を送信し障害物からの反射電波を受信するセンサ部と、
    前記障害物検知領域を挟んで前記センサ部と対向して設けられセンサ部からの送信電波を反射する反射板と、
    前記センサ部の動作を制御すると共に、前記センサ部で受信した反射電波の信号処理情報に基づいて前記障害物検知領域内の障害物の有無を判定する制御論理部とを備えた障害物検知装置であって、
    前記制御論理部は、前記センサ部の動作状態に関連する予め設定した複数の監視項目の正常/異常を判定し、該判定結果に基づいて前記センサ部を診断する自己診断機能を備える構成であることを特徴とする障害物検知装置。
  2. 前記センサ部は、前記送信電波を生成する送信系と、前記送信電波を前記障害物検知領域内に放射して反射電波を受信するアンテナ部と、該アンテナ部から伝送される反射電波を受信処理する受信系とを備える構成であり、前記制御論理部は、前記監視項目の判定結果から前記センサ部のいずれの個所が故障かを診断可能な構成とした請求項1に記載の障害物検知装置。
  3. 前記センサ部が、予め設定した所定時間遅延された擬似反射電波を生成する距離較正回路を備えるとき、前記制御論理部は、前記擬似反射電波に基づいたビート信号の測定電圧値により前記監視項目の1つとして送信出力を診断する構成とした請求項1又は2に記載の障害物検知装置。
  4. 送信電波にID情報を付加する構成であるとき、前記制御論理部は、前記監視項目の1つとしてID情報の有無を診断する構成とした請求項1〜3のいずれか1つに記載の障害物検知装置。
  5. 前記センサ部に設けた発振器にヒータ及び温度センサを設け、温度センサの検出温度値に基づいて前記ヒータの通電量を制御して前記発振器の温度管理を行う構成であるとき、前記制御論理部は、前記温度管理情報に基づいて前記監視項目の1つとして発振器の送信周波数の安定度を診断する構成とした請求項1〜4のいずれか1つに記載の障害物検知装置。
  6. 前記複数の監視項目は、送信出力、送信周波数、アンテナ部、ID情報及び距離較正回路を含む請求項1〜5のいずれか1つに記載の障害物検知装置。
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