JP2005116398A - 非水電解液二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】電池の充放電サイクルに伴う容量低下を抑制して高い動作電圧を実現する非水電解液二次電池を提供する。
【解決手段】負極と正極とリチウム塩を含む電解液とを有した非水電解液二次電池において、前記電解液に、下記一般式1(但し、Xは、アルキレン基、又は直鎖に二重結合を含むアルキレン基であって、炭素数は1〜3である)で表される環状ジエーテルを少なくとも1種含有させることにより、上記課題を解決した。又は、前記電解液に、重合反応により正極表面に被膜を形成する環状ジエーテルを少なくとも一種含有させることにより、上記課題を解決した。
【化3】
Figure 2005116398




Description

本発明は、非水電解液二次電池に関し、更に詳しくは、環内に不飽和結合を持つ環状ジエーテルを少なくとも一種含有する非水電解液を用いた非水電解液二次電池に関するものである。
リチウムイオン二次電池は、高電圧で高エネルギー密度を有するので、近年、携帯型電子機器やパソコン等の用途に広く利用されている。そして、今後は、自動車用途への適応が期待されている。しかし、そうしたリチウムイオン二次電池は、サイクル特性の改善、特に高温環境下におけるサイクル特性の劣化を抑制することが重要な技術的課題となっている。
リチウム二次電池は、正極と負極と電解液とで主に構成され、その電解液には、リチウム塩を含む電解質と有機溶媒とが主に含まれている。
こうしたリチウムイオン二次電池用の電解液を構成する有機溶媒としては、従来、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネートが使用されている。上記のエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネートは誘電率が高いという特徴を持つが、溶媒としては粘度が高く、単独での使用は困難であった。そのため、リチウムイオン二次電池用電解液を構成する有機溶媒は、比較的粘度の高い有機溶媒である環状カーボネートと、粘度の低い有機溶媒であるジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート等の鎖状カーボネートとを混合して用いられている。
リチウム二次電池を充放電する際、電解液が接触する負極表面及び正極表面では、電解液の還元作用又は酸化作用が非常に強い環境になる。そのため、電極表面では電解液の還元反応や酸化反応が避けられず、電解液は電極を構成する材料(電極活物質)との間で副反応を起こして分解してしまう。したがって、長期にわたってリチウム二次電池の充放電が繰り返されると、電池の容量劣化が生じるという問題があった。
電池の容量劣化の問題に対しては、電解液に添加剤を加えることによりその改善を図ろうとする研究が従来から行われている。例えば、下記特許文献1には、芳香族化合物を電解液に添加することにより、電解液中の有機溶媒の酸化を防ぐことが報告されている。これは、電解液に添加された芳香族化合物を優先的に酸化分解させることにより、有機溶媒の分解を防ぐという技術である。
また、下記特許文献2には、窒素含有不飽和環状化合物を電解液に添加することにより、高電圧正極を用いた場合のサイクル特性を向上させる技術が報告されている。
特開2003−7334号公報 特開2003−115324号公報
しかしながら、芳香族化合物を電解液に添加して電解液中の有機溶媒の酸化を防止する上記特許文献1に記載の技術では、電解液の酸化反応を起こし易い正極表面では依然として酸化反応が生じて電解液の分解が起こり、サイクル特性改良の効果は十分とは言えなかった。
また、窒素含有不飽和環状化合物を電解液に添加してサイクル特性の向上を図った上記特許文献2に記載の技術では、負極の充放電効率を向上させるものの、正極の充放電効率を向上させるものではなく、サイクル特性を十分に向上させるものではなかった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、電池の充放電サイクルに伴う容量低下を抑制して高い動作電圧を実現する非水電解液二次電池の提供を目的とする。
上記課題を解決するための本発明の非水電解液二次電池は、負極と正極とリチウム塩を含む電解液とを有した非水電解液二次電池において、前記電解液が、下記一般式1で表される環状ジエーテルを少なくとも1種含有することを特徴とする。このとき、Xは、アルキレン基、又は直鎖に二重結合を含むアルキレン基であって、炭素数は1〜3である。
Figure 2005116398
上記課題を解決するための本発明の非水電解液二次電池は、負極と正極とリチウム塩を含む電解液とを有した非水電解液二次電池において、重合反応により正極表面に被膜を形成する環状ジエーテルを、前記電解液が少なくとも1種含有することを特徴とする。
これらの発明によれば、環内に不飽和結合を有する環状ジエーテルが電解液中に含まれているので、充放電時にその環状ジエーテルが正極表面で酸化重合され、正極表面に被膜が形成される。そのため、その被膜の作用により、正極と電解液との直接接触が起こらず、正極と電解液との副反応を抑制することができる。したがって、本発明によれば、正極と電解液との反応に起因する電池劣化を防ぐことができ、サイクル特性に優れたものとなる。
本発明は、上記の非水電解液二次電池において、前記電解液中の環状ジーテルの含有量が0.01〜10体積%であることが好ましい。
環内に不飽和結合を有する環状ジエーテルの電解液中の含有量はその目的に応じて適宣選択されるが、その含有量は、正極表面での被膜の形成に十分な量であればよい。この発明によれば、環内に不飽和結合を有する環状ジエーテルが電解液中に0.01体積%以上含有されていれば、正極と電解液との副反応を抑制する被膜を正極表面に形成できる。一方、電解液中の環状ジエーテルの含有量が10体積%を超えると、電解液の粘度が上昇して電解液の導電率が低下してしまうので、十分な電池特性改善効果が得られなくなってしまう。したがって、本発明によれば、サイクルに伴う容量低下が実用的な範囲内に止まるように抑制し、高い動作電圧を実現する非水電解液二次電池を提供することができる。
本発明は、上記の非水電解液二次電池において、前記環状ジエーテルが1,4−ジオキセン又は1,4−ジオキシンであることが好ましい。
この発明によれば、前記環状ジエーテルとして、1,4−ジオキセン又は1,4−ジオキシンを用いた場合に、特に優れた電池特性改善効果を示すことができる。これは、それらの環状ジエーテルを用いた場合、正極表面に形成される被膜が緻密になるので、電解液の分解反応を抑制する効果が大きくなるためである。したがって、1,4−ジオキセン又は1,4−ジオキシンを用いた場合、サイクル特性に優れ、高い動作電圧に優れた非水電解液二次電池を提供することができる。
本発明は、上記の非水電解液二次電池において、前記電解液がルイス塩基を含むことを特徴とする。
この発明によれば、電解液がルイス塩基を含むので、環状ジエーテルが電解液中で重合してしまうのを抑制することができる。その結果、環状ジエーテルの正極表面での被膜形成作用が促進されるので、電解液がルイス塩基を含む本発明の非水電解液二次電池は、サイクル特性に優れ、高い動作電圧を実現することができる。
本発明は、上記の非水電解液二次電池において、前記正極が正極活物質としてLiMMn2−x(0<x<1.2であり、MはCo、Ni、Cr、Cu、Fe及びTiから選ばれる1種又は2種以上の元素である)を含むことを特徴とする。
この発明によれば、正極中に含まれる上記の正極活物質と電解液中の上記の環状ジエーテルとの作用により、環状ジエーテルの酸化重合が促進され、正極表面での被膜形成作用が特に顕著になる。なお、高温下でのサイクル特性劣化の一因としてMn溶出が挙げられるが、環内に不飽和結合を有する環状ジエーテルを含有する電解液を用いることにより正極表面に被膜が形成されるので、そうしたMnの溶出現象が抑制される。その結果、特に電池特性改善の効果が大きくなり、サイクル特性に優れ、高い動作電圧を実現する非水電解液二次電池となる。
本発明の非水電解液二次電池によれば、正極表面での電解液の分解反応を抑制することができるので、充放電サイクルに伴う容量の低下を抑制でき、高い動作電圧を実現できる。
以下に本発明の非水電解液二次電池の実施の形態について説明する。
本発明の非水電解液二次電池は、負極と正極とリチウム塩を含む有機溶媒系の非水電解液とを有した非水電解液二次電池であり、その電解液が正極表面に被膜を形成する環状ジエーテルを少なくとも1種含有する点に特徴がある。
最初に、非水電解液二次電池を構成する電解液について詳しく説明する。
電解液に少なくとも一種含まれる環状ジエーテルは、環内に不飽和二重結合を有する上記一般式1で表される基本骨格を有するものであれば特に限定されるものではない。例えば、特に好ましいものとしては、1,4−ジオキシン、1,4−ジオキセンが挙げられる。
また、環内に不飽和二重結合を有する環状ジエーテルとして、例えば、3,6−ジハイドロ−1,2−ジオキシン、4−メチル−1,3ジオキシル、4,7−ジハイドロ−1,3−ジオキシピン、2,4−ジメチル−1,3−ジオキソル等を挙げることもできる。
環状ジエーテルは、電解液中に0.01〜10体積%の範囲内で含有されていることが好ましい。電解液中にこの範囲内の環状ジエーテルが含まれていることにより、正極と電解液との副反応を抑制する緻密な被膜が、初回の充放電時に正極表面に形成される。環状ジエーテルの含有量が0.01体積%未満では、そうした被膜の形成が不十分となることがある。一方、環状ジエーテルの含有量が10体積%を超えると、電解液の粘度が上昇して電解液の導電率が低下することがあるので、十分な電池特性の改善の効果が十分でないことがある。
環状ジエーテルとして、特に1,4−ジオキシン及び1,4−ジオキセンの一方又は両方を用いることが好ましい。これらの一方又は両方を含む電解液は、初回の充放電時に正極表面に緻密な被膜を形成することができるので、充放電サイクル特性を改善する効果が大きいという利点がある。なお、正極表面に形成される被膜は、リチウムイオン伝導性は有するが電子伝導性は無いので、電池の充放電を妨げることがない。したがって、環内に不飽和結合を有する上記環状ジエーテルを含有する電解液は、高電位の電池用の電解液としても好ましく用いることができる。
また、環内に不飽和結合を有する環状ジエーテルは、電解液の誘電率を大きくすることができる環状カーボネート化合物との混合溶媒として用いることが好ましい。環状カーボネート化合物としては、例えば、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)等が挙げられる。混合溶媒とする場合における環状ジエーテルと環状カーボネートとの配合比は特に制限されず、誘電率の調整等の目的に応じて適宣選択される。
また、上記環状ジエーテルは、粘度を低減等することができる鎖状モノカーボネートとの混合溶媒として用いることが好ましい。鎖状モノカーボネートとしては、例えば、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)等が挙げられる。混合溶媒とする場合における環状ジエーテルと鎖状モノカーボネートとの配合比は特に制限されず、粘度低減等の目的に応じて適宣選択される。
上記電解液を構成する、環状ジエーテル、環状カーボネート、及び鎖状カーボネートの好ましい配合比としては、[環状ジエーテル]:[環状カーボネート及び鎖状カーボネート]で、0.01:99.9〜10:90を例示でき、特に好ましい配合比としては、0.01:99.9〜5:95を例示できる。
本発明の非水電解液二次電池を構成する電解液には、上記環状ジエーテルと共に、他の非水溶媒を含有させることもできる。他の非水溶媒は特に制限されるものではなく、例えば、ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸エチル等の脂肪族カルボン酸エステル類、γ−ブチロラクトン等のγ−ラクトン類、1、2−エトキシエタン(DEE)、エトキシメトキシエタン(EME)等の鎖状エーテル類、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等の環状エーテル類、ジメチルスルホキシド、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、プロピルニトリル、ニトロメタン、エチルモノグライム、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1、3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、エチレンカーボネート誘導体、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エチルエーテル、アニソール、N−メチルピロリドン、等を用いることができる。この場合においても、環状ジエーテルが上記含有量の範囲内であることを条件として、他の溶媒の種類と配合量が適宣選択される。
本発明の非水電解液二次電池を構成する電解液は、第三級アミン、亜燐酸エステル等のルイス塩基を含んでいることが好ましい。例えば、電解液中にPFが存在した場合、上記の環状ジエーテルはそのPFが開始剤として作用し、正極表面で酸化重合せず、電解液中で酸化重合してしまうおそれがある。しかしながら、電解液中にルイス塩基が含まれる場合には、そのルイス塩基が、重合反応の開始剤として作用するPFの濃度を実質的に低下させるので、電解液中での重合反応を抑制することができる。こうした効果を奏するルイス塩基の含有量としては、その種類によっても異なるが、通常、電解液の0.01体積%〜3体積%程度であることが好ましい。ルイス塩基としては、例えば、トリエチルアミン、トリフェニルアミン、亜リン酸トリ(トリフルオロメチル)、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル等を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
リチウム塩は、電解液を構成する電解質であって、電解液を構成する溶媒に溶解した状態で電解液中に存在している。リチウム塩としては、例えば、LiPF、LiAsF、LiAlCl、LiClO、LiBF、LiSbF、LiCFSO、LiCCO、LiC(CFSO、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiB10Cl10、低級脂肪族カルボン酸カルボン酸リチウム、クロロボランリチウム、四フェニルホウ酸リチウム、LiCl、LiBr、LiI、LiSCN、LiCl、イミド類、等が挙げられる。また、有機溶媒に溶解させて用いる上記のリチウム塩に代えて、リチウムイオンを含むポリマー電解質を、本発明における電解質として用いてもよい。
電解液中に含まれるリチウム塩の濃度は、例えば、0.5mol/L(リットル)〜1.5mol/Lの範囲内であることが好ましい。リチウム塩の濃度が1.5mol/Lを超えると、電解液の粘度が増加し電気伝導率が低くなるという難点がある。一方、リチウム塩の濃度が0.5mol/L未満では、リチウムイオンの数が少ないため、電解液中の電気伝導率が低くなるという難点がある。
次に、非水電解液二次電池を構成する正極、負極、セパレータ等について説明する。
正極に用いる正極活物質は、特に限定されるものではなく、その目的に応じて適宣選択し、使用することができる。正極活物質の具体例としては、TiS、TiS、MoS、FeS、FeS、CuCoS等の金属硫化物、V、V13、MnO、MnO、CuO、Cu10、Cr、TiO等の金属酸化物、NbSe、VSe等のセレン化物、LiVO、LiCrO、LiFeO、LiNiO、LiCoO、LiMnO、LiMn、Li[LiMn2−x−y]O(xとyは、0<x<0.33、0<y<0.5の範囲内であり、Mは、Cr、Ni、Co、Fe及びTiから選ばれる1又は2以上の元素である。)、Li[MMn2−x]O(xは0<x<0.5の範囲内であり、Mは、Cr、Ni、Cu、Co、Fe及びTiから選ばれる1又は2以上の元素である。)、LiMPO(Mは、Co、Mn及びFeから選ばれる1又は2以上の元素である。)等のアルカリ金属含有複合酸化物、等が挙げられる。
これらのうち、リチウムマンガン酸化物を用いた場合には、電池特性改善の効果が得られ易いので好ましい。例えば、リチウムマンガン酸化物であるLiMMn2−x(xは0<x<1.2の範囲内であり、Mは、Co、Ni、Cr、Cu、Fe、及び Tiから選ばれる1又は2以上の元素である。)を正極活物質とした正極を用い、さらに上記の環状ジエーテルを含有する電解液と共に非水電解液二次電池を構成した場合には、充放電サイクルに伴う容量低下を抑制でき、さらに高温での信頼性の低下を抑制でき、さらに高い動作電圧を提供できるといった顕著な電池特性の改善効果が得られる。
なお、リチウムマンガン酸化物を正極材料として用いた場合には、高温下でのMn溶出現象に起因したサイクル特性の劣化が指摘されているが、本発明においては、上記の環状ジエーテルを電解液中に含んでいるので、正極表面に形成される被膜の作用により、正極からのMnの溶出を抑制することができる。その結果、高温下での問題が解決でき、高温での電池特性が改善され、信頼性の低下が起こらない非水電解液二次電池となる。
正極は、上述した正極活物質、導電性付与剤及び結着剤を混合し、得られた混合物を正極集電体上に塗布等することにより作製される。導電付与剤としては、炭素材料の他、Al等の金属物質、導電性酸化物の粉末等を使用することができる。結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン等が用いられる。正極集電体としては、Al等を主体とする金属薄膜が用いられる。
導電付与剤は、得られる正極全体の1〜10質量%程度となるように混合することが好ましい。また、結着剤も得られる正極全体の1〜10質量%程度となるように混合することが好ましい。導電付与剤と結着剤をこうした範囲とした結果、正極活物質の質量割合が大きくなるので、質量毎の容量を大きくすることができる。なお、導電付与剤と結着剤の混合量が少なすぎると、正極の導電性が保てなくなったり、正極集電体から電極部分が剥離し易くなる等の問題が生じることがある。
負極については、リチウムイオンを充電時に吸蔵し、放電時に放出することができれば、その電池材料としては特に限定されるものでなく、公知のものを用いることができる。リチウムイオンを電気化学的に吸蔵及び放出することが可能な負極用材料の具体例としては、黒鉛、コークス等の炭素材料、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−鉛合金、リチウム−錫合金等のリチウム合金、リチウム金属、Si、SnO、SnO、TiO、NbSiO等のように、電位が正極活物質に比べて卑となる金属酸化物を好ましく挙げることができる。
負極は、前記の負極活物質、導電付与剤及び結着剤を混合して得られた混合物を、負極集電体上に塗布等することにより作製される。導電付与剤としては、炭素材料の他、導電性酸化物の粉末等を使用することができ、結着剤としては、正極の結着剤と同様にポリフッ化ビニリデン等を用いることができ、負極集電体としては、Cu等を主体とする金属薄膜を用いることができる。
以上説明した各構成を有する非水電解液二次電池は、乾燥空気又は不活性ガス雰囲気中で、正極及び負極をセパレータを介して積層し、又は積層したものを捲回し、その後に電池缶に収容し、その後、合成樹脂と金属箔との積層体からなる可とう性フィルム等で封口して製造される。本発明の非水電解液二次電池は、その電池形状に制限はなく、セパレータを挟んで対向した正極と負極を捲回した捲回型の形態や、セパレータを挟んで対向した正極と負極とを順次積層した積層型の形態等を採ることが可能であり、セルにも、コイン型、ラミネートパック、角型セル、円筒型セル等を用いることができる。
図1は、本発明の非水電解液二次電池の一実施形態を示すコインタイプのセルの断面図である。
図1に示す非水電解液二次電池は、正極集電体3及び正極活物質層1からなる正極と、負極集電体4及び負極活物質層2からなる負極とを有し、その正極と負極の間には絶縁体としてのセパレータ5が挟まれている。また、正極活物質にはリチウム含有金属複合酸化物を用い、負極活物質にはリチウムを吸蔵放出可能な材料を用いている。正極と負極はリチウムイオン伝導性の電解液に浸った状態である。この電解液は、上述したように重合反応により正極表面に被膜を形成する環状ジエーテルを少なくとも1種含有するものである。これらが正極外装缶6及び負極外装缶7の中に、絶縁パッキング部8により密閉された状態となっている。なお、符号9の白抜き部分は電池内部に存在する隙間空間である。正極と負極に電圧を印加することにより、正極活物質がリチウムイオンを放出し、負極活物質がリチウムイオンを吸蔵し、電池は充電状態となる。放電状態では充電状態と逆の状態となる。本発明の非水電解液二次電池は、初回の充放電時に、正極表面に上記環状ジエーテルの重合被膜が形成される。
以下、本発明を実施例と比較例により詳細に説明する。
(実施例1)
最初に正極活物質を作製した。MnO、NiO、LiCOの粉末を正極活物質用の原料とし、各金属が目的の組成比になるようにそれぞれ秤量した。これら3種類の物質を平均粒径が5μmになるようメノウ乳鉢を用いて粉砕し、混合した。混合後の粉末を750℃で8時間焼成して、正極活物質であるLiNi0.5Mn1.5を得た。得られたLiNi0.5Mn1.5は、X線回折装置での測定により、ほぼ単相のスピネル構造であることを確認した。
次に正極を作製した。N−メチルピロリドンに結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を溶かしたものと、作製した正極活物質と、導電付与剤である炭素とを混合し、分散させ、スラリー状の正極材料を調製した。このとき、その正極材料に含まれる正極活物質、導電性付与剤、及び結着剤の質量比が88/6/6となるよう調製した。Al集電体上にそのスラリー状の正極材料を塗布し、続いて、スラリー状の正極材料が塗布されたAl集電体を、真空中で12時間乾燥させた後、直径12mmの円に切り出した。その後、3×107kg/mで加圧成形し、正極とした。
次に負極を作製した。N−メチルピロリドンに結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を溶かしたものと、負極活物質としての難黒鉛化炭素と、導電付与剤である炭素とを混合し、分散させ、スラリー状の負極材料を調製した。このとき、その負極材料に含まれる負極活物質、導電性付与剤、及び結着剤の質量比が91/1/8となるよう調製した。Cu集電体上にスラリー状の負極材料を塗布し、続いて、このスラリー状負極材料が塗布されたCu集電体を、真空中で12時間乾燥させた後、直径13mmの円に切り出した。その後、1×107kg/mで加圧成形し負極とした。
次に電解液を作製した。環状カーボネートであるエチレンカーボネート(EC)と鎖状カーボネートであるジメチルカーボネート(DMC)と1,4−ジオキサンを40:50:10(vol%)の割合となるように混合し、この混合溶媒にLiPFを1mol/Lとなるように溶解し、電解液とした。
次に、上述の正極、負極、及び電解液とからリチウム二次電池を作製した。コインセル内に、正極と負極とをセパレータを介在させて絶縁状態に対向配置し、電解液を満たして密閉した。セパレータにはポリプロピレン(PP)のフィルムを使用した。
このようにして作製した電池について充放電サイクル特性を評価した。具体的には充放電電流を2mAとし、充電終止電圧を4.8V、放電終止電圧を2.5Vとして、45℃で300サイクル繰り返し、300サイクル目の放電容量の1サイクル目の放電容量に対する比を放電容量維持率として算出した。
(実施例2)
実施例1において、電解液に含まれる有機溶媒として、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)と1,4−ジオキセンとを40:50:10(vol%)の割合となるように混合したものを用いた以外は、実施例1と同様にリチウム二次電池を作製し、実施例1と同じ条件及び方法で充放電サイクル特性の評価を行った。
(実施例3)
実施例1において、電解液に含まれる有機溶媒として、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)と3,6−ジハイドロ−1,2−ジオキシンを40:50:10(vol%)の割合となるように混合したものを用いた以外は、実施例1と同様にリチウム二次電池を作製し、実施例1と同じ条件及び方法で充放電サイクル特性の評価を行った。
(実施例4)
実施例1において、電解液に含まれる有機溶媒として、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)と4−メチル−1,3ジオキシルを40:50:10(vol%)の割合となるように混合したものを用いた以外は、実施例1と同様にリチウム二次電池を作製し、実施例1と同じ条件及び方法で充放電サイクル特性の評価を行った。
(実施例5)
実施例1において、正極活物質としてLiNi0.5Mn1.35Ti0.15を用い、電解液に含まれる有機溶媒として、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)と1,4−ジオキセンとを40:50:10(vol%)の割合となるように混合したものを用いた以外は、実施例1と同様にリチウム二次電池を作製し、同じ条件及び方法で充放電サイクル特性の評価を行った。このとき、LiNi0.5Mn1.35Ti0.15の作製は以下のように行った。MnO、NiO、LiCO、Ti、LiFの粉末を正極活物質用の原料とし、各金属が目的の組成比になるようにそれぞれ秤量した。これら5種類の物質を平均粒径が5μmになるようメノウ乳鉢を用いて粉砕し、混合した。混合後の粉末を750℃で8時間焼成して、正極活物質であるLiNi0.5Mn1.35Ti0.15を得た。X線回折装置での測定により、得られたLiNi0.5Mn1.35Ti0.15は、ほぼ単相のスピネル構造であることを確認した。
(実施例6)
実施例1において、正極活物質としてLiNi0.5Mn1.35Ti0.15を用い、電解液に含まれる有機溶媒として、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)と1,4−ジオキセンとトリエチルアミンを40:48:10:2(vol%)の割合となるように混合したものを用いた以外は、実施例1と同様にリチウム二次電池を作製し、実施例1と同じ条件及び方法で充放電サイクル特性の評価を行った。LiNi0.5Mn1.35Ti0.15は実施例5と同様に作製した。
(実施例7)
実施例1において、電解液に含まれる有機溶媒として、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)と1,4−ジオキサンを42:53:5(vol%)の割合となるように混合したものを用いた以外は、実施例1と同様にリチウム二次電池を作製し、実施例1と同じ条件及び方法で充放電サイクル特性の評価を行った。
(実施例8)
実施例1において、電解液に含まれる有機溶媒として、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)と1,4−ジオキサンを44:55:1(vol%)の割合となるように混合したものを用いた以外は、実施例1と同様にリチウム二次電池を作製し、実施例1と同じ条件及び方法で充放電サイクル特性の評価を行った。
(実施例9)
実施例1において、正極活物質としてLiMnを用い、電解液に含まれる有機溶媒としてエチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)と1,4−ジオキセンとを40:50:10(vol%)の割合となるように混合したものを用いた以外は、実施例1と同様にリチウム二次電池を作製した。このとき、LiMnは以下のように作製した。MnO、LiCOの粉末を正極活物質用の原料とし、各金属が目的の組成比になるように秤量した。これら2種類の物質を平均粒径が5μmになるようメノウ乳鉢を用いて粉砕し、混合した。混合後の粉末を700℃で8時間焼成して、正極活物質であるLiMnを得た。得られたLiMnは、X線回折装置での測定により、ほぼ単相のスピネル構造であることを確認した。充放電サイクル特性の評価は、45℃の恒温槽内で、充放電電流を2mAとし、充電終止電圧を4.2V、放電終止電圧を2.5Vとして300サイクル繰り返し、300サイクル目の放電容量の1サイクル目の放電容量に対する比を放電容量維持率として算出した。
(比較例1)
実施例1において、電解液に含まれる有機溶媒として、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)を50:50(vol%)の割合となるように混合したものを用いた以外は、実施例1と同様にリチウム二次電池を作製し、実施例1と同じ条件及び方法で充放電サイクル特性の評価を行った。
(比較例2)
実施例1において、正極活物質としてLiNi0.5Mn1.35Ti0.15を用い、電解液に含まれる有機溶媒として、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)を50:50(vol%)の割合となるように混合した溶媒を用いた以外は、実施例1と同様にリチウム二次電池を作製し、実施例1と同じ条件及び方法で充放電サイクル特性の評価を行った。このとき、LiNi0.5Mn1.35Ti0.15は実施例5と同様に作製した。
(比較例3)
実施例1において、正極活物質としてこのLiMnを用い、電解液に含まれる有機溶媒として、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)を50:50(vol%)の割合となるように混合したものを用いた以外は、実施例1と同様にリチウム二次電池を作製した。このとき、LiMnは実施例9と同様に作製した。充放電サイクル特性の評価は、45℃の恒温槽内で、充放電電流を2mAとし、充電終止電圧を4.2V、放電終止電圧を2.5Vとして300サイクル繰り返し、300サイクル目の放電容量の1サイクル目の放電容量に対する比を放電容量維持率として算出した。
(評価結果)
Figure 2005116398
表1から明らかなように、比較例1〜3に示す、正極と溶媒の組み合わせからなる系に、環内に不飽和結合を持つ環状ジエーテルを加えることにより、サイクル試験後の容量維持率が向上した。
本発明に係る非水電解二次電池の例を示す。
符号の説明
1 正極活物質層
2 負極活物質層
3 正極集電体
4 負極集電体
5 セパレータ
6 正極外装缶
7 負極外装缶
8 絶縁パッキング部
9 隙間空間

Claims (6)

  1. 負極と正極とリチウム塩を含む電解液とを有した非水電解液二次電池において、前記電解液が、下記一般式1で表される環状ジエーテルを少なくとも1種含有することを特徴とする非水電解液二次電池(但し、Xは、アルキレン基、又は直鎖に二重結合を含むアルキレン基であって、炭素数は1〜3である)。
    Figure 2005116398
  2. 負極と正極とリチウム塩を含む電解液とを有した非水電解液二次電池において、前記電解液が、重合反応により正極表面に被膜を形成する環状ジエーテルを少なくとも1種含有することを特徴とする非水電解液二次電池。
  3. 前記電解液中の環状ジーテルの含有量が0.01〜10体積%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の非水電解液二次電池。
  4. 前記環状ジエーテルが1,4−ジオキセン又は1,4−ジオキシンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水電解液二次電池。
  5. 前記電解液がルイス塩基を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の非水電解液二次電池。
  6. 前記正極が正極活物質としてLiMMn2−x(0<x<1.2であり、MはCo、Ni、Cr、Cu、Fe及びTiから選ばれる1種又は2種以上の元素である)を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の非水電解液二次電池。
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