以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、入射放射線の強度に応じて発光を行うシンチレータ部と、シンチレータ部で発生した光を光電変換する光電変換部とを、基板上に配置してなり、該シンチレータ部と該光電変換部とを基板を介して配置させた、すなわち、シンチレータ部と光電変換部の間に基板を配置した構造を有する放射線画像検出装置に関するものである。
最初に本発明に係る放射線画像検出装置が使用される診断システムの一例を図1を用いて説明する。
図1に示す様に、放射線発生器10で発生した放射線を被写体15に照射し、本発明に係る放射線画像検出装置20は、被写体15からの放射線情報を検出し、放射線の情報をデジタルの画像信号に変換する。本発明で使用される放射線は、例えば、波長が1×10-10m程度のX線が使用される。放射線発生器10は、一般に固定陽極あるいは回転陽極を有するX線管を有し、X線管の陽極に10kV〜300kV、好ましくは20kV〜150kVの負荷電圧を付与してX線を発生させる。
放射線画像検出装置20により変換された画像信号は、放射線画像検出装置20より画像処理部51に供給される。画像処理部51では、放射線画像検出装置20より供給されたデジタル画像信号にシェーディング補正やゲイン補正、階調補正、エッジ強調処理、ダイナミックレンジ圧縮処理等の処理を行って、画像信号を診断等に適した画像信号に変換する。また、画像処理部51は、画像表示部52を接続し、画像処理部51による画像処理中の画像信号や画像処理を完了させた画像信号を画像表示部52に画像表示することが可能である。
また、画像処理部51は、キーボードやマウス等より構成される情報入力部53を接続しており、情報入力部53を介して被写体15に関する情報入力を行って画像信号に情報を付加することが可能である。また、情報入力部53を介して画像処理の指定や画像信号の保存、読出し、ネットワークを介しての画像信号の送受信指示等を行う。
画像処理部51は、ネットワークを介して、出力媒体上に放射線画像を出力する画像出力部54や、放射線画像を画像信号の状態で保存する画像保存部55、撮影された放射線画像にコンピュータによる解析を行い、病変の見落としがない様に診断支援を行うコンピュータ支援画像自動診断部(CAD)56と接続する。
画像出力部54は、具体的には、インクジェットプリンタ、溶融または昇華方式のサーマルプリンタ、レーザプリンタ等の非銀塩の記録媒体を用いるものや、銀塩写真フィルムを用いるものが挙げられる。
また、本発明に係る放射線画像検出装置20により得られた放射線画像の画像信号は、LANやWAN、インターネット及びPACS(医療画像ネットワーク)等のネットワーク60を介して、病院施設内のほかの部署あるいは遠隔地に送付することも可能である。
次に、本発明に係る放射線画像検出装置の構造について説明する。図2は、本発明に係る放射線画像検出装置20の具体的な外観図である。放射線画像検出装置20は、照射された放射線を受けて放射線情報をデジタル画像信号に変換する撮像パネル21、放射線画像検出装置20の動作を制御する制御回路30、撮像パネル21で変換された画像信号を記憶するメモリ部31、放射線画像検出装置20の動作を切り換える操作部32、放射線画像の撮影準備完了やメモリ部31への画像信号の書込みを表示する表示部33、撮像パネル21より画像信号を得るために必要な電力供給を行う電源部34、放射線画像検出装置20と前述の画像処理部51との間で通信を行うための通信用のコネクタ35、及びこれらを収納する筐体40より構成される。
撮像パネル21は、照射された放射線の強度に応じて蓄積された電気エネルギーを読み出す走査駆動回路25や、蓄積された電気エネルギーを画像信号として出力する信号選択回路27を有する。なお、筐体40の内部や走査駆動回路25、信号選択回路27、制御回路30、メモリ部31等は、図示しない放射線遮蔽部材で覆われており、筐体40の内部での放射線散乱や、各回路への放射線照射を防止する。
筐体40は、アルミニウムやアルミニウム合金等の軽量で耐久性を有する素材で構成される。筐体40の放射線入射面側は、カーボン繊維等の放射線を透過し易い材料で形成される。また、放射線入射面とは逆側にあたる背面側には鉛板等の放射線吸収材料を設け、放射線画像検出装置20を透過した放射線や、放射線画像検出装置20の構成素材の放射線吸収により発生する2次放射線が装置外に漏洩することを防ぐ。
撮像パネル21について、図2と3を用いて詳細に説明する。撮像パネル21は、放射線の照射により蛍光発光を行うシンチレータ部212とその下方にシンチレータ部212で発生した蛍光を光電変換する光電変換部213を有する。光電変換部213は、図2に示す様に、格子状に2次元配置されており、1つの光電変換部213が放射線画像の1画素に対応するものである。
図3は、本発明に係る放射線画像検出装置に使用される撮像パネル21の部分断面図で、これは、図2の撮像パネル21上で1画素単位で二次元配置された光電変換部213に相当する断面である。図3に示す様に撮像パネル21は、基板211上にシンチレータ部212を有し、シンチレータ部212を配置した側と反対側の基板211上に光電変換を行う光電変換部213を配置してなることを特徴とするものであり、また、良好な光電変換が行える様に各種の機能分離した積層構造を有するものである。
図3(a)は、1枚の基板211の片側の面にシンチレータ部212を設け、その反対側の基板面上に光電変換部213、コンデンサ部221、トランジスタ部222等を配置して撮像パネル21を作製するものである。なお、図3(a)の様な同一基板の片面にシンチレータ部212を設け、もう片面に光電変換部213やトランジスタ部222等を設けるものは、光電変換部213等の部品を設けた後にシンチレータ部212の形成を行うことが好ましい。
また、図3(b)は、2枚の基板211を貼り合わせてなる撮像パネル21の断面図で、基板211a側にシンチレータ部212を設け、もう1つの基板211b側に光電変換部213、コンデンサ部221、トランジスタ部222を配置してなり、基板211aと基板212bとを貼り合わせることで、撮像パネル21が作製されるものである。
この様に、基板211a側にシンチレータ部212を設け、もう片方の基板211b側に光電変換部213やコンデンサ部221、トランジスタ部222を設ける構造とすることにより、基板上に設けられたトランジスタ等の部品をシンチレータ部212の形成不良により無駄にすることがなくなった。また、シンチレータ部212を基板上一面に形成することにより、画素単位での貼り合わせが不要となるので、作業効率の向上と歩留まりの上昇が可能となる。
また、トランジスタ部222等がシンチレータ部212の形成不良により台無しになることがなく、また、基板の片面に全面にわたりシンチレータ部212をベタで形成することにより、画素単位での貼り合わせ作業を不要にするので、作業効率のアップと歩留まり向上を可能にする。
図3に示す様に、シンチレータ部212は、放射線の照射面側に設けられており、入射された放射線の強度に応じて蛍光発光を行う。シンチレータ部212は、主に蛍光体より構成され、入射した放射線に基づき、波長300nm〜800nmの可視光線を中心とした紫外光から赤外光に対応する電磁波(光)を出力する。
光電変換部213は、シンチレータ部212側より基板211を介して配置され、シンチレータ部212より出力された光(電磁波)を電荷に変換する。図3に示す様に、光電変換部213は、円滑な光電変換を行うために機能分離した積層構造を有し基板211側より透明電極膜213a、正孔伝導層213b、電荷発生層213c、電子伝導層213d、導電層213eより構成される。このうち、実際に光電変換を行うのは電荷発生層213cで、シンチレータ部212で出力された光(電磁波)により電子や正孔を発生させている。
また、光電変換部213の基板211との接触面と逆の面側には、光電変換部213で生成した電荷を画素単位で蓄積するコンデンサ221が配置される。コンデンサ221は、画素電極221a、キャパシタ電極221b、絶縁膜221cより構成され、2つの電極間に光電変換によって得られた電荷を蓄積する。また、光電変換部213やコンデンサ221と同じ側の基板211上には、コンデンサ221に蓄えられた電荷を用いて信号出力を行うスイッチング素子であるトランジスタ222が配置される。
さらに、コンデンサ221やトランジスタ222の上層に保護層215を設け、基板211上の光電変換部213やコンデンサ221、トランジスタ222等の部品を外気から遮断することで湿気による影響を防ぐとともに、埃や塵等の影響を防いでいる。
また、撮像パネル21では、シンチレータ部212で照射された放射線の強度に応じた蛍光発光を行い、光電変換部213で発生した蛍光を光電変換して得られる電荷を用いてスイッチング素子を駆動させ、駆動により信号出力を行うものであるが、放射線画像を電気信号に変換することについては後述する。
本発明は、シンチレータ部212と光電変換部213との間に基板211を配置してなる構造を有することを特徴とするものである。
本発明は、シンチレータ部212と光電変換部213との間に基板211を設けても、基板211の特性を制御することにより、光電変換部213でシンチレータ部212からの発光を精度良く光電変換可能なことを見出した。すなわち、基板211の厚みや1画素あたりの開口率に着目して、シンチレータ部211と光電変換部213との間に基板211を配置した構造で良好な光電変換が行えることを見出している。また、基板211の特性のうちでも可視光透過率が光電変換に影響を有し、具体的には可視光透過率が80%以上の素材を基板211に使用することにより効果的な光電変換が行えることを見出した。具体的には、80%〜95%の可視光透過率を有するものが好ましく、樹脂フィルム、ガラス、セラミックス等の有機材料や無機材料が挙げられ、この中でも樹脂フィルムが高い可視光透過率を有することと可撓性を有することから好ましい。
具体的な樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ボリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等が挙げられる。
また、樹脂フィルムは、ガラス基板の場合に比べて軽量化を図ることが可能で、さらに、衝撃に対する耐久性を向上させる視点からも好ましい。
また、上述の樹脂フィルムにトリオクチルホスフェートやジブチルフタレート等の可塑剤、あるいはベンゾトリアゾール系やベンゾフェノン系等の紫外線吸収剤を添加した基板も使用される。また、テトラエトキシシラン等の無機高分子原料を樹脂フィルム原料中に添加し、化学触媒や熱、光等の作用で高分子量化した有機−無機ポリマーハイブリッド法を適用して作製した樹脂フィルムも好ましい。
また、本発明では、前述の様に基板211の厚みや1画素あたりの開口率にも着目して本発明の効果が見出されることを検討した。具体的には、基板の厚みを10〜200μm、好ましくは50〜100μmとし、1画素あたりの開口率を60%以上、より好ましくは80%以上とする時に、シンチレータ部212と光電変換部213の間に基板を介する構造の装置が良好な光電変換を行えることを見出している。
次に、本発明に係る放射線画像検出装置を構成するシンチレータ部212について、詳細に説明する。
シンチレータ部212は、主に蛍光体より構成されており、入射した放射線に基づいて、300nm〜800nmの波長を有する可視光線を中心とした紫外光から赤外光に対応する電磁波(光)を出力する。また、図3に示す様に、シンチレータ部212は、最外部に実際に可視光線を出力するシンチレータ層212bを保護するシンチレータ保護層212bを有する。
本発明におけるシンチレータ部212に使用される蛍光体は、放射線の照射により可視または紫外あるいは赤外領域等の光電変換部213を構成する受光素子の感度領域の電磁波を出力する蛍光体であれば、特に限定されるものではない。
シンチレータ部212に使用される蛍光体としては、例えば、CaWO4、CaWO4:Pb、MgWOなどのタングステン酸塩系蛍光体、Y2O2S:Tb、Gd2O2S:Tb、La2O2S:Tb、(Y,Gd)2O2S:Tb、(Y,Gd)2O2S:Tb,Tmなどのテルビウム賦活希土類酸硫化物系蛍光体、YPO4:Tb、GdPO4:Tb、LaPO4:Tbなどのテルビウム賦活希土類燐酸塩系蛍光体、LaOBr:Tb、LaOBr:Tb,Tm、LaOCl:Tb、LaOCl:Tb,Tm、GdOBr:Tb、GdOBr:Tb,Tm、GdOCl:Tb、GdOCl:Tb,Tmなどのテルビウム賦活希土類オキシハロゲン化物系蛍光体、LaOBr:Tm、LaOCl:Tmなどのツリウム賦活希土類オキシハロゲン化物系蛍光体、LaOBr:Gd、LuOCl:Gdなどのガドリニウム賦活希土類オキシハロゲン化物系蛍光体、GdOBr:Ce、GdOCl:Ce、(Gd,Y)OBr:Ce、(Gd,Y)OCl:Ceなどのセリウム賦活希土類オキシハロゲン化物系蛍光体、BaSO4:Pb、BaSO4:Eu2+、(Ba,Sr)SO4:Eu2+などの硫酸バリウム系蛍光体、Ba3(PO4)2:Eu2+、(Ba2PO4)2:Eu2+、Sr3(PO4)2:Eu2+、(Sr2PO4)2:Eu2+などの2価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属燐酸塩系蛍光体、BaFCl:Eu2+、BaFBr:Eu2+、BaFCl:Eu2+,Tb、BaFCl:Eu2+,Tb、BaF2・BaCl2・KCl:Eu2+、(Ba,Mg)F2・BaCl2・KCl:Eu2+などの2価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体、CsI:Na、CsI:Tl、NaI、KI:Tlなどの沃化物系蛍光体、ZnS:Ag、(Zn,Cd)S:Ag、(Zn,Cd)S:Cu、(Zn,Cd)S:Cu,Agなどの硫化物系蛍光体、HfP2O7、HfP2O7:Cu、Hf3(PO4)4などの燐酸ハフニウム系蛍光体、YTaO4、YTaO4:Tm、YTaO4:Nb、(Y,Sr)TaO4:Nb、LuTaO4、LuTaO4:Tm、LuTaO4:Nb、(Lu,Sr)TaO4:Nb、GdTaO4:Tm、Mg4Ta2O9:Nb、Gd2O3・Ta2O5・B2O3:Tbなどのタンタル酸塩系蛍光体、他に、Gd2O2S:Eu3+、(La,Gd,Lu)2Si2O7:Eu、ZnSiO4:Mn、Sr2P2O7:Eu、等が挙げられる。
本発明では、高いX線吸収性と及び発光効率を有するセシウムアイオダイド(CsI:Tl)、あるいはガドリニウムオキシサルファイド(Gd2O2S:Tb)が好ましく用いられ、これらを用いることによりノイズの低い高画質の放射線画像が得られる。
また、セシウムアイオダイド(CsI:Tl)は、柱状結晶構造のシンチレータ部を形成することが可能である。柱状結晶構造は、光ガイド効果と呼ばれる発光が蛍光体の結晶側面より外部に漏れる現象を低減させる効果を有しており、鮮鋭性が低下しにくい性質を有する。
また、本発明で用いられる蛍光体粒子の直径は7μm以下、好ましくは4μm以下である。蛍光体粒子の直径が小さいほどシンチレータ部での光の散乱を防止して、高鮮鋭性が得られる。
シンチレータ部212は、以下の様なバインダー樹脂中に蛍光体を分散含有させてなる。バインダー樹脂中に蛍光体を分散含有させることにより、放射線画像の粒状性が向上させる効果が発現される。
シンチレータ部212に使用されるバインダー樹脂は、蛍光体の分散性を高め、蛍光体の充填率を高めることにより、放射線画像の粒状性を向上させるものであり、具体的には、ポリウレタン、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体、スチレン−ブタジエン共重合体、各種合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラニン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル系樹脂、尿素ホルムアミド樹脂等が挙げられる。この中でもポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル系共重合体、ポリビニルブチラール、ニトロセルロースが好ましく使用される。
上記バインダー中に分散される蛍光体の質量含有率は90〜99%が好ましい。また、シンチレータ部212の厚さは、放射線画像の粒状性と鮮鋭性とのバランスから決定される。すなわち、シンチレータ部212が厚いと粒状性が向上する反面、鮮鋭性が低下する傾向を有し、シンチレータ部212を薄くすると鮮鋭性が向上する反面、粒状性が低下する傾向がある。本発明に使用されるシンチレータ部212では、粒状性と鮮鋭性の双方の性能をバランスよく発現することが可能な厚さとして、20μm〜1mm、好ましくは、50μm〜300μmであることが確認されている。
なお、本発明で用いられる蛍光体は、一部を除き吸湿性を有するので、湿度の影響を受けない様に封止することが好ましい。蛍光体の封止技術としては、例えば、特開平11−223890号公報、特開平11−249243号公報、特開平11−344598号公報、特開2000−171597号公報等に開示の方法を採用することにより、撮像パネル21の全体を封止することが可能である。
次に、本発明に係る放射線画像検出装置を構成する光電変換部213について詳細に説明する。
光電変換部213は、前述の様に、シンチレータ部212で出力された光(電磁波)を電荷に変換するもので、シンチレータ部212の放射線照射面側と逆の面側に配置される。本発明では、前述の様に基板211のシンチレータ部212を配置した側と反対側の面に配置されることを特徴とする。
また、光電変換部213は、円滑な光電変換を行うために、複数の機能分離された層よりなる積層構造を有しており、図3に示す様に、基板211側より、透明電極膜213a、正孔伝導層213b、電荷発生層213c、電子伝導層213d、導電層213eより構成される。
電荷発生層213cは、電磁波(光)を光電変換を行う性質を有する有機化合物を含有してなり、シンチレータ部212で出力された電磁波(光)により有機化合物中で電子や正孔を発生させて光電変換を行う。
透明電極膜213aは、例えば、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO2、ZnOなどの導電性の透明材料を用いて形成される。透明電極膜213aの形成方法としては、蒸着法やスパッタリング法等の薄膜形成方法やフォトリソグラフィー法により所望の形状パターンを形成する方法も挙げられる。また、高度なパターン精度を必ずしも要求するものではない場合(100μm以上程度)には、上記電極物質の蒸着やスパッタリングを行う時に所望の形状のマスクを介してパターン形成を行う方法が挙げられる。
本発明では、透明電極膜213aの透過率を10%より大きくすることが望ましく、またシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。さらに、膜厚は材料にもよるが、通常10nm〜1μm、好ましくは10nm〜200nmであり、この範囲の膜厚では電極がアイランド状に分離したり、みだりに膜厚を厚くして透明電極を形成するのに必要以上の時間を要することがない。
電荷発生層213cでは、シンチレータ部212で発生した電磁波(光)を受光させることにより電子と正孔が発生する。電荷発生層213cで発生した正孔は正孔伝導層213bに集められ、電子は電子伝導層213dに集められる。なお、本発明では、正孔伝導層213bと電子伝導層213dは必ずしも必須なものではない。
導電層213eは、例えば、クロム等の電極物質を用いて生成される。電極物質は、一般の金属電極もしくは前述の透明電極の中から選択可能であるが、良好な特性を得るためには仕事関数の小さい(4.5eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましい。この様な電極物質としては、例えば、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類全属などが挙げられる。
導電層213eは、これらの電極物質を原料として蒸着やスパッタリング等の方法を用いて形成される。また、導電層213eのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は10nm〜1μm、好ましくは50nm〜500nmである。上記厚みの範囲であれば、薄すぎて導電部がアイランド状になったり、膜厚を厚くして導電部の形成に時間を要することがない。
さらに、上述の正孔伝導層213b,電荷発生層213c及び電子伝導層213dについて詳述する。電荷発生層213cで使用される光電変換可能な材料としては、導電性高分子材料(π共役系高分子材料やシリコン系高分子材料など)や低分子系有機EL素子に使用される発光材料等が挙げられる。また、電荷発生層213cは有機EL素子の構成を適用することが可能で、有機EL素子としてはその構成材料が低分子系のものでもライトエミッティングポリマーと呼ばれる高分子系のものでもいずれのものでもよい。
導電性高分子材料としては、例えば、ポリ(2−メトキシ、5−(2’エチルヘキシロキシ)−p−フェニレンビニレン)や、ポリ(3−アルキルチオフェン)等の他に、「有機EL材料とディスプレイ」(株式会社シー・エム・シー(2001年2月28日発行))の第190頁〜第203頁に記載の化合物や、「有機EL素子とその工業化最前線」(エヌ・ティー・エス社(1998年11月30日発行))の第81頁〜第99頁に記載の化合物が挙げられる。
また、低分子系有機EL素子に使用される発光材料としては、前述の「有機EL素子とその工業化最前線」(エヌ・ティー・エス社(1998年11月30日発行))の第36頁〜第56頁に記載の化合物や、同じく前述の「有機EL材料とディスプレイ」(株式会社シー・エム・シー(2001年2月28日発行))の第148頁〜第172頁に記載の化合物が挙げられる。
本発明では、光電変換可能な有機化合物として導電性高分子化合物が特に好ましく、π共役系高分子化合物が最も好ましい。以下に導電性高分子化合物の基本骨格1〜9とπ共役系高分子化合物の具体例10〜41を示す。
また、π共役系以外の導電性高分子化合物の具体例42〜51を以下に示す。
なお、本発明で光電変換部213で使用される光電変換可能な材料としては、上述の導電性高分子化合物や低分子系有機EL素子は上述のものに限定されるものではない。
また、本発明では、光電変換部213でπ共役系高分子化合物を用いる正孔伝導層213b、電荷発生層213c及び電子伝導層213dにフラーレンと呼ばれる60個以上の炭素原子が結合して球状あるいはチューブ状の3次元のネットワーク構造を有する炭素化合物を添加してもよい。この様な立体構造を有する炭素化合物が有する立体的なπ電子雲の作用で、π共役高分子化合物間でのキャリア授受やキャリアトラップが促進されるものと期待される。
フラーレンの具体例としては、例えば三菱商事社よりC60という名称で供給される直径が約0.7nmのサッカーボールの様な球形分子のものや、炭素ナノチューブと呼ばれるチューブ形状のもの、バッキーオニオンと呼ばれる炭素原子を同心球状に配列させた構造を有するものや、バッキーベビイと呼ばれる60個よりも少ない炭素数で形成された球形に近い安定構造を有する3次元構造の分子が挙げられる。
なお、フラーレンの具体的な立体構造や商品については、三菱商事(株)のホームページ(www.mcflullerene.com)の記載内容を参照するとよい。
この様な炭素原子からなる3次元のネット構造を有する化合物の具体例としては、前述のC60(フラーレンC−60)の他に、フラーレンC−70、フラーレンC−76、フラーレンC−78、フラーレンC−84、フラーレンC−240、フラーレンC−540、ミックスドフラーレン、フラーレンナノチューブ、多層ナノチューブ(Multi Walled Nanotube)、単層ナノチューブ(Single Walled Nanotube)等が挙げられる。また、これらのフラーレンは、溶剤への相溶性を付与するために置換基を導入したものでもよい。
本発明では、光電変換効率や電極へのキャリア受け渡し効率を向上させるために、電荷発生層213cに添加剤を加えたり、該添加剤を含有する領域を電荷発生部とは別の領域として設け、正孔伝導層213bや電子伝導層213dとして形成するものでもよい。
これらの添加剤としては、有機EL素子で使用される正孔注入材料や正孔輸送材料,電子輸送材料,電子注入材料等を適用することができる。具体的には、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また、導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー、ポルフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンペリレンなどの複素環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、キノキサリン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体(例えばトリス(8−キノリノラート)アルミニウム(Alq3)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリトラート)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリラート)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリラート)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリラート)アルミニウム、ビス(8−キノリラート)亜鉛(Znq2)など)といったものが挙げられる。
次に、光電変換部213で得られた電荷を蓄積するコンデンサ221とコンデンサ221に蓄積された電荷を用いて信号出力を行うスイッチング素子であるトランジスタ222について説明する。
図2に示す様に、コンデンサ221は光電変換部213で生成された電荷を画素毎に蓄え、トランジスタ222は、コンデンサ221に蓄電された電荷で画素単位での信号出力を行うものである。
コンデンサ221は、図3に示す様に、画素電極221aに絶縁膜221cを挟んでキャパシタ電極221bを設けた構造により、非選択期間における画素の保持電圧を補償する補償容量(コンデンサ)を構成する。
画素電極221aとキャパシタ電極221bはコンデンサとして機能するものであれば、どの様な材質、形状で作製されたものでもよく、例えば、画素電極221aとキャパシタ電極221bとの大きさや形状が異なったものであってもよい。電極用の材料として代表的なものは、クロム、タンタル、アルミニウム、有機導電性高分子、金属錯体等が挙げられ、単層構造を有するものでも積層構造を有するものでもよい。
また、絶縁膜221cは、種々の有機化合物や無機酸化物で被膜形成したものが使用される。具体的には、有機化合物被膜としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルフェノール、ポリエステル、ポリアクリレート、光ラジカル重合系樹脂、光カチオン重合系樹脂、あるいはアクリロニトリル成分を含有する共重合体、ノボラック樹脂、シアノエチルプルランの被膜物が挙げられる。
これら有機化合物の絶縁形成方法としては、スプレーコート法、ブレードコート法、スピンコート法、ディップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法等の塗布による方法や、印刷法、インクジェット法等のパターニングによる方法が挙げられ、材料や物性に応じて使用される。
無機酸化物被膜としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ステロンチウムビスマス、タンタル酸ステロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキシサイドイットリウム等が挙げられる。この中でも、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタンが好ましく、また、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の無機窒化物も好ましく使用される。
これら無機酸化物の絶縁層形成方法としては、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、大気圧プラズマ法等のドライプロセスによる被膜形成方法や、スプレーコート法、ブレードコート法、スピンコート法、ディップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法等の塗布による方法や、印刷法、インクジェット法等のパターニングによる方法が挙げられ、材料や物性に応じて適宜使用される。
次に、トランジスタ222は、スイッチング素子として使用されるもので、具体例としては、TFTと呼ばれる薄膜型のトランジスタが挙げられる。TFTは、無機半導体系及び有機半導体系のいずれでも良く、プラスチックフィルム上に形成してなるTFTがより好ましい。プラスチックフィルム上に形成されるTFTとしては、アモルファスシリコン系のものの他に、米国Alient Technology社が開発したFSA(Fluidic Self Assembly)技術と呼ばれる単結晶シリコンで作製した微小CMOS(Nanoblocks)をエンボス加工してフレキシブル性を付与したプラスチックフィルム上に配列させたTFTが挙げられる。
さらに、Science283,822(1999)やAppl.Phys.Lett771488(1998)、Nature403,521(2000)等の文献に記載の有機半導体を用いたTFTも挙げられる。
これらのTFTの中で、本発明では、上記FSA技術で作製したTFT及び有機半導体を用いたTFTが好ましく、特に有機半導体を用いたTFTが好ましい。有機半導体を用いたTFTは、シリコンを用いたTFTの様に真空蒸着装置等の設備が不要で、印刷技術やインクジェット技術を活用することでTFTの製造が可能で製造コストの低減化を図ることが可能である。また、加工温度を低く設定することもできるので、軟化点の低いプラスチック基板を用いたTFTの製造が可能である。
有機半導体を用いたTFTでは、特に、電界効果型トランジスタ(FET)が好ましく、図5の(a)〜(c)に示す構造を有する有機TFTが好ましく使用される。図5(a)に示す有機TFTは、基板上にゲート電極、ゲート絶縁層、ソース・ドレイン電極、有機半導体層を順に形成したものである。(b)の有機TFTは、基板上にゲート電極、ゲート絶縁層、有機半導体層、ソース・ドレイン電極を順に形成したもので、(c)の有機TFTは、有機半導体単結晶上にソース・ドレイン電極、ゲート絶縁層、ゲート電極を順に形成したものである。
有機半導体層を形成する化合物は、単結晶材科でもアモルファス材料でもよく、低分子でも高分子でもよいが、特に好ましいものとしては、ペンタセンやトリフェニレン、アントラセン等に代表される縮環系芳香族炭化水素化合物の単結晶や前記π共役系高分子が挙げられる。
ソース・ドレイン電極及びゲート電極を形成する化合物は、金属化合物、導電性無機化合物、導電性有機化合物のいずれでもよいが、この中でも導電性有機化合物は電極を作製する上で加工し易い点で有効である。その代表例としては、前述の光電変換可能な材料に例示したπ共役系高分子化合物にルイス酸(塩化鉄、塩化アルミニウム、臭化アンチモン等)やハロゲン(ヨウ素や臭素など)、スルホン酸塩(ポリスチレンスルホン酸のナトリウム塩(PSS)、p−トルエンスルホン酸カリウム等)などをドープしたものが挙げられ、具体的にはπ共役系高分子化合物であるPEDOTに前述のポリスチレンスルホン酸のナトリウム塩(PSS)をドープした導電性高分子が挙げられる。
また、コンデンサ221の光電変換部213側反対面側には、絶縁膜215を介して、マンガン電池、ニッケル・カドミウム電池、水銀電池、鉛電池などの一次電池や充電可能な二次電池を用いた電源部34を設けても良い。この電池の形態としては、放射線画像検出装置を薄型化できるように平板状の形態が好ましい。
そして、基板211の光電変換部213やコンデンサ221及びトランジスタ222等を配置した側にはこれらの構成部材を湿気や埃等の外部の環境因子から保護する目的で保護層215が設けられる。
保護層215には、ポリエステルフィルム、ポリメタクリレートフィルム、セルロースアセテートフィルム等が使用される。この中でもポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンナフタレートフィルムに代表される延伸加工処理が可能なポリエステルフィルムが強度の面で好ましい。また、ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンナフタレートフィルム上に金属酸化物、窒化ケイ素等の薄膜を蒸着させた蒸着フィルムが防湿性の面からより好ましい。
また、前述の図3(b)に示す撮像パネル21は、基板211aと基板211bとを貼り合わせたものであるが、基板の貼り合わせ方法としては熱圧着による方法や、接着剤あるいは接着シートを用いる方法が挙げられるが、可視光透過率の観点から熱圧着による方法が好ましい。
次に、本発明に係る放射線画像検出装置20で行われる放射線画像のデジタル信号変換について説明する。前述した様に、図2の撮像パネル21に照射された放射線はシンチレータ部212で波長300nm〜800nmの可視光線を中心とした紫外光から赤外光に対応する電磁波(光)に変換され、変換された光は光電変換部213で電荷に変換されると、電荷はコンデンサ221に蓄積される。そして、コンデンサ221に蓄積された電荷によりスイッチング素子を駆動させ、スイッチング素子の駆動により画素単位にデジタル信号として出力される。
スイッチング素子であるトランジスタ222は、光電変換部213で変換された電荷を蓄積するコンデンサ221の一方の電極である画素電極221aと接続している。コンデンサ221に蓄積された電荷を用いてトランジスタ222を駆動させ、トランジスタ222の駆動により放射線画像は画素毎の電気信号として出力される。
前述の様に、トランジスタ222は、ゲート電極222a、ソース電極(ドレイン電極)222b、ドレイン電極(ソース電極)222c、有機半導体層222d、絶縁層222eより構成される。
図4は、本発明に係る撮像パネル21の回路構成を示す模式図であり、撮像パネル21が光電変換部213を複数個2次元配置させた構造を有し、放射線画像を画素単位で光電変換して電気信号を出力するものであることを示している。また、図4では、光電変換部213で得られた電荷を蓄積するコンデンサ221の一方の電極を構成する画素電極221aが2次元配置されていることが示され、光電変換部213同様に1つの画素電極221aが放射線画像の1画素に対応する様に配置されていることが示されている。
また、画素間には走査線と信号線とが配設されており、図4では両者が直交する様に配設されている。ここで、走査線と信号線とで囲まれた1つの区画を1画素とすると、撮像パネル21の画素数は、例えば、一方向にm個、もう一方向にn個配置してなる場合にはm×n個の画素数より構成されている。そして、撮像パネル21には、m×n個の画素数分に対応するコンデンサ221−(1,1)〜221−(m,n)とスイッチング素子であるトランジスタ222−(1,1)〜(m,n)が配置され、画素間には、走査線223−1〜223−m及び信号線224−1〜224−nが直交する様に配設されることになる。
例えば、1つ目の画素内では、コンデンサ221−(1,1)にシリコン積層構造あるいは有機半導体で構成されたスイッチング素子であるトランジスタ222−(1,1)が接続する。トランジスタ222−(1,1)は、例えば、電界効果トランジスタが使用される。トランジスタ222のドレイン電極あるいはソース電極222cは画素電極221a−(1,1)と接続し、ゲート電極222aは走査線223−1に接続する。ドレイン電極が画素電極221a−(1,1)と接続する時はソース電極が信号線224−1と接
続し、ソース電極が画素電極221a−(1,1)に接続する時はドレイン電極が信号線224−1と接続する。また、他の画素における画素電極221a、コンデンサ221及びトランジスタ222も同様に走査線223や信号線224と接続する。
また、撮像パネル21は、図4に示す様に信号線224−1〜224−nにドレイン電極を接続した初期化用トランジスタ232−1〜232−nを設けるものもあり、この初期化用トランジスタ232−1〜232−nではソース電極を接地し、ゲート電極をリセット線231に接続する。
撮像パネル21では、これらの回路を介して放射線画像をデジタルの画像信号に変換する。すなわち、図4中の制御回路30が、走査線223−1〜223−m各々に、走査駆動回路25を介して読出信号RSを供給して画像走査を行い、走査線毎のデジタル画像信号を取り込み、放射線画像をデジタルの画像信号に変換する。このことについて詳述する。
撮像パネル21の走査線223−1〜223−mとリセット線231は、図4に示す様に走査駆動回路25と接続する。走査駆動回路25から走査線223−1〜223−mのうちの任意の走査線223−p(pは1〜mのいずれかの値)に読出信号RSが供給されると、この走査線223−pに接続したトランジスタ222−(p,1)〜222−(p,n)がオンの状態になり、コンデンサ221−(p,1)〜221−(p,n)に蓄積した電荷を信号線224−1〜224−n上に出力する。
信号線224−1〜224−nは、信号選択回路27の信号変換器271−1〜271−nに接続し、信号変換器271−1〜271−nでは信号線224−1〜224−n上に出力された電荷量に応じた電圧信号SV−1〜SV−nを出力し、信号変換器271−1〜271−nで出力した電圧信号SV−1〜SV−nをレジスタ272に供給する。
レジスタ272は、信号変換器271より供給された電圧信号を順次選択し、アナログ/デジタル(A/D)変換器273により、12ビットないしは14ビットの1つのデジタル画像信号に変換され、このデジタル画像信号は制御回路30に供給されて、放射線画像を画素単位でデジタル画像信号に変換する。
また、撮像パネル21の初期化を行う場合は、最初に、走査駆動回路25からリセット信号RTがリセット線231に供給されて初期化トランジスタ232−1〜232−nをオンの状態にした後、走査線223−1〜223−mに読出信号RSを供給してトランジスタ222−(1,1)〜222−(m,n)をオンの状態にする。そして、コンデンサ221−(1,1)〜221−(m,n)に蓄えられていた電荷を初期化トランジスタ232−1〜232−nを介して放出することにより撮像パネル21の初期化を行う。
前述の制御回路30はメモリ部31や操作部32と接続し、操作部32からの操作信号PSに基づいて放射線画像検出装置20の動作を制御する。操作部32は複数のスイッチが設けられており、操作部32からのスイッチ操作に応じた操作信号PSに基づき、撮像パネル21の初期化や放射線画像のデジタル画像信号変換を行う。また、放射線画像のデジタル画像信号変換は、放射線発生器10より放射線照射終了信号をコネクタ35を介して制御部30が受けた時に行う仕様のものとすることも可能である。さらに、制御部30では作製されたデジタルの画像信号をメモリ部31に記憶する処理等も行われる。
また、本発明に係る放射線画像検出装置は、図2に示す様に、電源部34を設けるとともに放射線画像の画像信号を記憶するメモリ部31を設け、コネクタ35を介して放射線画像検出装置20を着脱自在な構成とすることにより、放射線画像検出装置20を持ち運び可能なシステムとして構築することも可能である。
さらに、例えば不揮発性メモリを用いてメモリ部31を放射線画像検出装置20から着脱可能にする構成により、放射線画像の撮影及び画像処理をより容易にして操作性の向上を図ることが可能である。すなわち、放射線画像検出装置20を画像処理部51に接続させずに、メモリ部31のみを画像処理部51に直接装着して放射線画像検出装置20で得られた画像信号を画像処理部51に供給することが可能になることにより、操作性の向上を図ることが可能である。
また、放射線画像検出装置20を据置き型として使用する場合は、コネクタ35を介して装置20への電力供給や装置20で行われた画像信号の読出しが行えるので、あえてメモリ部31や電源部34を放射線画像検出装置20に設けなくても放射線画像の画像信号を得ることが可能である。
この様に、本発明では、シンチレータ部212と光電変換部213との間に基板211を設けた形態の放射線画像検出装置で放射線画像をデジタル画像信号に良好に変換できることが確認され、特に、可視光透過率80%以上の材質で基板を構成することでデジタル画像信号への変換が確実に行われることを確認した。
また、本発明では、シンチレータ部212を基板212上に塗設することが可能になったので、製造時における歩留まり低下の大きな原因となっていたシンチレータ部212の塗布不良に起因する不良品発生を回避することが可能になり、歩留まり低下をなくし、放射線画像検出装置の製造時における大幅なコストダウンを可能にした。