JP2005112896A - 液状エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents

液状エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物 Download PDF

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泰昌 赤塚
Katsuhiko Oshimi
克彦 押見
Masataka Nakanishi
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Abstract

【課題】その硬化物が耐熱性、機械強度に優れ、低粘度の液状であるエポキシ樹脂を提供すること。
【解決手段】レゾルシンとエピクロルヒドリンを反応させて得られるエポキシ樹脂のうち、分子蒸留によって2核体成分のみを単離することにより得られるエポキシ樹脂及びこれを含有するエポキシ樹脂組成物。

Description

本発明は耐熱性、機械強度が高い硬化物を与える液状エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂組成物に関する。
エポキシ樹脂は種々の硬化剤で硬化させることにより、一般的に機械的性質、耐水性、耐薬品性、耐熱性、電気的性質などに優れた硬化物となり、接着剤、塗料、積層板、成形材料、注型材料などの幅広い分野に利用されている。従来工業的に最も使用されている液状エポキシ樹脂としてはビスフェノールAにエピクロルヒドリンを反応させて得られる化合物が知られている。
しかしながら、前記したようなビスフェノールA型エポキシ樹脂は物性的にバランスは取れているものの、耐熱性、機械強度などにおいて不十分である点が指摘されている。また特許文献1においてはアルキルヒドロキシベンゼンのジグリシジルエーテル化物のうち、単核体の割合が30%以下のものが耐熱性、機械強度などに優れるとの記載があるが、同時に高分子量体も残存したままであり低粘度の液状樹脂として扱いやすいとは言い難い。
特開2000−7757号公報
本発明は耐熱性、機械強度に優れた硬化物を与える液状エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは前記したような実状に鑑み、耐熱性、機械強度に優れた硬化物を与える液状エポキシ樹脂を求めて鋭意検討した結果、特定の分子構造を有するエポキシ樹脂が、これらの特性を満たすことを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は
(1)式(1)
Figure 2005112896
で表される液状エポキシ樹脂、
(2)上記(1)記載の液状エポキシ樹脂及び、硬化剤を含有するエポキシ樹脂組成物、
(3)硬化促進剤を含有する上記(2)記載のエポキシ樹脂組成物、
(4)無機充填材を含有する上記(2)または(3)記載のエポキシ樹脂組成物、
(5)上記(2)、(3)または(4)のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物、
を提供するものである。
本発明のエポキシ樹脂は比較的低粘度の液状であり、その硬化物は耐熱性が高く、機械強度に優れる。
従って、本発明のエポキシ樹脂組成物は電気・電子材料、成型材料、注型材料、積層材料、塗料、接着剤、レジスト、光学材料などの広範囲の用途にきわめて有用である。
式(1)で表されるエポキシ樹脂は例えばレゾルシンとエピハロヒドリンとの反応をアルカリ金属水酸化物の存在下で行い、得られた下記式(2)
Figure 2005112896
(nは正数であり、平均値を表す。)
で表されるエポキシ樹脂の内、nの値が1であるもののみを分子蒸留などによって単離することにより得ることが出来る。この際の、nの値が1であるものの純度は、GPC(ゲルパーミエイションクロマトグラフィー)による分子量分布から算出するnの面積百分率において好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上である。
本発明のエポキシ樹脂を得る反応において、エピハロヒドリンとしてはエピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン等が使用できる。エピハロヒドリンの使用量はレゾルシンの水酸基1モルに対して通常1.0〜5倍モルであり、好ましくは1.1〜4倍モルである。
上記反応において使用しうるアルカリ金属水酸化物としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられ、固体でも、その水溶液を使用してもよく、水溶液を使用する場合は連続的に反応系内に添加すると共に減圧下、または常圧下連続的に水及びエピハロヒドリンを留出させ、更に分液し水は除去しエピハロヒドリンは反応系内に連続的に戻す方法でもよい。アルカリ金属水酸化物の使用量はレゾルシンの水酸基1モルに対して通常0.8〜1.1モルであり、好ましくは0.85〜1.05モルである。
反応を促進するためにテトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩を触媒として添加することは好ましい。4級アンモニウム塩の使用量としてはレゾルシンの水酸基1当量に対して0.001〜5重量部が好ましく、0.005〜2.5重量部が特に好ましい。
また、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒などを加えてエポキシ化反応を促進することも出来る。必要により用いられるこれらの溶媒類の使用量はエピハロヒドリンの量に対し通常5〜200重量%、好ましくは10〜150重量%である。
反応温度は通常20〜100℃であり、好ましくは30〜90℃である。反応時間は通常0.5〜15時間であり、好ましくは1〜10時間である。
これらのエポキシ化反応の反応物を水洗後、加熱減圧下でエピハロヒドリンや溶媒等を除去する。また更に加水分解性ハロゲンの少ないエポキシ樹脂とするために、上記反応で回収したエポキシ樹脂をトルエン、メチルイソブチルケトンなどの溶剤に溶解し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液を加えて反応を行い、閉環を確実なものにすることも出来る。この場合アルカリ金属水酸化物の使用量はレゾルシンの水酸基1モルに対して通常0.01〜0.3モル、好ましくは0.05〜0.2モルである。反応温度は通常50〜120℃、反応時間は通常0.5〜2時間である。
反応終了後、生成した塩を濾過、水洗などにより除去し、更に加熱減圧下に分子蒸留を行い前記式(2)においてnの値が1である成分のみを単離することにより本発明のエポキシ樹脂を得ることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は本発明のエポキシ樹脂及び、硬化剤を必須成分として含有する。本発明のエポキシ樹脂組成物において本発明のエポキシ樹脂は単独でまたは他のエポキシ樹脂と併用して使用することが出来る。併用する場合、本発明のエポキシ樹脂の全エポキシ樹脂中に占める割合は30重量%以上が好ましく、特に40重量%以上が好ましい。
本発明のエポキシ樹脂と併用し得る他のエポキシ樹脂の具体例としては、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール共縮合型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂などが挙げられるがこれらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物に含有される硬化剤としては、例えばアミン系化合物、酸無水物系化合物、アミド系化合物、フェノール系化合物などが挙げられる。用い得る硬化剤の具体例としては、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンとより合成されるポリアミド樹脂、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、フェノールノボラック、及びこれらの変性物、イミダゾール、BF−アミン錯体、グアニジン誘導体などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物において硬化剤の使用量は、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して0.7〜1.2当量が好ましい。エポキシ基1当量に対して、0.7当量に満たない場合、あるいは1.2当量を超える場合、いずれも硬化が不完全となり良好な硬化物性が得られない恐れがある。
また本発明のエポキシ樹脂組成物においては硬化促進剤を使用しても差し支えない。用い得る硬化促進剤の具体例としては2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の第3級アミン類、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類、オクチル酸スズ等の金属化合物等が挙げられる。硬化促進剤はエポキシ樹脂100重量部に対して0.1〜5.0重量部が必要に応じ用いられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は必要により無機充填材を含有しうる。用いうる無機充填材の具体例としてはシリカ、アルミナ、タルク等が挙げられる。無機充填材は本発明のエポキシ樹脂組成物中において0〜90重量%を占める量が用いられる。更に本発明のエポキシ樹脂組成物には、シランカップリング剤、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の離型剤、顔料等の種々の配合剤を添加することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、前記各成分を均一に混合することにより得られる。例えば本発明のエポキシ樹脂と硬化剤並びに必要により硬化促進剤、無機充填材及び配合剤とを必要に応じて押出機、ニーダ、ロール等を用いて均一になるまで充分に混合してエポキシ樹脂組成物を得ることができる。又、本発明のエポキシ樹脂組成物は従来知られている方法と同様の方法で容易にその硬化物とすることができる。エポキシ樹脂組成物を溶融後注型あるいはトランスファー成型機などを用いて加熱成型し、さらに80〜200℃で2〜10時間加熱することにより本発明の硬化物を得ることができる。
また本発明のエポキシ樹脂組成物をトルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の溶剤に溶解させ、ガラス繊維、カーボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維、紙などの基材に含浸させ加熱し、半乾燥して得たプリプレグを熱プレス成型して硬化物を得ることもできる。この際の溶剤は、本発明のエポキシ樹脂組成物と該溶剤の混合物中で通常10〜70重量%、好ましくは15〜70重量%を占める量を用いる。
次に本発明を実施例により更に具体的に説明するが、以下において部は特に断わりのない限り重量部である。
実施例1
レゾルシン330部に対しエピクロルヒドリン834部、テトラメチルアンモニウムクロライド3.3部を加え撹拌下で溶解し、70℃にまで昇温した。次いでフレーク状の水酸化ナトリウム228部を100分かけて分割添加した後、更に70℃で1時間、後反応を行った。反応終了後水900部を加えて水洗を行った。油層からロータリーエバポレーターを用いて130℃で減圧下、過剰のエピクロルヒドリンなどを留去した。残留物にメチルイソブチルケトン666部を加え溶解し、70℃にまで昇温した。撹拌下で30重量%の水酸化ナトリウム水溶液60部を加え、1時間反応を行った後、水洗を3回行い、ロータリーエバポレーターを用いて180℃で減圧下にメチルイソブチルケトンを留去し、前記式(2)で表されるエポキシ樹脂(A)533部を得た。得られたエポキシ樹脂は半固形でありエポキシ当量は130g/eqであった。なお、エポキシ樹脂(A)についてのGPCによる分子量分布から算出されたnの面積百分率を表1に示す。
表1
nの値 GPCにおける面積百分率(%)
0 57.1
1 24.1
2以上 18.8
得られたエポキシ樹脂(A)500部を分子蒸留装置を用いて缶液温度250℃、減圧度0.1×10−3mmHgで蒸留を行い、前記式(1)で表されるエポキシ樹脂110部を得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は196g/eq、25℃における粘度をE型粘度計を用いて測定したところ、6500mPa・sであった。GPCを用いて分子量分布を測定したところ、nの値が1のエポキシ樹脂のGPCにおける面積百分率は99.5%であった。
実施例2
実施例1で得られた分子蒸留後のエポキシ樹脂100部に対し、無水メチルナジック酸82部、2−エチル−4−メチルイミダゾール1部を均一に混合し本発明のエポキシ樹脂組成物を得した。これを金型に注型し120℃で2時間、150℃で3時間硬化させることにより硬化物の試験片を得た。得られた硬化物の試験片のガラス転移温度をTMA(熱機械測定装置 真空理工(株)製 TM−7000 昇温速度:2℃/分)を用いて測定したところ、184℃であった。また曲げ強度をJIS K 6911に基づいて測定したところ160MPaであった。
このように本発明のエポキシ樹脂は従来一般的に使用されてきた液状エポキシ樹脂と比べて低粘度の液状であり、その硬化物は耐熱性、機械強度に優れる。

Claims (5)

  1. 式(1)
    Figure 2005112896
    で表される液状エポキシ樹脂
  2. 請求項1記載の液状エポキシ樹脂及び、硬化剤を含有するエポキシ樹脂組成物
  3. 硬化促進剤を含有する請求項2記載のエポキシ樹脂組成物
  4. 無機充填材を含有する請求項2または3記載のエポキシ樹脂組成物
  5. 請求項2、3または4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物
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