JPH08134173A - エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents

エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物

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JPH08134173A
JPH08134173A JP6300140A JP30014094A JPH08134173A JP H08134173 A JPH08134173 A JP H08134173A JP 6300140 A JP6300140 A JP 6300140A JP 30014094 A JP30014094 A JP 30014094A JP H08134173 A JPH08134173 A JP H08134173A
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健一 窪木
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芳郎 嶋村
Hiromi Morita
博美 森田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】耐熱性、耐水性及び機械強度に優れた硬化物、
及びそれを与える、エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂組成
物を提供すること。 【構成】ビフェニル骨格及び、アルコール性水酸基を有
する化合物中の水酸基ををグリシジルエーテル化するこ
とにより得られるエポキシ樹脂、該エポキシ樹脂を含む
エポキシ樹脂組成物、及びその硬化物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐熱性、耐水性、機械的
強度に優れる硬化物を与えるエポキシ樹脂およびエポキ
シ樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】エポキシ樹脂は種々の硬化剤で硬化させ
ることにより、機械的性質、耐水性,耐薬品性,耐熱
性,電気的性質などに優れた硬化物となり、接着剤,塗
料,積層板,成形材料,注型材料などの幅広い分野に利
用されている。従来、工業的に最も使用されているエポ
キシ樹脂としてビスフェノ−ルAにエピクロルヒドリン
を反応させて得られる液状および固形のビスフェノ−ル
A型エポキシ樹脂がある。その他液状のビスフェノ−ル
A型エポキシ樹脂にテトラブロムビスフェノ−ルAを反
応させて得られる難燃性固形エポキシ樹脂などが汎用エ
ポキシ樹脂として工業的に使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記し
たような汎用エポキシ樹脂は分子量が大きくなるにつれ
て、それを硬化して得られる硬化物の靭性は増加するも
のの耐熱性が低下するという欠点がある。また、耐熱性
の低下を補うためにクレゾールノボラックエポキシ樹脂
などの多官能エポキシ樹脂を混合した場合に得られる硬
化物は耐熱性は高くなるものの、靭性は低下し吸水率も
高くなるという欠点がある。一方、最近の電子産業など
の目ざましい発達に伴い、これらに使用される電気絶縁
材料などに要求される耐熱性、耐水性及び機械強度(例
えば靭性)は益々厳しくなっており、これらの特性に優
れたエポキシ樹脂の出現が待ち望まれている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らはこうした実
状に鑑み、耐熱性、耐水性及び機械強度に優れる硬化物
を与えるエポキシ樹脂を求めて鋭意研究した結果、特定
の分子構造を有するエポキシ樹脂が、その硬化物におい
て優れた耐熱性、耐水性及び機械強度を付与するもので
あることを見い出して本発明を完成させるに到った。
【0005】すなわち本発明は (1)式(1)
【0006】
【化2】
【0007】(式中、nは平均値を示し0〜10の値を
取る。mは0〜3の整数値を取る。R,Qは水素原子、
ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基
のいずれかを表し個々のR,Qはお互いに同一であって
も異なっていてもよい。Gはグリシジル基を表す。)で
表されるエポキシ樹脂、
【0008】(2)上記(1)記載のエポキシ樹脂およ
び硬化剤、必要により硬化促進剤を含有するエポキシ樹
脂組成物、(3)上記(2)記載のエポキシ樹脂組成物
を硬化してなる硬化物、を提供するものである。
【0009】式(1)で表される化合物は例えば、式
(2)
【0010】
【化3】
【0011】(式中、m,R,Qは式(1)におけるの
と同じ意味を表す。)
【0012】で表される化合物とエピハロヒドリンとの
反応をアルカリ金属水酸化物の存在下で行うことにより
得ることができる。
【0013】式(2)で表される化合物としては、例え
ば式(3)
【0014】
【化4】
【0015】或は式(4)
【0016】
【化5】
【0017】或は式(5)
【0018】
【化6】
【0019】或は式(6)
【0020】
【化7】
【0021】で表される化合物などが挙げられるがこれ
らに限定されるものではない。
【0022】式(2)で表される化合物から本発明のエ
ポキシ樹脂を得る方法としては公知の方法が採用でき
る。例えば前記で得られた式(2)で表される化合物と
過剰のエピクロルヒドリン、エピブロムヒドリン等のエ
ピハロヒドリンの溶解混合物に水酸化ナトリウム、水酸
化カリウム等のアルカリ金属水酸化物をあらかじめ添加
し、または添加しながら20〜120℃の温度で1〜1
0時間反応させることにより本発明のエポキシ樹脂を得
ることが出来る。
【0023】本発明のエポキシ樹脂を得る反応におい
て、アルカリ金属水酸化物はその水溶液を使用してもよ
く、その場合は該アルカリ金属水酸化物の水溶液を連続
的に反応系内に添加すると共に減圧下、または常圧下連
続的に水及びエピハロヒドリンを留出させ、更に分液し
水は除去しエピハロヒドリンは反応系内に連続的に戻す
方法でもよい。
【0024】また、式(2)で表される化合物とエピハ
ロヒドリンの溶解混合物にテトラメチルアンモニウムク
ロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、トリ
メチルベンジルアンモニウムクロライド、等の4級アン
モニウム塩を触媒として添加し50〜150℃で1〜5
時間反応させて得られる式(2)の化合物のハロヒドリ
ンエーテル化物にアルカリ金属水酸化物の固体または水
溶液を加え、再び20〜120℃の温度で1〜10時間
反応させ脱ハロゲン化水素(閉環)させる方法でもよ
い。
【0025】通常これらの反応において使用されるエピ
ハロヒドリンの量は式(2)で表される化合物の水酸基
1当量に対し通常1〜20モル、好ましくは2〜10モ
ルである。アルカリ金属水酸化物の使用量は式(2)で
表される化合物の水酸基1当量に対し0.8〜15モ
ル、好ましくは0.9〜11モルである。更に、反応を
円滑に進行させるためにメタノール、エタノールなどの
アルコール類の他、ジメチルスルホン、ジメチルスルホ
キシド等の非プロトン性極性溶媒などを添加して反応を
行うことが好ましい。
【0026】アルコール類を使用する場合、その使用量
はエピハロヒドリンの量に対し2〜20重量%、好まし
くは4〜15重量%である。また非プロトン性極性溶媒
を用いる場合はエピハロヒドリンの量に対し5〜100
重量%、好ましくは10〜90重量%である。
【0027】これらのエポキシ化反応の反応物を水洗
後、または水洗無しに加熱減圧下、110〜250℃、
圧力10mmHg以下で蒸留しエピハロヒドリンや他の
添加溶媒などを除去する。閉環を確実なものにし、加水
分解性ハロゲンの少ないエポキシ樹脂とするために、得
られたエポキシ樹脂をトルエン、メチルイソブチルケト
ンなどの溶剤に溶解し、水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液を加えて反応
を行い閉環を確実なものにすることもできる。この場合
アルカリ金属水酸化物の使用量はエポキシ化に使用した
式(2)で表される化合物の水酸基1当量に対して好ま
しくは0.01〜0.3モル、特に好ましくは0.05
〜0.2モルである。この場合反応温度は50〜120
℃、反応時間は通常0.5〜2時間である。
【0028】反応終了後、生成した塩を濾過、水洗など
により除去し、更に、加熱減圧下トルエン、メチルイソ
ブチルケトンなどの溶剤を留去することにより本発明の
エポキシ樹脂が得られる。
【0029】本発明のエポキシ樹脂組成物は本発明のエ
ポキシ樹脂、硬化剤、必要により硬化促進剤等を均一に
混合することにより得ることができる。本発明のエポキ
シ樹脂組成物において、エポキシ樹脂として本発明のエ
ポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂を併用することも可能で
ある。他のエポキシ樹脂を併用する場合、全エポキシ樹
脂中の本発明のエポキシ樹脂の占める割合は20重量%
以上が好ましい。本発明のエポキシ樹脂組成物におい
て、硬化剤としてはアミン系化合物,酸無水物系化合
物,アミド系化合物,フェノ−ル系化合物などが使用で
きる。用いうる硬化剤の具体例としては、ジアミノジフ
ェニルメタン,ジエチレントリアミン,トリエチレンテ
トラミン,ジアミノジフェニルスルホン,イソホロンジ
アミン,ジシアンジアミド,リノレン酸の2量体とエチ
レンジアミンとより合成されるポリアミド樹脂,無水フ
タル酸,無水トリメリット酸,無水ピロメリット酸,無
水マレイン酸,テトラヒドロ無水フタル酸,メチルテト
ラヒドロ無水フタル酸,無水メチルナジック酸,ヘキサ
ヒドロ無水フタル酸,メチルヘキサヒドロ無水フタル
酸,フェノ−ルノボラック,及びこれらの変性物,イミ
ダゾ−ル,BF3 −アミン錯体,グアニジン誘導体など
が挙げられる。また本発明のエポキシ樹脂の原料として
用いた式(2)で表される化合物も硬化剤として用いる
ことが出来る。これらの硬化剤はそれぞれ単独で用いて
もよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0030】これらの硬化剤の使用量は、エポキシ樹脂
のエポキシ基1当量に対して0.7〜1.2当量が好ま
しい。エポキシ基1当量に対して、0.7当量に満たな
い場合、あるいは1.2当量を超える場合、いずれも硬
化が不完全となり良好な硬化物性が得られない恐れがあ
る。
【0031】また上記硬化剤を用いる際に硬化促進剤を
併用しても差し支えない。用いうる硬化促進剤としては
例えば2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾー
ル、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾ
−ル類、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、
1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−
7等の第3級アミン類、トリフェニルホスフィン等のホ
スフィン類、オクチル酸スズなどの金属化合物などが挙
げられる。硬化促進剤を使用する場合の使用量はエポキ
シ樹脂100重量部に対して0.1〜5.0重量部が必
要に応じ用いられる。さらに、本発明のエポキシ樹脂組
成物には、必要に応じてシリカ、アルミナ、タルク等の
充填材やシランカップリング剤、離型剤、顔料等の種々
の配合剤を添加することができる。
【0032】本発明のエポキシ樹脂、硬化剤更に必要に
より硬化促進剤の配合された本発明のエポキシ樹脂組成
物は従来知られている方法と同様の方法で容易に硬化物
とすることができる。例えば本発明のエポキシ樹脂と硬
化剤,充填剤及びその他の添加剤とを必要に応じて押出
機,ニ−ダ,ロ−ル等を用いて均一になるまで充分に混
合して本発明のエポキシ樹脂組成物を得、そのエポキシ
樹脂組成物を溶融後注型あるいはトランスファ−成形機
などを用いて成形し、さらに80〜200℃で2〜10
時間に加熱することにより硬化物を得ることができる。
【0033】また本発明のエポキシ樹脂組成物をトルエ
ン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチル
イソブチルケトン等の溶剤に溶解させ、ガラス繊維,カ
−ボン繊維,ポリエステル繊維,ポリアミド繊維,アル
ミナ繊維,紙などの基材に含浸させ加熱乾燥して得たプ
リプレグを熱プレス成形して硬化物を得ることなどもで
きる。
【0034】この際用いる希釈溶剤の使用量は本発明の
エポキシ樹脂組成物と該希釈溶剤の混合物中で通常10
〜70重量%、好ましくは15〜65重量%である。
【0035】こうして得られる硬化物は耐熱性、耐水性
及び機械強度に優れているため、耐熱性、耐水性の要求
される広範な分野で用いることができる。具体的には封
止材料、積層板、絶縁材料などのあらゆる電気・電子材
料として有用である。また、成型材料、接着剤、複合材
料、塗料などの分野にも用いることができる。
【0036】
【実施例】次に本発明を実施例、比較例により更に具体
的に説明するが、以下において部は特に断わりのない限
りすべて重量部である。
【0037】実施例1 温度計、滴下ロート、冷却管、撹拌機を取り付けたフラ
スコに、窒素ガスパージを施しながら前記式(3)で表
される化合物214部、エピクロルヒドリン740部、
ジメチルスルホキシド370部を仕込み溶解させた。更
に50℃に加熱しフレーク状水酸化ナトリウム(純分9
9%)80.8部を90分かけて分割添加し、その後更
に60℃で2時間、70℃で1時間反応させた。反応終
了後、130℃で加熱減圧下ジメチルスルホキシド及び
エピクロルヒドリンを留去し、残留物に652部のメチ
ルイソブチルケトンを加え溶解した。
【0038】更にこのメチルイソブチルケトンの溶液を
70℃に加熱し30重量%の水酸化ナトリウム水溶液2
0部を添加し1時間反応させた後、水洗を3回繰り返し
pHを中性とした。更に水層は分離除去し、ロータリエ
バポレーターを使用して油層から加熱減圧下メチルイソ
ブチルケトンを留去し、下記式(7)
【0039】
【化8】
【0040】(式中、Gはグリシジル基を表す。)で表
される本発明のエポキシ樹脂(A)312部を得た。得
られたエポキシ樹脂は液状であり、エポキシ当量は18
3g/eqであった。またエポキシ当量からnの値を算
出すると0.15となった。
【0041】実施例2、比較例1 エポキシ樹脂(A)、比較として液状のビスフェノール
A型エポキシ樹脂(エピコート828、油化シェルエポ
キシ(株)製、エポキシ当量186g/eq、エポキシ
樹脂(B)とする)を用い、硬化剤として無水メチルナ
ジック酸(カヤハードMCD、日本化薬(株)製)、硬
化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール
(2E4MZ)を用い、表1に示す組成で配合して、混
合した後注型し、80℃で2時間、120℃で2時間、
更に200℃で5時間硬化せしめて試験片を作成し、ガ
ラス転移点、吸水率を測定した。結果を表1に示す。
尚、ガラス転移点、吸水率及び曲げ強度の測定条件は次
の通りである。また、表中、配合物の組成の欄の数値は
重量部を示す。
【0042】 ガラス転移点 熱機械測定装置(TMA):真空理工(株)製 TM−7000 昇温速度:2℃/min 吸水率 試験片(硬化物):直径50mm 厚さ3mm 円盤 100℃の水中で1時間煮沸した後の重量増加率(%) 曲げ強度 JIS K−6911に準拠した値
【0043】
【表1】 表1 実施例1 比較例1 配合物の組成 エポキシ樹脂(A) 100 エポキシ樹脂(B) 100 (エポキシ当量(g/eq)) 183 186 カヤハードMCD 87.5 86 2E4MZ 1 1 硬化物の物性 ガラス転移点(℃) 181 175 吸水率(%) 0.24 0.34 曲げ強度(Kg/mm2) 14.3 12.0
【0044】表1より本発明のエポキシ樹脂の硬化物
は、公知のエポキシ樹脂の硬化物に較べ、高いガラス転
移点、低い吸水率及び、高い機械強度を示した。
【0045】
【発明の効果】本発明のエポキシ樹脂は耐熱性、耐水性
及び機械強度に優れた特性を兼ね備えた硬化物を与える
ことができ、封止材料,成形材料,注型材料,積層材
料,塗料,接着剤,レジストなど広範囲の用途にきわめ
て有用である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式(1) 【化1】 (式中、nは平均値を表し0〜10の値を取る。mは0
    〜3の整数値を取る。R,Qは水素原子、ハロゲン原
    子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基のいずれか
    を表し個々のR,Qはお互いに同一であっても異なって
    いてもよい。Gはグリシジル基を表す。)で表されるエ
    ポキシ樹脂。
  2. 【請求項2】請求項1記載のエポキシ樹脂および硬化
    剤、必要により硬化促進剤を含有するエポキシ樹脂組成
    物。
  3. 【請求項3】請求項2記載のエポキシ樹脂組成物を硬化
    してなる硬化物。
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