本発明の実施例における弾球遊技機は、装飾図柄の演出の変更指示を遊技者から受け付けるサブ入力部と、特別図柄の図柄変動の強制終了指示を遊技者から受け付けるメイン入力部を備える。弾球遊技機は、これらの入力部のうち、装飾図柄の図柄変動の表示順序を変更するための変更指示を受け付けるサブ入力部のみを備えてもよい。本実施例の弾球遊技機によると、遊技者は、好みに応じて演出を変更することができ、また今回の図柄変動を強制的に停止させて大当たりか否かの結果を即座に知り、次の入賞の抽選結果による図柄変動に迅速に移行することができる。以下、弾球遊技機の一般的な説明を行った後で、実施例の詳細を説明する。
(一般説明)
図1は、弾球遊技機の前面側における基本的な構造を示す。以下、弾球遊技機としていわゆる第1種パチンコ遊技機を例に説明する。パチンコ遊技機10は、主に遊技機枠と遊技盤面で構成される。
パチンコ遊技機10の遊技機枠は、外枠11、前枠12、ガラス扉13、セット盤14、上球皿15、下球皿16、発射ハンドル17を含む。外枠11は、開口部分を有する枠体であり、パチンコ遊技機10を設置すべき位置にて固定される。前枠12は、外枠11の開口部分に整合する枠体であり、外枠11へ開閉自在に取り付けられる。前枠12は、遊技球を発射する機構や、遊技盤を着脱可能に収容させるための機構、遊技球を誘導または回収するための機構等を含む。
ガラス扉13およびセット盤14は、前枠12へ開閉自在に取り付けられる。セット盤14は、賞球の貯留タンクや賞球の流路、賞球を払い出す賞球装置等を含む。賞球装置から払い出された賞球は、所定の流路を経由して上球皿15または下球皿16に供給される。上球皿15は、遊技球の貯留、発射レールへの遊技球の送り出し、下球皿16への遊技球の抜き取り等の機構を有する。下球皿16は、遊技球の貯留、抜き取り等の機構を有する。遊技者が発射ハンドル17を回動させると遊技球が発射され、また発射ハンドル17近辺の単発発射スイッチを押下すると遊技球の発射が一時停止される。
パチンコ遊技機10の遊技盤面には、遊技部品として多数の遊技釘20、風車21、外レール22および内レール23、一般入賞口24、アウト口25、図柄表示装置26、センター飾り部品27、第1種始動入賞口(以下、「始動口」という)28、大入賞口29、普通図柄作動口30、普通図柄表示装置32が設けられる。多数の遊技釘20および風車21は発射された遊技球の落下方向を変化させる。外レール22は発射された遊技球を遊技領域31へ案内し、内レール23は遊技領域31を区画する。一般入賞口24等の各入賞口に落入した遊技球はセーフ球として処理され、アウト口25に流入した遊技球はアウト球として処理される。なお、各入賞口は遊技球が通過するゲートタイプのものを含み、本明細書において「落入」は「通過」を含むものとする。
図柄表示装置26は、その画面に第1種特別図柄と呼ばれる図柄(以下、「特別図柄」という)と、特別図柄に連動する装飾図柄を変動させながら表示する。ここで、特別図柄は、始動口28への遊技球の落入を契機として行われる抽選の結果に応じて大当たりを発生させるか否かを示すための図柄であり、装飾図柄は、抽選の結果を視覚的に演出するための図柄である。図柄表示装置26は、例えば液晶ディスプレイで構成されるとともに、装飾図柄としてスロットマシンのゲームを模した図柄変動の動画像を画面の中央領域に表示する。装飾図柄を表示する場合、特別図柄は演出的な役割をもつ必要がないため、図柄表示装置26の隅の目立たない領域に表示される。特別図柄は、変動中に○と×の図柄が繰り返されるような表示態様をとってもよいが、以下では、0から9の数字が繰り返される表示態様をとる場合を示す。特別図柄の停止図柄は、大当たりであるか否かを示し、例えば停止図柄が「3」である場合は大当たりを、また「7」である場合には確率変動付き大当たりを、それ以外の数字は外れを示すものであってよい。なお、確率変動付き大当たりとは、確率変動の対象となる大当たりを意味する。
図柄表示装置26の周囲には、センター飾り部品27が設けられており、遊技球の流路、図柄表示装置26の保護、装飾等の機能を有する。始動口28は、例えばセンター飾り部品27の下方等の位置に一つまたは複数設けられる。大入賞口29は、特別図柄が特定の態様にて停止したときに「大当たり」として開放状態となる横長方形状の入賞口であり、例えばアウト口25の上方等の位置に設けられる。大入賞口29の内側は、特定領域(いわゆるVゾーン)と一般領域に区画されている。普通図柄表示装置32には普通図柄として数字等の図柄が変動表示される。普通図柄の変動表示は、普通図柄作動口30に遊技球が落入したときに開始される。普通図柄表示装置32は、例えば7セグメント表示器で構成される。
遊技者が発射ハンドル17を手で回動させると、その回動角度に応じた強度で上球皿15に貯留された遊技球が1球ずつ遊技領域31へ発射され、遊技者が発射ハンドル17の回動位置を手で固定させると一定の時間間隔で遊技球の発射が繰り返される。遊技領域31の上部へ発射された遊技球は、複数の遊技釘20に当たりながらその当たり方に応じた方向へ落下し、一般入賞口24や始動口28等の各入賞口へ落入するとその入賞口の種類に応じた賞球が上球皿15に払い出される。遊技球が始動口28に落入すると、図柄表示装置26において特別図柄および装飾図柄が変動表示される。特別図柄および装飾図柄の変動表示は一定時間経過後に停止され、停止時の特別図柄が特定の態様になると、いわゆる「大当たり」として大入賞口29の開閉動作を開始する。このときスロットマシンのゲームを模した装飾図柄は、例えば3つの図柄を一致させるような表示態様をとる。
大入賞口29は、約30秒間開放された後、または10球以上の遊技球が落入した後で一旦閉鎖される。大入賞口29が開放中に遊技球が特定領域へ少なくとも1球落入した場合、大入賞口29は再度開放される。このように、大入賞口29が1回開放される間に遊技球が少なくとも1球以上特定領域へ落入することを条件に大入賞口29の開閉が所定回数、例えば15回繰り返される。
図2は、弾球遊技機の背面側における基本的な構造を示す。電源スイッチ40はパチンコ遊技機10の電源をオンオフするスイッチである。メイン基板41は、パチンコ遊技機10の全体動作を制御し、特に始動口28へ入賞したときの抽選等、遊技動作全般を処理する。サブ基板49は、液晶ユニット42を備え、図柄表示装置26における表示内容を制御し、特にメイン基板41による抽選結果に応じて表示内容を変動させる。払出ユニット43は、各入賞口への入賞に応じて賞球タンク44から供給される遊技球を上球皿15へ払い出す。払出制御基板45は、払出ユニット43による払出動作を制御する。発射装置46は、上球皿15の貯留球を遊技領域31へ1球ずつ発射する。発射制御基板47は、発射装置46の発射動作を制御する。電源ユニット48は、パチンコ遊技機10の各部へ電力を供給する。
図3は、パチンコ遊技機10における遊技を制御する構成を中心とした基本的な機能ブロック図である。メイン制御部70は、図2のメイン基板41がもつ機能に相当し、パチンコ遊技機10の全体的な動作および遊技の基本動作を主に制御する。サブ制御部80は、図2のサブ基板49がもつ機能に相当し、装飾図柄の変動表示やパチンコ遊技機10周囲の電飾等の演出的動作を主に制御する。メイン制御部70からサブ制御部80に対しては、各種制御に関する指示信号が送られるが、サブ制御部80からメイン制御部70へフィードバック的な情報または信号は送られず、つねにメイン制御部70からサブ制御部80への一方向通信となる。メイン制御部70およびサブ制御部80は、ハードウェア的にはデータやプログラムを格納するROM、演算処理に用いるCPU等の素子を含む。なお、本図では各種機能をメイン制御部70とサブ制御部80に分けて構成しているが、その分け方は図示の例に限定されない。また、メイン制御部70およびサブ制御部80は一体として構成されてもよい。
一般入賞検出部50は一般入賞口24の内部に設けられたセンサであり、一般入賞口24への遊技球の落入を検出し、その落入があったことを示す一般入賞情報を一般入賞処理部55へ送る。一般入賞処理部55は、一般入賞検出部50から一般入賞情報を受け取ると、払出制御基板45の払出制御部79へ賞球数等の払出指示を送る。
始動入賞検出部51は始動口28の内部に設けられたセンサであり、始動口28への遊技球の落入を検出し、その落入があったことを示す始動入賞情報を始動入賞処理部56へ送る。始動入賞処理部56は、始動入賞検出部51から始動入賞情報を受け取ると、払出制御部79へ賞球数等の払出指示を送るとともに、始動入賞に対する抽選を実行する特別図柄抽選実行部60へ抽選指示を送る。
特別図柄抽選実行部60は、始動入賞情報の取得を契機として、具体的には抽選指示を始動入賞検出部51から受け取った後、抽選を実行する。この特別図柄抽選実行部60は、始動入賞に対して乱数を発生し決定する乱数決定部72と、乱数を取得して抽選当否を判定する当否決定部61と、抽選当否に応じた特別図柄の停止図柄を決定する特別図柄決定部62と、特別図柄の表示パターンを決定する特別図柄パターン決定部73を含む。特別図柄は、例えば数字、記号、マーク等で構成されてよく、本実施例では0から9の数字で構成される。乱数決定部72は、始動入賞処理部56から抽選指示を受け取るたびに所定のカウント範囲、例えば0から2999までの範囲のカウント値を乱数として発生させ、特別図柄保留記憶部63へその乱数を格納する。特別図柄保留記憶部63は、保留数の上限として所定個数、例えば最大4つ分の乱数を格納できるだけの記憶領域を有し、保留個数分が格納されると空き領域が生じるまでそれ以上の乱数は記憶しない。なお、乱数決定時に図柄変動が行われていない場合には、乱数決定部72は、特別図柄保留記憶部63へ乱数を格納せずに、当否決定部61にその乱数を送る。
当否決定部61は、特別図柄保留記憶部63に格納された乱数の値に応じて、または乱数決定部72から直接送られる乱数の値に応じて、その抽選結果が「大当たり」、「外れ」のいずれに該当するかを判定する。これらの結果は、それぞれ当否決定部61がもつ当否テーブルに数値範囲の形で定義される。当否テーブルでは、例えば0から9までを大当たり値の範囲とし、10から2999までを外れ値の範囲とする。なお、0から9までの大当たり値の範囲のうち、その一部を確率変動付き大当たりの範囲として設定してもよい。特別図柄決定部62は、当否決定部61による抽選結果に応じて、特別図柄の停止図柄の図柄番号を決定する。特別図柄の表示態様が、図柄変動中に0から9までの数字を繰り返し表示するものである場合、抽選結果が大当たりであれば「3」を、確率変動付き大当たりであれば「7」を、外れであればそれ以外の数字を停止図柄として決定する。特別図柄パターン決定部73は、特別図柄の表示パターンを決定し、例えば特別図柄の変動時間などを決定する。
当否決定部61による当否決定、特別図柄決定部62による特別図柄の停止図柄の決定、および特別図柄パターン決定部73による特別図柄の表示パターンの決定は、前回の抽選結果に基づく図柄変動が終了し、当回の抽選結果に基づく演出表示を開始するときに行われる。なお、これらの処理の実行タイミングは、乱数決定部72において乱数が決定された時点で行われてもよい。特別図柄保留記憶部63による乱数の保留数、当否決定部61による当否結果、特別図柄決定部62による停止図柄の図柄番号、および特別図柄パターン決定部73による特別図柄の表示パターン番号はサブ制御部80へ送られる。
表示処理部74は、図柄表示装置26の右上隅に、決定された特別図柄の表示パターンおよび停止図柄にしたがって、特別図柄を表示させる。具体的には、特別図柄の表示パターンとして、特別図柄の変動時間が60秒であることが定められ、また停止図柄が「3」であって、変動時間の最後2秒間で停止図柄を表示することが定められている場合には、表示処理部74が、変動開始から58秒が経過するまで、0から9までの数字をサイクリックに表示させ、58秒が経過してから60秒が経過するまでの間に「3」を停止図柄として表示させる。なお、特別図柄は、図柄表示装置26中の他の箇所に表示されてもよく、また図柄表示装置26以外に設けられる表示部に表示されてもよい。さらに表示処理部74は、図柄表示装置26の画面内に特別図柄の保留数、すなわち未だ特別図柄の変動表示がなされていない乱数の数を最大4個まで表示する。なお、保留数も、図柄表示装置26以外の表示部にて表示されてもよい。
サブ制御部80は、装飾図柄決定部82、装飾図柄パターン決定部84、装飾図柄パターン格納部86、および表示処理部92を含む。装飾図柄決定部82は、当否決定部61における当否結果に基づいて、図柄表示装置26において表示する装飾図柄の停止図柄を決定する。なお、装飾図柄決定部82は、特別図柄決定部62において決定された特別図柄の停止図柄番号をもとに、装飾図柄の停止図柄を決定してもよい。装飾図柄決定部82は、当否結果または特別図柄の図柄番号と、装飾図柄の図柄番号とを対応付けたテーブルを有し、このテーブルをもとに装飾図柄の停止図柄を決定する。このテーブルにおいて、例えば、「7」である特別図柄に対応付けられる装飾図柄は、遊技者に確率変動付き大当たりであることを提示する「777」であり、「3」である特別図柄に対応付けられる装飾図柄は、「111」、「888」など、7以外の数字が揃ったものであってよい。このように、特別図柄と装飾図柄の対応付けは1対1である必要はなく、特別図柄の図柄番号に対して、複数の装飾図柄の画像が対応付けられていてもよい。装飾図柄決定部82は、対応付けられた複数の装飾図柄のうちから、任意の1つを選択し決定してもよい。
上記のように、特別図柄と装飾図柄とを対応付けたテーブルを予め用意しておいてもよいが、図柄表示装置26の画面上で装飾図柄として3列の停止図柄を表示させる場合に、装飾図柄決定部82は、左図柄、中央図柄、右図柄の各図柄番号を所定の図柄番号範囲でアットランダムに選択してもよい。ただし装飾図柄決定部82は、特別図柄の停止図柄番号が「大当たり」を示す場合は左図柄、中央図柄、右図柄がそれぞれ同じ図柄となるよう各図柄番号を決定し、さらに特別図柄の停止図柄番号が「確率変動付き大当たり」を示す場合は、遊技者に確率変動付き大当たりであることを提示する図柄番号を決定する。一方、当否結果が「外れ」を示す場合、または特別図柄の停止図柄番号が「外れ」を示す場合は、特別図柄決定部62は左図柄、中央図柄、右図柄のうち少なくとも一つが他の図柄と一致しないよう各図柄番号を決定する。
装飾図柄パターン決定部84は、抽選の結果に基づいて、少なくとも装飾図柄の図柄変動の表示順序を示す表示パターンを決定する。具体的に、装飾図柄パターン決定部84は、特別図柄パターン決定部73において決定された特別図柄の表示パターン番号に基づいて、装飾図柄の画像、装飾図柄の表示パターン、変動表示の演出パターンを決定する。装飾図柄パターン格納部86は、装飾図柄の画像、背景の画像、キャラクタの画像等、様々な画像を記憶するとともに、これら画像を図柄表示装置26の画面内にどのような表示形態で変動させるかを定めた複数の表示パターンと、リーチ動作をどのように進行または演出するかを定めた複数の演出パターンとを記憶する。装飾図柄の画像は、特別図柄抽選実行部60の特別図柄決定部62で決定される特別図柄の図柄番号と対応づけられており、変動パターンと演出パターンは、特別図柄パターン決定部73で決定される特別図柄の表示パターンに対応づけられている。装飾図柄パターン決定部84は、停止図柄に至るまでの装飾図柄の図柄変動の表示順序を示す表示パターンと、その表示順序における演出パターンを決定する。なお、この演出パターンも表示順序を直接または間接的に示すものであり、その意味で、表示順序を示す表示パターンと呼ぶこともできる。なお、装飾図柄の変動時間は、特別図柄の変動時間と等しく設定される。表示処理部92は、装飾図柄パターン決定部84で決定された装飾図柄の表示パターンおよび演出パターンで装飾図柄の図柄変動を図柄表示装置26に表示させ、変動終了後に装飾図柄決定部82にて決定された装飾図柄の停止図柄を表示させる。
メイン制御部70において、表示処理部74は、特別図柄の変動表示を開始すると、変動開始指示をサブ制御部80の表示処理部92に送り、図柄変動の表示時間のカウントを行う。サブ制御部80の表示処理部92は、変動開始指示を受け取ると、装飾図柄の変動表示を開始する。表示処理部74は、特別図柄の変動時間が終了するタイミングで、特別図柄の停止図柄を図柄表示装置26に表示し、変動表示の停止指示をサブ制御部80へ送る。表示処理部92は、変動表示の停止指示を受け取ると、装飾図柄の停止図柄を図柄表示装置26に表示する。これにより、1回の抽選結果による表示処理が終了する。
当否決定部61は、特別図柄保留記憶部63から読み出した乱数の値が大当たり値であった場合、停止図柄の表示後、特別遊技の開始指示を特別遊技実行部64へ送る。特別遊技実行部64は、特別遊技処理部65、継続判定部66、および確変判定部67を含む。特別遊技処理部65は、大入賞処理部58に対して大入賞口の開放指示を送る。大入賞処理部58は、特別遊技処理部65から受け取る開放指示に基づいて大入賞口29を開放させる。開放された大入賞口29に落入する遊技球は、大入賞口29の内部に設けられたセンサである大入賞検出部53により検出され、大入賞口29へ遊技球が落入すると大入賞処理部58は払出制御部79へ賞球数等の払出指示を送るとともに、1回の大入賞口29の開放における遊技球の落入球数を計数する。大入賞処理部58は、約30秒間の開放期間が経過するか、または大入賞口29へ落入する遊技球が10球に達したときに大入賞口29を一旦閉鎖する。
領域通過検出部54は、大入賞口29の内部に設けられた特定領域(Vゾーン)への遊技球の通過を検出するセンサであり、遊技球の通過があったことを示す特定領域通過情報を領域通過処理部59へ送る。領域通過処理部59は、領域通過検出部54から特定領域通過情報を受け取り、これを特別遊技実行部64の継続判定部66へ送る。継続判定部66は、1回の大入賞口29の開放において特定領域へ1球以上の通過が検出された場合に、次の開放を特別遊技処理部65に指示する。特別遊技処理部65は、継続判定部66による特定領域の通過判定があったことを継続条件として大入賞口29を最大で15回繰り返して開放状態におく。確変判定部67は、特別図柄の停止図柄の態様に応じて、大当たり終了後の遊技を通常遊技とするか、当たり確率の高い確率変動遊技とするかについて判定し、判定結果を確変実行部68へ送る。確変判定部67は、停止図柄が特定の図柄の場合に、次の遊技を確率変動遊技へ移行すべきと判定する。
確変実行部68は、確率変動遊技へ移行すべき旨の判定を確変判定部67から受け取った場合、当否決定部61がもつ当否テーブルを確率変動遊技用に変更する。例えば、通常遊技時の大当たり値の範囲が0から9までであったのに対し、確率変動遊技時の大当たり値の範囲として、200から209まで、300から309まで、400から409まで、500から509まで、600から609までの各範囲を追加する。これにより、確率変動遊技時の大当たり確率が、通常遊技時の6倍となる。
作動検出部52は普通図柄作動口30の内部に設けられたセンサであり、普通図柄作動口30への遊技球の落入を検出し、その落入があったことを示す普通図柄作動情報を作動処理部57へ送る。作動処理部57は、作動検出部52から普通図柄作動情報を受け取ると、普通図柄の抽選指示を普通図柄抽選実行部69へ送る。普通図柄抽選実行部69は、抽選指示を受け取ると、その抽選結果として乱数を取得してこれを普通図柄保留記憶部71へ格納する。普通図柄抽選実行部69は、普通図柄抽選の乱数として例えば0から9までの範囲のカウント値を取得する。普通図柄保留記憶部71は、普通図柄の抽選結果である乱数を所定個数、例えば最大で4個格納するだけの記憶領域を有する。普通図柄抽選実行部69は、普通図柄保留記憶部71から乱数を読み出してその抽選当否を判定する。普通図柄抽選実行部69がもつ当否テーブルには、例えば7が当たり値として定義され、7以外の値が外れ値として定義される。普通図柄抽選実行部69は、読み出した乱数が当たり値であるか外れ値であるかに基づいて普通図柄抽選の当否を判定する。その当否の判定結果は、表示処理部74および作動処理部57へ送られる。表示処理部74は、受け取った乱数の値を停止図柄とする普通図柄の図柄変動を普通図柄表示装置32へ表示させる。作動処理部57は、当たりの判定結果を普通図柄抽選実行部69から受け取った場合、所定の入賞口、例えば始動口28の両側に設けられた可動片(いわゆる電動チューリップ)を一定時間動作させて、通常状態よりも始動口28へ遊技球が落入しやすい状態とする。
図4は、通常遊技から特別遊技へ移行する過程を示すフローチャートである。まず始動入賞検出部51が始動口28への遊技球の落入を検出すると(S10のY)、乱数決定部72が、図柄変動中であるか否かを判定する(S12)。図柄が変動中でなければ(S12のN)、乱数決定部72が乱数を決定し(S14)、当否決定部61が、乱数に基づいて抽選当否を判定する(S28)。一方、図柄が変動中であれば(S12のY)、乱数決定部72が、特別図柄保留記憶部63に乱数を保留可能であるか否かを判定する(S16)。図柄変動中、例えば4個の乱数が特別図柄保留記憶部63に保留されていれば、それ以上の乱数を保留することができないため(S16のN)、特別図柄保留記憶部63はその乱数を取得しない。なお、乱数を保留できない場合は、乱数決定部72が、入賞を無視して乱数自体を生成しなくてもよい。一方、保留されている乱数の数が3個以内であれば、乱数を保留する記憶領域が空いていると判定される(S16のY)。この場合、乱数決定部72は乱数を決定し(S18)、特別図柄保留記憶部63の空き領域に乱数を記憶させる(S20)。なお、S16において、乱数を保留できない場合は(S16のN)、S18、S20のステップをスキップする。
またS10において、始動口28への入賞がなければ(S10のN)、当否決定部61が、特別図柄保留記憶部63に乱数が保留されているか否かを判定する(S22)。保留されていない場合(S22のN)、本フローを終了し、保留されている場合は(S22のY)、その時点で行われている図柄変動が終了するのを待つ。なお乱数が保留されている場合とは、入賞が以前に発生し且つその入賞の抽選結果についての図柄変動が未だ行われていない状態を示す。このとき、図柄表示装置26では、保留球以前の入賞の抽選結果についての特別図柄および装飾図柄の変動表示がなされている。なお、S12における図柄変動と、S22の判定時点で表示されている図柄変動を、本フローでは説明の便宜上、「前回の図柄変動」と呼び、これに続く図柄変動のことを「当回の図柄変動」と呼ぶことにする。
前回の図柄変動が終了すると、当否決定部61は、特別図柄保留記憶部63に保留されている抽選結果のうち最初に抽選結果として格納された乱数を読み出してその記憶内容を消去し(S24)、2番目以降の領域に抽選結果の乱数が格納されていればそれらをそれぞれ一つ前の記憶領域へシフトする(S26)。当否決定部61は、読み出した乱数に基づいて抽選当否を判定し(S28)、続いて、図柄変動の表示内容が決定される。表示処理部74および表示処理部92は当回の特別図柄および装飾図柄を図柄表示装置26に変動表示させる(S30)。S28における当否決定部61による当否判定の結果、乱数が大当たり値であった場合(S32のY)、特別遊技へ移行し(S34)、抽選結果の乱数が外れ値であれば(S32のN)、S34をスキップする。
当回の図柄変動が終了すると(S36)、当否決定部61は、特別図柄保留記憶部63に乱数が保留されているか否かを判定する(S38)。保留されている場合(S38のY)、S24からS36までのステップを繰り返し、保留されていない場合(S38のN)、本フローを終了する。
図5は、図4のS28における抽選当否を判定する処理を詳細に示すフローチャートである。以下では図5および図6を用いて、抽選当否の判定と、続く図柄変動の表示内容の決定までを示す。図5では、メイン制御部70における処理S28aを示し、また図6では、サブ制御部80における処理S28bを示す。
S24において当否決定部61により読み出された乱数、またはS14において決定された乱数が大当たり値に該当する場合(S50のY)、さらに、この乱数が確率変動付き大当たり値であるか否かを判定する(S51)。確率変動付き大当たり値である場合(S51のY)、特別図柄決定部62は、確変当たり用の特別図柄の停止図柄を決定し、また特別図柄パターン決定部73は、確変当たり用の特別図柄の表示パターンを決定する(S52)。確率変動付き大当たり値でない場合(S51のN)、特別図柄決定部62は、通常当たり用の特別図柄の停止図柄を決定し、また特別図柄パターン決定部73は、通常当たり用の特別図柄の表示パターンを決定する(S53)。また、S50において、乱数が外れ値である場合(S50のN)、特別図柄決定部62は、外れ用の特別図柄の停止図柄を決定し、また特別図柄パターン決定部73は、外れ用の特別図柄の表示パターンを決定する(S54)。当否結果、特別図柄の停止図柄および表示パターンは、サブ制御部80に送られる。
図6は、装飾図柄の決定処理を示すフローチャートである。装飾図柄決定部82は、当否結果または特別図柄の停止図柄をもとに、装飾図柄の停止図柄を決定する(S60)。続いて、装飾図柄パターン決定部84は、特別図柄の表示パターンをもとに、装飾図柄をリーチ演出するか否かを判定する(S61)。この判定は、特別図柄の表示パターンの時間長に基づいてなされてもよい。例えば、特別図柄の変動時間が第1の所定時間よりも長ければリーチ演出することを決定し(S61のY)、一方で第1の所定時間よりも短ければ、リーチ演出をしないことを決定する(S61のN)。なお、当否結果または特別図柄の停止図柄により、抽選結果が大当たりであることを示される場合には、S61において、特別図柄の変動時間にかかわらず、常にリーチ演出することを決定する(S61のY)。装飾図柄パターン決定部84は、リーチ演出する場合に、さらにスーパーリーチ演出を行うか否かを判定する(S62)。この判定も特別図柄の変動時間に基づいてなされてよい。例えば特別図柄の変動時間が、第2の所定時間よりも長ければ、スーパーリーチ演出を行うことを決定し(S62のY)、第2の所定時間よりも短ければ、スーパーリーチ演出を行わず、ノーマルリーチ演出を行うことを決定する(S62のN)。スーパーリーチ演出を行う場合(S62のY)、装飾図柄パターン決定部84は、スーパーリーチ用の装飾図柄のパターンを決定する(S63)。ノーマルリーチ演出を行う場合(S62のN)、装飾図柄パターン決定部84は、ノーマルリーチ用の装飾図柄のパターンを決定する(S64)。リーチ演出を行わない場合(S61のN)、装飾図柄パターン決定部84は、リーチなしの装飾図柄のパターンを決定する(S65)。なお、ここでいう装飾図柄のパターンは、装飾図柄の変動開始から終了までの表示順序を定めた一連の表示パターンである。
図7は、図4のS34における特別遊技の動作を詳細に示すフローチャートである。特別遊技の開始とともに大入賞処理部58は大入賞口29を開放し(S70)、大入賞検出部53が大入賞口29への遊技球の落入を検出した場合(S71のY)、大入賞処理部58はその球数をカウントし(S72)、大入賞口29へ落入した遊技球が特定領域を通過したことを領域通過検出部54が検出した場合(S73のY)、領域通過処理部59は通過フラグをオンする(S74)。大入賞口29への遊技球の落入が検出されないときは(S71のN)、S72からS74をスキップする。大入賞口29へ落入した遊技球が特定領域を通過しなかった場合(S73のN)、S74がスキップされ、領域通過処理部59は通過フラグをそのままにする。S71からS74までの処理は、大入賞口29への落入球数のカウント値が10球以上に達するか、大入賞口29の開放時間が30秒間に達するまで繰り返され(S75のN)、これらいずれかの条件に達した場合(S75のY)、大入賞処理部58は大入賞口29を一旦閉鎖する(S76)。ここで通過フラグがオンになっていれば(S77のY)、特定領域への通過があったものとして通過フラグと落入球数のカウント値をリセットし(S78)、特別遊技のラウンド数をインクリメントして(S79)、そのラウンド数が15回に達するまで(S80のN)、S70からS79までの処理を繰り返す。ラウンド数が15回に達した場合(S80のY)、または通過フラグがオンになっていない場合に(S77のN)、特別遊技が終了される。以上が弾球遊技機の一般的な説明である。
本実施例におけるパチンコ遊技機10は、遊技者による図柄変動表示の調整機能を有する。遊技者は、装飾図柄の図柄変動の一部をスキップさせることもでき、また特別図柄の図柄変動を停止させることもできる。遊技者は、装飾図柄の演出をスキップすることでリーチ画面を早く見ることができ、また特別図柄の変動を停止することで図柄変動時間を短縮することもできる。パチンコ遊技機10は、装飾図柄の変動表示の早送り処理、巻き戻し処理、またはリプレイ処理などの機能も備えてもよい。これにより遊技者は、パチンコ遊技機10により提供される演出効果を楽しむことができるだけでなく、自分で演出効果をアレンジすることもでき、さらには演出の省略や変動の停止を行うこともできる。
図8は、本実施例のパチンコ遊技機10の前面側における構造を示す。図1に示す構造に追加する構成として、パチンコ遊技機10は、遊技者からの入力を受け付けるサブ入力部100およびメイン入力部102を備える。サブ入力部100およびメイン入力部102は、例えば機械的なボタンとして形成されてもよく、また赤外線センサやタッチセンサとして形成されてもよい。遊技者は、サブ入力部100およびメイン入力部102に対して所定の動作を行うことで、これらの入力部への指示入力を行うことができる。サブ入力部100に対する入力を「サブ入力」、メイン入力部102に対する入力を「メイン入力」と呼ぶ。サブ入力部100およびメイン入力部102は、一体として形成されていてもよいが、入力ミスを軽減する観点からは、別個に離れた位置に形成されていることが好ましい。また、サブ入力部100およびメイン入力部102は、遊技者が左手で操作できるように、パチンコ遊技機10の左側に設けられることが好ましい。
サブ入力部100は、表示される装飾図柄の図柄変動の変更指示を遊技者から受け付ける。図柄変動の変更指示は、サブ入力部100からサブ制御部80に送られる。メイン入力部102は、図柄変動の強制終了指示を遊技者から受け付ける。強制終了指示は、メイン入力部102からメイン制御部70に送られる。なお、この強制終了指示は、特別図柄の図柄変動の終了を指示するものであるが、メイン制御部70は、特別図柄の図柄変動を停止するとき、サブ制御部80に対して図柄変動の停止指示を送る。そのため、サブ制御部80においても装飾図柄の変動表示が停止され、したがって強制終了指示は、特別図柄だけでなく、装飾図柄の変動も停止させる。
図9は、パチンコ遊技機10における遊技を制御する構成を中心とした機能ブロック図である。図3と同一の符号を付した構成は、図3で説明した構成と同一または同様の機能を有する。図3に追加する構成として、パチンコ遊技機10は、サブ入力検出部110、メイン入力検出部112、サブ入力処理部114およびメイン入力処理部116を備える。
サブ入力検出部110は、遊技者によりサブ入力部100より入力される装飾図柄の図柄変動の変更指示を検出する。サブ入力処理部114は、サブ入力検出部110で検出された図柄変動の変更指示を受け取る。この変更指示は装飾図柄に関するものであるため、本実施例においては、サブ入力処理部114が、装飾図柄の表示制御を担当するサブ制御部80に設けられる。また、メイン入力検出部112は、遊技者によりメイン入力部102より入力される図柄変動の強制終了指示を検出する。メイン入力処理部116は、メイン入力検出部112で検出された図柄変動の強制終了指示を受け取る。この強制終了指示は、基本的には特別図柄に関するものであるため、メイン入力処理部116が、特別図柄の表示制御を担当するメイン制御部70に設けられる。
サブ入力処理部114は、図柄変動の変更指示に基づいて、装飾図柄の図柄変動の表示、特に図柄変動の表示順序を変更する。既述のごとく、装飾図柄パターン決定部84は、装飾図柄の図柄変動の一連の表示順序を示す表示パターンを決定する。表示順序の変更とは、決定した表示パターンの範囲内での表示内容の変更を意味し、例えば、図柄変動の表示順序を入れ替えたり、また図柄変動の一部をスキップさせることを含む。したがって、装飾図柄パターン決定部84は、図柄変動中に、新たな表示パターンを再度決定しなおす必要はない。サブ入力処理部114は、変動開始時に決定された表示パターンを加工する。表示処理部92は、サブ入力処理部114により変更された表示順序で、図柄表示装置26に図柄変動を表示させる。
メイン入力処理部116は、図柄変動の強制終了指示に基づいて、特別図柄の図柄変動を停止させる。これにより表示処理部74は、特別図柄の停止図柄を図柄表示装置26に表示させる。またメイン入力処理部116は、強制終了指示を受け取ると、サブ入力処理部114に対して装飾図柄の図柄変動の停止指示を送る。これにより、サブ入力処理部114は、装飾図柄の図柄変動を停止させ、表示処理部92は、装飾図柄の停止図柄を図柄表示装置26に表示させる。
図10は、サブ入力部100および/またはメイン入力部102からの指示入力により、遊技者が図柄変動を調整したときの装飾図柄の変動表示例を示す。図10(a)は、サブ制御部80において決定された装飾図柄の表示パターンおよび停止図柄の時間的な推移を示す。ここでは、表示パターンとして、演出1、演出2、演出3がこの順に設定され、表示パターンと停止図柄の表示時間が、60秒である場合を示す。演出1、演出2、演出3は所定の関係をもって順に設定され、この順序で表示されることが予定されている。各演出の時間長は既知であり、各演出は、互いに独立した映像としてパターン化されている。なお、図10(a)に示す表示例は、遊技者がサブ入力部100およびメイン入力部102からの指示入力を行っていない状態に相当する。
以下、図11から図14を用いて、図10(a)に示す装飾図柄の表示例について説明する。これらの図において、装飾図柄が中央領域に大きく示され、特別図柄が右上隅に小さく示されるが、以下では演出の役割を担う装飾図柄の図柄変動を中心に説明する。
図11は、演出1における装飾図柄の表示例を示す。演出1は、リーチが成立するまでの表示演出を担当する。図11(a)は、演出1の変動開始時における装飾図柄を示し、図11(b)は、演出1における装飾図柄変動中、3列の数字列が回転している様子を示す。すなわち、図11(b)は、リーチ成立前の装飾図柄の変動を表現している。なお、図11(a)に示される特別図柄、すなわち数字の「1」は、前回の変動停止時における特別図柄の停止図柄を示し、図11(b)は、特別図柄が回転している様子を示している。なお、特別図柄の変動は、装飾図柄による演出3が終了するタイミングまで行われる。
図12は、演出2における装飾図柄の表示例を示す。演出2は、ノーマルリーチの表示演出を担当する。図12(a)は、演出2の変動開始時における装飾図柄を示し、演出1の表示後、リーチがかかっている状態を遊技者に提示する。図12(b)は、リーチ演出において、真ん中の数字列のみが順に変動している様子を示す。図12(c)は、真ん中の図柄が停止して仮確定した装飾図柄を示す。演出2の実行中、特別図柄は常に変動している。
図13は、演出3における装飾図柄の表示例を示す。演出3は、スーパーリーチの表示演出を担当する。図13(a)は、演出3の変動開始時における装飾図柄を示す。ノーマルリーチからスーパーリーチに発展するときの表示態様であり、図12(c)に示す図柄に続いて、図13(a)の図柄を表示することで、遊技者にスーパーリーチに移行したことを知らせる。図13(b)は、スーパーリーチの演出態様の一例であり、中央図柄が右から左へ順に流れるように変動する様子を示す。演出3の実行中、特別図柄は常に変動している。
図14は、変動停止画面として表示される装飾図柄および特別図柄の表示例を示す。この停止図柄は、抽選結果が外れであったことを示す。以上のように、図10(a)では、リーチがかかるまでの演出1と、ノーマルリーチにおける演出2と、スーパーリーチにおける演出3と、外れを示す停止図柄とを順に表示するパターンが設定された例を示している。なお、演出1のみ、または演出1と演出2のみのパターンが設定されてもよく、さらに別の演出が追加されたパターンが設定されてもよい。
図10(b)は、演出1と演出2の境界または演出2の実行中にサブ入力がなされたときの装飾図柄の時間的な推移を示す。サブ入力処理部114は、演出スキップ機能をもち、サブ入力がなされた時点の演出、ここでは演出2をスキップさせる。図10(b)の例では、演出1と演出2のちょうど境界部分でサブ入力がなされて、演出2の全てをスキップした場合を示しているが、サブ入力が演出2の途中でなされた場合も、サブ入力処理部114は、サブ入力がなされた時点以降の演出2の残りの表示をスキップさせる。したがって、演出2の実行中にサブ入力がなされると、画面には、次の演出3の開始画面、すなわち図13(a)に示す図柄が表示されることになる。これにより、遊技者は、ノーマルリーチがスーパーリーチに発展するか否かを、その場で知ることができる。なお、スーパーリーチの演出3がもともと設定されていない場合は、ノーマルリーチの演出2をスキップすると、変動停止画面が表示されることになる。
サブ入力処理部114は、装飾図柄変動の一部をスキップさせる機能を有し、その単位は、例えば演出単位であってもよく、また全ての演出であってもよい。また、それぞれの演出の最後には、遊技者を飽きさせないために遊興性を高める図柄が挿入されることが多いため、サブ入力処理部114は、サブ入力がなされると、その時点の演出の終了数秒のところまでスキップさせ、演出のラスト数秒だけは遊技者に見せるようにしてもよい。サブ入力のみがなされた場合、演出をスキップした時間は、全ての演出終了から変動停止までの待機時間となる。図10(b)では、演出2の全てがスキップされたため、演出2全体の時間が、待機時間として演出3の後にあらわれることになる。
なお、演出1の実行中にサブ入力がなされた場合も同様に、サブ入力処理部114は、演出1の残りの表示をスキップさせる。したがって、この場合は、サブ入力の後、図柄表示装置26には、次の演出2の開始画面、すなわち図12(a)に示す図柄が表示されることになる。これにより遊技者は、リーチに移行するか否かをその場で知ることができる。なお、リーチの演出2および演出3がもともと設定されていない場合、演出1をスキップすると、変動停止画面が表示される。同様に、演出3の実行中にサブ入力がなされた場合、図柄表示装置26に、変動停止画面、すなわち図14に示す停止図柄が表示される。
図10(c)は、演出2と演出3の境界または演出3の実行中にメイン入力がなされたときの装飾図柄の時間的な推移を示す。メイン入力がなされると、特別図柄とともに、装飾図柄の図柄変動が強制終了される。したがって、メイン入力がなされると、その直後に停止図柄が表示されることになる。なお、演出間の境界だけでなく、演出3の途中でメイン入力がなされた場合であっても、その時点で特別図柄および装飾図柄の変動表示が強制終了され、特別図柄および装飾図柄の停止画面が表示される。
図10(d)は、サブ入力とメイン入力とがなされたときの装飾図柄の時間的な推移を示す。この例では、演出1と演出2の境界または演出2の実行中にサブ入力がなされ、演出3の終了と同時にメイン入力がなされている。図10(b)の表示例と比較すると、サブ入力の後、具体的にはサブ入力後の演出3の終了時にメイン入力がなされることで、演出2をスキップしたことによる時間分を待機する必要なく、図柄変動時間を短縮して、遊技者自らの意志で次の変動に移ることができる。また遊技者は、ノーマルリーチをスキップして、最終的な演出となるスーパーリーチを見ることができ、装飾図柄による演出効果を楽しむこともできる。このように、遊技者は、自分の好みに応じて図柄変動を調整することができ、パチンコ遊技機10は、多様な遊技者のニーズを満足させることが可能となる。
図15は、サブ入力とメイン入力がなされたときの処理シーケンスを示す図である。メイン制御部70は特別図柄を変動表示させ(S100)、サブ制御部80は装飾図柄を変動表示させている(S101)。サブ制御部80が遊技者から装飾図柄の変更指示を受け付けると(S102)、変更指示がなされたときの演出をスキップして、同じ表示パターンにおける次の演出に移る(S103)。
メイン制御部70が遊技者から特別図柄の強制終了指示を受け付けると(S104)、メイン制御部70はサブ制御部80に対して装飾図柄の停止指示を送る(S105)。メイン制御部70は、強制終了指示を受け取ると、特別図柄の図柄変動を停止し(S106)、特別図柄の停止図柄を表示させる(S108)。また、サブ制御部80は、停止指示を受け取ると、装飾図柄の図柄変動を停止し(S107)、装飾図柄の停止図柄を表示させる(S109)。以上のシーケンス処理に示すように、遊技者は、サブ入力を行うことで装飾図柄の演出の一部をスキップさせることができ、また、その後にメイン入力を行うことで、スキップしたことに伴う待機時間をなくし、図柄変動時間を短縮して、速やかに次の変動に移ることができる。
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、その各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、変形例を説明する。
実施例においては、遊技者が1回の変動に対してサブ入力を1回行う場合を示したが、遊技者は1回の変動中にサブ入力を2回以上行ってもよい。サブ入力処理部114は、サブ入力が行われるごとに、装飾図柄の表示パターンにおける演出をスキップさせる。これにより、遊技者は興味のある演出をその場で見ることができ、また、この抽選結果でリーチがかかるのか、またはスーパーリーチに移行するのかという抽選状態も知ることが可能となる。
また実施例においては、サブ入力処理部114が演出のスキップ機能を有する場合を示したが、サブ入力処理部114は、装飾図柄の表示パターンの範囲内における他の表示処理を実行することができる。例えば、サブ入力処理部114は、図柄変動表示の早送り処理を行ってもよい。サブ入力処理部114は、サブ入力がなされると、例えばサブ入力がなされた時点の演出の図柄変動を早送りさせる。これにより、遊技者は、次の演出に短時間で移ることができ、また演出のストーリを認識できるため、娯楽性を保ちつつ、演出を短くすることができる。なお、この早送り処理は、装飾図柄の表示パターンにおける画像を間引いて表示させる処理であり、その意味では、画像のスキップ処理ということもできる。いずれにしても、早送り処理は、表示パターンにおける図柄変動の表示順序を変更する処理の一態様である。
また、サブ入力処理部114は、図柄変動表示の巻き戻し処理を行ってもよい。この巻き戻し処理は、例えば早送り処理と併用されてもよく、早送り処理で見損なった演出を見たいときに、一旦巻き戻してから見るという使い方もある。この場合は、早送り処理を指示するときには、遊技者はサブ入力部100を1回入力し、巻き戻し処理を指示するときには、サブ入力部100を2回入力するなどして、これらの指示を区別する必要がある。なお、巻き戻し処理は、併用ではなく、単独で利用されてもよい。
さらに、サブ入力処理部114は、図柄変動表示のリプレイ処理を行ってもよい。遊技者からサブ入力がなされると、サブ入力処理部114は、サブ入力がなされた時点の演出、または既に表示が終了した演出を再度表示させる。これにより、遊技者は、お気に入りのリーチ演出などを何回も見ることができ、娯楽性が向上する。
また図10(b)において、演出3の終了から変動停止までの間、スキップした演出2の時間だけ待機する必要があるが、サブ入力処理部114は、表示するべき映像が終了したことを認識すると、その間にデモ画面などを表示してもよい。なお、このとき、最終演出である演出3を繰り返し表示してもよく、これは、上記したリプレイ処理に相当する機能ではあるが、遊技者からのサブ入力を必要としない点で、自律的なリプレイ処理に相当する。
10・・・パチンコ遊技機、28・・・始動口、60・・・特別図柄抽選実行部、61・・・当否決定部、62・・・特別図柄決定部、70・・・メイン制御部、74・・・表示処理部、80・・・サブ制御部、82・・・装飾図柄決定部、84・・・装飾図柄パターン決定部、86・・・装飾図柄パターン格納部、92・・・表示処理部、100・・・サブ入力部、102・・・メイン入力部、110・・・サブ入力検出部、112・・・メイン入力検出部、114・・・サブ入力処理部、116・・・メイン入力処理部。