JP2005110231A - アレーアンテナ装置とその制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 構造が簡単であって小型軽量であり、垂直面での指向特性を制御することができるアレーアンテナ装置とその制御方法を提供する。
【解決手段】 無線信号を送受信するための励振素子から所定の間隔だけ離れて設けられた複数本の非励振素子と、励振素子と非励振素子との間に接続された可変リアクタンス素子とを備え、複数本の非励振素子に少なくとも1対の間に可変リアクタンス素子を接続した。ここで、励振素子と、複数本の非励振素子とを1直線上に並置することによりコリニアアレーアンテナを構成した。各可変リアクタンス素子に設定する各リアクタンス値を変化させることにより、各非励振素子をそれぞれ導波器又は反射器として動作させ、アレーアンテナの指向特性を変化させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数のアンテナ素子からなるアレーアンテナ装置とその制御方法に関する。
単一の励振素子と複数の非励振素子を備えた、従来技術に係る電子制御導波器アレーアンテナ装置(Electronically Steerable Passive Array Radiator (ESPAR) Antenna)が、例えば、特許文献1及び2、非特許文献1において提案されている。この電子制御導波器アレーアンテナ装置は、無線信号が給電される励振素子と、この励振素子から所定の間隔だけ離れて設けられ、無線信号が給電されない少なくとも1個の非励振素子と、この非励振素子に接続された可変リアクタンス素子とから成るアレーアンテナを備え、上記可変リアクタンス素子のリアクタンス値を変化させることにより、上記アレーアンテナの指向特性を変化させることができる。
この電子制御導波器アレーアンテナ装置のような空間電力合成によるビームフォーミング方式は、簡単なハードウエア構成と低い電力消費で、可変指向特性を達成して高い利得を得ることができるので、実用的な端末(特に、移動体ユーザ端末)搭載アダプティブアンテナとして期待できる。しかしながら、電子制御導波器アレーアンテナ装置の場合、受動素子上の信号を観測することはできない。従って、単一ポートの出力のみを観測し、リアクタンス値を調整するためのフィードバックとして処理する必要がある。言い換えれば、従来の適応型アレー用に作られた方法の大部分を電子制御導波器アレーアンテナ装置に直接に適用することはできない。
特開2001−24431号公報。 米国特許第6,407,719号の明細書。 T. Ohira et al., "Electronically steerable passive array radiator antennas for low-cost analog adaptive beamforming," 2000 IEEE International Conference on Phased Array System & Technology pp. 101-104, Dana point, California, May 21-25, 2000。 飯草恭一ほか,"エスパアンテナの有限地板を考慮した等価ステアリングベクトルと等価ウエイトベクトル",電子情報通信学会研究技術報告,AP2003−13,pp.73−80,電子情報通信学会発行,2003年4月。 大平孝,"エスパアンテナの等価ウェイトベクトルとアレーファクタ表現",電子情報通信学会技術報告,AP2000−44,SAT2000−41,MW2000−44,pp.7−12,2000年7月。 大平孝,"エスパアンテナの等価ウェイトベクトルとその勾配に関する基本的定式化",電子情報通信学会技術報告,AP2001−16,SAT2001−3,pp.15−20,2001年5月。 大平孝,"モーメント規範に基づくエスパアンテナの定振幅ブラインド適応ビーム形成",電子情報通信学会技術報告,ED2001−155,MW2001−115,pp.23−28,2001年11月。 大平孝,"エスパアンテナの主ビームを所望方法へ形成するためのリアクタンスを簡単に求める方法:準同期合成と最急勾配法",電子情報通信学会研究技術報告,AP2001−48,pp.1−6,2001年7月。 神谷ほか,"エスパアンテナの基本検討:適応制御に基づくSIR特性の統計的規範",電子情報通信学会技術報告,AP2000−175,SANE2000−156,pp.17−24,2001年1月。
上述のように、電子制御導波器アレーアンテナ装置は安価なバラクタなどの可変リアクタンス素子を用いて水平面内指向特性を制御できるアンテナであり、指向特性の制御により干渉波除去や到来方向推定が可能となる。しかしながら、垂直面での指向特性を制御することができなかった。
本発明の目的は以上の問題点を解決し、構造が簡単であって小型軽量であり、垂直面での指向特性を制御することができるアレーアンテナ装置とその制御方法を提供することにある。
第1の発明に係るアレーアンテナ装置は、
無線信号を送受信するための励振素子と、
上記励振素子から所定の間隔だけ離れて設けられた少なくとも1本の非励振素子と、
上記励振素子と上記非励振素子との間に接続された可変リアクタンス素子とを備え、
上記可変リアクタンス素子に設定するリアクタンス値を変化させることにより、上記非励振素子をそれぞれ導波器又は反射器として動作させ、アレーアンテナの指向特性を変化させることを特徴とする。
上記アレーアンテナ装置において、複数本の非励振素子を備え、
上記複数本の非励振素子の少なくとも1対の間に可変リアクタンス素子を接続し、上記各可変リアクタンス素子に設定する各リアクタンス値を変化させることにより、上記各非励振素子をそれぞれ導波器又は反射器として動作させ、アレーアンテナの指向特性を変化させることを特徴とする。
また、上記アレーアンテナ装置において、上記複数本の非励振素子の少なくとも1対の間を連結する連結素子をさらに備えたことを特徴とする。
さらに、上記アレーアンテナ装置において、上記励振素子と、上記複数本の非励振素子とを1直線上に並置することによりコリニアアレーアンテナを構成したことを特徴とする。
またさらに、上記アレーアンテナ装置において、上記コリニアアレーアンテナを励振素子装置として用い、
上記励振素子装置から所定の間隔だけ離れて設けられた少なくとも1本の非励振素子と、
上記各非励振素子のうちの所定数の非励振素子に接続された可変リアクタンス素子とを備え、
上記各可変リアクタンス素子に設定する各リアクタンス値を変化させることにより、上記各非励振素子をそれぞれ導波器又は反射器として動作させ、アレーアンテナの指向特性を変化させることを特徴とする。
また、上記アレーアンテナ装置において、上記励振素子と、上記非励振素子は誘電体基板の第1の面上に形成され、
上記可変リアクタンス素子と、上記可変リアクタンス素子を制御する制御信号を伝送する線路は上記誘電体基板の第2の面上に形成されたことを特徴とする。
さらに、上記アレーアンテナ装置において、複数のアンテナ素子ユニットと、少なくとも1つの延長ユニットとを備え、
上記各アンテナ素子ユニットは、アンテナ素子と、上記アンテナ素子の一端に接続された可変リアクタンス素子と、上記可変リアクタンス素子を制御する制御信号を伝送する線路とを備え、
上記延長ユニットは上記アンテナ素子ユニット上の線路を延長するための延長線路を備え、
上記複数のアンテナ素子ユニットのうちの互いに隣接する2つのアンテナ素子ユニットは、互いに隣接するアンテナ素子が可変リアクタンス素子を介して接続されるように連結され、
上記延長ユニットは、上記複数のアンテナ素子ユニットのうちの少なくとも1つにおける上記線路を延長するように上記少なくとも1つのアンテナ素子ユニットに連結されることを特徴とする。
第2の発明に係るアレーアンテナの制御方法は、上記アレーアンテナ装置を制御するためのアレーアンテナの制御方法であって、
上記各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を所定の初期値からランダムに摂動して設定したときに、相手先の送信機から送信される無線信号に含まれる学習シーケンス信号を上記アレーアンテナにより受信したときの受信信号と、上記学習シーケンス信号と同一の信号パターンを有して発生された学習シーケンス信号との間の摂動前後の所定の相互相関係数を演算し、摂動前後の相互相関係数が増大するときに対応するリアクタンス値を選択して設定した後、上記選択された各可変リアクタンス素子のリアクタンス値から上記ランダムに摂動して設定することを繰り返すステップを含むことを特徴とする。
第3の発明に係るアレーアンテナの制御方法は、上記アレーアンテナ装置を制御するためのアレーアンテナの制御方法であって、
上記各可変リアクタンス素子が採り得るリアクタンス値の範囲を分割し、その分割後の各範囲の代表値をそれぞれ上記各可変リアクタンス素子に設定したときに、相手先の送信機から送信される無線信号に含まれる学習シーケンス信号を上記アレーアンテナにより受信したときの受信信号と、上記学習シーケンス信号と同一の信号パターンを有して発生された学習シーケンス信号との間の所定の相互相関係数を演算し、上記分割後の各範囲の代表値に対応する2つの相互相関係数のうち大きい相互相関係数に対応する上記各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を初期値として選択して設定する第1のステップと、
上記選択されたリアクタンス値に属する範囲を分割し、その分割後の各範囲の代表値をそれぞれ上記各可変リアクタンス素子に設定したときに上記相互相関係数を演算し、上記分割後の各範囲の代表値に対応する2つの相互相関係数のうち大きい相互相関係数に対応する上記各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を選択して設定する第2のステップとを含み、
上記アレーアンテナの主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるように制御することを特徴とする。
第4の発明に係るアレーアンテナの制御方法は、上記アレーアンテナ装置を制御するためのアレーアンテナの制御方法であって、
上記各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を順次所定のステップ幅だけ摂動させ、各リアクタンス値に対して所定の評価関数値を計算し、各可変リアクタンス素子に対して、摂動前後で上記計算された評価関数値が改善するときは上記リアクタンス値を摂動後の値に設定する一方、摂動前後で上記計算された評価関数値が改善しないときは上記リアクタンス値を摂動前の値に設定し、上記評価関数値が改善しなかった可変リアクタンス素子のリアクタンス値に対する、次の反復の処理のステップ幅を減少させかつ当該ステップ幅の符号を逆にする処理を反復して実行するように制御することにより、上記アレーアンテナの主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるための各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を計算して設定する制御ステップを含むことを特徴とする。
第5の発明に係るアレーアンテナの制御方法は、上記アレーアンテナ装置を制御するためのアレーアンテナの制御方法であって、
上記各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を順次所定の差分幅ΔXだけ摂動させ、各リアクタンス値に対して所定の評価関数値を計算し、上記計算された評価関数値に基づいて、ステップ幅μを有する最急勾配法を用いて、当該評価関数値が最大又は最小となるように各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を反復して計算することにより、上記アレーアンテナの主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるための各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を計算して設定するときに、上記差分幅ΔXと上記ステップ幅μを、所定の減少関数を用いて上記評価関数値f又は上記評価関数値fから計算される信号対干渉雑音電力比SINRに依存して減少するように制御することを特徴とする。
第6の発明に係るアレーアンテナの制御方法は、上記アレーアンテナ装置を制御するためのアレーアンテナの制御方法であって、
上記受信された無線信号に基づいて所定の評価関数値を計算し、上記計算された評価関数値に基づいて、所定のマルカート数を有するマルカート法を用いて上記各可変リアクタンス素子の差分リアクタンス値を計算し、上記各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を順次所定の差分リアクタンス値だけ摂動させることを繰り返すことにより、当該評価関数値が最大又は最小となるように、上記アレーアンテナの主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるための各可変リアクタンス素子のリアクタンス値の最適解を計算して設定することを特徴とする。
第7の発明に係るアレーアンテナの制御方法は、上記アレーアンテナ装置を制御するためのアレーアンテナの制御方法であって、
上記励振素子によって受信された受信信号に基づいて、非線形計画法における反復的な数値解法を用いて、上記受信信号のみで表された目的関数の値が最大又は最小となるように、上記アレーアンテナの主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるための可変リアクタンス素子のリアクタンス値を計算して設定するステップを含むことを特徴とする。ここで、上記目的関数は、所定の期間における、上記受信信号の絶対値の時間平均値の二乗値を、上記受信信号の絶対値の二乗値の時間平均値で除算した関数であることを特徴とする。もしくは、上記目的関数は、所定の期間における、上記受信信号の絶対値の時間平均値の二乗値を、上記受信信号の絶対値の二乗値の時間平均値で除算した関数であることを特徴とする。
第8の発明に係るアレーアンテナの制御方法は、上記アレーアンテナ装置を制御するためのアレーアンテナの制御方法であって、
上記送信された無線信号はディジタル振幅変調を含む変調方法で変調され、上記無線信号の互いに異なる2つの信号点の電力値のうち大きい電力値を小さい電力値で除算した商の値を電力比Rとしたとき、上記無線信号は上記ディジタル振幅変調の複数の信号点においてそれぞれ所定の離散電力比R1,R2,…,Rmaxを有し、
上記励振素子によって受信された受信信号に基づいて、所定の期間において上記受信信号の互いに異なる組み合わせの各2つの信号点の電力値についてそれぞれ上記電力比Rを計算し、上記計算された各電力比Rから上記離散電力比R1,R2,…,Rmaxをそれぞれ減算した値の絶対値のうちの最小値を目的関数値として計算し、上記目的関数値が実質的に最小又は最大となるように、上記アレーアンテナの主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるための可変リアクタンス素子のリアクタンス値を計算して設定するステップを含むことを特徴とする。ここで、上記目的関数値は、上記期間において上記受信信号の互いに異なる組み合わせの各2つの信号点の電力値についてそれぞれ上記電力比Rを計算し、上記計算された各電力比Rから上記離散電力比R1,R2,…,Rmaxをそれぞれ減算した値の絶対値のうちの最小値の時間平均値又はアンサンブル平均値であることを特徴とする。
第9の発明に係るアレーアンテナの制御方法は、上記アレーアンテナ装置を制御するためのアレーアンテナの制御方法であって、
上記送信された無線信号はm相PSK変調され(ここで、mは2以上の整数である。)、上記励振素子によって受信された受信信号に基づいて、非線形計画法における反復的な数値解法を用いて、上記受信信号のm乗を用いて表された規範関数の値が最大又は最小となるように、上記アレーアンテナの主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるための可変リアクタンス素子のリアクタンス値を計算して設定するステップを含むことを特徴とする。
従って、本発明に係るアレーアンテナ装置によれば、構造が簡単であって小型軽量であり、垂直面での指向特性を制御することができる。また、本発明に係るアレーアンテナの制御方法によれば、上記アレーアンテナ装置において主ビームを適応制御することができる。
以下、本発明に係る各実施形態について図面を参照して説明する。なお、同様の構成要素については同一の符号を付している。
<第1の実施形態>
図1(a)は本発明の第1の実施形態に係るコリニアアレーアンテナ装置100の構成を示す正面図であり、図1(b)は図1(a)のコリニアアレーアンテナ装置100のモデル回路を示す回路図である。本実施形態に係るコリニアアレーアンテナ装置100は、図1(a)に示すように、
(a)1/4波長の長さを有する円柱形状のアンテナ素子11−5と、
(b)1/2波長の長さを有する円柱形状のアンテナ素子11−3と、
(c)1/2波長の長さを有する円柱形状のアンテナ素子11−1と、
(d)1/2波長の長さを有する円柱形状のアンテナ素子11−2と、
(e)1/2波長の長さを有する円柱形状のアンテナ素子11−4と、
(f)1/4波長の長さを有する円柱形状のアンテナ素子11−6とを、
これらのアンテナ素子の順序でかつ天頂方向(鉛直方向に平行なX軸方向)を向く1直線上で並置し、
(g)アンテナ素子11−1の一端と、アンテナ素子11−2の一端との間の端子対を、無線送受信機を接続する給電点6の給電ポートP0とするとともに、
(h)アンテナ素子11−1の他端と、アンテナ素子11−3の一端との間の端子対をポートP1とし、ポートP1に可変リアクタンス素子12−1を接続し、
(i)アンテナ素子11−3の他端と、アンテナ素子11−5の一端との間の端子対をポートP3とし、ポートP3に可変リアクタンス素子12−3を接続し、
(j)アンテナ素子11−2の他端と、アンテナ素子11−4の一端との間の端子対をポートP2とし、ポートP2に可変リアクタンス素子12−2を接続し、
(k)アンテナ素子11−4の他端と、アンテナ素子11−6の一端との間の端子対をポートP4とし、ポートP4に可変リアクタンス素子12−4を接続する
ことにより構成したことを特徴としている。
本実施形態に係るコリニアアレーアンテナ装置100は、1つの給電ポートP0を有するほか、他のポートP1乃至P4にそれぞれ可変リアクタンス素子12−1乃至12−4が装荷されている。ポート番号をmやnで表し、給電ポートP0の番号をm=0とする。また、可変リアクタンス素子12−1乃至12−4(総称して、符号12を付す。)が装荷されるポートの総数をMとする(m=0,1,2,…,M)。なお、本実施形態では、ポート番号m,nを、給電ポートP0から上方向に向かって奇数の昇順で付与する一方、給電ポートP0から下方向に向かって偶数の昇順で付与することとする。さらに、当該コリニアアレーアンテナ装置100のX軸を含む平面において、X軸方向からの主ビームの角度、すなわち天頂からの仰角を天頂仰角θとし、X軸に対して垂直な水平面での主ビームの方位角をφとする。
本実施形態では、天頂仰角θに関する振幅指向特性は垂直面指向特性となり、当該コリニアアレーアンテナ装置100は以下に示すように、可変リアクタンス素子12−1乃至12−4の各リアクタンス値を変化させることにより当該垂直面指向特性における主ビームの天頂仰角θを変化させることができる。
図1のコリニアアレーアンテナ装置100において、各ポートP0乃至P4に流れる電流i乃至iはポート間相互結合により励振される。ポート間が電気的に導通している場合も分離している場合もその結合はポート間インピーダンスZmnで表される。ここで、ポート間インピーダンスZmnはm番目のポートとn番目のポート間の結合インピーダンスである。また、アンテナ素子11−1乃至11−6には可変リアクタンス素子12−1乃至12−4が装荷されているので、各アンテナ素子11−1乃至11−6の自己インピーダンスは、ポート間インピーダンスZmnと、可変リアクタンス素子のインピーダンスjxとの和で表される。ここで、xはm番目のポートPmに装荷された可変リアクタンス素子12−mのリアクタンス値である。よって、ポートPmに流れる電流iは、次式で表される。なお、当該明細書において、数式がイメージ入力された墨付き括弧の数番号と、数式が文字入力された大括弧の数番号とを混在して用いており、また、当該明細書での一連の数式番号として「式(1)」の形式を用いて数式番号を式の最後部に付与して(付与していない数式も存在する)用いることとする。
[数1]
[i
=([Zmm]+diag[z,x,jx,…,jx])−1[vsn
(1)
[数2]
[vsn]=[v,0,0,…,0] (2)
ここで、上付き添字のTは行列の転置を表す。また、vは給電回路である無線送信機7の開放電圧であり、zは当該無線送信機7の出力インピーダンスである。上式のようにリアクタンス値の変化によりポート電流iが変化する。当該コリニアアレーアンテナ装置100の指向特性は、各ポート電流iと、ステアリングベクトルの積の総和で表される。電流値として各ポートP0乃至P4に流れる電流iのみが、上式によって解けているが、各ポートP0乃至P4以外に流れる電流は未知である。各ポートP0乃至P4以外に流れる電流はアンテナの部位間の相互結合により変化する。しかしながら、各ポートP0乃至P4のみに単位電流が流れ、残りのポートが開放されている場合の素子上電流分布は一意に決まり、また、その電流により放射される電磁界も一意に決まる。その指向特性を等価ステアリングベクトルu (φ,θ)と定義すると(例えば、非特許文献2参照。)、ポート電圧と電流の線形の関係より、指向特性E(φ,θ)はポート電流iと等価ステアリングベクトルu (φ,θ)の積の総和で、次式のように表される。
[数3]
E(θ)
=[u (θ)]
([Zmm]+diag[zs,jx,jx,…,jx])−1
[vs,0,0,…,0]
(3)
なお、等価ステアリングベクトル要素u (φ,θ)は、ポートPmに単位電流を与え残りのポートを開放したときの指向特性であり、また、ポートPnに生ずる電圧がインピーダンスZnmである。ここで、等価ステアリングベクトル要素u (φ,θ)の右上の上付き添字であるiは単位電流により励振される等価ステアリングベクトルであることを示す。なお、当該コリニアアレーアンテナ装置100の主ビームを適応制御するための方法では、単位電圧により励振される等価ステアリングベクトルu (φ,θ)についても記述される。等価ステアリングベクトルu (φ,θ)はアンテナ構造により固定されるが、ポート電流iがリアクタンス値xにより変化するため、指向特性E(φ,θ)はリアクタンス値制御により可変となる。
図1に図示したコリニアアレーアンテナ装置100においては、ダイポールアンテナが直接接続されたのではなく、長い1つのダイポールアンテナの電流分布を、可変リアクタンス素子12−1乃至12−4により制御するという技術的説明も可能であり、これに基づき、その動作説明を以下に行う。
コリニアアレーアンテナ装置100への給電により線状アンテナ上にポート電流iが流れる。線状アンテナ上のポートP1乃至P4に装荷される可変リアクタンス素子12−1乃至12−4のリアクタンス値xにより、各ポートPmに流れる電流iの振幅と位相が変化し、次式で表される。
[数4]
[i
=([Zmm]+diag[z,jx,jx,…,jx])−1[vsn
(4)
この変化は他のポート電流やポートでない線状アンテナ上の電流を変化させる。指向特性E(θ)は線状アンテナ上の電流分布により決まる。ただし、水平面無指向特性なのでφ依存性はなく、次式で表される。
[数5]
E(θ)=[u (θ)][i] (5)
よって、指向特性E(θ)も可変リアクタンス素子12−mのリアクタンス値xにより変化する。従って、次式を得る。
[数6]
E(θ)
=[u (θ)]
([Zmm]+diag[z,jx,jx,…,jx])−1
[v,0,0,…,0]
(6)
例えば、励振される電流の位相分布の傾きを一定にすると、その傾きに対応した方向にビームが放射されるので、その位相分布の傾きを変化させることによりビーム方向を走査することができる。ここで、上述のように、等価ステアリングベクトルモデルを適用した場合、制御パラメータが変わる度に指向特性を計算し直す場合、構造パラメータを繰り返し計算する必要がないので、モーメント法に比べ計算速度が速く効率的であるという利点がある。
さらに、指向特性D(θ)について以下のように導出できる。給電ポートP0における不整合損Mは給電ポートP0の電流iを用いて次式により計算できる。
[数7]
in=v/i−z (7)
[数8]
γ=(zin−z)/(zin+z) (8)
[数9]
M=1/(1−|γ|) (9)
従って、θ方向の指向特性D(θ)は次式で計算できる。
[数10]
D(θ)=|E(θ)|M (10)
以上説明したように、アンテナへの給電により給電ポート、他のポート部、ポート以外のアンテナ導体部には電流が励振され、これらの全電流により電磁界が放射される。電流分布により指向特性や入力インピーダンス等のアンテナ特性が決まり、電流分布はアンテナ導体部間の相互結合により決まる。ポートに装荷される可変リアクタンス値により、ポート部に流れる電流の大きさや位相が変化し、この電流の変化は、さらには他のポートや導体部に流れる電流値へ影響を与える。これら総合的な作用により電流分布全体、そして、指向特性を変化させることができる。また、以上のように構成したコリニアアレーアンテナ装置100は、小型軽量であって生産性も高いと考えられる。
以上の実施形態においては、ダイポール形式の6素子のアンテナ素子11−1乃至11−6を用いているが、本発明はこれに限らず、ダイポール形式の4素子又は8素子以上の素子数のアンテナ素子を用いてコリニアアレーアンテナ装置を構成してもよい。とって代わって、詳細後述するように、給電ポートP0の下側を接地して、モノポール形式の2素子以上素子数のコリニアアレーアンテナ装置を構成してもよい。
以上の実施形態においては、円柱形状のアンテナ素子11−1乃至11−4を用いているが、本発明はこれに限らず、矩形柱形状、楕円柱形状など種々の柱形状(直線形状)のアンテナ素子を用いてもよい。
次いで、本発明者らは、図1のコリニアアレーアンテナ装置100を用いて指向特性のシミュレーションを行ったので、その結果を以下に示す。当該シミュレーションでは、指向特性利得D(θ)を評価関数として、天頂仰角θ方向の評価関数値が極大あるいは極小となるように最急勾配法を適用し、ビームやヌルを形成する。ここで、可変リアクタンス素子12−1乃至12−4は無損失でリアクタンス可変範囲に制限は無いとし、最急勾配法におけるリアクタンス値の初期値は全て0[W]とする。39度及び73度方向に主ビームを形成し、28度及び90度方向にヌルを形成した場合の垂直面内指向特性利得パターンD(θ)を図2に示す。図2から明らかなように、所望方向にビームやヌルが形成されていることが分かる。モーメント法による計算結果はこの結果に区別できない程に一致しており、等価ステアリングベクトルを用いた解析の有効性が確認できる。また、各方向にビームやヌルを形成した場合の指向特性利得D(θ)の収束値を図3及び図4に示す。図3及び図4から明らかなように、天頂仰角θが15度から165度の範囲に0dB以上の利得が確保でき、全方向に約−15dB以下のヌルが形成できることが分かる。
以上説明したように、約半波長間隔に可変リアクタンス素子12−1乃至12−4を装荷したコリニア型の電子制御導波器アレーアンテナ装置の構成を提案し、ビームやヌルを垂直方向に走査可能であることを示した。さらに、コリニア型の場合にも等価ステアリングベクトルを適用できることを確認した。なお、当該コリニアアレーアンテナ装置100を従来技術の電子制御導波器アレーアンテナ装置のアレー素子とすることにより、水平方向及び垂直方向に指向特性制御できる実施例について詳細後述する。
図5は本発明の第1の実施形態に対する第1の変形例に係るアレーアンテナ装置の構成を示す正面図である。図5において、2本のアンテナ素子111,112からなり給電されるダイポールアンテナの励振素子A200と平行となるように、
(a)2本のアンテナ素子121,122からなりアンテナ素子121,122の端子対間に可変リアクタンス素子512−1が装荷されたダイポールアンテナの非励振素子A201と、
(b)2本のアンテナ素子131,132からなりアンテナ素子131,132の端子対間に可変リアクタンス素子512−2が装荷されたダイポールアンテナの非励振素子A202とが所定の間隔で並置されている。
以上のように構成されたアレーアンテナ装置においても、可変リアクタンス素子512−1,512−2のリアクタンス値を変化することにより、当該アレーアンテナ装置全体の垂直面指向特性を変化させることができる。
図6は本発明の第1の実施形態に対する第2の変形例に係るアレーアンテナ装置の構成を示す正面図である。この第2の変形例は、図5の第1の変形例に比較して、
(a)アンテナ素子111,112間を結合素子301を用いて結合し、
(b)アンテナ素子111,122間を結合素子302を用いて結合し、
(c)アンテナ素子112,132間を結合素子303,304を用いて結合した
ことを特徴としている。
以上のように構成されたアレーアンテナ装置においても、結合素子301乃至304の素子間結合を考慮する必要があるが、可変リアクタンス素子512−1,512−2のリアクタンス値を変化することにより、当該アレーアンテナ装置全体の垂直面指向特性を変化させることができる。
なお、第2の変形例における結合素子を図1のコリニアアレーアンテナ装置100に適用してもよい。すなわち、アンテナ素子11−1乃至11−6のうちの所定の対間で結合素子を用いて結合してもよい。
図7は本発明の第1の実施形態に対する第3の変形例に係るアレーアンテナ装置の構成を示す正面図である。この第3の変形例は、図5の第1の変形例に比較して、以下のように構成したことを特徴としている。
(a)アンテナ素子111の先端側一端と、アンテナ素子121の先端側一端とを、2本のアンテナ素子141,142からなりアンテナ素子141,142の端子対間に可変リアクタンス素子512−3が装荷されたダイポールアンテナの非励振素子A203により結合した。
(b)アンテナ素子112の先端側一端と、アンテナ素子122の先端側一端とを、2本のアンテナ素子151,152からなりアンテナ素子151,152の端子対間に可変リアクタンス素子512−4が装荷されたダイポールアンテナの非励振素子A204により結合した。
(c)アンテナ素子111の先端側一端と、アンテナ素子131の先端側一端とを、2本のアンテナ素子161,162からなりアンテナ素子161,162の端子対間に可変リアクタンス素子512−5が装荷されたダイポールアンテナの非励振素子A205により結合した。
(d)アンテナ素子112の先端側一端と、アンテナ素子132の先端側一端とを、2本のアンテナ素子171,172からなりアンテナ素子171,172の端子対間に可変リアクタンス素子512−6が装荷されたダイポールアンテナの非励振素子A206により結合した。
以上のように構成されたアレーアンテナ装置においては、2つの電気的ループ回路601,602が形成され、各非励振素子A201乃至A206間結合を考慮する必要があるが、可変リアクタンス素子512−1乃至512−6のリアクタンス値を変化することにより、当該アレーアンテナ装置全体の指向特性を変化させることができる。
図8は本発明の第1の実施形態に対する第4の変形例に係るアレーアンテナ装置の構成を示す正面図である。この第4の変形例は、励振素子として動作する図1のコリニアアレーアンテナ装置100を中心として、所定の半径rの距離にある円上で、互いに例えば等角度の間隔でかつ平行となるように6本の非励振素子A201乃至A206を並置したことを特徴としている。ここで、
(a)非励振素子A201は、2本のアンテナ素子121,122からなりアンテナ素子121,122の端子対間に可変リアクタンス素子512−1が装荷されたダイポールアンテナである。
(b)非励振素子A202は、2本のアンテナ素子131,132からなりアンテナ素子131,132の端子対間に可変リアクタンス素子512−2が装荷されたダイポールアンテナである。
(c)非励振素子A203は、2本のアンテナ素子141,142からなりアンテナ素子141,142の端子対間に可変リアクタンス素子512−3が装荷されたダイポールアンテナである。
(d)非励振素子A204は、2本のアンテナ素子151,152からなりアンテナ素子151,152の端子対間に可変リアクタンス素子512−4が装荷されたダイポールアンテナである。
(e)非励振素子A205は、2本のアンテナ素子161,162からなりアンテナ素子161,162の端子対間に可変リアクタンス素子512−5が装荷されたダイポールアンテナである。
(f)非励振素子A206は、2本のアンテナ素子171,172からなりアンテナ素子171,172の端子対間に可変リアクタンス素子512−6が装荷されたダイポールアンテナである。
以上のように構成されたアレーアンテナ装置においては、可変リアクタンス素子12−1乃至12−4のリアクタンス値を変化させることにより上述のように単独で垂直面指向特性を変化させることができるとともに、非励振素子A201乃至A206の可変リアクタンス素子512−1乃至512−6のリアクタンス値を変化させることにより、垂直面指向特性を変化させることができる。すなわち、これら可変リアクタンス素子12−1乃至12−4及び512−1乃至512−6のリアクタンス値を変化させることにより、当該アレーアンテナ装置全体の垂直面指向特性を変化できる。なお、図8のアレーアンテナ装置においては、非励振素子A201乃至A206のすべてに可変リアクタンス素子12−1乃至12−6を接続しているが、本発明はこれに限らず、複数の非励振素子のうちの所定数の非励振素子に可変リアクタンス素子を接続してもよい。すなわち、可変リアクタンス素子を装荷しない非励振素子は固定の導波器又は反射器として動作する。
図9は本発明の第1の実施形態に対する第5の変形例に係るアレーアンテナ装置の構成を示す正面図である。第5の変形例は、中央部に給電される円形ループアンテナ180を配置し、そのループアンテナ180から離間して互いに90度の角度で互いに離間するように、非励振素子である4個の円形ループアンテナ181乃至184を同一平面上(例えば、同一の誘電体基板上)に配置したことを特徴としている。なお、図9の紙面上の縦方向を鉛直方向とする。ここで、各非励振素子のループアンテナ181乃至184のポートにはそれぞれ、可変リアクタンス素子12−1乃至12−4が接続されている。以上のように構成されたアレーアンテナ装置においても、可変リアクタンス素子12−1乃至12−4のリアクタンス値を変化させることにより、各非励振素子のループアンテナ181乃至184が導波器又は反射器として動作し、垂直面指向特性を変化させることができる。
図10は本発明の第1の実施形態に対する第6の変形例に係るアレーアンテナ装置の構成を示す正面図である。第5の変形例において、各ループアンテナ180乃至184を同一平面に必ずしも配置する必要はなく、また、同一面に配置する場合、物理的に接触してしまうため素子間隔を狭められないという問題が生じ、さらには、素子間隔が広いと素子間相互結合が弱く無給電素子が効率よく励振されないので、第6の変形例では、これらの問題点を解決するために、ループアンテナ180乃至184の配置面をずらし、スタック化した構造を提案する。第6の変形例は、図9の変形例に比較して、励振素子であるループアンテナ180と、各非励振素子であるループアンテナ181乃至184とを、例えば、多層プリント配線基板を用いて異なる平面で配置したことを特徴としている。ここで、各非励振素子であるループアンテナ181乃至184は、励振素子のループアンテナ180と立体的にオーバーラップするように配置され、占有面積が第5の変形例に比較して小さくなっている。
以下、本実施形態に係るコリニアアレーアンテナ装置100及びその変形例に係るアレーアンテナ装置(以下、代表して、アレーアンテナ装置100とし、可変リアクタンス素子12−1乃至12−6(総称して、符号12を付す)を有するものとする。)において主ビームを所望波方向に向けるために適応制御装置の実施例について以下に詳細説明する。
図11は本発明に係る実施例1の適応制御方法を用いたアレーアンテナの制御装置の構成を示すブロック図である。この実施例のアレーアンテナの制御装置はアレーアンテナ装置100のための適応制御装置であって、図11に示すように、適応制御型コントローラ20と、学習シーケンス信号発生器21と、適応制御型コントローラ20に接続されたバイアス電圧テーブルメモリ22とを備えて構成される。
ここで、適応制御型コントローラ20は、例えばコンピュータなどのディジタル計算機で構成され、復調器4による無線通信を開始する前に、相手先の送信機から送信される無線信号に含まれる学習シーケンス信号を上記アレーアンテナ装置100により受信したときの受信信号y(n)と、上記学習シーケンス信号と同一の信号パターンを有して学習シーケンス信号発生器21で発生された学習シーケンス信号d(n)とに基づいて、後述する適応制御処理を実行することにより上記アレーアンテナ装置100の主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるための、各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6に印加されるバイアス電圧値V(m=1,2,…,6)を探索して設定することを特徴としている。具体的には、適応制御型コントローラ20は、乱数発生器を備え、上記乱数発生器によって発生されたランダムベクトルR(n)によってバイアス電圧値Vmを成分とするバイアス電圧ベクトルV(n)を所定の初期値からランダムに摂動させ、摂動前のバイアス電圧ベクトルV(n)に対する、相互相関係数である目的関数値J(n)と、摂動後のバイアス電圧ベクトルV(n+1)に対する、相互相関係数である目的関数値J(n+1)とを比較して、摂動前後の相互相関係数が増大するときに対応するバイアス電圧Vを選択して設定した後、上記選択された各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6のバイアス電圧から上記ランダムに摂動して設定することを繰り返す。従って、バイアス電圧の初期値から出発して、ランダムベクトルR(n)を発生して摂動させ、摂動前後の相互相関係数が増大するときに対応するバイアス電圧Vを選択して設定した後、上記選択されたバイアス電圧からさらにランダムベクトルR(n)を発生して摂動させて上述の処理を繰り返すことにより、ランダムベクトルR(n)を順次発生しつつ選択されたバイアス電圧を更新し、これにより、当該目的関数値J(n)が最大となるように、上記アレーアンテナ装置100の主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるための各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6のバイアス電圧ベクトルV(n)を探索し、探索の結果発見された各バイアス電圧値V(m=1,2,…,6)を有するバイアス電圧値信号を各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6に出力して設定する。
従って、図11において、可変リアクタンス素子12−1乃至12−6に印加するバイアス電圧値を変化させて、その接合容量値であるリアクタンス値を変化させることにより、アレーアンテナ装置100の平面指向特性を変化させることができる。
図11のアレーアンテナの制御装置において、アレーアンテナ装置100は無線信号を受信し、上記受信された信号は低雑音増幅器(LNA)1に入力されて増幅され、次いで、ダウンコンバータ(D/C)2は増幅された信号を所定の中間周波数の信号(IF信号)に低域変換する。さらに、A/D変換器3は低域変換されたアナログ信号をディジタル信号にA/D変換し、そのディジタル信号を適応制御型コントローラ20及び復調器4に出力する。次いで、適応制御型コントローラ20は、詳細後述するように、乱数発生器によって発生されたランダムベクトルR(n)によってバイアス電圧値Vを成分とするバイアス電圧ベクトルV(n)を所定の初期値からランダムに摂動させ、摂動前のバイアス電圧ベクトルV(n)に対する、相互相関係数である目的関数値J(n)と、摂動後のバイアス電圧ベクトルV(n+1)に対する、相互相関係数である目的関数値J(n+1)とを比較して、摂動前後の相互相関係数が増大するときに対応するバイアス電圧Vを選択して設定した後、上記選択された各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6のバイアス電圧から上記ランダムに摂動して設定することを繰り返す。従って、バイアス電圧の初期値から出発して、ランダムベクトルR(n)を発生して摂動させ、摂動前後の相互相関係数が増大するときに対応するバイアス電圧Vを選択して設定した後、上記選択されたバイアス電圧からさらにランダムベクトルR(n)を発生して摂動させて上述の処理を繰り返すことにより、ランダムベクトルR(n)を順次発生しつつ選択されたバイアス電圧を更新し、これにより、当該目的関数値J(n)が最大となるように、上記アレーアンテナ装置100の主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるための各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6のバイアス電圧ベクトルV(n)を探索し、探索の結果発見された各バイアス電圧値V(m=1,2,…,6)を有するバイアス電圧値信号を各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6に出力して設定する。一方、復調器4は、入力される受信信号y(n)に対して復調処理を行って、データ信号である復調信号を出力する。
アレーアンテナ100で受信される無線信号を送信する送信局は、学習シーケンス信号発生器21で発生される所定の学習シーケンス信号と同一の学習シーケンス信号を含む所定のシンボルレートのディジタルデータ信号に従って、無線周波数の搬送波信号を、例えばBPSK、QPSKなどのディジタル変調法を用いて変調し、当該変調信号を電力増幅して受信局のアレーアンテナ装置100に向けて送信する。この実施例においては、データ通信を行う前に、送信局から受信局に向けて学習シーケンス信号を含む無線信号が送信され、受信局では、適応制御型コントローラ20による適応制御処理が実行される。
先行技術のフェーズドアレーアンテナは各素子のウエイトベクトル(振幅と位相)を直接制御する。これに対して、電子制御導波器アレーアンテナ装置であるアレーアンテナ装置100ではウエイト回路は存在せず、その代わりに可変リアクタンス素子12−1乃至12−6のリアクタンス値を制御する。従って、先行技術のウエイトベクトルに相当する「等価ウエイトベクトル」の概念を導入し、これとリアクタンス値とを関係づけることとなる。アレーアンテナ装置100が従来技術のフェーズドアレーアンテナと本質的に異なる点は、
(1)受信信号の出力が1系統であること、
(2)素子間結合を積極的に利用すること、
(3)アンテナ素子と可変リアクタンス素子とが一体化されていること
の3点である。これらはアレーアンテナ装置100にとって動作の本質であり、アンテナの設計段階ならびに制御理論の構築段階において考慮されなければならない。
ここで、電子制御導波器アレーアンテナ装置で構成されたアレーアンテナ装置100から出力される受信信号y(t)を、可変リアクタンス素子12−1乃至12−6の各リアクタンス値(x,…,x)の関数として定式化し、定式化の説明においては、時間の変数tを用いるが、後述する適応制御型コントローラ20の制御処理においては、漸化式を用いたディジタル処理を実行するために時刻に対応する反復関数パラメータnを用いて説明する。アレーアンテナ装置100における可変なビーム形成は、各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6上のバイアス電圧値V(m=1,2,…,6)を制御して、その結果、これらのリアクタンス値が制御されることにより実行される。
次に、アレーアンテナ装置100を制御するための制御方法について考察する。上の議論から、LMSアルゴリズムのような従来の制御方法を電子制御導波器アレーアンテナ装置に適用することは困難であることがわかる。これの主な理由は、簡単な電子制御導波器アレーアンテナ装置の構造、すなわちアンテナが単一の出力信号y(t)のみを有するということにある。単一ポートにおいて受信された信号y(t)は観測されるが、それ以外の信号を観測することはできない。従って、電子制御導波器アレーアンテナ装置のための特別な適応制御方法を開発する必要がある。
従来技術の方法では、電子制御導波器アレーアンテナ装置の指向特性パターンのためのランダム探索法が研究されている。V=[V,V,…,V]を、その成分がそれぞれリアクタンス値x(m=1,2,…,M)上のバイアス電圧であるM次元のバイアス電圧ベクトルであるとする。ここで、リアクタンス値xは、バイアス電圧値Vの関数であることに留意する。この関数は、リアクタンス値に係る実施の回路に依存する。nを探索の反復回数として、一連のバイアス電圧ベクトルV(n)=[V(n),…,V(n)]は、次式に従って生成される。
[数11]
V(n)=R(n);(n=1,2,…,N) (11)
ここで、R(n)=[R(n),…,R(n)]は、各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6上のバイアス電圧の範囲に一様な分布を有するように、乱数発生器によって選択される電圧値のランダムベクトルである。インデックスnは、探索の反復回数を示す。バイアス電圧ベクトルV(n)の値は装荷された端末に供給され、受信機の出力である受信信号y(n)(受信信号y(t)に対するn回目の反復に係るサンプル)が測定され、次いで目的関数値J(n)=J(V(n))が計算された。ランダム探索フェーズの終わりに、本発明者らは、目的関数値J(n)が最大であるバイアス電圧ベクトルV(n)の値を発見した。
「(純粋な)ランダム探索法」と呼ばれるこの方法は、試行がステップnで完了する時点で何も学習されないという欠点を有している。ステップn+1における次の試行は、先の試行から独立である。これは、例えば、第1の先行技術の方法に係る「最急勾配法」のような、目的関数の曲面の局所的な連続性の性質を全く考慮しない。このために、この実施例では、より効率的な「順次」ランダム探索法を用いることにする。
この実施例で提案される順次ランダム探索法でも、バイアス電圧ベクトルV(n)はランダムに変更される。変更の前と後で目的関数値J(n)(例えば受信信号y(n)と学習シーケンス信号d(n)の相互相関係数)が計算され、2つの計算値が比較される。変更が目的関数値J(n)を増大させれば、当該変更は受容される。増大させなければ、当該変更は棄却され、新しいランダムな変更が試みられる。この手順は、次のように代数的に記述することができる。
[数12]
V(n+1)=V(n)+(1/2)
×{1+sgn[J(V(n)+R(n))−J(V(n))]}R(n);
n=1,2,…,N−1 (12)
ここで、R(n)はランダムなM次元ベクトル(この実施例では、M=6)であり、J(V(n))は、バイアス電圧ベクトルをV(n)に設定したときの、受信信号y(t)のP個のサンプルに基づく目的関数値(すなわち、受信信号y(t)のサンプルy(n)と学習シーケンス信号d(n)との相互相関係数)の評価値であり、J(V(n)+R(n))は、バイアス電圧ベクトルをV(n)+R(n)に設定したときのy(t)のP個のサンプルに基づく目的関数値の評価値である。また、符号演算子sgn[z]は、z≧0のとき+1、及びz<0のとき−1である。
式(12)のランダムベクトルR(n)における各成分は、(i)−bからbまでの範囲にわたって一様分布するランダム変数と、(ii)ゼロ平均と分散σを有するガウスシーケンスとから選択することができる。ここで、b及びσは正である。b及びσの値は、一定であってもよい。しかしながら、一様分布の範囲とガウス分布の分散とは、式(12)の反復手順の間に減少されることがより妥当であると思われる。従って、代替例として、反復回数パラメータnに従って変化する、範囲パラメータb(n)及び分散σ(n)として、次式を用いる。
[数13]
b(n)=b/{1+n/(τV)} (13)
[数14]
σ(n)=σ/{1+n/(τV)} (14)
ここで、範囲パラメータの係数b、分散の係数σ、ステップパラメータτ、及び反復回数パラメータnは、それぞれ正の定数である。式(13)及び式(14)を用いた場合、範囲パラメータb(n)及び分散σ(n)の値は、図12に図示されたように、反復回数が増加するにつれて減少する。ここで、範囲パラメータの係数b及び分散の係数σとして設定されている値1500は、ディジタル電圧で表されている。
図13(a)及び図13(b)を参照すると、適応制御型コントローラ20によって発生されるランダムベクトルR(n)による、バイアス電圧ベクトルV(n)の摂動を示すグラフが図示されている。図13(a)及び図13(b)、並びにその説明においては、図13(a)及び図13(b)の横軸のバイアス電圧は、ベクトルではなく1次の成分要素で表す。図13(a)は、バイアス電圧ベクトルV(n)を摂動させるランダムベクトルR(n)の確率密度を示すグラフであり、図13(b)は、上記摂動による目的関数値Jの変化を示すグラフである。バイアス電圧ベクトルV(n)の成分であるバイアス電圧値V(n)が可変リアクタンス素子12−mに印加されているとき、適応制御型コントローラ20は、平均V(n)及び分散σ(n)でガウス分布したバイアス電圧値(図13(a))の中から、バイアス電圧値V(n+1)をランダムに選択する。言いかえると、平均0及び分散σ(n)でガウス分布したバイアス電圧からランダムに選択されたランダムベクトルの成分R(n)だけ、バイアス電圧値V(n)を摂動したものが、バイアス電圧値V(n+1)である。摂動されたバイアス電圧値V(n+1)として選択される候補のバイアス電圧値は、摂動される前のバイアス電圧値V(n)の周囲に分散σ(n)で集中化させられている。
図13(b)に図示されたように、バイアス電圧値V(n)に基づく目的関数値J(n)=J(V(n))(すなわち、バイアス電圧値V(n)を含むバイアス電圧ベクトルV(n)を可変リアクタンス素子12−1乃至12−6に出力して設定したときの目的関数値J(n))よりも、バイアス電圧値R(n)+V(n)に基づく目的関数値J(R(n)+V(n))のほうが大きいときは、V(n+1)=R(n)+V(n)は新しいバイアス電圧値として受容される。図13(b)の場合とは異なり、目的関数値J(R(n)+V(n))が目的関数値J(n)以下であるときは、ランダムベクトルの成分R(n)による摂動は棄却され、平均V(n)及び分散σ(n)でガウス分布したバイアス電圧値から、次のバイアス電圧値を再びランダムに選択することを試みる。
式(12)の反復において、この実施例では、受信信号y(n)と学習シーケンス信号d(n)の相互相関係数が目的関数J(n)として採用されている。以下、d(n)は、学習シーケンス信号のP次元列ベクトルを示し、y(n)は受信信号y(t)の離散時間サンプルであるP次元列ベクトルを示すものとする。時刻(すなわち、反復回数)nにおける受信信号y(n)と学習シーケンス信号d(n)の間の相互相関係数J(n)=ρ(n)は、次式のように定義される。
Figure 2005110231
ここで、上付き文字Hは複素共役転置を示す。アレーアンテナ装置100の単一ポートP0から出力される受信信号y(n)は、調整可能なリアクタンス値xの高次の非線形関数であることに留意する。
次いで、適応制御型コントローラ20によって実行される、上述された順次ランダム探索法による電子制御導波器アレーアンテナ装置の適用制御処理について図14及び図15を参照して説明する。
図14のステップS1で、探索の反復回数パラメータnが0に初期化される。次にステップS2で、可変リアクタンス素子12−1乃至12−6に印加するためのバイアス電圧ベクトルの初期値が選択される。ステップS3で、選択されたバイアス電圧ベクトルV(n)の初期値V(0)を、可変リアクタンス素子12−1乃至12−6に出力して設定する。このバイアス電圧ベクトルV(0)が設定された状態で、ステップS4において、アレーアンテナ装置100から出力される受信信号y(n)を測定し、これと、学習シーケンス信号発生器21から発生された学習シーケンス信号d(n)とに基づいて、式(15)を用いて相互相関係数である目的関数値J(n)を計算する。
ステップS5で、反復回数パラメータnを1だけインクリメントし、さらに、バイアス電圧ベクトルV(n)を、V(n−1)の値で更新する。ステップS6で、適応制御型コントローラ20に設けられた乱数発生器を用いてランダムベクトルR(n)を発生する。ここで、前述されたように、ランダムベクトルR(n)の発生は、式(13)又は式(14)を用いて一様分布又はガウス分布した範囲に制限してもよい。次に、バイアス電圧ベクトルV(n)+R(n)を、可変リアクタンス素子12−1乃至12−6に出力して設定する。このバイアス電圧ベクトルV(n)+R(n)が設定された状態で、ステップS8において、受信信号y(n)を測定し、これと学習シーケンス信号d(n)とに基づいて、式(15)を用いて相互相関係数である目的関数値J(n)を計算する。
次いで、ステップS9において、ステップS8で計算された目的関数値J(n)が、以前に計算された目的関数値J(n−1)よりも大きいときは、ステップS10で、バイアス電圧ベクトルV(n)を、ランダムベクトルR(n)で摂動されたバイアス電圧ベクトルV(n)+R(n)の値で更新して、ステップS12に進む。ステップS9がNO(すなわち、J(n)≦J(n−1))のときは、ステップS11で、バイアス電圧ベクトルV(n)を更新せずに、目的関数値J(n)を目的関数値J(n−1)の値で更新して、ステップS12に進む。従って、n回目の探索でバイアス電圧ベクトルV(n)が更新されないときは、n+1回目の探索において、バイアス電圧ベクトルV(n−1)及びそれの目的関数値J(n−1)に基づいて、n+1回目の探索結果(すなわち、バイアス電圧ベクトルV(n+1)及びそれの目的関数値J(n+1))を評価することができる。
ステップS12で、反復回数パラメータnが予め決められたしきい値(反復回数の上限値)Nに満たないときはステップS5に戻る一方、反復回数パラメータnがしきい値N以上であるときは、ステップS13でバイアス電圧ベクトルV(n)を、可変リアクタンス素子12−1乃至12−6に出力して設定して当該適応制御処理を終了する。
以上説明したように、この実施例に係る順次ランダム探索法によるアレーアンテナを制御するための方法によれば、目的関数J(n)の曲面の局所的な連続性の性質を用いて、反復のステップ毎に、前の結果を参照(学習)して目的関数値J(n)が増大するように制御することができ、少なくとも、「純粋な」ランダム探索法とは異なり、目的関数値J(n)が減少しないように制御することができる。
図14のステップS2のバイアス電圧の初期値選択処理のサブルーチンを図15に示す。図15において、まず、ステップS21で、選択される候補のバイアス電圧ベクトルの個数Iを12に設定し、目的関数値の初期値J(0)を−1に設定し、反復回数パラメータi(1≦i≦I)を1に初期化する。
ステップS22で、バイアス電圧ベクトルS(i)を、可変リアクタンス素子12−1乃至12−6に出力して設定する。このバイアス電圧ベクトルS(i)が設定された状態で、ステップS23において、受信信号y(n)を測定し、これと学習シーケンス信号d(n)とに基づいて、式(15)を用いて相互相関係数である目的関数値J(0)を計算する。ステップS24において、ステップS23で計算された目的関数値J(0)が、以前に計算された目的関数値Ji−1(0)よりも大きいときは、ステップS25で、バイアス電圧ベクトルV(0)を、バイアス電圧ベクトルS(i)の値で更新して、ステップS27に進む。ステップS24がNO(すなわち、J(0)≦Ji−1(0))のときは、ステップS26で、バイアス電圧ベクトルV(0)を更新せずに、目的関数値J(0)を目的関数値Ji−1(0)の値で更新して、ステップS27に進む。従って、i回目の選択でバイアス電圧ベクトルV(0)が更新されないときは、次のi+1回目の選択において、i−1回目の時点におけるバイアス電圧ベクトルV(0)及びそれの目的関数値J(i−1)に基づいて、i+1回目の選択結果を評価することができる。ステップS27で、初期値の選択がバイアス電圧ベクトルのすべての候補S(i)に対して実行されたとき(すなわち、反復回数iが12に達したとき)は、最終的なバイアス電圧ベクトルV(0)を初期値として選択して図14のステップS3にリターンし、そうでないときは、反復回数iを1だけインクリメントしてステップS22に戻る。
バイアス電圧ベクトルの初期値選択処理は、上述のような、予め記憶された複数のバイアス電圧ベクトルから選択することのほかに、全方向性のベクトル(例えば、V(0)={0,0,0,0,0,0})を用いる場合、又はランダムベクトルを用いる場合などがある。本発明者らが行った実験では、ランダムベクトルを初期値として用いた。しかしながら、図15を参照して説明されたバイアス電圧ベクトルの初期値選択処理を用いた場合には、所望波のおおよその到来方向に合わせてビームの指向特性を設定することができるので、その後に順次ランダム探索を実行することによって、全方向性のベクトル又はランダムベクトルを初期値として用いたときよりも好ましい結果を得ることが期待される。
この実施例では、目的関数J(n)に、受信信号y(n)と学習シーケンス信号d(n)の相互相関係数を用いたが、それ以外の目的関数を用いてもよい。例えば、相互相関係数J(n)の2乗を用いると、それは式(15)のような平方根を含む関数ではないので、計算を簡単化することができる。
また、バイアス電圧ベクトルV(n)を摂動させるための範囲の分布として、一様分布、ガウス分布だけでなく、それ以外の分布(例えば、ガンマ分布)を用いてもよい。
以上の実施例においては、学習シーケンス信号を用いた適応制御処理は実際の通信の開始前に実行しているが、本発明はこれに限らず、通信の最初に行っても、ある時間周期毎に行ってもよい。
以上説明したように、本発明に係る実施例のアレーアンテナを制御するための方法によれば、電子制御導波器アレーアンテナ装置のためのより効率的な「順次」ランダム探索法を提供することができる。この方法においては、装荷される複数のリアクタンス値のランダムな変更が同時に行われる。変更の前後で目的関数値(例えば、相互相関係数)が計算され、次いでその計算値が比較される。変更が目的関数値の増加をもたらせば、これは受容される。そうでないならば棄却され、別の新しいランダムな変更が試みられる。実験は、順次ランダム探索法が、第2の先行技術の方法に係る純粋なランダム探索法の場合よりも適応型電子制御導波器アレーアンテナ装置の性能を向上させることを示している。
図16は本発明に係る実施例2であるアレーアンテナの制御装置の構成を示すブロック図である。この実施例のアレーアンテナの制御装置はアレーアンテナ装置100のための適応制御装置であって、適応制御型コントローラ20Aと、学習シーケンス信号発生器21と、適応制御型コントローラ20Aに接続された制御電圧テーブルメモリ30とを備えて構成される。この実施例のアレーアンテナの制御装置は、図11に図示された実施例1のアレーアンテナの制御装置に比較して、適応制御型コントローラ20に代えて、適応制御型コントローラ20Aを備えたことを特徴としており、以下、主としてこの相違点について説明する。
ここで、適応制御型コントローラ20Aは、例えばコンピュータなどのディジタル計算機で構成され、復調器4による無線通信を開始する前に、相手先の送信機から送信される無線信号に含まれる学習シーケンス信号を上記アレーアンテナ装置100により受信したときの受信信号y(t)と、上記学習シーケンス信号と同一の信号パターンを有して学習シーケンス信号発生器21で発生された学習シーケンス信号d(t)とに基づいて、後述する「高次元二分法」による適応制御処理を実行することにより上記アレーアンテナ装置100の主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるための各可変リアクタンス素子12のリアクタンス値を計算して設定することを特徴としている。
具体的には、適応制御型コントローラ20Aは、各可変リアクタンス素子12が採り得るリアクタンス値の範囲を二分し、二分後の各範囲の中央値をそれぞれ各可変リアクタンス素子12に設定したときに、相手先の送信機から送信される無線信号に含まれる学習シーケンス信号d(t)を当該アレーアンテナ装置100により受信したときの受信信号y(t)と、学習シーケンス信号発生器21で発生された学習シーケンス信号d(t)との間の所定の相互相関係数を演算し、二分後の各範囲の中央値に対応する2つの相互相関係数のうち大きい相互相関係数に対応する各可変リアクタンス素子12のリアクタンス値を初期値として選択して設定した後、選択されたリアクタンス値に属する範囲を二分し、二分後の各範囲の中央値をそれぞれ各可変リアクタンス素子12に設定したときに相互相関係数を演算し、二分後の各範囲の中央値に対応する2つの相互相関係数のうち大きい相互相関係数に対応する各可変リアクタンス素子12のリアクタンス値を選択して設定し、後者の処理を所定の反復回数まで繰り返すことにより、当該アレーアンテナ装置100の主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるように制御する。
なお、さらに好ましくは、各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を初期値として選択するときに、制御電圧テーブルメモリ30に格納された、後述する複数の放射パターンに対応する各可変リアクタンス素子12のリアクタンス値(制御電圧)をそれぞれ各可変リアクタンス素子12に設定したときに相互相関係数を演算し、最大の相互相関係数を有する1つの放射パターンに対応する各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を初期値として選択して設定する。
図16のアレーアンテナの制御装置において、アレーアンテナ装置100は無線信号を受信し、上記受信された信号は低雑音増幅器(LNA)1に入力されて増幅され、次いで、ダウンコンバータ(D/C)2は増幅された信号を所定の中間周波数の信号(IF信号)に低域変換する。さらに、A/D変換器3は低域変換されたアナログ信号をディジタル信号にA/D変換し、そのディジタル信号を適応制御型コントローラ20A及び復調器4に出力する。
次いで、適応制御型コントローラ20Aは、詳細後述するように、各可変リアクタンス素子12が採り得るリアクタンス値の範囲を二分し、二分後の各範囲の中央値をそれぞれ各可変リアクタンス素子12に設定したときに上記相互相関係数を演算し、二分後の各範囲の中央値に対応する2つの相互相関係数のうち大きい相互相関係数に対応する各可変リアクタンス素子12のリアクタンス値を初期値として選択して設定した後、選択されたリアクタンス値に属する範囲を二分し、二分後の各範囲の中央値をそれぞれ各可変リアクタンス素子12に設定したときに相互相関係数を演算し、二分後の各範囲の中央値に対応する2つの相互相関係数のうち大きい相互相関係数に対応する各可変リアクタンス素子12のリアクタンス値を選択して設定し、後者の処理を所定の反復回数まで繰り返すことにより、当該アレーアンテナ装置100の主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるように制御する。一方、復調器4は、入力される受信信号y(t)に対して復調処理を行ってデータ信号である復調信号を出力する。なお、適応制御型コントローラ20Aにおいて用いる相互相関係数Rは次式で定義される。
Figure 2005110231
ここで、上付き文字Hは複素共役転置を示す。この相互相関係数Rは、受信信号y(t)と、学習シーケンス信号d(t)との間の相互相関の度合いを示す係数であり、R=1であれば完全に一致する一方、R=0であれば、完全に不一致である。ここで、当該アレーアンテナ装置100の単一ポートP0からの出力信号である受信信号y(t)は、調整可能なリアクタンス値の高次の非線形関数であることに留意する必要がある。
さらに好ましくは、各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を初期値として選択するときに、制御電圧テーブルメモリ30に格納された、後述する複数の放射パターンに対応する各可変リアクタンス素子12のリアクタンス値(制御電圧)をそれぞれ各可変リアクタンス素子12に設定したときに相互相関係数を演算し、最大の相互相関係数を有する1つの放射パターンに対応する各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を初期値として選択して設定する。
アレーアンテナ100で受信される無線信号を送信する送信局は、学習シーケンス信号発生器21で発生される所定の学習シーケンス信号と同一の信号パターンを有する学習シーケンス信号を含む所定のシンボルレートのディジタルデータ信号に従って、無線周波数の搬送波信号を、例えばBPSK、QPSKなどのディジタル変調法を用いて変調し、当該変調信号を電力増幅して受信局のアレーアンテナ装置100に向けて送信する。この実施例においては、データ通信を行う前に、送信局から受信局に向けて学習シーケンス信号を含む無線信号が送信され、受信局では、適応制御型コントローラ20Aによる適応制御処理が実行される。
次いで、このリアクタンスベクトルを制御する方法として、以下に詳述する高次元二分法を提案する。高次元二分法は、各可変リアクタンス素子12が採り得る値の範囲を二分し、それぞれの中央値にて相互相関係数Rを計算して高い相関が得られた側に最適解が存在すると判断する方法である。6素子それぞれに二分法を適用すると、適用前の1/26の領域を得る。この操作をリアクタンス値が二分割できなくなるまで繰り返し、最終的に得られたリアクタンス値の組を最終解とする。この高次元二分法における高次元とは、6個の可変リアクタンス素子12に対応する6個の次元であり、この6個の次元に対して各リアクタンス値の最適解を高次元二分法により求める。
高次元二分法によって得られる最終解は必ずしも最適解と一致するとは限らないが、システムの出力SINR要求諸元を満足する解ならば必ずしも最適解を必要としないという観点から収束速度に着目すると、高次元二分法は収束時間が比較的短いシステムにおいて有効である可能性がある。
さらに、初期値の選択について詳細に説明する。高次元二分法では前述の手順で最終解が得られるが、単純に二分法を繰り返すだけでは、ヌル点が形成されにくい角度が存在することが分かった。それは各可変リアクタンス素子12毎に相関が高い範囲を選択し、それらを組み合わせて次の領域とした場合には必ずしも干渉波到来方向にヌル点を形成していることにはならないからである。最初から最適解が存在する方向を誤ってしまうと、全く意味のない放射パターンを形成することになるため、その対策として最初にリアクタンス値の初期値を選択する方法を試みる。このために、以下に示す14個の初期値の放射パターンを用いる。
次いで、図17乃至図19は、図16の適応制御型コントローラ20Aによって実行されるアレーアンテナ制御処理を示すフローチャートであり、図17乃至図19を参照して、適応制御型コントローラ20Aが上述した高次元二分法を用いて実行するアレーアンテナの制御処理について説明する。このアレーアンテナの制御処理は、図16の復調器4が無線通信を開始する前に、相手先の送信局からの学習シーケンス信号を含む無線信号を受信しているときに実行される。14個の初期値の放射パターンについて処理を実行するためのパラメータとしてxnoが用いられる(ただし、図17の処理に限る)。また、この高次元二分法では、ある初期値又は選択値を中央値として二分したときに、その中央値から+側への摂動と、−側への摂動とを実行して、各摂動に対する相互相関係数Rを演算し、より大きな相互相関係数Rを有するリアクタンス値を選択するので、1つの反復に対して、2つの処理×6素子分の合計12回の演算処理が必要となる。この演算処理に関するパラメータをxnoとし用いる(ただし、図18及び図19の処理に限る。)また、上記2つの処理に対応するパラメータとしてalt=0及びalt=1とする。さらに、反復回数パラメータをnとし、その上限値をupdateCountとする。またさらに、最大の相互相関係数値を格納するパラメータをRmax(xnomax)とし、そのときの演算処理パラメータをxnomaxとする。
図17において、まず、ステップS101で初期化処理を実行し、具体的には、パラメータxno,jalt,及びRmax(xnomax)を0にリセットし、パラメータnを1にリセットする。次いで、ステップS102において、制御電圧テーブルメモリ30から放射パターン(xno)の制御電圧セットを読み出し、各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6に制御電圧信号を出力し、ステップS103においてn=1であるか否かが判断され、YESのときはステップS104に進む一方、NOのときはステップS115に進む。ステップS104においてxno<13であるか否かが判断され、YESのときはステップS105に進む一方、NOのときはステップS109に進む。ステップS105において、受信信号y(t)を受信し、上記式(16)を用いて相互相関係数値R(xno)を演算し、ステップS106において次式の演算と更新を行う。
[数15]
Rmax(xnomax)
←max(Rmax(xnomax),R(xno))
(17)
[数16]
xnomax
←argmax(Rmax(xnomax),R(xno))
xno
(18)
ここで、max(・)は複数の引数中の最大値を有する引数を示す関数であり、argmax(・)は複数の引数中の最大値を示す引数のその引数であるパラメータxnoを示す関数である。従って、パラメータRmax(xnomax)にはこれまでに計算された最大の相互相関係数の値が入力され、パラメータxnomaxにはそのときのパラメータxnoの値が入力されることになる。
次いで、ステップS107においてパラメータxnoを1だけインクリメントし、ステップS108において制御電圧テーブルメモリ30から放射パターン(xno)の制御電圧セットを読み出し、各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6に制御電圧信号を出力し、ステップS103に戻る。
一方、ステップS109において受信信号y(t)を受信して、上記式(16)を用いて相互相関係数値R(xno)を演算し、ステップS110において、ステップS106と同様の演算と更新の処理を実行した後、ステップS111において制御電圧テーブルメモリ30から放射パターン(xnomax)の制御電圧セットを読み出し、各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6に制御電圧信号を出力する。このステップS111の段階では、制御電圧テーブルメモリ30に格納された14個の放射パターンのうち最大の相互相関係数を有する放射パターンが選択され、それに対応する制御電圧セットが読み出されて設定される。
次いで、次の反復のために、パラメータnを1だけインクリメントし、パラメータxnoを0にリセットする。そして、ステップS113においてn=2における摂動値を演算し、具体的には、初期値として選択された放射パターンのディジタル制御電圧値を中央値として、ディジタル制御電圧値を二分し、二分後の各範囲の中央値をディジタル制御電圧値の摂動先値(+側と−側の2つ)として演算する。さらに、ステップS114において可変リアクタンス素子12−1に対して高次元二分法の−側の制御電圧を設定して制御電圧信号を出力し、ステップS103に戻る。
ステップS103でNOであれば、ステップS115に進み、n>updateCount(処理終了条件)であるか否かが判断され、YESであれば当該制御処理を終了するが、NOであれば、図18のステップS121に進む。
図18のステップS121においてxno<11であるか否かが判断され、ステップS122において次式を用いて選択値からの摂動値Δを演算する
[数17]
Δ=211−n (19)
ステップS123においてjalt=0であるか否かが判断され、YESのときはステップS124に進む一方、NOのときはステップS128に進む。ステップS124において受信信号y(t)を受信して、上記式(16)を用いて相互相関係数値Rを演算し、ステップS125において、適応制御型コントローラ20A内の一時メモリである次候補テーブルに、現在処理中の可変リアクタンス素子12−INT{(xno+2)/2}(ここで、INTは引数の整数のみを示す関数である。)に対する現在の制御電圧を保存する。ここで、次候補テーブルは、6個のディジタル制御電圧値のベクトルからなり、現在処理中で最適な制御電圧の選択値を保存するためのテーブルである。ステップS126において、現在処理中の可変リアクタンス素子12−INT{(xno+2)/2}に対して高次元二分法の+側の制御電圧(=選択値+Δ)を設定して制御電圧信号を出力し、ステップS127においてパラメータxnoを1だけインクリメントし、パラメータjaltを1だけインクリメントした後、図17のステップS103に戻る。
一方、ステップS128において受信信号y(t)を受信して、上記式(16)を用いて相互相関係数値Rを演算し、ステップS129において直前のS128の相互相関係数値Rは直前のS124の相互相関係数値Rよりも大きいか否かが判断され、YESのときはステップS130に進む一方、NOのときはステップS131に進む。ステップS130において次候補テーブルに現在処理中の可変リアクタンス素子12−INT{(xno+2)/2}に対する現在の制御電圧を保存し、ステップS131において次の可変リアクタンス素子12−[INT{(xno+2)/2}+1]に対して高次元二分法の−側の制御電圧(=選択値−Δ)を設定して制御電圧信号を出力する。さらに、ステップS132においてパラメータxnoを1だけインクリメントし、パラメータjaltを1だけデクリメントした後、図17のステップS103に戻る。
図19は1つの反復中の最後の処理であり、図19のステップS141において、受信信号y(t)を受信して、上記式(16)を用いて相互相関係数Rを演算し、ステップS142において直前のS141の相互相関係数RはステップS124の相互相関係数Rよりも大きいか否かが判断され、YESのときはステップS143に進む一方、NOのときはステップS144に進む。ステップS143において次候補テーブルに現在処理中の可変リアクタンス素子12−INT{(xno+2)/2}に対する現在の制御電圧を保存し、ステップS144において次候補テーブル内の制御電圧セットに基づいて各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6に制御電圧を設定する。次いで、ステップS145において、次の反復処理のための初期値設定処理を実行し、具体的には、パラメータxnoを0にリセットし、パラメータjaltを1だけデクリメントし、反復パラメータnを1だけインクリメントした後、ステップS146においてn≦updateCount(処理終了条件の否定)であるか否かが判断され、YESのときはステップS147に進む一方、NOのときはステップS148に進む。ステップS147において、次の反復処理のために、可変リアクタンス素子12−1に対して高次元二分法の−側の制御電圧を設定し、ステップS148において上記設定された制御電圧セットに基づいて制御電圧信号を出力した後、図17のステップS103に戻る。
以上説明したように、この実施例に係る高次元二分法は領域を二分して、高い相関が得られる側に最適解が存在すると判断する簡潔な方法であるが、比較的少ない反復にて最適解又は局所解への収束に近づくため、実際の無線アドホックネットワーク実験においてトレーニング信号が1000シンボル程度であった場合にも適用できる見通しを得た。また、干渉波が3波到来する環境における統計的評価を行ったことにより、高次元二分法は短いトレーニング信号に対して、より効果があることが明らかになった。すなわち、電子制御導波器アレーアンテナ装置の制御方法において、先行技術の方法に比較して収束時間を大幅に短縮することができ、少ない計算量で、所望波に対して主ビームを向けかつ干渉波に対してヌルを向けるように適応制御することができる。
以上の実施例においては、各可変リアクタンス素子12が採り得るリアクタンス値の範囲を二分し、二分後の各範囲の中央値をそれぞれ各可変リアクタンス素子12に設定したときに、相手先の送信機から送信される無線信号に含まれる学習シーケンス信号をアレーアンテナにより受信したときの受信信号と、学習シーケンス信号と同一の信号パターンを有して発生された学習シーケンス信号との間の所定の相互相関係数を演算し、上記二分後の各範囲の中央値に対応する2つの相互相関係数のうち大きい相互相関係数に対応する各可変リアクタンス素子12のリアクタンス値を初期値として選択して設定した後、上記選択されたリアクタンス値に属する範囲を二分し、二分後の各範囲の中央値をそれぞれ各可変リアクタンス素子12に設定したときに上記相互相関係数を演算し、上記二分後の各範囲の中央値に対応する2つの相互相関係数のうち大きい相互相関係数に対応する上記各可変リアクタンス素子12のリアクタンス値を選択して設定する。しかしながら、本発明はこれに限らず、各可変リアクタンス素子12が採り得るリアクタンス値の範囲を分割し、その分割後の各範囲の代表値をそれぞれ各可変リアクタンス素子12に設定したときに、相手先の送信機から送信される無線信号に含まれる学習シーケンス信号をアレーアンテナにより受信したときの受信信号と、学習シーケンス信号と同一の信号パターンを有して発生された学習シーケンス信号との間の所定の相互相関係数を演算し、上記分割後の各範囲の代表値に対応する2つの相互相関係数のうち大きい相互相関係数に対応する各可変リアクタンス素子12のリアクタンス値を初期値として選択して設定した後、上記選択されたリアクタンス値に属する範囲を分割し、その分割後の各範囲の代表値をそれぞれ各可変リアクタンス素子12に設定したときに上記相互相関係数を演算し、上記分割後の各範囲の代表値に対応する2つの相互相関係数のうち大きい相互相関係数に対応する各可変リアクタンス素子12のリアクタンス値を選択して設定するように構成してもよい。
図20は本発明に係る実施例3であるアレーアンテナの制御装置の構成を示すブロック図である。この実施例のアレーアンテナの制御装置は、アレーアンテナ装置100のための適応制御装置であって、図20に示すように、適応制御型コントローラ20Bと、学習シーケンス信号発生器21とを備えて構成される。この実施例は、実施例1に比較して、図11に図示された適応制御型コントローラ20に代えて、適応制御型コントローラ20Bを備えたことを特徴としており、以下、主としてこの相違点について説明する。
ここで、適応制御型コントローラ20Bは、例えばコンピュータなどのディジタル計算機で構成され、復調器4による無線通信を開始する前に、相手先の送信機から送信される無線信号に含まれる学習シーケンス信号を上記アレーアンテナ装置100により受信したときの受信信号y(t)と、上記学習シーケンス信号と同一の信号パターンを有して学習シーケンス信号発生器21で発生された学習シーケンス信号d(t)とに基づいて、後述する適応制御処理を実行することにより上記アレーアンテナ装置100の主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるための、各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6に印加されるバイアス電圧値V(m=1,2,…,6)を探索して設定することを特徴としている。
この実施例において、適応制御型コントローラ20Bは、図21、図22及び図23のうちのいずれか1つの適応制御処理を実行することにより、各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6のリアクタンス値を順次所定のステップ幅だけ摂動させ、各リアクタンス値に対して所定の評価関数値を計算し、各可変リアクタンス素子に対して、摂動前後で上記計算された評価関数値が改善するときは上記リアクタンス値を摂動後の値に設定する一方、摂動前後で上記計算された評価関数値が改善しないときは上記リアクタンス値を摂動前の値に設定し、上記評価関数値が改善しなかった可変リアクタンス素子のリアクタンス値に対する、次の反復の処理のステップ幅をステップ幅変更除算係数q分の1にして減少させかつ当該ステップ幅の符号を逆にする処理を反復して実行するように制御する。これにより、当該評価関数値が最大となるように、上記アレーアンテナ装置100の主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるための各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6のバイアス電圧値Vを探索し、探索の結果発見された各バイアス電圧値Vを有する制御電圧信号を各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6に出力して設定する。なお、適応制御型コントローラ20Bにおいて用いる評価関数fの相互相関係数は上記数17でR=fとおいて定義される。
電子制御導波器アレーアンテナ装置であるアレーアンテナ装置100の指向特性は上述のインピーダンス行列Zに対応するアドミタンス行列Yを用いて計算することができる(例えば、非特許文献3参照。)。
次いで、上記のリアクタンスベクトルを制御する方法として、以下に詳述する「可変ステップ探索法」を提案する。この「可変ステップ探索法」は、電子制御導波器アレーアンテナ装置制御の収束速度を向上させることを目的として、可変リアクタンス素子12−1乃至12−6の制御電圧を1素子毎に探索し、評価関数値の改善がある場合は電圧変化を実行し、改善が見られない場合は電圧変化を行わず、改善が見られない可変リアクタンス素子に対する、次の反復の処理の摂動用ステップ幅をq分の1(以下、qをステップ幅変更除算係数といい、所定の有理数である。)にするように減少させ、当該ステップ幅の向きも逆にすることを要旨としている。
図21は、図20の適応制御型コントローラ20Bによって実行される、第1の方法によるアレーアンテナの適応制御処理を示すフローチャートである。なお、以下の適応制御処理において用いられる各種のパラメータは適応制御型コントローラ20B内の一時記憶メモリに格納されて利用される。
図21のステップS201において、各パラメータM、N、q、VD0、ΔVD0に所定の値をセットする。Mは可変リアクタンス素子12の数であり、この実施例において6である。また、Nは総探索回数であり、例えば8である。さらに、qは上述のようにステップ幅変更除算係数であり、例えば2又は3などである。またさらに、VD0はディジタル制御電圧Vの初期値であり、初期の放射パターンがオムニパターンであるときはVD0=0であり、ΔVD0はディジタル制御電圧Vを変更するときのステップ幅の初期値である。次いで、ステップS202においては初期設定処理が実行され、具体的には、各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6の各ディジタル制御電圧VD1=VD2=…=VDM(以下、各ディジタル制御電圧VD1,VD2,…,VDMを要素とするディジタル制御電圧ベクトルをVとするが、呼称の簡単化のために、ディジタル制御電圧という。)に対して上記初期値VD0を設定し、また、ディジタル制御電圧Vの各ステップ幅(ステップ幅を設定し又は変更して格納するためのパラメータである)δVD11=δVD12=…=δVDM1に対して上記初期値ΔVD0を設定し、さらに、ディジタル制御電圧Vの各ステップ幅(ディジタル制御電圧Vを変更して格納するためのパラメータである)ΔVD11=ΔVD12=…=ΔVDM1(以下、各ステップ幅ΔVD11,ΔVD12,…,ΔVDM1を要素とするステップ幅ベクトルをΔVとするが、呼称の簡単化のために、ステップ幅という。)に対して初期値0を設定する。さらに、ディジタル制御電圧Vのときの評価関数値f(V)を評価関数の基準値f0に設定し、反復パラメータkを1に初期化する。
次いで、ステップS203において素子パラメータiiを1に初期化した後、ステップS204において素子パラメータiに素子パラメータiiの値を代入する。そして、ステップS205においてステップ幅ΔVDikに対してステップ幅δVDikを代入し、ステップS206において受信信号y(t)を受信し、上記式(16)においてR=fと置いた式を用いて、ディジタル制御電圧(V+ΔV)のときの評価関数値f(V+ΔV)を計算する。さらに、ステップS207においてf>f0であるか否かが判断され、すなわち、評価関数値が前の反復に比較して改善しているか否かが判断され、YESのときはステップS208に進む一方、NOのときはステップS209に進む。ステップS208においては上記計算された評価関数値fを評価関数の基準値f0に代入し、かつディジタル制御電圧(VDik+ΔVDik)をディジタル制御電圧VDiに設定する一方、ステップS209においては、評価関数値の改善が見られないので、ステップ幅δVDikを有理数qで除算しかつ符号を変更してステップ幅δVDikに設定する。次いで、ステップS210においてステップ幅ΔVDikを0に設定し、素子パラメータiiを1だけインクリメントした後、ステップS211においてii≦Mであるか否かが判断され、YESであるときはステップS204に戻り、別の素子についての処理を更に実行する。
一方、ステップS211でNOであるときは、ステップS212において反復パラメータkを1だけインクリメントし、ステップS213においてk<Nであるか否かが判断され、すなわち、反復回数kは予め設定された総探索回数未満であるか否かが判断され、ステップS213でYESであるときステップS203に戻り上述の処理を繰り返す。一方、ステップS213でNOであるときは、ステップS214において出力パラメータV、f0を出力して、適応制御型コントローラ20Bに接続された表示装置等に表示し、計算されたディジタル制御電圧ベクトルVの各要素電圧を可変リアクタンス素子12−1乃至12−6に出力して設定して当該適応制御処理を終了する。
図21の適応制御処理においては、各反復kで素子数M回の探索を行う。各探索ではi番目の素子のディジタル制御電圧VDiだけをステップ幅ΔVDikだけ増加させて、評価関数値fを計算する(ステップS206)。評価関数値fが変化前の基準値f0より改善されれば(ステップS207でYES)、ディジタル制御電圧VDikをステップ幅ΔVDikだけ増加させることにより新たなディジタル制御電圧VDikに移りその評価関数値を新たな基準値f0として(ステップS208)、ステップ幅δVDikを次の反復k+1のステップ幅δVDi(k+1)として繰り返す(ステップS209での変更がない)。一方、評価関数fが改善しない場合は(ステップS207でNO)、ディジタル制御電圧VDikと評価関数の基準値f0は探索前の値のままとし(ステップS208での変更はない)、次の反復k+1のステップ幅δVDikをq分の1にするように減少させかつその符号を逆にする(ステップS209)。ここで、qは有理数であり、ステップS209の実際の割算では小数点以下を四捨五入するものとする。なお、図示していないが、初回の反復で評価関数値fの改善がなかった場合は、2回目の反復でステップ幅は初期値|ΔVD0|を維持し、その符号だけを変えることが好ましい。また、図示していないが、ディジタル制御電圧Vが可変範囲の限界値に到達した時には、ステップ方向を限界値とは逆方向にし、すなわち、ステップ幅の符号を限界値に向かう方向のときのステップ幅の符号とは逆にし、ステップ幅を反復毎にq分の1にして減少させて探索を続けることが好ましい。以上のように、前反復情報に基づいてステップ幅を変化させていくので、「可変ステップ探索法」と呼ぶことにする。
ディジタル制御電圧の初期値VD0とステップ幅の初期値ΔVD0は入力パラメータである。ステップ幅に関しては、N回の反復で制御範囲の限界に到達するだけ十分大きい必要がある。最初のステップ方向が収束値とは逆方向である場合には、有効なステップ数はN−1となるので、初期値ΔVD0を0とし、可変範囲を−VDmax≦V≦VDmaxとした場合、ステップ幅の初期値ΔVD0は次式の関係を満たすことが望ましい。
[数18]
ΔVD0≧VDmax/(N−1) (20)
ここで、VDmax=2048、N=8とした場合、上記式(20)により計算されるの下限値は293である。
一方、ステップ幅が大きいままであると細かな探索が行えないので、評価関数値の改善が得られない場合にステップ幅をq分の1にする。しかし、ステップ幅減少が実行されるのは次の反復である。すなわち、ステップ幅がq分の1になるには2回の反復が必要である。よって、実現される最小ステップ幅(分解能)ΔVDminは次式で与えられる。
[数19]
ΔVDmin=|ΔVD0|/qN/2 (21)
ここで、N=8、=1024の場合、q=2の時の最高の分解能が64であるのに対して、q=3の時は約13に向上する。このように、qを大きくすることにより、初期ステップ幅を大きく保ったまま、最終的な分解能を上げることができる。分解能を徐々に改善する他の方法として、反復回数kの関数としてステップ幅を小さくしていく方法も考えられるが、この方法では評価関数の状態に応じた変化が行えない。また、ステップ幅を評価関数に依存して制御する方法も考えられるが、評価関数値は電波環境に依存するので適切な依存パラメータの選定が問題となる。
評価関数値の改善の状況を図25乃至図27に示す。q=2とし、評価関数値fの高い方向を下方向にして極小点を探す状況を示している。素子数M=1の場合とし、横軸はその素子のディジタル制御電圧Vとする。探索によって評価関数値の改善がない場合、この実施例では、図25に示すようにポテンシャルの壁にぶつかったものと推測して、ステップ幅をq分の1にして逆方向に戻る。逆方向にも改善が見られない場合は図26に示すように、さらに逆方向(元の方向)に進む。ただし、可変リアクタンス素子12−1乃至12−6の数Mは複数であるため、図27に示すように、評価関数の形状は他の(M−1)個の可変リアクタンス素子の電圧変化により変動する。しかし、評価関数値を改めて測定するには新たにP個のサンプルを必要とする。また、評価関数値が改善するまで該当素子の探索を繰り返す方法では改善の到達値が低くなるので(後述する付録1参照。)、前の反復情報を用いる。
以上のように、可変ステップ探索法では評価関数の増減の情報を利用しているが、評価関数の変化の大きさも次反復に反映することが可能である。最急勾配法のようにステップ幅に反映させる方法も考えられるが、各素子の収束を同時に行う必要はなく、またステップ幅の演算時間の増加を避けるため、この実施例では探索する素子の順番に反映させる方法を第2の方法として提案する。これに対して、前述の探索素子順番を固定にした方法を第1の方法とする。
図22は、図20の適応制御型コントローラ20Bによって実行される、第2の方法によるアレーアンテナの適応制御処理を示すフローチャートである。第2の方法による適応制御処理が第1の方法による適応制御処理と異なるのは、探索順序パラメータpodr(・)を利用したことであり、ここで、引数は探索順序を示す自然数であり、そのパラメータ値は探索すべき素子パラメータを表す。上記相違点は具体的には、以下の通りである。
(1)図21のステップS202において、探索順序パラメータpodr(i)(i=1,2,…,M)にiを代入してステップS202Aとしたこと。具体的には、podr(1)に1を代入し、podr(2)に2を代入し、以下同様である。すなわち、探索順序パラメータpodr(i)に昇順の自然数を初期値として代入し、これにより、素子パラメータの探索順序を表す。
(2)図21のステップS204に代えて、探索順序パラメータpodr(ii)の値を素子パラメータiに代入するステップS204Aとしたこと。
(3)図21のステップS206と、ステップS207との間に、ステップS206Aを挿入したこと。ステップS206Aにおいて、評価関数値の差分である勾配値(f−f0)を計算し、その計算値を勾配値g(i)に代入する。
(4)図21のステップS213でYESであるときは、ステップS215の処理を実行してステップS203に戻る。ステップS215においては、探索順序パラメータpodr(sort(|g(i)|))(i=1,2,…,M)の値をiに代入し、ここで、podr(sort(|g(i)|))は、勾配値g(i)の絶対値をi=1,2,…,Mの間で降順に(より大きな値から先に)並び替え、降順に並び替えられた勾配値g(i)の引数(素子パラメータ)iを順次出力するものであり、探索順序パラメータpodr(sort(|g(i)|))(i=1,2,…,M)の計算は具体的には、以下の通りである。
(a)勾配値の絶対値|g(i)|(i=1,2,…,M)のうちの最大値のときの引数(素子パラメータ)iをi1とすると、podr(1)=i1;
(b)勾配値の絶対値|g(i)|(i=1,2,…,M)のうちの第2番目に大きな値のときの引数(素子パラメータ)iをi2とすると、podr(2)=i2;
(c)勾配値の絶対値|g(i)|(i=1,2,…,M)のうちの第3番目に大きな値のときの引数(素子パラメータ)iをi2とすると、podr(3)=i3;
(d)以下、同様であり、podr(4)=i4;podr(5)=i5;…;podr(M)=iMとなる。
すなわち、第2の方法においては、順番の選択法として、前反復で評価関数値の変化が大きかった順に探索する方法を用いる。すなわち、他の素子の電圧変化による評価関数値の変化が重なる前に改善の利得をできるだけ稼ごうとするものである。また、評価関数値が劣化した場合も、逆方向には改善されるという推測に基づいている。
本発明者らは、図20のアレーアンテナの制御装置のシミュレーションを実行し、その結果について以下に説明する。適応制御のためのアレーアンテナの評価関数として、受信信号品質を決定する出力SINRが実用上用いられ、この実施例においては、この出力SINRを最大化するための上記式(16)においてR=fとおいた式で示された評価関数fを用いている。この評価関数fは、実際の通信システムにおいて所望波や干渉波が未知であるときに用いられ有効である。
しかしながら、以下に示す実施例では、提案したアルゴリズムの収束能力について調べるため雑音の影響を除外し、また所望波や干渉波の到来方向は既知として、次式のような評価関数fを用いる。すなわち、ここで明記するが、図20に図示した実際の通信システムで用いられる実施例では、上記式(16)の評価関数を用いる一方、以下に示すシミュレーションに係る実施例では次式の評価関数を用いる。
Figure 2005110231
ここで、Fはアレーファクタに相当し、φは所望波方位角、φtは干渉波方位角を表す。kは干渉波や所望波の強さを表すためのパラメータであり、nは干渉波の個数である。アレーファクタFは、非特許文献4に従って次式により計算する。
[数20]
F=E・u・a (23)
[数21]
E=(Y−1+X)−1 (24)
ここで、uは上記単位ベクトルであり、aはアレーアンテナ装置100の移相中心を給電点6にとったときの、ステアリングベクトルである。評価関数fに関する極大解は幾つか存在するので収束値は初期値に依存する。実用上は適当な初期値の選択が有効となるが、アルゴリズムの収束能力を評価するため、この実施例ではディジタル制御電圧の初期値VD0をすべて0とする。
これら最急勾配法、高次元2分法と順次ランダム探索法との比較を図28に示す。図28から明らかなように、評価関数値の比較に必要な新たなデータ点として、高次元2分法では前反復の結果の両側の中間点を測定する必要があるのに対して、他の3方法で変化前の点と比較するので、新たな測定は片方のデータ点だけでよい。また、最急勾配法と高次元2分法は探索した点とは別の点を新たな反復点とするため、1つの反復に要するデータを1つ多く必要とし、また、その点の評価関数値が元の点より低くなる可能性がある。可変ステップ探索法は順次ランダム探索法とともに評価関数値は単調増加し、評価関数値が改善しなければ同じ状態に止まるという自由度を有している。
変化(探索)幅の細かさに関しては、最急勾配法では勾配の大きさに応じて変化するが、勾配の大きさを規格化すれば一定にできる(付録2参照。)。高次元2分法では制御空間が2のM乗分の1に急速に小さくなる。順次ランダム探索法では探索範囲を徐々に減じるためのパラメータ設定が可能である。可変ステップ探索法では、探索の結果改善が得られない場合にステップ幅をq分の1にしていく。すなわち、電波環境に適応した速度で分解能が向上していく能力を持っている。
また、変化(探索)方向に関しては、順次ランダム探索法ではランダムである。高次元2分法は新たな2つの状態を比較して良い方向に動く。可変ステップ探索法は前反復の情報を元に推測する。最急勾配法は最適な方向を算出する。
さらに、一巡探索で改善が得られない場合の対処法について説明する。上述したように、可変ステップ探索法では反復点数が多く、単純に増加するため、少ないデータ数での評価関数値の改善を得るのに有効である。しかしながら、図28を見ると、6素子一巡の探索で評価関数値の改善が全く無い場合があることが分かる。これに対して、最急勾配法と高次元2分法では必ず1つの反復で次の状態に移る。また、実際の通信システムでは、雑音による誤差で高い評価関数値が得られ、その電圧値状態から抜け出せなくなる危険性がある。一巡しても評価関数値の改善が得られない場合の1つの対処法として、比較の基準となっている電圧状態の評価関数値を再測定し、その値とのそれまでの探索値を再比較する方法が考えられる。この実施例では、さらに進んで、そのような場合には全素子に対する差分データが得られることになるので、そのデータを元に最急勾配法を行うことを第3の方法として提案する。
図23は図20の適応制御型コントローラ20Bによって実行される、第3の方法によるアレーアンテナの適応制御処理を示すフローチャートである。図23の第3の方法が図21の第1の方法と比較して異なるところは、以下の通りである。
(1)ステップS206とS207との間に、第2の方法と同様に、ステップS206Aを挿入して勾配値g(i)を計算すること。
(2)ステップS211とS212の間に、図24に図示するサブルーチンである最急勾配法による適応制御処理(ステップS216)を挿入したこと。
図24の最急勾配法による適応制御処理において、ステップS222乃至S224の処理では、全ての素子について評価関数値が改善していないか否かをチェックするための処理であり、改善していないときはステップS225以降の実際の最急勾配法による処理を実行する。
図24のステップS221において素子パラメータjを1に初期化し、ステップS222において勾配値g(j)≦0であるか否かが判断され、NOのときは元のメインルーチンに戻る一方、YESのときはステップS223に進む。ステップS223において素子パラメータj<Mであるか否かが判断され、YESであるときは、ステップS224において素子パラメータjを1だけインクリメントした後、ステップS222に戻る。一方、ステップS223でNOであるときは、ステップS225において初期設定処理を実行し、ここで、収束制御変数Cを0に初期化し、ステップ幅の平均値ΔVavを0に初期化し、素子パラメータjjを1に初期化する。次いで、ステップS226において次式のように、最急勾配法に係る収束制御変数Cと、ステップ幅の平均値ΔVavを計算して代入する。
[数22]
C←C+{g(jj)/ΔVDjjk (25)
[数23]
ΔVav←ΔVav+(ΔVDjjk (26)
次いで、ステップS227において素子パラメータjj<Mであるか否かが判断され、YESであるときは、ステップS228において素子パラメータjjを1だけインクリメントした後、ステップS226に戻る。一方,ステップS227でNOであるときは、ステップS229において素子パラメータjjを1に初期化した後、ステップS230において、各素子に対するディジタル制御電圧VDjjを次式のように計算して代入する。
Figure 2005110231
次いで、ステップS231において素子パラメータjj<Mであるか否かが判断され、YESであるときは、ステップS232において素子パラメータjjを1だけインクリメントした後、ステップS230に戻る。一方,ステップS231でNOであるときは、ステップS233において受信信号y(t)を受信し、上記式(16)においてR=fとおいた式を用いて評価関数値f(V+ΔV)を計算した後、元のメインルーチンに戻る。
この図23及び図24に図示された第3の方法においては、図24のステップS226に示すように、勾配は規格した値を用い、探索に用いた各素子のステップ幅(差分)の平均値ΔVavをステップ幅とした(ステップS226乃至S228の処理において当該平均値ΔVavを計算している)。
以上説明したように、この実施例に係る可変ステップ探索法を用いることにより、初期ステップ幅を大きくすることにより、早い収束が得られることが分かった。約50の少ないデータ数で高い評価関数値を得るために有効なアルゴリズムであると考えられる。
くてもよい。
以上の実施例においては、学習シーケンス信号を用いた適応制御処理は実際の通信の開始前に実行しているが、本発明はこれに限らず、通信の最初に行っても、ある時間周期毎に行ってもよい。
以上の実施例においては、上記式(16)においてR=fとおいた式で計算された評価関数値fを最大となるように改善させるべく適応制御しているが、評価関数をその逆数にしたときは、それを最小となるように改善させるべく適応制御してもよい。
以上の実施例においては、評価関数値が改善されてないときは、図21のステップS209において、ステップ幅δVDikをq分の1になるように減少させてかつその符号を逆にしているが、本発明はこれに限らず、ステップ幅δVDikを少なくとも減少させてかつその符号を逆にしてもよい。
以上の実施例においては、評価関数として上記式(16)を用いているが、出力SINR又はその度合いを示す他の種々の評価関数を用いてもよい。また、以上の実施例においては、評価関数として上記式(16)を用い、学習シーケンス信号d(t)を用いて評価関数を計算しているが、本発明はこれに限らず、学習シーケンス信号d(t)を用いない種々の評価関数を用いてもよい。例えば、非特許文献5において開示されているように、アレーアンテナ装置100によって受信された受信信号に基づいて、例えば最急勾配法などの非線形計画法における反復的な数値解法を用いて、上記受信信号のみで表された目的関数の値が最大又は最小となるように、上記アレーアンテナの主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるための各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を計算して設定するステップを含み、上記目的関数は、所定の期間における、上記受信信号の絶対値の時間平均値の二乗値を、上記受信信号の絶対値の二乗値の時間平均値で除算した関数であるように構成してもよい。
図29は本発明に係る実施例4であるアレーアンテナの制御装置の構成を示すブロック図である。この実施例のアレーアンテナの制御装置は、アレーアンテナ装置100のための適応制御装置であって、図29に示すように、適応制御型コントローラ20Cと、学習シーケンス信号発生器21とを備えて構成される。この実施例は、図11に図示された実施例1に比較して、適応制御型コントローラ20に代えて、適応制御型コントローラ20Cを備えたことを特徴とし、以下、主としてこの相違点について説明する。
ここで、適応制御型コントローラ20Cは、例えばコンピュータなどのディジタル計算機で構成され、復調器4による無線通信を開始する前に、相手先の送信機から送信される無線信号に含まれる学習シーケンス信号を上記アレーアンテナ装置100により受信したときの受信信号y(t)と、上記学習シーケンス信号と同一の信号パターンを有して学習シーケンス信号発生器21で発生された学習シーケンス信号d(t)とに基づいて、最急勾配法による適応制御処理を実行することにより上記アレーアンテナ装置100の主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるための、各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6に印加されるバイアス電圧値V(m=1,2,…,6)を探索して設定することを特徴としている。具体的には、適応制御型コントローラ20Cは、各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6のリアクタンス値を順次所定の差分幅だけ摂動させ、各リアクタンス値に対して所定の評価関数値を計算し、上記計算された評価関数値に基づいて、ステップ幅μを有する最急勾配法を用いて、当該評価関数値が最大となるように、各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6のリアクタンス値を反復して計算することにより、当該アレーアンテナ装置100の主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるための各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6のリアクタンス値を計算して設定するときに、反復時に、上記差分幅ΔXを表す所定の減少関数を用いて、上記差分幅ΔX及びステップ幅μを上記評価関数値から計算される信号対干渉雑音比SINRに依存して減少するように制御する。これにより、当該評価関数値が最大となるように、上記アレーアンテナ装置100の主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるための各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6のバイアス電圧値Vを探索し、探索の結果発見された各バイアス電圧値Vを有する制御電圧信号を各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6に出力して設定する。なお、適応制御型コントローラ20Cにおいて用いる評価関数fの相互相関係数は上記式(16)においてR=fとおいた式で定義される。
アレーアンテナ100で受信される無線信号を送信する送信局は、学習シーケンス信号発生器21で発生される所定の学習シーケンス信号と同一の信号パターンを有する学習シーケンス信号を含む所定のシンボルレートのディジタルデータ信号に従って、無線周波数の搬送波信号を、例えばBPSK、QPSKなどのディジタル変調法を用いて変調し、当該変調信号を電力増幅して受信局のアレーアンテナ装置100に向けて送信する。この実施例においては、データ通信を行う前に、送信局から受信局に向けて学習シーケンス信号を含む無線信号が送信され、受信局では、適応制御型コントローラ20Cによる適応制御処理が実行される。
次いで、上記のリアクタンスベクトルXを制御する方法として、以下に詳述する「差分幅制御探索法」を提案する。この実施例では最急勾配法の勾配は次式のように勾配値∇ΔXfを規格化して計算する。
[数24]
n+1=X+μ(∇ΔXf/|∇ΔXf|) (28)
ここで、式(28)の右辺第2項の勾配値∇ΔXfは、評価関数値fに対して差分幅ΔXだけ摂動したときの評価関数値fの勾配値であり、これをその大きさで規格化している。すなわち、上記式(28)のように勾配を規格化することにより、勾配が小さい状態でも評価関数の改善速度を高めることができる。Xはリアクタンスベクトルの制御パラメータであり、この実施例では−2048〜2047の値をとる。fは、例えば上記式(16)においてR=fとおいた式で表された相互相関関数fを表す評価関数であり、アドミタンス行列Yを用いて計算する。
以上説明したように、この実施例によれば、最急勾配法の差分幅を評価関数の改善にしたがい小さくするような減少関数を用いて差分幅を制御することにより、評価関数値である出力SINRを大幅に改善することができ、改善された収束値を得ることができる。
以上の実施例においては、学習シーケンス信号を用いた適応制御処理は実際の通信の開始前に実行しているが、本発明はこれに限らず、通信の最初に行っても、ある時間周期毎に行ってもよい。
以上の実施例においては、例えば、上記式(16)においてR=fとおいた式に示された評価関数値fを最大となるように改善させるべく適応制御しているが、評価関数をその逆数にしたときは、それを最小となるように改善させるべく適応制御してもよい。
以上の実施例においては、評価関数として上記式(16)を用いているが、出力SINR又はその度合いを示す他の種々の評価関数を用いてもよい。また、以上の実施例においては、評価関数として上記式(16)を用い、学習シーケンス信号d(t)を用いて評価関数を計算しているが、本発明はこれに限らず、学習シーケンス信号d(t)を用いない種々の評価関数を用いてもよい。例えば、先行技術文献5において開示されているように、アレーアンテナ装置100によって受信された受信信号に基づいて、例えば最急勾配法などの非線形計画法における反復的な数値解法を用いて、上記受信信号のみで表された目的関数の値が最大又は最小となるように、上記アレーアンテナの主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるための各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を計算して設定するステップを含み、上記目的関数は、所定の期間における、上記受信信号の絶対値の時間平均値の二乗値を、上記受信信号の絶対値の二乗値の時間平均値で除算した関数であるように構成してもよい。
図30は本発明に係る実施例5であるアレーアンテナの制御装置の構成を示すブロック図である。この実施例のアレーアンテナの制御装置は、アレーアンテナ装置100のための適応制御装置であって、図30に示すように、適応制御型コントローラ20Dと、学習シーケンス信号発生器21とを備えて構成される。この実施例は、図11に図示された実施例1に比較して、適応制御型コントローラ20に代えて、適応制御型コントローラ20Dを備えたことを特徴としており、以下、主としてこの相違点について説明する。
ここで、適応制御型コントローラ20Dは、例えばコンピュータなどのディジタル計算機で構成され、復調器4による無線通信を開始する前に、相手先の送信機から送信される無線信号に含まれる学習シーケンス信号を上記アレーアンテナ装置100により受信したときの受信信号y(t)と、上記学習シーケンス信号と同一の信号パターンを有して学習シーケンス信号発生器21で発生された学習シーケンス信号d(t)とに基づいて、図31に示すマルカート法による適応制御処理を実行することにより上記アレーアンテナ装置100の主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるための、各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6に印加されるバイアス電圧値V(m=1,2,…,6)を探索して設定することを特徴としている。
具体的には、適応制御型コントローラ20Dは、図31に示すように、受信された受信信号y(t)に基づいて後述する式(29)に示す評価関数値Qtを計算し、上記計算された評価関数値Qtに基づいて、マルカート数を有するマルカート法を用いて各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6の差分リアクタンス値を計算し、上記各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6のリアクタンス値を順次所定の差分リアクタンス値だけ摂動させることを繰り返すことにより、当該評価関数値が最大となるように、当該アレーアンテナ装置の主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるための各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6のリアクタンス値の最適解を計算して設定し、ここで、上記マルカート数αを、最適解に近づくにつれて漸次減少させるように制御することを特徴としている。これにより、上記アレーアンテナ装置100の主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるための各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6のバイアス電圧値Vを探索し、探索の結果発見された各バイアス電圧値Vを有する制御電圧信号を各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6に出力して設定することができる。
アレーアンテナ100で受信される無線信号を送信する送信局は、学習シーケンス信号発生器21で発生される所定の学習シーケンス信号と同一の信号パターンを有する学習シーケンス信号を含む所定のシンボルレートのディジタルデータ信号に従って、無線周波数の搬送波信号を、例えばBPSK、QPSKなどのディジタル変調法を用いて変調し、当該変調信号を電力増幅して受信局のアレーアンテナ装置100に向けて送信する。この実施例においては、データ通信を行う前に、送信局から受信局に向けて学習シーケンス信号を含む無線信号が送信され、受信局では、適応制御型コントローラ20Dによる適応制御処理が実行される。
次いで、上記のリアクタンスベクトルXを制御する方法として、以下に詳述する「マルカート法による適応制御法」を提案する。先行技術の項で上述したように、従来、電子制御導波器アレーアンテナ装置に装荷する各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6のリアクタンス値の最適解を求めるために多大な時間を要していたが、これを解決するために、この実施例においては、電子制御導波器アレーアンテナ装置において,MMSE評価関数に対して最急降下法及びマルカート法を用いて最適化を行うことを提案する。
非線形最小二乗法の1つであるマルカート法はガウス−ニュートン法と最急降下法の利点を合わせ持つ方法である。所定の学習時間期間において、tmax回のサンプリングを行い、時刻t(t=1,2,…,tmax)における評価関数の瞬時値をQtとし、アンテナ装置からの受信信号の瞬時値をy(t)とし、学習シーケンス信号の瞬時値をd(t)と表し、次式の目的関数F(X)を次式のように定義する。
Figure 2005110231
この目的関数F(X)を最小化することにより各時刻tにおける評価関数Qtを一様に小さくする共通のリアクタンスベクトルXを計算する。ガウス−ニュートン法では、次式のように微少量であるリアクタンスの差分ベクトルΔX(n)だけ修正してX(n+1)を得る。
[数25]
X(n+1)=X(n)+ΔX(n) (30)
しかしながら、リアクタンスベクトルX(n)が最適値から遠い場合やtmax個のサンプルデータの独立性が弱い場合には、リアクタンスの差分ベクトルΔX(n)自体が発散する恐れがある。一方、先行技術の方法に係る最急降下法では,評価関数の減少を最も確実に保証するが、反復を繰り返すとジグザグ運動を始めるという欠点があり、これを避けようとすると収束速度を犠牲にせざるを得ない。そこで、この実施例においては、マルカート法を用いて両者の欠点を補うために次式により、リアクタンスの差分ベクトルΔX(n)を計算する。
[数26]
(JH+αI)ΔX(n)=−JH(X(n))
(31)
ここで、αはマルカート数であり、Iは単位行列である。また、評価関数ベクトルH(X(n))は次式で表される。
[数27]
H(X(n))=[h,h,…,htmax] (32)
[数28]
ht≡Q 1/2(X(n)) (33)
ここで、Jは評価関数ベクトルH(X(n))のX(n)に関するヤコビアン行列であり、次式で与えられる。
[数29]
=[∇h(X(n)),∇h(X(n)),…,∇htmax(X(n))]
(34)
上記式(34)より、マルカート数α=0とすればΔX(n)の方向はガウス−ニュートン法による方向となり、マルカート数αが大きくなるとΔX(n)は最急降下法による方向となる。この実施例では、マルカート数αは、次式に示すごとく最適点に近づくにつれその値が徐々に小さくなるように設定した。
Figure 2005110231
図31は、図1の適応制御型コントローラ20Dによって実行される適応制御処理を示すフローチャートである。
図31において、まず、ステップS301において、反復パラメータnを1に初期化し、リアクタンスベクトルX(1)に対してその所定の初期値を代入する。次いで、ステップS302において、受信信号y(t)を測定し、上記式(29)を用いて評価関数Qt(t=1,2,…,tmax)を計算する。そして、ステップS303において、上記式(33)及び式(35)を用いてマルカート数αを計算し、ステップS304において、上記式(31)乃至式(34)を用いてマルカート法によりリアクタンスの差分ベクトルΔX(n)を計算する。さらに、ステップS305において、上記式(30)の漸化式を用いて次の反復のリアクタンスベクトルX(n+1)を計算して当該リアクタンスベクトルX(n+1)の各成分に対応する制御電圧信号を発生して各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6に出力して設定する。そして、ステップS306においてn≧N(最大反復回数)なる収束条件を満たすか否かを判断し、NOのときはステップS307に進み、反復パラメータnを1だけインクリメントした後、ステップS302に進む。一方、ステップS306でYESのときは当該適応制御処理を終了する。
以上説明したように、この実施例によれば、マルカート法を用いて電子制御導波器アレーアンテナ装置の各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6の最適解を計算したので、電子制御導波器アレーアンテナ装置の最適化に要する時間を短縮することができた。
以上の実施例においては、学習シーケンス信号を用いた適応制御処理は実際の通信の開始前に実行しているが、本発明はこれに限らず、通信の最初に行っても、ある時間周期毎に行ってもよい。
以上の実施例においては、例えば、上記式(29)に示された評価関数値を最大となるように改善させるべく適応制御しているが、評価関数をその逆数にしたときは、それを最小となるように改善させるべく適応制御してもよい。
以上の実施例においては、評価関数として上記式(29)を用いているが、出力SINR又はその度合いを示す他の種々の評価関数を用いてもよい。また、以上の実施例においては、評価関数として上記式(29)を用い、学習シーケンス信号d(t)を用いて評価関数を計算しているが、本発明はこれに限らず、学習シーケンス信号d(t)を用いない種々の評価関数を用いてもよい。例えば、先行技術文献5において開示されているように、アレーアンテナ装置100によって受信された受信信号に基づいて、例えば最急勾配法などの非線形計画法における反復的な数値解法を用いて、上記受信信号のみで表された目的関数の値が最大又は最小となるように、上記アレーアンテナの主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるための各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を計算して設定するステップを含み、上記目的関数は、所定の期間における、上記受信信号の絶対値の時間平均値の二乗値を、上記受信信号の絶対値の二乗値の時間平均値で除算した関数であるように構成してもよい。
以上詳述したように、本発明に係る実施例に係るアレーアンテナを制御するための方法によれば、電子制御導波器アレーアンテナ装置を制御するための方法において、各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を所定の初期値からランダムに摂動して設定したときに、相手先の送信機から送信される無線信号に含まれる学習シーケンス信号を上記アレーアンテナにより受信したときの受信信号と、上記学習シーケンス信号と同一の信号パターンを有して発生された学習シーケンス信号との間の摂動前後の所定の相互相関係数を演算し、摂動前後の相互相関係数が増大するときに対応するリアクタンス値を選択して設定した後、上記選択された各可変リアクタンス素子のリアクタンス値から上記ランダムに摂動して設定することを繰り返すステップを含む。従って、探索の反復毎に性能が向上するように学習することができ、最適解への収束時間を大幅に短縮することができる。これにより、計算量を少なくし、長い学習シーケンス信号を必要としない。
また、上記アレーアンテナを制御するための方法において、上記初期値は、好ましくは、所定の複数の放射パターンに対応する上記各可変リアクタンス素子のリアクタンス値のうち、最大の相互相関係数を有する1つの放射パターンに対応する上記各可変リアクタンス素子のリアクタンス値である。従って、最適な初期値から出発して探索することにより、最適解への収束時間を大幅に短縮することができ、計算量を少なくできる。
また、本発明の実施例に係る電子制御導波器アレーアンテナ装置であるアレーアンテナ装置の制御方法において、各可変リアクタンス素子が採り得るリアクタンス値の範囲を分割し、その分割後の各範囲の代表値をそれぞれ各可変リアクタンス素子に設定したときに、相手先の送信機から送信される無線信号に含まれる学習シーケンス信号をアレーアンテナにより受信したときの受信信号と、学習シーケンス信号と同一の信号パターンを有して発生された学習シーケンス信号との間の所定の相互相関係数を演算し、分割後の各範囲の代表値に対応する2つの相互相関係数のうち大きい相互相関係数に対応する各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を初期値として選択して設定した後、選択されたリアクタンス値に属する範囲を分割し、その分割後の各範囲の代表値をそれぞれ各可変リアクタンス素子に設定したときに相互相関係数を演算し、上記分割後の各範囲の代表値に対応する2つの相互相関係数のうち大きい相互相関係数に対応する各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を選択して設定することにより、アレーアンテナの主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるように制御する。
ここで、好ましくは、各可変リアクタンス素子が採り得るリアクタンス値の範囲を二分し、二分後の各範囲の中央値をそれぞれ各可変リアクタンス素子に設定したときに、相手先の送信機から送信される無線信号に含まれる学習シーケンス信号をアレーアンテナにより受信したときの受信信号と、学習シーケンス信号と同一の信号パターンを有して発生された学習シーケンス信号との間の所定の相互相関係数を演算し、二分後の各範囲の中央値に対応する2つの相互相関係数のうち大きい相互相関係数に対応する各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を初期値として選択して設定した後、選択されたリアクタンス値に属する範囲を二分し、二分後の各範囲の中央値をそれぞれ各可変リアクタンス素子に設定したときに相互相関係数を演算し、二分後の各範囲の中央値に対応する2つの相互相関係数のうち大きい相互相関係数に対応する各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を選択して設定する。
従って、先行技術の方法に比較して収束時間を大幅に短縮することができ、少ない計算量で、所望波に対して主ビームを向けかつ干渉波に対してヌルを向けるように適応制御することができる。
また、上記の前者の処理に代えて、好ましくは、所定の複数の放射パターンに対応する上記各可変リアクタンス素子のリアクタンス値をそれぞれ上記各可変リアクタンス素子に設定したときに上記相互相関係数を演算し、最大の相互相関係数を有する1つの放射パターンに対応する上記各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を初期値として選択して設定する。従って、上記各可変リアクタンス素子のリアクタンス値の初期値を適切に選択でき、先行技術の方法に比較して収束時間を大幅に短縮することができ、少ない計算量で、所望波に対して主ビームを向けかつ干渉波に対してヌルを向けるように適応制御することができる。
さらに、本発明の実施例に係るアレーアンテナを制御するための方法によれば、電子制御導波器アレーアンテナ装置を制御するための方法において、可変ステップ探索法により各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を探索するようにしたので、探索の反復毎に性能が向上するように学習することができ、最適解への収束時間を大幅に短縮することができる。これにより、計算量を少なくし、長い学習シーケンス信号を必要としない。
またさらに、本発明の実施例に係るアレーアンテナを制御するための方法によれば、電子制御導波器アレーアンテナ装置を制御するための方法において、各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を順次所定の差分幅ΔXだけ摂動させ、各リアクタンス値に対して所定の評価関数値を計算し、上記計算された評価関数値に基づいて、ステップ幅μを有する最急勾配法を用いて、当該評価関数値が最大又は最小となるように各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を反復して計算することにより、上記アレーアンテナの主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるための各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を計算して設定するときに、上記差分幅ΔXと上記ステップ幅μを、所定の減少関数を用いて上記評価関数値f又は上記評価関数値fから計算される信号対干渉雑音電力比SINRに依存して減少するように制御する。従って、所望波に対して主ビームを向けかつ干渉波に対してヌルを向けるときに、先行技術の方法に比較して少ない反復回数で高速に良好な評価関数値を得ることができ、良好な収束値を得ることができる。
またさらに、本発明の実施例に係るアレーアンテナを制御するための方法によれば、電子制御導波器アレーアンテナ装置を制御するための方法において、受信された無線信号に基づいて所定の評価関数値を計算し、上記計算された評価関数値に基づいて、所定のマルカート数を有するマルカート法を用いて上記各可変リアクタンス素子の差分リアクタンス値を計算し、上記各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を順次所定の差分リアクタンス値だけ摂動させることを繰り返すことにより、当該評価関数値が最大又は最小となるように、上記アレーアンテナの主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるための各可変リアクタンス素子のリアクタンス値の最適解を計算して設定する。ここで、好ましくは、上記マルカート数を最適解に近づくにつれて漸次減少させるように制御する。従って、マルカート法を用いることにより収束速度が速くなり,最急降下法よりも比較的少ないサンプル数でリアクタンス値の最適化が可能であり、高速で主ビームを所望波に向けることができる。
図32は本発明に係る実施例6であるアレーアンテナの制御装置の構成を示すブロック図である。この実施例のアレーアンテナの制御装置は、アレーアンテナ装置100のための適応制御装置であって、図32に示すように、適応制御型コントローラ20Eとを備えて構成される。ここで、適応制御型コントローラ20Eは、例えばコンピュータなどのディジタル計算機で構成され、アレーアンテナ装置100によって受信された受信信号y(t)に基づいて、非線形計画法における反復的な数値解法である、例えば、最急勾配法を用いて、上記受信信号y(t)のみで表された目的関数(後述する(36)式)の値が最大となるように、上記アレーアンテナ装置100の主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉の方向にヌルを向けるための各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6のリアクタンス値を計算して設定することを特徴としている。なお、適応制御に用いる受信信号としては、詳細後述するように、その振幅が一定である変調方式で変調された受信信号、もしくは振幅が変化する変調方式であるときは無変調である期間における受信信号を用いる。
次いで、この実施例で用いる「ブラインド適応ビーム形成」について説明する。適応ビーム形成の目的はアンテナ受信出力信号y(t)に含まれる信号対干渉雑音の電力比SINRを最大化することである。ブラインド制御とは所望波に含まれる信号情報を全く参照することなくアンテナ可変パラメータ(一般的にはウエイトベクトル:ここでは、可変リアクタンス素子12−1乃至12−6のリアクタンス値)を更新することである。
この実施例に係るブラインド制御では、送信信号の振幅が標本化点において一定の値となることを利用する。現在多くの無線システムで用いられている変調方式のうち、アナログ無線方式では周波数変調FM、ディジタル無線方式では周波数シフトキーイングFSKや位相シフトキーイングPSK、などは送信信号の振幅が時間的に一定である。多値直交振幅変調QAMなどのように包絡線が一定でない変調方式の場合には、送信パケットの先頭部分に無変調のヘッダ区間を設けることにより同様の動作が可能である。受信側では送信信号に干渉信号が重畳されるため振幅が一定でなくなる。そこで、受信された信号の振幅変動が最小となることを規範としてアンテナ指向特性を制御する。これにより、アンテナ指向特性が最適ビームパターンすなわち干渉波の方向へヌルが形成されるビームパターンとなる。この方法はDBF(Digital Beam Forming)アンテナ制御におけるCMA(Constant Modulus Algorithm)に相当する。受信信号をy(t)と書くと、従来のCMAでは包絡線|y(t)|をある一定の目標値Cに近付けること、すなわち、「E||y(t)|−C|→min→0」を規範としていた。ここで、E|x|は変数の絶対値のアンサンブル平均を表す。この規範は電子制御導波器アレーアンテナ装置の制御には使えない。なぜなら、電子制御導波器アレーアンテナ装置は構造が簡易であるためそれ自身で絶対振幅を調整する機能を備えていないからである。そこで、この実施例ではこれに替えて、次式を規範として用いる。
[数30]
J=m /m→max→1 (36)
すなわち、上記(36)式で示された目的関数Jが最大の1となるように、適応制御する。ここで、m,mはタイミングtで標本化された受信信号を統計変数とみなした場合に、所定の期間における次式で表される1次および2次モーメントである。
[数31]
=E|y(t)| (37)
[数32]
=E|y(t)| (38)
ここで、E|y(t)|は、具体的には、上記所定の期間におけるアンサンブル時間平均値である。この規範の目的関数Jには目標値Cが含まれておらず、受信信号のみで記述されている。この場合、目標値が未知の状態で制御できることが大きなメリットである。この規範に基づいてリアクタンス値を、例えば最急勾配法などの非線形計画法における反復的な数値解法を用いて反復更新することにより、アンテナ出力の信号対干渉雑音電力比(SINR)が最大となるように、すなわち、アレーアンテナ装置100の主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるように最適ビームが形成される。
次いで、最急勾配法を用いたアンテナビームの適応制御について説明する。最急勾配法を用いるときの可変リアクタンス素子12−1乃至12−6のリアクタンス値のセット(リアクタンスベクトル)xに対する漸化式は次式で表される。
[数33]
x(n+1)=x(n)+μ∇J ・・・(39)
Figure 2005110231
ここで、nはxの更新の次数、パラメータμは試行錯誤的に定められるステップサイズである。ここで、最急勾配法は、最急降下法を含む方法の概念であるが、この実施例では、目的関数の値を最大するように最適解を求める方法を用いる。
さらに、最急勾配法による具体的な、最適解を求める手順について説明する。上記(39)式を用いた最急勾配法によって目的関数Jを可能な限り大きくするような良好なリアクタンスベクトルxを発見するためには、以下の手順を用いる。
(i)最初に、反復数パラメータn(すなわち、n回目の反復)を1に設定し、予め決められたリアクタンスベクトルの初期値x(1)(例えば、当該アレーアンテナ装置100をオムニアンテナに設定にするときのリアクタンスベクトル)によって処理を開始する。
(ii)次いで、この初期値(n=1のとき)又は現在の推定値(n≧2のとき)を使用して、反復数パラメータn(すなわち、n回目の反復)における目的関数Jの勾配ベクトル∇Jを計算する。
(iii)勾配ベクトル∇Jの方向と同一の方向に初期値又は現在の推定値を変更することで、リアクタンスベクトルxにおける次の推定値を計算する。
(iv)反復数パラメータnを1だけインクリメントし、ステップ(ii)に戻って処理を繰り返す。この繰り返し処理は、リアクタンスベクトルxが実質的に収束する反復数まで実行される。
図33は、図32の適応制御型コントローラ20Eによって実行される、最急勾配法によるより具体的な適応制御処理を示すフローチャートである。
図33のステップS401において、まず、反復数パラメータnを1にリセットし、リアクタンスベクトルx(1)にその初期値を設定挿入し、ステップS402において素子パラメータkを1にリセットする。次いで、ステップS403において受信信号y(t)を測定し、ステップS404において上記(36)式を用いて目的関数Jの値を計算し、J(0)に設定挿入する。さらに、ステップS405においてリアクタンス値xに所定の摂動値Δxを加算し、その加算値をリアクタンス値xとして設定した後、ステップS406において受信信号y(t)を測定し、ステップS407において上記(36)式を用いて目的関数Jの値を計算する。そして、ステップS408においてJ−J(0)の値を計算して∂J/∂xに代入し、ステップS409においてリアクタンス値xに所定の摂動値Δxを減算しその減算値をリアクタンス値xとして設定することにより摂動前の値に戻した後、ステップS410において素子パラメータkはK(=6)以上であるか否かが判断される。ステップS410でNOであれば、ステップS411で素子パラメータkを1だけインクリメントしてステップS405に戻り、上述の処理を繰り返す。一方、ステップS410でYESであるときは、ステップS412において、上記(39)式の漸化式を用いて、リアクタンスベクトルxの次の推定値x(n+1)を計算した後、ステップS413において反復数パラメータnが所定の反復数Nに到達しているか否かを判断し、NOであれば、ステップS414において反復数パラメータnを1だけインクリメントした後、ステップS402からの処理を繰り返す。一方、ステップS413でYESであるときは、十分に収束しているものと判断し、計算されたリアクタンスベクトルxの値を有するリアクタンス値信号を可変リアクタンス素子12−1乃至12−6に出力して設定する。
以上説明したように、この実施例によれば、適応制御型コントローラ20Eは、アレーアンテナ装置100によって受信された受信信号y(t)に基づいて、非線形計画法における反復的な数値解法である、例えば、最急勾配法を用いて、上記受信信号y(t)のみで表された目的関数((36)式)の値が最大となるように、上記アレーアンテナ装置100の主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉の方向にヌルを向けるための各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6のリアクタンス値を計算して設定する。従って、参照信号を必要とせずに、アレーアンテナの指向特性を所望波の方向に主ビームを向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるように適応制御することができる。ここで、参照信号を必要としないので、当該装置の構成を簡単化できる。また、目的関数Jは受信信号y(t)のみで記述されているので、適応制御コントローラ20Eの計算処理をきわめて簡単に実行できる。
以上の実施例においては、最急勾配法を用いて各可変リアクタンス素子12のリアクタンス値を計算しているが、本発明はこれに限らず、以下に示す順次ランダム法、ランダム法、高次元二分法などの非線形計画法における反復的な数値解法を用いてもよい。
なお、順次ランダム法においては、以下の手順を用いる。
(i)最初に、反復数パラメータn(すなわち、n回目の反復)を1に設定し、リアクタンスベクトルの所定の初期値x(1)(例えば、当該アレーアンテナ装置100をオムニアンテナに設定にするときのリアクタンスベクトル)によって処理を開始する。
(ii)次いで、この初期値(n=1のとき)又は現在の推定値(n≧2のとき)を使用して、反復数パラメータn(すなわち、n回目の反復)における推定値への加算値を所定の存在範囲内で乱数を発生させて計算する。
(iii)計算された加算値を上記推定値に加算することにより、リアクタンスベクトルにおける次の推定値を計算する。
(iv)反復数パラメータnを1だけインクリメントし、ステップ(ii)に戻って処理を繰り返す。この繰り返し処理は、目的関数Jの値が所定のしきい値(例えば0.9)以上になるまで実行される。
また、ランダム法においては、以下の手順を用いる。
(i)最初に、リアクタンスベクトルの所定の初期値x(1)(例えば、当該アレーアンテナ装置100をオムニアンテナに設定にするときのリアクタンスベクトル)によって処理を開始する。
(ii)次いで、この初期値を使用して、当該初期値への加算値を所定の存在範囲内で乱数を発生させて計算する。
(iii)計算された加算値を上記初期値に加算することにより、リアクタンスベクトルにおける推定値を計算する。
(iv)計算された推定値における目的関数Jの値が所定のしきい値(例えば0.9)以上であれば、当該推定値を設定すべきリアクタンスベクトルとするが、NOであれば、ステップ(ii)に戻って処理を繰り返す。
さらに、高次元二分法においては、以下の手順を用いる。
(i)最初に、反復数パラメータn(すなわち、n回目の反復)を1に設定して処理を開始する。
(ii)次いで、リアクタンスベクトルの各リアクタンス値の所定の存在範囲(なお、2回目以降は、前に選択された推定値の存在範囲)を均等に二分し、二分された各存在範囲の平均値(各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6に対して2つの平均値)を計算する。
(iii)この2つの平均値に対する目的関数Jの値を計算し、目的関数Jの値が大きい方を、リアクタンスベクトルにおける次の推定値とする。
(iv)反復数パラメータnを1だけインクリメントし、ステップ(ii)に戻って処理を繰り返す。この繰り返し処理は、目的関数Jの値が所定のしきい値(例えば0.9)以上になるまで実行される。
以上の実施例においては、目的関数Jを適応制御のためのリアクタンス値を求めるための目的関数とし、それを最大となるようにリアクタンスベクトルの最適解を計算しているが、本発明はこれに限らず、目的関数Jの逆数を適応制御のためのリアクタンス値を求めるための目的関数とし、それを最小となるようにリアクタンスベクトルの最適解を計算してもよい。
図34は本発明に係る実施例7であるアレーアンテナの制御装置の構成を示すブロック図である。この実施例のアレーアンテナの制御装置は、アレーアンテナ装置100のための適応制御装置であって、図34に示すように、適応制御型コントローラ20Fとを備えて構成され、特に、実施例6に係る適応制御型コントローラ20Eに代えて、適応制御型コントローラ20Fを備えたことを特徴としている。
ここで、受信側での適応制御に用いる、送信側から送信される無線信号としては、詳細後述するように、例えば、16QAM、64QAM、256QAMなどの多値直交振幅変調(QAM:Quadrature Amplitude Modulation)やASK(Amplitude Shift Keying)などのディジタル振幅変調を含む変調方法で変調された無線信号を用いる。従って、上記無線信号はディジタル振幅変調されているので、各標本化された信号点においてその振幅は離散的に変化する。この実施例では、受信信号の振幅値を時系列的に標本化観測し、それらの自乗(瞬時電力値)が簡単な整数比系列となることに着目した目的関数を定義しこれを最小化することを規範としている。ここで、具体的には、上記無線信号の互いに異なる2つの信号点の電力値のうち大きい電力値を小さい電力値で除算した商の値を電力比Rとしたとき、上記無線信号は上記ディジタル振幅変調の複数の信号点においてそれぞれ所定の離散電力比R1,R2,…,Rmaxを有することを利用している。
この実施例において、適応制御型コントローラ20Fは、例えばコンピュータなどのディジタル計算機で構成され、アレーアンテナ装置100によって受信された受信信号y(t)に基づいて、例えば1フレームの時間期間などの所定の期間において上記受信信号の互いに異なる組み合わせの各2つの信号点の電力値についてそれぞれ上記電力比Rを計算し、上記計算された各電力比Rから上記離散電力比R1,R2,…,Rmaxをそれぞれ減算した値の絶対値のうちの最小値の時間平均値又はアンサンブル平均値を目的関数値として計算し、非線形計画法における反復的な数値解法である、例えば、最急勾配法を用いて、受信信号y(t)のみから計算可能な上記目的関数値が実質的に最小となるように、上記アレーアンテナ装置100の主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉の方向にヌルを向けるための各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6のリアクタンス値を計算して、その値を示すリアクタンス値信号を各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6に出力することによりそれらリアクタンス値xを設定する。
次いで、この実施例で用いる「ブラインド適応ビーム形成」について説明する。適応ビーム形成の目的はアンテナ受信出力信号y(t)に含まれる信号対干渉雑音の電力比SINR=S/(N+I)を最大化することである。ブラインド制御とは所望波に含まれる信号情報を全く参照することなくアンテナ可変パラメータ(一般的にはウエイトベクトル:ここでは、可変リアクタンス素子12−1乃至12−6のリアクタンス値)を更新することである。
この実施例に係るブラインド制御では、送信信号の振幅が標本化点においてその自乗(瞬時電力値)が簡単な整数比をもつ値となることを利用する。現在多くの無線システムで用いられているディジタル変調方式のうち、特にPSKではこの比の値が全て1となる。これが16QAMの場合には、図35に示すI/Q平面上の信号点配置から明らかなように、ここで第1象限のみを考慮すれば、各標本化された信号点において、Iチャンネルの振幅値m=1,3と、Qチャンネルの振幅値n=1,3とに基づく瞬時電力値Pは次式で表される。
[数34]
P=(2m−1)+(2n−1) (41)
従って、16QAMのときに取りうる瞬時電力値Pは次の表1に示すようになる。
[表1]
16QAMのときの瞬時電力値P
――――――――――――――――――――
m 1 3

――――――――――――――――――――
1 2 10
3 10 18
――――――――――――――――――――
この表1から互いに異なる各2つの信号点の瞬時電力比は1:5:9となる。ある標本化信号点における瞬時電力値P1と次の標本化信号点での瞬時電力値P2との比は、1:1、1:5、1:9、5:1、5:5、5:9、9:1、9:5、9:9のいずれかをとる。これらの2値P1,P2を比較し大きい方を小さい方で除算した商の値をRとして次式のように計算すると、次の表5に示すようになる。
[数35]
R=max(P1,P2)/min(P1,P2)
(42)
ここで、関数max(・)は、引数に含まれる複数の値のうち最大値を示す関数であり、関数max(・)は、引数に含まれる複数の値のうち最大値を示す関数である。
[表2]
16QAMのときの標本化された信号点での電力比
――――――――――――――――――――――――――
P1 2 10 18
P2
――――――――――――――――――――――――――
2 1 5 9
10 5 1 1.8
18 9 1.8 1
――――――――――――――――――――――――――
この表2から明らかなように、16QAMのときの電力比Rは次式で表された離散値の4通りのみとりうる。
[数36]
R=1.0,1.8,5.0,9.0 ・・・(43)
受信側では送信信号に干渉信号と雑音が重畳されるためこの商の値が上記離散値からゆらぐ。このゆらぎの程度を表す評価関数Qを次式のように定義する。
[数37]
Q=min{|R−1.0|,|R−1.8|,|R−5.0|,|R−9.0|}
(44)
この評価関数は図36に示すように、1≦r<∞を定義域とする折れ線グラフとなる。送信信号に同期していない干渉信号と雑音はランダムなので、評価関数値Qも時間的に変動する。そこで、この実施例では、例えば1フレームなどの所定の期間中において多数の標本化信号点における評価関数値Qの時間平均値又はアンサンブル平均値(期待値)E(Q)をとり、これを最小化すること、すなわち次式の目的関数Jを規範とする。
[数38]
J=E(Q)→min→0 (45)
すなわち、上記(45)式で表された目的関数を実質的に最小値となるように適応制御する。この規範は受信信号の振幅の相対値だけで決定されるので受信レベル変動や受信機利得変動の影響を受けないというメリットもある。この規範に基づいてリアクタンス値を、例えば最急勾配法などの非線形計画法における反復的な数値解法を用いて反復更新することにより、アンテナ出力の信号対干渉雑音電力比(SINR)が最大となるように、すなわち、アレーアンテナ装置100の主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるように最適ビームが形成される。
また、同様に、64QAMのときの瞬時電力値Pは次の表6のようになり、16QAMのときと同様に当該アレーアンテナ装置100を適応制御可能である。なお、表5において、電力比Rの計算値は便宜上、小数点第5位を四捨五入して小数点第4位まで示している。
[表3]
64QAMのときの瞬時電力値P
―――――――――――――――――――――――――――
m 1 3 5 7

―――――――――――――――――――――――――――
1 2 10 26 50
3 10 18 34 58
5 26 34 50 74
7 50 58 74 98
―――――――――――――――――――――――――――
なお、以上の実施例においては、上記(45)式で表された目的関数を用いているが、本発明はこれに限らず、上記(44)式で表された評価関数を目的関数として用いてもよい。また、図34の適応制御型コントローラ20Fによって実行される、最急勾配法による適応制御処理は、目的関数を除き、図33と同様に実行される。
以上説明したように、この実施例によれば、適応制御型コントローラ20Fは、アレーアンテナ装置100によって受信された受信信号y(t)に基づいて、例えば1フレームの時間期間などの所定の期間において受信信号の互いに異なる組み合わせの各2つの信号点の電力値についてそれぞれ上記電力比Rを計算し、上記計算された各電力比Rから上記離散電力比R1,R2,…,Rmaxをそれぞれ減算した値の絶対値のうちの最小値の時間平均値又はアンサンブル平均値を目的関数値として計算し、非線形計画法における反復的な数値解法である、例えば、最急勾配法を用いて、受信信号y(t)のみから計算可能な目的関数値((45)式)が実質的に最小となるように、上記アレーアンテナ装置100の主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉の方向にヌルを向けるための各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6のリアクタンス値を計算して設定する。従って、送信された無線信号がディジタル振幅変調を含む変調方法で変調されていても、参照信号を必要とせずに、アレーアンテナの指向特性を所望波の方向に主ビームを向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるように適応制御することができる。ここで、参照信号を必要としないので、当該装置の構成を簡単化できる。また、目的関数Jは受信信号y(t)のみで記述されているので、適応制御コントローラ20Fの計算処理をきわめて簡単に実行できる。
以上の実施例においては、最急勾配法を用いて各可変リアクタンス素子12のリアクタンス値を計算しているが、本発明はこれに限らず、上述の順次ランダム法、ランダム法、高次元二分法などの非線形計画法における反復的な数値解法を用いてもよい。
以上の実施例においては、目的関数Jを適応制御のためのリアクタンス値を求めるための目的関数とし、それを最小となるようにリアクタンスベクトルの最適解を計算しているが、本発明はこれに限らず、目的関数Jの逆数を適応制御のためのリアクタンス値を求めるための目的関数とし、それを最大となるようにリアクタンスベクトルの最適解を計算してもよい。
図37は本発明に係る実施例8であるアレーアンテナの制御装置の構成を示すブロック図である。この実施例のアレーアンテナの制御装置は、図37に示すように、アレーアンテナ装置100で受信された受信信号を処理する無線受信機1110と、適応制御型コントローラ1120とを備えて構成される。
ここで、送信された無線信号はm相PSK変調され(ここで、mは2以上の整数である。)、適応制御型コントローラ1120は、例えばコンピュータなどのディジタル計算機で構成され、アレーアンテナ装置100によって受信された受信信号y(t)に基づいて、非線形計画法における反復的な数値解法である、例えば、最急勾配法を用いて、上記受信信号y(t)のm乗を用いて表された規範関数(例えば、後述する(46)式)の値が最大となるように、アレーアンテナ装置100の主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉の方向にヌルを向けるための各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6のリアクタンス値を計算して設定することを特徴としている。
図37のアレーアンテナの制御装置において、アレーアンテナ装置100は無線信号y(t)を受信し、上記受信された無線信号である受信信号y(t)は無線受信機1110に入力され、無線受信機1110は上記受信信号y(t)に対してBPSK復調処理を行って、BPSK復調された、互いに直交した受信信号からの2つのディジタルベースバンド信号を得る。すなわち、無線受信機1110において、受信信号y(t)はまず低雑音増幅器(LNA)1101により高周波増幅された後2分配され、2分配された一方の受信信号y(t)は混合器1102−1により局部発振器1103からの局部発振信号と混合された後、ダイレクトコンバージョン後のI信号は、A/D変換器1105−1によりA/D変換されてディジタルベースバンドI信号を得る。一方、2分配された他方の受信信号y(t)は混合器1102−2により、局部発振信号から90度移相器1104により90度だけ移相された局部発振信号と混合された後、ダイレクトコンバージョン後のQ信号は、A/D変換器1105−2によりA/D変換されてディジタルベースバンドQ信号を得る。これら2つのディジタルベースバンド信号はデータ信号として出力されるとともに、適応制御型コントローラ1120に出力される。次いで、適応制御型コントローラ1120は、アレーアンテナ装置100によって受信された受信信号y(t)を表す2つのディジタルベースバンド信号に基づいて、例えば最急勾配法を用いて、上記受信信号y(t)のみであって受信信号y(t)のm乗を用いて表された規範関数((46)式)の値が最大となるように、上記アレーアンテナ装置100の主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉の方向にヌルを向けるための各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6のリアクタンス値x(k=1,2,…,6)を計算してその値を示すリアクタンス値信号を各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6に出力することによりそれらリアクタンス値xを設定する。
次いで、この実施例で用いる「ブラインド適応ビーム形成」について説明する。適応ビーム形成の目的はアンテナ受信出力信号y(t)に含まれる信号対干渉雑音の電力比SINRを最大化することである。ブラインド制御とは所望波に含まれる信号情報を全く参照することなくアンテナ可変パラメータ(一般的にはウエイトベクトル:ここでは、可変リアクタンス素子12−1乃至12−6のリアクタンス値)を更新することである。
適応的にビームを形成をするためには、(1)送信パケットのヘッダに参照信号を含ませておき、(2)受信側で予めこの参照信号系列を知っておき、(3)参照信号の同期タイミングを検出して、(4)アレーの重み係数をトレーニングする、というプロセスが通常用いられる。例えばアレーアンテナ装置100の適応ビーム形成法として受信信号と参照信号との相互相関係数を最大化するアルゴリズム「MCCC:Maximum Cross Correlation Coefficient」がある(例えば、非特許文献7参照。)。これに対して、ブラインド適応ビーム形成とは参照信号なしで適応的にビームを形成する機能であり、上記(1)〜(3)のプロセスを省略することができる。
この実施例においては、m相PSK変調信号に特有の性質に着目し、これを利用したブラインド規範を提案する。ここで着目する性質とは、「m相PSK変調信号は変調データに関わらずこれをm乗すると一定の複素数値となる」ことである。通信路で雑音あるいは干渉を被るとこの一定の複素数値からのゆらぎが受信側で観測される。このゆらぎが小さいほど所望信号が高い純度で抽出できていると考えられる。そこで、上述のごとく導出した受信アンテナの出力信号の第m次モーメントを最大化すること、すなわち、次式を規範関数とすることを提案する。
Figure 2005110231
ここで、E[・]は引数・のアンサンブル平均(所定の時間における平均値)を表す。分母はm乗された信号の平均電力を表している。規範関数J{y(t)}の物理的解釈は後述の補足説明で述べる。この規範関数の利点は、上述の「一定の複素数値」を含んでいないことである。すなわち、この値を受信側で予め知っている必要が無い。このことは、アンテナ及び受信回路系の絶対利得や固定的な位相回転量に左右されないことを意味しており、実際の無線システムに用いる際の重要な利点である。上記式で表されるように複素信号の第m次モーメントを最大化する規範をここでは「MMC:Maximum Moment Criterion」と呼ぶこととする。
次いで、上記規範関数を用いた適応ビーム形成について説明する。「適応ビーム形成」とは、アレーアンテナ装置100の受信信号y(t)に含まれる信号対干渉雑音電力比SINR=S/(N+I)を最大化するようにアンテナ可変パラメータ(アレーアンテナ装置100では各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6のリアクタンス値)を更新することである。上述の規範関数に基づいてリアクタンス値を反復更新することにより、アンテナ指向特性が出力SINR最大となる最適ビームパターンすなわち所望波の方向へメインビームが形成され干渉波の方向へヌルが形成されるビームパターンとなる。
すなわち、上記規範関数Jには目標値Cが含まれておらず、受信信号y(t)のみであって、しかも受信信号のm乗{y(t)}を用いて表されて記述されている。この場合、目標値が未知の状態で制御できることが大きなメリットである。この規範に基づいてリアクタンス値を、例えば最急勾配法などの非線形計画法における反復的な数値解法を用いて反復更新することにより、アンテナ出力の信号対干渉雑音電力比(SINR)が最大となるように、すなわち、アレーアンテナ装置100の主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるように最適ビームが形成される。なお、図37の適応制御型コントローラ1120によって実行される、最急勾配法によるより具体的な適応制御処理を示すフローチャートである。
以上説明したように、この実施例によれば、適応制御型コントローラ1120は、アレーアンテナ装置100によって受信された受信信号y(t)に基づいて、非線形計画法における反復的な数値解法である、例えば、最急勾配法を用いて、上記受信信号y(t)のみであって受信信号y(t)のm乗を用いて表された規範関数((46)式)の値が最大となるように、上記アレーアンテナ装置100の主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉の方向にヌルを向けるための各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6のリアクタンス値を計算して設定する。従って、参照信号を必要とせずに、アレーアンテナの指向特性を所望波の方向に主ビームを向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるように適応制御することができる。ここで、参照信号を必要としないので、当該装置の構成を簡単化できる。また、規範関数Jは受信信号y(t)のみで記述されているので、適応制御コントローラ1120の計算処理をきわめて簡単に実行できる。
以上の実施例においては、最急勾配法を用いて各可変リアクタンス素子12のリアクタンス値を計算しているが、本発明はこれに限らず、以下に示す順次ランダム法、ランダム法、高次元二分法などの非線形計画法における反復的な数値解法を用いてもよい。
以上の実施例においては、規範関数Jを適応制御のためのリアクタンス値を求めるための規範関数とし、それを最大となるようにリアクタンスベクトルの最適解を計算しているが、本発明はこれに限らず、規範関数Jの逆数を適応制御のためのリアクタンス値を求めるための規範関数とし、それを最小となるようにリアクタンスベクトルの最適解を計算してもよい。
図38は本発明に係る実施例9であるアレーアンテナの制御装置の構成を示すブロック図である。この実施例のアレーアンテナの制御装置は、アレーアンテナ装置100のための適応制御装置であって、無線受信機1110と、適応制御型コントローラ1120Aとを備えて構成される。特に、図37の適応制御型コントローラ1120に代えて、適応制御型コントローラ1120Aを備えたことを特徴としている。
ここで、送信された無線信号はm相PSK変調され(ここで、mは2以上の整数である。)、適応制御型コントローラ1120Aは、例えばコンピュータなどのディジタル計算機で構成され、アレーアンテナ装置100によって受信された受信信号y(t)に基づいて、非線形計画法における反復的な数値解法である、例えば、最急勾配法を用いて、上記受信信号y(t)のm乗を用いて表された規範関数(例えば、後述する(47)式)の値が実質的に最大となるように、上記アレーアンテナ装置100の主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉の方向にヌルを向けるための各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6のリアクタンス値を計算して、その値を示すリアクタンス値信号を各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6に出力することによりそれらリアクタンス値xを設定する。
この実施例においては、m相PSK変調信号に特有の性質に着目し、これを利用したブラインド規範を提案する。ここで着目する性質とは、「m相PSK変調信号は変調データに関わらずこれをm乗すると一定の複素数値となる」ことである。通信路で雑音あるいは干渉を被るとこの一定の複素数値からのゆらぎが受信側で観測される。このゆらぎが小さいほど所望信号が高い純度で抽出できていると考えられる。そこで、上述のごとく導出した受信アンテナの出力信号の第m次モーメントを用いた、次式の規範関数とすることを提案する。
Figure 2005110231
ここで、E[・]は引数・のアンサンブル平均(所定の時間における平均値)を表す。分母はm乗された信号の平均電力を表している。規範関数Jm(y(t))の物理的解釈は詳細後述する。この規範関数の利点は、上述の「一定の複素数値」を含んでいないことである。すなわち、この値を受信側で予め知っている必要が無い。このことは、アンテナ及び受信回路系の絶対利得や固定的な位相回転量に左右されないことを意味しており、実際の無線システムに用いる際の重要な利点である。
次いで、上記規範関数を用いた適応ビーム形成について説明する。「適応ビーム形成」とは、アレーアンテナ装置100の受信信号y(t)に含まれる信号対干渉雑音電力比SINR=S/(N+I)を実質的に最大化するようにアンテナ可変パラメータ(アレーアンテナ装置100では各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6のリアクタンス値)を更新することである。上述の規範関数に基づいてリアクタンス値を反復更新することにより、アンテナ指向特性が出力SINR最大となる最適ビームパターンすなわち所望波の方向へメインビームが形成され干渉波の方向へヌルが形成されるビームパターンとなる。
すなわち、上記規範関数Jには目標値Cが含まれておらず、受信信号y(t)のみであって、しかも受信信号のm乗{(y(t))}を用いて表されて記述されている。この場合、目標値が未知の状態で制御できることが大きなメリットである。この規範に基づいてリアクタンス値を、例えば最急勾配法などの非線形計画法における反復的な数値解法を用いて反復更新することにより、アンテナ出力の信号対干渉雑音電力比(SINR)が実質的に最大となるように、すなわち、アレーアンテナ装置100の主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるように最適ビームが形成される。なお、図38の適応制御型コントローラ1120Aによって実行される、最急勾配法による適応制御処理は、規範関数を除き、図33の処理と同様に実行される。
以上説明したように、この実施例によれば、適応制御型コントローラ1120Aは、アレーアンテナ装置100によって受信された受信信号y(t)に基づいて、非線形計画法における反復的な数値解法である、例えば、最急勾配法を用いて、上記受信信号y(t)のみであって受信信号y(t)のm乗を用いて表された規範関数(式(47))の値が実質的に最大となるように、上記アレーアンテナ装置100の主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉の方向にヌルを向けるための各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6のリアクタンス値を計算して設定する。従って、参照信号を必要とせずに、アレーアンテナの指向特性を所望波の方向に主ビームを向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるように適応制御することができる。ここで、参照信号を必要としないので、当該装置の構成を簡単化できる。また、規範関数Jは受信信号y(t)のみで記述されているので、適応制御コントローラ1120Aの計算処理をきわめて簡単に実行できる。
以上の実施例においては、最急勾配法を用いて各可変リアクタンス素子12のリアクタンス値を計算しているが、本発明はこれに限らず、以下に示す順次ランダム法、ランダム法、高次元二分法などの非線形計画法における反復的な数値解法を用いてもよい。
以上の実施例においては、規範関数Jを適応制御のためのリアクタンス値を求めるための規範関数とし、それを実質的に最大となるようにリアクタンスベクトルの最適解を計算しているが、本発明はこれに限らず、規範関数Jの逆数を適応制御のためのリアクタンス値を求めるための規範関数とし、それを実質的に最小となるようにリアクタンスベクトルの最適解を計算してもよい。
以上説明したように、この実施例によれば、アレーアンテナ装置100はハードウエア構成が簡単であるにもかかわらず、適切な規範と帰還制御によりブラインドビーム形成が可能であるということをm相PSK波受信の場合について示した。
以上の実施例においては、上記(47)式の規範関数を用いているが、上記(47)式における時間平均E(・)は、例えば周波数分割多重方式で送信されたデータ信号を一時に受信して並列処理する場合に、例えば1シンボルなどの所定の期間において複数のデータ信号についての平均値であってもよい。
<第2の実施形態>
図39は、本発明の第2の実施形態に係るコリニアアレーアンテナ装置100Aの構成を示す正面図であり、図40は、図39のコリニアアレーアンテナ装置100Aの背面図である。このコリニアアレーアンテナ装置100Aは、図1のコリニアアレーアンテナ装置100を実装する1つの例であり、アンテナ素子611−1乃至611−6及び他の回路がプリント配線基板等の誘電体基板10上に形成されたことを特徴とする。
詳しくは、コリニアアレーアンテナ装置100Aは、長さLと幅Wとを有する矩形形状の誘電体基板10のおもて面上に、
(a)1/4波長の長さと幅wとを有するストリップ形状のアンテナ素子611−5と、
(b)1/2波長の長さを幅wと有するストリップ形状のアンテナ素子611−3と、
(c)1/2波長の長さを幅wと有するストリップ形状のアンテナ素子611−1と、
(d)1/2波長の長さを幅wと有するストリップ形状のアンテナ素子611−2と、
(e)1/2波長の長さを幅wと有するストリップ形状のアンテナ素子611−4と、
(f)1/4波長の長さを幅wと有するストリップ形状のアンテナ素子611−6とを、
公知のプリント配線基板のプロセス技術を用いて形成することによって構成される。このとき、各アンテナ素子611−1乃至611−6は、それらの長手方向が誘電体基板10の長手方向に平行であって、かつ上記の順序で一直線上に延在するように誘電体基板10上に形成される。コリニアアレーアンテナ装置100Aはさらに、
(g)アンテナ素子611−1の一端と、アンテナ素子611−2の一端との間の端子対を、無線送受信機を接続する給電点とするとともに、
(h)アンテナ素子611−1の他端と、アンテナ素子611−3の一端との間の端子対に、可変リアクタンス素子12−1を含む可変リアクタンス素子回路を設け、
(i)アンテナ素子611−3の他端と、アンテナ素子611−5の一端との間の端子対に、可変リアクタンス素子12−3を含む可変リアクタンス素子回路を設け、
(j)アンテナ素子611−2の他端と、アンテナ素子611−4の一端との間の端子対に、可変リアクタンス素子12−2を含む可変リアクタンス素子回路を設け、
(k)アンテナ素子611−4の他端と、アンテナ素子611−6の一端との間の端子対に、可変リアクタンス素子12−4を含む可変リアクタンス素子回路を設ける
ことにより構成される。
以下、図39及び図40を参照して、コリニアアレーアンテナ装置100Aの詳細構成についてさらに説明する。アンテナ素子611−1及び611−2の間の端子対に近接するように、誘電体基板10の長手方向に延在する一辺の中央部(図39では誘電体基板10の左側の一辺における中央部)に、アンテナ素子611−1及び611−2に給電するための給電端子PTが設けられる。アンテナ素子611−1は、アンテナ素子611−2と対向した側の端部においてアンテナ素子611−1に一体化して誘電体基板10上に形成された給電線路606−1を介して給電端子PTに接続され、同様に、アンテナ素子611−2は、アンテナ素子611−1と対向した側の端部においてアンテナ素子611−2に一体化して誘電体基板10上に形成された給電線路606−2を介して給電端子PTに接続されている。また、誘電体基板10の長手方向に延在する他の一辺の中央部(図39では誘電体基板10の右側の一辺における中央部)には、端子B1乃至B5を含む端子群BTが設けられ、この端子群BTを介して、可変リアクタンス素子12−1乃至12−4のリアクタンス値を制御するための制御電圧信号が供給される。
次に、コリニアアレーアンテナ装置100Aの各可変リアクタンス素子回路の構成について説明する。アンテナ素子611−1上において、アンテナ素子611−3に近接した位置で誘電体基板10を貫通するようにスルーホール導体711aが設けられる。詳しくは、スルーホール導体711aは、誘電体基板10を厚さ方向に貫通したスルーホールを設け、このスルーホールに導体を充填し、充填された導体とアンテナ素子611−1とを電気的に接続することによって形成される。同様に、アンテナ素子611−3上において、アンテナ素子611−1に近接した位置で誘電体基板10を貫通するようにスルーホール導体713が設けられる。誘電体基板10の、各アンテナ素子611−1乃至611−6が形成されたおもて面とは逆の裏面において、スルーホール導体711a及び713は、並列接続された可変リアクタンス素子12−1と高周波電流阻止用抵抗(高周波電流を阻止するために高周波インピーダンスに比較して10倍以上の抵抗値を有する抵抗をいう。以下、単に「抵抗」という。)R0−1とを介して互いに接続される。可変リアクタンス素子12−1は、直列接続された抵抗R1と制御線L1とからなる直流線路を介して端子群BTのうちの端子B1に接続される。従って、端子B1と、端子B1に接続された直流線路とを介して、可変リアクタンス素子12−1に直流の制御電圧信号が供給される。ここで、抵抗R1は、アンテナ素子611−1及び611−3上の高周波電流が制御線L1及び端子群BTに流れることを阻止するために、可変リアクタンス素子12−1に近接するように直流線路上に挿入されている。アンテナ素子611−1及び611−3の間の端子対に係る可変リアクタンス素子回路は以上のように構成される。
同様に、アンテナ素子611−2及び611−4の間の端子対に係る可変リアクタンス素子回路は次のように構成される。アンテナ素子611−2及び611−4上において、スルーホール導体712a及び714がそれぞれ設けられ、スルーホール導体712a及び714は、誘電体基板10の裏面において、並列接続された可変リアクタンス素子12−2と抵抗R0−2とを介して互いに接続される。可変リアクタンス素子12−2は、直列接続された抵抗R2と制御線L2とからなる直流線路を介して端子群BTのうちの端子B2に接続される。ここで、抵抗R2は、アンテナ素子611−2及び611−4上の高周波電流が制御線L2及び端子群BTに流れることを阻止するために、可変リアクタンス素子12−2に近接するように直流線路上に挿入されている。また、アンテナ素子611−3及び611−5の間の端子対に係る可変リアクタンス素子回路は次のように構成される。アンテナ素子611−3及び611−5上において、スルーホール導体713a及び715がそれぞれ設けられ、スルーホール導体713a及び715は、誘電体基板10の裏面において、並列接続された可変リアクタンス素子12−3と抵抗R0−3とを介して互いに接続される。可変リアクタンス素子12−3は、直列接続された抵抗R3aと制御線L3aと抵抗R3と制御線L3とからなる直流線路を介して端子群BTのうちの端子B3に接続される。図40に示されているように、直流線路の一部はアンテナ素子611−3及び611−1の長手方向に平行に設けられている。ここで、抵抗R3aは、アンテナ素子611−3及び611−5上の高周波電流が制御線L3aに流れることを阻止するために、可変リアクタンス素子12−3に近接するように直流線路上に挿入され、抵抗R3もまた、高周波電流が制御線L3及び端子群BTに流れることを阻止するために、可変リアクタンス素子12−1に近接するように直流線路上に挿入されている。さらに、アンテナ素子611−4及び611−6の間の端子対に係る可変リアクタンス素子回路は次のように構成される。アンテナ素子611−4及び611−6上において、スルーホール導体714a及び716がそれぞれ設けられ、スルーホール導体714a及び716は、誘電体基板10の裏面において、並列接続された可変リアクタンス素子12−4と抵抗R0−4とを介して互いに接続される。可変リアクタンス素子12−4は、直列接続された抵抗R4aと制御線L4aと抵抗R4と制御線L4とからなる直流線路を介して端子群BTのうちの端子B4に接続される。図40に示されているように、直流線路の一部はアンテナ素子611−4及び611−2の長手方向に平行に設けられている。ここで、抵抗R4aは、アンテナ素子611−4及び611−6上の高周波電流が制御線L4aに流れることを阻止するために、可変リアクタンス素子12−4に近接するように直流線路上に挿入され、抵抗R4もまた、高周波電流が制御線L4及び端子群BTに流れることを阻止するために、可変リアクタンス素子12−2に近接するように直流線路上に挿入されている。
ここで、図40右側の円内の拡大図を参照して、可変リアクタンス素子12−1の詳細構成について説明する。可変リアクタンス素子12−1は、逆直列接続された2つの可変容量ダイオードD1及びD2を備えて構成される。すなわち、可変リアクタンス素子12−1において、可変容量ダイオードD1及びD2のカソードは互いに接続され、可変容量ダイオードD1のアノードはスルーホール導体711aに接続され、可変容量ダイオードD2のアノードはスルーホール導体713に接続される。さらに、可変容量ダイオードD1及びD2のカソードは、抵抗R1と制御線L1とを介して端子B1に接続される。他の可変リアクタンス素子12−2乃至12−4についても同様に構成される。
また、アンテナ素子611−1上における給電線路606−1に近接した箇所に、誘電体基板10を貫通するようにスルーホール導体711が設けられ、また、アンテナ素子611−2上における給電線路606−2に近接した箇所に、誘電体基板10を貫通するようにスルーホール導体712が設けられ、誘電体基板10の裏面において、スルーホール導体711に抵抗R0−5の一端が接続され、スルーホール導体712に抵抗R0−6の一端が接続され、抵抗R0−5及びR0−6の各々の他端は、制御線L5を介して端子群BTのうちの端子B5に接続される。抵抗R0−5及びR0−6は、アンテナ素子611−1及び611−2上の高周波電流が制御線L5及び端子B5に流れることを阻止している。端子B5は接地され、これによって、アンテナ素子611−1及び611−2もまた接地される。さらに、各アンテナ素子611−1乃至611−6は抵抗R0−1乃至R0−4によって互いに接続されているので、アンテナ素子611−3乃至611−6もまた接地されている。
本実施形態のコリニアアレーアンテナ装置100Aでは、端子群BTのうちの端子B1乃至B4を介して可変リアクタンス素子12−1乃至12−4のリアクタンス値を制御することにより、第1の実施形態に係るコリニアアレーアンテナ装置100と同様に指向特性を変化させることができる。リアクタンス値の制御方法としては、図11乃至図38を参照して説明された第1乃至第9の実施例に係る適応制御方法のうちの任意のものを使用可能である。また、本実施形態のコリニアアレーアンテナ装置100Aでは、誘電体基板10の一方の面の上にアンテナ素子611−1乃至611−6を設け、誘電体基板10の他方の面の上にこれらのアンテナ素子611−1乃至611−6を制御するための可変リアクタンス素子回路を設けたことによって、単一の基板上に高周波線路と直流線路とを共存させることができる。
なお、上記誘電体基板10は、例えば、ガラスエポキシ樹脂、テフロン(登録商標)、又はアルミナセラミックなどから構成される。
本実施形態に係るコリニアアレーアンテナ装置100Aによれば、構造が簡単であって、各アンテナ素子を容易にかつ高精度で形成することができるコリニアアレーアンテナ装置を提供することができる。特に、誘電体基板10上にアンテナ素子611−1乃至611−6を形成しているので、プリント配線基板の形成技術で容易にアンテナ素子を形成することができ、製造工程がきわめて簡単になるという特有の利点を有する。
また、本実施形態のコリニアアレーアンテナ装置100Aは、図1のコリニアアレーアンテナ装置100を誘電体基板10上に構成したアンテナ装置として説明したが、図5乃至図10を参照して説明した第1の実施形態に対する第1乃至第6の変形例に係るアレーアンテナ装置を、プリント配線基板等の誘電体基板上に構成してもよい。
<第3の実施形態>
図41乃至図43は、本発明の第3の実施形態に係るユニット型コリニアアレーアンテナ装置の構成を示す正面図であり、図41(a)は、ユニット型コリニアアレーアンテナ装置を構成するためのアンテナ素子ユニットU1を示す正面図であり、図41(b)は、ユニット型コリニアアレーアンテナ装置を構成するための直流線路延長ユニットU2を示す正面図である。本実施形態では、アンテナ素子ユニットU1と直流線路延長ユニットU2とを組み合わせることにより、コリニアアレーアンテナ装置を構成することを特徴とする。
図41(a)を参照すると、アンテナ素子ユニットU1は、ストリップ形状のアンテナ素子611−1と、可変容量ダイオードD1及びD2と抵抗R0とからなる可変リアクタンス素子回路と、直列接続された抵抗R1及び制御線L1からなる直流線路と、これらを上に配置するための誘電体基板10Aとを備えて構成される。可変リアクタンス素子回路は、図40のコリニアアレーアンテナ装置100Aの場合と同様の回路構成を有し、可変容量ダイオードD1及びD2のカソードは互いに接続され、可変容量ダイオードD1のアノードは誘電体基板10Aの上端の端子T2に接続され、可変容量ダイオードD2のアノードはアンテナ素子611−1の一端に接続され、アンテナ素子611−1の他端は、誘電体基板10の下端の端子T1に接続される。可変容量ダイオードD1及びD2のアノードは、抵抗R0を介して互いに接続される。アンテナ素子ユニットU1における直流線路の一端は可変容量ダイオードD1及びD2のカソードに接続され、直流線路の他端は、誘電体基板10Aの下端の端子T3に接続される。アンテナ素子611−1及び制御線L1は、例えば、公知のプリント配線基板のプロセス技術を用いて形成する。以上のように構成されたアンテナ素子ユニットU1は、1/2波長の素子長を有するアンテナ素子として動作する。
図41(b)を参照すると、直流線路延長ユニットU2は、直列接続された抵抗R3と制御線L3とからなる直流線路と、これを上に配置するための誘電体基板10Bとを備えて構成される。抵抗R3の一端は、誘電体基板10B上における上端の端子T12に接続され、抵抗R3の他端は、制御線L3を介して、誘電体基板10Bにおける下端の端子T11に接続される。制御線L3は、公知のプリント配線基板のプロセス技術を用いて形成する。
本実施形態に係るユニット型コリニアアレーアンテナ装置は、複数のアンテナ素子ユニットU1と、少なくとも1つの直流線路延長ユニットU2とを備え、複数のアンテナ素子ユニットU1のうちの2つは、互いに隣接する2つのアンテナ素子611−1が可変リアクタンス素子回路を介して接続されるように互いに連結され、直流線路延長ユニットU2は、複数のアンテナ素子ユニットU1のうちの少なくとも1つにおける直流線路を延長するようにそのアンテナ素子ユニットU1に連結されることを特徴としている。
以下、図42及び図43を参照して、図41(a)のアンテナ素子ユニットU1と図41(b)の直流線路延長ユニットU2とを用いたユニット型コリニアアレーアンテナ装置の構成を説明する。ここでは、図示の簡単化のために、誘電体基板10A及び10Bを省略している。
図42は、2つのアンテナ素子ユニットU1及びU1−1と1つの直流線路延長ユニットU2とを備えて構成されるユニット型コリニアアレーアンテナ装置の構成を示す正面図である。第1のアンテナ素子ユニットU1の端子T2に、第2のアンテナ素子ユニットU1−1の端子T1が接続される。また、第2のアンテナ素子ユニットU1−1の端子T3に、直流線路延長ユニットU2の端子T12が接続される。このように構成されたユニット型コリニアアレーアンテナ装置は、第1のアンテナ素子ユニットU1の端子T1に無線信号を給電するとき、1/2波長の素子長をそれぞれ有する2つのアンテナ素子を備えたモノポールアンテナとして動作する。このユニット型コリニアアレーアンテナ装置では、第1のアンテナ素子ユニットU1の端子T3と直流線路延長ユニットU2の端子T11とに制御電圧を印加して、第1及び第2のアンテナ素子ユニットU1及びU1−1のそれぞれにおける可変容量ダイオードD1及びD2のリアクタンス値を制御することにより、当該アンテナ装置の指向特性を変化させることができる。
図43は、3つのアンテナ素子ユニットU1,U1−1及びU1−2と3つの直流線路延長ユニットU2,U2−1及びU2−2とを備えて構成されるユニット型コリニアアレーアンテナ装置の構成を示す正面図である。第1のアンテナ素子ユニットU1の端子T1には無線信号が給電されるとともに、この端子T1は抵抗R0−5を介して接地される。第1のアンテナ素子ユニットU1の端子T2には、第2のアンテナ素子ユニットU1−1の端子T1が接続され、第2のアンテナ素子ユニットU1−1の端子T2には、第3のアンテナ素子ユニットU1−2の端子T1が接続される。第3のアンテナ素子ユニットU1−2の端子T2には、さらにアンテナ素子611−1aが接続される。アンテナ素子611−1aは、例えば公知のプリント配線基板のプロセス技術を用いて誘電体基板上に形成されたストリップ形状のアンテナ素子であり、第3のアンテナ素子ユニットU1−2に接続されたとき、図示されたように1/4波長の素子長を有するアンテナ素子の一部として動作する。さらに、第2のアンテナ素子ユニットU1−1の端子T3には、第1の直流線路延長ユニットU2の端子T12が接続される一方、第3のアンテナ素子ユニットU1−2の端子T3には、第3の直流線路延長ユニットU2−2の端子T12が接続され、第3の直流線路延長ユニットU2−2の端子T11には、第2の直流線路延長ユニットU2−1の端子T12が接続される。また、第1のアンテナ素子ユニットU1の端子T3と、第1及び第2の直流線路延長ユニットU2及びU2−1の各端子T11とには、可変リアクタンス素子回路に制御電圧を印加するための直流電圧源がそれぞれ接続される。このように構成されたユニット型コリニアアレーアンテナ装置は、1/2波長の素子長をそれぞれ有する3つのアンテナ素子と1/4波長の素子長を有するアンテナ素子とを備えたモノポールアンテナとして動作する。このユニット型コリニアアレーアンテナ装置では、第1のアンテナ素子ユニットU1の端子T3と第1及び第2の直流線路延長ユニットU2及びU2−1の各端子T11とに制御電圧を印加して、第1、第2及び第3のアンテナ素子ユニットU1、U1−1及びU1−2のそれぞれにおける可変容量ダイオードD1及びD2のリアクタンス値を制御することにより、当該アンテナ装置の指向特性を変化させることができる。
本実施形態のユニット型コリニアアレーアンテナ装置では、アンテナ素子ユニットU1の直流線路及び/又は直流線路延長ユニットU2を介して可変容量ダイオードD1及びD2のリアクタンス値を制御することにより、第1の実施形態に係るコリニアアレーアンテナ装置100と同様に指向特性を変化させることができる。リアクタンス値の制御方法は、図11乃至図38を参照して説明された第1乃至第9の実施例に係る適応制御方法のうちの任意のものを使用可能である。また、本実施形態のユニット型コリニアアレーアンテナは、図1、図5、図7及び図8を参照して説明した第1の実施形態に対する変形例に係るアレーアンテナ装置と同様に構成してもよい。
以上説明した本実施形態のユニット型コリニアアレーアンテナ装置によれば、複数のアンテナ素子611−1と複数の可変リアクタンス素子回路とが交互に接続されるように複数のアンテナ素子ユニットU1を互いに連結し、複数のアンテナ素子ユニットU1のうちの少なくとも1つにおける直流線路を延長するようにそのアンテナ素子ユニットU1に少なくとも1つの直流線路延長ユニットU2を連結することによって、所望の構成のアンテナ装置を構成することができる。このとき、接続させるアンテナ素子ユニットU1及び直流線路延長ユニットU2の個数を変化させることによって、アンテナ装置の長さを容易に増減することができる。
以上の第3の実施形態において、アンテナ素子ユニットU1と、直流線路延長ユニットU2は、誘電体基板10A,10B上に形成されているが、本発明はこれに限らず、誘電体基板上に形成せず、各アンテナ素子611−1や制御線L1,L3をフレキシブルな被覆導線で構成し、それを連結してもよい。これら被覆導線を巻尺のように束ねておいて使用するときに直線形状に広げて使用してもよい。
(a)は本発明の第1の実施形態に係るコリニアアレーアンテナ装置100の構成を示す正面図であり、(b)は(a)のコリニアアレーアンテナ装置100のモデル回路を示す回路図である。 図1のコリニアアレーアンテナ装置100のシミュレーション結果であって、天頂仰角θ[度]に対する相対利得[dBi]を示す垂直面指向特性を示す図である。 図1のコリニアアレーアンテナ装置100のシミュレーション結果であって、天頂仰角θ[度]に対する相対利得[dBi]を示す主ビーム形成時の垂直面指向特性を示す図である。 図1のコリニアアレーアンテナ装置100のシミュレーション結果であって、天頂仰角θ[度]に対する相対利得[dBi]を示すヌル形成時の垂直面指向特性を示す図である。 本発明の第1の実施形態に対する第1の変形例に係るアレーアンテナ装置の構成を示す正面図である。 本発明の第1の実施形態に対する第2の変形例に係るアレーアンテナ装置の構成を示す正面図である。 本発明の第1の実施形態に対する第3の変形例に係るアレーアンテナ装置の構成を示す正面図である。 本発明の第1の実施形態に対する第4の変形例に係るアレーアンテナ装置の構成を示す正面図である。 本発明の第1の実施形態に対する第5の変形例に係るアレーアンテナ装置の構成を示す正面図である。 本発明の第1の実施形態に対する第6の変形例に係るアレーアンテナ装置の構成を示す正面図である。 本発明に係る第1の実施例の適応制御方法を用いたアレーアンテナの制御装置の構成を示すブロック図である。 図11の適応制御型コントローラ20によって発生されるランダムベクトルR(n)の範囲パラメータb(n)と分散σ(n)を示すグラフである。 (a)は図11のバイアス電圧ベクトルV(n)を摂動させるランダムベクトルR(n)の確率密度を示すグラフであり、(b)は上記摂動による目的関数値Jの変化を示すグラフである。 図11の適応制御型コントローラ20によって実行される、順次ランダム探索法による電子制御導波器アレーアンテナ装置の適応制御処理を示すフローチャートである。 図14のサブルーチンであるバイアス電圧ベクトルの初期値選択処理(ステップS2)を示すフローチャートである。 本発明に係る第2の実施例の適応制御方法を用いたアレーアンテナの制御装置の構成を示すブロック図である。 図16の適応制御型コントローラ20Aによって実行されるアレーアンテナ制御処理の第1の部分を示すフローチャートである。 図16の適応制御型コントローラ20Aによって実行されるアレーアンテナ制御処理の第2の部分を示すフローチャートである。 図16の適応制御型コントローラ20Aによって実行されるアレーアンテナ制御処理の第3の部分を示すフローチャートである。 本発明に係る第3の実施例の適応制御方法を用いたアレーアンテナの制御装置の構成を示すブロック図である。 図20の適応制御型コントローラ20Bによって実行される、第1の方法によるアレーアンテナの適応制御処理を示すフローチャートである。 図20の適応制御型コントローラ20Bによって実行される、第2の方法によるアレーアンテナの適応制御処理を示すフローチャートである。 図20の適応制御型コントローラ20Bによって実行される、第3の方法によるアレーアンテナの適応制御処理を示すフローチャートである。 図23のサブルーチンである最急勾配法による適応制御処理(S216)を示すフローチャートである。 図20の適応制御型コントローラ20Bによって実行される、アレーアンテナの適応制御処理時に評価関数値が収束するときのディジタル制御電圧Vに対する評価関数値fの変化の状況を示すものであって、方向転換の状況を示す図である。 図20の適応制御型コントローラ20Bによって実行される、アレーアンテナの適応制御処理時に評価関数値が収束するときのディジタル制御電圧Vに対する評価関数値fの変化の状況を示すものであって、再方向転換の状況を示す図である。 図20の適応制御型コントローラ20Bによって実行される、アレーアンテナの適応制御処理時に評価関数値が収束するときのディジタル制御電圧Vに対する評価関数値fの変化の状況を示すものであって、評価関数の変化の状況を示す図である。 従来技術である最急勾配法、第2の実施例に係る高次元二分法、及び第1の実施例に係る順次ランダム法と、第3の実施例に係る可変ステップ探索法の各適応制御法を比較した結果を示す図である。 本発明に係る第4の実施例の適応制御方法を用いたアレーアンテナの制御装置の構成を示すブロック図である。 本発明に係る第5の実施例の適応制御方法を用いたアレーアンテナの制御装置の構成を示すブロック図である。 図30の適応制御型コントローラ20Dによって実行される適応制御処理を示すフローチャートである。 本発明に係る第6の実施例の適応制御方法を用いたアレーアンテナの制御装置の構成を示すブロック図である。 図32の適応制御型コントローラ20Eによって実行される、最急勾配法による適応制御処理を示すフローチャートである。 本発明に係る第7の実施例の適応制御方法を用いたアレーアンテナの制御装置の構成を示すブロック図である。 図34のコリニアアレーアンテナ装置100によって受信される16QAM信号の信号点配置を示す図である。 図34の適応制御型コントローラ20Fによって実行される適応制御処理において用いるMARD法についての、電力比Rに対する評価値Qを示すグラフである。 本発明に係る第8の実施例の適応制御方法を用いたアレーアンテナの制御装置の構成を示すブロック図である。 本発明に係る第9の実施例の適応制御方法を用いたアレーアンテナの制御装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第2の実施形態に係るコリニアアレーアンテナ装置100Aの構成を示す正面図である。 図39のコリニアアレーアンテナ装置100Aの背面図である。 本発明の第3の実施形態に係るユニット型コリニアアレーアンテナ装置の構成を示す正面図であり、(a)は、ユニット型コリニアアレーアンテナ装置のアンテナ素子ユニットU1を示す正面図であり、(b)は、ユニット型コリニアアレーアンテナ装置の直流線路延長ユニットU2を示す正面図である。 図41の2つのアンテナ素子ユニットU1及びU1−1と1つの直流線路延長ユニットU2とを備えて構成されるユニット型コリニアアレーアンテナ装置の構成を示す正面図である。 図41の3つのアンテナ素子ユニットU1,U1−1及びU1−2と3つの直流線路延長ユニットU2,U2−1及びU2−2とを備えて構成されるユニット型コリニアアレーアンテナ装置の構成を示す正面図である。
符号の説明
1…低雑音増幅器(LNA)、
2…ダウンコンバータ、
3…A/D変換器、
4…復調器、
6…給電点、
7…無線送信機、
8…出力インピーダンス、
10,10A,10B…誘電体基板、
11−1乃至11−6,611−1乃至611−6…アンテナ素子、
12−1乃至12−6,512−1乃至512−6…可変リアクタンス素子、
P0乃至P4…ポート、
20,20A、20B,20C,20D,20E,20F,1120,1120A…適応制御型コントローラ、
21…学習シーケンス信号発生器、
22…バイアス電圧テーブルメモリ、
100,100A…コリニアアレーアンテナ装置、
111,112,121,122,131,132,141,142,151,152,161,162,171,172…アンテナ素子、
180乃至184…ループアンテナ素子、
301乃至304…連結素子、
606−1,606−2…給電線路、
711,711a、712,712a、713,713a、714,714a、715,715a,716,716a…スルーホール導体、
1101…低雑音増幅器(LNA)、
1102−1,1102−2…混合器、
1103…局部発振器、
1104…90度移相器、
1105−1,1105−2…A/D変換器、
1120,1120A…適応制御型コントローラ、
A200…励振素子、
A201乃至A206…非励振素子、
B1乃至B5,T1,T2,T11,T12…端子、
BT…端子群、
D1,D2…可変容量ダイオード、
L1,L2,L3,L3a,L4,L4a,L5…制御線、
PT…給電端子、
R0,R0−1乃至R0−6,R1,R2,R3,R3a,R4,R4a,R5…高周波阻止用抵抗、
U1,U1−1,U1−2…アンテナ素子ユニット、
U2,U2−1,U2−2…直流線路延長ユニット。

Claims (18)

  1. 無線信号を送受信するための励振素子と、
    上記励振素子から所定の間隔だけ離れて設けられた少なくとも1本の非励振素子と、
    上記励振素子と上記非励振素子との間に接続された可変リアクタンス素子とを備え、
    上記可変リアクタンス素子に設定するリアクタンス値を変化させることにより、上記非励振素子をそれぞれ導波器又は反射器として動作させ、アレーアンテナの指向特性を変化させることを特徴とするアレーアンテナ装置。
  2. 複数本の非励振素子を備え、
    上記複数本の非励振素子の少なくとも1対の間に可変リアクタンス素子を接続し、上記各可変リアクタンス素子に設定する各リアクタンス値を変化させることにより、上記各非励振素子をそれぞれ導波器又は反射器として動作させ、アレーアンテナの指向特性を変化させることを特徴とする請求項1記載のアレーアンテナ装置。
  3. 上記複数本の非励振素子の少なくとも1対の間を連結する連結素子をさらに備えたことを特徴とする請求項1又は2記載のアレーアンテナ装置。
  4. 上記励振素子と、上記複数本の非励振素子とを1直線上に並置することによりコリニアアレーアンテナを構成したことを特徴とする請求項2記載のアレーアンテナ装置。
  5. 請求項4記載のアレーアンテナ装置を励振素子装置として用い、
    上記励振素子装置から所定の間隔だけ離れて設けられた少なくとも1本の非励振素子と、
    上記各非励振素子のうちの所定数の非励振素子に接続された可変リアクタンス素子とを備え、
    上記各可変リアクタンス素子に設定する各リアクタンス値を変化させることにより、上記各非励振素子をそれぞれ導波器又は反射器として動作させ、アレーアンテナの指向特性を変化させることを特徴とするアレーアンテナ装置。
  6. 上記励振素子と、上記非励振素子は誘電体基板の第1の面上に形成され、
    上記可変リアクタンス素子と、上記可変リアクタンス素子を制御する制御信号を伝送する線路は上記誘電体基板の第2の面上に形成されたことを特徴とする請求項1乃至5のうちのいずれか1つに記載のアレーアンテナ装置。
  7. 複数のアンテナ素子ユニットと、少なくとも1つの延長ユニットとを備え、
    上記各アンテナ素子ユニットは、アンテナ素子と、上記アンテナ素子の一端に接続された可変リアクタンス素子と、上記可変リアクタンス素子を制御する制御信号を伝送する線路とを備え、
    上記延長ユニットは上記アンテナ素子ユニット上の線路を延長するための延長線路を備え、
    上記複数のアンテナ素子ユニットのうちの互いに隣接する2つのアンテナ素子ユニットは、互いに隣接するアンテナ素子が可変リアクタンス素子を介して接続されるように連結され、
    上記延長ユニットは、上記複数のアンテナ素子ユニットのうちの少なくとも1つにおける上記線路を延長するように上記少なくとも1つのアンテナ素子ユニットに連結されることを特徴とする請求項1、2又は4記載のアレーアンテナ装置。
  8. 請求項1乃至7のうちのいずれか1つに記載のアレーアンテナ装置を制御するためのアレーアンテナの制御方法であって、
    上記各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を所定の初期値からランダムに摂動して設定したときに、相手先の送信機から送信される無線信号に含まれる学習シーケンス信号を上記アレーアンテナにより受信したときの受信信号と、上記学習シーケンス信号と同一の信号パターンを有して発生された学習シーケンス信号との間の摂動前後の所定の相互相関係数を演算し、摂動前後の相互相関係数が増大するときに対応するリアクタンス値を選択して設定した後、上記選択された各可変リアクタンス素子のリアクタンス値から上記ランダムに摂動して設定することを繰り返すステップを含むことを特徴とするアレーアンテナの制御方法。
  9. 請求項1乃至7のうちのいずれか1つに記載のアレーアンテナ装置を制御するためのアレーアンテナの制御方法であって、
    上記各可変リアクタンス素子が採り得るリアクタンス値の範囲を分割し、その分割後の各範囲の代表値をそれぞれ上記各可変リアクタンス素子に設定したときに、相手先の送信機から送信される無線信号に含まれる学習シーケンス信号を上記アレーアンテナにより受信したときの受信信号と、上記学習シーケンス信号と同一の信号パターンを有して発生された学習シーケンス信号との間の所定の相互相関係数を演算し、上記分割後の各範囲の代表値に対応する2つの相互相関係数のうち大きい相互相関係数に対応する上記各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を初期値として選択して設定する第1のステップと、
    上記選択されたリアクタンス値に属する範囲を分割し、その分割後の各範囲の代表値をそれぞれ上記各可変リアクタンス素子に設定したときに上記相互相関係数を演算し、上記分割後の各範囲の代表値に対応する2つの相互相関係数のうち大きい相互相関係数に対応する上記各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を選択して設定する第2のステップとを含み、
    上記アレーアンテナの主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるように制御することを特徴とするアレーアンテナの制御方法。
  10. 請求項1乃至7のうちのいずれか1つに記載のアレーアンテナ装置を制御するためのアレーアンテナの制御方法であって、
    上記各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を順次所定のステップ幅だけ摂動させ、各リアクタンス値に対して所定の評価関数値を計算し、各可変リアクタンス素子に対して、摂動前後で上記計算された評価関数値が改善するときは上記リアクタンス値を摂動後の値に設定する一方、摂動前後で上記計算された評価関数値が改善しないときは上記リアクタンス値を摂動前の値に設定し、上記評価関数値が改善しなかった可変リアクタンス素子のリアクタンス値に対する、次の反復の処理のステップ幅を減少させかつ当該ステップ幅の符号を逆にする処理を反復して実行するように制御することにより、上記アレーアンテナの主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるための各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を計算して設定する制御ステップを含むことを特徴とするアレーアンテナの制御方法。
  11. 請求項1乃至7のうちのいずれか1つに記載のアレーアンテナ装置を制御するためのアレーアンテナの制御方法であって、
    上記各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を順次所定の差分幅ΔXだけ摂動させ、各リアクタンス値に対して所定の評価関数値を計算し、上記計算された評価関数値に基づいて、ステップ幅μを有する最急勾配法を用いて、当該評価関数値が最大又は最小となるように各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を反復して計算することにより、上記アレーアンテナの主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるための各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を計算して設定するときに、上記差分幅ΔXと上記ステップ幅μを、所定の減少関数を用いて上記評価関数値f又は上記評価関数値fから計算される信号対干渉雑音電力比SINRに依存して減少するように制御することを特徴とするアレーアンテナの制御方法。
  12. 請求項1乃至7のうちのいずれか1つに記載のアレーアンテナ装置を制御するためのアレーアンテナの制御方法であって、
    上記受信された無線信号に基づいて所定の評価関数値を計算し、上記計算された評価関数値に基づいて、所定のマルカート数を有するマルカート法を用いて上記各可変リアクタンス素子の差分リアクタンス値を計算し、上記各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を順次所定の差分リアクタンス値だけ摂動させることを繰り返すことにより、当該評価関数値が最大又は最小となるように、上記アレーアンテナの主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるための各可変リアクタンス素子のリアクタンス値の最適解を計算して設定することを特徴とするアレーアンテナの制御方法。
  13. 請求項1乃至7のうちのいずれか1つに記載のアレーアンテナ装置を制御するためのアレーアンテナの制御方法であって、
    上記励振素子によって受信された受信信号に基づいて、非線形計画法における反復的な数値解法を用いて、上記受信信号のみで表された目的関数の値が最大又は最小となるように、上記アレーアンテナの主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるための可変リアクタンス素子のリアクタンス値を計算して設定するステップを含むことを特徴とするアレーアンテナの制御方法。
  14. 上記目的関数は、所定の期間における、上記受信信号の絶対値の時間平均値の二乗値を、上記受信信号の絶対値の二乗値の時間平均値で除算した関数であることを特徴とする請求項13記載のアレーアンテナの制御方法。
  15. 上記目的関数は、所定の期間における、上記受信信号の絶対値の時間平均値の二乗値を、上記受信信号の絶対値の二乗値の時間平均値で除算した関数であることを特徴とする請求項13記載のアレーアンテナの制御方法。
  16. 請求項1乃至7のうちのいずれか1つに記載のアレーアンテナ装置を制御するためのアレーアンテナの制御方法であって、
    上記送信された無線信号はディジタル振幅変調を含む変調方法で変調され、上記無線信号の互いに異なる2つの信号点の電力値のうち大きい電力値を小さい電力値で除算した商の値を電力比Rとしたとき、上記無線信号は上記ディジタル振幅変調の複数の信号点においてそれぞれ所定の離散電力比R1,R2,…,Rmaxを有し、
    上記励振素子によって受信された受信信号に基づいて、所定の期間において上記受信信号の互いに異なる組み合わせの各2つの信号点の電力値についてそれぞれ上記電力比Rを計算し、上記計算された各電力比Rから上記離散電力比R1,R2,…,Rmaxをそれぞれ減算した値の絶対値のうちの最小値を目的関数値として計算し、上記目的関数値が実質的に最小又は最大となるように、上記アレーアンテナの主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるための可変リアクタンス素子のリアクタンス値を計算して設定するステップを含むことを特徴とするアレーアンテナの制御方法。
  17. 上記目的関数値は、上記期間において上記受信信号の互いに異なる組み合わせの各2つの信号点の電力値についてそれぞれ上記電力比Rを計算し、上記計算された各電力比Rから上記離散電力比R1,R2,…,Rmaxをそれぞれ減算した値の絶対値のうちの最小値の時間平均値又はアンサンブル平均値であることを特徴とする請求項16記載のアレーアンテナの制御方法。
  18. 請求項1乃至7のうちのいずれか1つに記載のアレーアンテナ装置を制御するためのアレーアンテナの制御方法であって、
    上記送信された無線信号はm相PSK変調され(ここで、mは2以上の整数である。)、上記励振素子によって受信された受信信号に基づいて、非線形計画法における反復的な数値解法を用いて、上記受信信号のm乗を用いて表された規範関数の値が最大又は最小となるように、上記アレーアンテナの主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるための可変リアクタンス素子のリアクタンス値を計算して設定するステップを含むことを特徴とするアレーアンテナの制御方法。
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