JP4682705B2 - アンテナ装置 - Google Patents
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Description
本発明のアンテナ装置は、容易かつ的確な指向性制御や周波数制御が望まれる移動体通信などに用いられる略平面構造のアンテナに大いに有用なものである。
また、給電素子や無給電素子を形成する複数のループ配線を互いにオーバーラップさせて複層構造に配置するアンテナとしては、下記の特許文献2(本願の図9)に記載されているものが公知である。
しかしながら、ダイポール素子から構成される従来の平面構造のエスパアンテナでは、無給電素子の数を3本以上にすると、給電素子と無給電素子と間における結合が急激に弱まってしまうため、自由度の高い指向性を得ることは困難となる。また、これらの従来の平面構造のエスパアンテナでは、無給電素子の数を2本以下にすると、指向性制御の自由度が小さくなってしまうと言う問題が生じる。
そのほか、パッチアンテナで構成される平面構造のエスパアンテナの場合には、平面上に無給電素子を多数配置することができるが、しかしながら、給電素子と無給電素子との結合が弱くなってしまうと言う問題がある。
また、本発明の他の目的は、アレーアンテナの分解能を高めることである。
即ち、本発明の第1の手段は、2点1組の給電点から成る給電部を備えて1つの基準平面上に配置された1つの主のループ配線と、この主のループ配線と平行または同一平面上に配置された、給電点を備えない少なくとも1つの従のループ配線とを有するアンテナ装置において、各前記ループ配線は、平行配置においては、その平行配置により、それぞれ互いに交点及び接点を持たず、同一平面上の配置においては、交差部でのブリッジにより、それぞれ互いに交点及び接点を持たず、従のループ配線に囲まれた平面領域の中心点を、上記の主のループ配線に囲まれた平面領域の中心点を通る、上記の基準平面に垂直な1つの垂直断面上に配置し、任意の1つのループ配線によって囲まれる平面領域を、上記の基準平面の法線方向から見たときに、隣り合う他のループ配線によって囲まれる他の平面領域と部分的に重なる様に配置し、上記の従のループ配線には、垂直断面上の2箇所にそれぞれ可変リアクタンス素子を設け、主のループ配線には、垂直断面上の1箇所に可変リアクタンス素子を設け、かつ、垂直断面上の他の1箇所に給電部を設けることである。
また、上記の各ループ配線のループ形状は任意でよく、例えば円形、楕円形、正方形、長方形、正多角形、または適当な多角形などの、閉じた任意のループ形状を用いることができる。ただし、上記の給電部においては若干ループが開いていなくてはならないことは言うまでもない。
また、上記の従のループ配線の数は、2ループまたは3ループ以上であることが望ましいが、しかし、従のループ配線を1ループだけ形成した場合においても、後述の本発明の作用・効果を得ることができる。
また、上記の各可変リアクタンス素子は、何れも上記の垂直断面上に正確に配置されることが望ましいが、厳密には必ずしも正確にこの垂直断面上に配置しなくても良く、若干上記の垂直断面から外れていても特段差し支えない。
以下、本発明のより望ましい実施要件について説明する。
以上の本発明の手段により、前記の課題を効果的、或いは合理的に解決することができる。
即ち、本発明の第1の手段によれば、ループ配線によって囲まれた面積を貫く磁束を共有することによって、隣り合う各ループ配線の間に高い結合(カップリング)を生成する事ができるので、本発明の第1の手段によれば、平面構造でありながら、パターン形成能力や制御能力の高い指向性アンテナ装置を実現することができる。
言い換えれば、本発明の第1の手段によると、上記の各ループ配線の数の2倍の本数の互いに平行なダイポールアンテナを備えたアンテナと略等価な略平面構造のアンテナ装置を構成することができるため、本発明の第1の手段を用いれば、制御や解析の容易な指向性アンテナ装置を実現することができる。
また、本発明の第1の手段によれば、放射源が並ぶ上記の1列の方向に長い長方形の領域内にアンテナ装置を配設することができるので、例えば車両のフロントガラスなどの様なアンテナの配設に関する制約が非常に強い場所にも、アンテナを人の視界の邪魔にならない範囲内に良好に配置することができる。
ただし、本発明の実施形態は、以下に示す個々の実施例に限定されるものではない。
本発明の主のループ配線である上記の給電素子A11は、本図1のyz平面に平行な基準平面Σ0 上に配置されている。また、本発明の従のループ配線に相当する上記の無給電素子P11a及び無給電素子P11bは、この基準平面Σ0 に平行な平面Σ2 上にそれぞれ配置されている。ここで符号d2は、これらの基準平面Σ0 と平面Σ2 との距離を示している。
図1の符号d1aは、無給電素子P11aの中心点Ca から主のループ配線の中心点C0 までの距離を示している。また同様に、符号d1bは、無給電素子P11bの中心点Cb の中心点C0 までの距離を示している。より詳しく言えば、給電素子A11に対して、それぞれの従のループ配線(無給電素子P11aおよび無給電素子P11b)は、所定の基準となる1波長λに対して、y軸方向においてはd1a=d1b=λ/4となる様に配置されており、かつ、z軸方向においてはd2=0.0064λとなる様に基準平面Σ0 から離して設置されている。
これらの構成により、各ループ配線における各リアクタンスの作用をも加味した各ループの実効長は、各リアクタンス素子X1〜X5の各リアクタンス値の可変制御に基づいて、何れも本アンテナ100が取り扱う目的の電磁波の1波長に一致する様に可変制御することができる。
また、以上の実施形態においては給電素子A11、無給電素子P11a、P11bを多層構造としたが、それぞれの素子が交点を持たなければよく、同一平面で構成し、例えばブリッジをつかって交点を持たないように構成してもよい。
線路長が1波長λであるループアンテナA11は、近似的に給電部F0および可変リアクタンス素子X1を設置している位置に微小ダイポールアンテナが存在するとみなすことができる。同様に、無給電素子P11aおよびP11bにおいても、可変リアクタンス素子X2及至X5を設置している位置を微小ダイポールアンテナが存在するとみなすことができる。このためアンテナ100は6素子微小ダイポールアレイとして、従来のエスパアンテナの理論を適用することができる。
また、比較のため各線路長がそれぞれ半波長(:λ/2)のダイポールを用いて、従来の平面構造のエスパアンテナ(図2のアンテナ200、図3のアンテナ300、及び図4のアンテナ400)を構成した。そして、それらの各リアクタンス素子間の結合量も同時にこの表1に示した。
また、図3のアンテナ300では、上記のアンテナ100と開口長、即ちy軸方向の全長を同じ長さ(約1波長)にして、長さ半波長の5本のダイポールを等間隔で、同一平面上に配置した。また、このとき、該アンテナ300の給電部は中央のダイポールの中央に設けた。更に、図4のアンテナ400では、上記のアンテナ300の構成に対して、各リアクタンス素子を等間隔にしたまま、開口長をλ/5に短縮した。
本発明の実施形態は、上記の形態に限定されるものではなく、その他にも以下に例示される様な変形を行っても良い。この様な変形や応用によっても、本発明の作用に基づいて本発明の効果を得ることができる。
例えば、上記の実施例1では、図1の垂直断面Σ1 によって切断されるA−A′断面の断面図に示す様に、従のループ配線の前方即ちx軸座標が大きくなる方に、主のループ配線をオーバーラップさせて重ねる配置としたが、各配置面(Σ0 とΣ2 )の前後関係は任意で良い。
また、ループ配線を備えたこれらの配置面は、より一般には3層以上の多層構造にしても良い。
また、図1の各長さd1a,d1b,rの大小関係は任意に変更してもよい。したがって、上記の実施例1ではr(=λ/2π)<d1a=d1bとなる様に設定したが、例えばd1a<r<d1b(非対称)としたり、或いはd1a≦d1b<rなどとしたりしても良い。例えば、この後者の配置に従えば、基準平面Σ0 の法線方向から各ループ配線を見た時に、3つのループ配線が重なる領域が形成されるので、各ループ配線A11,P11a,P11bの何れをも同時に貫く磁束を生成することができる。そして、この場合には、各ループ配線を互いに強く結合させることができる。
また、上記の各ループ配線のループ形状は任意でよく、例えば円形、楕円形、正方形、長方形、正多角形、または多角形などの、閉じた任意のループ形状を用いることができる。また、これらのループ形状は、互いに合同でなくても、また互いに相似でなくても良く、大きさや形状を任意に組み合わせることができる。
各ループ配線の線路長(ループ長)は、その実効長が問題であり、それらの実効長は個々の可変リアクタンス素子が有するリアクタンス値を各々適当に制御することによって各ループ配線毎に個別に最適化(可変制御)することができる。
このアンテナ500の各ループ配線は何れも長方形になっているが、ループ長は所定の基準となる1波長λに統一されている。例えば、この様に、各ループ配線の形状は、合同でなくても良く、また必ずしも相似である必要もない。そして、この様な構成によっても、本発明の手段に基づいて、本発明の作用・効果を得ることができる。
ただし、その他の部位やその他の移動体に用いても良いし、移動体と交信する固定局などに用いても良い。
A11 : 給電部を有するループ配線(主のループ配線)
P11a、P11b : 無給電のループ配線(従のループ配線)
F0 : 給電部
Xn : 可変リアクタンス素子(nは整数)
Σ0 : 主のループ配線が配置された基準平面
Σ1 : 主のループ配線の中心を通る垂直断面
Σ2 : 従のループ配線が配置された平面
d1a,d1b: 近接するループ配線の中心のy軸方向における間隔
d2 : 基準平面Σ0 と平面Σ2 との距離
Nn : 各アンテナのポート番号(nは整数)
λ : 取り扱う電磁波の波長
Claims (5)
- 2点1組の給電点から成る給電部を備えて1つの基準平面上に配置された1つの主のループ配線と、前記主のループ配線と平行または同一平面上に配置された、給電点を備えない少なくとも1つの従のループ配線とを有するアンテナ装置であって、
各前記ループ配線は、平行配置においては、その平行配置により、それぞれ互いに交点及び接点を持たず、同一平面上の配置においては、ブリッジにより、それぞれ互いに交点及び接点を持たず、
前記従のループ配線に囲まれた平面領域の中心点は、
前記主のループ配線に囲まれた平面領域の中心点を通る、前記基準平面に垂直な1つの垂直断面上に位置しており、
任意の1つの前記ループ配線によって囲まれる平面領域は、
前記基準平面の法線方向から見たときに、隣り合う他の前記ループ配線によって囲まれる他の平面領域と部分的に重なって見え、
前記従のループ配線は、
前記垂直断面上の2箇所にそれぞれ可変リアクタンス素子を有し、
前記主のループ配線は、
前記垂直断面上の1箇所に可変リアクタンス素子を有し、
前記垂直断面上の他の1箇所に前記給電部を有する
ことを特徴とするアンテナ装置。 - 前記主のループ配線の線路長および前記従のループ配線の線路長は、
取り扱う電磁波の波長に一致している
ことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。 - 前記可変リアクタンス素子は、
集中定数素子で構成されている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアンテナ装置。 - 前記主のループ配線及び前記従のループ配線は、
それぞれプリント基板上に形成されている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のアンテナ装置。 - 前記主のループ配線及び前記従のループ配線は、
それぞれ透明フィルム上に形成されている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のアンテナ装置。
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