JP3769243B2 - アレーアンテナ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数のアンテナ素子からなるアレーアンテナ装置の指向特性を変化させることができるアレーアンテナ装置に関し、特に、電子制御導波器アレーアンテナ装置(Electronically Steerable Passive Array Radiator (ESPAR) Antenna;以下、エスパアンテナという。)に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来技術のエスパアンテナは、例えば、従来技術文献1「T. Ohira et al., "Electronically steerable passive array radiator antennas for low-cost analog adaptive beamforming," 2000 IEEE International Conference on Phased Array System & Technology pp. 101-104, Dana point, California, May 21-25, 2000」や特開2001−24431号公報において提案されている。このエスパアンテナは、無線信号が給電される励振素子と、この励振素子から所定の間隔だけ離れて設けられ、無線信号が給電されない少なくとも1個の非励振素子と、この非励振素子に接続された可変リアクタンス素子とから成るアレーアンテナを備え、上記可変リアクタンス素子のリアクタンス値を変化させることにより、上記アレーアンテナの指向特性を変化させることができる。
【0003】
このエスパアンテナを受信側で適応制御する方法として、一般的に、以下の方法が用いられている。すなわち、送信側で各無線パケットデータの先頭部分に学習シーケンス信号を予め含ませておき、当該学習シーケンス信号と同一の信号を受信側でも発生させ、受信側において、受信された学習シーケンス信号と、上記発生された学習シーケンス信号との相互相関が最大となることを規範として、上記可変リアクタンス素子のリアクタンス値を変化させてその指向特性を変化させる。これにより、エスパアンテナの指向性を最適パターンとし、すなわち所望波の方向に主ビームを向けかつ干渉波の方向にヌルを形成するパターンとなる。
【0004】
このエスパアンテナ装置において、可変リアクタンス素子は安価な可変容量ダイオード等により構成でき、移相器等を必要とせず、1つの給電系で構成できるため、小型、軽量、低コスト、低消費電力のアダプティブアンテナを実現可能となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、エスパアンテナ装置などの可変指向性アンテナではビーム幅が比較的広く、利得も比較的低いという問題点があった。
【0006】
本発明の目的は以上の問題点を解決し、エスパアンテナ装置などのアレーアンテナ装置において、従来技術に比較して狭いビーム幅を有し、かつ高い利得を有するアレーアンテナ装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るアレーアンテナ装置は、無線信号を送受信するための励振素子と、
上記励振素子から所定の第1の間隔だけ離れて設けられた複数N1個のリアクタンス制御型非励振素子と、
上記励振素子から、上記第1の間隔より長い第2の間隔だけ離れて設けられた、上記複数N1の2倍以上の数であるN2個の固体導波器素子と、
上記複数のリアクタンス制御型非励振素子にそれぞれ接続された複数の可変リアクタンス素子と、
上記各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を変化させることにより、上記複数N1のリアクタンス制御型非励振素子をそれぞれ導波器又は反射器として動作させ、かつアレーアンテナの指向特性を変化させる制御手段とを備え、
上記N2個の固体導波器素子をそれぞれ導波器として動作させることを特徴とする。
【0008】
上記アレーアンテナ装置において、N2はN1の2倍であり、上記N1個のリアクタンス制御型非励振素子は互いに等しい第1の角度間隔の位置に設けられ、上記N2個の固体導波器素子は互いに等しい第2の角度間隔の位置に設けられ、上記N2個の固体導波器素子のうちのN1個の固体導波器素子は、上記励振素子から上記各リアクタンス制御型非励振素子への放射方向に延在する位置に設けられたことを特徴とする。とって代わって、上記アレーアンテナ装置において、N2はN1の2倍であり、上記N1個のリアクタンス制御型非励振素子は互いに等しい第1の角度間隔の位置に設けられ、上記N2個の固体導波器素子は互いに等しい第2の角度間隔の位置であって、上記励振素子から上記各リアクタンス制御型非励振素子への放射方向に延在する位置とは異なる位置に設けられたことを特徴とする。
【0009】
またさらに、上記アレーアンテナ装置において、上記N2個の固体導波器素子は、好ましくは、互いに等しい第2の角度間隔でありかつ4分の1波長以下の長さ間隔の位置に設けられたことを特徴とする。
【0010】
またさらに、上記アレーアンテナ装置において、上記制御手段は、上記励振素子によって受信された受信信号に基づいて、非線形計画法における反復的な数値解法を用いて、所定の目的関数が実質的に最大又は最小となるように、上記アレーアンテナの主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるための各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を計算して設定することを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態について説明する。
【0012】
図1は本発明に係る実施形態であるアレーアンテナ装置100の構成を示すブロック図である。この実施形態のアレーアンテナ装置100(詳細後述するように、タイプCという。)は、図1に示すように、1つの励振素子A0と、可変リアクタンス素子12−1乃至12−6がそれぞれ装荷された6個の第1の非励振素子A1乃至A6と、6個の非励振素子A1乃至A6の外側に配置された12個の第2の非励振素子A7乃至A18と、接地導体11とを備えて構成され、さらに、適応制御型コントローラ20と、学習シーケンス信号発生器21とが設けられ、ここで特に、12個の第2の非励振素子A7乃至A18を備えたことを特徴としている。
【0013】
ここで、適応制御型コントローラ20は、例えばコンピュータなどのディジタル計算機で構成され、受信時において、復調器4による無線通信を開始する前に、相手先の送信機から送信される無線信号に含まれる学習シーケンス信号を上記アレーアンテナ装置100の励振素子A0により受信したときの受信信号y(t)と、上記学習シーケンス信号と同一の信号パターンを有して学習シーケンス信号発生器21で発生された学習シーケンス信号r(t)とに基づいて、最急勾配法による適応制御処理を実行することにより上記アレーアンテナ装置100の主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるための、各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6に印加されるバイアス電圧値V(m=1,2,…,6)を探索して制御電圧信号を用いて設定する。具体的には、適応制御型コントローラ20は、各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6のリアクタンス値を、順次所定の差分幅だけ摂動させ、各リアクタンス値に対して所定の評価関数値(例えば、詳細後述する受信信号y(t)と、学習学習シーケンス信号r(t)との間の相互相関係数ρである。)を計算し、上記計算された評価関数値に基づいて、最急勾配法を用いて、当該評価関数値が最大となるように、各リアクタンス値を反復して計算することにより、当該アレーアンテナ装置100の主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるための各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6のリアクタンス値を計算して設定するように制御する。これにより、当該評価関数値が実質的に最大となるように、上記アレーアンテナ装置100の主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるための各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6のバイアス電圧値Vを探索し、探索の結果発見された各バイアス電圧値Vmを有する制御電圧信号を各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6に出力して設定する。
【0014】
図1において、アレーアンテナ装置100は、接地導体11上に設けられた励振素子A0、第1の非励振素子A1乃至A6及び第2の非励振素子A7乃至A18から構成され、励振素子A0は、半径r1の円周上に設けられた6本の非励振素子A1乃至A6、並びに、半径r2(>r1)の円周上に設けられた12本の非励振素子A7乃至A18によって囲まれるように配置されている。好ましくは、各第1の非励振素子A1乃至A6は上記半径r1の円周上に互いに60度の等角度間隔を保って設けられ、また、各第2の非励振素子A7乃至A18は上記半径r2の円周上に互いに30度の等角度間隔を保って設けられ、ここで、以下のような配置関係となっている。
(1)励振素子A0、非励振素子A1,A7,A4,A13が1つの直線上に配置されている。
(2)励振素子A0、非励振素子A2,A9,A5,A15が1つの直線上に配置されている。
(3)励振素子A0、非励振素子A3,A11,A6,A17が1つの直線上に配置されている。
【0015】
なお、非励振素子A1乃至A6に接続される可変リアクタンス回路12−1乃至12−6は、図1においては、図示の便宜上、非励振素子A1乃至A6の横側に図示しているが、素子がダイポールの場合に実際上は、図4に示すように、1対のアンテナ素子13a,13bの間に挿入されている。
【0016】
ここで、各励振素子A0及び第1の非励振素子A1乃至A6は、図2に示すように、例えば、所望波の波長λに対して約1/2の長さのダイポール素子になるように構成され、第2の非励振素子A7乃至A18は、所望波の波長λに対して約1/2の長さの導波器素子になるように構成され、また、上記半径r1はλ/4になり、上記半径r2はλ/2になるように構成される。励振素子A0の給電点は、平衡−不平衡変換器(バラン)6及び給電用同軸ケーブル5を介して低雑音増幅器(LNA)1に接続される。
【0017】
また、各第1の非励振素子An(n=1,2,…,6)はそれぞれ、図4に示すように、1対のアンテナ素子13a,13bにてなるダイポール素子からなり、当該各アンテナ素子13a,13bの互いに対向する各端部に、1対の可変容量ダイオード14a,14bが互いに逆方向に接続されてなる可変リアクタンス回路12−nが接続される。すなわち、アンテナ素子13aの一端は、可変容量ダイオード14aのカソードに接続され、そのアノードは可変容量ダイオード14bのアノードに接続される。また、可変容量ダイオード14bのカソードはアンテナ素子13bの一端に接続される。さらに、アンテナ素子13aの一端は抵抗15a及び抵抗15bを介してアンテナ素子13bの一端に接続され、ここで、2つの抵抗15a,15bの接続点は適応制御型コントローラ20の正の制御電圧信号Vc+に接続される。一方、2つの可変容量ダイオード14a,14bの接続点は抵抗15cを介して適応制御型コントローラ20の負の制御電圧信号Vc−に接続される。従って、これら可変リアクタンス回路12−1乃至12−6は、適応制御型コントローラ20からの制御電圧信号を設定されることによって、そのリアクタンス値を変化させる。
【0018】
図3は、図1のアレーアンテナ装置100におけるA−A’線についての縦断面図である。励振素子A0は、1対のアンテナ素子が平衡−不平衡変換器(バラン)6を介して接続された、素子長Lのダイポール素子を構成しており、当該平衡−不平衡変換器(バラン)6において接地導体11と電気的に絶縁されかつ支持される。また、各第1の非励振素子A1乃至A6は、1対のアンテナ素子が可変リアクタンス回路12−1乃至12−6を介して接続された、素子長Lのダイポール素子を構成しており、当該可変リアクタンス回路12−1乃至12−6において接地導体11と電気的に絶縁されかつ支持される。さらに、各第2の非励振素子A7乃至A18は、半波長よりも短い素子長L(<L)を有する導波器素子を構成しており、その中央部において接地導体11と電気的に絶縁されかつ支持される。
【0019】
ここで、可変リアクタンス回路12−1乃至12−6の動作を説明すると、例えば励振素子A0と第1の非励振素子A1乃至A6の長手方向の長さLが互いに実質的に同一であるとき、例えば、可変リアクタンス回路12−1がインダクタンス性(L性)を有するときは、可変リアクタンス回路12−1は延長コイルとなり、第1の非励振素子A1乃至A6の電気長が励振素子A0に比較して長くなり、反射器として働く。一方、例えば、可変リアクタンス回路12−1がキャパシタンス性(C性)を有するときは、可変リアクタンス回路12−1は短縮コンデンサとなり、第1の非励振素子A1の電気長が励振素子A0に比較して短くなり、導波器として働く。また、他の可変リアクタンス素子12−2乃至12−6に接続された第1の非励振素子A2乃至A6についても同様に動作する。さらに、各第2の非励振素子A7乃至A18は、励振素子A0及び第1の非励振素子A1乃至A6よりも短いので導波器素子として働く。
【0020】
従って、図1のアレーアンテナ装置100において、各非励振素子A1乃至A6に接続された可変リアクタンス回路12−1乃至12−6に印加するバイアス電圧値を変化させて、その接合容量値であるリアクタンス値を変化させることにより、アレーアンテナ装置100の水平面指向性特性を変化させることができる。
【0021】
図1において、アレーアンテナ装置100の励振素子A0は無線信号を受信し、上記受信された信号は、平衡−不平衡変換器(バラン)6、及び給電用同軸ケーブル5を介して低雑音増幅器(LNA)1に入力されて増幅され、次いで、ダウンコンバータ(D/C)2は増幅された信号を所定の中間周波数の信号(IF信号)に低域変換する。さらに、A/D変換器3は低域変換されたアナログ信号をディジタル信号にA/D変換し、そのディジタル信号を適応制御型コントローラ20及び復調器4に出力する。次いで、適応制御型コントローラ20は、入力される受信信号y(t)と学習シーケンス信号r(t)とに基づいて、各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6のリアクタンス値のリアクタンス値を、順次所定の差分幅だけ摂動させ、各リアクタンス値に対して所定の評価関数値(例えば、受信信号y(t)と学習シーケンス信号r(t)との間の相互相関係数ρ)を計算し、上記計算された評価関数値に基づいて、最急勾配法を用いて、当該評価関数値が実質的に最大となるように、各リアクタンス値を反復して計算することにより、当該アレーアンテナ装置100の主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるための各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6のリアクタンス値を計算して設定するように制御する。これにより、当該評価関数値が実質的に最大となるように、上記アレーアンテナ装置100の主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるための各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6のバイアス電圧値Vを探索し、探索の結果発見された各バイアス電圧値Vmを有する制御電圧信号を各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6に出力して設定することができる。
【0022】
アレーアンテナ100で受信される無線信号を送信する送信局は、学習シーケンス信号発生器21で発生される所定の学習シーケンス信号と同一の信号パターンを有する学習シーケンス信号を含む所定のシンボルレートのディジタルデータ信号に従って、無線周波数の搬送波信号を、例えばBPSK、QPSKなどのディジタル変調法を用いて変調し、当該変調信号を電力増幅して受信局のアレーアンテナ装置100に向けて送信する。本実施形態においては、データ通信を行う前に、送信局から受信局に向けて学習シーケンス信号を含む無線信号が送信され、受信局では、適応制御型コントローラ20による適応制御処理が実行される。
【0023】
次いで、当該アレーアンテナ装置100に係る各種の信号の定式化について詳細に説明する。エスパアンテナであるアレーアンテナ装置100の受信信号y(t)は次式で表される。
【0024】
【数1】
y(t)=iS(t)
【0025】
ここで、iは励振素子A0及び非励振素子A1乃至A6に誘起する電流分布を要素とする電流ベクトルであり、S(t)はアレーアンテナ装置100の受信信号ベクトルである。ここで、上添え字Tは転置を表す。
【0026】
電流ベクトルiは上記数1から分かるように、従来技術のアダティブアレーアンテナにおけるウエイトベクトルの役割を果たすが、エスパアンテナであるアレーアンテナ装置100においては電流分布を直接操作することができず、リアクタンス値を操作することにより間接的に電流分布を制御するため、電流ベクトルiはリアクタンス値の関数として次式のように表される。
【0027】
【数2】
i=v(Z+Xm)−1
【0028】
ここで、Xmは送信機の出力インピーダンスz及び各素子のリアクタンス値を対角成分にもつ行列
【数3】
Xm=diag[z,jx,jx,jx,jx,jx,jx
であり、Zは素子間結合を含めたインピーダンス行列である。また、uは単位ベクトル
【数4】
=[1,0,0,0,0,0,0,]
であり、vは送信機の内部電圧(開放電圧)である。
【0029】
上記数3において各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6のリアクタンス値を要素としてもつベクトルはリアクタンスベクトルXと呼ばれ、次式のように表す。
【数5】
X=[x,x,x,x,x,x
【0030】
本実施形態において、各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6の可変容量ダイオードに印加するバイアス電圧値Vは適応制御型コントローラ20からの制御電圧信号としてデジタル値−2048から2047として入力して設定する。この数値を以下、「デジタル制御電圧V」と表す。使用する可変容量ダイオードのカタログデータにより、デジタル制御電圧Vと可変容量ダイオードのインピーダンスZの関係を次式で表すことにする。
【0031】
【数6】
=−j(0.0217V+49.21)
【0032】
エスパアンテナであるアレーアンテナ装置100の指向性は上述のインピーダンス行列Zに対応するアドミタンス行列Yを用いて計算することができる(例えば、従来技術文献2「大平孝,“エスパアンテナの等価ウェイトベクトルとアレーファクタ表現”,電子情報通信学会技術報告,AP2000−44,SAT2000−41,MW2000−44,pp.7−12,2000年7月」など参照。)。
【0033】
次いで、本実施形態に係るアレーアンテナ装置100における狭ビーム及び高利得の方法について以下に詳述する。
【0034】
アレーアンテナ指向性の狭ビーム化の方法として、進行波型アンテナの場合には、八木宇田アンテナのようなエンドファイアアレーアンテナではビームと平行な方向の素子数を増加する方法がある。また、ブロードサイドアレーアンテナでは開口面アンテナのように、ビームと垂直な方向の素子数を増やす方法がある。これら2つの効果を同時に期待できる方法として、エスパアンテナ装置では図1及び図2のように、外周に固定導波器素子である第2の非励振素子A7乃至A18を配列する方法を提案する。第2の非励振素子A7乃至A18には可変リアクタンス回路12−1乃至12−6を装荷しない。例えば、可変リアクタンス回路12−1乃至12−6を装荷することにより指向性可変能力は向上するが、エスパアンテナ装置では信号ポートが1つであるため、非励振素子の数をMとすると制御のために必要なデータ数と制御時間がM乗的に増加するためである。これにより、可変リアクタンス回路12−1乃至12−6内の可変容量ダイオードのDC制御電圧回路に関する増設が全く不要で、従来例のエスパアンテナ装置のシンプルさを維持できる。また、従来の制御アルゴリズムがそのまま利用でき、制御負荷も増加しない。このような構造でも、アレー配列の開口面積の増加に相当した、峡ビーム化と高利得化が期待できる。しかしながら、固定導波器素子である第2の非励振素子A7乃至A18には可変容量ダイオードが装荷されないため、導波器と反射器との動作の切り替えができない。本実施形態では、峡ビーム化を目的としているため、基本的には導波器として、すなわち共振長より短めに設計する。八木宇田アンテナにおいても、導波器は複数配列されるが、反射器は通常1本である。同様に、バラクタの装荷された内側の非励振素子が反射器として動作するときには、外側の固定導波器の影響は少ないので、導波器として設計しても良いと考えられる。このことが、外側の固定導波器に可変リアクタを装荷しなくても良いという設計思想の基本となっている。
【0035】
次いで、固定導波器素子である第2の非励振素子A7乃至A18の配列と素子長について以下に説明する。
【0036】
本実施形態では、可変リアクタンス回路12−1乃至12−6の数M=6で、付加する固定導波器素子である第2の非励振素子が1重の場合について検討を行う。第2の非励振素子の配列として図5に示すような以下の4種類を提案する。図5(a):比較例であるタイプA。
図5(b):比較例であるタイプB。
図5(c):実施形態であるタイプC。
図5(d):変形例であるタイプD。
【0037】
ここで、比較例であるタイプAにおいては、第1の非励振素子の数=6であり、第2の非励振素子の数=6である。また、素子A0,A1,A4,A7,A10が1直線上で並置され、素子A0,A2,A5,A8,A11が1直線上で並置され、素子A0,A3,A6,A9,A12が1直線上で並置されている。次いで、比較例であるタイプBにおいては、第1の非励振素子の数=6であり、第2の非励振素子の数=6である。また、素子A0,A1,A4が1直線上で並置され、素子A0,A2,A5が1直線上で並置され、素子A0,A3,A6が1直線上で並置されているが、素子A0から素子A1への軸を基本軸として角度0゜とし、素子番号の配列順序に合わせて、図の右回りを回転の正方向で角度を定義すると、素子A7は30゜の方向の位置に設けられ、素子A8は90゜の方向の位置に設けられ、素子A9は150゜の方向の位置に設けられ、素子A10は210゜の方向の位置に設けられ、素子A11は270゜の方向の位置に設けられ、素子A12は330゜の方向の位置に設けられる。さらに、実施形態であるタイプCにおいては、第1の非励振素子の数=6であり、第2の非励振素子の数=12であり、配置形状は、図1及び図2に図示された通りである。またさらに、変形例であるタイプDにおいては、第1の非励振素子の数=6であり、第2の非励振素子の数=12である。その配置形状では、第2の非励振素子A7乃至A18を、実施形態に比較して+15゜だけ回転させた位置に設けた。従って、素子A0,A1,A4は1直線上で並置され、素子A0,A2,A5は1直線上で並置され、素子A0,A3,A6は1直線上で並置され、素子A0,A7,A13は1直線上で並置され、素子A0,A8,A14は1直線上で並置され、素子A0,A9,A15は1直線上で並置され、素子A0,A10,A16は1直線上で並置され、素子A0,A11,A17は1直線上で並置され、素子A0,A12,A18は1直線上で並置されている。
【0038】
図5の各実施例において、励振素子A0及び非励振素子A1乃至A18の各素子は直径0.02λのダイポール素子とし、励振素子A0及び可変リアクタンス回路12−1乃至12−6が装荷された第1の非励振素子A1乃至A6の長さLを0.48λとし、配列半径r1をλ/4とし、第2の非励振素子A7乃至A18の配列半径r2をλ/2とする。また、第2の非励振素子A7乃至A18の素子長さLを固定導波器とするために、内側の導波器である第1の非励振素子A1乃至A6よりも短く0.45λとする。ただし、λは自由空間波長とする。方位角φ=0゜方向に配置される第1の非励振素子A1に接続される可変リアクタンス回路12−1内の可変容量ダイオードの電気容量を0.7pF、他の5個の第1の非励振素子A2乃至A6の可変リアクタンス回路12−2乃至12−6内の可変容量ダイオードの電気容量を9.3pFとする。電気容量性の小さい第1の非励振素子A1が導波器として動作し、方位角φ=0゜方向にビームが形成される。
【0039】
ここで、モーメント法を用いて計算した水平面内の指向性利得パターンを図3に示す。図3以降において、「7素子」と表示しているのは、1本の励振素子と、6本の非励振素子を備えた従来例のエスパアンテナ装置である。第1の非励振素子方向A1乃至A6のみにそれぞれ固定導波器である第2の非励振素子A7乃至A12を追加したタイプAでは、指向性利得は約0.7dB増加するが、ピーク付近のビーム幅は鋭くならない。一方、互いに隣接する2つの非励振素子A1乃至A6間方向のみに固定導波器である第2の非励振素子A7乃至A12を追加したタイプBでは、利得が約21dB低下しヌルが形成される。このように、アンテナ素子数が13のエスパアンテナ装置では狭ビーム化が達成されていない。
【0040】
さらに、固定導波器である第2の非励振素子の数を2倍にし、素子間隔を内側の非励振素子配列と等しくしたタイプCやタイプDの19素子のアレーアンテナ装置(以下、第1の非励振素子のみを備えるエスパアンテナ装置と区別化するために「アレーアンテナ装置」と称する。)では、ビームが鋭くなり、タイプAに比べさらに利得が増加することが分かる。図7に示すように、従来例の7素子のエスパアンテナ装置の半値幅が約146°、指向性利得が約7.35dBdであったのに対して、19素子のアレーアンテナ装置では半値幅が約68度に鋭くなり、利得が約10.2dBdに向上している。また、タイプCとタイプDのアレーアンテナでは、ほぼ同じビーム形状となっており、13素子配列(タイプA,B)の場合と異なり、19配列の場合(タイプC,D)は第2の非励振素子の配置が回転しても影響が少ないことが分かる。
【0041】
次に、可変容量ダイオードの電気容量を第1の非励振素子A1のみ0.7pF、他の5個の第1の非励振素子A2乃至A6のそれを9.3pFに固定した状態で、方位角φ=0°方向の利得が大きくなる構造パラメータをタイプCのアレーアンテナ装置に関して調べる。第2の非励振素子の配列半径r2をλ/2とし、その素子長Lをパラメータとしてモーメント法で計算した水平面内指向性を図8に示す。図8から明らかなように、指向性利得は、第1の非励振素子の素子長L=0.48λより短いL=0.45λのときに最大になっている。
【0042】
次に、第2の非励振素子の素子長Lを0.45λとした場合の、配置半径r2依存性を図9に示す。図9から明らかなように、配置半径r2が0.5λから0.6λの時に最大の利得が得られているが、水平面内指向性はr2に強く依存しないことが分かる。
【0043】
次いで、等価ウェイトベクトル法による定式化について以下に説明する。可変リアクタンス回路12−1乃至12−6のリアクタンス値はエスパアンテナ装置やアレーアンテナ装置の指向性と非線型の関係にあるため、目的とする指向性状態を実現するリアクタンス値は解析的に求められない。そこで、最急勾配法等を用いて計算する(例えば、従来技術文献2及び従来技術文献3「大平孝,“エスパアンテナの等価ウェイトベクトルとその勾配に関する基本的定式化”,電子情報通信学会技術報告,AP2001−16,SAT2001−3,pp.15−20,2001年5月」など参照。)。最急勾配法ではリアクタンス値に対応する指向性等を繰り返し計算する必要がある。モーメント法に比べ簡易で解析的表現が得られる等価ウェイトベクトル法(従来技術文献2及び3参照。)による表現が便利である。そこで、19素子のエスパアンテナ装置又はアレーアンテナ装置に対する等価ウェイトベクトル表現を新たに導出する。電流ベクトルとリアクタンス行列Xの関係は、その素子配置に依存しないので従来技術文献3と同じ形式で次式のように表される。
【0044】
【数7】
i=v(Y−1+X)−1
【0045】
ここで、vはRF信号源出力開放電圧であり、uは第1要素のみ1の単位列ベクトルである。ただし、素子数が増えたのに対応してアドミタンス行列Yとリアクタンス行列Xはそれぞれ19行19列の正方行列になる。独立なY行列の要素は、7素子エスパアンテナ装置では6要素であったのに対して、19素子のアレーアンテナではタイプCで26個、タイプDで25個となり、タイプCの方が1つ多い。独立な要素の配置数を図10及び図11に示す。X行列は対角成分のみ値を持ち、本実施形態に係るアレーアンテナ装置では外周の第2の非励振素子には可変リアクタンス回路が接続されないため、リアクタンス行列Xにおいては、図12のように値を持つのは、x1,1からx7,7までの7要素のみである。ステアリングベクトルaも従来技術文献3に従って定義できるが、素子配置の変化が反映され、次式のように表される。
【0046】
【数8】
a=[e101112131415161718
ここで、
【数9】
=exp{j2πrsinθcos(φ−φ+Δφ)/λ}
(i=0,1,2,…,18)
ここで、
【数10】
=0(i=0)
【数11】
=r1(i=1,・・・,6)
【数12】
=r2(i=7,・・・,18)
【0047】
【数13】
φ=0(i=0)
【数14】
φ={2π(i−1)}/6(i=1,2,…,6)
【数15】
φ={2π(i−1)}/12(i=7,8,…,18)
【0048】
(1)タイプCのとき
【数16】
Δφ=0(i=0,・・・,18)
【0049】
(2)タイプDのとき
【数17】
Δφ=0(i=0,・・・,6)
【数18】
Δφ=π/12(i=7,・・・,18)
【0050】
ここで、上付き添字のTは転置行列を表す。複数の素子配列半径に対応して中心(r0=0)と内径(r1)に外径(r2)を追加して考える必要がある。なお、従来の表現では素子長などはすべて一定としていたが、異なった配列半径ごとに均一であれば良いことが分かる。アドミタンス行列要素Yijはモーメント法を用いて計算できる。第2の非励振素子の長さL2を0.45λとし、その配置半径r2をλ/2とした場合の値を図13及び図14に示す。ここで、第1の非励振素子A1に1pF、第1の非励振素子A2及びA6に3pF、第1の非励振素子A3及びA5に5pF、第1の非励振素子A4に9pFの電気容量の可変リアクタンス回路を接続した場合の各第1の非励振素子に流れる電流を上記数7により計算し、従来技術文献4「飯草恭一ほか,“エスパアンテナの実測値に基づくパラメータフィッティング”,電子情報通信学会報告,AP2001−104,pp.93−100,2001年10月」の電流補正を加え、ステアリングベクトルから水平面内指向性を計算した。その結果を図15及び図16において破線で、直接モーメント法を用いて計算した結果(実線)と合わせて示す。図15及び図16から明らかなように、両者はほぼ一致しており、等価ウェイトベクトル法が19素子のアレーアンテナに対しても有効であることが確認できる。
【0051】
次いで、指向性可変能力について以下に説明する。可変リアクタンス回路12−1乃至12−6のリアクタンス値と指向性は非線形の関係にあるため、解析的に指向性に関する最適解を求めることは困難である。そこで、上記で求めた等価ウェイトベクトル表現に対して、最急勾配法を用いて19素子のアレーアンテナ装置の指向性可変能力について調べる。なお、非線形性のため最急勾配法の収束値は初期状態などに依存し、最適解とは限らない。リアクタンス値Xの可変範囲を、従来技術文献5「飯草恭一ほか,“7素子モノポール形エスパアンテナの試作結果”,電子情報通信学会ソサエティ大会講演論文集,B−1−64,2001年9月」の試作アンテナに用いている可変容量ダイオードの特性に合わせて、その電気容量を−6.8j(9.3pF)から−91.5j(0.7pF)とし、第2の非励振素子A7乃至A18の長さLを0.45λとし、その配列半径r2をλ/2とする。
【0052】
まず、ビーム形成能力を調べるため、方位角φ=0°、15°、30°の指向性利得が最大となる状態を最急勾配法で求めた。なお、エスパアンテナ構造の対称性より、指向性は30°単位で回転対称性を有する。収束した指向性を図17及び図18に、リアクタンス値を図19及び図20に示す。なお、最急勾配法の初期値は、第1の非励振素子A1のみに接続される電気容量を−91.5jとし、それ以外の5個の第1の非励振素子A2乃至A6に接続される電気容量を−6.8jとした。図17及び図18から明らかなように、最急勾配法で最大利得を得ようとした方向とは少しずれた方向に利得ピークが表れているが、指向性利得約10dBdと電力半値幅約52゜が得られ、峡ビーム化と高利得化が達成されている。
【0053】
図17及び図18から電力半値幅を求めると、図19のようになる。この例ではタイプDの方の半値幅が小さい傾向がある。また、アレーアンテナ装置にとって、ヌル形成能力はアダプティブアンテナとして用いた場合の干渉波抑圧のため重要な能力であり、固定導波器付加によりこの能力が維持できているかを確認する必要がある。そこで、最急勾配法により0°、15°、30°方向の利得が小さくなるように最急勾配法を適用した結果の指向性を図22及び図23に示し、リアクタンスの収束値を図24及び図25に示す。対ピークレベル比30dB以上の深いヌルが形成されており、ヌル形成能力が維持できていることが確認できる。
【0054】
さらに、相互相関係数が最大となることを規範とする適応制御による評価について以下に説明する。適応制御能力を調べるため、次式で計算される相互相関係数の絶対値の2乗を規範(MCCC規範:Maximum Cross-Correlation Coefficient)として、最急勾配法により最大となる状態を計算した。
【0055】
【数19】
Figure 0003769243
【0056】
ここで、アンテナ指向性は等価ウェイトベクトルから計算し、受信信号r(t)と学習シーケンス信号r(t)を用いて所望波を認識するシステムを考える。Eは幾つかのサンプルデータで計算される時間平均(所定の期間におけるアンサンブル平均である。)を表し、ばらつきを有する。指向性可変能力に関して調べるため、そのばらつきの影響が少なくなるように、平均のためのサンプル数を充分大きな240とした。電波環境として、所望波1波、干渉波3波で、干渉波の各レベルは所望波の3分の1とし、全信号波の到来方向がランダム、信号対雑音電力比SNRは30dBとした。1000通りの電波到来方向に対して、反復回数100回の最急勾配法で得られた状態のSINR値の累積確率分布(CDF)曲線を図26に示す。19素子のアレーアンテナ装置で50パーセントの確率で期待できるSINR値は12dBo(dBo:同形状のオムニアンテナを基準としたdB値)である。従来例の7素子型のエスパアンテナ装置に比べ、19素子のアレーアンテナ装置のCDF特性が著しく改善している。これは、利得向上と狭ビーム化による効果のほかに、第1の非励振素子の素子長0.48λの7素子のエスパアンテナ装置ではヌル形成能力が低いことが原因している。そこで、素子長0.475λとした場合の7素子のエスパアンテナ装置のCDF曲線を図26に破線で示す。図26から明らかなように、素子長を短くしたことにより、CDF特性が著しく改善している。この改善した特性に比べても、19素子のアレーアンテナ装置のCDF特性が優れていることが確認できる。また、タイプCとタイプDはほぼ等しい性能を有する。この結果は図6に表れているように、固定導波器である第2の非励振素子A7乃至A18の周方向配置が水平面内指向性に与える影響が少ないということに合致している。径方向に関する図9の結果と合わせると、19素子のアレーアンテナ装置の特性は第2の非励振素子A7乃至A18の配置位置に強く依存しないことが分かる。
【0057】
以上説明したように、本実施形態によれば、7素子のエスパアンテナ装置の周りに固定導波器である第2の非励振素子を付加することにより、狭ビーム化と高利得化を行うことができる。第2の非励振素子には可変リアクタンス回路を接続しないので、構成のシンプルさを維持し、制御負担の増加を防ぐことができる。狭ビームと高利得化には12個の第2の非励振素子A7乃至A18を追加した19素子のアレーアンテナ装置が適していることを、モーメント法の計算により示した。また、第2の非励振素子A7乃至A18の長さは内側の第1の非励振素子A1乃至A6より少し短いときに狭ビームが得られるが、配置位置には強く依存しないことが分かった。19素子のアレーアンテナ装置に対して等価ウェイトベクトル表現を与え、モーメント法による計算値とほぼ等しい指向性を算出できることを確認した。この等価ウェイトベクトル表現に対する最急勾配法の計算により、約10dBdの利得と約52°のビーム半値幅が得られ、ヌル形成能力も維持できることが分かった。SINRの累積確率分布密度を計算し、約50パーセントの確率で期待できるSINR値として12dBoが得られ、アダプティブアンテナとしての性能も改善されることを示した。
【0058】
<変形例>
以上の実施形態においては、6本の第1の非励振素子A1乃至A6を用いているが、その本数は少なくとも複数本あれば、当該アレーアンテナ装置の指向特性を電子的に制御することができる。それに代わって、6個よりも多くの非励振素子を備えてもよい。また、非励振素子A1乃至A6の配置形状も上記の実施形態に限定されず、励振素子A0から所定の距離だけ離れていればよい。すなわち、各非励振素子A1乃至A6に対する間隔は一定でなくてもよい。また、素子長も均一でなくてもよい。
【0059】
また、第2の非励振素子の数については、少なくとも第1の非励振素子の2倍以上を備えることが好ましい。また、第1と第2の非励振素子の配列形状については、図5に示すごとく、タイプC又はタイプDの形状がより好ましい。すなわち、好ましくは、図5(c)のタイプCのように、第2の非励振素子の数N2は第1の非励振素子の数N1の2倍であり、上記N1個の第1の非励振素子は互いに等しい第1の角度間隔の位置に設けられ、上記N2個の第2の非励振素子は互いに等しい第2の角度間隔の位置に設けられ、上記N2個の第2の非励振素子のうちのN1個の第2の非励振素子は、励振素子から上記各第1の非励振素子への放射方向に延在する位置に設けられる。また、好ましくは、図5(d)のタイプDのように、第2の非励振素子の数N2は第1の非励振素子の数N1の2倍であり、上記N1個の第1の非励振素子は互いに等しい第1の角度間隔の位置に設けられ、上記N2個の第2の非励振素子は互いに等しい第2の角度間隔の位置であって、上記励振素子から上記各第1の非励振素子への放射方向に延在する位置とは異なる位置に設けられる。
【0060】
さらに、上記N2個の第2の非励振素子は互いに等しい第2の角度間隔でありかつ4分の1波長以下の長さ間隔の位置に密に設けられることが好ましい。
【0061】
以上の実施形態においては、各アンテナ素子はダイポールを用いているが、本発明はこれに限らず、モノポールなどの他の種類のアンテナ素子であってもよい。
【0062】
以上の実施形態においては、学習シーケンス信号r(t)を用いた適応制御処理は実際の通信の開始前に実行しているが、本発明はこれに限らず、通信の最初に行っても、ある時間周期毎に行ってもよい。
【0063】
以上の実施形態においては、例えば、評価関数値を最大となるように改善させるべく適応制御しているが、評価関数をその逆数にしたときは、それを最小となるように改善させるべく適応制御してもよい。
【0064】
以上の実施形態においては、最急勾配法を用いて適応制御処理を行っているが、本発明はこれに限らず、適応制御方法として、純粋ランダム探索法、最急勾配法、高次元二分法、順次ランダム法、回帰ステップ法、ハミルトン力学による方法などの非線形計画法における反復的な数値解法を用いてもよい。
【0065】
以上の実施形態においては、評価関数として受信信号y(t)と学習シーケンス信号r(t)との間の相互相関係数ρを用いているが、出力SINR又はその度合いを示す他の種々の評価関数を用いてもよい。また、以上の実施形態においては、学習シーケンス信号r(t)を用いて評価関数を計算しているが、本発明はこれに限らず、学習シーケンス信号r(t)を用いない種々の評価関数を用いてもよい。例えば、従来技術文献6「大平孝,“モーメント規範に基づくエスパアンテナの定振幅ブラインド適応ビーム形成”,電子情報通信学会技術報告,ED2001−155,MW2001−115,pp.23−28,2001年11月」において開示されているように、励振素子によって受信された受信信号に基づいて、例えば最急勾配法などの非線形計画法における反復的な数値解法を用いて、上記受信信号のみで表された目的関数の値が最大又は最小となるように、上記アレーアンテナの主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるための各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を計算して設定するステップを含み、上記目的関数は、所定の期間における、上記受信信号の絶対値の時間平均値の二乗値を、上記受信信号の絶対値の二乗値の時間平均値で除算した関数であるように構成してもよい。
【0066】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明に係るアレーアンテナ装置によれば、従来例のエスパアンテナ装置において、そのリアクタンス制御型非励振素子の外側に、別の複数の固体導波器素子を配置することにより、従来例のエスパアンテナ装置に比較してビームを狭くし、かつアンテナ利得を高めることができる。また、ヌル形成能力も保持されるので、干渉波抑制能力が大幅に向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る実施形態であるアレーアンテナ装置の構成を示す平面図及びブロック図である。
【図2】 図1のアレーアンテナ装置100の外観を示す斜視図である。
【図3】 図1のA−A’線についての縦断面図である。
【図4】 図1のアレーアンテナ装置100におけるダイポール型第1の非励振素子An(n=1,2,…,6)とそれに接続された可変リアクタンス回路12−nの構成を示す回路図である。
【図5】 (a)は比較例であるタイプAのアレーアンテナ装置における励振素子A0と、第1の非励振素子A1−A6の配列を示す平面図であり、(b)は比較例であるタイプBのアレーアンテナ装置における励振素子A0と、第1の非励振素子A1−A6の配列を示す平面図であり、(c)は本発明に係る実施形態であるタイプCのアレーアンテナ装置100における励振素子A0と、第1の非励振素子A1−A6と、第2の非励振素子A7−A18の配列を示す平面図であり、(d)は本発明に係る実施形態であるタイプDのアレーアンテナ装置100における励振素子A0と、第1の非励振素子A1−A6と、第2の非励振素子A7−A18の配列を示す平面図である。
【図6】 本発明に係る実施形態のアレーアンテナ装置100(タイプC)と、その変形例(タイプD)、及び2つの比較例(タイプA及びB)のアレーアンテナ装置、並びに従来例に係る7素子のエスパアンテナ装置における水平面内指向性の変化を示すグラフである。
【図7】 本発明に係る実施形態のアレーアンテナ装置100(タイプC)と、その変形例(タイプD)、及び2つの比較例(タイプA及びB)のアレーアンテナ装置、並びに従来例に係る7素子のエスパアンテナ装置における利得及びビーム幅の変化を示す表である。
【図8】 本発明に係る実施形態のアレーアンテナ装置100(タイプC)における水平面内指向性の第2の非励振素子の素子長L2に対する依存性を示す放射パターンのグラフである。
【図9】 本発明に係る実施形態のアレーアンテナ装置100(タイプC)における水平面内指向性の第2の非励振素子の配列半径r2に対する依存性を示す放射パターンのグラフである。
【図10】 本発明に係る実施形態のアレーアンテナ装置100(タイプC)におけるアドミタンス行列Yの詳細を示す図である。
【図11】 本発明に係る変形例のアレーアンテナ装置(タイプD)におけるアドミタンス行列Yの詳細を示す図である。
【図12】 本発明に係る実施形態のアレーアンテナ装置100(タイプC)におけるリアクタンス行列Xの詳細を示す図である。
【図13】 本発明に係る実施形態のアレーアンテナ装置100(タイプC)におけるアドミタンス行列Yの行列要素の一例を示す図である。
【図14】 本発明に係る変形例のアレーアンテナ装置(タイプD)におけるアドミタンス行列Yの行列要素の一例を示す図である。
【図15】 本発明に係る実施形態のアレーアンテナ装置100(タイプC)における等価ウェイトベクトル法とモーメント法により計算された水平面内指向性の計算結果の放射パターンを示すグラフである。
【図16】 本発明に係る実施形態のアレーアンテナ装置(タイプD)における等価ウェイトベクトル法とモーメント法により計算された水平面内指向性の計算結果の放射パターンを示すグラフである。
【図17】 本発明に係る実施形態のアレーアンテナ装置100(タイプC)におけるビーム指向性の放射パターンを示すグラフである。
【図18】 本発明に係る変形例のアレーアンテナ装置(タイプD)におけるビーム指向性の放射パターンを示すグラフである。
【図19】 本発明に係る実施形態のアレーアンテナ装置100(タイプC)におけるビーム形成時の各第1の非励振素子A1−A6に対するリアクタンス値を示すグラフである。
【図20】 本発明に係る変形例のアレーアンテナ装置(タイプD)におけるビーム形成時の各第1の非励振素子A1−A6に対するリアクタンス値を示すグラフである。
【図21】 本発明に係る実施形態のアレーアンテナ装置100(タイプC)と、その変形例(タイプD)、及び従来例に係る7素子のエスパアンテナ装置における最急勾配法により利得最大としようとした方位角を示す表である。
【図22】 本発明に係る実施形態のアレーアンテナ装置100(タイプC)におけるヌル指向性の放射パターンを示すグラフである。
【図23】 本発明に係る変形例のアレーアンテナ装置(タイプD)におけるヌル指向性の放射パターンを示すグラフである。
【図24】 本発明に係る実施形態のアレーアンテナ装置100(タイプC)におけるヌル形成時の各第1の非励振素子A1−A6に対するリアクタンス値を示すグラフである。
【図25】 本発明に係る変形例のアレーアンテナ装置(タイプD)におけるヌル形成時の各第1の非励振素子A1−A6に対するリアクタンス値を示すグラフである。
【図26】 本発明に係る実施形態のアレーアンテナ装置100(タイプC)と、その変形例(タイプD)、及び従来例に係る7素子のエスパアンテナ装置における信号対干渉雑音電力比(SINR)に対する累積確率分布(CDF)曲線を示すグラフである。
【符号の説明】
A0…励振素子、
A1乃至A6…第1の非励振素子、
A7乃至A18…第2の非励振素子、
1…低雑音増幅器(LNA)、
2…ダウンコンバータ、
3…A/D変換器、
4…復調器、
5…給電用同軸ケーブル、
6…平衡−不平衡変換器(バラン)、
11…接地導体、
12−1乃至12−6…可変リアクタンス回路、
13a,13b…アンテナ素子、
14a,14b…可変容量ダイオード、
15a,15b,15c…抵抗、
20…適応制御型コントローラ、
21…学習シーケンス信号発生器、
100…アレーアンテナ装置。

Claims (5)

  1. 無線信号を送受信するための励振素子と、
    上記励振素子から所定の第1の間隔だけ離れて設けられた複数N1個のリアクタンス制御型非励振素子と、
    上記励振素子から、上記第1の間隔より長い第2の間隔だけ離れて設けられた、上記複数N1の2倍以上の数であるN2個の固体導波器素子と、
    上記複数のリアクタンス制御型非励振素子にそれぞれ接続された複数の可変リアクタンス素子と、
    上記各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を変化させることにより、上記複数N1のリアクタンス制御型非励振素子をそれぞれ導波器又は反射器として動作させ、かつアレーアンテナの指向特性を変化させる制御手段とを備え、
    上記N2個の固体導波器素子をそれぞれ導波器として動作させることを特徴とするアレーアンテナ装置。
  2. N2はN1の2倍であり、
    上記N1個のリアクタンス制御型非励振素子は互いに等しい第1の角度間隔の位置に設けられ、
    上記N2個の固体導波器素子は互いに等しい第2の角度間隔の位置に設けられ、上記N2個の固体導波器素子のうちのN1個の固体導波器素子は、上記励振素子から上記各リアクタンス制御型非励振素子への放射方向に延在する位置に設けられたことを特徴とする請求項1記載のアレーアンテナ装置。
  3. N2はN1の2倍であり、
    上記N1個のリアクタンス制御型非励振素子は互いに等しい第1の角度間隔の位置に設けられ、
    上記N2個の固体導波器素子は互いに等しい第2の角度間隔の位置であって、上記励振素子から上記各リアクタンス制御型非励振素子への放射方向に延在する位置とは異なる位置に設けられたことを特徴とする請求項1記載のアレーアンテナ装置。
  4. 上記N2個の固体導波器素子は互いに等しい第2の角度間隔でありかつ4分の1波長以下の長さ間隔の位置に設けられたことを特徴とする請求項1記載のアレーアンテナ装置。
  5. 上記制御手段は、上記励振素子によって受信された受信信号に基づいて、非線形計画法における反復的な数値解法を用いて、所定の目的関数が実質的に最大又は最小となるように、上記アレーアンテナの主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるための各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を計算して設定することを特徴とする請求項1乃至4のうちの1つに記載のアレーアンテナ装置。
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