JP3762299B2 - アレーアンテナの制御方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数のアンテナ素子からなるアレーアンテナ装置の指向特性を変化させることができるアレーアンテナの制御方法に関し、特に、電子制御導波器アレーアンテナ装置(Electronically Steerable Passive Array Radiator (ESPAR) Antenna;以下、エスパアンテナという。)の指向特性を適応的に変化させることができるアレーアンテナの制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来技術のエスパアンテナは、例えば、従来技術文献1「T. Ohira et al., "Electronically steerable passive array radiator antennas for low-cost analog adaptive beamforming," 2000 IEEE International Conference on Phased Array System & Technology pp. 101-104, Dana point, California, May 21-25, 2000」や特開2001−24431号公報において提案されている。このエスパアンテナは、無線信号が給電される励振素子と、この励振素子から所定の間隔だけ離れて設けられ、無線信号が給電されない少なくとも1個の非励振素子と、この非励振素子に接続された可変リアクタンス素子とから成るアレーアンテナを備え、上記可変リアクタンス素子のリアクタンス値を変化させることにより、上記アレーアンテナの指向特性を変化させることができる。
【0003】
このエスパアンテナのような空間電力合成によるビームフォーミング方式は、簡単なハードウエア構成と低い電力消費で、可変指向性を達成して高い利得を得ることができるので、実用的な端末(特に移動体ユーザ端末)搭載アダプティブアンテナとして期待できる。
【0004】
しかしながら、エスパアンテナの場合、受動素子上の信号を観測することはできない。従って、単一ポートの出力のみを観測し、リアクタンス値を調整するためのフィードバックとして処理する必要がある。言い換えれば、従来の適応型アレー用に作られた方法の大部分をエスパアンテナに直接に適用することはできない。
【0005】
この問題点を解決するために、例えば、特願2000−307548号の特許出願において、いわゆる「最急勾配法」を用いて、各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を順次所定のシフト量だけ摂動させ、各リアクタンス値に対する所定の評価関数値の傾斜ベクトルを計算し、計算された傾斜ベクトルに基づいて当該評価関数値が最大又は最小となるように、上記アレーアンテナの主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるための各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を計算して設定する制御方法(以下、第1の従来例という。)が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この第1の従来例では、勾配ベクトルの各成分を決定するために、逐次の摂動を必要とし、このことは、摂動の各反復において(M+1)回の目的関数値の計算を必要とし、エスパアンテナの場合には、従来の適応型アレーと比べて少なくとも(M+1)倍の長さの学習シーケンスを要し、計算量が多くなるという問題点があった。
【0007】
一方、従来技術文献2「神谷幸宏ほか,“エスパアンテナの基本検討−適応制御に基づくSINR特性の統計的評価−”,電子情報通信学会技術報告,A・P2000−175,SANE2000−156,pp.17−24,社団法人電子情報通信学会,2001年1月発行」においては、以下の「ランダム探索法」の手順(以下、第2の従来例という。)を用いる。
(1)各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を要素とする列ベクトルxを考え、これをリアクタンス行列とする。このような行列を、所定の範囲内で一様乱数により生成し、リアクタンス行列の母集団を生成する。
(2)生成された母集団に含まれるリアクタンス行列を、1つずつエスパアンテナに装荷し、それぞれの場合で受信信号のサンプルを観測し、受信信号と学習シーケンス信号との間の所定の相互相関係数を計算する。
(3)得られた複数の相互相関係数のうち、最大の相互相関係数が得られるリアクタンス行列を重み係数として採用する。
【0008】
この第2の従来例では、各反復についてただ1回の相互相関係数の計算のみを必要とする。しかしながら、これは、次の試行は、前の試行とは独立であり、試行が完了したときに何も学習されないという欠点がある。
【0009】
本発明の目的は以上の問題点を解決し、エスパアンテナの制御方法において、所望波に対して主ビームを向けかつ干渉波に対してヌルを向けるときに、従来例に比較して、長い学習シーケンス信号を必要とせず、かつ探索の反復毎に性能が向上するように学習することができるアレーアンテナの制御方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るアレーアンテナの制御方法は、無線信号を受信するための励振素子と、上記励振素子から所定の間隔だけ離れて設けられた複数の非励振素子と、上記複数の非励振素子にそれぞれ接続された複数の可変リアクタンス素子とを備え、上記各可変リアクタンス素子に設定する各リアクタンス値を変化させることにより、上記各非励振素子をそれぞれ導波器又は反射器として動作させ、アレーアンテナの指向特性を変化させるアレーアンテナの制御方法において、
上記各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を所定の初期値からランダムに摂動して設定したときに、相手先の送信機から送信される無線信号に含まれる学習シーケンス信号を上記アレーアンテナにより受信したときの受信信号と、上記学習シーケンス信号と同一の信号パターンを有して発生された学習シーケンス信号との間の摂動前後の所定の相互相関係数を演算し、摂動前後の相互相関係数が増大するときに対応するリアクタンス値を選択して設定した後、上記選択された各可変リアクタンス素子のリアクタンス値から上記ランダムに摂動して設定することを繰り返すステップを含むことを特徴とする。
【0011】
また、上記アレーアンテナの制御方法において、上記初期値は、好ましくは、所定の複数の放射パターンに対応する上記各可変リアクタンス素子のリアクタンス値のうち、最大の相互相関係数を有する1つの放射パターンに対応する上記各可変リアクタンス素子のリアクタンス値であることを特徴とする。
【0012】
さらに、上記アレーアンテナの制御方法において、上記複数の放射パターンは、好ましくは、
(a)上記励振素子から各非励振素子に向かう方向にそれぞれ最大利得を有する複数のセクタビームパターンと、
(b)上記励振素子から互いに隣接する各非励振素子間の中間位置に向かう方向にそれぞれ最大利得を有する複数のセクタビームパターンと、
のうちの少なくとも1組を含むことを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0014】
図1は本発明に係る実施形態であるアレーアンテナの制御装置の構成を示すブロック図である。この実施形態のアレーアンテナの制御装置は、図1に示すように、1つの励振素子A0と、可変容量ダイオード12−1乃至12−6がそれぞれ装荷された6個の非励振素子A1乃至A6と、接地導体11とを備えてなり、エスパアンテナであるアレーアンテナ装置100と、適応制御型コントローラ20と、学習シーケンス信号発生器21と、適応制御型コントローラ20に接続されたバイアス電圧テーブルメモリ22とを備えて構成される。
【0015】
ここで、適応制御型コントローラ20は、例えばコンピュータなどのディジタル計算機で構成され、復調器4による無線通信を開始する前に、相手先の送信機から送信される無線信号に含まれる学習シーケンス信号を上記アレーアンテナ装置100の励振素子A0により受信したときの受信信号y(n)と、上記学習シーケンス信号と同一の信号パターンを有して学習シーケンス信号発生器21で発生された学習シーケンス信号d(n)とに基づいて、後述する適応制御処理を実行することにより上記アレーアンテナ装置100の主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるための、各可変容量ダイオード12−1乃至12−6に印加されるバイアス電圧値V(m=1,2,…,6)を探索して設定することを特徴としている。具体的には、適応制御型コントローラ20は、乱数発生器を備え、上記乱数発生器によって発生されたランダムベクトルR(n)によってバイアス電圧値Vを成分とするバイアス電圧ベクトルV(n)を所定の初期値からランダムに摂動させ、摂動前のバイアス電圧ベクトルV(n)に対する、相互相関係数である目的関数値J(n)と、摂動後のバイアス電圧ベクトルV(n+1)に対する、相互相関係数である目的関数値J(n+1)とを比較して、摂動前後の相互相関係数が増大するときに対応するバイアス電圧Vを選択して設定した後、上記選択された各可変容量ダイオード12−1乃至12−6のバイアス電圧から上記ランダムに摂動して設定することを繰り返す。従って、バイアス電圧の初期値から出発して、ランダムベクトルR(n)を発生して摂動させ、摂動前後の相互相関係数が増大するときに対応するバイアス電圧Vを選択して設定した後、上記選択されたバイアス電圧からさらにランダムベクトルR(n)を発生して摂動させて上述の処理を繰り返すことにより、ランダムベクトルR(n)を順次発生しつつ選択されたバイアス電圧を更新し、これにより、当該目的関数値J(n)が最大となるように、上記アレーアンテナ装置100の主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるための各可変容量ダイオード12−1乃至12−6のバイアス電圧ベクトルV(n)を探索し、探索の結果発見された各バイアス電圧値Vm(m=1,2,…,6)を有するバイアス電圧値信号を各可変容量ダイオード12−1乃至12−6に出力して設定する。
【0016】
図1において、アレーアンテナ装置100は、接地導体11上に設けられた励振素子A0及び非励振素子A1乃至A6から構成され、励振素子A0は、半径rの円周上に設けられた6本の非励振素子A1乃至A6によって囲まれるように配置されている。好ましくは、各非励振素子A1乃至A6は上記半径rの円周上に互いに等間隔を保って設けられる。各励振素子A0及び非励振素子A1乃至A6は、例えば、所望波の波長λに対して約1/4の長さのモノポール素子になるように構成され、また、上記半径rはλ/4になるように構成される。励振素子A0の給電点は同軸ケーブル5を介して低雑音増幅器(LNA)1に接続され、また、非励振素子A1乃至A6はそれぞれ可変容量ダイオード12−1乃至12−6に接続され、これら可変容量ダイオード12−1乃至12−6は、適応制御型コントローラ20からのバイアス電圧値信号を設定されることによって、そのリアクタンス値を変化させる。
【0017】
図2は、アレーアンテナ装置100の縦断面図である。励振素子A0は接地導体11と電気的に絶縁され、各非励振素子A1乃至A6は、可変容量ダイオード12−1乃至12−6を介して、接地導体11に対して高周波的に接地される。可変容量ダイオード12−1乃至12−6の動作を説明すると、例えば励振素子A0と非励振素子A1乃至A6の長手方向の長さが実質的に同一であるとき、例えば、可変容量ダイオード12−1がインダクタンス性(L性)を有するときは、可変容量ダイオード12−1は延長コイルとなり、非励振素子A1乃至A6の電気長が励振素子A0に比較して長くなり、反射器として働く。一方、例えば、可変容量ダイオード12−1がキャパシタンス性(C性)を有するときは、可変容量ダイオード12−1は短縮コンデンサとなり、非励振素子A1の電気長が励振素子A0に比較して短くなり、導波器として働く。また、他の可変容量ダイオード12−2乃至12−6に接続された非励振素子A2乃至A6についても同様に動作する。
【0018】
従って、図1のアレーアンテナ装置100において、各非励振素子A1乃至A6に接続された可変容量ダイオード12−1乃至12−6に印加するバイアス電圧値を変化させて、その接合容量値であるリアクタンス値を変化させることにより、アレーアンテナ装置100の平面指向性特性を変化させることができる。
【0019】
図1のアレーアンテナの制御装置において、アレーアンテナ装置100は無線信号を受信し、上記受信された信号は同軸ケーブル5を介して低雑音増幅器(LNA)1に入力されて増幅され、次いで、ダウンコンバータ(D/C)2は増幅された信号を所定の中間周波数の信号(IF信号)に低域変換する。さらに、A/D変換器3は低域変換されたアナログ信号をディジタル信号にA/D変換し、そのディジタル信号を適応制御型コントローラ20及び復調器4に出力する。次いで、適応制御型コントローラ20は、詳細後述するように、乱数発生器によって発生されたランダムベクトルR(n)によってバイアス電圧値Vを成分とするバイアス電圧ベクトルV(n)を所定の初期値からランダムに摂動させ、摂動前のバイアス電圧ベクトルV(n)に対する、相互相関係数である目的関数値J(n)と、摂動後のバイアス電圧ベクトルV(n+1)に対する、相互相関係数である目的関数値J(n+1)とを比較して、摂動前後の相互相関係数が増大するときに対応するバイアス電圧Vを選択して設定した後、上記選択された各可変容量ダイオード12−1乃至12−6のバイアス電圧から上記ランダムに摂動して設定することを繰り返す。従って、バイアス電圧の初期値から出発して、ランダムベクトルR(n)を発生して摂動させ、摂動前後の相互相関係数が増大するときに対応するバイアス電圧Vを選択して設定した後、上記選択されたバイアス電圧からさらにランダムベクトルR(n)を発生して摂動させて上述の処理を繰り返すことにより、ランダムベクトルR(n)を順次発生しつつ選択されたバイアス電圧を更新し、これにより、当該目的関数値J(n)が最大となるように、上記アレーアンテナ装置100の主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるための各可変容量ダイオード12−1乃至12−6のバイアス電圧ベクトルV(n)を探索し、探索の結果発見された各バイアス電圧値Vm(m=1,2,…,6)を有するバイアス電圧値信号を各可変容量ダイオード12−1乃至12−6に出力して設定する。一方、復調器4は、入力される受信信号y(n)に対して復調処理を行って、データ信号である復調信号を出力する。
【0020】
アレーアンテナ100で受信される無線信号を送信する送信局は、学習シーケンス信号発生器21で発生される所定の学習シーケンス信号と同一の学習シーケンス信号を含む所定のシンボルレートのディジタルデータ信号に従って、無線周波数の搬送波信号を、例えばBPSK、QPSKなどのディジタル変調法を用いて変調し、当該変調信号を電力増幅して受信局のアレーアンテナ装置100に向けて送信する。本発明に係る実施形態においては、データ通信を行う前に、送信局から受信局に向けて学習シーケンス信号を含む無線信号が送信され、受信局では、適応制御型コントローラ20による適応制御処理が実行される。
【0021】
従来技術のフェーズドアレーアンテナは各素子のウエイトベクトル(振幅と位相)を直接制御する。これに対して、エスパアンテナであるアレーアンテナ装置100ではウエイト回路は存在せず、その代わりに非励振素子A1乃至A6に装荷された可変リアクタンス素子(本実施形態では、可変容量ダイオード12−1乃至12−6)のリアクタンス値を制御する。従って、従来技術のウエイトベクトルに相当する「等価ウエイトベクトル」の概念を導入し、これとリアクタンス値とを関係づけることとなる。アレーアンテナ装置100が従来技術のフェーズドアレーアンテナと本質的に異なる点は、
(1)受信信号の出力が1系統であること、
(2)素子間結合を積極的に利用すること、
(3)非励振素子と可変リアクタンス素子とが一体化されていること
の3点である。これらはアレーアンテナ装置100にとって動作の本質であり、アンテナの設計段階ならびに制御理論の構築段階において考慮されなければならない。
【0022】
ここで、エスパアンテナで構成されたアレーアンテナ装置100から出力される受信信号y(t)を、非励振素子A1乃至A6の各リアクタンス値(x,…,x)の関数として定式化し、定式化の説明においては、時間の変数tを用いるが、後述する適応制御型コントローラ20の制御処理においては、漸化式を用いたデジタル処理を実行するために時刻に対応する反復関数パラメータnを用いて説明する。アレーアンテナ装置100における可変なビーム形成は、各可変容量ダイオード12−1乃至12−6上のバイアス電圧値V(m=1,2,…,6)を制御して、その結果、これらのリアクタンス値が制御されることにより実行される。
【0023】
非励振素子A1が励振素子A0に対して位置する方向を基準軸として、角度θ(q=0,1,…,Q)の到来角度(DOA)を有する信号u(t)を送信する、合計Q+1個の信号源が存在すると仮定する。s(t)(m=0,1,…,6)はアンテナのm番目の素子Am(すなわち励振素子又は非励振素子)に入射するRF信号を表すとし、信号ベクトルs(t)は第m成分にRF信号s(t)を有する列ベクトルであるとする。このとき、信号ベクトルs(t)は次式のように表すことができる。
【0024】
【数1】
Figure 0003762299
【0025】
ここで、a(θq)は、
【数2】
Figure 0003762299
で定義されるステアリングベクトルである。ここで、rはアレーアンテナ装置100の半径であり、また、φは各非励振素子Amが励振素子A0に対して位置する角度を表し、φ=2π(m−1)/6(m=1,…,6)である。アンテナの単一ポートのRF出力信号である受信信号y(t)(以下の原理説明では、説明の便宜上、LNA1の前段での高周波信号(RF信号)をいう。)は、次式で与えられる。
【0026】
【数3】
y(t)=is(t)+n(t)
【0027】
ここで、i=[i,i,i,…,iは、励振素子A0及び非励振素子A1乃至A6上にそれぞれ現れるRF電流i(m=0,…,6)を成分として有するRF電流ベクトルであり、n(t)はアレーアンテナ装置100における付加的な白色ガウス雑音を表す。
【0028】
第1の従来例において開示されたエスパアンテナの解析によれば、RF電流ベクトルiは次のように定式化される。
【0029】
【数4】
i=v(I+YX)−1
【0030】
ここで、Iは6+1次の単位行列であり、vは一定の利得係数である。また、数4で、可変容量ダイオード12−1乃至12−6上のリアクタンス値x(m=1,…,6)を成分中に含む対角行列X=diag[50,jx,jx,…,jx]は、リアクタンス行列と呼ばれる。リアクタンス値xは、可変容量ダイオード12−1乃至12−6上のバイアス電圧Vの関数である。さらに数4において、Y=[ykl(6+1)×(6+1)はアドミタンス行列と呼ばれ、yklはアンテナ素子Akとアンテナ素子Al(0≦k,l≦6)の間の相互アドミタンスを表す。また、ベクトルyはアドミタンス行列Yの第1列である。相互アドミタンスyklの値には、公知の相反定理により、通常型のアレーアンテナ装置と同様にykl=ylkが成り立つ。相互アドミタンスyklの値はまた、例えば半径、空間の間隔及び素子の長さといったアンテナの物理的構造に依存して一定であり、さらに、アレーアンテナ装置100の回転対称性より、次の関係を満たす。
【0031】
【数5】
11=y22=y33=y44=y55=y66
【数6】
01=y02=y03=y04=y05=y06
【数7】
12=y23=y34=y45=y56=y61
【数8】
13=y24=y35=y46=y51=y62
【数9】
14=y25=y36
【0032】
ゆえに、アドミタンス行列Yは、相互アドミタンスの6個の成分y00,y10,y11,y21,y31及びy41のみによって決定され、ベクトルyは、相互アドミタンスの2個の成分y00,y10のみによって決定されることがわかる。
【0033】
数3及び数4より、電流ベクトルiと受信信号y(t)とは、リアクタンス値(x,…,x)の関数であり、従って、受信信号y(t)は、各可変容量ダイオード12−1乃至12−6に印加されるバイアス電圧値の関数であることがわかる。従って、本発明の実施形態に係るアレーアンテナの制御方法では、上記各バイアス電圧値を変化させることによって、アレーアンテナ装置100の指向性パターンを形成する。
【0034】
本発明者らが行った実験では、印加される可変容量ダイオード12−1乃至12−6のバイアス電圧は−0.5Vから20Vまでの範囲にわたって設定されている。実際には、バイアス電圧を設定するためにディジタル・アナログ(D/A)変換器が使用されている。このD/A変換器は12ビットで符号化され、−2048から2047までのディジタル値を許容することができる。表記を容易にするために、本発明者らは、バイアス電圧の符号化された値をディジタル電圧と呼ぶ。前述したように、リアクタンス値xはバイアス電圧Vの関数であることに留意する。本発明者らの実験では、
【数10】
=−0.0217V−49.21
であるとする。ここで、Vがディジタル電圧の値である。
【0035】
次に、以上のように定式化されたアレーアンテナ装置を制御するための制御方法について考察する。上の議論から、LMSアルゴリズムのような従来の制御方法をエスパアンテナに適用することは困難であることがわかる。これの主な理由は、簡単なエスパの構造、すなわちアンテナが単一の出力信号y(t)のみを有するということにある。単一ポートにおいて受信された信号y(t)は観測されるが、周囲の非励振素子A1乃至A6における信号を観測することはできない。従って、エスパアンテナのための特別な適応制御方法を開発する必要がある。
【0036】
第2の従来例では、エスパアンテナの指向性パターンのためのランダム探索法が研究されている。V=[V,V,…,V]を、その成分がそれぞれリアクタンス値x(m=1,2,…,M)上のバイアス電圧であるM次元のバイアス電圧ベクトルであるとする。数4におけるリアクタンス値xは、バイアス電圧値Vの関数であることに留意する。この関数は、リアクタンス値に係る実施の回路に依存する。nを探索の反復回数として、一連のバイアス電圧ベクトルV(n)=[V(n),…,V(n)]は、次式に従って生成される。
【0037】
【数11】
V(n)=R(n)
(n=1,2,…,N)
【0038】
ここで、R(n)=[R(n),…,R(n)]は、各可変容量ダイオード上のバイアス電圧の範囲に一様な分布を有するように、乱数発生器によって選択される電圧値のランダムベクトルである。インデックスnは、探索の反復回数を示す。バイアス電圧ベクトルV(n)の値は装荷された端末に供給され、受信機の出力である受信信号y(n)(受信信号y(t)に対するn回目の反復に係るサンプル)が測定され、次いで目的関数値J(n)=J(V(n))が計算された。ランダム探索フェーズの終わりに、本発明者らは、目的関数値J(n)が最大であるバイアス電圧ベクトルV(n)の値を発見した。
【0039】
「(純粋な)ランダム探索法」と呼ばれるこの方法は、試行がステップnで完了する時点で何も学習されないという欠点を有している。ステップn+1における次の試行は、先の試行から独立である。これは、例えば、第1の従来例に係る「最急勾配法」のような、目的関数の曲面の局所的な連続性の性質を全く考慮しない。このために、本発明に係る実施形態では、より効率的な「順次」ランダム探索法を用いることにする。
【0040】
本発明に係る実施形態で提案される順次ランダム探索法でも、バイアス電圧ベクトルV(n)はランダムに変更される。変更の前と後で目的関数値J(n)(例えば受信信号y(n)と学習シーケンス信号d(n)の相互相関係数)が計算され、2つの計算値が比較される。変更が目的関数値J(n)を増大させれば、当該変更は受容される。増大させなければ、当該変更は棄却され、新しいランダムな変更が試みられる。この手順は、次のように代数的に記述することができる。
【0041】
【数12】
V(n+1)=V(n)+(1/2)
×{1+sgn[J(V(n)+R(n))−J(V(n))]}R(n);
n=1,2,…,N−1
【0042】
ここで、R(n)はランダムなM次元ベクトル(本実施形態では、M=6)であり、J(V(n))は、バイアス電圧ベクトルをV(n)に設定したときの、数3のy(t)のP個のサンプルに基づく目的関数値(すなわち受信信号y(t)のサンプルy(n)と学習シーケンス信号d(n)との相互相関係数)の評価値であり、J(V(n)+R(n))は、バイアス電圧ベクトルをV(n)+R(n)に設定したときのy(t)のP個のサンプルに基づく目的関数値の評価値である。また、符号演算子sgn[z]は、z≧0のとき+1、及びz<0のとき−1である。
【0043】
数12のランダムベクトルR(n)における各成分は、(i)−bからbまでの範囲にわたって一様分布するランダム変数と、(ii)ゼロ平均と分散σを有するガウスシーケンスとから選択することができる。ここで、b及びσは正である。b及びσの値は、一定であってもよい。しかしながら、一様分布の範囲とガウス分布の分散とは、数12の反復手順の間に減少されることがより妥当であると思われる。従って、代替例として、反復回数パラメータnに従って変化する、範囲パラメータb(n)及び分散σ(n)として、次式を用いる。
【0044】
【数13】
Figure 0003762299
【数14】
Figure 0003762299
【0045】
ここで、範囲パラメータの係数b、分散の係数σ、ステップパラメータτ、及び反復回数パラメータnは、それぞれ正の定数である。数13及び数14を用いた場合、範囲パラメータb(n)及び分散σ(n)の値は、図3に図示されたように、反復回数が増加するにつれて減少する。ここで、範囲パラメータの係数b及び分散の係数σとして設定されている値1500は、ディジタル電圧で表されている。
【0046】
図4を参照すると、適応制御型コントローラ20によって発生されるランダムベクトルR(n)による、バイアス電圧ベクトルV(n)の摂動を示すグラフが図示されている。図4及びその説明においては、図4の横軸のバイアス電圧は、ベクトルではなく1次の成分要素で表す。図4の(a)は、バイアス電圧ベクトルV(n)を摂動させるランダムベクトルR(n)の確率密度を示すグラフであり、図4の(b)は、上記摂動による目的関数値Jの変化を示すグラフである。バイアス電圧ベクトルV(n)の成分であるバイアス電圧値V(n)が可変容量ダイオード12−mに印加されているとき、適応制御型コントローラ20は、平均V(n)及び分散σ(n)でガウス分布したバイアス電圧値(図4(a))の中から、バイアス電圧値V(n+1)をランダムに選択する。言いかえると、平均0及び分散σ(n)でガウス分布したバイアス電圧からランダムに選択されたランダムベクトルの成分R(n)だけ、バイアス電圧値V(n)を摂動したものが、バイアス電圧値V(n+1)である。摂動されたバイアス電圧値V(n+1)として選択される候補のバイアス電圧値は、摂動される前のバイアス電圧値V(n)の周囲に分散σ(n)で集中化させられている。
【0047】
図4(b)に図示されたように、バイアス電圧値V(n)に基づく目的関数値J(n)=J(V(n))(すなわち、バイアス電圧値V(n)を含むバイアス電圧ベクトルV(n)を可変容量ダイオード12−1乃至12−6に出力して設定したときの目的関数値J(n))よりも、バイアス電圧値R(n)+V(n)に基づく目的関数値J(R(n)+V(n))のほうが大きいときは、V(n+1)=R(n)+V(n)は新しいバイアス電圧値として受容される。図4(b)の場合とは異なり、目的関数値J(R(n)+V(n))が目的関数値J(n)以下であるときは、ランダムベクトルの成分R(n)による摂動は棄却され、平均V(n)及び分散σ(n)でガウス分布したバイアス電圧値から、次のバイアス電圧値を再びランダムに選択することを試みる。
【0048】
数12の反復において、本実施形態では、受信信号y(n)と学習シーケンス信号d(n)の相互相関係数が目的関数J(n)として採用されている。以下、d(n)は、学習シーケンス信号のP次元列ベクトルを示し、y(n)は、数3における受信信号y(t)の離散時間サンプルであるP次元列ベクトルを示すものとする。時刻(すなわち、反復回数)nにおける受信信号y(n)と学習シーケンス信号d(n)の間の相互相関係数J(n)=ρ(n)は、次式のように定義される。
【0049】
【数15】
Figure 0003762299
【0050】
ここで、上付き文字は複素共役転置を示す。アレーアンテナ装置100の単一ポートである励振素子A0から出力される受信信号y(n)は、調整可能なリアクタンス値xの高次の非線形関数であることに留意する。
【0051】
次いで、適応制御型コントローラ20によって実行される、上述された順次ランダム探索法によるエスパアンテナの適用制御処理について図5及び図6を参照して説明する。
【0052】
図5のステップS1で、探索の反復回数パラメータnが0に初期化される。次にステップS2で、可変容量ダイオード12−1乃至12−6に印加するためのバイアス電圧ベクトルの初期値が選択される。ステップS3で、選択されたバイアス電圧ベクトルV(n)の初期値V(0)を、可変容量ダイオード12−1乃至12−6に出力して設定する。このバイアス電圧ベクトルV(0)が設定された状態で、ステップS4において、アレーアンテナ装置100から出力される受信信号y(n)を測定し、これと、学習シーケンス信号発生器21から発生された学習シーケンス信号d(n)とに基づいて、数15を用いて相互相関係数である目的関数値J(n)を計算する。
【0053】
ステップS5で、反復回数パラメータnを1だけインクリメントし、さらに、バイアス電圧ベクトルV(n)を、V(n−1)の値で更新する。ステップS6で、適応制御型コントローラ20に設けられた乱数発生器を用いてランダムベクトルR(n)を発生する。ここで、前述されたように、ランダムベクトルR(n)の発生は、数13又は数14を用いて一様分布又はガウス分布した範囲に制限してもよい。次に、バイアス電圧ベクトルV(n)+R(n)を、可変容量ダイオード12−1乃至12−6に出力して設定する。このバイアス電圧ベクトルV(n)+R(n)が設定された状態で、ステップS8において、受信信号y(n)を測定し、これと学習シーケンス信号d(n)とに基づいて、数15を用いて相互相関係数である目的関数値J(n)を計算する。
【0054】
次いで、ステップS9において、ステップS8で計算された目的関数値J(n)が、以前に計算された目的関数値J(n−1)よりも大きいときは、ステップS10で、バイアス電圧ベクトルV(n)を、ランダムベクトルR(n)で摂動されたバイアス電圧ベクトルV(n)+R(n)の値で更新して、ステップS12に進む。ステップS9がNO(すなわち、J(n)≦J(n−1))のときは、ステップS11で、バイアス電圧ベクトルV(n)を更新せずに、目的関数値J(n)を目的関数値J(n−1)の値で更新して、ステップS12に進む。従って、n回目の探索でバイアス電圧ベクトルV(n)が更新されないときは、n+1回目の探索において、バイアス電圧ベクトルV(n−1)及びそれの目的関数値J(n−1)に基づいて、n+1回目の探索結果(すなわち、バイアス電圧ベクトルV(n+1)及びそれの目的関数値J(n+1))を評価することができる。
【0055】
ステップS12で、反復回数パラメータnが予め決められたしきい値(反復回数の上限値)Nに満たないときはステップS5に戻る一方、反復回数パラメータnがしきい値N以上であるときは、ステップS13でバイアス電圧ベクトルV(n)を、可変容量ダイオード12−1乃至12−6に出力して設定して当該適応制御処理を終了する。
【0056】
以上説明したように、本発明の順次ランダム探索法によるアレーアンテナの制御方法によれば、目的関数J(n)の曲面の局所的な連続性の性質を用いて、反復のステップ毎に、前の結果を参照(学習)して目的関数値J(n)が増大するように制御することができ、少なくとも、「純粋な」ランダム探索法とは異なり、目的関数値J(n)が減少しないように制御することができる。
【0057】
図5のステップS2のバイアス電圧の初期値選択処理のサブルーチンを図6に示す。図6において、まず、ステップS21で、選択される候補のバイアス電圧ベクトルの個数Iを12に設定し、目的関数値の初期値J(0)を−1に設定し、反復回数パラメータi(1≦i≦I)を1に初期化する。本実施形態では、選択される初期値の候補として、バイアス電圧テーブルメモリ22に予め記憶された次の表に示す12個のバイアス電圧ベクトルS(i)(i=1,2,…,12)を用いる。ここで、これらのバイアス電圧値は、前述のディジタル電圧で表されている。
【0058】
【表1】
初期値の電圧ベクトルS(i)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
S(1) = {1800, -1800, -1800, -1800, -1800, -1800}
S(2) = {1800, 1800, -1800, -1800, -1800, -1800}
S(3) = {-1800, 1800, -1800, -1800, -1800, -1800}
S(4) = {-1800, 1800, 1800, -1800, -1800, -1800}
S(5) = {-1800, -1800, 1800, -1800, -1800, -1800}
S(6) = {-1800, -1800, 1800, 1800, -1800, -1800}
S(7) = {-1800, -1800, -1800, 1800, -1800, -1800}
S(8) = {-1800, -1800, -1800, 1800, 1800, -1800}
S(9) = {-1800, -1800, -1800, -1800, 1800, -1800}
S(10) = {-1800, -1800, -1800, -1800, 1800, 1800}
S(11) = {-1800, -1800, -1800, -1800, -1800, 1800}
S(12) = {1800, -1800, -1800, -1800, -1800, 1800}
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【0059】
ここで、バイアス電圧ベクトルS(1)が非励振素子A1乃至A6に対応する可変容量ダイオード12−1乃至12−6に設定されると、アレーアンテナ装置100の主ビームは方位角0゜の方向(励振素子A0から非励振素子A1に向かう方向)に向くように設定される。同様に、各バイアス電圧ベクトルS(2)乃至S(12)が非励振素子A1乃至A6に対応する可変容量ダイオード12−1乃至12−6に設定されると、それぞれ、アレーアンテナ装置100の主ビームは、方位角30°、60°、90°、120°、150°、180°、210°、240°、270°、300°及び330°の方向に向くように設定される。すなわち、バイアス電圧ベクトルS(1),S(3),S(5),S(7),S(9),S(11)の印加はそれぞれ、励振素子A0から各非励振素子A1乃至A6に向かう方向にそれぞれ最大利得を有する6個のセクタビームパターンを形成する。一方、バイアス電圧ベクトルS(2),S(4),S(6),S(8),S(10),S(12)の印加はそれぞれ、励振素子A0から互いに隣接する各非励振素子(A1とA2,A2とA3,A3とA4,A4とA5,A5とA6,A6とA1)間の中間位置に向かう方向にそれぞれ最大利得を有する6個のセクタビームパターンを形成する。
【0060】
ステップS22で、バイアス電圧ベクトルS(i)を、可変容量ダイオード12−1乃至12−6に出力して設定する。このバイアス電圧ベクトルS(i)が設定された状態で、ステップS23において、受信信号y(n)を測定し、これと学習シーケンス信号d(n)とに基づいて、数15を用いて相互相関係数である目的関数値J(0)を計算する。ステップS24において、ステップS23で計算された目的関数値J(0)が、以前に計算された目的関数値Ji−1(0)よりも大きいときは、ステップS25で、バイアス電圧ベクトルV(0)を、バイアス電圧ベクトルS(i)の値で更新して、ステップS27に進む。ステップS24がNO(すなわち、J(0)≦Ji−1(0))のときは、ステップS26で、バイアス電圧ベクトルV(0)を更新せずに、目的関数値J(0)を目的関数値Ji−1(0)の値で更新して、ステップS27に進む。従って、i回目の選択でバイアス電圧ベクトルV(0)が更新されないときは、次のi+1回目の選択において、i−1回目の時点におけるバイアス電圧ベクトルV(0)及びそれの目的関数値J(i−1)に基づいて、i+1回目の選択結果を評価することができる。ステップS27で、初期値の選択がバイアス電圧ベクトルのすべての候補S(i)に対して実行されたとき(すなわち、反復回数iが12に達したとき)は、最終的なバイアス電圧ベクトルV(0)を初期値として選択して図5のステップS3にリターンし、そうでないときは、反復回数iを1だけインクリメントしてステップS22に戻る。
【0061】
バイアス電圧ベクトルの初期値選択処理は、上述のような、予め記憶された複数のバイアス電圧ベクトルから選択することのほかに、全方向性のベクトル(例えば、V(0)={0,0,0,0,0,0})を用いる場合、又はランダムベクトルを用いる場合などがある。本発明者らが行った実験では、ランダムベクトルを初期値として用いた。しかしながら、図6を参照して説明されたバイアス電圧ベクトルの初期値選択処理を用いた場合には、所望波のおおよその到来方向に合わせてビームの指向性を設定することができるので、その後に順次ランダム探索を実行することによって、全方向性のベクトル又はランダムベクトルを初期値として用いたときよりも好ましい結果を得ることが期待される。
【0062】
【実施例】
本発明者らは、図1のアレーアンテナの制御装置のシミュレーションを実行し、その結果について以下に説明する。実験結果を参照して、以上に説明した順次ランダム探索法に基づいて制御されたエスパアンテナのSINR利得(dBo)を評価する。この場合、SINR(信号対干渉雑音電力比)利得は出力SINRと入力SIR(信号対干渉電力比)との差として表され、dBoは、全方向性アンテナと比較された、適応型アンテナによって得られるSINR利得を意味している。本発明者らの実験は、数3の信号モデルに対して実行され、ここで、数4の利得係数vはv=100に選択されている。(Q+1)個のソース信号は、BPSK(バイナリ位相シフトキーイング)モードで発生される。数15で定義されている相互相関係数である目的関数Jのそれぞれを計算するためのデータブロックのサイズは、P=100が採用されている。ブロックの反復回数は、N=100である。
【0063】
本発明者らの行った実験の大部分において、印加される可変容量ダイオード12−1乃至12−6のバイアス電圧は−0.5Vから20Vまでの範囲にわたって設定され、前述のように、バイアス電圧は12ビットでD/A変換されて−2048から2047までのディジタル値(ディジタル電圧)V(m=1,…,6)として表される。本発明者らの実験では、数10に対応して、リアクタンス値xの範囲は−93.6Ωから−4.8Ωまでにわたっている。
【0064】
本発明者らが行なう統計的解析は、SINR利得の累積分布関数(CDF)の値の補数を採用している。CDF値の補数は、SINR利得Zが、与えられた実数zを超える確率を示す。
【0065】
【数16】
Pr(Z≧z)=1−Pr(Z<z)
【0066】
これらのCDF値の補数の計算においては、所望波信号は角度15゜で到来するように固定され、Q=3個の干渉信号のDOA(到来方位角)は0゜から359゜までの範囲で一様にランダムとなるように設定される。入力SIRは、−4.77dB(すなわち、各信号のパワーは1である)と仮定されている。これらの統計には、全部で1000組のDOAが使用されている。可変リアクタンス素子12−1乃至12−6に印加されるバイアス電圧ベクトルの初期値は、ランダムベクトルを用いた。
【0067】
前述したように、数12におけるランダムベクトルR(n)は、「一様」ランダム分布又は「ガウス」分布に属している。図7は、ランダムベクトルR(n)が異なる係数bに基づいた分布範囲[−b(n),b(n)]を有する一様なランダムベクトルである場合の、エスパアンテナのSINR利得の統計的な性能を示すグラフである。以下、図11の実験を除いて、数12のステップパラメータτの値は常に5に設定されている。範囲パラメータの係数bの設定値が100から1500に増大されるとき、統計的な性能は改善され、改善の傾向は飽和状態に向かう。図8のグラフを参照すると、異なる係数σに基づいた分散σ(n)を有する「ガウス」ランダムベクトルR(n)を用いても、エスパアンテナのSINR利得の統計的な性能について、図7のときと同様の現象を観測することができる。分散の係数σ=1500の場合の曲線は、エスパアンテナが70%の確率で少なくとも5dBoのSINR利得を提供できることを意味している。
【0068】
図9に、本発明者らは、ランダムベクトルR(n)の範囲パラメータの係数b又は分散の係数σに対するSINR利得の平均値に係る2つの曲線をプロットしている。平均は、1000組のDOAに基づいて行われている。σ=1500及びb=1500のとき、ガウス分布したランダムベクトルR(n)を用いたときのSINR利得の平均値は、一様分布したランダムベクトルR(n)を用いたときよりも0.8dB大きい。図10で、本発明者らは、一様分布したランダムベクトルR(n)とガウス分布したランダムベクトルR(n)である場合のCDF値の補数に係る2つの曲線を比較している。ここでは、図7のb=1500のときのグラフと、図8のσ=1500のときのグラフとを比較した。明らかに、ガウス分布のときの方が一様分布のときよりも良好に動作している。
【0069】
次に、本発明者らは、ガウス分布したランダムベクトルR(n)を用いたときの数14におけるステップパラメータτの効果について考察する。図11に、本発明者らは、σ=1500のときの、ステップパラメータτに対するSINR利得の平均値の曲線を示している。ステップパラメータτが5より大きいときは、ステップパラメータτはSINR利得にほとんど影響しないものと思われる。
【0070】
図12において、本発明者らは、ガウス分布したランダムベクトルR(n)を用いたときの、異なる入力SNRに対するCDF曲線の補数を比較している。本発明者らは、SNRが30dBから20dBへ変更されたときに、当該曲線がわずかに左にシフトすることを観測している。しかしながら、入力SNRが10dB及び0dBへと低減されると、性能は大幅に低下する。
【0071】
最後に、本発明者らは、入力SNRが30dBである場合に、本発明で提案された順次ランダム探索法(ガウス分布をしたランダムベクトルR(n)を用いたとき)を、第2の従来例に係る純粋なランダム探索法と比較する。図13は、2つの異なる探索法によるCDF曲線の補数を示している。提案された順次ランダム探索法は、明らかに純粋なランダム探索法よりも良好に動作している。1000個のDOAに基づいてSINRを平均することにより、本発明者らは、順次ランダム探索法の平均SINR利得は純粋なランダム探索法の場合より1.7dB高いことを見出す。これは主として、本発明者らが順次ランダム探索法において目的関数の曲面の局所的な連続性の性質を考慮していることによる。
【0072】
<変形例>
以上の実施形態においては、6本の非励振素子A1乃至A6を用いているが、その本数は少なくとも複数本あれば、当該アレーアンテナ装置の指向特性を電子的に制御することができる。それに代わって、6個よりも多くの非励振素子を備えてもよい。また、非励振素子A1乃至A6の配置形状も上記の実施形態に限定されず、励振素子A0から所定の距離だけ離れていればよい。すなわち、各非励振素子A1乃至A6に対する間隔は一定でなくてもよい。
【0073】
以上の実施形態においては、非励振素子A1乃至A6に可変容量ダイオード12−1乃至12−6を接続しているが、本発明はこれに限らず、リアクタンス値を制御可能な可変リアクタンス素子であればよい。可変容量ダイオードは一般に容量性の回路素子なので、リアクタンス値は常に負の値となる。可変リアクタンス素子のリアクタンス値は、正から負の値までの範囲の値をとり、このためには、例えば可変容量ダイオード12−1乃至12−6に直列に固定のインダクタを挿入するか、もしくは、非励振素子A1乃至A6の長さをより長くすることにより、正から負の値までにわたってリアクタンス値を変化させることができる。
【0074】
本実施形態では、目的関数J(n)に、受信信号y(n)と学習シーケンス信号d(n)の相互相関係数を用いたが、それ以外の目的関数を用いてもよい。例えば、相互相関係数J(n)の2乗を用いると、それは数15のような平方根を含む関数ではないので、計算を簡単化することができる。
【0075】
また、バイアス電圧ベクトルV(n)を摂動させるための範囲の分布として、一様分布、ガウス分布だけでなく、それ以外の分布(例えば、ガンマ分布)を用いてもよい。
【0076】
本願明細書に記載された実験では、バイアス電圧ベクトルの初期値としてランダムベクトルを用いたが、図6を参照して説明されたように、予め決められたバイアス電圧ベクトルのセットから最も好ましい初期値を選択してもよい。本発明者らは、ランダムベクトル又は全方向性ベクトルをバイアス電圧ベクトルの初期値に選択した場合と比較して、図6のような初期値選択処理が、SINR利得の基準で、1000シンボル以内の長さの学習シーケンス信号を用いたときにアレーアンテナの指向性パターンを最も速く収束させることを確認している。予め決められたバイアス電圧ベクトルのセットを、表1に例示されたものに限定することは意図しない。
【0077】
以上の実施形態においては、学習シーケンス信号を用いた適応制御処理は実際の通信の開始前に実行しているが、本発明はこれに限らず、通信の最初に行っても、ある時間周期毎に行ってもよい。
【0078】
以上説明したように、本発明に係る実施形態のアレーアンテナの制御方法によれば、エスパアンテナのためのより効率的な「順次」ランダム探索法を提供することができる。この方法においては、装荷される複数のリアクタンス値のランダムな変更が同時に行われる。変更の前後で目的関数値(例えば、相互相関係数)が計算され、次いでその計算値が比較される。変更が目的関数値の増加をもたらせば、これは受容される。そうでないならば棄却され、別の新しいランダムな変更が試みられる。実験は、順次ランダム探索法が、第2の従来例に係る純粋なランダム探索法の場合よりも適応型エスパアンテナの性能を向上させることを示している。
【0079】
本発明者らは、エスパアンテナの適応制御のための順次ランダム探索法を提案している。提案された方法は、目的関数の曲面の局所的な連続性の性質を考慮するものである。実験結果は、提案された順次ランダム探索法の方が純粋なランダム探索法の場合よりも1.7dB向上した平均SINR利得を提供することを示している。さらに、提案された順次ランダム探索法では、ガウス分布をしたランダムベクトルR(n)の方が一様分布よりも良好に動作する。ガウス分布の場合の平均SINR利得は、一様分布の場合よりも約0.8dB大きい。
【0080】
当該アレーアンテナの制御装置は、例えば、移動体通信端末用のアンテナとしてノートパソコンやPDAのような電子機器へ装着が容易であり、また、水平面のどの方向へ主ビームを走査した場合でも、すべての非励振素子が導波器又は反射器として有効に機能し、到来波および複数の干渉波に対する指向特性の制御もきわめて好適である。
【0081】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明に係るアレーアンテナの制御方法によれば、エスパアンテナの制御方法において、各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を所定の初期値からランダムに摂動して設定したときに、相手先の送信機から送信される無線信号に含まれる学習シーケンス信号を上記アレーアンテナにより受信したときの受信信号と、上記学習シーケンス信号と同一の信号パターンを有して発生された学習シーケンス信号との間の摂動前後の所定の相互相関係数を演算し、摂動前後の相互相関係数が増大するときに対応するリアクタンス値を選択して設定した後、上記選択された各可変リアクタンス素子のリアクタンス値から上記ランダムに摂動して設定することを繰り返すステップを含む。従って、探索の反復毎に性能が向上するように学習することができ、最適解への収束時間を大幅に短縮することができる。これにより、計算量を少なくし、長い学習シーケンス信号を必要としない。
【0082】
また、上記アレーアンテナの制御方法において、上記初期値は、好ましくは、所定の複数の放射パターンに対応する上記各可変リアクタンス素子のリアクタンス値のうち、最大の相互相関係数を有する1つの放射パターンに対応する上記各可変リアクタンス素子のリアクタンス値である。従って、最適な初期値から出発して探索することにより、最適解への収束時間を大幅に短縮することができ、計算量を少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係るアレーアンテナの制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】 図1のアレーアンテナ装置100の詳細な構成を示す断面図である。
【図3】 図1の適応制御型コントローラ20によって発生されるランダムベクトルR(n)の範囲パラメータb(n)と分散σ(n)を示すグラフである。
【図4】 (a)は、バイアス電圧ベクトルV(n)を摂動させるランダムベクトルR(n)の確率密度を示すグラフであり、(b)は、上記摂動による目的関数値Jの変化を示すグラフである。
【図5】 図1の適応制御型コントローラ20によって実行される、順次ランダム探索法によるエスパアンテナの適応制御処理を示すフローチャートである。
【図6】 図5のサブルーチンであるバイアス電圧ベクトルの初期値選択処理(ステップS2)を示すフローチャートである。
【図7】 図1のアレーアンテナ装置100のシミュレーション結果であって、一様分布したランダムベクトルR(n)を用いたときのSINR利得に対する累積分布関数値Pr(Z<z)の補数1−Pr(Z<z)を示すグラフである。
【図8】 図1のアレーアンテナ装置100のシミュレーション結果であって、ガウス分布したランダムベクトルR(n)を用いたときのSINR利得に対する累積分布関数値Pr(Z<z)の補数1−Pr(Z<z)を示すグラフである。
【図9】 図1のアレーアンテナ装置100のシミュレーション結果であって、一様分布したランダムベクトルR(n)を用いたときとガウス分布したランダムベクトルR(n)を用いたときとのSINR利得の平均値の比較を示すグラフである。
【図10】 図1のアレーアンテナ装置100のシミュレーション結果であって、一様分布したランダムベクトルR(n)を用いたときとガウス分布したランダムベクトルR(n)を用いたときとの累積分布関数値Pr(Z<z)の補数1−Pr(Z<z)の比較を示すグラフである。
【図11】 図1のアレーアンテナ装置100のシミュレーション結果であって、ガウス分布したランダムベクトルR(n)の分散のステップパラメータτに対するSINR利得の平均値の比較を示すグラフである。
【図12】 図1のアレーアンテナ装置100のシミュレーション結果であって、ガウス分布したランダムベクトルR(n)を用いたときの異なる入力SNRに対する累積分布関数値Pr(Z<z)の補数1−Pr(Z<z)を示すグラフである。
【図13】 従来技術のランダム探索法と本発明の順次ランダム探索法との累積分布関数値Pr(Z<z)の補数1−Pr(Z<z)の比較を示すグラフである。
【符号の説明】
A0…励振素子、
A1乃至A6…非励振素子、
1…低雑音増幅器(LNA)、
2…ダウンコンバータ、
3…A/D変換器、
4…復調器、
5…給電用同軸ケーブル、
11…接地導体、
12−1乃至12−6…可変容量ダイオード、
20…適応制御型コントローラ、
21…学習シーケンス信号発生器、
22…バイアス電圧テーブルメモリ、
100…アレーアンテナ装置。

Claims (3)

  1. 無線信号を受信するための励振素子と、上記励振素子から所定の間隔だけ離れて設けられた複数の非励振素子と、上記複数の非励振素子にそれぞれ接続された複数の可変リアクタンス素子とを備え、上記各可変リアクタンス素子に設定する各リアクタンス値を変化させることにより、上記各非励振素子をそれぞれ導波器又は反射器として動作させ、アレーアンテナの指向特性を変化させるアレーアンテナの制御方法において、
    所定の初期値にランダムに発生したランダム値を加算してなる加算値をそれぞれ、上記各可変リアクタンス素子のリアクタンス値として設定することにより、上記各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を上記初期値からランダムに摂動して設定する第1のステップと、
    設定された上記各可変リアクタンス素子のリアクタンス値のもとで、相手先の送信機から送信される無線信号に含まれる学習シーケンス信号を上記アレーアンテナにより受信したときの受信信号と、上記学習シーケンス信号と同一の信号パターンを有して発生された学習シーケンス信号との間の摂動前後の所定の相互相関係数を演算し、摂動前後の相互相関係数が増大するときに対応するリアクタンス値を選択して設定する第2のステップと、
    上記選択された各可変リアクタンス素子のリアクタンス値にランダムに発生したランダム値を加算してなる加算値をそれぞれ、上記各可変リアクタンス素子のリアクタンス値として設定することにより、上記各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を上記選択された各可変リアクタンス素子のリアクタンス値からランダムに摂動して設定する第3のステップと、
    上記第3のステップを実行した後上記第2のステップを実行し、当該処理を所定の回数だけ繰り返す第4のステップとを含むことを特徴とするアレーアンテナの制御方法。
  2. 上記初期値は、所定の複数の放射パターンに対応する上記各可変リアクタンス素子のリアクタンス値のうち、最大の相互相関係数を有する1つの放射パターンに対応する上記各可変リアクタンス素子のリアクタンス値であることを特徴とする請求項1記載のアレーアンテナの制御方法。
  3. 上記複数の放射パターンは、
    (a)上記励振素子から各非励振素子に向かう方向にそれぞれ最大利得を有する複数のセクタビームパターンと、
    (b)上記励振素子から互いに隣接する各非励振素子間の中間位置に向かう方向にそれぞれ最大利得を有する複数のセクタビームパターンと、
    のうちの少なくとも1組を含むことを特徴とする請求項2記載のアレーアンテナ制御方法。
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