JPWO2007072710A1 - 指向性可変アンテナ - Google Patents

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Abstract

本発明の指向性可変アンテナは、給電素子10を取り囲むZ軸に平行な3本以上の線状の無給電素子本体21を有し、無給電素子本体21は、それぞれZ軸に平行な二本以上の素子片211等と、第1スイッチ素子51等とからなり、無給電素子2は、さらに、オン時には隣接する二本の無給電素子本体21を導通させ、オフ時に隣接する無給電素子本体21を電気的に絶縁する1個以上の第2スイッチ素子55等を有し、前記1個以上の第1スイッチ素子51等および前記1個以上の第2スイッチ素子55等のオン、オフを切り替えることにより指向性が変化する。これにより、線状アンテナの放射指向性を垂直面で変化させ、かつ無給電素子のためにアンテナ全体の長手(長軸)方向の長さが長大化しない指向性可変アンテナを実現することができる。

Description

本発明は、マイクロ波、ミリ波などの高周波電磁波を利用した装置に用いられる指向性可変アンテナに関する。
携帯電話に搭載されるホイップアンテナなどの線状アンテナは、通常、通話時に端末を立てて保持する場合にアンテナが大地に対して垂直になるように設計される。このとき、線状の給電導体に対して垂直な平面(水平面)内で等方的な指向性を有している。この様子を図14に示す。大地に対して直立した端末1021のアンテナ放射指向性1031が大地(水平面)に対して平行方向となることで広範囲に放射利得を得られるため、基地局1001とのアクセスのために好都合である。
しかし、携帯電話を情報端末として利用する場合には端末を寝かせて利用することが多い。このように大地に対して寝かせた端末1022の線状アンテナの給電導体の方向は水平に近くなり、放射利得の得られる方向が傾くために基地局1001へ向かう方向の放射利得が得られず、通信感度が低下する恐れがある。
この問題を解決するためには、アンテナの放射利得をアンテナの長手方向を含む平面(垂直面)内で変化させた放射指向性(1033で示す)が必要になる。
また、主に屋内で使用される無線LANの場合は、人の往来で電波が妨害されたり、マルチパスによるフェージングにより通信が確立しづらい場所が生じたりする。この傾向は、通信に利用される周波数が上がると、電磁波の回折が弱くなるために、特に顕著に現れる。そのため、より高い周波数を利用する通信方式が一般化されていく際に大きな問題となる。
これらの課題を解決する一つの方法として、直接到来波を受信して通信が確立できる方向のアンテナの放射利得を向上し、妨害波が到来する方向の利得を低下させることで干渉を抑圧し通信の感度を向上させる方法がある。そのために、電波伝搬の状況に応じて放射指向性を変更できるアンテナが必要である。
一方で、モノポールアンテナやダイポールアンテナなどの線状導体を利用するアンテナは回転対称軸(長手方向)に対して軸対称な放射指向性を有する。 このようなアンテナに、無給電導体素子を併用して水平面内の指向性を変化させるアンテナについて多くの提案がされており、例えば特許文献1などがある。
このようなアンテナは給電素子の外側に設けた無給電素子と給電素子の結合度を最適化して利用するために半波長から4分の1波長程度の距離を離す必要があり、アンテナ全体の占有体積が大型化しやすいという課題がある。
これを改善する技術の一例として特許文献2がある。この技術を図16に示す。この発明は、線状の給電導体素子163以外に、給電導体素子163を中心とする円周上に少なくとも2本以上の線状導体を配置し、該線状導体は少なくても2個の長さの異なる線状導体164および166をスイッチング素子165によって接続した構造であり、スイッチング素子165を駆動するための制御部への接続手段(169および160)を有し、制御部が任意の前記スイッチング素子を駆動して当該スイッチング素子を開閉する手段を設けたアンテナ装置である。
特許文献2によれば、無給電の線状導体素子のスイッチングにより所定の長さを設定して導波器として機能させた場合、導波器を設けた方向に放射指向性を向けることができ、水平面内の放射特性を制御することができる。
また、使用しない無給電線状導体は、スイッチにより所定の電磁波に対して影響を与えない長さとすることができるため、無給電線状導体を給電導体素子に近接して配置することができ、給電導体素子の周りでアンテナが占有する空間を小型化できるというメリットがある。
このようなアンテナを携帯電話などの携帯用無線通信端末に搭載することを想定すると、保持する体勢が変わったり、通信状態が変わったりした場合でも、放射指向性を制御することにより、アンテナの利得を改善し、通信感度を向上する効果が期待できる。
しかし、特許文献2に記載されている技術によれば、水平面内の放射指向性制御しか実現できず、垂直面内の放射指向性制御ができないという課題がある。垂直面内の放射指向性を変化させるためには、給電素子をその長手方向に複数配列してアレー(コリニアアレー)を形成、素子間の位相を制御することで実現可能である。この技術の一例が特許文献3に開示されている。以下、図18を参照しながら、特許文献3に示された技術を説明する。
図18に示すアンテナは、誘電体181を挟み、同心円状に配設された一対の円筒導体189、180と、前記一対の円筒導体189、180のうちの外側の円筒導体189に0.7波長未満の間隔で周期的に設けられた複数の環状スロット182と、該複数の環状スロット182の周りにそれぞれ各スロットを挟んで対称に配設され、円筒形スカートにより形成される複数の半波長ダイポールアンテナ素子183と、前記一対の円筒導体のうちの内側の円筒導体180の内部を貫通するように設けられ、前記一対の円筒導体の内側および外側の円筒導体189、180とそれぞれ導通する外導体および内導体を有する同軸給電線184とを有する。
周期的に配列された環状スロット182により、隣接するアンテナ素子183間に一定の位相差が生じるように給電されるため、垂直面のビームチルトが実現される。
しかし、特許文献3に開示された技術では、水平面内の放射指向性の制御ができないことに加え、アンテナ素子を多段に縦列に配列するため、配列した段の数に応じてアンテナ装置が長大化し、小型化が要求される携帯用無線通信端末に搭載するには不向きである。
この課題を解決する別の技術として特許文献4がある。この発明を図17に示す。この発明は、線状放射素子(給電素子)170と、給電素子と平行で、かつ一定の距離を保つように配置され、1つで所望の送信周波数の半波長の長さを有するか、2つ以上の素子がスイッチ172を介して接続されて長さを有する少なくとも1つの線状無給電素子173と、前記線状放射素子170の一端に近接して配置された、互いに平行な2つの腕部を備えるU字型無給電素子171とを有し、前記U字型無給電素子171は、前記2つの腕部を含む平面に垂直な方向から見た場合に、前記線状放射素子170の一端が前記2つの腕部の間に該腕部の端部側から挿入された配置になっていることを特徴とする線状アンテナである。
特許文献4によれば、線状無給電素子173を多数に分割してスイッチ172で接続することにより、垂直面及び水平面の両方で、給電素子と相互作用させる無給電素子の位置を可変することができる。
そのため、垂直面内での放射指向性の変化が実現できる。なお、U字型無給電素子171は、整合を取るために設けられたものであり、本発明の課題である放射指向性の制御とは本質的に無関係である。
特開2001−024431号公報 特開2001−127540号公報 特開平05−160630号公報 特許第3491682号公報
特許文献4に記述されているように、反射器として用いる無給電素子は、略半波長の長さが必要であり、導波器として用いる無給電素子においても、給電素子と近接して用いるためには、実質的に半波長程度の長さが必要である。
放射指向性を垂直面内において変化させるためには、導波器または反射器として機能させる無給電素子の中心位置を給電素子の中心位置から長手(長軸)方向に(すなわち水平面に対して垂直な方向へ)ずらす必要がある。このような設計例を図15に示す。
給電素子対10の長さD2に対し、直線型無給電素子20の長さL2はほぼ同等の長さである。垂直面内で仰角方向に放射指向性を変化させるためには、給電素子対10の長手方向に直線型無給電素子の中心をずらす必要がある。図15ではこの長さをL1としている。
しかし、互いの中心位置をずらした長さだけアンテナ全体が長くなる。そのために、アンテナの占有体積が増大し、小型化が要求される携帯用無線通信端末には望ましくないという課題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、ダイポールアンテナなどの線状アンテナの放射指向性を、給電素子を含む平面(垂直面)および給電素子に垂直な平面(水平面)内で制御することができ、かつ無給電素子のためにアンテナ全体の長手(長軸)方向の長さが長くならないアンテナ装置を提供することにある。
本発明の指向性可変アンテナは、Z軸に平行な線状導体からなる給電素子(11、12)と、無給電素子(2)とを有し、前記無給電素子(2)は、前記Z軸に平行なn本の線状(nは3以上の自然数)の無給電素子本体(21a、21b、21c、21d)を有し、前記無給電素子本体(21a、21b、21c、21d)は、前記給電素子(11、12)の周囲を取り囲むように配置され、前記無給電素子本体(21a、21b、21c、21d)は、それぞれ、前記Z軸に平行に配列された複数の素子片(211a〜211h、212a〜212h、213a〜213h、214a〜214h)と、前記素子片(211a〜211h、212a〜212h、213a〜213h、214a〜214h)の間を導通され得る少なくとも1個の第1スイッチ素子(51、52、53、54)とを有する、指向性可変アンテナ(1)であって、前記無給電素子(2)は、さらに、前記n本の無給電素子本体(21a、21b、21c、21d)のうちの隣接する2つをオン時には電気的に接続し、オフ時には電気的に絶縁する少なくとも1個の第2スイッチ素子(55、56、57、58)を有し、前記少なくとも1個の第1スイッチ素子(51、52、53、54)および前記少なくとも1個の第2スイッチ素子(55、56、57、58)のオン、オフを切り替えることにより指向性が変化する。
好ましい実施形態において、前記無給電素子本体(21a、21b、21c、21d)と前記給電素子(11,12)との距離が、放射する電磁波の波長の1/4以下である。
好ましい実施形態において、前記無給電素子本体(21a、21b、21c、21d)は、それぞれ給電素子(10)よりも長さが短い。
好ましい実施形態において、前記無給電素子(2)は、さらに、前記第1スイッチ素子(51、52、53、54)および/または第2スイッチ素子(55、56、57、58)が実装された平面基板(31、41)を具備し、前記平面基板(31,41)の位置が前記給電素子(11、21)によって保持されている。
本発明の指向性可変アンテナによれば、アンテナの長手(長軸)方向サイズを無給電素子のために長大化させることなく、放射指向性を給電素子の長手方向を含む平面(「垂直面」)内および給電素子に垂直な平面(「水平面」)内において所望の方向に変化させることが可能になる。
本発明の実施形態における指向性可変アンテナを示す斜視図である。 (a)および(b)は、いずれも、本実施形態の指向性可変アンテナに実装される平面基板の平面図である。 (a)から(c)は、本実施形態の指向性可変アンテナにおいて、無給電素子の素子片間、および分岐素子部間の接続を示す斜視図である。 (a)および(b)は、本実施形態の指向性可変アンテナにおいて、給電基板による給電方法を示す斜視図である。 本実施形態の指向性可変アンテナにおいて、スイッチの実装形態を示す模式図である。 (a)は、本実施形態の指向性可変アンテナにおいて導体部分とスイッチによる原理的な構成を示す斜視図であり、(b)は、無給電単位素子の斜視図である。 (a)は、本実施形態の指向性可変アンテナにおいて、無給電単位素子の接続とスイッチの開閉を示す無給電素子の二次元模式図であり、(b)は、(a)に示す無給電素子を有するアンテナの斜視図である。 本実施形態の指向性可変アンテナの実施例におけるYZ平面での断面図である。 (a)は、本実施形態の指向性可変アンテナの実施例において、長軸方向に垂直な断面図であり、(b)〜(e)は、各平面基板の導体パターン図である。 本実施形態において指向性可変アンテナと、所定の方位角の方向の垂直面の関係を示す模式図である。 (a)〜(d)は、本実施形態の指向性可変アンテナの実施例において、無給電単位素子の配列と、スイッチの開閉を示す無給電素子の二次元模式図である。 (a)〜(d)は、本実施形態の指向性可変アンテナの実施例において、図10の各々の無給電素子設計に対応する放射指向性利得のパターン図である。 直交座標系と方位角、仰角の方向を定義する模式図である。 携帯電話を情報端末として利用する場合の線状アンテナの課題を示す模式図である。 従来の技術である線状無給電素子を用いるアンテナ装置の平面図である。 (a)〜(c)は、従来の技術におけるスイッチ切り替え型セクタアンテナの説明図である。 従来の技術における垂直面放射指向性切り替え型アンテナの説明図である。 従来の技術におけるコリニア、アレーアンテナの説明図である。
符号の説明
1 指向性可変アンテナ
2 無給電素子
10 給電素子対
11、12 給電素子
21 無給電素子の無給電素子本体
211〜214 無給電素子の素子片
31 第1平面基板
310、410 貫通孔
321 導体パターン
324、424 ヴィアホール
41 第2平面基板
42〜44 無給電素子の分岐素子部
51〜58 スイッチ
60 給電基板
61 送受信機
62、63 給電線路
70 PINダイオード
71、72 キャパシタ
73 直流電源
710、720 制御線路
711、721 ローパスフィルタ
712、722 制御リード線
713、715、723、725 インダクタ
81〜84、800 無給電単位素子
101、102 給電素子上の貫通孔
163 スリーブアンテナ
164 無給電素子(寸法の長い線状導体)
165 ダイオードスイッチ回路
166 追加素子(寸法の短い線状導体)
167 誘電体基板
168 レドーム
169 RF阻止用コイル
170 線状放射素子
171 U字型無給電素子
172 スイッチ
173 線状無給電素子
181 誘電体
180、189 円筒導体
182 環状スロット
183 半波長ダイポールアンテナ
184 同軸給電線
1001 基地局
1021、1022 携帯電話
1031、1032、1033 放射指向性の模式図
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を説明する。
なお、以下の説明においては、「結合」、「接続」、「導通」の用語を異なる意義を有するものとして使い分けている。2つの要素間の「結合」は、それらの要素間における電磁結合を意味し、要素間でエネルギのやりとりは生じるが、外見上は連続していない。2つの要素間の「接続」は、特に他の修飾語と組み合わせられない限り、2つの要素が外見上連続していることを意味する。ただし、「電気的接続」は、以下の「導通」と同じ意味で使用し得る。2つの要素間の「導通」は、2つの要素間を直流電流が流れ得る状態にあることを示し、「短絡(ショート)」または「電気的接続」と同意義である。
(実施形態)
まず、図1と図2を参照しながら、本発明による実施形態を説明する。
最初に、本明細書において使用するXYZ座標系と仰角θと方位角φの関係を図13に示す。3次元空間に任意の点Pがあるとき、原点Oに対し点Pの方向は、次のように仰角θと方位角φで表せる。
Z軸上で正の方向にある任意の点Aから定義する角P−O−Aが仰角θであり、点PをXY平面に正射影した点をP1とするとき、原点Oに対しX軸上で正の方向にある任意の点Bを介して、Z軸の正の方向から見て原点を中心として点Bから反時計回りに定義する角P1−O−Bが方位角φである。
本明細書において、アンテナの長手(長軸)方向をZ軸とするので、仰角θとはアンテナの長手(長軸)方向を含む面内(これを垂直面と呼ぶ)でのZ軸の正の方向から測った角度を表し、方位角φはアンテナの長手(長軸)方向に垂直な面内(これを水平面と呼ぶ)でのX軸の正の方向から測った角度に相当する。
本明細書においては、参照符号の末尾に小文字のアルファベット(a、b、c、d・・・)を付することがある(たとえば、「素子片211a」など)。これは複数個の同じ部材が用いられている場合、各部材を厳密に区別する場合に用いている。参照符号のみであり、小文字のアルファベットが付されていない場合(たとえば、「素子片211」など)には、当該参照符号は、複数個の同じ部材を全て包含している。
図1は、基板の多層化を利用して形成する本発明の指向性可変アンテナ1(以下、単に「アンテナ1」ということがある)の斜視図である。
本実施形態の指向性可変アンテナ1は、給電素子対10と無給電素子部2とを備えている。
給電素子対10は、アンテナの中心を貫通する線状もしくは棒状の導体である一対の給電素子11、12から構成された1本のダイポールアンテナとして機能する。本実施形態では、給電素子11および給電素子12の両方がZ軸上に配置されている。
無給電素子2は、給電素子対10に平行な棒状導体からなる無給電素子本体21と、その主面の法線方向が給電素子対10に対して平行となるように配置された複数の第1平面基板31および第2平面基板41とを備えている。
無給電素子本体21は、Z軸に平行に配置され、相互に絶縁された4本の棒状導体21a〜21dから構成されている。これら4本の棒状導体21a〜21dは、全体として給電素子対10を取り囲むように配置されている。それぞれの棒状導体21は、第1平面基板31および第2平面基板41により、各々が短い長さを有する複数の棒状導体(これを「素子片」と呼ぶ)に分割されている。すなわち、無給電素子本体21aは、素子片211a、211b、・・・、211hから構成され、無給電素子本体21bは、素子片212a、212b、・・・、212hから構成されている。他の無給電素子本体21c、21dも、無給電素子本体21a、21bと同様に、複数の素子片から構成されている。
本実施形態の無給電素子2には、5枚の第1平面基板31a〜31eが用いられており、それぞれの主面法線はZ軸の方向を向くように配置されている。同様に、本実施形態の無給電素子2には、4枚の第2平面基板41a〜41dが用いられており、それぞれの主面法線はZ軸の方向を向くように配置されている。第1平面基板31上には、それぞれ、導体パターン321〜352などが形成され、スイッチ51〜54が実装されている。第2平面基板41上には、それぞれ、導体パターン42〜45などが形成され、スイッチ55〜58が実装されている。
給電素子11、12は、これらの第1平面基板31および第2平面基板41の中央を順次貫いている。複数の第1平面基板31および第2平面基板41は、相互に直接には接触せず、互いに距離を空け、給電素子対10に沿って配列されている。
なお、図1では、第1平面基板31と第2平面基板41が、給電素子対10に沿って交互に配列した例を示している。しかし、必ずしも交互に配列される必要はなく、例えば複数の第1平面基板31が間に第2平面基板41を挟むことなく連続していても良い。また、図1では、第1平面基板31および第2平面基板41の間隔がすべて等しいように記載されているが、平面基板31,41の間隔は一定である必要はない。第1平面基板31および第2平面基板41のそれぞれの枚数も、図1に示す枚数(それぞれ5枚および4枚)に限定されない。
図2(a)および(b)は、それぞれ、第2平面基板41および第1平面基板31の平面レイアウトを示している。第1平面基板31には、それぞれ、互いに同一の導体パターンが設けられており、第2平面基板41にも、それぞれ、互いに同一の導体パターンが設けられている。図2は、これらを代表して第1平面基板31bの導体パターンと第2平面基板41aの導体パターンとを示している。
図2(a)に示す第2平面基板41の平面形状は正方形であり、その中心はZ軸上にある。四辺がX軸、およびY軸のいずれかと平行な方向を向いている。第2平面基板41には、その四隅に沿った4個のL字型の導体パターン42〜45と、給電素子対の貫通孔410とが形成されている。すなわち、方位角45度の方向にある導体パターン42は、X軸に平行な短冊形の導体パターン422と、Y軸に平行な短冊形の導体パターン421の、平面基板の頂点に近い側の互いの端部(点A)を共有するように接続してL字型を形成している。
このL字型の導体パターン42は、上述の無給電素子本体21に対して垂直な面内にあり、後に述べるように無給電素子本体21aと導通して無給電素子2の一部として用いられる。このようにL字型の導体パターン42は、無給電素子本体21から分岐した形状であるので、無給電素子2の分岐素子部(以下、単に「分岐素子部」)と呼ぶ。
同様にして、方位角135度の方向にある導体パターン43は、X軸方向に平行な短冊形の導体パターン431とY軸方向に平行な短冊形の導体パターン432の、平面基板の頂点に近い側の互いの端部(点D)を共有するように接続してL字型の導体パターン43を形成したものである。
分岐素子部である導体パターン422と431は、放射する電磁波の波長よりきわめて短い一定の距離を離間して絶縁されており、その間における導体パターン422側の端部(点B)と導体パターン431側の端部(点C)の間はスイッチ55で接続されている(図1)。
同様に、方位角225度の方向と方位角315度の方向にある導体パターンは、それぞれX軸方向に平行な短冊形の導体パターンとY軸方向に平行な短冊形の導体パターンの、平面基板の頂点に近い側の端部(点Gおよび点J)を共有するように接続されてL字型の導体パターン44および45を形成している。
各々のL字型の導体パターン間は、放射する電磁波の波長よりきわめて短い一定の距離を離間して絶縁されており、スイッチ(番号は不図示)で接続されている(図1)。
次に、図2(b)に示す第1平面基板31の導体パターンを説明する。第1平面基板31は、第2平面基板41と同一形状および大きさを有しており、その中心がZ軸上にある。給電素子対10の貫通孔310を中心に、方位角45度、135度、225度、315度の方向に導体パターンが形成されているが、これらは互いにX軸及びY軸に対して鏡面対称な形状であるので、方位角45度の方向の形状について特に説明する。
方位角45度の方向には、二つの導体パターン321、322があり、これらは互いに絶縁されている。これらは、平面基板31、41を接続する棒状導体である素子片212の間をスイッチによって導通させるために形成されている。例えば第1平面基板31bの場合、素子片211bと素子片211cとの間がスイッチ51bによって電気的に接続される。
導体パターン321bは、基板の頂点の近傍に一方の端部(点M)を有しており、点Mにおいて素子片211bと接続される。導体パターン321bの他方の端部を点Nとする。導体パターン322上の点を点Pで表すと、点Pと点N間はスイッチ51bで接続される(図1)。導体パターン321と導体パターン322などの平面基板31上の導体パターンは、スイッチの実装上の必要に応じて形成する部分であり、損失が増大しない限り、その大きさは波長に比べてきわめて小さいことが望ましい。
このような2種類の第1平面基板31および第2平面基板41上における導体パターンは、給電素子対10に対して電気的には接触していない。ただし、第1平面基板31および第2平面基板41は、給電素子対10と構造的に接触している。具体的には、給電素子対10が貫通する貫通孔310、410がそれぞれの平面基板31、41の中央に設けられており、この貫通孔310、410との接触によって平面基板31、41は固定されている。その結果、給電素子対10に対する平面基板31、41の位置と方向、および、平面基板31、41の相対的な間隔と方向が決定される。
本実施形態では、無給電素子2の分岐素子部(42、43、44、45)が形成する多角形(ここでは正方形)の内部に貫通孔310、410が位置し、これらの貫通孔310、410が上述したように給電素子対10を貫通させて固定している。
本実施形態では、平面基板31、41が、それぞれ、給電素子10に沿って等間隔で配置されている。また、第1平面基板31および第2平面基板41の四隅の方向が同じ方向を向くように(すなわち、平面基板の四隅の方向が、例えば方位角45度、135度、225度、315度方向となるように)設けられている。
次に、図3(a)〜(c)を参照しつつ、平面基板31、41上の導電パターンと無給電素子本体21との接続を説明する。
まず、図3(a)を参照する。図3(a)は、第2平面基板41aの方位角45度方向の拡大斜視図である。第2平面基板41aの上面には、分岐素子部であるL字型の導体パターン42aが設けられており、その裏面には、導体パターン423aが設けられている。導体パターン423aは、上面のL字型の導体パターン42aの屈曲部である点Aの直下である点A2を含むように設けられている。
棒状導体である素子片211aおよび211bは、第2平面基板41aの図示された点に接続される。すなわち、素子片211aは、基板の上面側の点Aに接続され、素子片211bは裏面の点A2に接続される。さらに、第2平面基板41aには、点Aと点A2を基板内で接続するヴィアホール424aが設けられている。従って、素子片211a、211b、および導体パターン42a、423a、ヴィアホール424aは、すべて電気的に相互に接続されている。
上記の構成は、後述する図6(b)に示す無給電単位素子800と電気的に等価である。従って、素子片211a、211bは、別々の部材である必要は無い。これらの素子片211a、211bを一体の棒状導体から形成してもよい。この場合、点Aと点A2を通る貫通孔を平面基板41aに設け、この貫通孔を上記の棒状導体に通過させ、導体パターン42a、423aと電気的に接触させるようにしてもよい。この場合、ヴィアホール形成用の導体パターンとして機能する導体パターン423aは、不要になることもある。
図3(b)は、第1平面基板31bの方位角45度方向の拡大斜視図である。第1平面基板31bの上面には、二つの導体パターン321b、322bが設けられ、その裏面には導体パターン323bが設けられている。導体パターン321bの一端は、第1平面基板31bの頂点の近傍の点Mを含み、点Mにおいて素子片211bと接続されている。導体パターン321bの他方の端部(点N)は、導体パターン322b(点Pを含む)との間をスイッチ51bで接続される。導体パターン322b上の点Pと、点Pの直下にある裏面の点P2(裏面の導体パターン323bに含まれる)との間はヴィアホール324bを介して接続される。裏面のパターン323bは、点P2から基板の頂点近傍の点M2(点Mの直下に位置する)に到る形状になっていて、点M2において棒状導体である素子片211cと接続されている。
スイッチ51bが導通状態のとき、素子片211bと素子片211cとは導通し、スイッチ51bが開放状態のとき、素子片211bと素子片211cとの間は開放される。
図3(c)は、第2平面基板41aの方位角90度方向の拡大斜視図である。第2平面基板41aの上面には二つの導体パターン422a、431aが、それぞれの端部(点B、点C)を近接させて設けられており、スイッチ55aで点B−点C間が接続されている。従って、スイッチ55aが導通状態のとき、導体パターン422aと導体パターン431aとは導通し、スイッチ55aが開放状態のとき、導体パターン422aと導体パターン431aとの間は開放される。
これらの2種類の平面基板31、41を、給電素子対10を中心軸として順次配列し、隣接する平面基板31、41間を棒状導体である素子片211、212、213、214で接続することにより、図1の指向性可変アンテナ1が実現する。
なお、平面基板の材料としては、一般に高周波回路で使用される低損失な基板材料が望ましい。例えば、ガラスエポキシ樹脂基板、セラミック基板、半導体基板などで実施が可能である。導体パターンは銅やアルミニウムなどでプリント技術やメッキ加工により形成できる。
スイッチとしては、手動式のスイッチでも良いし、PINダイオードやFETなどの半導体スイッチでも実現可能である。
図4を参照して、本実施形態におけるアンテナへの給電方法を説明する。図4は、一対の給電素子11、12の間に配置された平面基板60を示している。この平面基板60は、図1では、第1平面基板31cとして記載されている。
平面基板60の両面には、対向する位置に短冊型の給電線路62、63が設けられている。給電線路62および63は、それぞれ、基板中央部で給電素子11および12に接続するように、基板端から基板中央部に向かって延びている。給電線路62および63は、平面基板60の端部において送受信機61に電気的に接続される。図4(b)に示すように、給電線路62、63に整合用スタブ621などを設けることにより、アンテナの整合を改善することも可能である。
図1に示す実施形態では、第1平面基板31cを給電用平面基板60として用いているが、給電用の平面基板60としては、他の平面基板31、41のいずれかを用いることもできるし、第1平面基板31および第2平面基板41以外に給電線路対のみを設けた基板を追加的に導入して使用することもできる。また、給電用平面基板60の大きさおよび形状は、上記の他の平面基板と同一でなくても良い。
次に、図5を参照して、図3のスイッチの実装形態をより詳細に説明する。図5はスイッチ55の実装に関する第2平面基板41の模式図である。
ここでは、第2平面基板41を選び、導体パターンとして設けられた分岐素子部422と分岐素子部431との間を接続するスイッチ55としてPINダイオード70を用いる例を説明する。ここで説明することは、他の平面基板、他の位置のスイッチについても同様に適用可能であり、スイッチとしてFETなどの3端子素子を用いる場合にも応用され得る。
本実施形態における給電素子対10は、中空円筒状の導体であり、表面に微小な貫通孔101、102が設けられている。なお、給電素子対10の構成は、このような例に限定されない。
図5に示される例では、第2平面基板41上に、導体パターンである分岐素子部422、431がそれぞれの端部(点Bおよび点C)を対向させて設けられている。また、分岐素子部422、431のそれぞれの端部を接続するようにスイッチ55が実装されている。
スイッチ55には、二本の制御線路710および720が接続されている。制御線路は、ローパスフィルタ711または721のいずれかを経由して給電素子対10の内部へ到り、直流電源73へ接続されている。
スイッチ55は、キャパシタ71および72と、PINダイオード70とから構成されており、分岐素子部422、431の端部の間が、直列に接続されたキャパシタ、PINダイオード、およびキャパシタによって契合している。
スイッチ55の両端に位置するキャパシタ71、72の外側の端子が、第2平面基板41上の導体パターンの点Bおよび点Cにそれぞれ接続されている。キャパシタ71、72は、直流電流をカットする役割であり、分岐素子部422および431に対し、PINダイオード70は直流的に遮断されている。
なお、点Bおよび点Cは、分岐素子部422、431の端部を表す符号にすぎず、実装は、フリップチップやワイヤーボンディングなどの技術を利用して実行される。
スイッチ55においてキャパシタ71とPINダイオード70とを接続している線路の途中から制御線路710(点C2−点C5間)が分岐し、キャパシタ72とPINダイオード70とを接続する線路の途中から、他方の制御線路720(点B2−点B5間)が分岐している。それぞれの制御線路は、平面基板上の導体パターン(不図示)として形成され、ローパスフィルタ711または721の端子(点C2および点B2)に接続されている。
ローパスフィルタの他方の端子である点C5および点B5は、給電素子対10内部を通過する制御リード線712または722へ接続されている。制御リード線712および722は、例えば給電基板60上において、給電素子対10の外部へ達し、さらにその末端の直流電源73まで接続される。
それぞれのローパスフィルタは、インダクタとキャパシタからなるT型回路の構成である。ローパスフィルタ711の具体的な構成は、スイッチ側へ直列に接続されるインダクタ713と、並列に接続されるキャパシタ714と、直流電源側のインダクタ715とから構成されている。ローパスフィルタ721および図示しない他のローパスフィルタについても、同様の構成を採用することが可能であるので、これらのローパスフィルタについての詳細な説明は省略する。
ローパスフィルタとしては、貫通コンデンサなどのEMIフィルタを用いることができ、給電素子対10に設けられた貫通孔101を通過させて実装して利用することが可能である。貫通孔101の部分で並列キャパシタ714のアース側端子を給電素子対10に接続する。これらの貫通孔101の直径は、放射する電磁波の波長に比べて極めて小さいこととする。
リード線付の貫通コンデンサを利用する場合は、リード線自体がインダクタンスとして利用できる。給電素子対10の内部を通過させるリード線712も、誘導性である線路を利用することにより、スイッチの制御線路端子である点B2およびC2から、直流電源に到る制御線路の末端までを全体としてローパスフィルタとして構成することができる。給電素子対101の内部の中空の領域を導波管として機能させ、放射する周波数がカットオフ周波数以下となるように設計すれば、アンテナから放射する電磁波が給電素子対10の内部の中空部分を伝搬しないようにすることが可能になる。
上述した構成を採用することにより、図5に示す外部の直流電源73の操作により、スイッチ55の導通/開放を切り替えることができる。
以下、図6および図7(a)、(b)を参照しつつ、本実施形態における無給電素子2の構成を説明する。図6および図7(b)は、本実施形態のアンテナの原理的構成を説明するための3次元的な模式図であり、図7(a)は、図7(b)に対応する2次元的な模式図である。
図6(a)および図7(b)では、図1における指向性可変アンテナ1の導体部分の主要形状とスイッチのみが等価的に記載されている。すなわち、図1の第1平面基板31および第2平面基板41の誘電体部分、図3(b)に示す導体パターン(導体パターン321bなど)、図4に示す給電線路62、および63、図5に示す制御線路710のような、本実施形態の指向性可変アンテナを実現するための最低構成要素に該当しない部分は図示が省略されている。残る部分が、本実施形態における指向性可変アンテナの放射特性に関わる主要な構成要素である。すなわち、給電素子対10と、給電素子対10(すなわち給電素子11および12)に平行な棒状導体である無給電素子本体21と、給電素子対10に対して垂直な平面上にあり無給電素子本体から分岐した導体パターンである分岐素子部421aなどと、スイッチ55a、および51bなどが本実施形態における主要な構成要素である。
図では、無給電素子本体21と分岐素子部421などを四角柱で示し、スイッチを直方体で表現している。図6(a)の無給電素子本体21を構成する導体部分は、図6(b)に表す無給電単位素子800を複数配列した構成を備えている。
素子片211a、211bと、分岐素子部42a(すなわち分岐素子部421aと分岐素子部422a)とから、無給電単位素子81aが構成される。同じように、素子片212a、212bと分岐素子部43a(すなわち分岐素子部431aと分岐素子部432a)から、無給電単位素子82aが構成される。
なお、図6(a)では、導通/開放の切り替えの効果が小さいため、図1の指向性可変アンテナの両端に位置する第1平面基板31a、31eに実装されたスイッチ51a〜54aなどを省略している。
図6(a)では、図6(b)に示す無給電単位素子800と電気的に等価な形状の複数の無給電単位素子が規則的に所定の向きで配列して形成する「格子」の中に、給電素子対10が格納されている。無給電単位素子800は、棒状導体である素子片801の中心から、素子片801に垂直な面内において、互いに90度をなす角度で二本の等しい長さの棒状導体である分岐素子部802および803が接合されている。隣接する無給電単位素子800の間をスイッチが接続しており、スイッチの開閉の切り替えにより、隣接する無給電単位素子800間の電気的接続を変更することができる。
上記の構成により、制御すべき電磁波の周波数および放射指向性が決定される。以下、無給電単位素子の形成する「格子」の形状について更に詳しく説明する。
直線状もしくは棒状導体である給電素子対10の中心軸がZ軸上にあるとき、無給電単位素子81aの素子片211aおよび211bをZ軸に平行に、分岐素子部422aをX軸、分岐素子部421aをY軸に平行に設定する。同様に、無給電単位素子82aについても、素子片212aおよび212bをZ軸に平行に、分岐素子部431aをX軸、分岐素子部432aをY軸に平行に設定する。このとき、分岐素子部422、431は、給電素子対10に対して垂直な同一のXY平面上にあることとする。
分岐素子部422aと分岐素子部431aはX軸に平行な同一直線上で一定の距離を離れて向き合う配置であり、スイッチ55aで接続される。分岐素子部421a、422a、431aおよび432aの接続によってコの字型を形成し、コの字の開放部が、給電素子対10の方向(ここでは、Y軸の負の向き)を向くようにする。同様に、無給電単位素子83aと無給電単位素子84aを用いて、給電素子対10に垂直な同一平面上で、それらの分岐素子部がコの字型を形成し、コの字の開放部が、給電素子対10の方向(Y軸の正の向き)を向くようにする。
これら二つのコの字型を同一のXY平面上で向かい合わせてスイッチ56a、58aで接続し、全体として分岐素子部がロの字型の閉ループを作り、そのループの内側に給電素子対10が含まれるようにする。このとき、給電素子対10に垂直な方向から指向性可変アンテナ1を見て、給電素子対10の両端より外側に、無給電単位素子81a〜84aがはみ出さないようにする。すなわち、給電素子対10に垂直で、給電素子対10の両端部(給電部分は端部とは見なさない)のいずれか一方を含む二つの平面で挟まれる領域に、無給電単位素子81a〜84aが納まるようにする。また、隣接する無給電単位素子間のスイッチで接続される分岐素子部の端部間の距離は、放射する電磁波の波長よりきわめて短いこととする。
このように位置と向きを決定した無給電単位素子81a〜84aと同一の向きで、給電素子対10に沿って無給電単位素子を並べていく。具体的には、無給電単位素子81aと無給電素子本体が平行で、かつ分岐素子部の向きが同じ向きであるように無給電単位素子81bを配列する。このとき、無給電単位素子81a、81bの素子片が同一直線上であるようにし、素子片の間をスイッチ51bで接続する。同様に、給電素子対10に沿って、順に無給電単位素子81c、81dを並べ、各々の素子片間をスイッチ51c、51dで接続する。
無給電単位素子81b、81c、および81dのそれぞれを起点として、上記で既に位置関係を説明した無給電単位素子81a〜84aと同じように、無給電単位素子81b〜84b、81c〜84c、および81d〜84dのそれぞれの分岐素子部が、給電素子対10の周りに閉ループを作るように無給電単位素子を並べる。
さらに、隣接する分岐素子部間、素子片間をスイッチで接続する。結果として、無給電単位素子群が形成する四角柱状の格子の中心を給電素子対10が貫通する配置となる。
給電素子対10に垂直な方向から指向性可変アンテナ1を見て、給電素子対10の両端より外側に、いずれの無給電単位素子もはみ出さないようにする。すなわち、給電素子対10に垂直で、給電素子対10の両端部(給電部分は端部とは見なさない)のいずれか一方を含む二つの平面で挟まれる領域に、全ての無給電単位素子が納まるようにする。
こうして、無給電単位素子81が形成する格子構造の中央に給電素子が挿入された図6の形状が形成される。
以下では、図6に示す原理的なモデルを利用して、無給電単位素子の形状、大きさ、配置する個数について検討する。その結果を、図1に示す物理的に構成可能なモデルに反映して所望の特性が得られるアンテナを設計することが可能である。
給電素子対10に垂直な平面に沿って、給電素子対10の周りに配列される無給電単位素子の個数は、図6(a)に示す無給電単位素子81a〜84aのように4個である必要はなく、3個でもよいし、4個より多くてもよい。たとえば、6個の無給電単位素子を使用して、分岐素子部により正六角形の閉ループを形成することも可能である。この場合は、図6(b)における分岐素子部間のなす角度αを90度ではなく、120度とすればよい。
給電素子対10に沿って配列する無給電単位素子の個数は、図6(a)の無給電単位素子81a〜81dのように4個である必要はなく、さらに多くても少なくても良い。Z軸方向に沿って一列に配列する無給電単位素子の個数に応じて、図6(b)における無給電単位素子800の素子片801の長さX4を調整すればよい。
無給電単位素子81、82、83、84における素子片211、212、213、214の中心軸と給電素子対10の中心軸との距離と、給電素子対10の周りに配列する無給電単位素子の個数とに応じて、図6(b)における分岐素子部802および803の長さX2を調整する必要がある。無給電素子本体の長さX4が給電素子対10の長さ以下に制限されるのに対して、分岐素子部802、803の長さX2は制限を受けない。しかし、無給電素子本体の長さX4に対して分岐素子部の長さX2が長い場合は、分岐素子部間を接続するスイッチの開閉によって無給電素子の共振周波数が大きく変化してしまうため、無給電素子の共振周波数の調整が難しくなる。
それに対して、分岐素子部の長さX2が短いほど、分岐素子部間を接続するスイッチの開閉により、形成する無給電素子の共振周波数の調整が行いやすい傾向がある。ただし、無給電単位素子が給電素子に接近するため、給電素子との電磁気的な結合が強くなる。結論としては、放射周波数と指向性の制御の観点からは、無給電素子本体の長さX4と分岐素子部の長さX2を同程度となるように設計する場合が最も望ましい。
無給電素子本体と給電素子との間の距離は、電磁結合が起きる範囲で遠ざけることは可能である。遠ざけるほど、特定の周波数における放射指向性の制御の効果が小さくなる。
以下に示す実施例では、放射の中心周波数である4GHz(波長75mm)に対し、無給電素子本体と給電素子の距離(3.2mm)を20分の1波長程度に設定しているが、より遠ざけても指向性の変化が得られる。放射指向性の制御の効果を十分に得るためには、無給電素子本体と給電素子の間の距離は放射する電磁波の波長の8分の1程度以下とすることが望ましい。また、無給電素子の周波数調整の観点からは、無給電単位素子800の素子片の長さX4を短く設定し、給電素子に沿って配列する個数が多いことが望ましい。しかし、分岐素子部を利用した無給電素子の設計が可能であることと、配列する個数が多くなるとスイッチの個数の増大や制御信号の数の増大が問題となることから、素子片を短くしすぎる必要もない。従って、必要とされる放射周波数の変更の精度に応じた設計を行えばよい。
4GHz帯において、100MHz程度の周波数精度で良い場合は、以下の実施例のように、無給電素子本体の長さは1/20波長、分岐素子部の長さは1/24波長程度で実施可能となる。棒状無給電素子しか用いない場合に無給電素子を1/20波長ずつ分割して無給電素子の設計をすると、4GHz帯では400MHzの精度でしか無給電素子の共振周波数の変更はできないが、本発明によると100MHz程度の精度が実現できるのは、分岐素子部を利用するためである。
他の周波数帯においても同様に、分岐素子部を利用することにより、無給電素子の共振周波数の変更の精度を向上することができる。従って、スイッチの制御により無給電単位素子間の導通または開放状態を切り替えて形成した無給電素子の共振周波数と、給電素子に対する相対位置を決定することにより、給電素子との電磁結合の結果として、所定の周波数において放射指向性を制御することができる。
従来の指向性制御アンテナでは、給電素子に平行な直線形状の無給電素子を使用することが行われてきたが、本実施形態では、図1に示す給電素子42aなどの給電素子に平行でない方向の導体パターン(分岐素子部)を無給電素子の構成要素として導入して、無給電素子本体間の導通を取ることを可能にした。従来の直線形状の無給電素子を用いる場合は垂直面内でのビームチルトのためには、無給電素子をずらして配置するために指向性可変アンテナが長大化したが、本発明では同等の放射指向性の変化を指向性可変アンテナが長大化しないような構成で実現することができる。このことは、小型化が要求される携帯用無線通信端末にとって好適である。また、本発明によると、給電素子の放射帯域であれば、無給電素子の共振周波数の設計により放射指向性を制御する電磁波の周波数を選択、変更することができる。
これらの効果を示す無給電素子の設計について図7(a)、(b)を用いて説明する。図7(a)は、図6(a)の指向性可変アンテナの無給電単位素子とスイッチの接続の配列を2次元的に表現した図である。図中のハッチングされた十字型の図形が無給電単位素子である。図の横方向がZ軸方向であり、縦方向には方位角φに沿った配列の順序を示している。すなわち、十字型で表される無給電単位素子の横方向に伸びる腕部が無給電素子本体s(素子片)、縦方向に伸びる腕部が分岐素子部を表す。また白塗りの長方形は開放状態のスイッチ、黒塗りの長方形は導通状態のスイッチを示している。
図7(b)は、図7(a)に示されている無給電素子を備える指向性可変アンテナの斜視図である。図7(b)では、導通状態にあるスイッチのみを描き、開放状態にあるスイッチを図示せずに表現した。図7(b)は、給電素子対10と、図7(a)で表現される無給電素子2の位置関係を3次元的に表現している。
図7(a)および(b)で表される無給電素子2は、無給電単位素子81b、81c、81d、82dのそれぞれの間を接続するスイッチ51c、51d、55dを導通状態にすることで形成される。この無給電素子2は、所定の共振周波数において給電素子対10と電磁結合を行い、放射指向性を変化させる効果を持つ。具体的には、無給電素子2は、無給電単位素子81b、81cおよび81dが導通されており、これらの素子片が一直線上に導通されて形成する無給電素子本体21aが、無給電素子2を構成する他の無給電素子本体と比べ最も長い。そのため、無給電素子本体21aが最も強く給電素子対10と電磁結合する。このような無給電素子本体を主軸部と呼ぶことにする。この場合、放射指向性の変化は、給電素子対10と、無給電素子本体の主軸部21aを含む平面内で起きる。また、無給電素子本体の主軸部21aをZ軸上に投影したとき、投影像の中心は原点に対しZ軸の負の方向にあるため、下記の実施例で示すように、無給電素子2が導波器として働く周波数においては、給電素子対10の中心から見て無給電素子本体の主軸部21aの中心の方向、すなわち仰角が90度〜180度の方向に放射指向性が変化する。
同様に、無給電素子2が反射器として働く周波数においては、給電素子対10の中心から見て無給電素子本体の主軸部21aの中心とは反対の方向、すなわち仰角が0度〜90度の方向に放射指向性が変化する。
さらに、分岐素子部を介するスイッチ55dを導通することにより、無給電素子本体の主軸部21aから無給電単位素子82dが接続されている。これは無給電単位素子82dが導通されていない状態に比べ、無給電素子2の共振周波数が低下する効果がある。
分岐素子部を利用した屈曲部のある形状を採用することにより、同一の共振周波数を持つ直線的な形状の導体の部材と比較して、給電素子対10に沿った方向の無給電素子2の長さを短縮する効果がある。
分岐素子部間を接続するスイッチ55dなどを導通させず開放とした状態でも、無給電単位素子が元来保持している分岐素子部(例えば、無給電単位素子81aにおける分岐素子部42a)により、同一の共振周波数を持つ直線的な形状の導体の部材と比較して、無給電素子2の長さを短縮する効果がある。
さらに、スイッチ55dを開放してスイッチ55bを導通させたり、スイッチ55dとスイッチ58dを同時に導通させたりすることにより、無給電素子2の共振周波数をわずかに変化させることができる。この効果により、放射指向性を制御する周波数を変更することができる。
図17に示されている従来の技術では、同様の周波数選択性を持つように棒状導体の無給電素子を作成する場合は、給電素子に沿った方向の多数の無給電素子の分割とスイッチが必要になる。
本発明の好ましい実施形態において、分岐素子部間を接続するスイッチを使用することにより、同様の周波数選択性を有するための無給電素子の分割の回数、すなわち必要なスイッチの個数を減らすことができる。さらに、設定する無給電素子の個数は複数であってもよく、その場合は複数の無給電素子の効果を組み合わせた放射指向性の変化を起こすことができる。
(実施例)
図8は、本発明の実施形態による指向性可変アンテナの実施例の断面図であり、給電素子対10の中心軸を含む平面における指向性可変アンテナの断面を示している。図8において、給電素子対10の中心軸をZ軸とし、YZ平面が紙面に平行な平面である。
このアンテナに使用されている平面基板は、第1平面基板31と第2平面基板41であり、それぞれが交互に配列されている。第1平面基板31eを除く第1平面基板31および第2平面基板41の中心を給電素子11または12が貫通している。平面基板31、41の配列の中央に位置する第1平面基板31eは、給電基板60として設計されている。すなわち、給電素子11、12は、第1平面基板31eを貫通しておらず、第1平面基板31eは、図4(a)に示す給電線路62、63を有している。給電線路62、63は、平面基板31eの両面上において給電素子11および12へ接続されている。
図9(a)は、図8に示す指向性可変アンテナのZ軸に垂直な平面AEにおける断面図、図9(b)は、第2平面基板41のZ軸の正の方向の面の平面図、図9(c)は、第1平面基板31のZ軸の正の方向の面の平面図、図9(d)は第1平面基板31のZ軸の負の方向の面の平面図、図9(e)は給電基板60としての役割を有する第1平面基板31eのZ軸の正の方向の面の平面図である。
給電素子対10は、二本の中空円筒状導体である給電素子11および12からなり、それらはZ軸上で原点に対して対称に向き合っていることとする。給電素子11および12の長さDZ1は5.0mm、外径DR1は0.6mm、内径DR2は0.3mm、給電素子間の間隔DZ2は、第1平面基板31および第2平面基板41の基板厚さSZ1と等しい。すなわち、DZ2=SZ1=0.3mmの関係が成立する。なお、第1平面基板および第2平面基板の間隔SZ2は1.5mmである。
図8に示すように、無給電素子本体と分岐素子部からなる無給電単位素子は、給電素子対10に垂直で給電素子11、12の両端のいずれかを含む二つの平面に挟まれる領域に含まれる。したがって、素子片間のスイッチを全て導通させたときに形成する無給電素子の給電素子に沿った方向の長さ(図8の設計では、第1平面基板31aと31iの間の距離とほぼ等しい)が、給電素子対全体の長さ(給電素子の長さDZ1の2倍の長さとほぼ等しい)より長くなることはない。なお、無給電単位素子間のスイッチを全て導通させたときに形成される無給電素子の中心は、給電素子対の中心(原点に位置する)と一致している。
まず、図9(a)を参照しつつ、給電素子対10に垂直な断面における給電素子11と無給電素子の素子片211a〜214aとの位置関係を説明する。
素子片211a〜214aの中心間を結んでできる正方形の中心に給電素子11の中心が位置する配置であり、給電素子11の中心を座標原点とするとき、無給電平行素子211a〜214aの中心位置の図8の平面AE内におけるXY座標はそれぞれ、(±PDX1、±PDY1)で表される。ここで、PDX1=PDY1=2.5mmであり、無給電素子本体の半径PR1は0.2mmである。
次に、図9(b)〜(e)を参照しつつ、第1平面基板31および第2平面基板41の導体パターン形状を説明する。
第2平面基板41の形状は正方形であり、図9(b)に示すように、その大きさについては、SX1=SY1=5.8mmが成立する。図9(c)に示すように、第1平面基板31についても、SX2=SY2=5.8mmが成立する。なお、図9(b)は、第2平面基板41のZ軸の正の方向の面の平面図である。第2平面基板41におけるL字型の導体パターンである分岐素子部42〜45の長手方向の長さについては、PAY1=PAX1=2.5mmが成立し、隣接する導体パターン間の間隔については、PAY2=PAX2=0.4mmが成立し、パターンの幅については、PAY3=PAX3=0.4mmが成立する。すなわち、図9(a)および図9(b)からわかるように、図9(b)の分岐素子部42〜45のL字型パターンの屈曲部の近傍で無給電素子本体と接続できる。
図9(c)は、第1平面基板31のZ軸の正の方向の面の平面図である。第1平面基板31において、Z軸の正の方向の面で無給電素子本体21と接続される導体パターン321、331、341、351の位置に関して、PBX1=PBY1=1.5mm、PBX2=PBY2=1.2mm、および導体パターンの幅PBY3=PBX3=0.4mmが成立することにより、上記の一連の導体パターンと無給電素子本体との位置関係が図3(b)に示すような配置で互いに接続される。その他、スイッチ接続用のパターン322などに関して、PBY4=PBY5=PBX4=PBX5=0.4mmが成立する。
図9(d)は、第1平面基板31のZ軸の負の方向の面の平面図である。第1平面基板31において、Z軸の負の方向の面で無給電素子本体21と接続され、また、図3(b)に示すヴィアホール324などを通じて、上記のZ軸の正の方向の面上に設けたスイッチ接続用の導体パターン322などと接続する導体パターン323、333、343、353の位置に関して、PBX6=PBY6=2.7mm、PBX7=0.4mm、PBY7=1.2mmが成立する。
図9(e)は、給電基板60としての役割を有する第1平面基板31eのZ軸の正の方向の面の平面図である。他の第1平面基板31と異なる点は、中心において給電素子対10の直径に対応する円形の電極622が設けられていることと、電極622から基板端まで短冊状の導体パターンである給電線路62が設けられていることである。
基板の裏面にも同様に、基板の中心に円形電極632、電極から基板端まで短冊状の導体パターンである給電線路63が設けられている。したがって、基板端の給電線路62、63間に放射する信号を入力することにより、信号は給電線路62、63を平行平板モードとして伝搬し、電極622、632にて給電素子対10へ入力される。
次に、無給電素子の設計例とそのときの放射指向性の例を説明する。
無給電単位素子の配列と素子間の導通、開放の設計を図7に準じた形式で図11に示す。図11では、図7と同様に、ハッチングされた十字形の図形が無給電単位素子である。図の横方向がZ軸方向であり、縦方向には方位角φに沿った配列の順序を示している。十字形で示される無給電単位素子の横方向に伸びる腕部が無給電素子本体(素子片)、縦方向に伸びる腕部が分岐素子部を表す。また、隣接する無給電単位素子間を接続する長方形のうち、白塗りの長方形は開放状態のスイッチ、黒塗りの長方形は導通状態のスイッチを示す。
図8が示すように、本実施例では、図6(b)の無給電単位素子800と電気的に等価な形状を有する無給電単位素子が、給電素子対10に平行に8個配列されている。また、図6(a)に示す例と同様に、給電素子対10に垂直な平面にそって、給電素子対の周囲を4個の無給電単位素子が分岐素子部間を近接させて取り囲んでいる。このときに、それぞれの無給電単位素子の素子片は、給電素子対に対して方位角φ=45度、135度、225度、315度のいずれかの方向にある。
図11(a)は全てのスイッチが、すべて開放状態にあることを表している。それに対し、図11(b)では、無給電単位素子81e、81f、81g、81h、82f、82g、84gが、それぞれを接続するスイッチ51f、51g、51h、55f、55g、58gにより互いに導通状態とされていることを表している。図11(c)および(d)についても同様である。
なお、以下に示す試作例では、スイッチの開放位置は、図9に示す導体パターンがそのまま開放された状態とし、スイッチの導通位置は、導体パターンを同一幅(断面積)のまま延長して導通させた状態に設定している。
既に説明したように、図11(b)および(c)に示した設計例において、無給電単位素子81eから81hまでの、給電素子に平行な方向に一直線上に並んだ複数の無給電単位素子が導通していることにより、これらの形成する無給電素子本体の主軸部21aが、放射指向性の変化に大きな影響を与える。すなわち、給電素子対10と無給電素子本体の主軸部21aを含む平面である、方位角45度方向の垂直面内に放射指向性の変化が生じ、主ビーム方向が向く。この方位角45度方向の垂直面とは、図10の点AA−AB−AC―ADで結んで形成される平面である。
一方、図11(d)に示す例では、無給電単位素子81e、81f、81g、および81hに到る方位角45度方向の無給電素子本体21aと、無給電単位素子84e、84f、84g、および84hに到る方位角315度方向の無給電素子本体21dがいずれも等しい長さで、最長の無給電素子本体であるため、無給電素子本体21aと21dはいずれも主軸部として働く。この設計例では、設定周波数(4.3GHz)で二個の無給電素子がいずれも同じ形状であり、同等の反射器として働くため、無給電素子本体の主軸部21aと21dから等距離にある平面である、方位角0度方向の垂直面内で放射指向性が変化する。
これらの図11(a)〜(d)に示す無給電素子の設計に対応する垂直面上での放射指向性利得を図12(a)〜(d)に示す。図12(a)〜(d)は、図11(a)〜(d)のそれぞれの接続例に対応する。図12(a)〜(c)は、方位角45度の垂直面での放射指向性利得であり、図12(d)は、方位角0度の垂直面での放射指向性利得である。
図12(a)は、周波数4.1GHzにおける測定結果を示している。垂直面での放射指向性利得であるため、半波長ダイポールアンテナの元来の特性である仰角90度と270度の方向へ指向性が生じる。
図12(b)は、周波数4.4GHzにおける測定結果、図12(c)は、周波数3.7GHzにおける測定結果を示している。無給電素子本体の主軸部を設定した方位角45度の垂直面内において、給電素子対10の中心にある給電点(原点)から見て、形成した無給電素子の無給電素子本体の主軸の中心に向かう方向(すなわち仰角90度から180度の方向)へ放射志向性が変化している。図12(b)では30度、図12(c)では20度の放射指向性の変化が得られている。
図12(d)は、周波数4.3GHzにおいて、二つの無給電素子の無給電素子本体の主軸部から等距離にある平面である方位角0度の垂直面内において、無給電素子を設けた方向と逆の方向(すなわち仰角270度から0度の方向)へ、30度の放射指向性の変化が得られた。
従って、図12(b)および(c)の結果では、無給電素子が導波器として機能して、給電素子の中心から見て、無給電素子のある方向へ放射指向性が変化した。また、図12(d)の結果では、二つの無給電素子が反射器として機能した効果の合成として、給電素子の中心から見て、無給電素子のある方向とは逆の方向へ放射指向性が変化した。
図12(a)〜(d)は、異なる周波数での測定結果を示している。これを実現するためには、無給電素子の共振周波数の制御が必要である。そのとき、無給電素子本体の主軸部の長さだけでなく、分岐素子部を利用した無給電素子の設計が有用である。
図11(a)〜(d)は、無給電素子本体の主軸部はほぼ同じ構成であるが、分岐素子部を利用した形状設計が異なっており、これによって無給電素子の共振周波数を制御することができる。
無給電素子の共振周波数の精緻な調整を図17に示すような直線状の無給電素子の多段分割で行う場合は、直線状の無給電素子を非常に多数に分割することが必要になるが、本発明のような分岐素子部を利用する場合は、分岐素子部を導通させる位置の選択によって共振周波数を変化させることができるため、図11および図12のように、放射指向性を変化させる方向だけでなく、電磁波の周波数まで含めて設計することができる。
最後に、無給電素子の設計の概念と背景について説明する。
無給電素子は、給電素子対10との電磁気的な結合により給電されて放射する。従って、給電素子対10とある程度近接して配置する必要があるとともに、給電素子対10の放射する電界の方向に合わせて電流が流れ得るような方向の導体部分を含む構成をとる必要がある。
給電素子対10を流れる電流はZ軸の方向であるため、放射する電磁界の電界の方向はZ軸を含む面内(従って、XY平面に垂直な平面である)の成分のみを有する。従って、XY平面に平行な(線状の)導体は給電素子対10とは結合を行わない。一般には、給電素子対10と無給電素子の電磁界の結合が強く生じるような配置を選び、図16や図17に示すように、無給電素子は、給電素子と平行な方向とされている。
しかし、既に述べたように、無給電素子を給電素子と平行な線状導体として構成すると、放射指向性を垂直面内で変化させたい場合に、導波器もしくは反射器としての無給電素子を給電素子に平行な方向(Z軸方向)にずらす必要がある。このときは、無給電素子は、給電素子とほぼ等しい共振周波数(すなわち長さ)を有するため、ほぼそのずらした距離だけ無給電素子が給電素子の端部から外側へはみ出すことになり、アンテナの全長が長くなることが明らかである。
無給電素子は、必ずしも、給電素子に平行な方向の導体のみで構成する必要はない。無給電素子の一部は、給電素子に平行な方向の導体部分から、垂直な方向に枝分かれしてもよく、しかも、そのような形状を取ることで無給電素子の共振周波数を下げることができる。これは、無給電素子の、給電素子に平行な方向における長さを短縮することができる。従って、放射指向性を垂直面内で変化させたダイポールアンテナを、その長手(長軸)方向の長さが長くならないように設計することが可能になる。
ダイポールアンテナなどの線状アンテナの垂直面内(給電素子を含む面内)で放射指向性を大きく変化させるためには、従来の直線状の無給電素子を用いる場合、図15のように、無給電素子20を給電素子10に対して長軸方向にずらす必要があった。そのため、ずらした長さだけ、アンテナ装置が長大化していた。
本発明では、分岐素子部を利用した無給電素子の設計を行うことにより、無給電素子の長軸方向の長さの短縮が可能になった。そのため、図8から明らかなように、無給電素子を給電素子の長軸方向へはみ出させることがない条件で、図12(b)〜(d)に示したように、放射指向性を大きく変化させることが可能になった。
本発明の指向性可変アンテナは、ダイポールアンテナなどの線状アンテナの放射指向性を、給電素子を含む面内と給電素子に垂直な面内で変化させることができるため、放射指向性を目標物の方向へ向けて、妨害波の受信を抑圧することで通信品質を改善することができるだけでなく、アンテナが長手方向に長大化しないようにできるため、携帯用無線通信端末や屋内無線通信端末に利用すると極めて有用である。
本発明は、マイクロ波、ミリ波などの高周波電磁波を利用した装置に用いられる指向性可変アンテナに関する。
携帯電話に搭載されるホイップアンテナなどの線状アンテナは、通常、通話時に端末を立てて保持する場合にアンテナが大地に対して垂直になるように設計される。このとき、線状の給電導体に対して垂直な平面(水平面)内で等方的な指向性を有している。この様子を図14に示す。大地に対して直立した端末1021のアンテナ放射指向性1031が大地(水平面)に対して平行方向となることで広範囲に放射利得を得られるため、基地局1001とのアクセスのために好都合である。
しかし、携帯電話を情報端末として利用する場合には端末を寝かせて利用することが多い。このように大地に対して寝かせた端末1022の線状アンテナの給電導体の方向は水平に近くなり、放射利得の得られる方向が傾くために基地局1001へ向かう方向の放射利得が得られず、通信感度が低下する恐れがある。
この問題を解決するためには、アンテナの放射利得をアンテナの長手方向を含む平面(垂直面)内で変化させた放射指向性(1033で示す)が必要になる。
また、主に屋内で使用される無線LANの場合は、人の往来で電波が妨害されたり、マルチパスによるフェージングにより通信が確立しづらい場所が生じたりする。この傾向は、通信に利用される周波数が上がると、電磁波の回折が弱くなるために、特に顕著に現れる。そのため、より高い周波数を利用する通信方式が一般化されていく際に大きな問題となる。
これらの課題を解決する一つの方法として、直接到来波を受信して通信が確立できる方向のアンテナの放射利得を向上し、妨害波が到来する方向の利得を低下させることで干渉を抑圧し通信の感度を向上させる方法がある。そのために、電波伝搬の状況に応じて放射指向性を変更できるアンテナが必要である。
一方で、モノポールアンテナやダイポールアンテナなどの線状導体を利用するアンテナは回転対称軸(長手方向)に対して軸対称な放射指向性を有する。このようなアンテナに、無給電導体素子を併用して水平面内の指向性を変化させるアンテナについて多くの提案がされており、例えば特許文献1などがある。
このようなアンテナは給電素子の外側に設けた無給電素子と給電素子の結合度を最適化して利用するために半波長から4分の1波長程度の距離を離す必要があり、アンテナ全体の占有体積が大型化しやすいという課題がある。
これを改善する技術の一例として特許文献2がある。この技術を図16に示す。この発明は、線状の給電導体素子163以外に、給電導体素子163を中心とする円周上に少なくとも2本以上の線状導体を配置し、該線状導体は少なくても2個の長さの異なる線状導体164および166をスイッチング素子165によって接続した構造であり、スイッチング素子165を駆動するための制御部への接続手段(169および160)を有し、制御部が任意の前記スイッチング素子を駆動して当該スイッチング素子を開閉する手段を設けたアンテナ装置である。
特許文献2によれば、無給電の線状導体素子のスイッチングにより所定の長さを設定して導波器として機能させた場合、導波器を設けた方向に放射指向性を向けることができ、水平面内の放射特性を制御することができる。
また、使用しない無給電線状導体は、スイッチにより所定の電磁波に対して影響を与えない長さとすることができるため、無給電線状導体を給電導体素子に近接して配置することができ、給電導体素子の周りでアンテナが占有する空間を小型化できるというメリットがある。
このようなアンテナを携帯電話などの携帯用無線通信端末に搭載することを想定すると、保持する体勢が変わったり、通信状態が変わったりした場合でも、放射指向性を制御することにより、アンテナの利得を改善し、通信感度を向上する効果が期待できる。
しかし、特許文献2に記載されている技術によれば、水平面内の放射指向性制御しか実現できず、垂直面内の放射指向性制御ができないという課題がある。垂直面内の放射指向性を変化させるためには、給電素子をその長手方向に複数配列してアレー(コリニアアレー)を形成、素子間の位相を制御することで実現可能である。この技術の一例が特許文献3に開示されている。以下、図18を参照しながら、特許文献3に示された技術を説明する。
図18に示すアンテナは、誘電体181を挟み、同心円状に配設された一対の円筒導体189、180と、前記一対の円筒導体189、180のうちの外側の円筒導体189に0.7波長未満の間隔で周期的に設けられた複数の環状スロット182と、該複数の環状スロット182の周りにそれぞれ各スロットを挟んで対称に配設され、円筒形スカートにより形成される複数の半波長ダイポールアンテナ素子183と、前記一対の円筒導体のうちの内側の円筒導体180の内部を貫通するように設けられ、前記一対の円筒導体の内側および外側の円筒導体189、180とそれぞれ導通する外導体および内導体を有する同軸給電線184とを有する。
周期的に配列された環状スロット182により、隣接するアンテナ素子183間に一定の位相差が生じるように給電されるため、垂直面のビームチルトが実現される。
しかし、特許文献3に開示された技術では、水平面内の放射指向性の制御ができないことに加え、アンテナ素子を多段に縦列に配列するため、配列した段の数に応じてアンテナ装置が長大化し、小型化が要求される携帯用無線通信端末に搭載するには不向きである。
この課題を解決する別の技術として特許文献4がある。この発明を図17に示す。この発明は、線状放射素子(給電素子)170と、給電素子と平行で、かつ一定の距離を保つように配置され、1つで所望の送信周波数の半波長の長さを有するか、2つ以上の素子がスイッチ172を介して接続されて長さを有する少なくとも1つの線状無給電素子173と、前記線状放射素子170の一端に近接して配置された、互いに平行な2つの腕部を備えるU字型無給電素子171とを有し、前記U字型無給電素子171は、前記2つの腕部を含む平面に垂直な方向から見た場合に、前記線状放射素子170の一端が前記2つの腕部の間に該腕部の端部側から挿入された配置になっていることを特徴とする線状アンテナである。
特許文献4によれば、線状無給電素子173を多数に分割してスイッチ172で接続することにより、垂直面及び水平面の両方で、給電素子と相互作用させる無給電素子の位置を可変することができる。
そのため、垂直面内での放射指向性の変化が実現できる。なお、U字型無給電素子171は、整合を取るために設けられたものであり、本発明の課題である放射指向性の制御とは本質的に無関係である。
特開2001−024431号公報 特開2001−127540号公報 特開平05−160630号公報 特許第3491682号公報
特許文献4に記述されているように、反射器として用いる無給電素子は、略半波長の長さが必要であり、導波器として用いる無給電素子においても、給電素子と近接して用いるためには、実質的に半波長程度の長さが必要である。
放射指向性を垂直面内において変化させるためには、導波器または反射器として機能させる無給電素子の中心位置を給電素子の中心位置から長手(長軸)方向に(すなわち水平面に対して垂直な方向へ)ずらす必要がある。このような設計例を図15に示す。
給電素子対10の長さD2に対し、直線型無給電素子20の長さL2はほぼ同等の長さである。垂直面内で仰角方向に放射指向性を変化させるためには、給電素子対10の長手方向に直線型無給電素子の中心をずらす必要がある。図15ではこの長さをL1としている。
しかし、互いの中心位置をずらした長さだけアンテナ全体が長くなる。そのために、アンテナの占有体積が増大し、小型化が要求される携帯用無線通信端末には望ましくないという課題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、ダイポールアンテナなどの線状アンテナの放射指向性を、給電素子を含む平面(垂直面)および給電素子に垂直な平面(水平面)内で制御することができ、かつ無給電素子のためにアンテナ全体の長手(長軸)方向の長さが長くならないアンテナ装置を提供することにある。
本発明の指向性可変アンテナは、Z軸に平行な線状導体からなる給電素子(11、12)と、無給電素子(2)とを有し、前記無給電素子(2)は、前記Z軸に平行なn本の線状(nは3以上の自然数)の無給電素子本体(21a、21b、21c、21d)を有し、前記無給電素子本体(21a、21b、21c、21d)は、前記給電素子(11、12)の周囲を取り囲むように配置され、前記無給電素子本体(21a、21b、21c、21d)は、それぞれ、前記Z軸に平行に配列された複数の素子片(211a〜211h、212a〜212h、213a〜213h、214a〜214h)と、前記素子片(211a〜211h、212a〜212h、213a〜213h、214a〜214h)の間を導通され得る少なくとも1個の第1スイッチ素子(51、52、53、54)とを有する、指向性可変アンテナ(1)であって、前記無給電素子(2)は、さらに、前記n本の無給電素子本体(21a、21b、21c、21d)のうちの隣接する2つをオン時には電気的に接続し、オフ時には電気的に絶縁する少なくとも1個の第2スイッチ素子(55、56、57、58)を有し、前記少なくとも1個の第1スイッチ素子(51、52、53、54)および前記少なくとも1個の第2スイッチ素子(55、56、57、58)のオン、オフを切り替えることにより指向性が変化する。
好ましい実施形態において、前記無給電素子本体(21a、21b、21c、21d)と前記給電素子(11,12)との距離が、放射する電磁波の波長の1/4以下である。
好ましい実施形態において、前記無給電素子本体(21a、21b、21c、21d)は、それぞれ給電素子(10)よりも長さが短い。
好ましい実施形態において、前記無給電素子(2)は、さらに、前記第1スイッチ素子(51、52、53、54)および/または第2スイッチ素子(55、56、57、58)が実装された平面基板(31、41)を具備し、前記平面基板(31,41)の位置が前記給電素子(11、21)によって保持されている。
本発明の指向性可変アンテナによれば、アンテナの長手(長軸)方向サイズを無給電素子のために長大化させることなく、放射指向性を給電素子の長手方向を含む平面(「垂直面」)内および給電素子に垂直な平面(「水平面」)内において所望の方向に変化させることが可能になる。
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を説明する。
なお、以下の説明においては、「結合」、「接続」、「導通」の用語を異なる意義を有するものとして使い分けている。2つの要素間の「結合」は、それらの要素間における電磁結合を意味し、要素間でエネルギのやりとりは生じるが、外見上は連続していない。2つの要素間の「接続」は、特に他の修飾語と組み合わせられない限り、2つの要素が外見上連続していることを意味する。ただし、「電気的接続」は、以下の「導通」と同じ意味で使用し得る。2つの要素間の「導通」は、2つの要素間を直流電流が流れ得る状態にあることを示し、「短絡(ショート)」または「電気的接続」と同意義である。
(実施形態)
まず、図1と図2を参照しながら、本発明による実施形態を説明する。
最初に、本明細書において使用するXYZ座標系と仰角θと方位角φの関係を図13に示す。3次元空間に任意の点Pがあるとき、原点Oに対し点Pの方向は、次のように仰角θと方位角φで表せる。
Z軸上で正の方向にある任意の点Aから定義する角P−O−Aが仰角θであり、点PをXY平面に正射影した点をP1とするとき、原点Oに対しX軸上で正の方向にある任意の点Bを介して、Z軸の正の方向から見て原点を中心として点Bから反時計回りに定義する角P1−O−Bが方位角φである。
本明細書において、アンテナの長手(長軸)方向をZ軸とするので、仰角θとはアンテナの長手(長軸)方向を含む面内(これを垂直面と呼ぶ)でのZ軸の正の方向から測った角度を表し、方位角φはアンテナの長手(長軸)方向に垂直な面内(これを水平面と呼ぶ)でのX軸の正の方向から測った角度に相当する。
本明細書においては、参照符号の末尾に小文字のアルファベット(a、b、c、d・・・)を付することがある(たとえば、「素子片211a」など)。これは複数個の同じ部材が用いられている場合、各部材を厳密に区別する場合に用いている。参照符号のみであり、小文字のアルファベットが付されていない場合(たとえば、「素子片211」など)には、当該参照符号は、複数個の同じ部材を全て包含している。
図1は、基板の多層化を利用して形成する本発明の指向性可変アンテナ1(以下、単に「アンテナ1」ということがある)の斜視図である。
本実施形態の指向性可変アンテナ1は、給電素子対10と無給電素子部2とを備えている。
給電素子対10は、アンテナの中心を貫通する線状もしくは棒状の導体である一対の給電素子11、12から構成された1本のダイポールアンテナとして機能する。本実施形態では、給電素子11および給電素子12の両方がZ軸上に配置されている。
無給電素子2は、給電素子対10に平行な棒状導体からなる無給電素子本体21と、その主面の法線方向が給電素子対10に対して平行となるように配置された複数の第1平面基板31および第2平面基板41とを備えている。
無給電素子本体21は、Z軸に平行に配置され、相互に絶縁された4本の棒状導体21a〜21dから構成されている。これら4本の棒状導体21a〜21dは、全体として給電素子対10を取り囲むように配置されている。それぞれの棒状導体21は、第1平面基板31および第2平面基板41により、各々が短い長さを有する複数の棒状導体(これを「素子片」と呼ぶ)に分割されている。すなわち、無給電素子本体21aは、素子片211a、211b、・・・、211hから構成され、無給電素子本体21bは、素子片212a、212b、・・・、212hから構成されている。他の無給電素子本体21c、21dも、無給電素子本体21a、21bと同様に、複数の素子片から構成されている。
本実施形態の無給電素子2には、5枚の第1平面基板31a〜31eが用いられており、それぞれの主面法線はZ軸の方向を向くように配置されている。同様に、本実施形態の無給電素子2には、4枚の第2平面基板41a〜41dが用いられており、それぞれの主面法線はZ軸の方向を向くように配置されている。第1平面基板31上には、それぞれ、導体パターン321〜352などが形成され、スイッチ51〜54が実装されている。第2平面基板41上には、それぞれ、導体パターン42〜45などが形成され、スイッチ55〜58が実装されている。
給電素子11、12は、これらの第1平面基板31および第2平面基板41の中央を順次貫いている。複数の第1平面基板31および第2平面基板41は、相互に直接には接触せず、互いに距離を空け、給電素子対10に沿って配列されている。
なお、図1では、第1平面基板31と第2平面基板41が、給電素子対10に沿って交互に配列した例を示している。しかし、必ずしも交互に配列される必要はなく、例えば複数の第1平面基板31が間に第2平面基板41を挟むことなく連続していても良い。また、図1では、第1平面基板31および第2平面基板41の間隔がすべて等しいように記載されているが、平面基板31,41の間隔は一定である必要はない。第1平面基板31および第2平面基板41のそれぞれの枚数も、図1に示す枚数(それぞれ5枚および4枚)に限定されない。
図2(a)および(b)は、それぞれ、第2平面基板41および第1平面基板31の平面レイアウトを示している。第1平面基板31には、それぞれ、互いに同一の導体パターンが設けられており、第2平面基板41にも、それぞれ、互いに同一の導体パターンが設けられている。図2は、これらを代表して第1平面基板31bの導体パターンと第2平面基板41aの導体パターンとを示している。
図2(a)に示す第2平面基板41の平面形状は正方形であり、その中心はZ軸上にある。四辺がX軸、およびY軸のいずれかと平行な方向を向いている。第2平面基板41には、その四隅に沿った4個のL字型の導体パターン42〜45と、給電素子対の貫通孔410とが形成されている。すなわち、方位角45度の方向にある導体パターン42は、X軸に平行な短冊形の導体パターン422と、Y軸に平行な短冊形の導体パターン421の、平面基板の頂点に近い側の互いの端部(点A)を共有するように接続してL字型を形成している。
このL字型の導体パターン42は、上述の無給電素子本体21に対して垂直な面内にあり、後に述べるように無給電素子本体21aと導通して無給電素子2の一部として用いられる。このようにL字型の導体パターン42は、無給電素子本体21から分岐した形状であるので、無給電素子2の分岐素子部(以下、単に「分岐素子部」)と呼ぶ。
同様にして、方位角135度の方向にある導体パターン43は、X軸方向に平行な短冊形の導体パターン431とY軸方向に平行な短冊形の導体パターン432の、平面基板の頂点に近い側の互いの端部(点D)を共有するように接続してL字型の導体パターン43を形成したものである。
分岐素子部である導体パターン422と431は、放射する電磁波の波長よりきわめて短い一定の距離を離間して絶縁されており、その間における導体パターン422側の端部(点B)と導体パターン431側の端部(点C)の間はスイッチ55で接続されている(図1)。
同様に、方位角225度の方向と方位角315度の方向にある導体パターンは、それぞれX軸方向に平行な短冊形の導体パターンとY軸方向に平行な短冊形の導体パターンの、平面基板の頂点に近い側の端部(点Gおよび点J)を共有するように接続されてL字型の導体パターン44および45を形成している。
各々のL字型の導体パターン間は、放射する電磁波の波長よりきわめて短い一定の距離を離間して絶縁されており、スイッチ(番号は不図示)で接続されている(図1)。
次に、図2(b)に示す第1平面基板31の導体パターンを説明する。第1平面基板31は、第2平面基板41と同一形状および大きさを有しており、その中心がZ軸上にある。給電素子対10の貫通孔310を中心に、方位角45度、135度、225度、315度の方向に導体パターンが形成されているが、これらは互いにX軸及びY軸に対して鏡面対称な形状であるので、方位角45度の方向の形状について特に説明する。
方位角45度の方向には、二つの導体パターン321、322があり、これらは互いに絶縁されている。これらは、平面基板31、41を接続する棒状導体である素子片212の間をスイッチによって導通させるために形成されている。例えば第1平面基板31bの場合、素子片211bと素子片211cとの間がスイッチ51bによって電気的に接続される。
導体パターン321bは、基板の頂点の近傍に一方の端部(点M)を有しており、点Mにおいて素子片211bと接続される。導体パターン321bの他方の端部を点Nとする。導体パターン322上の点を点Pで表すと、点Pと点N間はスイッチ51bで接続される(図1)。導体パターン321と導体パターン322などの平面基板31上の導体パターンは、スイッチの実装上の必要に応じて形成する部分であり、損失が増大しない限り、その大きさは波長に比べてきわめて小さいことが望ましい。
このような2種類の第1平面基板31および第2平面基板41上における導体パターンは、給電素子対10に対して電気的には接触していない。ただし、第1平面基板31および第2平面基板41は、給電素子対10と構造的に接触している。具体的には、給電素子対10が貫通する貫通孔310、410がそれぞれの平面基板31、41の中央に設けられており、この貫通孔310、410との接触によって平面基板31、41は固定されている。その結果、給電素子対10に対する平面基板31、41の位置と方向、および、平面基板31、41の相対的な間隔と方向が決定される。
本実施形態では、無給電素子2の分岐素子部(42、43、44、45)が形成する多角形(ここでは正方形)の内部に貫通孔310、410が位置し、これらの貫通孔310、410が上述したように給電素子対10を貫通させて固定している。
本実施形態では、平面基板31、41が、それぞれ、給電素子10に沿って等間隔で配置されている。また、第1平面基板31および第2平面基板41の四隅の方向が同じ方向を向くように(すなわち、平面基板の四隅の方向が、例えば方位角45度、135度、225度、315度方向となるように)設けられている。
次に、図3(a)〜(c)を参照しつつ、平面基板31、41上の導電パターンと無給電素子本体21との接続を説明する。
まず、図3(a)を参照する。図3(a)は、第2平面基板41aの方位角45度方向の拡大斜視図である。第2平面基板41aの上面には、分岐素子部であるL字型の導体パターン42aが設けられており、その裏面には、導体パターン423aが設けられている。導体パターン423aは、上面のL字型の導体パターン42aの屈曲部である点Aの直下である点A2を含むように設けられている。
棒状導体である素子片211aおよび211bは、第2平面基板41aの図示された点に接続される。すなわち、素子片211aは、基板の上面側の点Aに接続され、素子片211bは裏面の点A2に接続される。さらに、第2平面基板41aには、点Aと点A2を基板内で接続するヴィアホール424aが設けられている。従って、素子片211a、211b、および導体パターン42a、423a、ヴィアホール424aは、すべて電気的に相互に接続されている。
上記の構成は、後述する図6(b)に示す無給電単位素子800と電気的に等価である。従って、素子片211a、211bは、別々の部材である必要は無い。これらの素子片211a、211bを一体の棒状導体から形成してもよい。この場合、点Aと点A2を通る貫通孔を平面基板41aに設け、この貫通孔を上記の棒状導体に通過させ、導体パターン42a、423aと電気的に接触させるようにしてもよい。この場合、ヴィアホール形成用の導体パターンとして機能する導体パターン423aは、不要になることもある。
図3(b)は、第1平面基板31bの方位角45度方向の拡大斜視図である。第1平面基板31bの上面には、二つの導体パターン321b、322bが設けられ、その裏面には導体パターン323bが設けられている。導体パターン321bの一端は、第1平面基板31bの頂点の近傍の点Mを含み、点Mにおいて素子片211bと接続されている。導体パターン321bの他方の端部(点N)は、導体パターン322b(点Pを含む)との間をスイッチ51bで接続される。導体パターン322b上の点Pと、点Pの直下にある裏面の点P2(裏面の導体パターン323bに含まれる)との間はヴィアホール324bを介して接続される。裏面のパターン323bは、点P2から基板の頂点近傍の点M2(点Mの直下に位置する)に到る形状になっていて、点M2において棒状導体である素子片211cと接続されている。
スイッチ51bが導通状態のとき、素子片211bと素子片211cとは導通し、スイッチ51bが開放状態のとき、素子片211bと素子片211cとの間は開放される。
図3(c)は、第2平面基板41aの方位角90度方向の拡大斜視図である。第2平面基板41aの上面には二つの導体パターン422a、431aが、それぞれの端部(点B、点C)を近接させて設けられており、スイッチ55aで点B−点C間が接続されている。従って、スイッチ55aが導通状態のとき、導体パターン422aと導体パターン431aとは導通し、スイッチ55aが開放状態のとき、導体パターン422aと導体パターン431aとの間は開放される。
これらの2種類の平面基板31、41を、給電素子対10を中心軸として順次配列し、隣接する平面基板31、41間を棒状導体である素子片211、212、213、214で接続することにより、図1の指向性可変アンテナ1が実現する。
なお、平面基板の材料としては、一般に高周波回路で使用される低損失な基板材料が望ましい。例えば、ガラスエポキシ樹脂基板、セラミック基板、半導体基板などで実施が可能である。導体パターンは銅やアルミニウムなどでプリント技術やメッキ加工により形成できる。
スイッチとしては、手動式のスイッチでも良いし、PINダイオードやFETなどの半導体スイッチでも実現可能である。
図4を参照して、本実施形態におけるアンテナへの給電方法を説明する。図4は、一対の給電素子11、12の間に配置された平面基板60を示している。この平面基板60は、図1では、第1平面基板31cとして記載されている。
平面基板60の両面には、対向する位置に短冊型の給電線路62、63が設けられている。給電線路62および63は、それぞれ、基板中央部で給電素子11および12に接続するように、基板端から基板中央部に向かって延びている。給電線路62および63は、平面基板60の端部において送受信機61に電気的に接続される。図4(b)に示すように、給電線路62、63に整合用スタブ621などを設けることにより、アンテナの整合を改善することも可能である。
図1に示す実施形態では、第1平面基板31cを給電用平面基板60として用いているが、給電用の平面基板60としては、他の平面基板31、41のいずれかを用いることもできるし、第1平面基板31および第2平面基板41以外に給電線路対のみを設けた基板を追加的に導入して使用することもできる。また、給電用平面基板60の大きさおよび形状は、上記の他の平面基板と同一でなくても良い。
次に、図5を参照して、図3のスイッチの実装形態をより詳細に説明する。図5はスイッチ55の実装に関する第2平面基板41の模式図である。
ここでは、第2平面基板41を選び、導体パターンとして設けられた分岐素子部422と分岐素子部431との間を接続するスイッチ55としてPINダイオード70を用いる例を説明する。ここで説明することは、他の平面基板、他の位置のスイッチについても同様に適用可能であり、スイッチとしてFETなどの3端子素子を用いる場合にも応用され得る。
本実施形態における給電素子対10は、中空円筒状の導体であり、表面に微小な貫通孔101、102が設けられている。なお、給電素子対10の構成は、このような例に限定されない。
図5に示される例では、第2平面基板41上に、導体パターンである分岐素子部422、431がそれぞれの端部(点Bおよび点C)を対向させて設けられている。また、分岐素子部422、431のそれぞれの端部を接続するようにスイッチ55が実装されている。
スイッチ55には、二本の制御線路710および720が接続されている。制御線路は、ローパスフィルタ711または721のいずれかを経由して給電素子対10の内部へ到り、直流電源73へ接続されている。
スイッチ55は、キャパシタ71および72と、PINダイオード70とから構成されており、分岐素子部422、431の端部の間が、直列に接続されたキャパシタ、PINダイオード、およびキャパシタによって契合している。
スイッチ55の両端に位置するキャパシタ71、72の外側の端子が、第2平面基板41上の導体パターンの点Bおよび点Cにそれぞれ接続されている。キャパシタ71、72は、直流電流をカットする役割であり、分岐素子部422および431に対し、PINダイオード70は直流的に遮断されている。
なお、点Bおよび点Cは、分岐素子部422、431の端部を表す符号にすぎず、実装は、フリップチップやワイヤーボンディングなどの技術を利用して実行される。
スイッチ55においてキャパシタ71とPINダイオード70とを接続している線路の途中から制御線路710(点C2−点C5間)が分岐し、キャパシタ72とPINダイオード70とを接続する線路の途中から、他方の制御線路720(点B2−点B5間)が分岐している。それぞれの制御線路は、平面基板上の導体パターン(不図示)として形成され、ローパスフィルタ711または721の端子(点C2および点B2)に接続されている。
ローパスフィルタの他方の端子である点C5および点B5は、給電素子対10内部を通過する制御リード線712または722へ接続されている。制御リード線712および722は、例えば給電基板60上において、給電素子対10の外部へ達し、さらにその末端の直流電源73まで接続される。
それぞれのローパスフィルタは、インダクタとキャパシタからなるT型回路の構成である。ローパスフィルタ711の具体的な構成は、スイッチ側へ直列に接続されるインダクタ713と、並列に接続されるキャパシタ714と、直流電源側のインダクタ715とから構成されている。ローパスフィルタ721および図示しない他のローパスフィルタについても、同様の構成を採用することが可能であるので、これらのローパスフィルタについての詳細な説明は省略する。
ローパスフィルタとしては、貫通コンデンサなどのEMIフィルタを用いることができ、給電素子対10に設けられた貫通孔101を通過させて実装して利用することが可能である。貫通孔101の部分で並列キャパシタ714のアース側端子を給電素子対10に接続する。これらの貫通孔101の直径は、放射する電磁波の波長に比べて極めて小さいこととする。
リード線付の貫通コンデンサを利用する場合は、リード線自体がインダクタンスとして利用できる。給電素子対10の内部を通過させるリード線712も、誘導性である線路を利用することにより、スイッチの制御線路端子である点B2およびC2から、直流電源に到る制御線路の末端までを全体としてローパスフィルタとして構成することができる。給電素子対101の内部の中空の領域を導波管として機能させ、放射する周波数がカットオフ周波数以下となるように設計すれば、アンテナから放射する電磁波が給電素子対10の内部の中空部分を伝搬しないようにすることが可能になる。
上述した構成を採用することにより、図5に示す外部の直流電源73の操作により、スイッチ55の導通/開放を切り替えることができる。
以下、図6および図7(a)、(b)を参照しつつ、本実施形態における無給電素子2の構成を説明する。図6および図7(b)は、本実施形態のアンテナの原理的構成を説明するための3次元的な模式図であり、図7(a)は、図7(b)に対応する2次元的な模式図である。
図6(a)および図7(b)では、図1における指向性可変アンテナ1の導体部分の主要形状とスイッチのみが等価的に記載されている。すなわち、図1の第1平面基板31および第2平面基板41の誘電体部分、図3(b)に示す導体パターン(導体パターン321bなど)、図4に示す給電線路62、および63、図5に示す制御線路710のような、本実施形態の指向性可変アンテナを実現するための最低構成要素に該当しない部分は図示が省略されている。残る部分が、本実施形態における指向性可変アンテナの放射特性に関わる主要な構成要素である。すなわち、給電素子対10と、給電素子対10(すなわち給電素子11および12)に平行な棒状導体である無給電素子本体21と、給電素子対10に対して垂直な平面上にあり無給電素子本体から分岐した導体パターンである分岐素子部421aなどと、スイッチ55a、および51bなどが本実施形態における主要な構成要素である。
図では、無給電素子本体21と分岐素子部421などを四角柱で示し、スイッチを直方体で表現している。図6(a)の無給電素子本体21を構成する導体部分は、図6(b)に表す無給電単位素子800を複数配列した構成を備えている。
素子片211a、211bと、分岐素子部42a(すなわち分岐素子部421aと分岐素子部422a)とから、無給電単位素子81aが構成される。同じように、素子片212a、212bと分岐素子部43a(すなわち分岐素子部431aと分岐素子部432a)から、無給電単位素子82aが構成される。
なお、図6(a)では、導通/開放の切り替えの効果が小さいため、図1の指向性可変アンテナの両端に位置する第1平面基板31a、31eに実装されたスイッチ51a〜54aなどを省略している。
図6(a)では、図6(b)に示す無給電単位素子800と電気的に等価な形状の複数の無給電単位素子が規則的に所定の向きで配列して形成する「格子」の中に、給電素子対10が格納されている。無給電単位素子800は、棒状導体である素子片801の中心から、素子片801に垂直な面内において、互いに90度をなす角度で二本の等しい長さの棒状導体である分岐素子部802および803が接合されている。隣接する無給電単位素子800の間をスイッチが接続しており、スイッチの開閉の切り替えにより、隣接する無給電単位素子800間の電気的接続を変更することができる。
上記の構成により、制御すべき電磁波の周波数および放射指向性が決定される。以下、無給電単位素子の形成する「格子」の形状について更に詳しく説明する。
直線状もしくは棒状導体である給電素子対10の中心軸がZ軸上にあるとき、無給電単位素子81aの素子片211aおよび211bをZ軸に平行に、分岐素子部422aをX軸、分岐素子部421aをY軸に平行に設定する。同様に、無給電単位素子82aについても、素子片212aおよび212bをZ軸に平行に、分岐素子部431aをX軸、分岐素子部432aをY軸に平行に設定する。このとき、分岐素子部422、431は、給電素子対10に対して垂直な同一のXY平面上にあることとする。
分岐素子部422aと分岐素子部431aはX軸に平行な同一直線上で一定の距離を離れて向き合う配置であり、スイッチ55aで接続される。分岐素子部421a、422a、431aおよび432aの接続によってコの字型を形成し、コの字の開放部が、給電素子対10の方向(ここでは、Y軸の負の向き)を向くようにする。同様に、無給電単位素子83aと無給電単位素子84aを用いて、給電素子対10に垂直な同一平面上で、それらの分岐素子部がコの字型を形成し、コの字の開放部が、給電素子対10の方向(Y軸の正の向き)を向くようにする。
これら二つのコの字型を同一のXY平面上で向かい合わせてスイッチ56a、58aで接続し、全体として分岐素子部がロの字型の閉ループを作り、そのループの内側に給電素子対10が含まれるようにする。このとき、給電素子対10に垂直な方向から指向性可変アンテナ1を見て、給電素子対10の両端より外側に、無給電単位素子81a〜84aがはみ出さないようにする。すなわち、給電素子対10に垂直で、給電素子対10の両端部(給電部分は端部とは見なさない)のいずれか一方を含む二つの平面で挟まれる領域に、無給電単位素子81a〜84aが納まるようにする。また、隣接する無給電単位素子間のスイッチで接続される分岐素子部の端部間の距離は、放射する電磁波の波長よりきわめて短いこととする。
このように位置と向きを決定した無給電単位素子81a〜84aと同一の向きで、給電素子対10に沿って無給電単位素子を並べていく。具体的には、無給電単位素子81aと無給電素子本体が平行で、かつ分岐素子部の向きが同じ向きであるように無給電単位素子81bを配列する。このとき、無給電単位素子81a、81bの素子片が同一直線上であるようにし、素子片の間をスイッチ51bで接続する。同様に、給電素子対10に沿って、順に無給電単位素子81c、81dを並べ、各々の素子片間をスイッチ51c、51dで接続する。
無給電単位素子81b、81c、および81dのそれぞれを起点として、上記で既に位置関係を説明した無給電単位素子81a〜84aと同じように、無給電単位素子81b〜84b、81c〜84c、および81d〜84dのそれぞれの分岐素子部が、給電素子対10の周りに閉ループを作るように無給電単位素子を並べる。
さらに、隣接する分岐素子部間、素子片間をスイッチで接続する。結果として、無給電単位素子群が形成する四角柱状の格子の中心を給電素子対10が貫通する配置となる。
給電素子対10に垂直な方向から指向性可変アンテナ1を見て、給電素子対10の両端より外側に、いずれの無給電単位素子もはみ出さないようにする。すなわち、給電素子対10に垂直で、給電素子対10の両端部(給電部分は端部とは見なさない)のいずれか一方を含む二つの平面で挟まれる領域に、全ての無給電単位素子が納まるようにする。
こうして、無給電単位素子81が形成する格子構造の中央に給電素子が挿入された図6の形状が形成される。
以下では、図6に示す原理的なモデルを利用して、無給電単位素子の形状、大きさ、配置する個数について検討する。その結果を、図1に示す物理的に構成可能なモデルに反映して所望の特性が得られるアンテナを設計することが可能である。
給電素子対10に垂直な平面に沿って、給電素子対10の周りに配列される無給電単位素子の個数は、図6(a)に示す無給電単位素子81a〜84aのように4個である必要はなく、3個でもよいし、4個より多くてもよい。たとえば、6個の無給電単位素子を使用して、分岐素子部により正六角形の閉ループを形成することも可能である。この場合は、図6(b)における分岐素子部間のなす角度αを90度ではなく、120度とすればよい。
給電素子対10に沿って配列する無給電単位素子の個数は、図6(a)の無給電単位素子81a〜81dのように4個である必要はなく、さらに多くても少なくても良い。Z軸方向に沿って一列に配列する無給電単位素子の個数に応じて、図6(b)における無給電単位素子800の素子片801の長さX4を調整すればよい。
無給電単位素子81、82、83、84における素子片211、212、213、214の中心軸と給電素子対10の中心軸との距離と、給電素子対10の周りに配列する無給電単位素子の個数とに応じて、図6(b)における分岐素子部802および803の長さX2を調整する必要がある。無給電素子本体の長さX4が給電素子対10の長さ以下に制限されるのに対して、分岐素子部802、803の長さX2は制限を受けない。しかし、無給電素子本体の長さX4に対して分岐素子部の長さX2が長い場合は、分岐素子部間を接続するスイッチの開閉によって無給電素子の共振周波数が大きく変化してしまうため、無給電素子の共振周波数の調整が難しくなる。
それに対して、分岐素子部の長さX2が短いほど、分岐素子部間を接続するスイッチの開閉により、形成する無給電素子の共振周波数の調整が行いやすい傾向がある。ただし、無給電単位素子が給電素子に接近するため、給電素子との電磁気的な結合が強くなる。結論としては、放射周波数と指向性の制御の観点からは、無給電素子本体の長さX4と分岐素子部の長さX2を同程度となるように設計する場合が最も望ましい。
無給電素子本体と給電素子との間の距離は、電磁結合が起きる範囲で遠ざけることは可能である。遠ざけるほど、特定の周波数における放射指向性の制御の効果が小さくなる。
以下に示す実施例では、放射の中心周波数である4GHz(波長75mm)に対し、無給電素子本体と給電素子の距離(3.2mm)を20分の1波長程度に設定しているが、より遠ざけても指向性の変化が得られる。放射指向性の制御の効果を十分に得るためには、無給電素子本体と給電素子の間の距離は放射する電磁波の波長の8分の1程度以下とすることが望ましい。また、無給電素子の周波数調整の観点からは、無給電単位素子800の素子片の長さX4を短く設定し、給電素子に沿って配列する個数が多いことが望ましい。しかし、分岐素子部を利用した無給電素子の設計が可能であることと、配列する個数が多くなるとスイッチの個数の増大や制御信号の数の増大が問題となることから、素子片を短くしすぎる必要もない。従って、必要とされる放射周波数の変更の精度に応じた設計を行えばよい。
4GHz帯において、100MHz程度の周波数精度で良い場合は、以下の実施例のように、無給電素子本体の長さは1/20波長、分岐素子部の長さは1/24波長程度で実施可能となる。棒状無給電素子しか用いない場合に無給電素子を1/20波長ずつ分割して無給電素子の設計をすると、4GHz帯では400MHzの精度でしか無給電素子の共振周波数の変更はできないが、本発明によると100MHz程度の精度が実現できるのは、分岐素子部を利用するためである。
他の周波数帯においても同様に、分岐素子部を利用することにより、無給電素子の共振周波数の変更の精度を向上することができる。従って、スイッチの制御により無給電単位素子間の導通または開放状態を切り替えて形成した無給電素子の共振周波数と、給電素子に対する相対位置を決定することにより、給電素子との電磁結合の結果として、所定の周波数において放射指向性を制御することができる。
従来の指向性制御アンテナでは、給電素子に平行な直線形状の無給電素子を使用することが行われてきたが、本実施形態では、図1に示す給電素子42aなどの給電素子に平行でない方向の導体パターン(分岐素子部)を無給電素子の構成要素として導入して、無給電素子本体間の導通を取ることを可能にした。従来の直線形状の無給電素子を用いる場合は垂直面内でのビームチルトのためには、無給電素子をずらして配置するために指向性可変アンテナが長大化したが、本発明では同等の放射指向性の変化を指向性可変アンテナが長大化しないような構成で実現することができる。このことは、小型化が要求される携帯用無線通信端末にとって好適である。また、本発明によると、給電素子の放射帯域であれば、無給電素子の共振周波数の設計により放射指向性を制御する電磁波の周波数を選択、変更することができる。
これらの効果を示す無給電素子の設計について図7(a)、(b)を用いて説明する。図7(a)は、図6(a)の指向性可変アンテナの無給電単位素子とスイッチの接続の配列を2次元的に表現した図である。図中のハッチングされた十字型の図形が無給電単位素子である。図の横方向がZ軸方向であり、縦方向には方位角φに沿った配列の順序を示している。すなわち、十字型で表される無給電単位素子の横方向に伸びる腕部が無給電素子本体s(素子片)、縦方向に伸びる腕部が分岐素子部を表す。また白塗りの長方形は開放状態のスイッチ、黒塗りの長方形は導通状態のスイッチを示している。
図7(b)は、図7(a)に示されている無給電素子を備える指向性可変アンテナの斜視図である。図7(b)では、導通状態にあるスイッチのみを描き、開放状態にあるスイッチを図示せずに表現した。図7(b)は、給電素子対10と、図7(a)で表現される無給電素子2の位置関係を3次元的に表現している。
図7(a)および(b)で表される無給電素子2は、無給電単位素子81b、81c、81d、82dのそれぞれの間を接続するスイッチ51c、51d、55dを導通状態にすることで形成される。この無給電素子2は、所定の共振周波数において給電素子対10と電磁結合を行い、放射指向性を変化させる効果を持つ。具体的には、無給電素子2は、無給電単位素子81b、81cおよび81dが導通されており、これらの素子片が一直線上に導通されて形成する無給電素子本体21aが、無給電素子2を構成する他の無給電素子本体と比べ最も長い。そのため、無給電素子本体21aが最も強く給電素子対10と電磁結合する。このような無給電素子本体を主軸部と呼ぶことにする。この場合、放射指向性の変化は、給電素子対10と、無給電素子本体の主軸部21aを含む平面内で起きる。また、無給電素子本体の主軸部21aをZ軸上に投影したとき、投影像の中心は原点に対しZ軸の負の方向にあるため、下記の実施例で示すように、無給電素子2が導波器として働く周波数においては、給電素子対10の中心から見て無給電素子本体の主軸部21aの中心の方向、すなわち仰角が90度〜180度の方向に放射指向性が変化する。
同様に、無給電素子2が反射器として働く周波数においては、給電素子対10の中心から見て無給電素子本体の主軸部21aの中心とは反対の方向、すなわち仰角が0度〜90度の方向に放射指向性が変化する。
さらに、分岐素子部を介するスイッチ55dを導通することにより、無給電素子本体の主軸部21aから無給電単位素子82dが接続されている。これは無給電単位素子82dが導通されていない状態に比べ、無給電素子2の共振周波数が低下する効果がある。
分岐素子部を利用した屈曲部のある形状を採用することにより、同一の共振周波数を持つ直線的な形状の導体の部材と比較して、給電素子対10に沿った方向の無給電素子2の長さを短縮する効果がある。
分岐素子部間を接続するスイッチ55dなどを導通させず開放とした状態でも、無給電単位素子が元来保持している分岐素子部(例えば、無給電単位素子81aにおける分岐素子部42a)により、同一の共振周波数を持つ直線的な形状の導体の部材と比較して、無給電素子2の長さを短縮する効果がある。
さらに、スイッチ55dを開放してスイッチ55bを導通させたり、スイッチ55dとスイッチ58dを同時に導通させたりすることにより、無給電素子2の共振周波数をわずかに変化させることができる。この効果により、放射指向性を制御する周波数を変更することができる。
図17に示されている従来の技術では、同様の周波数選択性を持つように棒状導体の無給電素子を作成する場合は、給電素子に沿った方向の多数の無給電素子の分割とスイッチが必要になる。
本発明の好ましい実施形態において、分岐素子部間を接続するスイッチを使用することにより、同様の周波数選択性を有するための無給電素子の分割の回数、すなわち必要なスイッチの個数を減らすことができる。さらに、設定する無給電素子の個数は複数であってもよく、その場合は複数の無給電素子の効果を組み合わせた放射指向性の変化を起こすことができる。
(実施例)
図8は、本発明の実施形態による指向性可変アンテナの実施例の断面図であり、給電素子対10の中心軸を含む平面における指向性可変アンテナの断面を示している。図8において、給電素子対10の中心軸をZ軸とし、YZ平面が紙面に平行な平面である。
このアンテナに使用されている平面基板は、第1平面基板31と第2平面基板41であり、それぞれが交互に配列されている。第1平面基板31eを除く第1平面基板31および第2平面基板41の中心を給電素子11または12が貫通している。平面基板31、41の配列の中央に位置する第1平面基板31eは、給電基板60として設計されている。すなわち、給電素子11、12は、第1平面基板31eを貫通しておらず、第1平面基板31eは、図4(a)に示す給電線路62、63を有している。給電線路62、63は、平面基板31eの両面上において給電素子11および12へ接続されている。
図9(a)は、図8に示す指向性可変アンテナのZ軸に垂直な平面AEにおける断面図、図9(b)は、第2平面基板41のZ軸の正の方向の面の平面図、図9(c)は、第1平面基板31のZ軸の正の方向の面の平面図、図9(d)は第1平面基板31のZ軸の負の方向の面の平面図、図9(e)は給電基板60としての役割を有する第1平面基板31eのZ軸の正の方向の面の平面図である。
給電素子対10は、二本の中空円筒状導体である給電素子11および12からなり、それらはZ軸上で原点に対して対称に向き合っていることとする。給電素子11および12の長さDZ1は5.0mm、外径DR1は0.6mm、内径DR2は0.3mm、給電素子間の間隔DZ2は、第1平面基板31および第2平面基板41の基板厚さSZ1と等しい。すなわち、DZ2=SZ1=0.3mmの関係が成立する。なお、第1平面基板および第2平面基板の間隔SZ2は1.5mmである。
図8に示すように、無給電素子本体と分岐素子部からなる無給電単位素子は、給電素子対10に垂直で給電素子11、12の両端のいずれかを含む二つの平面に挟まれる領域に含まれる。したがって、素子片間のスイッチを全て導通させたときに形成する無給電素子の給電素子に沿った方向の長さ(図8の設計では、第1平面基板31aと31iの間の距離とほぼ等しい)が、給電素子対全体の長さ(給電素子の長さDZ1の2倍の長さとほぼ等しい)より長くなることはない。なお、無給電単位素子間のスイッチを全て導通させたときに形成される無給電素子の中心は、給電素子対の中心(原点に位置する)と一致している。
まず、図9(a)を参照しつつ、給電素子対10に垂直な断面における給電素子11と無給電素子の素子片211a〜214aとの位置関係を説明する。
素子片211a〜214aの中心間を結んでできる正方形の中心に給電素子11の中心が位置する配置であり、給電素子11の中心を座標原点とするとき、無給電平行素子211a〜214aの中心位置の図8の平面AE内におけるXY座標はそれぞれ、(±PDX1、±PDY1)で表される。ここで、PDX1=PDY1=2.5mmであり、無給電素子本体の半径PR1は0.2mmである。
次に、図9(b)〜(e)を参照しつつ、第1平面基板31および第2平面基板41の導体パターン形状を説明する。
第2平面基板41の形状は正方形であり、図9(b)に示すように、その大きさについては、SX1=SY1=5.8mmが成立する。図9(c)に示すように、第1平面基板31についても、SX2=SY2=5.8mmが成立する。なお、図9(b)は、第2平面基板41のZ軸の正の方向の面の平面図である。第2平面基板41におけるL字型の導体パターンである分岐素子部42〜45の長手方向の長さについては、PAY1=PAX1=2.5mmが成立し、隣接する導体パターン間の間隔については、PAY2=PAX2=0.4mmが成立し、パターンの幅については、PAY3=PAX3=0.4mmが成立する。すなわち、図9(a)および図9(b)からわかるように、図9(b)の分岐素子部42〜45のL字型パターンの屈曲部の近傍で無給電素子本体と接続できる。
図9(c)は、第1平面基板31のZ軸の正の方向の面の平面図である。第1平面基板31において、Z軸の正の方向の面で無給電素子本体21と接続される導体パターン321、331、341、351の位置に関して、PBX1=PBY1=1.5mm、PBX2=PBY2=1.2mm、および導体パターンの幅PBY3=PBX3=0.4mmが成立することにより、上記の一連の導体パターンと無給電素子本体との位置関係が図3(b)に示すような配置で互いに接続される。その他、スイッチ接続用のパターン322などに関して、PBY4=PBY5=PBX4=PBX5=0.4mmが成立する。
図9(d)は、第1平面基板31のZ軸の負の方向の面の平面図である。第1平面基板31において、Z軸の負の方向の面で無給電素子本体21と接続され、また、図3(b)に示すヴィアホール324などを通じて、上記のZ軸の正の方向の面上に設けたスイッチ接続用の導体パターン322などと接続する導体パターン323、333、343、353の位置に関して、PBX6=PBY6=2.7mm、PBX7=0.4mm、PBY7=1.2mmが成立する。
図9(e)は、給電基板60としての役割を有する第1平面基板31eのZ軸の正の方向の面の平面図である。他の第1平面基板31と異なる点は、中心において給電素子対10の直径に対応する円形の電極622が設けられていることと、電極622から基板端まで短冊状の導体パターンである給電線路62が設けられていることである。
基板の裏面にも同様に、基板の中心に円形電極632、電極から基板端まで短冊状の導体パターンである給電線路63が設けられている。したがって、基板端の給電線路62、63間に放射する信号を入力することにより、信号は給電線路62、63を平行平板モードとして伝搬し、電極622、632にて給電素子対10へ入力される。
次に、無給電素子の設計例とそのときの放射指向性の例を説明する。
無給電単位素子の配列と素子間の導通、開放の設計を図7に準じた形式で図11に示す。図11では、図7と同様に、ハッチングされた十字形の図形が無給電単位素子である。図の横方向がZ軸方向であり、縦方向には方位角φに沿った配列の順序を示している。十字形で示される無給電単位素子の横方向に伸びる腕部が無給電素子本体(素子片)、縦方向に伸びる腕部が分岐素子部を表す。また、隣接する無給電単位素子間を接続する長方形のうち、白塗りの長方形は開放状態のスイッチ、黒塗りの長方形は導通状態のスイッチを示す。
図8が示すように、本実施例では、図6(b)の無給電単位素子800と電気的に等価な形状を有する無給電単位素子が、給電素子対10に平行に8個配列されている。また、図6(a)に示す例と同様に、給電素子対10に垂直な平面にそって、給電素子対の周囲を4個の無給電単位素子が分岐素子部間を近接させて取り囲んでいる。このときに、それぞれの無給電単位素子の素子片は、給電素子対に対して方位角φ=45度、135度、225度、315度のいずれかの方向にある。
図11(a)は全てのスイッチが、すべて開放状態にあることを表している。それに対し、図11(b)では、無給電単位素子81e、81f、81g、81h、82f、82g、84gが、それぞれを接続するスイッチ51f、51g、51h、55f、55g、58gにより互いに導通状態とされていることを表している。図11(c)および(d)についても同様である。
なお、以下に示す試作例では、スイッチの開放位置は、図9に示す導体パターンがそのまま開放された状態とし、スイッチの導通位置は、導体パターンを同一幅(断面積)のまま延長して導通させた状態に設定している。
既に説明したように、図11(b)および(c)に示した設計例において、無給電単位素子81eから81hまでの、給電素子に平行な方向に一直線上に並んだ複数の無給電単位素子が導通していることにより、これらの形成する無給電素子本体の主軸部21aが、放射指向性の変化に大きな影響を与える。すなわち、給電素子対10と無給電素子本体の主軸部21aを含む平面である、方位角45度方向の垂直面内に放射指向性の変化が生じ、主ビーム方向が向く。この方位角45度方向の垂直面とは、図10の点AA−AB−AC―ADで結んで形成される平面である。
一方、図11(d)に示す例では、無給電単位素子81e、81f、81g、および81hに到る方位角45度方向の無給電素子本体21aと、無給電単位素子84e、84f、84g、および84hに到る方位角315度方向の無給電素子本体21dがいずれも等しい長さで、最長の無給電素子本体であるため、無給電素子本体21aと21dはいずれも主軸部として働く。この設計例では、設定周波数(4.3GHz)で二個の無給電素子がいずれも同じ形状であり、同等の反射器として働くため、無給電素子本体の主軸部21aと21dから等距離にある平面である、方位角0度方向の垂直面内で放射指向性が変化する。
これらの図11(a)〜(d)に示す無給電素子の設計に対応する垂直面上での放射指向性利得を図12(a)〜(d)に示す。図12(a)〜(d)は、図11(a)〜(d)のそれぞれの接続例に対応する。図12(a)〜(c)は、方位角45度の垂直面での放射指向性利得であり、図12(d)は、方位角0度の垂直面での放射指向性利得である。
図12(a)は、周波数4.1GHzにおける測定結果を示している。垂直面での放射指向性利得であるため、半波長ダイポールアンテナの元来の特性である仰角90度と270度の方向へ指向性が生じる。
図12(b)は、周波数4.4GHzにおける測定結果、図12(c)は、周波数3.7GHzにおける測定結果を示している。無給電素子本体の主軸部を設定した方位角45度の垂直面内において、給電素子対10の中心にある給電点(原点)から見て、形成した無給電素子の無給電素子本体の主軸の中心に向かう方向(すなわち仰角90度から180度の方向)へ放射志向性が変化している。図12(b)では30度、図12(c)では20度の放射指向性の変化が得られている。
図12(d)は、周波数4.3GHzにおいて、二つの無給電素子の無給電素子本体の主軸部から等距離にある平面である方位角0度の垂直面内において、無給電素子を設けた方向と逆の方向(すなわち仰角270度から0度の方向)へ、30度の放射指向性の変化が得られた。
従って、図12(b)および(c)の結果では、無給電素子が導波器として機能して、給電素子の中心から見て、無給電素子のある方向へ放射指向性が変化した。また、図12(d)の結果では、二つの無給電素子が反射器として機能した効果の合成として、給電素子の中心から見て、無給電素子のある方向とは逆の方向へ放射指向性が変化した。
図12(a)〜(d)は、異なる周波数での測定結果を示している。これを実現するためには、無給電素子の共振周波数の制御が必要である。そのとき、無給電素子本体の主軸部の長さだけでなく、分岐素子部を利用した無給電素子の設計が有用である。
図11(a)〜(d)は、無給電素子本体の主軸部はほぼ同じ構成であるが、分岐素子部を利用した形状設計が異なっており、これによって無給電素子の共振周波数を制御することができる。
無給電素子の共振周波数の精緻な調整を図17に示すような直線状の無給電素子の多段分割で行う場合は、直線状の無給電素子を非常に多数に分割することが必要になるが、本発明のような分岐素子部を利用する場合は、分岐素子部を導通させる位置の選択によって共振周波数を変化させることができるため、図11および図12のように、放射指向性を変化させる方向だけでなく、電磁波の周波数まで含めて設計することができる。
最後に、無給電素子の設計の概念と背景について説明する。
無給電素子は、給電素子対10との電磁気的な結合により給電されて放射する。従って、給電素子対10とある程度近接して配置する必要があるとともに、給電素子対10の放射する電界の方向に合わせて電流が流れ得るような方向の導体部分を含む構成をとる必要がある。
給電素子対10を流れる電流はZ軸の方向であるため、放射する電磁界の電界の方向はZ軸を含む面内(従って、XY平面に垂直な平面である)の成分のみを有する。従って、XY平面に平行な(線状の)導体は給電素子対10とは結合を行わない。一般には、給電素子対10と無給電素子の電磁界の結合が強く生じるような配置を選び、図16や図17に示すように、無給電素子は、給電素子と平行な方向とされている。
しかし、既に述べたように、無給電素子を給電素子と平行な線状導体として構成すると、放射指向性を垂直面内で変化させたい場合に、導波器もしくは反射器としての無給電素子を給電素子に平行な方向(Z軸方向)にずらす必要がある。このときは、無給電素子は、給電素子とほぼ等しい共振周波数(すなわち長さ)を有するため、ほぼそのずらした距離だけ無給電素子が給電素子の端部から外側へはみ出すことになり、アンテナの全長が長くなることが明らかである。
無給電素子は、必ずしも、給電素子に平行な方向の導体のみで構成する必要はない。無給電素子の一部は、給電素子に平行な方向の導体部分から、垂直な方向に枝分かれしてもよく、しかも、そのような形状を取ることで無給電素子の共振周波数を下げることができる。これは、無給電素子の、給電素子に平行な方向における長さを短縮することができる。従って、放射指向性を垂直面内で変化させたダイポールアンテナを、その長手(長軸)方向の長さが長くならないように設計することが可能になる。
ダイポールアンテナなどの線状アンテナの垂直面内(給電素子を含む面内)で放射指向性を大きく変化させるためには、従来の直線状の無給電素子を用いる場合、図15のように、無給電素子20を給電素子10に対して長軸方向にずらす必要があった。そのため、ずらした長さだけ、アンテナ装置が長大化していた。
本発明では、分岐素子部を利用した無給電素子の設計を行うことにより、無給電素子の長軸方向の長さの短縮が可能になった。そのため、図8から明らかなように、無給電素子を給電素子の長軸方向へはみ出させることがない条件で、図12(b)〜(d)に示したように、放射指向性を大きく変化させることが可能になった。
本発明の指向性可変アンテナは、ダイポールアンテナなどの線状アンテナの放射指向性を、給電素子を含む面内と給電素子に垂直な面内で変化させることができるため、放射指向性を目標物の方向へ向けて、妨害波の受信を抑圧することで通信品質を改善することができるだけでなく、アンテナが長手方向に長大化しないようにできるため、携帯用無線通信端末や屋内無線通信端末に利用すると極めて有用である。
本発明の実施形態における指向性可変アンテナを示す斜視図である。 (a)および(b)は、いずれも、本実施形態の指向性可変アンテナに実装される平面基板の平面図である。 (a)から(c)は、本実施形態の指向性可変アンテナにおいて、無給電素子の素子片間、および分岐素子部間の接続を示す斜視図である。 (a)および(b)は、本実施形態の指向性可変アンテナにおいて、給電基板による給電方法を示す斜視図である。 本実施形態の指向性可変アンテナにおいて、スイッチの実装形態を示す模式図である。 (a)は、本実施形態の指向性可変アンテナにおいて導体部分とスイッチによる原理的な構成を示す斜視図であり、(b)は、無給電単位素子の斜視図である。 (a)は、本実施形態の指向性可変アンテナにおいて、無給電単位素子の接続とスイッチの開閉を示す無給電素子の二次元模式図であり、(b)は、(a)に示す無給電素子を有するアンテナの斜視図である。 本実施形態の指向性可変アンテナの実施例におけるYZ平面での断面図である。 (a)は、本実施形態の指向性可変アンテナの実施例において、長軸方向に垂直な断面図であり、(b)〜(e)は、各平面基板の導体パターン図である。 本実施形態において指向性可変アンテナと、所定の方位角の方向の垂直面の関係を示す模式図である。 (a)〜(d)は、本実施形態の指向性可変アンテナの実施例において、無給電単位素子の配列と、スイッチの開閉を示す無給電素子の二次元模式図である。 (a)〜(d)は、本実施形態の指向性可変アンテナの実施例において、図10の各々の無給電素子設計に対応する放射指向性利得のパターン図である。 直交座標系と方位角、仰角の方向を定義する模式図である。 携帯電話を情報端末として利用する場合の線状アンテナの課題を示す模式図である。 従来の技術である線状無給電素子を用いるアンテナ装置の平面図である。 (a)〜(c)は、従来の技術におけるスイッチ切り替え型セクタアンテナの説明図である。 従来の技術における垂直面放射指向性切り替え型アンテナの説明図である。 従来の技術におけるコリニア、アレーアンテナの説明図である。
符号の説明
1 指向性可変アンテナ
2 無給電素子
10 給電素子対
11、12 給電素子
21 無給電素子の無給電素子本体
211〜214 無給電素子の素子片
31 第1平面基板
310、410 貫通孔
321 導体パターン
324、424 ヴィアホール
41 第2平面基板
42〜44 無給電素子の分岐素子部
51〜58 スイッチ
60 給電基板
61 送受信機
62、63 給電線路
70 PINダイオード
71、72 キャパシタ
73 直流電源
710、720 制御線路
711、721 ローパスフィルタ
712、722 制御リード線
713、715、723、725 インダクタ
81〜84、800 無給電単位素子
101、102 給電素子上の貫通孔
163 スリーブアンテナ
164 無給電素子(寸法の長い線状導体)
165 ダイオードスイッチ回路
166 追加素子(寸法の短い線状導体)
167 誘電体基板
168 レドーム
169 RF阻止用コイル
170 線状放射素子
171 U字型無給電素子
172 スイッチ
173 線状無給電素子
181 誘電体
180、189 円筒導体
182 環状スロット
183 半波長ダイポールアンテナ
184 同軸給電線
1001 基地局
1021、1022 携帯電話
1031、1032、1033 放射指向性の模式図

Claims (4)

  1. Z軸に平行な線状導体からなる給電素子(11、12)と、
    無給電素子(2)と
    を有し、
    前記無給電素子(2)は、前記Z軸に平行なn本の線状(nは3以上の自然数)の無給電素子本体(21a、21b、21c、21d)を有し、
    前記無給電素子本体(21a、21b、21c、21d)は、前記給電素子(11、12)の周囲を取り囲むように配置され、
    前記無給電素子本体(21a、21b、21c、21d)は、それぞれ、
    前記Z軸に平行に配列された複数の素子片(211a〜211h、212a〜212h、213a〜213h、214a〜214h)と、
    前記素子片(211a〜211h、212a〜212h、213a〜213h、214a〜214h)の間を導通され得る少なくとも1個の第1スイッチ素子(51、52、53、54)と、
    を有する、指向性可変アンテナ(1)であって、
    前記無給電素子(2)は、さらに、
    前記n本の無給電素子本体(21a、21b、21c、21d)のうちの隣接する2つをオン時には電気的に接続し、オフ時には電気的に絶縁する少なくとも1個の第2スイッチ素子(55、56、57、58)を有し、
    前記少なくとも1個の第1スイッチ素子(51、52、53、54)および前記少なくとも1個の第2スイッチ素子(55、56、57、58)のオン、オフを切り替えることにより指向性が変化する、
    指向性可変アンテナ。
  2. 前記無給電素子本体(21a、21b、21c、21d)と前記給電素子(11,12)との距離が、放射する電磁波の波長の1/4以下である、請求項1に記載の指向性可変アンテナ。
  3. 前記無給電素子本体(21a、21b、21c、21d)は、それぞれ給電素子(10)よりも長さが短い、請求項1に記載の指向性可変アンテナ。
  4. 前記無給電素子(2)は、さらに、前記第1スイッチ素子(51、52、53、54)および/または第2スイッチ素子(55、56、57、58)が実装された平面基板(31、41)を具備し、
    前記平面基板(31,41)の位置が前記給電素子(11、21)によって保持されている、請求項1に記載の指向性可変アンテナ(1)。
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