JP2006246228A - アンテナ装置および無線通信システム - Google Patents

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Riichi Kudo
理一 工藤
Kentaro Nishimori
健太郎 西森
Toshihiro Seki
智弘 関
Kenjiro Nishikawa
健二郎 西川
Koichi Tsunekawa
光一 常川
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Abstract

【課題】 小型化することができ、かつ放射効率を高くする。
【解決手段】 xy面内にある円形導体板1には、導体板の輪郭線より導体内部に達するが導体板を分断しない蛇行する空隙211と直線状の空隙212とが設けられている。また、円形導体板1と垂直に導体棒3が構成され、円形導体板1と導体棒3とは円形空隙213によって接触しないようになっている。導体棒3と円形導体板1との間に、交流の電位差を付与(以下、給電と呼ぶ)すると、導体棒3は導体板1を地導体としたモノポールアンテナとして動作する。空隙211に給電すると、導体板1を地導体としたノッチアンテナとして動作する。導体棒3、ノッチアンテナ211、212に給電することによって、異なる偏波特性の放射パターンが得られる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、それぞれが異なる偏波を有する複数のアンテナを一体化したアンテナ装置および無線通信システムに関する。
無線通信において周波数帯域を広げずに高速伝送を実現することが求められている。その実現法の1つとして、複数のアンテナから別々の信号を送信し、受信側でも別々のアンテナを用いて信号を受信することによってアンテナ数に応じた伝送速度の向上を実現するMIMO(Multi-Input Multi-Output)技術が挙げられる。一方、小型の無線通信端末にMIMO技術を適用するためには、小型の筐体に多数のアンテナを実装することが必要になる。しかし、複数のアンテナを近接させて実装した場合、アンテナ同士の結合によってアンテナ間の相関が上昇するため、多数のアンテナを実装しても伝送速度を向上することが困難となる。そのため、従来から、アンテナ間の結合を低下させるために、電界(偏波)方向の異なるアンテナを採用する方法が考えられており、異なる偏波のアンテナを一体に構成することによってアンテナの小型化を図る検討がなされている。
図13は、従来技術による、異なる偏波の複数のアンテナを一体化した無線通信用アンテナ装置を示す斜視図である(例えば非特許文献1参照)。図において、4はxy平面と平行な円形の誘電体基板、101は誘電体基板の背面全体に貼り合せられた導体板、102は誘電体基板4の上面に基板中央に配置された円形導体板、3は基板と垂直でz軸方向と平行な線状の導体棒であり、円形導体板102との間に隙間を有し、接触しないように構成されている。601〜603は3つの給電端であり、それぞれの給電端を給電手段に接続することによって、アンテナを給電することができる。ここで、円形導体板102の中央はxyz軸で示される空間の原点にあると仮定する。
円形導体板102はパッチアンテナであり、給電端601または給電端602から給電を行うと、アンテナ上面のZ軸上において、それぞれx軸とy軸に平行な偏波の電界が観測される。これは、給電端601と602がそれぞれx軸とy軸上にあり、円形導体板102により構成されるパッチアンテナの励振電流方向がそれぞれx軸とy軸と平行になるためである。また、円形導体板102により構成されるパッチアンテナは、導体板101を地導体とする円形誘電体基板4の中央に存在するため、基板のサイズが有限であっても、地導体に流れる電流は、原点を基準として対称に流れ、アンテナ上面のz軸上から観測される電界の方向に影響を与えないという特徴がある。
さらに、給電端603から給電を行うと、導体棒3はモノポールアンテナとして動作し、xy面上では、z軸と平行な電界が観測される。円形地導体101の中央に導体棒3によるモノポールアンテナが構成されるため、地導体のサイズが有限であっても、地導体に流れる電流は、原点を基準として対称に流れ、xy面から観測される電界の方向に影響を与えないという特徴がある。したがって、このアンテナは、給電端601、602、603に給電することによって、電界方向(以下、偏波または偏波方向)がx軸、y軸、z軸と平行である放射が得られる。
2004年電子情報通信学会総合大会、SB−1−7
ところで、上述した従来技術による、異なる偏波の複数のアンテナを一体化した無線通信用アンテナでは、任意の1つの給電端のみに給電を行う場合、所望の偏波成分に対して異なる方向の偏波(交さ偏波)の発生を抑制するために、波長に対して十分に大きな地導体付きの誘電体基板を用いるか、円形の地導体付き誘電体基板の中央に全てのアンテナを構成する必要があった。そのため、誘電体基板の形状やアンテナの配置に制限があり、小型の無線通信に適した十分に小型のアンテナの実現が困難であった。また、パッチアンテナを用いているため、実効波長における半波長のアンテナの幅と長さが必要になり、さらなるアンテナの小型化が困難であるという問題があった。
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、交さ偏波が発生しても問題とならない無線通信において、偏波を利用して小型のアンテナを一体化することによって、小型化することができ、かつ放射効率を高くすることができるアンテナ装置および無線通信システムを提供することにある。
上述した課題を解決するために、本発明は、導体板と該導体板に垂直な導体俸とを具備するアンテナ装置であって、前記導体板は、該導体板の輪郭部より導体板内部に達し、かつ該導体板を分断しないように形成された2つ以上の空隙を有し、前記導体棒は、前記導体板内に形成された開口部によって前記導体板と接触しないよう配置され、前記導体棒の一方の端部付近に前記2つ以上の空隙の端部が存在することを特徴とする。
本発明は、上記の発明において、前記導体棒は、前記導体板と平行な平板、またはインダクタ性または容量性のいずれかのリアクタンス素子を有するか、あるいはらせん状、渦巻き状または蛇行状の形状からなることを特徴とする。
本発明は、上記の発明において、前記導体板は、略直角となる角部を形成する2辺以上の直線状の輪郭部を有し、前記空隙は、それぞれ一方の端部が前記直線状の輪郭部上に位置するように前記導体板上に形成されたことを特徴とする。
本発明は、上記の発明において、前記導体板は、略直角となる2つ以上の角部を形成する輪郭部を有し、前記導体棒は、前記角部のそれぞれの近傍に配置され、前記空隙は、それぞれ一方の端部が前記角部を形成する輪郭部上に位置し、それぞれの他方の端部が前記導体棒の一方の端部近傍に位置するように前記導体板上に形成されたことを特徴とする。
本発明は、上記の発明において、前記導体板は、前記空隙の全長より短く、かつ前記空隙のうち隣り合う空隙の間に、該導体板の輪郭部より導体板内部に達し、かつ該導体板を分断しない無給電空隙を有することを特徴とする。
本発明は、上記の発明において、前記空隙のうち隣り合う空隙の間に、前記導体板に一方の端部が接続された無給電導体棒を具備し、前記無給電導体棒は、直線状の形状からなるか、あるいは前記導体板と平行な平板を有するか、あるいはインダクタ性または容量性のいずれかのリアクタンス素子を有するか、あるいはらせん状または渦巻き状または蛇行状の形状からなることを特徴とする。
本発明は、上記の発明において、前記空隙は、その少なくとも2つの空隙が半直線状であり、その形成方向の角度差が70度〜110度の範囲になるように形成されることを特徴とする。
本発明は、上記の発明において、前記空隙は、最も近接する2つの空隙の端部と前記導体棒の一方の端部とが真空における動作周波数の1/4波長の円内に入るように配置されることを特徴とする。
本発明は、上記の発明において、前記導体板は、誘電体板と接着された誘電体基板であることを特徴とする。
また、上述した課題を解決するために、本発明は、複数の異なる信号または同一の信号を同時に出力可能な複数の送信手段を具備する信号送信装置と、複数の異なる信号または同一の信号をら同時に入力可能な複数の受信手段を具備する信号受信装置とを用いる無線通信システムであって、請求項1ないし9のいずれかに記載のアンテナ装置の前記導体棒または前記空隙が、前記複数の送信手段または前記複数の受信手段と接続されることを特徴とする。
この発明によれば、導体板に、該導体板の輪郭部より導体板内部に達し、かつ該導体板を分断しないように形成された2つ以上の空隙を形成し、前記導体棒を、前記導体板内に形成された開口部によって前記導体板と接触しないよう配置し、前記導体棒の一方の端部付近に前記2つ以上の空隙の端部を設ける。したがって、モノポールアンテナとして動作する導体棒とノッチアンテナとして動作する空隙との間の結合を低く抑制することができ、アンテナ素子間の結合による放射効率の低下も抑制することができる。また、導体棒と空隙は約1/4波長の長さで実現できるため、半波長アンテナを用いた場合と比べてアンテナを小型化することができる。ゆえに、偏波の利用によって、小型化・結合低減・高い放射効率を同時に実現可能なアンテナ装置を構成することができるという利点が得られる。
また、本発明によれば、前記導体棒を、前記導体板と平行な平板、またはインダクタ性または容量性のいずれかのリアクタンス素子を有するか、あるいはらせん状、渦巻き状または蛇行状の形状とする。したがって、導体棒を、前記導体板と平行な平板、またはインダクタ性または容量性のいずれかのリアクタンス素子を有するようにした場合には、直線状モノポールアンテナと比べて長さを短くでき、アンテナを低姿勢に構成することができる。これによって、アンテナを小型化することができるため、小型の無線通信端末への実装が容易になる。また、導体棒に導体板と平行な平板か容量性のリアクタンス素子を実装した場合には、導体棒に装荷された導体板またはリアクタンス素子を流れる電流は小さく、空隙により構成されるノッチアンテナの特性に与える影響は小さく、ノッチアンテナとして動作する空隙とモノポールアンテナとして動作する導体棒との結合量には殆ど影響しない。ゆえに、偏波の利用によって、小型化・結合低減・高い放射効率を同時に実現可能なアンテナ装置を構成することができるという利点が得られる。
また、本発明によれば、前記導体板を、略直角となる角部を形成する2辺以上の直線状の輪郭部を有する形状とし、前記空隙を、それぞれ一方の端部が前記直線状の輪郭部上に位置するように前記導体板上に形成する。したがって、2つの空隙に給電すると、導体板を地導体とする2つのノッチアンテナとして動作し、2つの輪郭線の方向が直交するため、ノッチアンテナを給電したことによって2辺に生ずる電流方向も直交するため、2つのノッチアンテナの結合量を低減することができる。また、小型の無線通信端末に実装する場合、端末の筐体または端末内部の基板等、端末の一部に直角な角を利用してアンテナを実装することができるため、2つのノッチアンテナの結容量低減と端末との一体化によるアンテナの小型化とを両立することができる。ゆえに、偏波の利用によって、小型化・結合低減・高い放射効率を同時に実現可能なアンテナ装置において、アンテナ間の結合の低減と端末との一体化によるさらなるアンテナの小型化を実現することができるという利点が得られる。
また、本発明によれば、前記導体板を、略直角となる2つ以上の角部を形成する輪郭部を有する形状とし、前記導体棒を、前記角部のそれぞれの近傍に配置し、前記空隙を、それぞれ一方の端部が前記角部を形成する輪郭部上に位置し、それぞれの他方の端部が前記導体棒の一方の端部近傍に位置するように前記導体板上に形成する。したがって、1つの角周辺にある2つの空隙に給電すると、導体板を地導体とする2つのノッチアンテナとして動作する。角周辺の輪郭線の方向が直交するため、ノッチアンテナを給電したことによって2辺に生ずる電流方向も直交し、2つのノッチアンテナの結合量を低減することができる。また、もう1つの角付近2つのノッチアンテナも全く同様に低い結合特性を示す。ゆえに、小型の無線通信端末に実装する場合、端末の筐体または端末内部の基板等、端末の一部の長方形である部位を利用してアンテナを実装することができるため、ノッチアンテナの結容量低減と端末との一体化によるアンテナの小型化を両立することができる。また、2つの角に3個ずつアンテナを構成することができるので、2つの角を利用した場合には、合計で6個のアンテナを実装することができるようになる。また、4つの角全てを利用した場合には、12個のアンテナを実装することが可能になる。ゆえに、偏波の利用によって、小型化・結合低減・高い放射効率を同時に実現可能なアンテナ装置において、無線端末の長方形である部位の角を利用することによって6つ以上の多数のアンテナを実装することができるという利点が得られる。
また、本発明によれば、前記導体板に、前記空隙の全長より短く、かつ前記空隙のうち隣り合う空隙の間に、該導体板の輪郭部より導体板内部に達し、かつ該導体板を分断しない無給電空隙を形成する。したがって、1つの角周辺にある2つの空隙に給電すると、導体板を地導体とする2つのノッチアンテナとして動作する。角周辺の輪郭線の方向が直交しているため、ノッチアンテナを給電したことによって2辺に生ずる電流方向も直交し、2つのノッチアンテナ同士の結合量を低減することができる。また、もう1つの角付近2つのノッチアンテナ同士も全く同様に低い結合特性を示す。一方、2つの励振方向の等しいノッチアンテナの間に無給電ノッチアンテナとして動作する空隙を形成し、空隙の長さを他の空隙よりも短くすることによって、隣接する励振方向の等しいノッチアンテナの間の結合を低減することが可能となる。ゆえに、偏波の利用によって、小型化・結合低減・高い放射効率を同時に実現可能なアンテナ装置において、無線端末の長方形である部位の角を利用することによって多数のアンテナを実装することを可能とするとともに、隣り合う平行な空隙が近接した場合でも空隙の間の結合を低減することができるという利点が得られる。
また、本発明によれば、前記空隙のうち隣り合う空隙の間に、前記導体板に一方の端部が接続された無給電導体棒を設け、前記無給電導体棒を、直線状の形状からなるか、あるいは前記導体板と平行な平板を有するか、あるいはインダクタ性または容量性のいずれかのリアクタンス素子を有するか、あるいはらせん状または渦巻き状または蛇行状の形状とする。したがって、角付近に構成された2つの導体棒がモノポールアンテナとして動作し、2つのモノポールアンテナの間に配置される導体棒が無給電のモノポールアンテナとして動作する。直線状導体棒の長さ、または導体棒と接続される導体板と平行な平板の形状、または導体板に一方が接続された導体棒はインダクタ性または容量性のリアクタンス素子のリアクタンス値、またはらせん状または渦巻き状または蛇行形状である導体棒の長さを適切に与えることによって、2つのモノポールアンテナの間の結合を低減することができる。ゆえに、偏波の利用によって、小型化・結合低減・高い放射効率を同時に実現可能なアンテナ装置において、隣り合う導体棒によるモノポールアンテナが近接した場合でもモノポールアンテナの間の結合を低減することができるという利点が得られる。
また、本発明によれば、前記空隙の少なくとも2つの空隙を半直線状とし、その形成方向の角度差を70度〜110度の範囲になるようにする。したがって、ノッチアンテナとして動作する空隙の方向を70度〜110度とすることによって、2つの空隙付近に流れる電流の方向がほぼ直交とすることができ、2つのノッチアンテナの主偏波がほぼ直交する。導体棒により構成されるモノポールアンテナの主偏波が2つのノッチアンテナいずれに対しても直交するため、3つのアンテナの主偏波が互いに直交し、非常に低いアンテナ間の結合を実現する3偏波共用アンテナとして動作する。ゆえに、3つの偏波の利用によって、小型化・結合低減・高い放射効率を同時に達成することができるという利点が得られる。
また、本発明によれば、前記空隙を、最も近接する2つの空隙の端部と前記導体棒の一方の端部とが真空における動作周波数の1/4波長の円内に入るように配置する。したがって、2つの空隙は、2つのノッチアンテナとして動作し、導体棒は、モノポールアンテナとして動作する。3つのアンテナの端部を全て近接させて1/4波長である円内に構成させることによって、アンテナを小型に構成することができるだけではなく、ノッチアンテナとモノポールアンテナとの間の結合を非常に低く抑制することができる。ゆえに、ノッチアンテナとモノポールアンテナとの間の結合を非常に低く抑制することができ、小型化・結合低減・高い放射効率を同時に達成することができるという利点が得られる。
また、本発明によれば、前記導体板を、誘電体板と接着された誘電体基板とする。したがって、誘電体基板を用いることによって多数のアンテナの給電回路をアンテナと一体に構成することが可能となるため、給電回路を含めてアンテナを小型にすることができる。また、誘電体基板を持つ無線通信端末の2つの角を利用してアンテナを構成することによって、無線通信端末と一体にアンテナを構成することができる。このため、無線通信端末を含めてアンテナを小型することができる。ゆえに、偏波の利用によって、小型化・結合低減・高い放射効率を同時に達成することができ、無線通信端末と一体に小型化することができるという利点が得られる。
また、本発明によれば、アンテナ装置の前記導体棒または前記空隙を、信号送信装置における、複数の異なる信号または同一の信号を同時に出力可能な複数の送信手段と、信号受信装置における、複数の異なる信号または同一の信号をら同時に入力可能な複数の受信手段とに接続する。したがって、放射された複数の異なる高周波信号が異なる偏波で送受信されることによって、異なる偏波で放射された信号同士が互いに干渉されずに、分離した信号として受信することができる。そのため、信号処理装置による信号の分離作業が軽減されるため、信号処理装置の負荷・回路規模を減少することが可能になり、無線通信端末の消費電力やコストを軽減することができるようになる。
また、アンテナ装置を構成するノッチアンテナとして動作する空隙やモノポールアンテナとして動作する導体棒の間の電磁的な結合が低いため、信号受信装置に入力される高周波複数の信号の間の相関を低下させることができる。同時に、電磁的な結合を下げることによって、アンテナの放射効率を向上させることができるので、信号受信装置に入力する信号電力を向上させることができ、S/N(信号対雑音比)を改善することができる。したがって、信号間の相関の低減とS/N改善の両方の効果によってMIMOチャネルの伝送容量を飛躍的に向上させることができる。
また、送信側および受信側に多数のアンテナを小型に実装することが可能であるため、アンテナを含めた信号送信装置の外形またはアンテナを含めた信号受信装置の外形を小型化することができる。したがって、小型の無線装置への適用が可能になり、例えば、小型無線端末間での端末間通信においても多数のアンテナを使った高速なMIMO伝送を実現することができる。ゆえに、MIMO伝送における、無線通信端末の消費電力やコストの軽減、複数の高周波受信信号の相関の低下と受信電力向上の両立によるMIMOチャネル容量の向上、無線装置の小型化、小型の無線通信端末間の通信への適用を可能とする。
以下、本発明の一実施形態によるアンテナ装置を、図面を参照して説明する。
A.第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態によるアンテナ装置を示す模式図である。図において、xy面内にある円形導体板1には、導体板の輪郭線より導体内部に達するが導体板を分断しない蛇行する空隙211と直線状の空隙212とが設けられている。また、円形導体板1と垂直に導体棒3が構成され、円形導体板1と導体棒3とは円形空隙213によって接触しないようになっている。また、導体棒3は、z軸上にあるものと仮定する。導体棒3と円形導体板1との間に、交流の電位差を付与(以下、給電と呼ぶ)すると、導体棒3は導体板1を地導体としたモノポールアンテナとして動作する。空隙211に給電すると、導体板1を地導体としたノッチアンテナとして動作する。
ここで、導体棒3は、z軸と平行であるため、xy面内で観測される偏波方向は、z軸と平行となり、垂直偏波のアンテナとして動作する。ノッチアンテナ211、212に給電すると、ノッチアンテナを構成する導体板1がxy面に平行であるため、xy面内では水平偏波が観測される。しかし、空隙211、212によるノッチアンテナ211、212の向きおよび形状が異なるため、z軸上から観測すると、異なる偏波が観測される。よって、導体棒3、空隙211、212によるノッチアンテナに給電することによって、異なる偏波特性の放射パターンが得られる。特に、導体棒3と空隙211によるノッチアンテナ、または導体棒3と空隙212によるノッチアンテナは、主偏波の方向が直交するため、低い結合量を実現できる。
本第1実施形態では、小型化のために地板サイズが小さく、アンテナ形状の対称性が低いため、放射パターンは、有限地板端部により散乱され、交さ偏波のレベルを低く抑制することは困難である。しかしながら、モノポールアンテナとノッチアンテナとの間の結合を低く抑制することが可能であり、アンテナ素子間の結合による放射効率の低下も抑制することができる。
また、空隙211、212によるノッチアンテナは約1/4波長の長さで実現できるため、半波長アンテナを用いずに、偏波の異なるノッチアンテナ212と212を構成することによって、半波長アンテナを用いた場合と比べてアンテナを小型化できる。したがって、本第1実施形態では、偏波の利用によって、小型化・結合低減・高い放射効率を同時に実現可能なアンテナ装置が構成可能となる。
B.第2実施形態
次に、図2は、本発明の第2実施形態によるアンテナ装置を示す模式図である。なお、図1に対応する部分には同一の符号を付けて説明を省略する。図において、導体棒321は、導体板1と平行である円形の導体板を一方の端部(上方の端部)に具備する。導体棒321と導体板1との間に給電すると、導体棒321の上方の円形導体板と導体板1とによりキャパシタが形成されるため、導体棒321は導体板1を地導体とした容量装荷モノポールアンテナとして動作する。
アンテナ装置の低姿勢化を図るために、導体棒321の長さを短くした場合には、モノポールアンテナの共振周波数が上昇するため、所望の帯域とアンテナ共振周波数が大きくずれる。したがって、所望帯域における送受信特性が大きく劣化するという問題があったが、容量装荷モノポールアンテナは、共振周波数を上昇せずに、モノポールアンテナと比べてz軸方向の長さが短くできるため、低姿勢に構成することができる。これによって、第1実施形態と比べてアンテナをコンパクトに実現できるため、より小型の端末へ容易に実装できる。また、導体棒312上方の円形の導体板は、キャパシタとして動作するため、導体板上を流れる電流は小さく、ノッチアンテナ211や212の特性に与える影響は小さく、また、ノッチアンテナ211や212と導体棒321の容量装荷モノポールアンテナとの結合量には殆ど影響しない。
図2(a)に示す例において、導体棒321を図2(b)〜(e)に示す形状の導体棒に取り替えても同様の効果が得られる。図2(b)は、インダクタ性または容量性のリアクタンス素子を具備する導体棒であり、素子のインピーダンスはjXである。インダクタ性の素子では、Xが正となり、容量性の素子ではXが負になる。このように、リアクタンス素子を用いることによって、モノポールアンテナとして動作する導体棒のインピーダンスを調整し、導体棒の長さが1/4波長よりも短い場合でも、アンテナを共振させることができるため、アンテナを低姿勢に形成することができる。
図2(c)〜(e)は、モノポールアンテナとして動作する導体棒を変形することによってアンテナ装置の低姿勢化を図るものである。図2(c)は、らせん形状を有する導体棒であり、らせん形状とすることによって、モノポールアンテナとして動作する導体棒の共振周波数を上昇させることなく、導体棒を低姿勢化することができる。図2(d)は、渦巻き形状を有する導体棒だり、渦巻き形状とすることによって、モノポールアンテナとして動作する導体棒の共振周波数を上昇させることなく、導体棒を低姿勢化することができる。図2(e)は、蛇行形状を有する導体棒であり、蛇行形状とすることによって、モノポールアンテナとして動作する導体棒の共振周波数を上昇させることなく、導体棒を低姿勢化することができる。
したがって、本第2実施形態では、偏波の利用によって、小型化・結合低減・高い放射効率を同時に実現可能なアンテナ装置を低姿勢に構成可能となる。
C.第3実施形態
次に、図3は、本発明の第3実施形態によるアンテナ装置を示す模式図である。なお、図1または図2に対応する部分には同一の符号を付けて説明を省略する。図において、131は輪郭の一部に直角である角を持つ導体板であり、直角である2辺にそれぞれ空隙231、232が形成されている。空隙231、232に給電すると、導体板131を地導体とする2つのノッチアンテナとして動作する。2辺の方向が直交するため、ノッチアンテナを給電したことによって2辺に生ずる電流方向も直交する。このため、ノッチアンテナ231、232の結合量を低減することができる。
本第3実施形態を小型の無線通信端末に実装する場合、端末の筐体または端末内部の基板等、端末の一部の直角な角を利用してアンテナを実装することができるため、2つのノッチの結容量低減と端末との一体化によるアンテナ小型化を両立できる。したがって、本第2実施形態では、偏波の利用によって、小型化・結合低減・高い放射効率を同時に実現可能なアンテナ装置において、アンテナ間の結合の低減と端末との一体化によるさらなるアンテナの小型化が実現可能となる。
D.第4実施形態
次に、図4は、本発明の第4実施形態によるアンテナ装置を示す模式図である。なお、前述した各図に対応する部分には同一の符号を付けて説明を省略する。図において、xy面内にある長方形導体板141の1つの直角である角の付近には、導体板の輪郭線より導体内部に達するが導体板141を分断しない直線状の空隙241、242と、導体板141と垂直に導体棒341とが形成されている。導体板141と導体棒341とは、円形の空隙によって接触しないようになっている。また、導体棒341はz軸と平行であるものと仮定する。また、もう1つの角付近にも同様に、空隙243、244と、導体棒342とが形成されている。
角付近に構成されたノッチアンテナ241、242と、導体棒341とは、モノポールアンテナとして動作し、前述した第3実施形態と全く同様に動作する。そのため、空隙241、242に給電すると、導体板141を地導体とする2つのノッチアンテナとして動作する。2辺の方向が直交するため、ノッチアンテナを給電したことによって2辺に生ずる電流方向も直交する。このため、ノッチアンテナ241、242の結合量を低減することができる。また、もう1つの角付近のノッチアンテナ243、244と、導体棒342とのモノポールアンテナからなる部位も全く同様に動作し、ノッチアンテナ243、244の間では低い結合量が得られる。
本第4実施形態を小型の無線通信端末に実装する場合、端末の筐体または端末内部の基板等、端末の一部の長方形である部位を利用してアンテナを実装することができるため、ノッチアンテナの結容量低減と端末との一体化によるアンテナ小型化を両立できる。また、2つの角に3個ずつアンテナを構成することができるので、2つの角を利用した場合には合計で6個のアンテナを実装することができるようになる。また、4つの角全てを利用した場合には、12個のアンテナを実装することが可能になる。したがって、本第4実施形態では、偏波の利用によって、小型化・結合低減・高い放射効率を同時に実現可能なアンテナ装置において、無線端末の長方形である部位の角を利用することによって6つ以上の多数のアンテナを実装することが可能になる。
E.第5実施形態
次に、図5は、本発明の第5実施形態によるアンテナ装置を示す模式図である。なお、前述した各図に対応する部分には同一の符号を付けて説明を省略する。図において、xy面内にある長方形導体板141の1つの直角である角の付近には、導体板141の輪郭線より導体内部に達するが導体板141を分断しない直線状の空隙251、252と、もう1つの隣あう角付近に同様に直線状の空隙253、254とが形成されている。また、2つの角を結ぶ辺の中点に直線状空隙255が形成されている。直線状の空隙252、253と空隙255とは互いに平行であり、空隙255の長さは、空隙252、253よりも短く、空隙255だけは給電手段を持たない無給電の空隙である。
角付近に構成された空隙251、252、253、254はノッチアンテナ、導体棒341、342はモノポールアンテナとして動作し、上述した第4実施形態と全く同様に動作する。そのため、ノッチアンテナ251、252の結合と、ノッチアンテナ251とモノポールアンテナ341、あるいはノッチアンテナ252とモノポールアンテナ341との間の結合は低い値が得られる。もう一方の角に構成された、空隙253、254、導体棒342についても同様である。
しかし、従来は、空隙252、253のノッチアンテナは、励振方向が等しく、また距離も接近するような場合には結合量を低下することが困難であった。本第5実施形態では、2つの角を結ぶ辺の中点に無給電の空隙255を形成しており、該空隙255の空隙の長さを他の空隙よりも短くすることによって、空隙255と隣接する空隙252または空隙253のノッチアンテナとの結合により空隙255に励起される電流の位相を調整し、例えば空隙252に給電する場合には、空隙252から空隙253に届く放射位相と、空隙255から空隙253に届く放射位相とを逆相にすることによって、空隙252に給電することによって空隙253に励起される電流を打ち消すことが可能となる。空隙253に給電した場合も同様である。したがって、空隙252、253のノッチアンテナの間の結合を低減することが可能となる。
したがって、本第5実施形態では、偏波の利用によって、小型化・結合低減・高い放射効率を同時に実現可能なアンテナ装置において、無線端末の長方形である部位の角を利用することによって多数のアンテナを実装することを可能とすると同時に、隣り合うノッチアンテナが近接した場合でもノッチアンテナ間の結合を低減することが可能なアンテナ装置が実現される。
F.第6実施形態
次に、図6は、本発明の第6実施形態によるアンテナ装置を示す模式図である。なお、前述した各図に対応する部分には同一の符号を付けて説明を省略する。図において、xy面内にある長方形導体板141の1つの直角である角の付近には、導体板141と垂直に導体棒361が形成され、導体板141と導体棒361とは、円形の空隙によって接触しないようになっている。また、導体棒361は、z軸と平行であるものと仮定する。また、もう1つの角付近にも同様に、導体棒362が形成されている。さらに、導体棒361と導体棒362との中間には、無給電のらせん状の導体棒363が形成されており、一端が導体板141に短絡されている。角付近に構成された空隙251、252、253、254はノッチアンテナ、導体棒361、362はモノポールアンテナとして動作し、上述した第5実施形態と全く同様に動作する。
そのため、空隙251、252のノッチアンテナの結合と、空隙251のノッチアンテナと導体棒361のモノポールアンテナ、あるいは空隙252のノッチアンテナと導体棒361のモノポールアンテナとの間の結合は、低い値が得られる。もう一方の角に構成された、空隙253、254、導体棒362についても同様である。また、無給電の空隙255によって、空隙252、253のノッチアンテナは近接しているにもかかわらず、低い結合量が実現されている。
らせん状の導体棒363は、線の長さを導体棒361や導体棒362と比べて長く与えてある。らせん状の導体棒363の長さを適切に与えることによって、導体棒361、362の結合を低減することができる。例えば、導体棒361に給電する場合には、導体棒361から導体棒362に届く放射位相と、導体棒361との電磁結合によって励振される導体棒363から導体棒362に届く放射位相を逆相にすることによって、導体棒362に励起される電流を打ち消すことが可能となる。導体棒362に給電した場合も同様である。以上の理由によって、導体棒361、362のモノポールアンテナの間の結合を低減することが可能となる。
本第6実施形態では、全てのアンテナの間で低い結合量を実現することができる。したがって、本第6実施形態では、偏波の利用によって、小型化・結合低減・高い放射効率を同時に実現可能なアンテナ装置において、無線端末の長方形である部位の角を利用することによって多数のアンテナを実装することを可能とするとともに、隣り合うノッチアンテナが近接した場合でもノッチアンテナ間の結合を低減することが可能で、さらに隣り合うモノポールアンテナが近接した場合でもモノポールアンテナの間の結合を低減することが可能であり、全てのアンテナの間で低い結合量が得られるアンテナ装置が実現される。
G.第7実施形態
次に、図7は、本発明の第7実施形態によるアンテナ装置を示す模式図である。なお、前述した各図に対応する部分には同一の符号を付けて説明を省略する。図において、円形導体板1は、xy面上に存在し、中心が原点である正円形である。271と272は、導体板1上に構成される直線状の空隙であり、空隙271、272の方向は、それぞれx軸とy軸方向に平行であり、その延長線は原点で互いに直交する。また、導体棒3の一方の端と空隙271の端部と空隙272の端部とは、導体板1が存在するxy面上の半径が1/4波長である円内に存在するものとする。ここで、1波長は、本第7実施形態のアンテナの動作周波数における真空中の波長を意味する。
空隙271、272の方向を直交させることによって、空隙271、272の付近に流れる電流の方向を直交させることができる。主偏波は、空隙271のノッチアンテナはy軸と平行、空隙272のノッチアンテナはx軸と平行であり、完全に直交する。また、導体棒3のモノポールアンテナの主偏波は、z軸に平行であり、これも他の2つのアンテナと直交する。3つのアンテナの端部を全て近接させて1/4波長である円内に構成させることによって、アンテナを小型に構成できるだけではなく、アンテナがx軸、y軸、z軸の3つの軸付近に配置されるため、3つのアンテナの主偏波は互いに直交する。これにより、本第7実施形態は、非常に低いアンテナ間の結合を実現する3偏波共用アンテナとして動作する。したがって、本第7実施形態では、3つの偏波の利用によって、小型化・結合低減・高い放射効率を同時に実現可能なアンテナ装置を低姿勢に構成可能となる。
H.第8実施形態
次に、図8は、本発明の第8実施形態によるアンテナ装置を示す模式図である。なお、前述した各図に対応する部分には同一の符号を付けて説明を省略する。図において、141はxy面内にある長方形導体板であり、4は長方形導体板141を地板とした長方形誘電体基板である。長方形導体板141の直角である1つの角の付近には、導体板141の輪郭線より導体内部に達するが導体板141を分断しない、それぞれy軸とx軸に平行な直線状の空隙281、282と、もう1つの隣あう角付近に同様にそれぞれy軸とx軸に平行な直線状の空隙283、284とが形成されている。
また、2つの角を結ぶ辺の中点に直線状空隙285が形成されている。空隙281、282は互いに直交し、空隙283、284も互いに直交する。直線状の空隙282、284、285は、互いに平行であり、空隙285の長さは、空隙282、284よりも短く、空隙285だけは給電手段を持たない無給電の空隙である。また、全ての空隙は長方形導体板の辺と直交するよう構成されている。
381、382は、導体板141と平行な円形導体板を上方の端部に持つ導体棒であり、導体棒381、382の方向はz軸と平行である。さらに、空隙281、282および導体棒381の端部は、半径が1/4波長の円内に近接して構成されており、空隙283、284、導体棒382も同様である。誘電体基板4の背面には、マイクロストリップ線路により構成された給電線路581〜586が構成され、線路の端部には給電端681〜686が形成されている。
給電端681に給電した場合には、給電線路581を介して空隙281により構成されるノッチアンテナが励振される。給電端682に給電した場合には、給電線路582を介して空隙282により構成されるノッチアンテナが励振される。給電端683に給電した場合には、給電線路583を介して空隙283により構成されるノッチアンテナが励振される。給電端684に給電した場合には、給電線路584を介して空隙284により構成されるノッチアンテナが励振される。
給電端685に給電した場合には、給電線路585を介して導体棒381の容量装荷モノポールアンテナが励振される。給電端686に給電した場合には、給電線路586を介して導体棒382の容量装荷モノポールアンテナが励振される。この構成では、特に、空隙285の無給電のノッチアンテナによって平行かつ近接する空隙282、284のノッチアンテナの結合を低減している。そのため、給電端682、684同士の結合を低減できる。
本第8実施形態では、2つのモノポールアンテナは、容量装荷モノポールアンテナであるため、モノポールの長さは、真空中の1/4波長より大幅に短く構成することが可能であり、低姿勢である。よって、誘電体基板を含めて平面構成のみで実現できる。本第8実施形態では、誘電体基板を用いることによって多数のアンテナの給電回路をアンテナと一体に構成することが可能となるため、給電回路を含めてアンテナを小型に構成することが可能である。また、誘電体基板を持つ無線通信端末の2つの角を利用して本発明のアンテナを構成することによって、無線通信端末と一体にアンテナを構成することができる。したがって、無線通信端末を含めてアンテナを小型に構成することができる。
したがって、本第8実施形態では、偏波の利用によって、小型化・結合低減・高い放射効率を同時に実現可能なアンテナ装置において、無線端末内部に構成される誘電体基板長方形である部位の2つの角を利用することによって多数のアンテナを実装することが可能なアンテナ装置が実現される。
次に、本第8実施形態によるアンテナ装置の数値解析を行った結果について説明する。ここで、図9(a)は、本第8実施形態によるアンテナ装置の解析モデルを示す概念図である。給電ポート#1〜#6は、それぞれ、図8(b)の給電端681〜686に対応する。ここで、動作周波数fにおける真空中の波長をλとすると、基板形状はw=0.54λ、w=0.94λであり、ノッチアンテナの長さは、s=0.25λ、s=0.27λ、容量装荷モノポールの高さはl=0.10λ、容量である円形導体板の直径はc=0.17λであり、基板の厚さと比誘電率と誘電正接をそれぞれ0.014λ、2.2、0.001とした。また、本第8実施形態によるアンテナ装置は、対称構造を有するため、対称である部位についての説明を省略する。また、数値解析はモーメント法を用いて計算した。
図9(b)は、近接する3つのアンテナの反射特性(給電ポート#1、#2、#5:S11、S22、S55)と、結合特性(S21、S51、S52)である。中心周波数f周辺では、十分に低い−15dB以下の反射特性が得られており、反射による損失は低く良好な特性が得られていることが分かる。結合特性は、−15dB以下であり、もっとも近接する3つのアンテナは十分に低い結合量となることが確認できる。
次に、本第8実施形態によるアンテナ装置は、対称に構成されているため、対称な構造のアンテナ同士の結合量を評価した。ここで、図9(c)に対称な構造のアンテナ同士の結合特性(S31、S42、S65)を示す。ポート#1とポート#3、ポート#5とポート#6は、−10dB以下の低い結合量となるが、空隙285が無い場合には、ポート#5とポート#6は、−10dB以上の高い結合量となることが分かった。無給電の空隙285を形成することによって、結合量は、−20dB以下の非常に低い値となり、無給電の空隙285により結合を下げる効果があることが確認できる。
図10(a)、(b)に放射パターンを示す。ここで、|Eθ|、|Eφ|は、それぞれ電界のθ方向とφ方向の偏波成分を表す。また、図10(a)、(b)はそれぞれポート#1とポート#5に給電を行った場合の放射パターンである。ここで、図10(a)のノッチアンテナの放射効率は82%、図10(b)の容量装荷モノポールアンテナの放射効率は76%であった。数値解析の結果により、いずれも高いレベルの交さ偏波が発生していることが確認できる。しかし、ポート#1とポート#5の結合は、図9(b)より−20dB以下であることから、交さ偏波が発生しても低い結合を実現し、また十分高い放射効率を実現できることが明らかになった。
次に、図10(c)は、図9(a)のアンテナ装置を受信装置に適用した6x6MIMOシステムの屋内環境におけるチャネル容量の計算結果を示す概念図である。ここで、16x12x2.6mの室内において部屋の対角線付近に送受信アンテナを配置し、アンテナ間距離に対する容量変化をレイトレース法から得たチャネル応答行列により求めた。送信アンテナは、3つのダイポールによる直交3偏波アンテナ2つを1波長間隔で配置して構成し、部屋の角から2.8mの位置に配置した。アレー長が1波長である垂直偏波6素子ダイポールアレーを送信側に、図9(a)と同形状の基阪上に形成した6素子の容量装荷モノポールアレーを受信側に配置した場合と比較した結果、本構成では、交さ偏波の発生にもかかわらず、モノポールアレーと比べて高いMIMOチャネル容量値が得られ、最大10%チャネル容量を改善できることが明らかになった。
I.第9実施形態
次に、図11は、本発明の第9実施形態によるアンテナ装置を示す模式図である。なお、前述した各図に対応する部分には同一の符号を付けて説明を省略する。図において、391と392は、導体板141と平行な円形導体板を上方の端部に持つ導体棒であり、導体棒391,392の方向はz軸と平行である。また、393は、導体板141と平行な円形導体板を上方の端部に持つ無給電の導体棒であり、一方の端が導体板141に短絡されている。また、導体棒393は、導体棒391、392に比べてやや長い。
本第9実施形態は、上述した第8実施形態に対して、無給電の容量装荷モノポール393を加えた構成であり、該容量装荷モノポール393によって、導体棒391と導体棒392との間の結合を低減する。全てのモノポールは、容量装荷モノポールアンテナであり、第8実施形態と同様に、低姿勢な平面構成で実現できる。したがって、本第9実施形態では、偏波の利用によって、小型化・結合低減・高い放射効率を同時に実現可能なアンテナ装置において、無線端末内部に構成される誘電体基板長方形である部位の2つの角を利用することによって多数のアンテナを実装することが可能なアンテナ装置であって、無給電のノッチアンテナと無給電の容量装荷モノポールアンテナとによって全てのアンテナ間の結合が低いアンテナ装置が実現される。
J.第10実施形態
次に、図12は、本発明の第10実施形態によるアンテナ装置を示すブロック図である。なお、前述した各図に対応する部分には同一の符号を付けて説明を省略する。図において、信号送信装置71は、入力信号を6つに分割可能する信号処理装置711と、信号処理装置711に接続される6つの送信器712〜717とにより構成されている。6つの送信器712〜717の出力側は、給電線路51によって前述した第5実施形態で説明したものと同形状のアンテナ装置と接続される。また、前述した第5実施形態で説明したものと同形状のもう1つのアンテナ装置は、給電線路52によって、信号受信装置72に構成される6つの受信器721〜726と接続されており、6つの受信器721〜726は、信号処理装置727に接続されている。以上の構成によって、本第10実施形態は、MIMO伝送装置として動作する。
入力信号は、信号送信装置71において、信号処理装置711により6つに分割され、信号送信装置内部に構成された6つの送信器712〜717にて、無線により送信が可能となる6つの異なる高周波信号に変換される。信号送信装置71の6つの送信器712〜717から同時に出力された高周波信号は、それぞれ、給電線路51によって伝送され、空隙251、252、253、254により構成されるノッチアンテナ、または導体棒341、342により構成されるモノポールアンテナに給電されることによって、3つの直交する偏波の電磁波として放射される。
放射された高周波信号は、もう1つのアンテナ装置によって3つの直交する偏波成分に分離されて受信される。受信側のアンテナ装置の空隙251、252、253、254により構成されるノッチアンテナ、または導体棒341、342により構成されるモノポールアンテナで同時に受信された高周波信号は、それぞれ、給電線路52を介して受信器721〜726に到達する。受信された高周波信号は、これら受信器721〜726から信号処理装置727に入力され、出力情報として取り出される。
以上に述べた仕組みによって、本第10実施形態は、6×6MIMO伝送装置として動作する。本第10実施形態では、放射された6つの異なる高周波信号が3つのいずれかの偏波で送受信されることによって、異なる偏波で放射された信号同士は、互いに干渉されずに、分離した信号として受信できる。そのため、信号処理装置による信号の分離作業が軽減されるため、信号処理装置の負荷・回路規模を減少することが可能になり、無線通信端末の消費電力やコストを軽減することができるようになる。
また、本第10実施形態では、アンテナ装置を構成するノッチアンテナとして動作する空隙やモノポールアンテナとして動作する導体棒の間の電磁的な結合が低いため、信号受信装置に入力される高周波複数の信号の間の相関を低下させることができる。同時に、電磁的な結合を下げることによって、アンテナの放射効率を向上させることができるので、信号受信装置に入力する信号電力が向上し、S/N(信号対雑音比)を改善することができる。したがって、信号間の相関の低減とS/N改善との両方の効果によってMIMOチャネルの伝送容量を飛躍的に向上することができる。
また、本第10実施形態は、送信側および受信側に多数のアンテナを小型に実装することを可能とするため、アンテナを含めた信号送信装置の外形、またはアンテナを含めた信号受信装置の外形を小型化することができる。したがって、小型の無線装置への適用が可能になり、例えば、小型無線端末間での端末間通信においても多数のアンテナを使った高速なMIMO伝送を実現することができる。以上に述べたように、本第10実施形態によってMIMO伝送における、無線通信端末の消費電力やコストの軽減、複数の高周波受信信号の相関の低下と受信電力向上との両立によるMMOチャネル容量の向上、無線装置の小型化、小型の無線通信端末間の通信への適用を可能とする、アンテナ装置が実現される。
本発明の第1実施形態によるアンテナ装置を示す模式図である。 本発明の第2実施形態によるアンテナ装置を示す模式図である。 本発明の第3実施形態によるアンテナ装置を示す模式図である。 本発明の第4実施形態によるアンテナ装置を示す模式図である。 本発明の第5実施形態によるアンテナ装置を示す模式図である。 本発明の第6実施形態によるアンテナ装置を示す模式図である。 本発明の第7実施形態によるアンテナ装置を示す模式図である。 本発明の第8実施形態によるアンテナ装置を示す模式図である。 本発明の第9実施形態によるアンテナ装置を示す模式図である。 本第9実施形態によるアンテナ装置の数値解析結果について説明するための概念図である。 本第9実施形態によるアンテナ装置の数値解析結果について説明するための概念図である。 本発明の第10実施形態によるアンテナ装置を示す模式図である。 従来技術による、異なる偏波の複数のアンテナを一体化した無線通信用アンテナ装置を示す斜視図である。
符号の説明
1…導体板
211、212…空隙
213…空隙(開口部)
3…導体棒
321…導体棒
131…導体板
141…導体板
341、342…導体棒
241、242、243、244…空隙
251、252、253、254、255…空隙
361、362…導体棒
363…らせん状の導体棒
271、272…空隙
281、282、283、284、285 空隙
4…長方形誘電体基板
381、382…導体棒
391、392、393…導体棒
71…信号送信装置
711…信号処理装置
712〜717…送信器
72…信号受信装置
721〜726…受信器
727 信号処理装置

Claims (10)

  1. 導体板と該導体板に垂直な導体俸とを具備するアンテナ装置であって、
    前記導体板は、該導体板の輪郭部より導体板内部に達し、かつ該導体板を分断しないように形成された2つ以上の空隙を有し、
    前記導体棒は、前記導体板内に形成された開口部によって前記導体板と接触しないよう配置され、
    前記導体棒の一方の端部付近に前記2つ以上の空隙の端部が存在することを特徴とするアンテナ装置。
  2. 前記導体棒は、前記導体板と平行な平板、またはインダクタ性または容量性のいずれかのリアクタンス素子を有するか、あるいはらせん状、渦巻き状または蛇行状の形状からなることを特徴とする請求項1記載のアンテナ装置。
  3. 前記導体板は、略直角となる角部を形成する2辺以上の直線状の輪郭部を有し、
    前記空隙は、それぞれ一方の端部が前記直線状の輪郭部上に位置するように前記導体板上に形成されたことを特徴とする請求項1または2記載のアンテナ装置。
  4. 前記導体板は、略直角となる2つ以上の角部を形成する輪郭部を有し、
    前記導体棒は、前記角部のそれぞれの近傍に配置され、
    前記空隙は、それぞれ一方の端部が前記角部を形成する輪郭部上に位置し、それぞれの他方の端部が前記導体棒の一方の端部近傍に位置するように前記導体板上に形成されたことを特徴とする請求項1または2記載のアンテナ装置。
  5. 前記導体板は、前記空隙の全長より短く、かつ前記空隙のうち隣り合う空隙の間に、該導体板の輪郭部より導体板内部に達し、かつ該導体板を分断しない無給電空隙を有することを特徴とする請求項4記載のアンテナ装置。
  6. 前記空隙のうち隣り合う空隙の間に、前記導体板に一方の端部が接続された無給電導体棒を具備し、
    前記無給電導体棒は、直線状の形状からなるか、あるいは前記導体板と平行な平板を有するか、あるいはインダクタ性または容量性のいずれかのリアクタンス素子を有するか、あるいはらせん状または渦巻き状または蛇行状の形状からなることを特徴とする請求項4または5記載のアンテナ装置。
  7. 前記空隙は、その少なくとも2つの空隙が半直線状であり、その形成方向の角度差が70度〜110度の範囲になるように形成されることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のアンテナ装置。
  8. 前記空隙は、最も近接する2つの空隙の端部と前記導体棒の一方の端部とが真空における動作周波数の1/4波長の円内に入るように配置されることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のアンテナ装置。
  9. 前記導体板は、誘電体板と接着された誘電体基板であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載のアンテナ装置。
  10. 複数の異なる信号または同一の信号を同時に出力可能な複数の送信手段を具備する信号送信装置と、複数の異なる信号または同一の信号をら同時に入力可能な複数の受信手段を具備する信号受信装置とを用いる無線通信システムであって、
    請求項1ないし9のいずれかに記載のアンテナ装置の前記導体棒または前記空隙が、前記複数の送信手段または前記複数の受信手段と接続されることを特徴とする無線通信システム。



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