JP2005104991A - 住環境改善塗料及びその使用方法 - Google Patents

住環境改善塗料及びその使用方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ヒノキチオールによる防シロアリ効果をはじめとする各種の住環境改善特性を長期間に亘って維持することができる建築用の住環境改善塗料とその好適な使用方法を提供する。
【解決手段】住環境改善塗料1を、建築構造物に塗布される塗料用樹脂を主体としてなり、当該塗料用樹脂中に、ヒノキチオール含有液22を保持し且つそのヒノキチオール含有液22を放出可能な担体2を含有させてなるものとした。
【選択図】図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築構造物に塗布することによって住環境を改善し得る塗料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従前より、建築物におけるシロアリ被害が大きな問題となっている。シロアリは、一般に湿潤な木材を好んで食べることがよく知られているが、木材の他にも布や紙はもちろん、コンクリート、土、ゴム、ビニール素材等も食害する極めて雑食性の高い害虫であることが知られてきている。このようなシロアリ被害は日本国内を問わず、また湿潤か乾燥しているかの気候も問わず世界中で深刻化している。シロアリ対策としては、これまで合成化学薬剤や天然薬剤等を床下や基礎コンクリート等のシロアリが巣を作りそうな箇所に散布したり塗布する方法が採用されてきてはいるが、このような方法ではシロアリに対する駆除効果が長続きせず、所定期間を空けて何度も薬剤処理する必要があって手間やコストが多大であるという問題があり、また薬剤の中には人体やペット、家畜等に有害で使用に注意を要する有機化合物が含まれていることがり、それによる健康被害の恐れもある。また、特に湿気がこもりがちな床下はシロアリ以外にもダニ等の害虫やカビ等の雑菌が繁殖しやすい場所でもあるため、建築物そのものが朽ちたり、その建築物に居住する者に健康被害を及ぼしたりするという問題も指摘されている。
【0003】
また、気密性の高い今日の建築物では、その気密性の高さ故に居室内に湿気がこもりがちになりカビやダニが繁殖しやすくなっているだけでなく、いわゆる新建材に使用されているホルムアルデヒド等の揮発性有機化学物質(VOC)が原因で起こるといわれているシックハウス症候群による居住者の健康被害も大きな問題となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、青森ヒバや台湾ヒノキに代表される木材を使用した建築物ではシロアリやダニ等の害虫や、カビ等の雑菌が繁殖しにくいと言われている。そして、このような木材に多量に含まれるヒノキチオール成分が防虫・抗菌効果のみならず、VOCを除去(中和)する効果があることが分かってきている。そこで、ヒノキチオールの精油又はそれを希釈した液剤を直接、建築物の柱や床、基礎部分、壁体等に散布したり塗布するなどすることによって、防シロアリ・防ダニ・抗菌効果を得たり、シックハウス対策としようとする方法が各種考えられている。しかしながらこのような方法では、一旦、液剤を散布などの処理を施した後、ヒノキチオール成分が揮発してしまうと所期の効果が薄れてしまい、その後繰り返して何度も処理を行わなければならないという不具合がある。また、室外側では雨水などによって散布した液剤が流失してしまい、ヒノキチオールの効果を長持ちさせることが難しい。したがって、施工時に建築物に処理したヒノキチオールの効果を如何に長期間に亘って持続させるかが重要な課題となる。
【0005】
一方、建築物の基礎コンクリートや壁部等の構造体には、耐候性を高めたり汚れを防止する目的で、あるいは特に室内壁や天井にはクロス張りの下地処理を目的として、各目的に応じた建築用塗料が噴霧又は刷毛塗りなどにより塗布される。このような塗料は、塗布時には一定の粘性を有して塗布の容易性を高めるとともに、塗布後には硬化して被塗布物を保護する効果がある。特に近年では、この種の塗料の主材料である樹脂に、フッ素化合物やセラミック成分等を含有させて耐候性や防汚性を向上させたもの等が登場してきている。
【0006】
そこで本発明は、ヒノキチオールの有用性と建築用塗料の特性に着目し、ヒノキチオールによる防シロアリ効果をはじめとする各種の住環境改善特性を長期間に亘って維持することができる建築用の住環境改善塗料とその好適な使用方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の住環境改善塗料は、建築構造物に塗布される塗料用樹脂を主体としてなり、当該塗料用樹脂中に、ヒノキチオール含有液を保持し且つそのヒノキチオール含有液を放出可能な担体を含有していることを特徴とするものである。
【0008】
このような構成のものであれば、ヒノキチオール含有液を保持する担体は、塗布時には粘性が高く塗布後には硬化した樹脂に保持されるので、塗布対象である建築構造物に確実に定着することになる。そして、塗膜の表面に存在する担体からは内部のヒノキチオールが放出されることになるので、そのヒノキチオールの作用によって、シロアリやダニ等に対する防虫効果、カビやMRSA等に対する抗菌・殺菌効果、臭いの原因物質に対する化学的なマスキングではなく中和分解による消臭効果、ホルムアルデヒド等のシックハウス症候群の原因となる化学物質に対する中和分解による除去効果、芳香によるリラクゼーション効果、人体に安全な天然物質であることから居住者が得られる安心感等の諸効果が、建築物の施工時における本住環境改善塗料の塗布後から長期間に亘って享受できることになる。
【0009】
なお、本住環境改善塗料に使用される樹脂は、建築物用塗料として使用される一般的なもの、例えばアクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂等を塗布箇所や目的などに応じて適宜選択すればよいが、上述したヒノキチオールによる諸効果を減殺しないように、人体に有害な化学物質の含量がなるべく少ないものを用いることが好ましい。そのためには、上記樹脂成分を適宜に含む水性エマルジョン塗料や弱溶剤化塗料等を用いることも好適な態様である。また、この住環境改善塗料には、以上の他にも適宜の顔料等の通常の塗料に含有される成分を構成成分として含有させることもできる。
【0010】
前記担体として好ましいものには、細孔部にヒノキチオール含有液を保持させてなる珪藻土粒子が挙げられる。その他の好ましい担体には、セラミックス微粒子で構成される複数の非崩壊性粒子及び植物性タンパク質で構成される複数の崩壊性粒子とからなり前記ヒノキチオール含有液を内包するマイクロカプセルであり、非崩壊性粒子が経時的に崩壊することによって形成される空隙から内部のヒノキチオール含有液を放出し得るように構成したものや、細孔部にヒノキチオール含有液を保持させてなるセラミックス粒子を挙げることができる。また、セラミックスを主成分とする多孔質粒子を主体としてなるものであっても担体として有効に機能する。多孔質粒子の具体例としては、例えば、人工セラミックス粒子、ゼオライト、ハイドロキシアパタイト、又はセラミックスと有機高分子物質との複合粒子が挙げられる。これら多孔質粒子のうち何れかであれば好適に使用でき、1種類からなるものに限らず、2種類以上を混合したものであっても勿論かまわない。なお、担体には、これらのものと、前記珪藻土粒子や、マイクロカプセルとも併用することができる。
【0011】
ヒノキチオール含有液を放出することによる上述の有用な効果を発揮できるこれら担体の望ましい含有量は、1〜20重量%とするとよい。なお、コスト的にも採算が合う担体の含量は約3〜5重量%であるが、それ以上でも以下でも上述の効果を発揮できることには変わりなく、20重量%以上とすることも可能である。
【0012】
以上のような住環境改善塗料の好適且つ有効な使用方法は、建築物の基礎コンクリート部の表面に上塗り剤として塗布すること、基礎コンクリート部上に施工される木部に塗布すること、壁部を構成する外壁面に塗布すること、壁部を構成する室内壁面に塗布すること、天井面若しくは床面のいずれか一方又は両方に塗布することである。特に前記木部に塗布する場合には、基礎コンクリート部から立ち上がる下端部から上方に約1mの範囲に塗布すると、有効な防シロアリ効果を得ることができる。また、室内壁面や天井面、床面等にクロス等の内装材が貼付施工される場合は、それら内装材の下地処理として本住環境改善塗料を塗布するとよい。
【0013】
このように、基礎コンクリート部や外壁等の室外側にこの住環境改善塗料を塗布した場合には、特にシロアリに対して高い忌避・殺虫効果が得られ、室内側に塗布した場合には、室内側に繁殖しやすいカビ、MRSA等に対する抗菌・殺菌効果やダニ等の害虫に対する防虫効果、ホルムアルデヒド等の除去効果、消臭効果、リラクゼーション効果、安心効果等を顕著に得ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0015】
図1、図2及び図3は、それぞれ建築物の施工時に、その構造部材である基礎コンクリート部A、木部Bの下端部、室内壁C及び床部Dに住環境改善塗料1を塗布する態様を示したものである。なお、これら各図において、本住環境改善塗料1を塗布した箇所には網掛けを附して示している。
【0016】
まず、前記各構造部材について簡単に説明する。
【0017】
基礎コンクリート部Aは、図1に示すように、地盤Fに敷設した栗石層(図示省略)に打設され地上に向けて立ち上げたコンクリート構造物であり、図示例では所定領域の地盤一面に鉄筋とともにコンクリートを打設したいわゆる鉄筋ベタ基礎工法を採用したものである。木部Bは、図2に示すように、木製角材からなる柱B1、その柱B1を支持するべく前記基礎コンクリート部A上に載置される木製角材からなる土台B2、隣接する柱B1同士の間に斜め方向に配設される筋交いB3とを有している。室内壁Cは、図3に示すように前記木部等に沿って垂直に設けられる石膏ボードや合板等からなり、室内側における表面にクロス等G1が張られることになる。なお、室内壁Cと外壁Eとの間には、断熱材等が配設される。床部Dは、例えば図3に示すように二階や三階等の上層階の床である場合にはその直下の階の天井部Fと共に形成される。ここでは床部Dを合板や石膏ボード等の板材D1と、その上に敷かれる遮音マットD2やフローリング板D3等から構成している。また、天井部Fも石膏ボードや合板等の板材F1を主体として構成し、その下面にクロス等を貼るようにしている。なお床部D及び天井部Fの間には、吸音材を配設することもある。
【0018】
具体的に、この住環境改善塗料1は、樹脂成分を含有する一般的な建築用水性エマルジョン塗料であり、さらにヒノキチオール含有液を保持した担体2を含むものである。この水性エマルジョン塗料は、例えばアクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂成分を水中に分散させたものである。すなわち、建築構造物の塗装箇所によって最も適した樹脂成分を含有するものを選択するとよい。
【0019】
担体2は、図4にその一粒子の断面図を示すように、調湿性を有し「呼吸する素材」として注目されている珪藻土21を主体としてなるものである。珪藻土21は、植物プランクトン(珪藻類)が化石化し海底や湖底に堆積してできたもので、珪酸を主成分としている。そして、その細孔部21aに前記と同様のヒノキチオール含有液22を含有させたものである。珪藻土11の一粒ずつは、粒径約50マイクロメートルの大きさを有し、直径約0.1〜0.2マイクロメートルの細孔部21aを無数に備えた超多孔質の微粒子である。
【0020】
一方、ヒノキチオール含有液22は、青森ヒバや台湾ヒノキから抽出したヒノキチオール成分を含有するものである。具体的には、ヒノキチオールを多量に含む青森ヒバや台湾ヒノキの木片や樹皮、枝葉等を細かく粉砕したものに高温高圧の蒸気を当てることによって、生じた液体(油溶成分及び水溶成分)のうち油溶成分にはヒノキチオールが多量に含まれているため、この油溶成分をもって前記ヒノキチオール含有液22としているが、水溶成分も使用してもよい。また、化学合成されたヒノキチオールの溶液をもってヒノキチオール含有液とすることもでき、さらにはヒバ油をそのまま若しくは希釈して用いることもできる。
【0021】
このようなヒノキチオール含有液22を含む担体2は、例えば所定量の珪藻土粒子21をヒノキチオール含有液22を溜めた容器内に投入し、細孔部21aにヒノキチオール含有液22が吸着された後にそのヒノキチオール含有液22が蒸発してしまわない程度に乾燥することで得られる。
【0022】
以上のような構成の住環境改善塗料1を、図1〜図3に示すように、基礎コンクリート部Aに対する表面塗装、木部Bの下端部すなわち立ち上がりから約1mの範囲にある柱B1の下端から約1mの範囲及び土台B2の全体に対する表面塗装、クロス張りの下地処理として室内壁Cに対する表面塗装、床部Dの板材D1に対する表面塗装などとして、スプレーガン等を用いて塗装すると(各図における網掛け部分)、各建築構造部材の表面には、図5に示すような塗膜1Xが形成される。なお、図5には建築構造物の一例として基礎コンクリート部Aに住環境改善塗料1を塗布した状態を示しているが、他の建築構造物に住環境改善塗料1を塗布した状態も同様である。このようにして形成される塗膜1Xは、乾燥して硬化した住環境改善塗料1中の塗料1X1に担体2が固定された状態に保持されている。そして、この担体2の珪藻土粒子21からヒノキチオール含有液22が徐々に放出されることによって、周囲の雰囲気中にヒノキチオールが拡散する。したがって、ヒノキチオールを忌避するシロアリやダニ等の害虫に対する有効な防虫効果、結露等により発生しやすいカビや他の雑菌、MRSA等に対する抗菌・殺菌・除菌効果、臭いの原因物質を中和分解する消臭効果、シックハウス原因であり新建材等に含まれるホルムアルデヒド等の有機化合物の中和分解除去効果、ヒノキチオールの芳香によるリラクゼーション効果などが得られることになる。また、居住者に対しては有害な合成薬剤を使用せずに前述の各種効果が得られることから安心してこの建築物内で暮らすことができる安心感を与えることができる。また、担体2は塗料の樹脂成分に安定的に保持されているので、例えば屋外側において雨水などがかかっても簡単に流失することがなく、上述の効果を住環境改善塗料1の塗布後、極めて長期間に亘って有効に享受することが可能である。
【0023】
特に、基礎コンクリート部Aや木部Bなどの屋外側にこの住環境改善塗料1を塗布すると、防シロアリ効果が有効に奏される。また、室内壁Cや床部Dなどの屋内側に住環境改善塗料1を塗布すると、防ダニ効果、防カビ効果、消臭効果、シックハウス原因物質の除去効果、リラクゼーション効果等が好適に奏される。
【0024】
なお、本実施形態の住環境改善塗料1は、建築物の上述した構造物に限らず、外壁面や天井面、屋根等の各部に塗布しても前記各種効果が有効に奏される。
【0025】
また、担体としては、上述の構成のものに限らず例えば図5(a)及び(b)に一粒子を拡大した断面で示すもの等を適用することができる。まず、同図(a)に示す担体120は、セラミックス微粒子で構成される複数の非崩壊性粒子121と、大豆レシチン等の植物性タンパク質で構成される複数の崩壊性粒子122とを混在させた約2μm程度の大きさを有する多孔質のマイクロカプセルであり、その内部に、前述したものと同等のヒノキチオール含有液22を内蔵したものである。この担体120は、数十個から数百個程度が相互に引き合った状態のブドウの房のような塊として存在している。そして、崩壊性粒子122が温度変化や光の作用で経時的に崩壊すると、それに伴って形成された孔123から内部のヒノキチオール含有液22が放出されることになる。なお、非崩壊性粒子122の崩壊はそれぞれ個別に生じているものであるが、多数の担体120の存在によって全体としてみれば徐放性を奏しヒノキチオール含有液22は長期に亘って連続的に放出されていることになる。
【0026】
一方、同図(b)に示す担体220は、人工のセラミックス粒子221を主体とし、その細孔部221aにヒノキチオール含有液22を含有させたものである。セラミックス粒子221の一粒ずつについては、例えば平均粒径約7マイクロメートルの大きさであり、無数の微細孔である細孔部221aを備えた超多孔質の微粒子である。
【0027】
また、住環境改善塗料1は、ヒノキチオール含有液22の保持担体として、ゼオライト(図示省略)やハイドロキシアパタイト(図示省略)、又は平均粒径約10マイクロメートル〜数十マイクロメートルの大きさを有する人工セラミックス粒子と有機高分子物質(例えばポリエチレン)との複合粒子(例えばシリカ被覆ポリエチレン粒子)を主体とした多孔質粒子(図示省略)を適用してもよい。ゼオライトは、シリカ(約70%)及びアルミナ(約10%)を主成分として、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物及び鉄酸化物等を含んだ含水ケイ酸塩鉱物であり、無数の微細孔である細孔部を有する。また、その粒径が約0、2mm〜0、6mmであり、表面積が前記人工のセラミックス粒子221よりも大きいため、一粒あたりの細孔部に吸着されるヒノキチオール含有液22の量も増加する。その結果、ゼオライトと上記実施形態におけるヒノキチオール含有液22とを例えば10:1の割合で単純に混合するだけで、防シロアリ・防虫・抗菌機能等を発揮する十分な量であるヒノキチオール含有液22を細孔部に吸収することができる。さらに、ゼオライトには人工的に合成した合成ゼオライトと天然鉱物を破砕した粉体である天然ゼオライトとがあり、特に天然ゼオライトを使用する場合には安価に入手することができるので使用者にとって利用しやすいものとなる。また、複合粒子は人工セラミックス粒子の周囲を有機高分子物質で取り巻いた構成を有しており、温度が上昇すると有機高分子物質が膨張し、温度が低下すると有機高分子物質が収縮するため、それに対応して細孔部が閉塞又は露出するという特性がある。その結果、ヒノキチオール含有液22が中長期に亘って複合粒子に保持され又は放出されることになり、ヒノキチオールに基づく防シロアリ効果が有効に発揮される。なお、これらの多孔質粒子を2種類以上混合したものであっても好適に使用することができる。
【0028】
なお、基礎コンクリート部を構成するコンクリート成分に、前記担体を所要箇所への打設前に混合しておくことも、上述の各種の効果、とりわけ防シロアリ効果を向上するためには極めて有効である。
【0029】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0030】
【発明の効果】
以上に詳述したように、本発明の住環境改善塗料によれば、ヒノキチオール含有液を保持した担体が塗料用樹脂によって塗布面に定着するため、担体が塗布後に自然落下したり雨水で流れ落ちることなく長期間に亘ってヒノキチオール含有液を放出するので、ヒノキチオールによる防虫、抗菌・殺菌、消臭、シックハウス原因物質除去、リラクゼーションなどの種々の効果を享受することが可能であり、居住者が安心して住むことができる安全で快適な住まいを提供することができる。特に、品質確保法が施行された今日では、住宅の安全性等の長期に亘る保証が必須であるため、このような住環境改善塗料を住宅に適用することは、極めて望ましいことといえる。
【0031】
特に、本発明においては住環境改善塗料を、建築構造物である基礎コンクリート部、木部、壁面、天井面、床面等に塗布すれば、上述の諸効果を極めて有効に得ることができ、特に室外側に塗布すれば有効なシロアリ対策となり、室内側に塗布すれば、他の各効果を有効なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である住環境改善塗料の塗布例を示す説明図。
【図2】同住環境改善塗料の塗布例を示す説明図。
【図3】同住環境改善塗料の塗布例を示す説明図。
【図4】同住環境改善材料に含まれる担体の一粒子の概略的な拡大断面図。
【図5】同住環境改善塗料を塗布した部位を示す断面図。
【図6】同住環境改善塗料に含まれる担体の他の例を示す概略的な拡大断面図。
【符号の説明】
1…住環境改善塗料
2…担体
21…珪藻土粒子
121…マイクロカプセル
221…セラミックス粒子

Claims (12)

  1. 建築構造物に塗布される塗料用樹脂を主体としてなり、当該塗料用樹脂中に、ヒノキチオール含有液を保持し且つそのヒノキチオール含有液を放出可能な担体を含有していることを特徴とする住環境改善塗料。
  2. 前記担体が、細孔部にヒノキチオール含有液を保持させてなる珪藻土粒子である請求項1記載の住環境改善塗料。
  3. 前記担体が、セラミックスを主成分とし細孔部にヒノキチオール含有液を保持させてなる多孔質粒子である請求項1記載の住環境改善塗料。
  4. 前記多孔質粒子が、人工セラミックス粒子、ゼオライト、ハイドロキシアパタイト、又はセラミックスと有機高分子物質との複合粒子のうち何れかであることを特徴とする請求項3記載の住環境改善材料。
  5. 前記担体が、セラミックス微粒子で構成される複数の非崩壊性粒子及び植物性タンパク質で構成される複数の崩壊性粒子とからなり前記ヒノキチオール含有液を内包するマイクロカプセルであり、非崩壊性粒子が経時的に崩壊することによって形成される空隙から内部のヒノキチオール含有液を放出し得るように構成したものである請求項1記載の住環境改善塗料。
  6. 前記担体を、1〜20重量%含有している請求項1乃至5記載の住環境改善塗料。
  7. 請求項1乃至6記載の住環境改善塗料を、建築物の基礎コンクリート部の表面に上塗り剤として塗布することを特徴とする住環境改善塗料の使用方法。
  8. 請求項1乃至6記載の住環境改善塗料を、建築物の基礎コンクリート部上に施工される木部に塗布することを特徴とする住環境改善塗料の使用方法。
  9. 住環境改善塗料を、前記木部のうち基礎コンクリート部から立ち上がる下端部から上方に約1mの範囲に塗布することを特徴とする請求項7記載の住環境改善塗料の使用方法。
  10. 請求項1乃至6記載の住環境改善塗料を、建築物の壁部を構成する外壁面に塗布することを特徴とする住環境改善塗料の使用方法。
  11. 請求項1乃至6記載の住環境改善塗料を、建築物の壁部を構成する室内壁面に塗布することを特徴とする住環境改善塗料の使用方法。
  12. 請求項1乃至6記載の住環境改善塗料を、建築物の天井面若しくは床面のいずれか一方又は両方に塗布することを特徴とする住環境改善塗料の使用方法。
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