JP3822848B2 - 建築物の環境対策工法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、防虫、防菌抗菌、腐食防止、シックハウス対策、防臭等を総合的に勘案した建築物の環境対策工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
建築物に対する防虫や抗菌対策、建材の腐食対策、近年特に問題となっているシックハウス症候群対策、防臭対策などの、建築物における各種の環境改善策として、従来は、建築物の部位や建材の種類ごとにそれぞれ別個の対応策が採られている。例えば、シロアリ防除による床下環境の改善策としては、床下の土壌に殺虫効果又は防虫効果のある化学薬剤を散布したり、床下に調湿作用のある活性炭を敷設してシロアリの棲息に適さない環境を作るなどといった対策が主として行われている。また、ダニやカビ、病原菌等に対する室内外の防虫、抗菌、防菌対策としては、対象とする虫種や菌種毎の化学薬剤の散布や設置等の処置がその処理箇所毎、建材毎に施されている。さらに、シックハウス症候群やアトピー性皮膚炎等の疾病の罹患を防止するために、原因となるホルムアルデヒドやトルエンに代表される揮発性有機化合物(VOC)の使用を控えた建材を利用したり、VOCを吸着し得る珪藻土を壁材に用いたり、別の化学薬剤によってVOCを中和するなどの対策が採られている。また、防臭という観点からは、室内に防臭剤を設置する方法が採られることが多い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような対策は、各問題に対してそれぞれ個別の考えに基づいてなされるものであり、個別の問題についての有効策とはなり得ても、建築物全般をトータルに考慮してなされるものではないため、ある問題に対する施策が他の問題の原因となる場合がある。例えば、シロアリ対策として散布される防蟻剤に含まれる化学薬剤が揮発して、シックハウス症候群やアトピー性皮膚炎の原因となったり、化学薬剤が土壌中に残留して土壌汚染の原因となることがある。このように、全体として不統一な対策を講じていたのでは、建築物全体として他の箇所に害を与えかねない結果となってしまい、総合的な建築物の環境改善とはなりがたい。
【0004】
そこで本発明は、建築物全体の各種環境改善策として、建築物の全体を勘案した総合的な対策を講じることができる個別の環境対策工法並びにそれらの工法を利用したトータルでの環境対策工法を適用することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明はまず、建築物の建設施工時において、鋤き取った土壌に敷設される栗石層と基礎ベースコンクリートとの間に設けられる捨てコンクリート層を施工するに際して、コンクリート素材と、多孔質微粒子の複数の集合によって隔壁を形成し、当該隔壁により包囲された中空の空間内にヒノキチオールの鉄錯体を含有するヒバ油を内包し当該ヒバ油を徐々に外部へ放出し得る粉末状のマイクロカプセルとを、重量比100:3乃至100:5の範囲の配合にて混合し、このコンクリート素材とマイクロカプセルとの混合物を栗石層の表面に打設することにより捨てコンクリート層を形成することを特徴としている。
【0006】
ここで、青森ヒバ、台湾ヒノキ、木曽ヒノキ等のヒノキ科の植物の抽出液、特に油溶成分中の酸性油に多く含まれる天然成分であるヒノキチオール(C10H12O2)は、青森ヒバや台湾ヒノキに代表される木材の抽出液中に含まれる天然物質であり、シロアリやダニ等の害虫に対する高い忌避作用や、カビ等の雑菌の繁殖抑制などに高い作用を極めて広い抗菌スペクトルで発揮する有用な天然物質であることが知られてきており、また、食品添加物としても認められるほど安全性が高いものである。さらに、ヒノキチオールの鉄錯体は、このような有用な作用の低下を招くことなくヒバ油に含まれるヒノキチオールをはじめとする有効成分の拡散を抑制するため、効果を高い状態のまま長期間に亘って維持することができる。したがって、ヒノキチオールを含むヒバ油をマイクロカプセルに包含させ、このマイクロカプセルからヒバ油を徐々に放出させるようにしたものをコンクリート素材に混合して捨てコンクリート層を形成すると、捨てコンクリート自体がヒバ油を徐々に放出する機能を有することになるため、土壌から這い上がるシロアリが寄ってこず、極めて高いシロアリ防除効果を捨てコンクリート層そのものが奏することになる。また、シロアリのみならず、ダニ等の害虫ややカビ等の細菌の繁殖も有効に抑制することができる。また、マイクロカプセルはコンクリートに保持された状態にあるため、雨水等によるマイクロカプセルの流失のおそれもなく、極めて長期間に亘ってシロアリ忌避作用等を持続することもできる。さらに、ヒノキチオールは安全性の高い天然物質であるため、居住者や施工作業者に対する健康被害のおそれもない。
【0007】
また、建築物の建設施工時において、基礎ベースコンクリートを施工するに際して、この基礎ベースコンクリートにおける地表からの立ち上がり部分を、コンクリート素材と、多孔質微粒子の複数の集合によって隔壁を形成し、当該隔壁により包囲された中空の空間内にヒノキチオールの鉄錯体を含有するヒバ油を内包し当該ヒバ油を徐々に外部へ放出し得る粉末状のマイクロカプセルとを、重量比100:3乃至100:5の範囲の配合にて混合した混合物により形成する建築物の環境対策工法を採用すれば、捨てコンクリート層にマイクロカプセルを含有させた場合と同様に、基礎ベースコンクリート自体にシロアリ忌避作用や抗菌防虫作用等を付与することができる。
【0008】
さらに、建築物の建設施工時において、柱や床を構成する木材を施工するに際して、これら木材における地表から高さ1mの範囲に、ヒノキチオールの鉄錯体を含有するヒバ油からなる液剤、又はヒノキチオールの鉄錯体を含有するヒバ油を希釈した液剤を散布する建築物の環境対策工法によれば、シロアリによる食害を受けやすい木材のなかでも特に被害を受けやすいといわれる地表からの高さが低い箇所のシロアリ防除を、散布する液剤中のヒノキチオールの作用によって極めて有効に行うことができる。また、ヒノキチオールの抗菌作用によりカビ等の菌類の増殖を抑制することで、木材の腐食も防止することができる。なお、前記ヒバ油を希釈した液剤を使用する場合には、例えばヒバ油をエタノールや適宜の油等で40%以上に希釈するとよい。ヒバ油は比較的高価であるため、上述した作用を十分に得てコスト的にも見合うものとする場合には、このようにヒバ油の希釈液を利用することが望ましいからである。ただし、ヒバ油の希釈率は、上述の作用を低減しない範囲で適宜変更することができる。
【0009】
また、建築物の建設施工時において、床下の土壌表面又は基礎ベースコンクリートから屋外側の土壌表面に、ヒバ抽出水と、ヒバ油と、多孔質微粒子の複数の集合によって隔壁を形成し、当該隔壁により包囲された中空の空間内にヒノキチオールを含有するヒバ油を内包し当該ヒバ油を徐々に外部へ放出し得る粉末状のマイクロカプセルとを、90:7:3の配合にて混合した液剤を散布する建築物の環境対策工法を採用すれば、床下や基礎ベースコンクリートから這い上がってくるシロアリを防除するとともに、カビ等の繁殖も防止できる。なお、ヒバ抽出水は、青森ヒバ等から油溶成分を抽出する際に多量に得られる水溶液であり、微量のヒノキチオールや香気成分等を含有する上にヒバ油との親和性も高いので、青森ヒバ等の抽出物の有効利用を図るとともに、ヒバ油を他の有機溶媒に混合することによる健康被害等の弊害を排除することができるものである。
【0010】
さらに、建築物の建設施工時において、室内壁、床又は天井の表面材の下地における表面に、90%のヒバ抽出水と、ヒノキチオールを含有する10%のヒバ油とを混合した液剤を散布する建築物の環境対策工法によれば、建材の接着剤等に含まれるホルムアルデヒドやトルエン等を始めとするVOCをヒバ油中のヒノキチオールにより中和して、シックハウス症候群やアトピー性皮膚炎の抑制を図ることが可能である。また、散布したヒバ油に含まれるヒノキチオールの防虫抗菌作用により、壁や床、天井等でのダニやカビ、大腸菌、MRSA等の発生繁殖を抑制することもできるため、健康的に居住するのに適した住環境の形成にも役立つ。そのうえ、ヒバ抽出水やヒバ油に含まれる香気成分が、散布された壁や天井等から室内に広がるため、居住者に対するリラクゼーション効果を得ることもできるようになる。
【0011】
さらにまた、建築物の建設施工時において、構築された建築物の室内に、98%の水又は98%のヒバ抽出水に、2%のヒノキチオールを混合した液剤を噴霧する建築物の環境対策工法によると、建築構造物だけでなく、什器や家具等の接着剤等に含まれるVOCの中和除去によるシックハウス症候群等の疾病予防、防虫抗菌対策、防臭対策とすることができる。
【0012】
そして、上述した各環境対策工法をトータルで行えば、ヒノキチオールを始めとするヒバ抽出物を利用するという共通の概念のもとに、建築の各段階において施される何れの環境対策も他の対策の阻害条件となることがなく、従来にない調和が取れ統一した環境対策工法を実現し、住み良い居住空間を創生することが可能である。なお、この環境対策工法は、住居としての建築物のみならず、病院や学校、ホール等の施設、オフィスビル等の各種建築物に適用できるものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0014】
この実施形態では、建築物である住宅用家屋を例にして建築施工開始から仕上げまでの各段階において適用される環境対策工法について説明する。ここでは、説明の簡単化のために、建築の段階を、捨てコンクリート層形成ステップS1、基礎ベースコンクリート形成ステップS2、木材処理ステップS3、土壌処理ステップS4、下地処理ステップS5、仕上げ処理ステップS6に大別し、各ステップごとの処理について説明する。
【0015】
ここでまず、各ステップにおいて用いられるヒバ油1、ヒバ抽出水及びマイクロカプセル2について説明しておく。ヒバ油1は、青森ヒバ、台湾ヒノキ、木曽ヒノキ等ヒノキ科の植物の抽出油として得られるものであるが、本実施形態では例えばヒノキチオールの含有量が多い青森ヒバの木片、枝葉の水蒸気抽出により得られる油性成分のうちの酸性油を用いている。このようにして得られるヒバ油1には、ヒノキ科特有の7員環化合物であるトロポロン類が含まれており、そのなかでも特にシロアリに対して高い忌避効果を有する成分であるヒノキチオール(C10H12O2)及びその類縁体であるβ−ドラブリン(C10H10O2)との含有量が約2%で品質がほぼ一定に安定したものを利用している。なお、ヒノキチオールの鉄錯体は、ヒバ油1の抽出装置に鉄釜等の鉄製のものを使用することにより容易に形成することができ、そのようにして得られたヒバ油1は赤褐色を呈している。一方、ヒバ抽出水は、上述したヒバ油1の抽出工程において同時に得られるものであり、微量のヒノキチオール等の他、他種類の香気成分等を含有している。マイクロカプセル2は、図1に模式的な断面図を示すように、セラミックス素材等からなる多孔質微粒子3の多数の集合によって隔壁31を形成し、その隔壁21により包囲された中空の空間内にヒバ油1を内包した構成を有するものであり、多孔質微粒子3同士の間隙や各多孔質微粒子3が有する細孔(図示省略)を通じて内部のヒバ油1を徐々に外部へ放出する性質を有している。各多孔質微粒子3には、合成セラミックスの他にも珪藻土粉末等の多孔質粒子を適用することができる。このようなマイクロカプセル2は、市販のマイクロカプセル製造装置を用いて、真空の装置内部にヒバ油1及び多孔質微粒子3を噴霧することによって製造することができる。
【0016】
以下、建築段階毎の工法について説明する。まず、捨てコンクリート層形成ステップS1では、住宅用家屋を建築すべき土地の土壌Aを鋤き取って掘り下げた部位に多数の栗石を敷き詰めて栗石層Bを形成し、その上に基礎ベースコンクリートDを形成するに際して、図3に示すように、栗石層Bと基礎ベースコンクリートDとの間に、墨出し用の捨てコンクリート層Cを形成する。その際、この捨てコンクリート層Cを、コンクリート素材Xとマイクロカプセル1との混合物から構成する。具体的には、図2に示すように、所定の容器にマイクロカプセル2を水Wと共に投入し撹拌した後、それをミキサー車内で砂やセメント粉などからなるコンクリート素材Zと混合し、栗石層Bの上から打設して捨てコンクリート層Cを形成する。ここで、コンクリート素材とマイクロカプセルとは重量比100:3乃至100:5の範囲の配合にて混合するものとする。
【0017】
次に、捨てコンクリート層Cの上層に基礎ベースコンクリートDを形成する基礎ベースコンクリート形成ステップS2では、図3に示すように、地表からのシロアリの這い上がりを防止するために、地表乃至それよりも高い部位である立ち上がり部分D1を、捨てコンクリート層Cの場合と同じく、重量比100:3乃至100:5の配合に配合したコンクリート素材とマイクロカプセル2との混合物により形成する。
【0018】
次に、木材処理ステップS3では、図4に示すように、基礎ベースコンクリートD上に立設される柱や床板を支持する根太等の木材Eを施工した後に、これら木材Eのうち地表からの高さが約1mの部分D1に対して、ヒノキチオールを含有する液剤4を、噴霧器8を用いて散布する。この液剤4は、ヒノキチオールの鉄錯体を含有するヒバ油からなるものであり、上述したように、ヒバ油の抽出時に鉄釜等を利用することによって得られる。なお、液剤4の組成としてはこの他に、例えばヒバ油をエタノール等のアルコール類や油等で希釈したものを適用することができる。その場合、ヒバ油の希釈率は、例えば40%以上とするとよい。
【0019】
次に、土壌処理ステップS4では、図4に示すように、基礎ベースコンクリートDの屋外側における周囲の土壌表面Asや、床下に土壌が露出している場合にはその表面Asに、ヒノキチオールを含有する液剤5を、噴霧器8を用いて散布する。この液剤5は、ヒバ抽出水と、ヒバ油と、マイクロカプセル2とを、90:7:3の配合にて混合することにより得られるものである。なお、この液剤5において用いるヒバ油及びマイクロカプセル2に包含されているヒバ油は、抽出時に鉄釜等の鉄製品を用いず、鉄錯体にはなっていないヒノキチオールを含有するものである。そのためこの液剤5は、赤褐色ではなく黄色味を帯びた透明である。
【0020】
次に、壁紙や外壁材、床や天井の表面材を施工する直前の段階において、下地処理ステップS5では、図5に示すように、壁、床、天井等の下地Fの表面に、ヒノキチオールを含有する液剤6を、噴霧器8を用いて散布する。この液剤6は、90%のヒバ抽出水と、10%のヒバ油とを混合して製造したものである。なお、この液剤6で用いるヒバ油も、前記液剤6の場合と同様に、鉄錯体にはなっていないヒノキチオールを含有するものであり、液剤6は、赤褐色ではなく黄色味を帯びた透明である。
【0021】
最後に、家屋の完成後、仕上げ処理ステップS6として、図6に示すように、床上に噴霧器9を設置し、この噴霧器9を用いてヒノキチオールを含有する液剤7を屋内空間G全体に散布する。この液剤7は、98%の天然純水に2%のヒノキチオールを混合したものである。なお、ヒノキチオールはヒバ油から精製することによって得たものを使用する。ただし、液剤7においては、98%の天然純水の代わりに、ヒバ抽出水を用いたり、精製水、水道水等を利用してもよい。
【0022】
ここで、以上をまとめて図7に、各ステップS1〜S6において用いた処理剤を一覧にして示す。
【0023】
以上のように、本実施形態では、住居用家屋の建築における各段階を通じて、天然のヒノキチオールを用いた環境対策を施している。具体的には、捨てコンクリート層形成ステップS1、基礎ベースコンクリート形成ステップS2、木材処理ステップS3、及び土壌処理ステップS4においては、特にヒノキチオールのシロアリ忌避作用を利用することによって、家屋に土壌中又は地表からシロアリが這い上がるのを防止し、シロアリによる食害を防ぐことができるようになる。特に捨てコンクリート層Cと基礎ベースコンクリートDは、コンクリート素材に混合されたマイクロカプセル2からヒノキチオールが放出されるため、これら捨てコンクリート層Cと基礎ベースコンクリートD自体にシロアリ忌避作用を付与することができるので、極めて長期間に亘るシロアリ防止策とすることが可能である。さらに、シロアリのみならず、ダニ等の害虫の繁殖や、カビや細菌等の繁殖をも、ヒノキチオールの作用によって防止することが可能である。また、下地処理ステップS5及び仕上げ処理ステップS6では、特に屋内における害虫の繁殖や、カビやMRSA等の細菌の繁殖を抑制、防止することができるうえに、建材中のホルムアルデヒドを始めとするVOCをヒノキチオールによって中和除去することで、シックハウス症候群やアトピー性皮膚炎の罹患防止、改善効果を得ることができる。さらに、ヒノキチオールは勿論であるが、ヒバ油中又はヒバ抽出水中の香気成分によるリラクゼイション効果や、屋内の防臭効果を得ることができる。このように、ヒノキチオールを利用して総合的に建築物の環境対策工法を採用することで、従来のように、ある対策が他の対策の害悪となることがない、調和の取れた住環境の改善策を実現できることになる。
【0024】
なお、本発明は、上記実施形態で施した各ステップのうちいずれかを選択して行うことを妨げるものではない。また、住宅用家屋のみならず、学校、病院、オフィスビル等のあらゆる施設、建築物に本発明を適用できることはいうまでもない。さらに、各ステップにおける工法の具体的実施態様についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0025】
【発明の効果】
本発明は、以上に詳述したように、青森ヒバ等から得られる天然のヒノキチオールを利用するという共通の概念のもとに、ヒノキチオールが有する優れた性質を利用して、建築物におけるシロアリやダニ等の害虫防止、カビや細菌等の繁殖防止、シックハウス症候群やアトピー性皮膚炎等の疾病予防改善、防臭、居住者へのリラクゼイションなどの総合的な環境改善に大いに役立つ環境対策工法を提供するものである。そのため、従来行われていた建築物の各部に個別の環境対策を行う場合と比べて、ある対策が他の対策の阻害要件とはならない統一的で調和の取れた総合環境対策を極めて有効に行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態において用いるマイクロカプセルを示す模式的断面図。
【図2】同マイクロカプセルを含むコンクリートの製造工程を示す説明図。
【図3】同実施形態における捨てコンクリート層及び基礎ベースコンクリートを示す断面図。
【図4】同実施形態における木材処理ステップ、土壌処理ステップを示す斜視図。
【図5】同実施形態における下地処理ステップを示す斜視図。
【図6】同実施形態における仕上げ処理ステップを示す斜視図。
【図7】同実施形態の各ステップと処理剤との関係を示す一覧図。
【符号の説明】
1…ヒバ油
2…マイクロカプセル
3…多孔質粒子
A…土壌
B…栗石層
C…捨てコンクリート層
D…基礎ベースコンクリート
E…木材
F…下地
G…屋内空間
Claims (7)
- 建築物の建設施工時において、鋤き取った土壌に敷設される栗石層と基礎ベースコンクリートとの間に設けられる捨てコンクリート層を施工するに際して、コンクリート素材と、多孔質微粒子の複数の集合によって隔壁を形成し、当該隔壁により包囲された中空の空間内にヒノキチオールの鉄錯体を含有するヒバ油を内包し当該ヒバ油を徐々に外部へ放出し得る粉末状のマイクロカプセルとを、重量比100:3乃至100:5の範囲の配合にて混合し、このコンクリート素材とマイクロカプセルとの混合物を栗石層の表面に打設することにより捨てコンクリート層を形成することを特徴とする建築物の環境対策工法。
- 建築物の建設施工時において、基礎ベースコンクリートを施工するに際して、この基礎ベースコンクリートにおける地表からの立ち上がり部分を、コンクリート素材と、多孔質微粒子の複数の集合によって隔壁を形成し、当該隔壁により包囲された中空の空間内にヒノキチオールの鉄錯体を含有するヒバ油を内包し当該ヒバ油を徐々に外部へ放出し得る粉末状のマイクロカプセルとを、重量比100:3乃至100:5の範囲の配合にて混合した混合物により形成することを特徴とする建築物の環境対策工法。
- 建築物の建設施工時において、床下の土壌表面又は基礎ベースコンクリートから屋外側の土壌表面に、ヒバ抽出水と、ヒバ油と、多孔質微粒子の複数の集合によって隔壁を形成し、当該隔壁により包囲された中空の空間内にヒノキチオールを含有するヒバ油を内包し当該ヒバ油を徐々に外部へ放出し得る粉末状のマイクロカプセルとを、90:7:3の配合にて混合した液剤を散布することを特徴とする建築物の環境対策工法。
- 建築物の建設施工時において、柱や床を構成する木材を施工するに際して、これら木材における地表から高さ1mの範囲に、ヒノキチオールの鉄錯体を含有するヒバ油からなる液剤、又はヒノキチオールの鉄錯体を含有するヒバ油を希釈した液剤を散布することを特徴とする請求項1、2又は3記載の建築物の環境対策工法。
- 建築物の建設施工時において、室内壁、床又は天井の表面材の下地における表面に、90%のヒバ抽出水と、ヒノキチオールを含有する10%のヒバ油とを混合した液剤を散布することを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の建築物の環境対策工法。
- 建築物の建設施工時において、構築された建築物の室内に、98%の水又は98%のヒバ抽出水に、2%のヒノキチオールを混合した液剤を噴霧することを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の建築物の環境対策工法。
- 建築物の建設施工時において、鋤き取った土壌に敷設される栗石層と基礎ベースコンクリートとの間に設けられる捨てコンクリート層を施工するに際して、コンクリート素材と、多孔質微粒子の複数の集合によって隔壁を形成し、当該隔壁により包囲された中空の空間内にヒノキチオールの鉄錯体を含有するヒバ油を内包し当該ヒバ油を徐々に外部へ放出し得る粉末状のマイクロカプセルとを、重量比100:3乃至100:5の範囲の配合にて混合し、このコンクリート素材とマイクロカプセルとの混合物を栗石層の表面に打設することにより捨てコンクリート層を形成する捨てコンクリート層形成ステップと、基礎ベースコンクリートを施工するに際してこの基礎ベースコンクリートにおける地表からの立ち上がり部分を、コンクリート素材と、多孔質微粒子の複数の集合によって隔壁を形成し、当該隔壁により包囲された中空の空間内にヒノキチオールの鉄錯体を含有するヒバ油を内包し当該ヒバ油を徐々に外部へ放出し得る粉末状のマイクロカプセルとを、重量比100:3乃至100:5の範囲の配合にて混合した混合物により形成する基礎ベースコンクリート形成ステップと、柱や床を構成する木材を施工するに際してこれら木材における地表から高さ1mの範囲に、ヒノキチオールの鉄錯体を含有するヒバ油からなる液剤、又はヒノキチオールの鉄錯体を含有するヒバ油を希釈した液剤を散布する木材処理ステップと、床下の土壌表面又は基礎ベースコンクリートから屋外側の土壌表面に、ヒバ抽出水と、ヒバ油と、多孔質微粒子の複数の集合によって隔壁を形成し、当該隔壁により包囲された中空の空間内にヒノキチオールを含有するヒバ油を内包し当該ヒバ油を徐々に外部へ放出し得る粉末状のマイクロカプセルとを、90:7:3の配合にて混合した液剤を散布する土壌処理ステップと、室内壁、床又は天井の表面材の下地における表面に、90%のヒバ抽出水と、ヒノキチオールを含有する10%のヒバ油とを混合した液剤を散布する下地処理ステップと、構築された建築物の室内に、98%の水又は98%のヒバ抽出水に、2%のヒノキチオールを混合した液剤を噴霧する仕上げ処理ステップとを経ることによって、建築物に対する環境対策を施すことを特徴とする建築物の環境対策工法。
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