JP2005089515A - 炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレットおよびその成形品 - Google Patents

炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレットおよびその成形品 Download PDF

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誠一郎 江藤
Toshihiro Hatsu
敏博 発
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Abstract

【課題】炭素繊維の分散がよく、強度、剛性、耐衝撃性、および良好な外観を兼ね備えた炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレットおよびその成形品の提供。
【解決手段】少なくとも次の構成要素、炭素繊維[A]、フェノール樹脂[B]およびゴム強化スチレン樹脂[C]からなる炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレットにおいて、炭素繊維[A]の含有量が5〜30重量%であり、長さがペレットと同一であって、ペレットの長さ方向に配列されおり、炭素繊維[A]にフェノール樹脂[B]が付着されており、さらに[A]の含有量X(重量部)と、[B]の含有量Y(重量部)との関係が下式(1)を満たし、かつ260℃で15分間熱処理したときの重量減少が0.3〜3.5%の範囲内であり、さらに体積固有抵抗値が10-5〜10-1Ω・mの範囲内であることを特徴とする炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレット。 0.25×X≦Y≦0.55×X ・・・(1)
【選択図】なし

Description

本発明は、種々の機械特性や成形品外観に優れた特性を有する炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレットおよび成形品に関する。さらに詳しくは、炭素繊維の分散がよく成形品の外観に優れた炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレットおよび成形品に関するものである。
熱可塑性樹脂は優れた機械的性質と成形加工性をもつため、種々の分野で利用されている。その中でもABS樹脂を代表とするゴム強化スチレン系樹脂は、剛性、耐衝撃性、成形加工性に優れ、そのバランスの良い性能から、家電製品、玩具用品、パソコン、OA機器、AV機器などの電気・電子機器の部品、あるいは自動車部品などの幅広い分野で利用されている。また、用途によっては、薄肉でかつ高剛性、高強度が要求される場合がある。これらの性能を付与する方法としては、繊維補強材で強化する方法が知られている。例えば、熱可塑性樹脂をガラス繊維、炭素繊維などで強化したゴム強化スチレン系樹脂成形品が知られており、特に成形性、生産性、経済性に優れる射出成形によって製造された成形品は、パソコン、OA機器、AV機器、家電製品、玩具用品などの電気・電子機器の部品や筐体に広く利用されている。
一方、繊維強化樹脂の強度を高めるために、強化繊維を長繊維化して、成形品中の繊維を長く保つ方法が提案されている。
しかしながら、長繊維強化成形材料は、繊維の分散が悪いため、成形品の外観不良の発生や機械的特性が安定化しないなどの問題があった。
長繊維強化樹脂中の強化繊維を分散する方法としては、
(1)重量分子量が200〜50000の熱可塑性重合体を強化繊維束に付着させる方法(例えば、特許文献1参照)
(2)マトリックス樹脂と相溶性のある樹脂を強化繊維束に付着させる方法(例えば、特許文献2、3参照)
(3)ジエン系樹脂とエチレン系樹脂との共重合物のエマルジョンを強化繊維束に付着 させる方法(例えば、特許文献4、5参照)
などが提案されている。
しかしながら、これら従来の方法で得られる長繊維強化成形材料では、マトリックス樹脂をゴム強化スチレン系樹脂としたときの強化繊維の分散が十分でなく、良好な成形品外観を要求される用途によっては、満足できない場合があった。また、分散性を向上させるために、強化繊維束に熱可塑性重合体や樹脂エマルジョンを多量に付着させると、成形品の機械特性の低下や、成形時のガス発生により成形品外観に悪影響を与えることがあった。
特開平10−138379号公報 特開2000―71245号公報 特開2000―218711号公報 特開平10−330503号公報 特開2000−167828号公報
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解消し、炭素繊維の分散がよく、成形品の外観に優れた炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレットおよび成形品を提供することにあり、さらには、強度、剛性、耐衝撃性、および良好な外観を兼ね備えた成形品を提供することにある。
本発明者らは上記課題について鋭意検討した結果、炭素繊維にフェノールもしくはフェノールの置換基誘導体と、脂肪族炭化水素との縮合からなる熱可塑性重合体を特定量付着させることで、上記課題を効率的に達成できることを見出し、本発明に至った。
上記の目的を達成するため、本発明は以下の構成よりなる。すなわち、
(1)少なくとも次の構成要素[A]、[B]および[C]からなる炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレットにおいて、上記構成要素[A]は、含有量が5〜30重量%であり、長さがペレットと同一長さであって、ペレットの長さ方向に配列されているとともに、前記構成要素[A]に構成要素[B]が付着されており、さらに構成要素[A]の含有量X(重量部)と、構成要素[B]の含有量Y(重量部)との関係が下式(1)を満たし、かつJIS K7120に基づく熱重量変化が260℃で15分間熱処理したときの重量減少が0.3〜3.5%の範囲内であり、さらに体積固有抵抗値が10-5〜10-1Ω・mの範囲内であることを特徴とする炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレット。
構成要素[A]:炭素繊維
構成要素[B]:フェノールもしくはフェノールの置換基誘導体と、脂肪族炭化水素と の縮合によって得られ、かつ重量平均分子量が300〜1000の範 囲内である熱可塑性重合体
構成要素[C]:ゴム強化スチレン系樹脂
0.25×X≦Y≦0.55×X ・・・(1)
(2)前記構成要素[B]が、フェノールもしくはフェノールの置換基誘導体と、C1016の分子式で表される単環式モノテルペンとの縮合物で、かつ重量平均分子量が600〜900の範囲内の熱可塑性重合体であることを特徴とする前記(1)に記載の炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレット。
(3)前記体積固有抵抗値が、10-5〜10-2Ω・mの範囲内であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレット。
(4)前記構成要素[C]が、ゴム質重合体を5〜30重量%の範囲内で含有するABS樹脂であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレット。
(5)前記ペレットの長さが、3〜20mmの範囲内であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレット。
(6)前記構成要素[C]が、構成要素[A]と構成要素[B]とからなる複合体の周囲を被覆するように配置されてなることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレット。
(7)前記(1)〜(6)のいずれかに記載の炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレットが射出成形されてなることを特徴とする成形品。
本発明によれば、以下に説明するとおり、マトリックス樹脂中への炭素繊維の分散がよく成形品の外観に優れた炭素繊維強化熱可塑性樹脂樹脂ペレットおよび成形品を得ることができ、その結果、表面外観、剛性、耐衝撃性等の機械的特性に優れた成形品が得られる。
以下、本発明についてさらに詳しく述べる。まず本発明の炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレットの構成要素について詳細に説明する。
本発明における構成要素[A]としては、例えばPAN系、ピッチ系、レーヨン系などの炭素繊維である。また、炭素繊維にニッケルや銅などの金属を被覆した金属被覆炭素繊維なども本発明に使用できる。その中でも強度と弾性率のバランスに優れるPAN系炭素繊維が好ましく使用される。
また、構成要素[A]の繊維径は特に限定されるものではないが、3〜10μmであることが好ましく、5〜8μmであることがより好ましい。
本発明における構成要素[A]の含有量は、導電性、機械的強度、成形性の点において、ペレット全体の5〜30重量%の範囲であることが重要である。含有量が5重量%未満では炭素繊維配合による機械特性向上の効果が小さく、30重量%を越えると成形性が悪くなる。
本発明における構成要素[B]としては、フェノールもしくはフェノールの置換基誘導体と、脂肪族炭化水素との縮合によって得られる熱可塑性重合体である。縮合反応は、強酸もしくはルイス酸の存在化に行うことができる。フェノールの置換基誘導体としては、フェノールのベンゼン核上に、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基より選ばれる置換基を1〜3個有するものが好ましく用いられる。その具体例としては、クレゾール、キシレノール、エチルフェノール、ブチルフェノール、t−ブチルフェノール、ノニルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、クロロクレゾール、ヒドロキノン、レゾルシノール、オルシノールなどが挙げられる。特に好ましくは、フェノールおよびクレゾールが挙げられる。脂肪族炭化水素は二重結合を2個有する脂肪族炭化水素であり、環状構造を有してもよい。環状構造を持たない例としては、ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、ヘキサジエンなどが挙げられる。環状構造を有する例としては、単環性の化合物としては、シクロヘキサジエン、ビニルシクロヘキセン、シクロヘプタジエン、シクロオクタジエン、C1016の分子式で表される単環式モノテルペン(ジペンテン、リモネン、テルピノレン、テルピネン、フェランドレン)など、二環性の化合物としては、2,5−ノルボルナジエン、テトラヒドロインデン、C1524の分子式で表される二環式セスキテルペン(カジネン、セリネン、カリオフィレンなど)など、三環性の化合物としてジシクロペンタジエンなどが挙げられる。これらの中で特に好ましいのは、C1016の分子式で表される単環式モノテルペンが挙げられる。
構成要素[B]の重量平均分子量は300〜1000の範囲であることが重要である。重量平均分子量は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)を使用し、検出器として低角度光散乱高度計(LALLS)を使用した装置で測定される。重量平均分子量が300未満であると熱安定性に欠けるため、成形時のガス発生量が多くなり、成形品外観に悪影響を与えるだけでなく、熱をかけた際に容易に揮発するなどして成形品にボイドなどの欠点を生じる原因となる。一方、重量平均分子量が1000を超えると、熱可塑性重合体の粘度が高く、炭素繊維束中への含浸が困難となり、その結果、炭素繊維の分散が悪くなる。
より好ましい構成要素[B]としては、フェノールもしくはフェノールの置換基誘導体と、C1016の分子式で表される単環式モノテルペンとの縮合物で、かつ重量平均分子量が600〜900の熱可塑性重合体である。
構成要素[B]の含有量Y(重量部)は、構成要素[A]の含有量X(重量部)と関係し、下式(1)で決められる。
0.25×X≦Y≦0.55×X ・・・(1)
上記式(1)は、構成要素[B]の含有量と構成要素[A]の含有量との関係をあらわしたもので、この関係を満たす場合に、本発明の効果が期待できる。構成要素[B]の含有量Y(重量部)が構成要素[A]の含有量X(重量部)の0.25倍未満では、構成要素[A]のマトリックス樹脂中への分散が悪く、外観不良を生じる。0.55倍を超えると、成形時のガス発生量が多くなり、成形品外観に悪影響を与え、成形品物性も低下する。
本発明における構成要素[C]は、ゴム強化スチレン系樹脂である。ゴム強化スチレン系樹脂としては、ゴム質重合体に芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体および共重合可能なその他のビニル系単量体から選ばれた1種以上の単量体をグラフト共重合せしめたグラフト共重合体(C−1)と、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体および共重合可能なその他のビニル系単量体から選ばれた1種以上の単量体からなるビニル系(共)重合体(C−2)からなる組成物などが挙げられる。
ゴム質重合体としては、ジエン系ゴム、アクリル系ゴム、エチレン系ゴムなどが挙げられ、具体的には、ポリブタジエン、ポリ(ブタジエン−スチレン)、ポリ(ブタジエン−アクリロニトリル)、ポリイソプレン、ポリ(ブタジエン−アクリル酸ブチル)、ポリ(ブタジエン−メタクリル酸メチル)、ポリ(アクリル酸ブチル−メタクリル酸メチル)、ポリ(ブタジエン−アクリル酸エチル)、エチレン−プロピレンラバー、エチレン−プロピレン−ジエンラバー、ポリ(エチレン−イソプレン)、ポリ(エチレン−アクリル酸メチル)等が挙げられる。これらのゴム質重合体は、1種または2種以上の混合物で使用される。これらのゴム質重合体のうち、ポリブタジエン、ポリ(ブタジエン−スチレン)、ポリ(ブタジエン−アクリロニトリル)が耐衝撃性の点で好ましい。
グラフト共重合体(C−1)およびビニル系(共)重合体(C−2)に用いられる芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、オルソメチルスチレン、パラメチルスチレン、パラ−t−ブチルスチレンおよびハロゲン化スチレンなどが挙げられ、1種または2種以上用いることができる。なかでもスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。グラフト共重合体(C−1)およびビニル系(共)重合体(C−2)に用いられるシアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル及びメタクリロニトリル等が挙げられ、1種または2種以上用いることができる。なかでもアクリロニトリルが好ましい。
グラフト共重合体(C−1)およびビニル系(共)重合体(C−2)に用いられる共重合可能なその他のビニル系単量体としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどの不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド化合物、マレイン酸などの不飽和ジカルボン酸、無水マレイン酸などの不飽和ジカルボン酸無水物およびアクリルアミドなどの不飽和アミド化合物に代表される共重合可能なビニル化合物などを挙げることができ、これらは単独ないし2種以上を用いることができる。なお、ビニル系(共)重合体(C−2)は、複数種類用いることができる。
グラフト共重合体(C−1)に配合された単量体混合物は、そのすべてが、ゴム質重合体と結合してグラフト化している必要はなく、単量体混合物の単量体同士で結合し、グラフト化していない重合体として含まれていても良い。グラフト率は好ましくは、10〜100%、特に好ましいのは20〜50%である。
また、構成要素[C]におけるゴム質重合体の含有量は、特に限定されるものでないが、5〜30重量%が好ましい。
また、本発明の目的を損なわない範囲で、各種の熱可塑性樹脂、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ナイロン6やナイロン66などのポリアミド樹脂、変性PPE樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、あるいはそれらの変性物やエラストマー類を配合することにより、成形用樹脂ペレットとして性能をさらに改良することができる。
また、必要に応じて、ヒンダードフェノール系、含硫黄化合物系、含リン有機化合物系などの酸化防止剤、フェノール系、アクリレート系などの熱安定剤、ベンゾトリアゾール系、ベンソフェノン系、サクシレート系などの紫外線吸収剤、有機ニッケル系、ヒンダードアミン系などの光安定剤などの各種安定剤、高級脂肪酸の金属塩類、高級脂肪酸アミド類などの滑剤、フタル酸エステル類、リン酸エステル類などの可塑剤、臭素化化合物やリン酸エステル、赤燐等の各種難燃剤、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの難燃助剤、アルキルカルボン酸やアルキルスルホン酸の金属塩、カーボンブラック、顔料および染料などを添加することもでき、また、各種強化剤や充填材を配合することもできる。
本発明における、炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレットは、JIS K7120(1987)に基づく熱重量変化が260℃で15分間熱処理したときの重量減少が0.3〜3.5%であるものである。重量減少量が3.5%を超えると、成形時のガス発生量が多く、成形品表面外観に悪影響を及ぼすだけでなく、金型上のモールドデポジット量が増え生産性が悪くなるなどの影響がある。これらの理由より熱処理時の重量減少は少ないほど好ましいが、構成要素[B]として一般的な樹脂より分子量の低い熱可塑性重合体を使用するため、加熱による重量減少が0.3%未満の炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレットを得るのは困難である。
また、本発明における、炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレットは、体積固有抵抗値が10-5〜10-1Ω・mであるものであり、より好ましくは10-5〜10-2Ω・mである。体積固有抵抗値が10-1Ω・mより大きいと、炭素繊維の分散が不十分であることを示し、そのような成形品は表面外観も悪くなる。体積固有抵抗値が10-5Ω・m未満の炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレットを得るためには、炭素繊維および導電性フィラーを多量に添加する必要があり、その結果成形性、表面外観が悪くなる。
本発明における炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレットは、構成要素[A]の長さがペレットと同一長さで、かつペレットの長さ方向に配列した長繊維ペレットの形態であるものであり、より好ましくは、構成要素[C]が、構成要素[A]と構成要素[B]とからなる複合体の周囲を被覆するように配置されてなる長繊維ペレットである。このような長繊維ペレットを得る手段としては、構成要素[A]の束に加熱溶融された構成要素[B]を付着させ、拡幅・集束を繰り返したり、圧力や振動を加えるなどの操作で構成要素[B]を構成要素[A]の束の中に十分に含浸させ、構成要素[A]と構成要素[B]からなる複合体を得る。得られた複合体を、押出機の先端に取り付けた電線被覆用のコーティグダイの中に通し、構成要素[C]を押出被覆させ電線状のガットを得る。このガットをストランドカッターで所定の長さにカットすることで、長繊維ペレットが得られる。
また、本発明における炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレットの長さは特に限定されるものではないが、好ましい長さは3〜20mmであり、より好ましくは4〜10mmである。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例、比較例で得られた炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレットの評価項目およびその方法を以下に示す。
・体積固有抵抗値、曲げ剛性、衝撃強度試験片作成条件(条件I)
射出成形機:(株)名機製作所製 M50AII−SJ
金型:ASTMテストピース セット取り金型
シリンダ温度:260℃
金型温度:60℃
スクリュー背圧:10kg/cm2
スクリュー回転数:100rpm
・外観評価成形品作成条件(条件II)
射出成形機:(株)日本製鋼所製 J350EII−SP
金型:縦250mm×横300mm×高さ10mm、肉厚1.2mmの箱型成形品
シリンダ温度:260℃
金型温度:60℃
スクリュー背圧:20kg/cm2
スクリュー回転数:150rpm
(a)熱重量変化
JIS K7120(1987)規格に準拠した熱重量測定方法にて評価した。測定装置はセイコーインスツルメンツ(株)製 TG/DTA200、測定には長繊維ペレットをペレットの長さ方向と垂直方向に輪切りにし、約10mgの大きさとした。測定は窒素雰囲気下、昇温速度20℃/分で260℃まで昇温した後、260℃で15分間保持した。熱処理前の重量をW0[g]、260℃で15分間熱処理後の重量をW[g]として、熱重量変化[%]を下式(2)で計算した。
熱重量変化[%]={(W0−W)/W0}×100 ・・・(2)
(b)体積固有抵抗値
幅80mm×長さ80mm×厚さ3mmの角板を測定に供した。幅×厚さの面に導電性ペースト(藤倉化成(株)製ドータイト)を塗布し、十分に導電性ペーストを乾燥させてから、その面を電極に圧着し、電極間の電気抵抗値をデジタルマルチメーターで測定する。前記抵抗値から測定機器、治具等の接触抵抗を減じた値に、導電性ペースト塗布面の面積を乗じ、その値を試験片長さで除したものを体積固有抵抗値とした。試験片成形条件は条件Iで成形した。
(c)成形品外観
条件IIで外観評価サンプルを射出成形した。この成形品表面の炭素繊維凝集の有無およびガス焼けの有無を目視にて判断し、下記規準にて相対評価した。
炭素繊維凝集の有無
○○:炭素繊維凝集の発生なし(成形品20枚中)
○:炭素繊維凝集の発生1〜5個(成形品20枚中)
×:炭素繊維凝集の発生6個以上(成形品20枚中)
ガス焼けの有無
○:ウエルド集合部、流動末端にガス焼け無し
×:ウエルド集合部、流動末端にガス焼け有り
次に、実施例・比較例で使用した原料を以下に示す。
炭素繊維:東レ(株)製 “トレカ”(登録商標)T700SC−12K−50C、単繊維径7μm
テルペンフェノール重合体:単環式モノテルペンとフェノールの縮合物、ヤスハラケミカル(株)製 K140、重量平均分子量790
ノボラック樹脂:住友ベークライト(株)製 PR−53195、重量平均分子量4000
ABS樹脂:アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ゴム成分(ポリブタジエン)含有率11%
[実施例1]
まず200℃に加熱されたロール上にテルペンフェノール重合体を加熱溶融し、一定した厚みの液体被膜を形成させた。このロール上を連続した炭素繊維束を接触させながら通過させて、炭素繊維束の単位長さあたりに一定量のテルペンフェノール重合体を付着させた。
次にテルペンフェノール重合体を付着させた炭素繊維束を、210℃に加熱されベアリングで自由に回転する一直線上に配置された10本のロールの上下を交互に通過させ、テルペンフェノール重合体を炭素繊維束の内部にまで含浸させ、炭素繊維とテルペンフェノール重合体よりなる連続した複合体を形成した。この段階で、炭素繊維100重量部に対するテルペンフェノール重合体の重量は27重量部であった。
この連続した複合体を、直径50mmの単軸押出機の先端に設置された電線被覆法用のコーティングダイ中に通し、押出機からダイ中に240℃で溶融させたABS樹脂を吐出させて、複合体の周囲を被覆するようにABS樹脂を連続的に配置した。この複合体を冷却後、ストランドカッターで7mmの長さにカットし、射出成形用ペレットとした。この射出成形用ペレットの組成比は、炭素繊維:テルペンフェノール重合体:ABS樹脂=20:5.4:74.6であった。
得られた射出成形用ペレットを、80℃で3時間乾燥後、上記(a)〜(c)項記載の各試験に供した。その評価結果を表1に示す。
[実施例2]
炭素繊維束に付着させるテルペンフェノール重合体の重量を38重量部に変更した以外は実施例1と同様に行った。この射出成形用ペレットの組成比は、炭素繊維:テルペンフェノール重合体:ABS樹脂=20:7.6:72.4であった。その評価結果を表1に示す。
[実施例3]
炭素繊維束に付着させるテルペンフェノール重合体の重量を52重量部に変更した以外は実施例1と同様に行った。この射出成形用ペレットの組成比は、炭素繊維:テルペンフェノール重合体:ABS樹脂=20:10.4:69.6であった。評価結果を表1に示す。
[実施例4]
炭素繊維束とテルペンフェノール重合体との複合体に被覆させるABS樹脂の量を変更した以外は実施例2と同様に行った。この射出成形用ペレットの組成比は、炭素繊維:テルペンフェノール重合体:ABS樹脂=5:1.9:93.1であった。評価結果を表1に示す。
[比較例1]
炭素繊維束に付着させるテルペンフェノール重合体の重量を18重量部に変更した以外は実施例1と同様に行った。この射出成形用ペレットの組成比は、炭素繊維:テルペンフェノール重合体:ABS樹脂=20:3.6:76.4であった。評価結果を表1に示す。
[比較例2]
炭素繊維束に付着させるテルペンフェノール重合体の重量を80重量部に変更した以外は実施例1と同様に行った。この射出成形用ペレットの組成比は、炭素繊維:テルペンフェノール重合体:ABS樹脂=20:16:64であった。評価結果を表1に示す。
[比較例3]
炭素繊維束に付着させる樹脂をノボラック樹脂に変更した以外は実施例1と同様に行った。この射出成形用ペレットの組成比は、炭素繊維:ノボラック樹脂:ABS樹脂=20:7.6:72.4であった。評価結果を表1に示す。
[比較例4]
炭素繊維束に付着させるテルペンフェノール重合体の重量を18重量部に変更した以外は実施例4と同様に行った。この射出成形用ペレットの組成比は、炭素繊維:テルペンフェノール重合体:ABS樹脂=5:0.9:93.1であった。評価結果を表1に示す。
Figure 2005089515
表1の結果から、次のことが明らかである。本発明の炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレット(実施例1〜4)では、いずれも炭素繊維の分散がよく、またガス焼けの発生もない、外観良好な成形品が得られた(総合評価:○)。
これに対し、構成要素[B]の含有量が少ないもの(比較例1、4)、および構成要素[B]の重量平均分子量が高いもの(比較例3)では炭素繊維の分散が悪いため炭素繊維の凝集物が成形品表面に多く発生する。また、構成要素[B]の含有量が多すぎると、炭素繊維の分散は良いが成形品表面にガス焼け不良が生じ、成形品外観が悪くなる(総合評価:×)。
本発明の炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレットを用いれば、強度、剛性、耐衝撃性、および良好な外観を兼ね備えた成形品が得られ、パソコン、OA機器、AV機器、家電製品、玩具用品などの電気・電子機器の部品や筐体に広く利用することができるが、その応用範囲は、これらに限られるものではない。

Claims (7)

  1. 少なくとも次の構成要素[A]、[B]および[C]からなる炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレットにおいて、上記構成要素[A]は、含有量が5〜30重量%であり、長さがペレットと同一長さであって、ペレットの長さ方向に配列されているとともに、前記構成要素[A]に構成要素[B]が付着されており、さらに構成要素[A]の含有量X(重量部)と、構成要素[B]の含有量Y(重量部)との関係が下式(1)を満たし、かつJIS K7120に基づく熱重量変化が260℃で15分間熱処理したときの重量減少が0.3〜3.5%の範囲内であり、さらに体積固有抵抗値が10-5〜10-1Ω・mの範囲内であることを特徴とする炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレット。
    構成要素[A]:炭素繊維
    構成要素[B]:フェノールもしくはフェノールの置換基誘導体と、脂肪族炭化水素と の縮合によって得られ、かつ重量平均分子量が300〜1000の範 囲内である熱可塑性重合体
    構成要素[C]:ゴム強化スチレン系樹脂
    0.25×X≦Y≦0.55×X ・・・(1)
  2. 前記構成要素[B]が、フェノールもしくはフェノールの置換基誘導体と、C1016の分子式で表される単環式モノテルペンとの縮合物で、かつ重量平均分子量が600〜900の範囲内の熱可塑性重合体であることを特徴とする請求項1に記載の炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレット。
  3. 前記体積固有抵抗値が、10-5〜10-2Ω・mの範囲内であることを特徴とする請求項1または2に記載の炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレット。
  4. 前記構成要素[C]が、ゴム質重合体を5〜30重量%の範囲内で含有するABS樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレット。
  5. 前記ペレットの長さが、3〜20mmの範囲内であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレット。
  6. 前記構成要素[C]が、構成要素[A]と構成要素[B]とからなる複合体の周囲を被覆するように配置されてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレット。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレットが射出成形されてなることを特徴とする成形品。
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