JP2005088197A - ガスバリア性フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】熱可塑性樹脂フィルムよりなる基材層と珪素アルコキシドの加水分解物、層状珪酸塩及びポリビニルアルコール系樹脂よりなるガスバリア層とを含む積層体であって、小角X線散乱により測定したガスバリア層中の珪素アルコキシド加水分解物のフィルム面に垂直な方向のドメイン間距離dNDが6.8nm以下であるガスバリア性フィルム。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明はガスバリア性に優れたガスバリア性フィルムに関する。詳しくは、高湿度下での極めて優れたガスバリア性、更には熱水中でのボイル処理後も優れたガスバリア性を保持することができるガスバリア性フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリプロピレンフィルムやポリエチレンテレフタレートフィルム、ナイロンフィルム等の熱可塑性樹脂フィルムは、優れた透明性、機械強度、加工適性、製袋性等の二次加工性等により、包装用フィルムとして汎用されている。
【0003】
上記熱可塑性樹脂フィルムに酸素バリア性等のガスバリア性機能を付与させる目的で、該熱可塑性樹脂フィルムのフィルム表面に塩化ビニリデン系樹脂や、ポリビニルアルコール系樹脂等のガスバリア性を有する樹脂からなる層を積層することが行われている。
【0004】
しかし、塩化ビニリデン系樹脂はガスバリア性には優れるものの、塩素系樹脂であるため焼却性や廃棄性に関してデメリットがある。また、ポリビニルアルコール系樹脂は、乾燥状態での酸素バリア性は優れているものの、高湿度下での酸素バリア性が、吸湿により極端に低下するという問題がある。
【0005】
このため、架橋や変性処理をしたり、他の化合物と複合したりする工夫がなされている。例えば、特許文献1には、熱可塑性樹脂フィルム上に、シリカ/ポリビニルアルコール系複合ポリマーからなる被覆層を設けたガスバリア性フィルムが開示されている。また、特許文献2には、熱可塑性樹脂フィルム上に金属アルコキシドあるいは金属アルコキシドの加水分解物と、ポリビニルアルコールなど水酸基を有する水溶性樹脂との複合物からなる被膜を設けたガスバリア性フィルムが開示されている。
【0006】
しかしながら、上記した特許文献1及び特許文献2に記載のガスバリア性フィルムは、高湿度下での酸素バリア性が吸湿により極端に低下するという問題の改善が図れるものの、特に90%RHを越えるような高湿度下では、そのガスバリア効果は十分でないのが現状であった。
【0007】
また、上記複合物からなるガスバリア層において更にガスバリア性能を改良したフィルムとして、特許文献3には、熱可塑性樹脂フィルム上にポリビニルアルコールなど水酸基を有する水溶性樹脂、無機層状化合物及び金属アルコキシドの加水分解物よりなる複合物からなる被膜を設けたガスバリア性フィルムも開示されているが、かかるガスバリア性フィルムにおいても、高湿度下でのガスバリア性、更には、シール層を設けた後の熱水中でのボイル後におけるガスバリア性について、未だ改善の余地があった。
【0008】
【特許文献1】
特開昭56−4563号公報(請求項1)
【特許文献2】
特開平6−192454号公報(請求項1−3)
【特許文献3】
特開2000−43219号公報(請求項1−6)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、90%RHを越えるような高湿度下でも極めて優れたガスバリア性を示し、且つ、シール層を設けた後にはボイル後のガスバリア性にも優れたガスバリア性フィルムを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果、ガスバリア性フィルムが、基材層上に、珪素アルコキシドの加水分解物、層状珪酸塩及びポリビニルアルコール系樹脂よりなるガスバリア層とを有する積層体であって、小角X線散乱により測定したガスバリア層中のフィルム面に垂直な方向のドメイン間距離dNDが6.8nm以下であると高湿度下で極めて優れた酸素バリア性を示し、更にはガスバリア層の基材層が積層される面と反対面側にシール層を設けたガスバリア性フィルムにおいて、熱水中でのボイル処理後も優れたガスバリア性を保持することを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明は、熱可塑性樹脂フィルムよりなる基材層と珪素アルコキシドの加水分解物、層状珪酸塩及びポリビニルアルコール系樹脂よりなるガスバリア層とを有する積層体であって、小角X線散乱により測定したガスバリア層中のフィルム面に垂直な方向のドメイン間距離dNDが6.8nm以下であることを特徴とするガスバリア性フィルムである。
【0012】
また、本発明は、上記ガスバリア性フィルムのガスバリア層の基材層が積層される面と反対面側に、低融点の熱可塑性樹脂よりなるシール層を有するガスバリア性フィルムを提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のガスバリア性フィルムは、熱可塑性樹脂フィルムよりなる基材層と珪素アルコキシドの加水分解物、層状珪酸塩及びポリビニルアルコール系樹脂よりなるガスバリア層とを含む積層体によって構成される態様及び上記態様においてガスバリア層の基材層が積層される面と反対面にシール層を設けた積層体によって構成される態様を含むものである。
【0014】
本発明のガスバリア性フィルムは、上記の層構成を有するものであれば特に制限なく、該ガスバリア性フィルムの各層間やガスバリア層の基材層が積層される面と反対面側に他の層を設けてもよい。具体的には、各層間に設ける層としては後述するアンカーコート層、接着層等が挙げられ、また、ガスバリア層の基材層が積層される面と反対面側に設ける層として印刷層等が挙げられる。
【0015】
本発明のガスバリア性フィルムは、小角X線散乱により測定したガスバリア層中のフィルム面に垂直な方向のドメイン間距離dNDは6.8nm以下である。ドメイン間距離dNDが6.8nmを超えると、高湿度下において極めて優れたガスバリア性、更にはシール層を設けた場合においての熱水中でのボイル処理後も優れたガスバリア性を保持することができない。より好ましくは6.3nm以下、さらに好ましくは5.8nm以下である。さらに、小角X線散乱により測定したガスバリア層中のフィルム面内方向におけるドメイン間距離dIPと前記のdNDとの比dIP/dNDが0.9以上であることが好ましい。ドメイン間距離dNDが6.8nm以下で、さらにdIP/dNDが0.9以上であると、シール層を設けた場合においての熱水中でのボイル処理後も極めて優れたガスバリア性を保持することができることから好ましい。
【0016】
なお、本発明において、小角X線散乱により測定したガスバリア層中のドメイン間距離dIPおよびdNDは、ガスバリア層の微細な周期構造(密度揺らぎ)を表す指標であり、小角X線散乱に現れる散乱ピークの位置(散乱角2θ)から、ブラッグの式(2dsinθ=λ,λはX線の波長)より求めることができる。
【0017】
ここで、ガスバリア層中のフィルム面内方向のドメイン間距離dIPは、フィルム面に垂直にX線を入射(through入射)して得られる透過法の小角X線散乱により求めることができる。また、フィルム面に垂直な方向のドメイン間距離dNDは、フィルム面に平行に、フィルム端面よりX線を入射(edge入射)して得られる透過法の小角X線散乱により求めることができる。
【0018】
さらに、本発明のガスバリア性フィルムを測定した小角X線散乱プロファイルには、ガスバリア層からの散乱以外に、基材層である熱可塑性樹脂フィルムからの散乱、中心ビームの裾、空気散乱、寄生散乱等が含まれている。そこで、本発明のガスバリア性フィルムに用いた基材層フィルム、あるいは、基材層と同程度の厚みを有する同じ材質の熱可塑性樹脂フィルムの小角X線散乱プロファイルを同条件で測定し、本発明のガスバリア性フィルムの小角X線散乱プロファイルから差し引くことで、基材層熱可塑性樹脂フィルムからの散乱、中心ビームの裾、空気散乱、寄生散乱等を除去することができ、ガスバリア層のみからの散乱プロファイルを得ることができる。この方法で得られたガスバリア層の小角X線散乱プロファイルのピーク位置よりドメイン間距離が求められる。
【0019】
本発明のガスバリア性フィルムにおいて、FE−TEM(電界放射型透過電子顕微鏡)によりガスバリア層断面を観察した結果、層状珪酸塩のフィルム厚み方向の層間は約10〜20nmであるのに対し、小角X線散乱により求めたドメイン間距離は10nmよりも小さく、フィルムの厚み方向、面内方向とも同程度の大きさであることから、ここでいうガスバリア層中のドメインとは珪素アルコキシド加水分解物であり、ドメイン間距離は珪素アルコキシド加水分解物の分散状態や分散粒子径に関係するものと考えられる。
【0020】
すなわち、正確な理由は不明であるが、珪素アルコキシド加水分解物のドメインが、フィルム面に垂直な方向およびフィルム面内方向に小さく緻密であるために、高湿度下及びシール層を設けた場合においての熱水中でのボイル後にも優れたガスバリア性を発揮すると考えられる。
【0021】
本発明のガスバリア性フィルムにおいて、基材層の材質は、熱可塑性樹脂よりなるものであれば、特に限定されないが包装用途に用いることを勘案すると透明性を有するフィルムが好ましい。上記熱可塑性樹脂としては、エチレン単独重合体、エチレンとプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン等の1種又は2種以上のα−オレフィンとのランダム又はブロック共重合体、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチルの1種又は2種以上のモノマーとのランダム又はブロック共重合体、プロピレン単独重合体、プロピレンとプロピレン以外の1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン等の1種又は2種以上のα−オレフィンとのランダム又はブロック共重合体、1−ブテン単独重合体、アイオノマー樹脂、さらにこれら重合体の混合物などのポリオレフィン系樹脂;石油樹脂、テルペン樹脂などの炭化水素系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ナイロン6/66、ナイロン66/610、ナイロンMXDなどポリアミド系樹脂;ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂;ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリアクリロニトリルなどのスチレン、アクリロニトリル系樹脂;ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体などのポリビニルアルコール系樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリケトン樹脂;ポリメチレンオキシド樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリイミド樹脂;ポリアミドイミド樹脂などが挙げられる。これらは1種又は2種以上を混合して用いることができる。
【0022】
その中でも、上記樹脂単独でフィルム化したものでガスバリア性に優れるものは高価であり、工業的な実施においては、透明性、機械的強度、包装適性なども優れるポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、スチレン、アクリロニトリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリカーボネート樹脂などが好ましく、更に好ましくは、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂である。
【0023】
上記熱可塑性樹脂フィルムの製造方法としては、公知の方法が制限なく使用できる。具体的には、溶液キャスト法,Tダイ法,チューブラー法、カレンダー法など公知の方法が採用される。また、機械物性等を勘案すると、上記熱可塑性樹脂フィルムは延伸処理を施すことが好ましい。延伸方法は、公知の方法が何ら制限なく採用でき、例えば、ロール一軸延伸、圧延、逐次二軸延伸、同時二軸延伸、チューブラー延伸等が挙げられ、これらの延伸方法の中で、厚薄精度や機械物性等を勘案すると、逐次二軸延伸、同時二軸延伸が好ましい。
【0024】
また、熱可塑性樹脂フィルムの厚みは、特に制限されず、用いる用途等を勘案して適宜選択すればよく、1〜200μmの範囲から適宜選択される。その中でも、延伸加工性、ガスバリア性、製袋加工性等を勘案すると5〜100μmであることが好ましく、10〜50μmであることがより好ましい。
【0025】
更に、上記熱可塑性樹脂フィルムには、必要に応じて帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、結晶核剤、滑剤、紫外線吸収剤、滑り性付与及びアンチブロッキング性付与を目的とした界面活性剤等の公知の添加剤を、本発明の効果を阻害しない程度配合してもよい。
【0026】
上記熱可塑性樹脂フィルムよりなる基材層は、包装用途、特にガスバリア性フィルムとして好適に使用されることを勘案すると、透明であることが好ましい。具体的には、ヘイズ値が15%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。
【0027】
本発明のガスバリア性フィルムにおいて、ガスバリア層の一構成成分であるポリビニルアルコール系樹脂としては、ビニルアルコール系重合体及びその誘導体が使用される。例えば、けん化度75モル%以上のポリビニルアルコール、全水酸基の40モル%以下がアセタール化されているポリビニルアルコール、アルコール可溶変性ポリビニルアルコール、ビニルアルコール単位が60モル%以上であるエチレン−ビニルアルコール共重合体等の共重合ポリビニルアルコール等が好ましく用いられる。その中でも、けん化度75モル%以上のポリビニルアルコールが得られるフィルムの透明性や高湿度下でのガスバリア性が良好なことからより好ましく用いられる。
【0028】
また、上記ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、加工性を勘案すると、300〜5000であることが好ましく、500〜3500であることがより好ましい。
【0029】
本発明のガスバリア性フィルムにおいて、ガスバリア層の一構成成分である珪素アルコキシドの加水分解物には、珪素アルコキシドのアルコキシ基の一部又は全部の加水分解による生成物、珪素アルコキシドの重縮合体、該重縮合体のアルコキシ基の一部又は全部の加水分解による生成物、およびそれらの種々の混合物が包含される。
【0030】
上記珪素アルコキシドとしては、加水分解物が形成可能であれば特に制約されない。具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、プロピルトリメトシシラン、プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ペンチルトリメトキシシラン、ペンチルトリエトキシシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシシラン、ヘプチルトリメトキシシラン、ヘプチルトリエトキシシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリブトキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、2−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリプロポキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、アミノメチルトリエトキシシラン、2−アミノエチルトリメトキシシラン、1−アミノエチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−アミノメチルアミノメチルトリメトキシシラン、N−アミノメチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等の加水分解物が形成可能な珪素アルコキシドが挙げられる。これらの珪素アルコキシドは、単独で用いても、二種以上を混合して用いてもよい。
【0031】
珪素アルコキシド重縮合体および該重縮合体のアルコキシ基の一部又は全部の加水分解による生成物には、上記珪素アルコキシドの加水分解とともに起こる、脱水及び/又は脱アルコールによる重縮合反応の結果として形成されるものが包含される。
【0032】
上記ガスバリア層において、珪素アルコキシドの加水分解物は、珪素アルコキシド由来の珪素がポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、SiO2換算で90〜500重量部、好ましくは、100〜350重量部、より好ましくは、100〜250重量部、となるように存在せしめることが優れたガスバリア性を発揮するために好ましい。
【0033】
本発明のガスバリア性フィルムにおいて、ガスバリア層の一構成成分である層状珪酸塩としては、公知のものが特に制限なく使用される。例えば、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、有機ベントナイト、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロイサイト、クリソタイル、リザーダイト、アンチゴライト、ペコラアイト、ネポーアイト、グリーナライト、カリオピライト、アメサイト、Alリザーダイト、バーチェリン、ブリンドリアイト、ケリアイト、クロンステダイト、パイロフィライト、タルク、ケロライト、ウイレムスアイト、ピメライト、ミネソタアイト、雲母、白雲母、フェンジャイト、イライト、セリサイト、海緑石、セラドナイト、トベライト、パラゴナイト、金雲母、黒雲母、緑泥石、バーミキュライト等が挙げられる。これらの多くは天然の鉱物として産するが、化学合成法によって製造されたものでも良い。
【0034】
そのうち、モンモリロナイトを使用すると、得られたガスバリア性フィルムが、高湿度下、更にはシール層を設けた場合においての熱水中でのボイル処理後もガスバリア性に優れたものとなり、好適である。
【0035】
上記ガスバリア層において、層状珪酸塩は、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、10〜150重量部、好ましくは、20〜100重量部となるように存在せしめることが、優れたガスバリア性を発揮するために好ましい。
【0036】
また、本発明のガスバリア性フィルムにおいて、ガスバリア層には、ガスバリア層の形成時のクラック発生を防止し、また、使用時におけるフィルムの変形時においてもガスバリア層のクラック発生を防止するため、珪素アルコキシドの加水分解物、層状珪酸塩及びポリビニルアルコール系樹脂の他に、ポリエチレンオキシドを配合することが好ましい。該ポリエチレンオキシドとしては、平均分子量の高いものほどその効果が高く、平均分子量10万以上が好ましく、平均分子量50万以上がより好ましく、平均分子量200万以上のものが更に好ましく使用される。
【0037】
なお、該ポリエチレンオキシドの分子鎖末端は、水酸基でもあるいは化学修飾されていても何ら制限されないが、通常は、両末端が水酸基であるものが好ましく採用される。
【0038】
上記ポリエチレンオキシドは、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、0.1〜5重量部、好ましくは、0.5〜2重量部の割合で配合することが好ましい。
【0039】
また、本発明のガスバリア性フィルムを構成するガスバリア層の成分として、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリエチレンオキシドの他にも他の成分を配合してもよい。
【0040】
例えば、ウレタン系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、メラミン系架橋剤、エポキシ系架橋剤等の架橋剤、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤等のカップリング剤、水性イソシアネート、水性ポリウレタン系樹脂、ポリエチレンイミン、水性エポキシエステル等の水溶性アンカーコート剤、アルミ系有機化合物、ジルコニア系有機化合物等が挙げられる。
【0041】
ガスバリア層の厚みは、特に制限されるものではないが、均一塗布、ガスバリア性の発現、取扱い時のクラックの発生防止などを勘案すれば、0.1〜10μmが一般的であり、特に、0.5〜3μmが好ましい。
【0042】
ガスバリア性フィルムの厚みは、特に制限されるものではないが、5〜200μmが一般的であり、特に、10〜100μmが好ましい。
【0043】
本発明の高湿度下においても極めて高いガスバリア性を示すガスバリア性フィルムは、珪素アルコキシドの加水分解物、層状珪酸塩及びポリビニルアルコール系樹脂よりなるガスバリア層を下記の方法により基材層に形成することによって好適に得ることができる。
【0044】
本発明のガスバリア性フィルムは、pHが1〜5、好ましくは2〜4に調整されたポリビニルアルコール系樹脂の水性溶液に分散された層状珪酸塩の存在下に、珪素アルコキシドを加水分解して得られた水性溶液よりなるガスバリアコート剤を基材フィルムに塗布し、乾燥せしめることによって得ることができる。
【0045】
上記ガスバリア性フィルムの製造方法において、ガスバリアコート剤の好適な調整方法について詳述すれば、先ず、層状珪酸塩が分散しているポリビニルアルコール系樹脂の水性溶液を、公知の微分散装置、例えば、超音波分散、ビーズミル、ボールミル、ロールミル、ホモミキサー、ウルトラミキサー、ディスパーミキサー、貫通型高圧分散装置、衝突型高圧分散装置、多孔型高圧分散装置、だまとり型高圧分散装置、(衝突+貫通)型高圧分散装置、超高圧ホモジナイザー等によって分散化する。分散化の目安としては、得られるガスバリア性フィルムのガスバリア性・透明性・半調印刷性・水性インキ適性・押出しラミネート適性等を勘案すると、平均粒子径が2.0μm以下となるように分散化することが好ましい。
【0046】
上記公知の微分散装置の中でも、特に、ホモミキサー、ウルトラミキサー、ディスパーミキサー、貫通型高圧分散装置、衝突型高圧分散装置、多孔型高圧分散装置、だまとり型高圧分散装置、(衝突+貫通)型高圧分散装置、超高圧ホモジナイザー等が層状珪酸塩を良好な分散状態とするために好ましい。
【0047】
上記水性溶液を調整するための溶媒としては、水/低級アルコール混合溶媒が好適に用いられる。上記低級アルコールとしては、炭素数が1〜3のアルコール、具体的には、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、又はイソプロピルアルコールが好適である。
【0048】
また、上記水/アルコールの混合割合は、重量比で99/1〜20/80の範囲から適宜選択される。
【0049】
上記水性溶液中におけるポリビニルアルコール系樹脂の濃度は、0.1〜20重量%となるように、ポリビニルアルコール系樹脂/珪素アルコキシドの混合量を適宜決定すればよく、より好ましくは溶媒に対するポリビニルアルコール系樹脂の濃度が1〜10重量%となる範囲から、ポリビニルアルコール系樹脂/珪素アルコキシドの混合量を採用すればよい。
【0050】
上記層状珪酸塩を分散したポリビニルアルコール系樹脂の水性溶液のpHを前記範囲に調整する方法は、層状珪酸塩中の交換性イオンをプロトン化する方法が、層状珪酸塩の層間に珪素アルコキシド及び/又はその加水分解物を高濃度で存在せしめ、層状珪酸塩の層間を十分広げるために有効であり、本発明において好適に採用される。このプロトン化は、陽イオン交換樹脂やイオン交換膜によるイオン交換が好適である。
【0051】
例えば、陽イオン交換樹脂を使用したプロトン化は、層状珪酸塩を含む溶液をポリスチレン・スルホン酸型の強酸性イオン交換樹脂等の陽イオン交換樹脂と接触させる態様が挙げられる。
【0052】
また、イオン交換膜を使用したプロトン化は、陰極と陽極との間に陽イオン交換膜及びルーズ構造であることが好ましい陰イオン交換膜を交互に配列して陰極の存在する陰極室、陽極の存在する陽極室、及びその間に複数の隔室を形成した電気透析槽を構成し、陽極側に陰イオン交換膜を陰極側に陽イオン交換膜を有する室に層状珪酸塩を含む溶液を、該室と隣接する室に酸を供給しながら電気透析する方法、陰極と陽極との間に陽イオン交換膜及びバイポーラ膜を交互に配列して陰極の存在する陰極室、陽極の存在する陽極室、及びその間に複数の隔室を形成した電気透析槽を構成し、陽極側にバイポーラ膜を陰極側に陽イオン交換膜を有する室に層状珪酸塩を含む溶液を、該室と隣接する室に、希薄アルカリ水溶液であることが好ましい、電解質溶液を供給しながら電気透析する方法等が挙げられる。
【0053】
次いで、pHを前記範囲に調整され、層状珪酸塩を分散したポリビニルアルコール系樹脂の水性溶液に、珪素アルコキシドを添加し、かかる分散された層状珪酸塩の存在下に加水分解を行う。
【0054】
該層状珪酸塩を分散して含有するポリビニルアルコール系樹脂の水性溶液中における珪素アルコキシドの加水分解は、該ポリビニルアルコール系樹脂の水性溶液のpHを1〜5、好ましくは2〜4に調整しながら、加水分解触媒の存在下に実施される。層状珪酸塩中の交換性イオンを陽イオン交換樹脂やイオン交換膜によるイオン交換にてプロトン化し、上記pHの範囲に調整した場合、該プロトン化した層状珪酸塩自体も加水分解触媒としての役割を果たすことができることから、例えば、珪素アルコキシドの加水分解前に陽イオン交換樹脂をろ過等の方法によって系外に除去した場合でも珪素アルコキシドを加水分解することが可能である。
【0055】
上記加水分解触媒としては、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸、有機リン酸、蟻酸、酢酸、無水酢酸、クロロ酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、グルコン酸、粘液酸、2,4−ジエチルグルタル酸、アクリル酸、メタクリル酸、グルタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、桂皮酸、尿酸、バルビツル酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸、酸性陽イオン交換樹脂、プロトン化した層状珪酸塩が挙げられる。
【0056】
その中でも、pH調整の容易さや触媒除去処理の簡便さや更に得られるガスバリア層の透明性等を勘案すると、酸性陽イオン交換樹脂、プロトン化した層状珪酸塩が好適である。
【0057】
前記加水分解において、その時間は、加水分解の程度を決定する一因となるものであるが、一般に、上記pHに調整後、常温では、1〜24時間、好ましくは、2〜18時間、さらに好ましくは2〜12時間が好適である。
【0058】
なお、本発明のガスバリア性フィルムにおいて、必要に応じてガスバリア層に添加されるポリエチレンオキシドは、上記製造工程の何処で添加してもよい。例えば、層状珪酸塩を分散せしめた後、珪素アルコキシドの加水分解前に添加してもよいし、珪素アルコキシドを加水分解後に添加してもよい。
【0059】
上記製造方法における各成分の割合は、前記ガスバリア層で示した割合となるように決定される。
【0060】
上記の製造方法において、ガスバリアコート剤の安定性、得られるガスバリア層の着色、高湿度下での良好なガスバリア性の発現等を勘案すると、珪素アルコキシドを加水分解する前あるいは後、プロトン化した層状珪酸塩を除くpH調整に使用した加水分解触媒を系外に除去することが好適である。
【0061】
本発明において、珪素アルコキシドを加水分解する前あるいは後、プロトン化した層状珪酸塩を除く加水分解触媒を系外に除去する方法は、特に制限されない。
【0062】
例えば、イオン交換樹脂の場合、ろ過等の物理的方法によって除去することが可能である。また、無機酸や有機酸を用いた場合では、該無機酸あるいは該有機酸に由来する陰イオン成分を水酸基イオン化した塩基性陰イオン交換樹脂により水酸基イオンへイオン交換し、ろ過により系外に除去する方法が好ましく採用される。
【0063】
本発明において、珪素アルコキシドの加水分解は、相分離していた液相が均一相になるまで行うことが好ましく、この場合、部分的に加水分解した状態、完全に加水分解した状態、また、珪素アルコキシド同士の重縮合反応が進行した状態でもよい。
【0064】
上記ガスバリアコート剤は、最終的にpHが1〜5の範囲内に調整されることが、ガスバリアコート剤のゲル化防止、ガスバリア層を形成後のクラック防止、更に、高湿度下で良好なガスバリア性を発揮する上で好ましい。
【0065】
本発明のガスバリア性フィルムの製造方法において、ガスバリア層と基材層との積層は、前述したガスバリアコート剤を基材層上に塗工して乾燥する方法によって行われる。
【0066】
上記ガスバリアコート剤を基材層上へ塗工するタイミングについては、珪素アルコキシドの加水分解が進行し、相分離していた液相が均一相になった時点から塗工可能である。また、得られるガスバリア層のクラック発生及びガスバリア性の低下を勘案すると、上記ガスバリアコート剤の変質が起きるまでに塗工することが好ましい。
【0067】
本発明において、上記ガスバリアコート剤の塗工方法としては、特に制限されないが、高速での薄膜塗工可能な、溶液又は溶媒分散コーティング法が好ましい。これらコーティング法を具体的に例示すると、ロールコーティング、リバースロールコーティング、グラビアコーティング、スプレーコーティング、キスコーティング、ダイコーティング、ロッドコーティング、バーコーティング、チャンバードクター併用グラビアコーティング、カーテンコーティング等により、ガスバリアコート剤を熱可塑性樹脂フィルム表面にコートする方法が好適である。
【0068】
本発明において、基材層上のガスバリアコート剤を乾燥する方法としては、公知の乾燥方法が特に制限なく使用できる。具体的には、熱ロール接触法、空気・オイル等による熱媒接触法、赤外線加熱法、マイクロ波加熱法等の1種又は2種以上が挙げられる。これらの中で、フィルム外観等の仕上がりや乾燥効率等を勘案すると、空気・オイル等による熱媒接触法や赤外線加熱法が好ましい。空気・オイル等による熱媒接触法としては、加熱空気接触法が好ましい。
【0069】
上記ガスバリアコート剤の乾燥条件は特に制限されないが、ガスバリア性の発現や乾燥効率等を勘案すると、特に、60℃以上、基材の融点未満の温度範囲を採用することが好ましい。また、上記乾燥温度としては、80℃以上がより好ましく、特に90℃以上が更に好ましい。また、基材層の融点より10℃低い温度以下がより好ましく、特に15℃低い温度以下が更に好ましい。
【0070】
上記乾燥時間は、バリア性や乾燥効率等を勘案すると、5秒〜10分であることが好ましく、10秒〜5分であることがより好ましい。
【0071】
上記乾燥の前後に、必要に応じて、紫外線、X線、電子線等の高エネルギー線照射を施してもよい。また、高湿度下でのガスバリア性を更に向上させることを勘案すると、上記乾燥後、ガスバリア層に直接コロナ放電処理やフレームプラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
【0072】
本発明においては、基材層上に前記ガスバリアコート剤を塗工し、上記温度で乾燥してガスバリア層を形成させた後、更にエージング処理を施す方法が、より優れたガスバリア性を与えるガスバリア性フィルムを得るために有効である。
【0073】
上記エージング処理は、得られるガスバリア性フィルムのガスバリア性、特に90%RHを越えるような高湿度下でのガスバリア性の向上、更にはシール層を設けた場合においての熱水中でのボイル処理後における優れたガスバリア性の発揮に効果がある。エージングの条件は、適宜決定すればよく、特に制約されないものの、通常は、エージングによる基材層のしわ・たるみ等のダメージの発生しない条件範囲で決定される。例えば、熱可塑性樹脂フィルムが二軸延伸ポリプロピレンフィルムの場合、温度30℃〜50℃で、相対湿度30%RH〜100%RHの範囲から選択され、温度40℃〜50℃、相対湿度40%RH〜90%RHの雰囲気下でエージング処理を施すことがより好ましい。温度および相対湿度は、エージングによる基材層のしわ・たるみ等のダメージの発生しない限度内であれば、できるだけ高く設定することが、エージングに要する日数を低減し得ることから、好ましい。
【0074】
エージングに要する日数は、適宜決定すればよく、生産性等を勘案すると例えば1日〜10日の範囲となるよう上記温度および相対湿度を設定すればよい。
【0075】
上記条件によるエージング処理を行う方法としては特に制限されない。好適な方法を例示すれば、上記基材層上にガスバリアコート剤を塗布・乾燥したフィルムを、温度、相対湿度を設定した恒温恒湿室等でエージング処理する方法を挙げることができる。また、フィルムをロール状に巻き取る場合、巻取り張力を低くしガスバリア性フィルム同士に空隙を設けたうえで、恒温恒湿室でエージング処理する方法や、ロール状に巻き取る際に該ガスバリア層へ水蒸気を噴霧しエージング処理する方法等を用いてもよい。
【0076】
本発明において、基材層とガスバリア層との接着性をより向上せしめ、得られるガスバリア性フィルムのガスバリア性、耐久性をより向上させるために、ガスバリア層を積層する基材層の表面に、表面処理を施すことが好適である。
【0077】
かかる表面処理としては、公知の表面処理方法が何ら制限なく採用できる。例えば、大気中コロナ放電処理、窒素ガス中コロナ放電処理、炭酸ガス中コロナ放電処理、フレームプラズマ処理、紫外線処理、オゾン処理、電子線処理、励起不活性ガスによるプラズマ処理等の表面処理方法を挙げることができる。また、これらの表面処理の併用処理をしてもよい。
【0078】
また、前記基材層とガスバリア層との接着強度をより向上させることを勘案すると、その層間にアンカーコート層を設ける方法が好ましく採用される。アンカーコート層を設ける方法としては、公知の方法が何ら制限なく使用できる。
【0079】
上記アンカーコート層の形成に使用されるアンカーコート剤としては、公知のものが特に制限されず使用できる。例えば、イソシアネート系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系、ポリオレフィン系、アルキルチタネート系等のアンカーコート剤が挙げられる。
【0080】
更に、本発明のガスバリア性フィルムにおいては、上記方法によって得られるガスバリア層の基材層が積層される面と反対面側に、ヒートシール性、耐熱水性等を付与する目的で、市販のポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリレート共重合体等、該基材層を構成する熱可塑性樹脂より低融点の熱可塑性樹脂よりなるシール層等を積層してもよい。シール層を積層する方法としては、ドライラミネート用接着剤をガスバリア層上に塗布した後基材層を構成する熱可塑性樹脂より低融点の熱可塑性樹脂フィルムをラミネートするドライラミネート方法やガスバリア層上にアンカーコート処理を施し、その基材と貼り合せるフィルムの間に押出機で溶融したオレフィン系樹脂を押出し、冷却ロールで加圧してラミネートする押出しラミネート方法等公知のラミネート方法が何ら制限なく採用できる。
【0081】
【発明の効果】
以上の説明より理解されるように、本発明によれば、ガスバリア層としてポリビニルアルコール系樹脂と珪素アルコキシド加水分解物及び層状珪酸塩を含むガスバリア性フィルムにおいて、従来では達成が不可能であった、極めて高いガスバリア性を有するガスバリア性フィルムを提供することが可能である。
【0082】
また、上記極めて優れたガスバリア性は、ガスバリア層にシール層を積層した態様において、熱水中に放置後でも、優れたガスバリア性を維持することが可能であり、従来、ガスバリア層として使用されていた塩化ビニリデンコートフィルムに匹敵する特性をポリビニルアルコール系樹脂を使用したガスバリア層により達成することを可能とした。
【0083】
従って、本発明のガスバリア性フィルムの用途は、スナック等の乾燥食品を始めとし、珍味、生麺、生菓子等の中間水分食品や佃煮、惣菜、漬物、かまぼこ、ハム、ソーセージ等の高水物食品・ボイル処理を必要とする食品のガスバリア性フィルムとして幅広い用途に対して有用である。
【0084】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例を掲げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例におけるフィルム物性については下記の方法により行った。
【0085】
(1)高湿度下の酸素透過度Q
JIS K7126 B法に準じて、酸素透過度測定装置(Mocon社製;OX−TRAN100)を用いて測定した。測定条件は、ガス流量20ml/minとし、温度23℃、基材層側の湿度を90%RH、ガスバリア層側の湿度を90%RHとした。湿度は日立計測器サービス(株)製 精密湿度調整システム
RH−3S型にて調湿した。
【0086】
(2)熱水処理後の酸素透過度Q’
シール層を積層したガスバリア性フィルム単体を90℃に保った熱水中に30分間浸漬して熱水処理を施した。熱水処理は、熱水処理中にフィルムが浮かないようフィルム端部を内径18cmのステンレス製リング状型枠に固定して行った。熱水処理後、直ちにフィルムを水で洗浄し、10分以内にガスバリア性フィルムを酸素透過度測定装置にセットした。
【0087】
酸素透過度測定は、JIS K7126 B法に準じて、酸素透過度測定装置(Mocon社製;OX−TRAN100)を用いて測定した。測定条件は、ガス流量20ml/minとし、温度23℃にて、基材層側の湿度を90%RH、シール層側の湿度を90%RHとした。湿度は日立計測器サービス(株)製 精密湿度調整システム RH−3S型にて調湿した。熱水処理したガスバリア性フィルムをセットし10分後に酸素透過度測定を開始し、測定開始から1時間後の酸素透過度を熱水処理後の酸素透過度Q’として評価した。
【0088】
(3)コーティング
暁機械社製テストコーターを用い、熱可塑性樹脂フィルムにコーティング及び乾燥させてガスバリア層を形成させた。
【0089】
コート方式;グラビア方式
乾燥方法;ガイドロールアーチ型熱風ジェットノズル吹付式
【0090】
(4)FE−TEM観察
フィルムをエポキシ樹脂で包埋、固化させた後、ウルトラミクロトームを用い、ガスバリア層の断面から厚さ80nmの超薄切片を採取した。得られた超薄切片をFE−TEM(電界放射型透過電子顕微鏡 Philips Electron Optics社製 Tecnai F20)により観察した。
【0091】
(5)小角X線散乱によるドメイン間距離dIPおよびdND
日本電子社製のX線回折装置JDX−3500に、小角X線散乱測定装置を装備し、以下の方法で透過法小角X線散乱を測定した。
【0092】
ターゲット :銅(Cu−Kα線)
管電圧−管電流 :40kV−400mA
単色化 :Niフィルター
第1スリット :0.30mm×12mm
第2スリット :0.20mm×12mm
第3スリット :使用
第4スリット :0.20mm×20mm
第5スリット :0.15mm×20mm
検出器 :シンチレーションカウンター
X線入射法 :透過法(試料固定0°)
測定角度範囲 :2θ=0.3〜5.0°
ステップ角度 :0.010°
計数時間 :20秒
【0093】
dIPの測定は、ガスバリア性フィルムの向きを揃えて5mm×15mmに切り出し、厚さ4〜5mm(ここでは200枚)に重ねて、フィルム面に垂直にX線を入射(through入射)して小角X線散乱IIPを測定した。また、基材層(または、基材層と同等の厚みの同材質の)熱可塑性樹脂フィルムを同様に、同じ枚数(ここでは200枚)を重ねて小角X線散乱IIP0を測定した。IIPからIIP0を差引いて得られたガスバリア層のthrough入射散乱プロファイルのピーク位置から、ドメイン間距離dIPを求めた。これを任意の5点で求め、それらの平均値とした。
【0094】
また、dNDの測定は、ガスバリア性フィルムの向きを揃えて5mm×15mmに切り出し、厚さ4〜5mm(ここでは200枚)に重ね、金属製の冶具で挟んでフィルムを平滑に固定し、フィルム面(フィルム試料の長辺)が小角X線散乱装置のスリットと平行になるように取付け、フィルム面(フィルム試料の短辺)に平行にX線を入射(edge入射)して小角X線散乱INDを測定した。また、基材層(または、基材層と同等の厚みの同材質の)熱可塑性樹脂フィルムを同様に、同じ枚数(ここでは200枚)を重ねて小角X線散乱IND0を測定した。IIPから(基材フィルムの厚さ/ガスバリア性フィルムの厚さ)×IIP0を差引いて得られたガスバリア層のedge入射散乱プロファイルのピーク位置から、ドメイン間距離dNDを求めた。これを任意の5点で求め、それらの平均値とした。
【0095】
(6)平均粒子径測定
堀場製作所製レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所(株)製、LA−920)を用い、相対屈折率1.20、フローセル方法にてメジアン径を測定し平均粒子径とした。
【0096】
実施例1
水70重量部:エタノール30重量部の混合溶媒に、平均重合度1700・鹸化率98%以上のポリビニルアルコールを濃度が6.7重量%となるように70℃にて溶解させ、ポリビニルアルコールの6.7重量%溶液(A液と略記)を得た。
【0097】
水70重量部:エタノール30重量部の混合溶媒に、層状珪酸塩としてモンモリロナイト(クニミネ工業(株)製、クニピアG)を濃度が3.3重量%となるように加え、60℃にて攪拌しながら分散させ、層状珪酸塩の3.3重量%分散溶液(B液と略記)を得た。
【0098】
上記A液とB液を重量比1/1の割合で混合した溶液を衝突型高圧分散装置((株)スギノマシン製、HJP−25030)により微分散化処理を施し、ポリビニルアルコール3.3重量%・層状珪酸塩1.7重量%の微分散溶液を得た。その平均粒子径は1.45μmであった。該微分散溶液にビーズ状の水素イオン化した強酸性イオン交換樹脂を加え、pH=3.0に調整した。
【0099】
該pH調整した微分散溶液にテトラエトキシシランをポリビニルアルコール100重量部に対し、珪素アルコキシド由来の珪素量(SiO2換算)で150重量部となるよう加え、室温下、約2時間攪拌しテトラエトキシシランの加水分解を行った。その後、イオン交換樹脂や埃等の異物をろ過により除去して、ガスバリアコート剤を得た。得られたガスバリアコート剤のpHは3.0であった。
【0100】
厚み20μmのコロナ放電処理した二軸延伸ポリプロピレンフィルムのコロナ放電処理面に、アンカーコート剤(東洋モートン(株)製、AD335AE/CAT10L=10重量部/1.4重量部を、酢酸エチル/トルエン=1重量部/1重量部の混合溶剤にて、不揮発分が6重量%となるよう調整)をアンカーコート層の乾燥重量が0.3g/m2となるようコーティングし、100℃で熱風乾燥してアンカーコート剤を塗工した二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
【0101】
該アンカーコート剤を塗工した二軸延伸ポリプロピレンフィルムのアンカーコート層上へ、上記で得られたガスバリアコート剤を、乾燥後のガスバリア層厚みが2.0μmになるようにコーティングし、100℃で熱風乾燥した。次いで、得られたコートフィルムを相対湿度80%RHで、40℃×4日間のエージング処理を施し、ガスバリア性フィルムを得た。
【0102】
得られたガスバリア性フィルムの物性の測定結果を表1に示した。
【0103】
実施例2
実施例1においてpH調整した微分散溶液にテトラエトキシシランをポリビニルアルコール100重量部に対し、珪素アルコキシド由来の珪素量(SiO2換算)で230重量部となるよう加えた以外は、実施例1と同様にしてガスバリアコート剤を得た。得られたガスバリアコート剤のpHは3.0であった。実施例1と同様にしてコートフィルムを得た後、該コートフィルムを相対湿度80%RHで、40℃×4日間のエージング処理を施し、ガスバリア性フィルムを得た。
【0104】
得られたガスバリア性フィルムの物性の測定結果を表1に示した。
【0105】
実施例3
実施例1においてpH調整した微分散溶液にテトラエトキシシランをポリビニルアルコール100重量部に対し、珪素アルコキシド由来の珪素量(SiO2換算)で150重量部となるよう加え、室温下、約20時間攪拌しテトラエトキシシランの加水分解を行った以外は、実施例1と同様にしてガスバリアコート剤及びガスバリア性フィルムを得た。得られたガスバリアコート剤のpHは3.0であった。
【0106】
得られたガスバリア性フィルムの物性の測定結果を表1に示した。
【0107】
実施例4
実施例1においてpH調整した微分散溶液にテトラエトキシシランをポリビニルアルコール100重量部に対し、珪素アルコキシド由来の珪素量(SiO2換算)で150重量部となるよう加え、室温下、約12時間攪拌しテトラエトキシシランの加水分解を行った以外は、実施例1と同様にしてガスバリアコート剤を得た。得られたガスバリアコート剤のpHは3.0であった。
得られたガスバリアコート剤を用い、実施例1と同様にしてコートフィルムを得た後、該コートフィルムを相対湿度50%RHで、40℃×4日間のエージング処理を施し、ガスバリア性フィルムを得た。
【0108】
得られたガスバリア性フィルムの物性の測定結果を表1に示した。
【0109】
実施例5
実施例1においてポリビニルアルコール・層状珪酸塩の微分散溶液に平均分子量400万のポリエチレングリコールをポリビニルアルコール100重量部に対し1重量部加えた以外は、実施例1と同様にしてガスバリアコート剤及びガスバリア性フィルムを得た。得られたガスバリアコート剤のpHは3.0であった。
【0110】
得られたガスバリア性フィルムの物性の測定結果を表1に示した。
【0111】
実施例6
実施例1において得たポリビニルアルコール3.3重量%・層状珪酸塩1.7重量%の微分散溶液にビーズ状の水素イオン化した強酸性イオン交換樹脂を加え、pH=2.4に調整した微分散溶液を得た。
【0112】
該pH調整した微分酸溶液にテトラエトキシシランをポリビニルアルコール100重量部に対し、珪素アルコキシド由来の珪素量(SiO2換算)で180重量部となるよう加え、室温下、約2時間攪拌しテトラエトキシシランの加水分解を行った。その後、イオン交換樹脂や埃等の異物をろ過により除去して、ガスバリアコート剤を得た。得られたガスバリアコート剤のpHは2.5であった。
【0113】
実施例1と同様にして得たアンカーコート剤を塗工した二軸延伸ポリプロピレンフィルムのアンカーコート層上へ、上記で得られたガスバリアコート剤を、乾燥後のガスバリア層厚みが0.5μmになるようにコーティングし、100℃で熱風乾燥した。次いで、得られたコートフィルムを相対湿度80%RHで、40℃×4日間のエージング処理を施し、ガスバリア性フィルムを得た。
【0114】
得られたガスバリア性フィルムの物性の測定結果を表1に示した。
【0115】
実施例7
実施例1で得られたA液とB液を重量比1/1の割合で混合し、衝突型高圧分散装置((株)スギノマシン製、HJP−25030)により微分散化処理を施し、ポリビニルアルコール3.3重量%・層状珪酸塩1.7重量%の微分散溶液を得た。その平均粒子径は0.64μmであった。該微分散溶液にビーズ状の水素イオン化した強酸性イオン交換樹脂を加え、pH=2.4に調整した。
【0116】
該pH調整した微分酸溶液にテトラエトキシシランをポリビニルアルコール100重量部に対し、珪素アルコキシド由来の珪素量(SiO2換算)で180重量部となるよう加え、室温下、約2時間攪拌しテトラエトキシシランの加水分解を行った。その後、イオン交換樹脂や埃等の異物をろ過により除去して、ガスバリアコート剤を得た。得られたガスバリアコート剤のpHは2.5であった。
【0117】
実施例1と同様にして得たアンカーコート剤を塗工した二軸延伸ポリプロピレンフィルムのアンカーコート層上へ、上記で得られたガスバリアコート剤を、乾燥後のガスバリア層厚みが1.0μmになるようにコーティングし、100℃で熱風乾燥した。次いで、得られたコートフィルムを相対湿度40%RHで、50℃×4日間のエージング処理を施し、ガスバリア性フィルムを得た。
【0118】
得られたガスバリア性フィルムの物性の測定結果を表1に示した。
【0119】
実施例8
実施例7と同様にしてガスバリアコート剤を得た。実施例1と同様にして得たアンカーコート剤を塗工した二軸延伸ポリプロピレンフィルムのアンカーコート層上へ、実施例7と同様にして得られたガスバリアコート剤を、乾燥後のガスバリア層厚みが0.5μmになるようにコーティングし、100℃で熱風乾燥した。次いで、得られたコートフィルムを相対湿度40%RHで、50℃×4日間のエージング処理を施し、ガスバリア性フィルムを得た。
【0120】
得られたガスバリア性フィルムの物性の測定結果を表1に示した。
【0121】
実施例9
厚み12μmのコロナ放電処理した二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのコロナ放電処理面に、アンカーコート剤(東洋モートン(株)製、AD335AE/CAT10L=10重量部/1重量部を、酢酸エチル/トルエン=1重量部/1重量部の混合溶剤にて、不揮発分が6重量%となるよう調整)をアンカーコート層の乾燥重量が0.3g/m2となるようコーティングし、100℃で熱風乾燥してアンカーコート剤を塗工した二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。
【0122】
該アンカーコート剤を塗工した二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのアンカーコート層へ、実施例1で得られたガスバリアコート剤を、乾燥後のガスバリア層厚みが2.0μmになるようにコーティングし、100℃で熱風乾燥して、コートフィルムを得た。
【0123】
次いで、得られたコートフィルムを相対湿度80%RHで、40℃×4日間のエージング処理を施し、ガスバリア性フィルムを得た。
【0124】
得られたガスバリア性フィルムの物性の測定結果を表1に示した。
【0125】
実施例10
厚み15μmのコロナ放電処理した二軸延伸ナイロンフィルムのコロナ放電処理面に、アンカーコート剤(三井武田ケミカル(株)製、A3210/A3070=3重量部/1重量部を、酢酸エチルにて、不揮発分が6重量%となるよう調整)をアンカーコート層の乾燥重量が0.3g/m2となるようコーティングし、100℃で熱風乾燥してアンカーコート剤を塗工した二軸延伸ナイロンフィルムを得た。
【0126】
該アンカーコート剤を塗工した二軸延伸ナイロンフィルムのアンカーコート層へ、実施例1で得られたガスバリアコート剤を、乾燥後のガスバリア層厚みが2.0μmになるようにコーティングし、100℃で熱風乾燥して、コートフィルムを得た。
【0127】
次いで、得られたコートフィルムを相対湿度80%RHで、40℃×4日間のエージング処理を施し、ガスバリア性フィルムを得た。
【0128】
得られたガスバリア性フィルムの物性の測定結果を表1に示した。
【0129】
比較例1
実施例3で得られたガスバリアコート剤を室温下、8日間保管した。該ガスバリアコート剤を用い、実施例3と同様にしてガスバリア性フィルムを得た。
【0130】
得られたガスバリア性フィルムの物性の測定結果を表1に示した。
【0131】
比較例2
実施例4で得られたガスバリアコート剤を室温下、8日間保管した。該ガスバリアコート剤を用い、実施例4と同様にしてガスバリア性フィルムを得た。
【0132】
得られたガスバリア性フィルムの物性の測定結果を表1に示した。
【0133】
比較例3
テトラエトキシシラン100重量部に1N−塩酸40重量部を加え、室温下攪拌し、テトラエトキシシランを加水分解させ、テトラエトキシシラン加水分解溶液を得た。実施例1で得られたポリビニルアルコールおよび層状珪酸塩を含む微分酸溶液に該テトラエトキシシラン加水分解溶液をポリビニルアルコール100重量部に対し、珪素アルコキシド由来の珪素量(SiO2換算)で127重量部となるよう加えて、ポリビニルアルコール、層状珪酸塩およびテトラエトキシシラン加水分解物からなる混合溶液を得た。該混合溶液を用い、実施例1と同じアンカーコート剤を塗工した二軸延伸ポリプロピレンフィルムのアンカーコート層へ、乾燥後のガスバリア層厚みが2.0μmとなるようにコーティングし、120℃で熱風乾燥した他は、実施例1と同様にしてガスバリア性フィルムを得た。
【0134】
得られたガスバリア性フィルムの物性の測定結果を表1に示した。
【0135】
比較例4
実施例1のA液にビーズ状の水素イオン化した強酸性イオン交換樹脂とテトラエトキシシランをポリビニルアルコール100重量部に対し、珪素アルコキシド由来の珪素量(SiO2換算)で127重量部となるよう加え、室温下、テトラエトキシシランの加水分解が進行して均一相になるまで攪拌した。その後、イオン交換樹脂や埃等の異物をろ過により除去して、ガスバリアコート剤を得た。得られたガスバリアコート剤は、透明な液体でpHは4.2であった。該ガスバリアコート剤を用い、実施例1と同じアンカーコート剤を塗工した二軸延伸ポリプロピレンフィルムのアンカーコート層へ、乾燥後のガスバリア層厚みが2.0μmとなるようにコーティングし、120℃で熱風乾燥した他は、実施例1と同様にしてガスバリア性フィルムを得た。
【0136】
得られたガスバリア性フィルムの物性の測定結果を表1に示した。なお、小角X線散乱によるドメイン間距離の測定において、ガスバリア層のフィルム面に垂直な方向には、散乱ピークは観測されなかった。
【0137】
比較例5
実施例1で得られたポリビニルアルコールおよび層状珪酸塩を含む微分散溶液を、実施例1と同じアンカーコート剤を塗工した二軸延伸ポリプロピレンフィルムのアンカーコート層へ、乾燥後のガスバリア層厚みが2.0μmとなるようにコーティングし、120℃で熱風乾燥した他は、実施例1と同様にしてガスバリア性フィルムを得た。
【0138】
得られたガスバリア性フィルムの物性の測定結果を表1に示した。なお、小角X線散乱によるドメイン間距離の測定において、ガスバリア層のフィルム面に垂直な方向には、FE−TEMで観察される層状珪酸塩の層間距離に対応する散乱ピーク(13.6nm)が観測された。また、ガスバリア層のフィルム面内方向には、散乱ピークは観測されなかった。
【0139】
【表1】
【0140】
実施例11
実施例1で得られたガスバリア性フィルムのガスバリア層に、ドライラミネート用接着剤(東洋モートン(株)製、TM329/CAT−8B=1重量部/1重量部を、酢酸エチル溶剤にて、不揮発分が10重量%となるよう調整)を乾燥重量が2g/m2となるようにコーティングし、90℃で2分間乾燥させた後、該ドライラミネート用接着剤面に、40μmの無延伸ポリエチレンフィルムをラミネートして無延伸ポリエチレンフィルムを積層したガスバリア性フィルムを得た。
【0141】
得られたガスバリア性フィルムの物性の測定結果を表2に示した。
【0142】
実施例12
実施例2で得られたガスバリア性フィルムを用いた以外は実施例11と同様にして無延伸ポリエチレンフィルムを積層したガスバリア性フィルムを得た。
【0143】
得られたガスバリア性フィルムの物性の測定結果を表2に示した。
【0144】
実施例13
実施例3で得られたガスバリア性フィルムを用いた以外は実施例11と同様にして無延伸ポリエチレンフィルムを積層したガスバリア性フィルムを得た。
【0145】
得られたガスバリア性フィルムの物性の測定結果を表2に示した。
【0146】
実施例14
実施例4で得られたガスバリア性フィルムを用いた以外は実施例11と同様にして無延伸ポリエチレンフィルムを積層したガスバリア性フィルムを得た。
【0147】
得られたガスバリア性フィルムの物性の測定結果を表2に示した。
【0148】
実施例15
実施例5で得られたガスバリア性フィルムを用いた以外は実施例11と同様にして無延伸ポリエチレンフィルムを積層したガスバリア性フィルムを得た。
【0149】
得られたガスバリア性フィルムの物性の測定結果を表2に示した。
【0150】
実施例16
実施例6で得られたガスバリア性フィルムを用いた以外は実施例11と同様にして無延伸ポリエチレンフィルムを積層したガスバリア性フィルムを得た。
【0151】
得られたガスバリア性フィルムの物性の測定結果を表2に示した。
【0152】
実施例17
実施例7で得られたガスバリア性フィルムを用いた以外は実施例11と同様にして無延伸ポリエチレンフィルムを積層したガスバリア性フィルムを得た。
【0153】
得られたガスバリア性フィルムの物性の測定結果を表2に示した。
【0154】
実施例18
実施例8で得られたガスバリア性フィルムを用いた以外は実施例11と同様にして無延伸ポリエチレンフィルムを積層したガスバリア性フィルムを得た。
【0155】
得られたガスバリア性フィルムの物性の測定結果を表2に示した。
【0156】
実施例19
実施例9で得られたガスバリア性フィルムを用いた以外は実施例11と同様にして無延伸ポリエチレンフィルムを積層したガスバリア性フィルムを得た。
【0157】
得られたガスバリア性フィルムの物性の測定結果を表2に示した。
【0158】
実施例20
実施例10で得られたガスバリア性フィルムを用いた以外は実施例11と同様にして無延伸ポリエチレンフィルムを積層したガスバリア性フィルムを得た。
【0159】
得られたガスバリア性フィルムの物性の測定結果を表2に示した。
【0160】
比較例6
比較例1で得られたガスバリア性フィルムを用いた以外は実施例11と同様にして無延伸ポリエチレンフィルムを積層したガスバリア性フィルムを得た。
【0161】
得られたガスバリア性フィルムの物性の測定結果を表2に示した。
【0162】
比較例7
比較例2で得られたガスバリア性フィルムを用いた以外は実施例11と同様にして無延伸ポリエチレンフィルムを積層したガスバリア性フィルムを得た。
【0163】
得られたガスバリア性フィルムの物性の測定結果を表2に示した。
【0164】
比較例8
比較例3で得られたガスバリア性フィルムを用いた以外は実施例11と同様にして無延伸ポリエチレンフィルムを積層したガスバリア性フィルムを得た。
【0165】
得られたガスバリア性フィルムの物性の測定結果を表2に示した。
【0166】
比較例9
比較例4で得られたガスバリア性フィルムを用いた以外は実施例11と同様にして無延伸ポリエチレンフィルムを積層したガスバリア性フィルムを得た。
【0167】
得られたガスバリア性フィルムの物性の測定結果を表2に示した。なお、小角X線散乱によるドメイン間距離の測定において、ガスバリア層のフィルム面に垂直な方向には、散乱ピークは観測されなかった。
【0168】
比較例10
比較例5で得られたガスバリア性フィルムを用いた以外は実施例11と同様にして無延伸ポリエチレンフィルムを積層したガスバリア性フィルムを得た。
【0169】
得られたガスバリア性フィルムの物性の測定結果を表2に示した。なお、小角X線散乱によるドメイン間距離の測定において、ガスバリア層のフィルム面に垂直な方向には、FE−TEMで観察される層状珪酸塩の層間距離に対応する散乱ピーク(13.6nm)が観測された。また、ガスバリア層のフィルム面内方向には、散乱ピークは観測されなかった。
【0170】
【表2】
Claims (4)
- 熱可塑性樹脂フィルムよりなる基材層と珪素アルコキシドの加水分解物、層状珪酸塩及びポリビニルアルコール系樹脂よりなるガスバリア層とを有する積層体であって、小角X線散乱により測定したガスバリア層中のフィルム面に垂直な方向のドメイン間距離dNDが6.8nm以下であることを特徴とするガスバリア性フィルム。
- 小角X線散乱により測定したガスバリア層中のフィルム面内方向におけるドメイン間距離dIPとフィルム面に垂直な方向のドメイン間距離dNDとの比dIP/dNDが0.9以上であることを特徴とする請求項1記載のガスバリア性フィルム。
- ガスバリア層がアンカーコート層を介して基材層と積層された請求項1又は2に記載のガスバリア性フィルム。
- ガスバリア層の基材層が積層される面と反対面側に、該基材層を構成する熱可塑性樹脂より低融点の熱可塑性樹脂よりなるシール層を有する請求項1〜3のいずれかに記載のガスバリア性フィルム。
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