JP2001138457A - 積層体 - Google Patents

積層体

Info

Publication number
JP2001138457A
JP2001138457A JP36549099A JP36549099A JP2001138457A JP 2001138457 A JP2001138457 A JP 2001138457A JP 36549099 A JP36549099 A JP 36549099A JP 36549099 A JP36549099 A JP 36549099A JP 2001138457 A JP2001138457 A JP 2001138457A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
layer
laminate
water
soluble polymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP36549099A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoji Inui
洋治 乾
Hideki Umekawa
秀喜 梅川
Yuzo Sugita
裕三 杉田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokuyama Corp
Original Assignee
Tokuyama Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokuyama Corp filed Critical Tokuyama Corp
Priority to JP36549099A priority Critical patent/JP2001138457A/ja
Publication of JP2001138457A publication Critical patent/JP2001138457A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Treatments Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】基材フィルムに水溶性高分子を含む組成物より
なる樹脂層を、アンカーコート等の接着層を用いないで
も強固な接着性で積層でき、さらにシーラント等を積層
した際、比較的高いヒートシール強度が要求される用途
においても、充分な層間接着性を有する積層体を提供す
ること。 【解決手段】少なくとも一方の表層が酸変性ポリオレフ
ィン層からなる熱可塑性樹脂フィルムと、水溶性高分子
を含む組成物よりなる樹脂層とからなる積層体であっ
て、該酸変性ポリオレフィン層表層に、フレームプラズ
マ処理、および/または、窒素および/または二酸化炭
素の雰囲気下でのコロナ放電処理による表面処理がされ
てなり、かつ、該表面処理面に前記水溶性高分子を含む
組成物よりなる樹脂層が積層されてなる積層体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、包装用フィルムに
関するものであり、詳しくはガスバリアフィルムとして
好適であり、層間接着性に優れた積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレンフィルムやPETフィル
ム等の熱可塑性樹脂フィルムは、良好な加工適性、優れ
た機械強度、透明性、製袋性等の二次加工性等により、
包装用フィルムとして汎用されている。
【0003】さらに、ガスバリア性(特に湿度依存性の
低い酸素バリア性)機能を付与させる目的で、これら熱
可塑性樹脂フィルムの表面に、塩化ビニリデン系樹脂か
らなる層や、無機物質とポリビニルアルコール系樹脂と
の高分子ガスバリア層を積層することが行われている。
【0004】上記した積層をおこなう際、特にポリプロ
ピレンフィルム等の表面極性の低い熱可塑性樹脂フィル
ムにおいては、熱可塑性樹脂フイルム/高分子ガスバリ
ア層間の接着性が不足しているという問題のため、従来
は、上記接着性を改善するために、コストアップにつな
がるにも関わらず、アンカーコート剤等による接着層が
一般的に設けられていた。
【0005】上記した問題を解決する手段として、特開
昭55−133959号公報には、火炎処理(以下、フ
レームプラズマ処理ともいう)を施したポリプロピレン
フィルムの表面処理面にアイオノマー系ポリオレフィン
コポリマーを積層した後、さらにポリ塩化ビニリデンラ
テックス等のガスバリア機能を有する層を積層する方法
が、開示されている、また、特開平9−111017号
公報には、熱可塑性樹脂基材フィルムの表面に、実質的
に窒素ガス雰囲気下または窒素/炭酸ガス雰囲気下でコ
ロナ放電処理を施し、該表面処理面に水溶性高分子及び
無機系層状化合物を主たる構成成分とした塗膜を形成し
た積層フィルムが開示されている。
【0006】しかしながら、特開昭55−133959
号公報に記載の方法は、実質的に接着層を必要とする方
法であり、接着層がない場合における高分子ガスバリア
層との接着性に関しては未だ改良の余地がある。
【0007】また、特開平9−111017号公報に記
載の方法では、比較的高いシール強度が要求される用途
における、アンカーコート層等の接着層を用いない場合
の基材フィルム/高分子ガスバリア層間の接着性に関し
ては未だ充分でなく、改良の余地がある。
【0008】さらに、水溶性高分子を主成分とした樹脂
層を積層する方法として、一般にオフラインでのコート
方法が多用されるため、基材フィルムは、ブロッキング
等の少ないハンドリング性の良好な特性が要求されてい
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、高分子ガスバリ層である水溶性高分子を含む組
成物よりなる樹脂層を基材フィルムに積層する場合にお
いて、アンカーコート等の接着層を用いないでも強固な
接着性で積層でき、比較的高いヒートシール強度が要求
される用途においても、充分な層間接着性を有する積層
体を提供すること、さらには該積層体の製造過程におい
て、表面処理された基材フィルムのブロッキング等が少
なく、生産性の良好な、積層体を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく、基材フィルムと水溶性高分子を含む組成
物よりなる樹脂層との強固な接着性を得るために、鋭意
研究を重ねてきた。
【0011】その結果、特定のフレームプラズマ処理お
よび/またはコロナ放電処理を施した酸変性ポリオレフ
ィン層の該処理面に、水溶性高分子を含む組成物よりな
る樹脂層を積層することにより、上記課題が解決できる
ことを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0012】即ち、本発明は、少なくとも一方の表層が
酸変性ポリオレフィン層からなる熱可塑性樹脂フィルム
と、水溶性高分子を含む組成物よりなる樹脂層とからな
る積層体であって、該酸変性ポリオレフィン層表面に、
(a)フレームプラズマ処理、および/または(b)窒
素および/または二酸化炭素の雰囲気下でのコロナ放電
処理がされてなり、かつ、該表面処理面に前記水溶性高
分子を含む組成物よりなる樹脂層が積層されてなる積層
体である。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明で使用される熱可塑性樹脂
フィルムは、少なくとも片面が酸変性ポリオレフィン層
であれば特に制限されず、単層フィルムであっても多層
フィルムであってもよい。
【0014】上記単層フィルムの場合は、上記酸変性ポ
リオレフィン層のみで構成される。また、上記多層フィ
ルムの場合は、本発明の効果を勘案すると、酸変性ポリ
オレフィン層/熱可塑性樹脂層、酸変性ポリオレフィン
層/熱可塑性樹脂層/酸変性ポリオレフィン層等の、酸
変性ポリオレフィン層と熱可塑性樹脂層との構成である
ことが好ましい。
【0015】上記多層フィルム中の酸変性ポリオレフィ
ン層の厚み構成比は、特に制限されないが、接着性、加
工性、コスト等を勘案すると、1〜50%の範囲から適
宜選択され、5〜30%であることが好ましい。
【0016】上記した中でも、得られる積層体の機械的
性質や二次加工性等を勘案すると、多層フィルムである
ことが好ましい。
【0017】上記酸変性ポリオレフィン層で用いられる
樹脂としては、接着性等を勘案すると、総量で、不飽和
有機酸無水物に由来する単量体単位が0.01〜15重
量%、より好ましくは0.1〜10重量%含んでいれ
ば、酸変性ポリオレフィン樹脂単独であっても、酸変性
ポリオレフィン樹脂とポリオレフィン樹脂との混合物で
あってもよい。上記不飽和有機酸無水物に由来する単量
体単位が0.01重量%より少ない場合は、接着性が低
下するために好ましくなく、10重量%より多い場合は
透明性が低下するために好ましくない。
【0018】上記酸変性ポリオレフィン樹脂は、下記に
示す不飽和有機酸無水物、あるいは不飽和有機酸無水物
およびその誘導体を、共重合あるいはグラフト変性した
ポリオレフィンが好適であり、具体的には、不飽和有機
酸無水物、あるいは不飽和有機酸無水物およびその誘導
体で変性された、酸変性ポリプロピレン、酸変性ポリエ
チレン、酸変性エチレン−プロピレン共重合体、酸変性
エチレン−酢酸ビニル共重合体、酸変性エチレン−ブテ
ン共重合体、酸変性プロピレン−ブテン共重合体等が挙
げられる。その中でも、透明性、耐熱性等を勘案すると
不飽和有機酸無水物、あるいは不飽和有機酸無水物およ
びその誘導体で変性された、酸変性ポリプロピレンが好
ましい。
【0019】上記酸変性ポリオレフィン樹脂のメルトフ
ローレート(以下、MFRという)は、特に制限されな
いが、表面への極性基の移行、加工性等を勘案すると、
0.1〜150g/10分の範囲から適宜選択され、5
〜100g/10分であることが好ましい。
【0020】上記不飽和有機酸無水物としては、具体的
には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル
酸、イタコン酸、シトラコン酸等の酸無水物が挙げら
れ、また、上記酸無水物とジオール、アミノアルコー
ル、ジアミン等より得られる酸無水物誘導体が含まれて
いてもよい。上記ジオール、アミノアルコール、ジアミ
ン等は特に制限されないが、エチレンクリコール、プロ
ピレングリコール等のジオール、アミノエタノール、ア
ミノブタノール等のアミノアルコール、エチレンジアミ
ン、ジアミノブタン等のジアミン、等が挙げられる。
【0021】本発明で用いられる酸変性ポリオレフィン
層において、上記酸変性ポリオレフィン樹脂と混合され
るポリオレフィン樹脂としては、ポリプロピレン、ポリ
エチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体等のポリ
オレフィンが特に制限されず使用できるが、これらの中
で、透明性、耐熱性等を勘案すると、ポリプロピレン単
独重合体、エチレンに由来する単量体単位を0.1〜1
5モル%含むエチレン−プロピレンランダム共重合体、
エチレンおよび1−ブテンに由来する単量体単位を1〜
15モル%含むエチレン−プロピレン−1−ブテンラン
ダム共重合体が好ましい。
【0022】上記ポリオレフィン樹脂のMFRは、押出
加工性等を勘案すると、0.1〜20g/10分の範囲
から適宜選択され、1〜10g/分であることが好まし
い。
【0023】上記熱可塑性樹脂層としては、特に制限な
く公知のものが使用できる。上記熱可塑性樹脂層の原料
樹脂である熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリ
プロピレン等のオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフ
タレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン
−2,6−ナフタレート等のポリエステル系樹脂;ナイ
ロン6、ナイロン12等のポリアミド系樹脂、ポリ塩化
ビニル、エチレン酢酸ビニル共重合体またはそのけん化
物、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリスルホン、
ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンサルファイ
ド、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミ
ド、セルロース、酢酸セルロース、ポリ塩化ビニリデ
ン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール等、
およびこれらの共重合体が挙げられる。
【0024】これらの中で、透明性、二次加工性等を勘
案すると、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレ
フィン系樹脂もしくはポリエチレンテレフタレート、ポ
リブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナ
フタレート等のポリエステル系樹脂が好ましく、さらに
防湿性を勘案するとポリエチレン、ポリプロピレン等の
オレフィン系樹脂がより好ましく、ポリプロピレンが特
に好ましい。
【0025】上記ポリプロピレンとしては、プロピレン
単独重合体、プロピレンとプロピレン以外のエチレン、
1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル
−1−ペンテン等のα−オレフィンとのランダムまたは
ブロック共重合体、さらにこれら重合体の混合物が挙げ
られ、その中でも、プロピレン単独重合体、プロピレン
−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−
1−ブテンランダム三元共重合体が好適である。
【0026】また、上記ポリプロピレンの製造方法は、
公知の方法が何ら制限なく使用でき、例えば、TiCl3
担持型TiCl3、メタロセン系触媒等の公知のポリプ
ロピレン用重合触媒を用いて、上記した単量体を重合す
る方法が挙げられる。また、上記触媒を用いて重合した
後、過酸化物などで分解する方法を行っても良い。
【0027】上記ポリプロピレンの示差走査熱測定(以
下、DSCと記す)におけるピークトップの測定値は、
フィルムの耐熱性を勘案すると、130〜165℃であ
ることが好ましく、135〜165℃であることがより
好ましい。また、上記ポリプロピレンのMFRは、押出
加工性を勘案すると、0.1〜10g/10分であるこ
とが好ましく、0.5〜5g/10分であることがより
好ましい。
【0028】また、上記ポリプロピレンには、本発明の
効果を阻害しない程度、他の樹脂を混合することができ
る。混合する樹脂としては、特に制限されないが、一般
的にはエチレン、ブテン等の単独重合体および共重合体
等のポリオレフィン樹脂、ポリオレフィン系ワックス、
ポリオレフィン系エラストマー、または石油樹脂、テル
ペン樹脂等の炭化水素系樹脂、エチレンと酢酸ビニル、
アクリル酸エステル、アクリル酸モノマーとの共重合
体、またはこれらの重合体の2種以上の混合物を挙げる
ことができる。
【0029】また、上記熱可塑性樹脂フィルムの厚み
は、特に制限されないが、一般的には10〜500μm
の範囲で適宜選択される。
【0030】本発明で使用される熱可塑性樹脂フィルム
は、未延伸、一軸延伸、二軸延伸のいずれでも良いが、
機械的性質、二次加工性等を勘案すると、二軸延伸層で
あることが好ましい。
【0031】上記熱可塑性樹脂フィルムの製造方法は、
公知の方法が制限なく使用できる。具体的には、熱可塑
性樹脂を溶融押出後、冷却して未延伸フィルムを得るT
ダイ法やチューブラー法が挙げられる。また、機械物性
等を勘案すると、さらに延伸して延伸フィルムとする方
法が好ましい。上記延伸方法としては、縦または横一軸
延伸法、縦横逐次二軸延伸法、同時二軸延伸法、圧延
法、カレンダー成形により製膜したシートを引き続き少
なくとも一方向に延伸する方法等が挙げられる。これら
の延伸方法の中で、厚薄精度や機械物性等を勘案する
と、縦横逐次二軸延伸法、テンター法同時二軸延伸法が
好ましい。
【0032】熱可塑性樹脂フィルムが多層フィルムであ
る場合の積層方法は、公知の方法が制限なく使用でき
る。具体的には、共押出、押出ラミネート、ドライラミ
ネート等が挙げられる。これらの中で接着剤を使用しな
いこと、および生産性を勘案すると、共押出、押出ラミ
ネートがより好ましく、熱可塑性樹脂と酸変性ポリオレ
フィン樹脂との共押出、熱可塑性樹脂層上に酸変性ポリ
オレフィン樹脂を押出ラミネートする方法がさらに好ま
しい。
【0033】本発明において、上記熱可塑性樹脂層に、
ポリプロピレンが用いられる場合、該ポリプロピレン層
は、単層フィルムでも積層フィルムでもよい。
【0034】具体的に例示すると、プロピレン単独重合
体を主成分とした単層、プロピレン単独重合体を主成分
とした層と、プロピレンとプロピレン以外のα−オレフ
ィンとのランダム共重合体を主成分とした層との積層等
が挙げられる。
【0035】本発明で使用される熱可塑性樹脂フィルム
には、必要に応じて帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッ
キング剤、酸化防止剤、光安定剤、結晶核剤、滑剤、滑
り性付与およびアンチブロッキング性付与を目的とした
界面活性剤等の公知の添加剤を、本発明の効果を阻害し
ない程度配合しても良い。
【0036】本発明において重要な点は、上記した熱可
塑性樹脂フィルムの少なくとも片面の酸変性ポリオレフ
ィン層側表面に、以下に示す、(a)フレームプラズマ
処理、および/または(b)窒素および/または二酸化
炭素の雰囲気下でのコロナ放電処理を行なう点にある。
【0037】本発明において、上記処理の態様は特に制
限されず、片面のみ酸変性ポリオレフィン層からなる熱
可塑性樹脂フィルムの場合、該片面に表面処理をおこな
えばよく、両面とも酸変性ポリオレフィン層からなる熱
可塑性樹脂フィルムの場合、片面もしくは両面に表面処
理をおこなえばよい。
【0038】上記した熱可塑性樹脂フィルムに施す
(a)フレームプラズマ処理は、天然ガス、LPG、プ
ロパンガス、ブタンガス等をバーナー等により燃焼させ
た時に生じる火炎内のイオン化したプラズマを、熱可塑
性樹脂フィルムの表面に吹き付ける処理である。
【0039】上記、フレームプラズマ処理における処理
強度は、処理される熱可塑性樹脂フィルムによって多少
異なるが、一般的には1〜15kcal/m2の範囲か
ら適宜選択され、2〜10kcal/m2であることが
好ましい。
【0040】すなわち、処理強度が1kcal/m2
り低い場合は、高分子ガスバリア層と熱可塑性樹脂フイ
ルムとの接着性が低下するために好ましくなく、15k
cal/m2より高い場合は、熱可塑性樹脂フィルム
が、熱収縮等によるシワの発生や、冷却不良が原因と考
えられる端部が熱収縮により厚くなる現象(以下、耳立
ち現象という)が発生し易くなるために好ましくない。
【0041】尚、上記処理強度は、単位時間(mi
n)、単位バーナー長さ(m)当たりのバーナー出力
(kcal/m・min)により表される火炎のエネル
ギー、フィルム走行速度(m/min)、フィルム幅
(m)、該フィルムの処理に使用したバーナー長さ(フ
ィルム幅と同じ長さ)(m)から、下記式(1)により
算出される。
【0042】
【数1】 上記フレームプラズマ処理において、フレームの内炎の
先端から被処理物である熱可塑性樹脂フィルム表面との
距離は、処理レベルの安定性等を勘案すると、1〜5m
mであることが好ましく、1〜3mmであることがより
好ましい。また、フレームプラズマ処理は、フィルムの
片面に冷却ロールを接触させた状態で、該フィルムの反
対面に、フィルムが走行状態でフレームプラズマを吹き
付ける方法が一般的である。その際の冷却ロールの温度
としては、室温〜60℃の範囲から適宜選択され、30
〜45℃であることが好ましい。
【0043】上記フレームプラズマ処理した熱可塑性樹
脂フィルム処理面における濡れ指数は、35〜65mN
/mであることが好ましく、40〜60mN/mである
ことがより好ましく、45〜60mN/mであることが
さらに好ましい。
【0044】濡れ指数が35mN/mより小さい場合
は、高分子ガスバリア層との接着性が低下するために好
ましくなく、65mN/mより大きい場合は、フィルム
の熱収縮によるシワが発生するためや、基材フィルム同
士のブロッキングが発生するために好ましくない。
【0045】フレームプラズマ処理された熱可塑性樹脂
フィルムの処理面の表面粗さ(Ra値)は、接着性を勘
案すると、0.5〜100nmであることが好ましく、
1〜80nmであることがより好ましく、2〜50nm
であることがさらに好ましい。
【0046】一方、上記した熱可塑性樹脂フィルムに施
す(b)窒素および/または二酸化炭素の雰囲気下での
コロナ放電処理は、処理時の雰囲気が窒素および/また
は炭酸ガス雰囲気であることが必要であり、経済性を勘
案すると窒素雰囲気であることが好ましい。
【0047】また、窒素および/または炭酸ガス雰囲気
下での酸素濃度は、熱可塑性樹脂フィルムと高分子ガス
バリア層との接着性を勘案すると、5容量%以下である
ことが好ましく、3容量%以下であることがより好まし
い。
【0048】本発明において、電圧×電流/(電極幅×
フィルム走行速度)(W・min/m2)によって算出
されるコロナ放電処理密度は、5〜100W・min/
2であることが好ましく、10〜70W・min/m2
であることがより好ましい。
【0049】すなわち、熱可塑性樹脂フィルム表面に対
する処理密度が5W・min/m2より低い場合は、接
着性が低下するために好ましくなく、100W・min
/m 2より高い場合は熱可塑性樹脂フィルム同士のブロ
ッキングが発生し、またフィルムの幅方向に対して処理
度の異なる処理ムラが発生するために好ましくない。
【0050】上記コロナ放電処理後の熱可塑性樹脂フィ
ルム処理面の濡れ指数は、40〜55mN/mであるこ
とが好ましく、45〜50mN/mであることがより好
ましい。濡れ指数が40mN/mより小さい場合は、接
着性が低下するために好ましくなく、55mN/mより
高い場合は熱可塑性樹脂フィルム同士のブロッキングが
発生し、またフィルムの幅方向に対して処理度の異なる
処理ムラが発生するために好ましくない。該処理ムラ
は、コート時のコートムラや接着強度ムラの要因となる
ために好ましくない。
【0051】上記した(a)フレームプラズマ処理、お
よび/または(b)窒素および/または二酸化炭素の雰
囲気下でのコロナ放電処理は、それぞれ単独で熱可塑性
樹脂フィルム表面を処理してもよいし、併用して処理し
てもよいが、処理の順序は、フレームプラズマ処理を最
後に施すことが好ましい。
【0052】また、本発明で用いられる熱可塑性樹脂フ
ィルムの表面処理は、本発明の効果を損なわない範囲
で、上記処理以外の他の表面処理を併用してもよい。具
体的には、励起不活性ガスによるプラズマ処理、電子線
照射処理、紫外線照射処理等が挙げられる。
【0053】本発明の積層体は、上記した熱可塑性樹脂
フィルムの表面処理を施した酸変性ポリオレフィン層
と、該処理面側に下記に示す水溶性高分子を含む組成物
よりなる樹脂層とを、積層することにより得られる。
【0054】上記水溶性高分子を含む組成物よりなる樹
脂層を例示すると、例えば、水溶性高分子のみからなる
層;水溶性高分子と、金属アルコキシド等をゾル−ゲル
法により重縮合して得られる酸化物ポリマーとよりな
り、必要に応じて、該水溶性高分子と酸化物ポリマーと
を縮合させてなる複合ポリマー層等が挙げられる。
【0055】そのうち、上記複合ポリマー層が、水溶性
高分子単独よりなる層に比べて、ガスバリア性が優れ、
ガスバリア性の湿度依存性が小さく、熱可塑性樹脂フィ
ルムとの接着性に優れるため、本発明において好適に使
用することができる。
【0056】上記複合ポリマー層のなかで好適な態様を
具体的に例示すると、(1)水溶性高分子と、金属アル
コキシドおよびケイ素アルコキシドよりなる群から選ば
れる少なくとも1種のアルコキシドの部分加水分解重縮
合物との混合物、(2)水溶性高分子と該部分加水分解
重縮合物との反応生成物、または(3)水溶性高分子、
該部分加水分解重縮合物および該反応生成物との混合物
等が挙げられる。
【0057】上記水溶性高分子としては、常温で水に完
全に溶解もしくは微分散可能な高分子であれば特に限定
なく、具体的に例示すると、ポリビニルアルコールおよ
びその誘導体;一酸化炭素−エチレン系共重合体からな
るポリケトンを還元して得たポリアルコール;カルボキ
シメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなど
のセルロース誘導体;酸化でんぷん、エーテル化でんぷ
ん、デキストリン等のでんぷん類;ポリビニルピロリド
ン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、またはそのエ
ステル、塩類およびそれらの共重合体等のビニル系共重
合体;あるいはこれらの各種重合体のカルボキシル基、
シリル基等による官能基変性重合体等が挙げられる。
【0058】これらの水溶性高分子の中で、ポリビニル
アルコール系重合体およびその誘導体が好ましく、さら
に、けん化度75モル%以上のポリビニルアルコール、
全水酸基の40モル%以下がアセタール化されているポ
リビニルアルコール、ビニルアルコール単位が60モル
%以上であるエチレン−ビニルアルコール共重合体(以
下、EvOHという)等の共重合ポリビニルアルコール
がより好ましい。
【0059】また、上記ポリビニルアルコール系重合体
およびその誘導体の重合度は、ガスバリア性や加工性を
勘案すると、100〜5,000であることが好まし
く、500〜3,000であることがより好ましい。
【0060】一方、複合ポリマー層の形成において使用
される前記金属アルコキシドおよびケイ素アルコキシド
は、ゾル−ゲル法により重縮合し、酸化金属化合物ポリ
マーまたは酸化ケイ素化合物ポリマー等の酸化物ポリマ
ーが形成可能であれば特に制限されない。具体的には、
テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチル
トリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、イソ
プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラ
ン等の酸化ケイ素形成可能なケイ素アルコキシド;テト
ラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、メチルトリ
メトキシチタン、テトラブトキシチタン、テトライソプ
ロポキシチタン、メチルトリイソプロポキシチタン等の
酸化チタン形成可能なチタンアルコキシド;テトラメト
キシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テト
ラブトキシジルコニウム、メチルトリメトキシジルコニ
ウム、メチルトリエトキシジルコニウム、メチルトリエ
トキシジルコニウム、メチルトリイソプロポキシジルコ
ニウム等の酸化ジルコニウム形成可能なジルコニウムア
ルコキシド;トリメトキシアルミニウム、トリエトキシ
アルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、メチ
ルジイソプロポキシアルミニウム等の酸化アルミニウム
形成可能なアルミニウムアルコキシド;テトラメトキシ
マグネシウム、テトラエトキシマグネシウム、テトライ
ソプロポキシマグネシウム等の酸化マグネシウム形成可
能なマグネシウムアルコキシド;グリシドキシメチルト
リメトキシシラン、2−グリシドキシエチルトリメトキ
シシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン、3−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、
(3,4−エポキシシクロへキシル)メチルトリプロポ
キシシラン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)
エチルトリメトキシラン、3−(3,4−エポキシシク
ロへキシル)プロピルトリメトキシシラン等のエポキシ
基を有するケイ素アルコキシド;アミノメチルトリエト
キシシラン、2−アミノエチルトリメトキシシラン、1
−アミノエチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピ
ルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキ
シシラン、N−アミノメチルアミノメチルトリメトキシ
シラン、N−アミノメチル−3−アミノプロピルトリメ
トキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノ
プロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチ
ル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等の
アミノ基を有するケイ素アルコキシド;ビニルトリメト
キシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、N−β−
(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロ
ピルトリメトキシシランまたはその塩酸塩等のビニル基
を有するケイ素アルコキシド;等の1種または2種以上
の混合物を挙げることができる。
【0061】上記金属アルコキシドおよびケイ素アルコ
キシドのうち、特に好適なものは、テトラメトキシシラ
ン、テトラエトキシシラン、テトラメトキシチタン、テ
トラエトキシチタン、テトラブトキシチタン、テトライ
ソプロポキシチタン、テトラメトキシジルコニウム、テ
トラエトキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウ
ム、トリメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニ
ウム、トリイソプロポキシアルミニウム、グリシドキシ
メチルトリメトキシシラン、2−グリシドキシエチルト
リメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメト
キシシラン、3−グリシドキシプロピルトリブトキシシ
ランである。
【0062】本発明において、複合ポリマー層を形成す
るための組成物は、上記水溶性高分子と上記金属アルコ
キシドおよび/またはケイ素アルコキシドとを適宜選択
して混合することにより得ることができる。この場合、
上記水溶性高分子と上記金属アルコキシドおよび/また
はケイ素アルコキシドとの混合割合は、積層フィルムに
形成されるの複合ポリマー中における、水溶性高分子と
酸化金属化合物ポリマーおよび/または酸化ケイ素化合
物ポリマーとの配合割合(水溶性高分子/酸化金属化合
物および/または酸化ケイ素化合物ポリマー wt%/
wt%)が、10/90〜80/20となるようにその
比率を勘案して決定することが良好なガスバリア性を発
揮するために好ましい。該複合ポリマー中の上記割合
は、ガスバリア性及び湿度依存性等を勘案すると、特
に、20/80〜70/30であることがより好まし
い。
【0063】また、上記した高分子ガスバリア層を形成
する組成物には、良好なガスバリア性の発揮を阻害しな
いかぎり、上記以外の成分、たとえば、無機微粒子、無
機系層状化合物等の無機化合物や架橋剤を添加してもよ
い。無機化合物を具体的に例示すると、カオリン、炭酸
カルシウム、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化
リチウム、リン酸カルシウム等の無機微粒子、モンモリ
ロナイト、カオリナイト、ハロイサイト、バーミキュラ
イト、ディッカイト、ナクライト、アンチゴライト、バ
イロフィライト、ヘクトライト、バイデライト、マーガ
ライト、タルク、テトラシリリックマイカ、白雲母、金
雲母、緑泥石等の無機層状化合物が挙げられる。架橋剤
を具体的に例示すると、ウレタン系架橋剤、イソシアネ
ート系架橋剤、メラミン系架橋剤、エポキシ系架橋剤等
が挙げられる。
【0064】上記高分子ガスバリア層を形成する組成物
は、上記成分がそれぞれお互いに分散混合された状態で
あっても、さらに架橋された状態であってもよい。
【0065】本発明において、上記高分子ガスバリア層
の厚みは、特に制限されないが、積層体のガスバリア性
を勘案すると、0.1μm以上、特に0.3μm以上が
好ましく、また、経済性や二次加工性等を勘案すると、
10μm以下が好ましく、特に6μm以下が好ましい。
【0066】本発明において、上記した熱可塑性樹脂フ
ィルムの表面処理を施した酸変性ポリオレフィン層に、
水溶性高分子を含む組成物よりなる層を積層する方法
は、特に制限されるものではなく、公知の形成方法が制
限なく採用される。
【0067】たとえば、水溶性高分子のみよりなる高分
子ガスバリア層の場合では、各種溶媒に溶解または分散
させたコート液を、公知の方法でコートし、これを乾燥
する方法が採用される。
【0068】また、前記複合ポリマーよりなる高分子ガ
スバリア層の場合では、前記積層体の処理面に、水溶性
高分子と上記金属アルコキシドおよび/またはケイ素ア
ルコキシドとを含む組成物からなる組成物よりなるコー
ト液を公知の方法でコートして、ゾル−ゲル法により金
属アルコキシドおよびまたはケイ素アルコキシドを重縮
合せしめた後、これを乾燥硬化する方法が一般に採用さ
れる。
【0069】上記複合ポリマーよりなる高分子ガスバリ
ア層の場合におけるコート液の組成は、乾燥硬化まで
に、積層体の表面処理面に上記金属アルコキシドおよび
/またはケイ素アルコキシドの重縮合物を形成可能なも
のであれば特に制限されない。例えば、水溶性高分子と
金属アルコキシドおよび/またはケイ素アルコキシドと
を溶媒に均一に溶解又は分散させた液状物よりなる組成
や、これに必要に応じて加水分解剤を配合した組成、さ
らには、金属アルコキシドおよび/またはケイ素アルコ
キシドを、加水分解剤を必要に応じて添加し、重縮合物
である酸化物ポリマーを予め調製した後、水溶性高分子
と共に溶媒に均一に溶解又は分散せしめた組成などが挙
げられる。
【0070】上記加水分解剤としては、公知のものが特
に制限なく使用される。具体的には、塩酸等の無機酸、
酢酸等の有機酸、または水酸化ナトリウム、アンモニ
ア、有機アミン化合物等のアルカリ水溶液が挙げられる
が、水のみでも加水分解剤としての機能を発揮させるこ
とが可能である。
【0071】上記コート液のコート方法としては、高速
での薄膜コート可能な、溶液または溶媒分散コーティン
グ法が本発明の実施において好ましく、好適に採用され
る。これらコーティング法を具体的に例示すると、コー
ト液を、グラビアコート、リバースコート、スプレーコ
ート、キッスコート、ダイコート、メタリングバーコー
ト、チャンバードクター併用グラビアコート、カーテン
コートにより積層体の表面処理面にコートする方法が好
適である。
【0072】上記水溶性高分子を溶解または分散させる
溶媒としては、水または水/低級アルコール混合溶媒が
好適である。そのうち、接着性および生産性を勘案する
と、水/低級アルコール混合溶媒を用いることがより好
ましい。
【0073】該低級アルコールとしては、炭素数が1〜
3のアルコール、具体的には、メタノール、エタノー
ル、n−プロピルアルコール、またはイソプロピルアル
コールが好ましい。水/アルコールの混合比率は、重量
比で99/1〜20/80の範囲から適宜選択される。
【0074】また、上記コート液中には、積層体の表面
処理面へのコート適性を高めるため、コート液の安定性
が阻害されない範囲で、他の水溶性有機化合物を添加し
てもよい。具体的には、溶媒として使用される上記低級
アルコール以外に、エチレングリコール、プロピレング
リコール等のグリコール類;メチルセロソルブ、エチル
セロソルブ、n−ブチルセロソルブ等のグリコール誘導
体;グリセリン、ワックス類等の多価アルコール類;ジ
オキサン、トリオキサン等のエーテル類;酢酸エチル等
のエステル類;メチルエチルケトン等のケトン類;水性
イソシアネート、ポリエチレンイミン、エポキシ樹脂等
の水性アンカーコート剤;が挙げられる。
【0075】これらコート液のpHは、コート液の安定
性を勘案すると、pH2〜11であることが好ましい。
【0076】上記積層体の表面処理面にコートしたコー
ト液の被膜を乾燥する方法としては、公知の乾燥方法が
特に制限なく使用できる。具体的には、熱ロール接触
法、熱媒(空気、オイル等)接触法、赤外線加熱法、マ
イクロ波加熱法等の1種または2種以上が挙げられる。
【0077】これらの中で、積層体外観等の仕上がりや
乾燥効率等を勘案すると、加熱空気接触法や赤外線加熱
法が好ましい。
【0078】また、上記乾燥温度としては、ガスバリア
性の発現や乾燥効率等を勘案すると、基材フィルムの融
点未満の温度範囲において、100℃以上の温度を採用
することが好ましい。また上記乾燥温度としては、11
0℃以上がより好ましく、120℃以上がさらに好まし
い。また、基材フィルムの融点より10℃低い温度以下
がより好ましく、15℃低い温度以下がさらに好まし
い。
【0079】上記乾燥時間は、バリア性や乾燥効率等を
勘案すると、5秒〜10分であることが好ましく、10
秒〜5分であることがより好ましい。
【0080】また、上記乾燥の前後に、必要に応じて、
紫外線、X線、電子線等の高エネルギー線照射を施して
もよく、高エネルギー線照射により重合する成分が配合
されている場合において、該高エネルギー線照射を施す
ことが好適である。
【0081】本発明の積層体は、包装用途、特にガスバ
リアフィルムとして好適に使用されることを勘案すると
透明であることが好ましく、ヘイズ値が15%以下であ
ることが好ましく、10%以下であることがより好まし
い。
【0082】本発明の積層体には、さらに、印刷層およ
び/またはヒートシール性等を付与する目的で、市販の
ポリオレフィン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル
共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体等
のシーラント層等を積層してもよい。
【0083】本発明の積層体の用途としては、特に制限
されないが、ガスバリアフィルム等の食品包装用フィル
ムとして好適である。
【0084】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例を掲げて説
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。尚、以下の実施例及び比較例における樹脂及び
フィルム物性、表面処理法等については下記の方法によ
り行った。
【0085】(1)DSCによる主ピークの測定 約5〜6mgの試料を秤量後、アルミパンに封入し、示
差熱量計にて20ml/minの窒素気流中で室温から
235℃まで昇温し、この温度で10分間保持し、次い
で10℃/minで室温まで冷却する。この後、昇温速
度10℃/minで得られる融解曲線より、主ピークを
測定した。
【0086】(2)MFR JIS K7210に準拠して測定した。
【0087】(3)透明性(ヘイズ) JIS K6714に準拠して測定した。
【0088】(4)コロナ放電処理 春日電機社製コロナ放電処理機を使用したテスト機を用
い、以下の条件で表面処理を行った。空気雰囲気下のコ
ロナ放電処理も、同様の処理機により行った。
【0089】 導入気体 ;窒素または窒素/炭酸ガス 酸素濃度 ;5容量%以下フィルム 走行速度 ;100m/分 電極 ;アルミ3型電極 電極−フィルム間距離 ;2.0mm ジェネレータ ;春日電気社製 AGI−200 処理前ロール温度 ;65℃ 有効処理幅 ;1,000mm (5)フレームプラズマ処理 フリン・バーナー社(米)製フレームプラズマ処理テス
ト機を用い、以下の条件で表面処理を行った。
【0090】 燃料 ;天然ガス(空気混合) バーナー出力 ;500〜1300kcal/インチ・hr (ハ゛ーナー幅1インチ、1時間当たりの燃焼カロリー) フレーム内炎−フィルム表面間距離;2mm フィルム走行速度 ;100m/分 冷却ロール温度 ;38℃ 有効処理幅 ;600mm (6)ブロッキング 2枚の基材フィルム(12×12cm)の表面処理面と
反対面を重ね合わせ、全面に10kgの荷重をかけた状
態で、50℃、湿度90%RHの雰囲気下24時間放置
した。幅30mm、長さ40mmの重なり部分とチャッ
クの掴みしろ(上下チャックにそれぞれフィルム1枚づ
つ掴む)が残るようにサンプルを切り出し、引張試験機
(引張速度;100mm/分、チャック間距離40m
m)によりせん断剥離強度を測定し、表1に従いブロッ
キング性を評価した。
【0091】
【表1】 (7)表面粗さ(Ra) デジタルインスツルメンツ社製、走査型プローブ顕微鏡
(NanoScopeIIIa)を用い、以下の条件で測
定し、数回の平均値により中心線表面粗さを求めた。
【0092】 モード ;タッピングモードAFM 走査範囲 ;10μm×10μm 探針半径 ; 5〜10nm 探針材質 ; 単結晶シリコン 走査速度 ; 1.5Hzカンチレハ゛ー の自由振幅 ;1.5Vカンチレハ゛ー のセットホ゜イント ;1.1〜1.3Vカンチレハ゛ー の共振周波数 ;300kHz (8)酸素バリア性 JIS K7126 B法に準じて、酸素透過率測定装
置(mocon社製;OX−TRAN100)を用いて
測定した。測定条件は、相対湿度50%、25℃で行っ
た。
【0093】(9)接着性 バーコーターにて基材フィルム表面に、コート液をコー
ト層厚み3μm(乾燥時)となるようにコートし、12
0℃で2分間乾燥させた。室温で1日以上放置後、得ら
れた積層体のコート面の中央部分を、Xカットテープ法
(JIS K5400)に準じ、表2に従い評価した。
【0094】
【表2】 (10)シール強度 積層体のシーラント面同士を5×200mmのヒートシ
ールバーを用い、150℃においてヒートシールした。
ヒートシール圧力1kg/cm2、ヒートシール時間
1.0秒の条件でシールした試料から15mm幅のサン
プルを切り取り、引張試験機を用い、引張速度100m
m/分、サンプル長40mm(チャック間)で引張強度
を測定し、シール強度とした。結果は5サンプルの平均
値とした。
【0095】実施例1 表3に示す樹脂AをTダイ押出機を用いて、280℃で
加熱溶融下シート状に押出し、チルロール上で冷却固化
した後、加熱ロール延伸機により5倍に縦延伸し、一軸
延伸シートを得た。酸変性ポリオレフィン層として、表
3に示す樹脂Cとユーメックス1001(三洋化成工業
社製無水マレイン酸変性ポリプロピレン)との混合樹脂
(C/ユーメックス=8/2(wt/wt)、不飽和有
機酸無水物に由来する単量体単位0.5重量%)をTダ
イ押出機により、230℃で加熱溶融下シート状に押出
してチルロール上にて、前記一軸延伸シートに張り合わ
せて二層シートを得、続いてテンター横延伸機により8
倍に横延伸した。その後、酸変性ポリオレフィン層側表
面にフレームプラズマ処理(処理強度;6.5kcal
/m2)を行い、20μmの表面処理フィルムを得た。
また、テトラエトキシシラン30重量部、エタノール2
0重量部、2N塩酸1重量部、水4重量部を混合し、室
温で1時間攪拌した。次いで、γ−グリシドキシトリメ
トキシシラン3重量部、ソアノール20L(日本合成化
学社製エチレン−ビニルアルコール水/IPA溶液)4
0重量部、N,N−ジメチルベンジルアミン0.15重
量部を加えて攪拌し、コート液Aとした。得られた表面
処理フィルムの表面処理面に、上記コート液Aをバーコ
ーターにて乾燥厚み3μmとなるようにコートし、12
0℃で2分間乾燥させて積層体を得た。各種評価結果を
表5に示した。
【0096】実施例2、3、比較例1、2 表4に示す処理フィルムを使用した以外は、実施例1と
同様にして積層体を得、評価した。結果を表5に示し
た。
【0097】実施例4 表3に示す樹脂B、表3に示す樹脂Cとユーメックス1
010(三洋化成工業社製無水マレイン酸変性ポリプロ
ピレン)との混合樹脂(C/ユーメックス=8/2(w
t/wt)、不飽和有機酸無水物に由来する単量体単位
1.0重量%)を多層Tダイ押出機を用いて、280℃
で加熱溶融下シート状に押出し、チルロール上で冷却固
化した後、加熱ロール延伸機により5倍に縦延伸し、続
いてテンター横延伸機により8倍に横延伸した。その
後、フィルムの片面にフレームプラズマ処理(処理強
度;6.5kcal/m2)を行い、20μmの表面処
理フィルムを得た。得られた表面処理フィルムの表面処
理面に、実施例1で得られたコート液Aをバーコーター
にて乾燥厚み3μmとなるようにコートし、120℃で
2分間乾燥させて、積層体を得た。各種評価結果を表5
に示した。
【0098】実施例5 実施例1と同様な方法で得られた表面処理フィルムの表
面処理面に、井上金属社製テストコーター3号機を用
い、実施例1で得られたコート液Aを乾燥厚み3μmと
なるようグラビアコートした。
【0099】さらに、アンカコート剤を乾燥重量(東洋
モートン社製TM329/CAT−8B 100重量部
/100重量部を、酢酸エチル溶剤にて、不揮発分が1
0重量%となるよう調整)が2g/m2となるように積
層し、その上に40μmの無延伸LLDPEフィルムを
ドライラミネートして積層体を得、評価した。結果を表
5に示した。
【0100】実施例6 40μmの無延伸LLDPEフィルムの代わりに、25
μmのシーラントCPP(融点140℃、エチレン含量
3モル%、1−ブテン含量1モル%のプロピレン−エチ
レン−1−ブテン三元ランダム共重合体フィルム)を使
用すること以外は、実施例5と同様にして積層体を得、
評価した。結果を表5に示した。
【0101】比較例3 表4に示す処理フィルムを使用した以外は、実施例5と
同様にして積層体を得、評価した。結果を表5に示し
た。
【0102】比較例4 表4に示す処理フィルムを使用した以外は、実施例6と
同様にして積層体を得、評価した。結果を表5に示し
た。
【0103】
【表3】
【0104】
【表4】
【0105】
【表5】
【発明の効果】本発明の積層体は、フレームプラズマ処
理および/または特定のコロナ放電処理した酸変性ポリ
オレフィン層に、水溶性高分子を含む組成物よりなる樹
脂層を積層することにより、強固な接着性に優れたもの
となる。さらに、シーラントを積層した積層体とするこ
とで、ヒートシール性を付与でき、特に比較的高いヒー
トシール強度を必要とする用途において、充分なシール
強度が付与される。従って、本発明の積層体は、ガスバ
リアフィルムとして好適であるだけでなく、広く食品包
装用フィルムとして有用である。
フロントページの続き Fターム(参考) 4F073 AA01 BA06 BA07 BA08 BA09 CA01 CA21 CA63 CA64 4F100 AK01B AK01C AK03A AK03D AK04 AK04J AK07 AK07C AK15 AK21 AK21B AK21J AK62A AK62D AK64 AK66A AK66D AL01 AL01B AL03 AL05B AL07 AL07A AL07D BA02 BA03 BA07 BA10B BA10C BA10D BA13 EH23 EH46 EJ38 EJ55 EJ55A EJ55D EJ61 EJ61A EJ61D GB15 GB23 JB09B JB16C JD02 JD03 JK06 JL01 JL12 JN01

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも一方の表層が酸変性ポリオレフ
    ィン層からなる熱可塑性樹脂フィルムと、水溶性高分子
    を含む組成物よりなる樹脂層とからなる積層体であっ
    て、該酸変性ポリオレフィン層表面に、(a)フレーム
    プラズマ処理、および/または(b)窒素および/また
    は二酸化炭素の雰囲気下でのコロナ放電処理がされてな
    り、かつ、該表面処理面に前記水溶性高分子を含む組成
    物よりなる樹脂層が積層されてなる積層体。
JP36549099A 1998-12-25 1999-12-22 積層体 Pending JP2001138457A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP36549099A JP2001138457A (ja) 1998-12-25 1999-12-22 積層体

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP37126998 1998-12-25
JP24845799 1999-09-02
JP10-371269 1999-09-02
JP11-248457 1999-09-02
JP36549099A JP2001138457A (ja) 1998-12-25 1999-12-22 積層体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001138457A true JP2001138457A (ja) 2001-05-22

Family

ID=27333718

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP36549099A Pending JP2001138457A (ja) 1998-12-25 1999-12-22 積層体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001138457A (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003072642A1 (fr) * 2002-02-27 2003-09-04 Yupo Corporation Procede de production d'un film de resine thermoplastique
JP2004249614A (ja) * 2003-02-20 2004-09-09 Tohcello Co Ltd 二軸延伸ポリプロピレン複合フィルム及びその製造方法
JP2004322539A (ja) * 2003-04-25 2004-11-18 Kurabe Ind Co Ltd パイプ
WO2007069704A1 (en) * 2005-12-12 2007-06-21 Fujifilm Corporation Organic-inorganic hybrid material, gas barrier film and method for producing the same
JP2009076410A (ja) * 2007-09-25 2009-04-09 Hitachi Maxell Ltd 多層多孔質膜の製造方法、電気化学素子用セパレータおよび電気化学素子
US8211507B2 (en) 2002-02-27 2012-07-03 Yupo Corporation Method for producing thermoplastic resin film
TWI462827B (zh) * 2011-03-01 2014-12-01 Jx Nippon Mining & Metals Corp Liquid crystal polymer film base copper clad laminate and manufacturing method thereof
US9972816B2 (en) 2008-01-29 2018-05-15 Microconnect Corp. Slurry for forming insulating layer, separator for electrochemical device, method for producing the same, and electrochemical device
JP2019214188A (ja) * 2018-06-14 2019-12-19 横浜ゴム株式会社 積層部材の製造方法

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003072642A1 (fr) * 2002-02-27 2003-09-04 Yupo Corporation Procede de production d'un film de resine thermoplastique
US8211507B2 (en) 2002-02-27 2012-07-03 Yupo Corporation Method for producing thermoplastic resin film
JP2004249614A (ja) * 2003-02-20 2004-09-09 Tohcello Co Ltd 二軸延伸ポリプロピレン複合フィルム及びその製造方法
JP4717333B2 (ja) * 2003-04-25 2011-07-06 株式会社クラベ パイプの製造方法
JP2004322539A (ja) * 2003-04-25 2004-11-18 Kurabe Ind Co Ltd パイプ
WO2007069704A1 (en) * 2005-12-12 2007-06-21 Fujifilm Corporation Organic-inorganic hybrid material, gas barrier film and method for producing the same
JP2009076410A (ja) * 2007-09-25 2009-04-09 Hitachi Maxell Ltd 多層多孔質膜の製造方法、電気化学素子用セパレータおよび電気化学素子
US9972816B2 (en) 2008-01-29 2018-05-15 Microconnect Corp. Slurry for forming insulating layer, separator for electrochemical device, method for producing the same, and electrochemical device
TWI462827B (zh) * 2011-03-01 2014-12-01 Jx Nippon Mining & Metals Corp Liquid crystal polymer film base copper clad laminate and manufacturing method thereof
JP2019214188A (ja) * 2018-06-14 2019-12-19 横浜ゴム株式会社 積層部材の製造方法
WO2019240063A1 (ja) * 2018-06-14 2019-12-19 横浜ゴム株式会社 積層部材の製造方法
US11254114B2 (en) 2018-06-14 2022-02-22 Sika Hamatite Co., Ltd. Method for manufacturing multilayer member
JP7138489B2 (ja) 2018-06-14 2022-09-16 シーカ・ハマタイト株式会社 積層部材の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2000233478A (ja) 積層フィルム
US8658278B2 (en) Gas barrier multilayer film
JP4812552B2 (ja) ガスバリア性積層フィルム
JP7482401B2 (ja) バリア性積層体、該バリア性積層体を備えるヒートシール性積層体および該ヒートシール性積層体を備える包装容器
JP5245507B2 (ja) ガスバリア性積層フィルム
JP2001138457A (ja) 積層体
JP2001009974A (ja) 積層フイルム
WO2021230319A1 (ja) ガスバリアフィルム
JPH10166516A (ja) ガスバリアフィルム及びその製造方法
JP2023162244A (ja) 多層基材、該多層基材を備える多層フィルム、該多層フィルムを備える積層体および該積層体を備える包装材料
JP2001138446A (ja) 積層体
TW202334006A (zh) 包裝材料
JP2001138445A (ja) 積層フイルム
JP3346126B2 (ja) ガスバリアフィルム及びその製造方法
JPH11151786A (ja) ガスバリアフィルム及び包装材料
TW202216459A (zh) 積層薄膜及包裝材料
JP2000343659A (ja) 積層フィルム
JP2000080188A (ja) 積層フィルムの製造方法
JP2001009976A (ja) 積層フィルム
JP2002127294A (ja) ガスバリアフィルム、及びこれを用いた積層材
JP7238938B1 (ja) 積層フィルム及び包装材料
JP2001009975A (ja) 積層フィルム
JP2001009979A (ja) 積層フィルム
WO2003072642A1 (fr) Procede de production d'un film de resine thermoplastique
US20060127688A1 (en) Transparent biaxially oriented polyolefin film having an improved oxygen barrier