JP2005087015A - ムメフラール高含有透明梅エキスの製造方法 - Google Patents

ムメフラール高含有透明梅エキスの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 ムメフラールの効用を期待することができ、更に調味料や食品添加物等の食品原料として使用しても製品の外観があまり悪化せず、しかも着色剤によって色を調節することも可能な梅エキスを提供すること。
【解決手段】 梅の液成分を所定の水分量になるまで濃縮する工程;得られた濃縮液をその水分量を保持したまま加熱する工程;及びこの濃縮液から非水溶性成分を分離する工程;を包含する、ムメフラール高含有透明梅エキスの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は透明性及び清澄性に優れた透明梅エキスの製造方法に関し、特にムメフラールを高濃度で含有する透明梅エキスの製造方法に関する。
梅には人体の健康増進に役立つ成分が豊富に含まれている。そのため、梅は様々な形態に加工されて食用に供されてきた。梅を加工した食品の一つに梅エキスがある。梅エキスは梅の有効成分を濃縮したものであり、従来から効用が特に高い食品、すなわち、いわゆる健康食品として珍重されている。
例えば、非特許文献1〜4には、梅エキスの中にムメフラール(Mumefural)と名付けた成分が含まれており、この成分は血流改善に効果があると記載されている。また、特許文献1には、糖とクエン酸とからムメフラールを含有した血流改善剤を合成することが記載されている。しかし、従来の方法によって製造した梅エキスはムメフラールの含有量が少なく、ムメフラールによる効用が得られるかどうかは不明確である。
また、梅エキスはこれまで調味料や食品添加物としては、それほど普及していない。その理由の一つは梅エキスの外観にある。梅エキスは黒色の粘性液体であり、梅から通常想像される桃色乃至赤色とはかけ離れた色をしている。しかも、黒色では着色剤を加えて色を調節することも困難である。
従って、梅風味の加工食品や嗜好品に対する需要はあっても、梅エキスを原料に用いると製品の外観が汚れたように黒ずみ、製品に対する消費者の印象が極端に悪くなる。そのため、梅エキスを含む製品を大量生産することには抵抗があり、梅エキスの食品原料としての用途は限定されたものであった。
特許第2979305号公報 松本紘斉、FOOD Steyle 21、p66〜68、2001 菊池佑二、FOOD Steyle 21、p41〜47、2001 Chuda Y. et al.、J.Agric.Food.Chem.、47、p828〜831、1999 我藤伸樹ら、ヘモレオロジー研究会誌、3、p81〜88、2000
本発明は上記従来の問題を解決するものであり、その目的とするところは、ムメフラールの効用を期待することができ、更に調味料や食品添加物等の食品原料として使用しても製品の外観があまり悪化せず、しかも着色剤によって色を調節することも可能な梅エキスを提供することにある。
本発明は、梅の液成分を所定の水分量になるまで濃縮する工程;
得られた濃縮液をその水分量を保持したまま加熱する工程;及び
この濃縮液から非水溶性成分を分離する工程;
を包含する、ムメフラール高含有透明梅エキスの製造方法を提供するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
本発明の方法で得られる透明梅エキスはムメフラールの含有量が高いためにその効用を期待することができる。また、透明性及び清澄性に優れ、着色の程度が緩和されているために食品に添加してもその外観があまり悪化せず、しかも着色剤によって色を調節することも可能である。従って、本発明の方法で得られる透明梅エキスは調味料や食品添加物等の食品原料としての効用及び用途が飛躍的に拡大されている。
本発明の方法においては、原料として梅の液成分を使用する。梅の液成分とは梅の果実に含まれている液状の成分をいう。例えば、青梅(生梅ともいう。)の果肉を磨り潰し、ろ過して得られた梅果汁はこの成分に該当する。また、梅酢から塩分を除去した液もこの成分に該当する。なお、ここで梅酢とは、梅干しの製造過程に梅の果実から生成する液をいう。
梅酢から塩分を除去するには、イオン交換膜電気透析処理法(特開2002−272432号公報)など、周知の手法を採用できる。また、特開2001−17116号公報、特開2002−186444号公報、特開2002−51752号公報に記載されている方法を用いてもよい。塩分は、梅酢からできるだけ完全に除去することが好ましい。
梅の液成分は、まず、所定の水分量になるまで濃縮される。濃縮は、効率の向上とコントロールの便利さを考えて低温・減圧の条件下で行うことが好ましい。濃縮の際の温度は、一般に15〜80℃、好ましくは20〜70℃、より好ましくは25〜65℃に調節される。工程を促進するために、減圧条件下で濃縮を行うほうが良い。その際には、圧力は11〜360Torr、好ましくは17〜230Torr、より好ましくは23〜190Torr程度に減圧される。
濃縮液の水分量は10〜50質量%、好ましくは10〜25質量%に調節される。一般に、濃縮液のBrix値が50%以上であれば水分量は50質量%以下である。濃縮液のBrix値が70%以上であれば水分量は30質量%以下である。濃縮液のBrix値が75%以上であれば水分量は25質量%以下である。また、濃縮液のBrix値が80%以上であれば水分量は20質量%以下である。
次いで、得られた濃縮液はその水分量を保持したまま加熱される。保持の精度は厳密でなくてもよい。加熱工程の間一般には±10%、好ましくは±5%に保持すればよい。
水分量の保持は、例えば、加熱によって発生する蒸気を冷却管などによって冷却し、元に戻すことにより行なえばよい。加熱温度は少なくとも80℃が必要であり、もっと効率良くムメフラールを生成させるためには、100〜120℃の加熱温度が好ましい。100℃以上での長時間の加熱は、梅エキスの風味を損なう可能性があるため、可能な限り避け、短時間で行うことが望ましい。なお、100〜120℃で加熱される場合に、加熱時間は通常2〜24時間、好ましくは4〜16時間、より好ましくは8〜12時間とされる。
伝統の煮詰めるという方法で梅エキスを製造する場合、特に製造の後半においては、梅エキスの濃度が次第に高くなるため、エキス中のムメフラール生成原料である糖の加熱誘導体であるヒドロキシメチルフルフラール(HMF)の生成または、このヒドロキシメチルフルフラール分子とクエン酸分子の合成反応が制限されると考えられる。
通常、加熱温度を高くすると分子の活動性が向上し、または分子の活動環境が改善される。しかしながら、常圧下では反応性が限られるためムメフラールの生成にも限界があり、長時間にわたる高温加熱では他の成分の変性と糖加熱代謝物の発生などにより梅エキス自体の風味もかなり悪化することがある。
そこで、加熱を加圧下で行うことでHMF分子とクエン酸分子の接触機会を増やすことができ、多くのムメフラールを生成させることができる。換言すれば、同量のムメフラールを生成させるために、煮詰める方法または非加圧の場合より低い加熱温度または短い加熱時間で済むため、工程が短縮され、梅エキスの風味も維持できる。加圧は、例えば、110℃、1090Torr又は1450hPaとする。尚、加圧下で加熱する工程は、上記加熱工程に追加して行なってもよい。
加熱工程を行う前に濃縮液には糖類又はクエン酸等を添加してもよい。糖類としてはハチミツ、果糖甘味料などが挙げられる。添加量は10%〜50質量%程度でよい。例えば、濃縮液に20質量%のハチミツを添加することで非添加の場合より約2倍量にムメフラールを増量させることができ、風味がハチミツ非添加品よりまろやかである。ハチミツは、花の種類を問わず使用でき、糖類甘味料としては、果糖、葡萄糖、蔗糖砂糖、麦芽糖、黒糖、水飴のような単糖或いはオリゴ糖や糖アルコールの何れか、またはこれらの混合物を使用できる。
次いで、加熱工程又は加圧下で加熱する工程で得られる濃縮液から非水溶性成分が分離される。この濃縮液は通常粘性が高いので、まず、適当な粘度までこれを希釈する。希釈は、濃縮液に蒸留水やイオン交換水などの水を加えて十分に攪拌することにより行う。水の量は、一般には、濃縮液の量10重量部に対して1.4〜257重量部、好ましくは6〜150重量部、より好ましくは10〜70重量部の範囲で調整される。
だだし、希釈の程度は、粘度に応じるが、粘度は測定が面倒なため、通常はブリックスでコントロールする。濃縮液は希釈によりブリックス3〜70%、好ましくは5〜50%、より好ましくは10〜40%に調節される。希釈されたブリックスが3より低いとろ過、あるいは脱色後の濃縮に工数がかかり、70%より高いと分離工程を行うことが困難になる。
この水溶液から非水溶性成分を分離する方法は、特に限定されないが、例えば、ろ過法や遠心分離法等で行うことができる。これらの方法は操作が簡便であり、分離効率も高い。
フィルタによるろ過法で分離を行う場合は、フィルタの孔径は0.001〜0.5μm、好ましくは0.003〜0.25μm、より好ましくは0.005〜0.1μmとする。フィルタの孔径が0.001μm未満であるとろ過効率が悪くなり、ろ過作業が煩雑となる。フィルタの孔径が0.5μmを超えると非水溶性成分の分離が不完全になり、得られる梅エキスの外観が不良となる。フィルタとして使えるものは、プレフィルタ、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノフィルタ膜、逆浸透膜などが一般的であるが、本発明で用いて効果のある膜は、精密ろ過膜、限外ろ過及びナノフィルタ膜である。プレフィルタでは非水溶性成分の分離が不十分であり、逆浸透膜では溶解成分がろ過によって除かれてしまうので、使用に当たっては、目的に応じて使い分ける必要がある。
遠心分離法で分離を行う場合は、希釈した濃縮液の液を連続的にローターに導入し、非水溶性成分がローターの壁面に沈着し、非水溶性成分がなくなった上澄み液は溢れてローターの外に出るように配管した特殊な遠心分離器を用いる。バケット型の遠心分離器では、上澄み液を人為的に取り出す手間がかかる。遠心分離にかける荷重は1000〜5000G、好ましくは2000〜3000Gが適当で、これ以上の荷重をかけても遠心分離の効果及び処理時間に大きな影響はない。
このようにして濃縮液の水溶液から非水溶性成分を分離するとムメフラール高含有梅エキスを含む透明性の高い水溶液が得られる。
次いで、この水溶液を濃縮する。濃縮の方法は特に限定されないが、非加熱又は比較的低温に加熱して水を蒸発させることにより行うことが好ましい。高温に加熱すると非水溶性成分が生成する。濃縮の際の温度は、一般に15〜80℃、好ましくは20〜70℃、より好ましくは25〜65℃に調節される。工程を促進するために、減圧条件下で濃縮を行うほうが良い。その際には、圧力は11〜360Torr、好ましくは17〜230Torr、より好ましくは23から190Torr程度に減圧される。
得られた梅エキスは透明及び清澄な液体であり、黒く不透明な従来の梅肉エキスと比べて着色の程度が著しく緩和されている。そのため、この梅エキスを調味料や食品添加物として使用しても製品の外観にそれほど影響を与えない。しかも、この梅エキスは、透明であるため着色力が弱く、食品用着色剤を加えて製品の色を調節することができる。
本発明の方法においては、濃縮液の水溶液から非水溶性成分を分離した後、濃縮工程の前に、ムメフラール高含有梅エキスを含む水溶液をさらに脱色してもよい。そうすればより着色が少ない、つまり無色透明に近い梅エキスを得ることができる。脱色工程は、例えば、ムメフラール高含有梅エキスを含む水溶液を、吸着剤が充填されたカラムを通すかまたは、ムメフラール高含有梅エキスを含む水溶液に吸着剤を投入し、一定時間撹拌した後静置し、デカンテーションで上澄みを取るか、あるいはろ過して吸着剤を除くかして脱色液を得ることができる。その場合、吸着剤としては活性炭や吸着樹脂等を用いることができる。活性炭はその形状から粉状、粒状、布状などいろいろな種類があるが、処理のしやすさなどから、粒状の活性炭が好ましい。
脱色工程の後、上述の方法によって濃縮を行い、さらに透明性及び清澄性を向上させたムメフラール高含有梅エキスを得ることができる。
以下の実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。以下「MF」は、「ムメフラール」を指す。
(1)実験設備
濃縮装置:東京理科のエバポレータを使用した。
加熱装置:丸底の四口フラスコを使用した。真中の口に攪拌器、残りの三口はそれぞれサンプル採取口、温度測定口、還流装置口とした。加熱器はマントルヒーターを使用した。
加圧装置:IWAKIのACV-3167 Autoclaveを使用、温度を110℃に設定した。
(2)分析設備と分析条件
Brix:Refractometer(糖度計)RX-5000(ATAGO CO. LTD.)により測定した。
液体クロマトグラフィー(HPLC)条件:カラム:Cosmosil 5C18−AR−II;検出波長:280 nm;流速:1.0 mL/min;注入量:5μl(10 mg/ml溶液として);移動相:0〜10 min 5%アセトニトリル(0.2%ギ酸)100%、10〜30 min 73%アセトニトリル(0.2%ギ酸)0%→80%、30〜45 min 73%アセトニトリル(0.2%ギ酸)80%;45〜55 min 73%アセトニトリル(0.2%ギ酸)80%→0%;温度:40℃。
(3)試料の準備
試験管に梅エキス20〜40 mgを正確に量り、10 mg/mLになる様にイオン交換水を加えて溶解する。溶液の一部を取り、5.000 rpm×10 min遠心後、上澄を分析サンプルとして使用する。
(4)MFのカラムクロマトグラフィー単離
梅エキス10 gを少量の水に懸濁し、4,000 rpm×5 minの条件で固液分離後、上澄を回収する。以上の作業を3回繰り返して全上澄を合せる(合計約40 mL)。この上澄をToyopearl HW-40Fのカラム(3.0 cm i.d.×47 cm)に載せ、2.5 mL/min、15 mL/Fractionの条件で0.2%HCOOH、5%MeOH・0.2%HCOOH、20%MeOH・0.2%HCOOHの順でカラムを洗浄する。Fr. No.36より4.1 mgのMFを得た。
(5)定量分析
梅エキス、果汁試料中の他成分の影響を避ける為、ピークの高さにより定量試算を行った。
例:サンプルSの場合、以下の計算によりエキス溶液中のMFの濃度を0.180 mg/mLと推算した。従って、エキス中のMF含有量が1.80%となる(ピーク面積を用いて推算した結果、1.78%となる。)。
Figure 2005087015
[式中、CSはサンプル溶液中MFの濃度(mg/mL)であり、AはFr. No.36中MFの純度(90%)であり、WMFはFr. No.36の重さ(4.1 mg)であり、VMFはFr. No.36の液量(15.0 mL)であり、HMFはFr. No.36中MFのピーク高さ(441076)であり、HSはサンプル中MFのピーク高さ(321886)である。]
製造例1
従来の梅肉エキスの製造
新鮮な青梅から擦り搾った果汁10.0kgを開放された鍋に入れ、攪拌しながら弱火で煮詰める。最初薄い黄色いの果汁は加熱により黄色→褐色→黒褐色と変化し、濃度(Brix値)も上々に上昇する。Brix値が約80%になったことを確認し、煮詰めることを終了させ、煮詰めた梅エキスを得た。加工中に温度は始終100℃前後にコントロールする。また、後半、Brix値の上昇に伴ない加工物が鍋にくっ付き易くなるため、加工物が焦げないように細心の注意をしながら、鍋に付いている加工物を落とす。また、煮詰める方法での安定したデータを取るため、これと同じ操作を3回行った。これらの煮詰める工程から採集された各サンプルのBrix値及びMF含有量の測定結果を表1に示す。
Figure 2005087015
表1に示したように、梅果汁のBrix値が低いとMFが生成されにくい。また、加熱時間が長い方がMFが有効に生成された。つまり、有効にMFを生成させるために、加熱時間を長くすることが重要と考えられる。しかし、開放条件下で行われる煮詰める方法においては、加熱中にエキス中の水分量が大変少なくなるため、長時間の加熱処理が物理的には無理であり、また、エキスの味、溶解性などの品質評価ポイントを考えるうえでも長時間の加熱は品質劣化の原因となる。このように煮詰める工程において、MFの有効な生成時間が確保しにくいため、MFの含有量が低く、ロット間に大きなバラツキが生じ、製品規格値の設置には難しい。
製造例2
MF高含有梅果汁濃縮液の製造(水分保持加熱法)
製造例1と同様の新鮮な青梅から擦り搾った果汁10.0kgを濃縮器に入れ、40℃の条件下で減圧しながらBrix値80%まで濃縮を行った(濃縮工程)。その後、常圧の密閉条件で濃縮工程の水分量を±5%に保持し、攪拌しながら4時間ほど加熱した(加熱工程)。同じ操作を3回行った。各段階から採集されたサンプルのBrix値及びMF含有量の測定結果を表2に示す。
Figure 2005087015
表2に示したように、濃縮工程において、Brix値約80%まで低温条件で水分量を調整した後、加熱工程において時間をかけてMFを生成させることが出来た。結果、通常の煮詰める加熱方法よりかなり多くのMFが生成され、また、ロット間のバラツキも改善されている。
製造例3
MF高含有梅果汁濃縮液の製造(水分保持加熱加圧法)
製造例2で得た梅エキスをさらに滅菌瓶に入れ、密閉のままで110℃、1時間、水分量を±5%に保持しながら加圧・加熱処理した。結果を表2に示す。
表2に示したように、実施例1より短い時間で加圧処理した結果、MFの含有量がほぼ2倍に増えた。
製造例4
MF高含有梅果汁濃縮液の製造(水分保持加熱加圧、ハチミツ添加法)
市販のBrix値65%の青梅果汁をAとBの2同量分に分け、Aは更にA1とA2の2同量分に分け、Bは20質量%のハチミツを加えた後、B1とB2の2同量分に分ける。また、上述の市販Brix値65%の青梅果汁を濃縮器でBrix値75%まで濃縮した後、CとDの2等量分に分け、A、Bと同じ様にC1とC2、そして20質量%のハチミツ添加のD1とD2を調製した。これらの試料はそれぞれ滅菌瓶に入れ、A1〜D1が沸騰水浴で、A2〜D2が100℃で水分量を±5%に保持し、加圧釜で各々4時間加熱した。加熱後各試料中に含まれるMF量のHPLC測定結果は表3に、75%果汁と65%果汁の比較、加圧と常圧の比較、ハチミツ添加となしの比較を表4示す。なお、加熱前の各試料中にMFが含有されていないことをHPLCで確認した。
Figure 2005087015
Figure 2005087015
表3、4に示したように、まず加熱処理の原料となる梅果汁の濃度(Brix値)は大きいほどMFが生成されやすい。また、同温では常圧の加熱処理よりも加圧加熱処理の方がMFを増量することが出来た。最後に、加熱処理前のハチミツ添加がMFの生成を増量させた。
MF高含有透明梅エキスの製造
製造例2〜4で得られた濃縮液755gを取り、蒸留水で5.1Kgに希釈した。この希釈液を限外ろ過(MF)膜(旭化成株式会社製、商品名「PSP−103」、孔径0.1μm、寸法42φ×347mm)を用い、入口圧0.1MPa、出口圧0.08MPa、初期循環量9L/分、末期循環量1L/分以下を条件にて、ろ過を行った。ろ過開始後2時間で循環量が1リットル/分以下になった時点で停止して3.6Kgのろ液が得られた。次いで、これを減圧濃縮装置で、温度29〜48℃、真空度81〜25Torrにて濃縮し、梅エキス520gを得た。得られた梅エキスは淡褐色透明であった。
ろ過処理後のMF含有量のHPLC測定結果を表5に示す。
Figure 2005087015
表5に示したように、ろ過後もMFの含有量は軽減しないことが確認できた。さらに、ろ過後の梅エキスについて、官能試験を行ったところ、従来の梅肉エキスよりも舌触りがなめらかで苦み、雑味を感じないという評価を得た。
また、得られた梅エキス0.5gを取り、蒸留水で10gに希釈して、1410rpmで20分間遠心分離を実施したところ、不溶性の沈殿物は認められなかった。希釈液は、従来の梅肉エキスと比べて透明感が高く、透き通った外観で清浄な液であった。
透明梅エキスを添加したヨーグルトの例
従来の梅エキスは黒褐色であり、ヨーグルト等へ添加した場合、色素を配合しても梅をイメージする色調を表現することが困難であった。そこで、本発明の透明梅エキスを用い、シソ色素を添加し梅をイメージする色調が実現できるか検討を行った。
実施例1で得たMF高含有透明梅エキス9gにシソ色素を1gを添加し、10%シソ色素含有の梅エキスを調製した。このシソ色素含有梅エキス1gを白色のヨーグルト50gに添加し攪拌した。得られたヨーグルトは、シソによる着色が梅エキスによって阻害されず、梅のイメージが的確にあらわされた色調となった。
製造例5
MF高含有梅酢濃縮液の製造(水分保持加熱法)
脱塩工程後、Brix50%まで濃縮した梅酢400gを加熱装置に入れ、攪拌しながら95℃±5℃の条件下で16時間加熱して、脱塩梅酢の濃縮液を得た。加熱中2時間毎に測定用サンプルを採取して各測定を行った。各加熱時間から採取された各サンプルのMF含有量のHPLC測定結果を表6に示す。
Figure 2005087015
表6に示したように、10時間後に0.50%、16時間後に0.74%のMFが生成された。
製造例6
MF高含有梅酢濃縮液の製造(水分保持加熱法)
脱塩工程後、Brix80%まで濃縮すること以外は製造例5と同様にして脱塩梅酢の濃縮液を得た。各加熱時間から採取された各サンプルのMF含有量のHPLC測定結果を表7に示す。
Figure 2005087015
表7に示したように、製造例5に比べ約2倍の1.60%のMFの生成が12時間加熱によって実現できた。また、風味を悪化させる要因となる加熱中の泡立ち、焦げ臭などは観察されなかった。ただし、14時間以降は、MFの含有量が減少した。これは、生成原料が減少する一方で、一旦生成したMFが熱によって分解したことによると推測される。
製造例7
MF高含有梅酢濃縮液の製造(水分保持加熱、ハチミツ添加法)
脱塩工程後、Brix80%まで濃縮した梅酢360gを加熱装置に入れ、更に40g[10%(w/w)]のハチミツを加え、以下製造例5と同じ操作を行った。各加熱時間から採取された各サンプルのMF含有量のHPLC測定結果を表8に示す。
Figure 2005087015
表8に示したように、ハチミツを添加することにより、製造例5に比べ2.5倍の1.85%のMFの生成が確認できた。また、風味を悪化させる要因となる加熱中の泡立ち、焦げ臭などは観察されなかった。
製造例8
MF高含有梅酢濃縮液の製造(水分保持加熱加圧法)
製造例7と同様な条件で16時間常圧加熱後、加圧装置に移し、更に110℃で4時間(2時間を2回)の加圧工程を行った。各加熱時間から採取された各サンプルのMF含有量のHPLC測定結果を表9に示す。
Figure 2005087015
表9に示したように、加圧工程を追加することにより、製造例5に比べ3.5倍以上の2.79%のMFの生成が確認できた。また、風味を悪化させる要因となる加熱中の泡立ち、焦げ臭などは観察されなかった。
製造例9
MF高含有梅酢濃縮液の製造(水分保持加熱加圧、果糖添加法)
脱塩工程後、Brix80%まで濃縮した梅酢360gを加熱装置に入れ、更に40g[10%(w/w)]の果糖を加え、以下製造例5と同じ操作を行った。各加熱時間から採取された各サンプルのMF含有量のHPLC測定結果を表10に示す。
Figure 2005087015
表10に示したように、果糖を添加することにより、製造例5に比べ16時間後に約2.3倍の1.74%のムメフラールの生成が確認できた。4時間後に加熱中の泡立ちが観察された。
MF高含有透明梅エキスの製造
製造例7で得られた濃縮液755gを取り、蒸留水で5.1Kgに希釈した。この希釈液を限外ろ過(MF)膜(旭化成株式会社製、商品名「PSP−103」、孔径0.1μm、寸法42φ×347mm)を用い、入口圧0.1MPa、出口圧0.08MPa、初期循環量9L/分、末期循環量1L/分以下を条件にて、ろ過を行った。ろ過開始後2時間で循環量が1リットル/分以下になった時点で停止して3.6Kgのろ液が得られた。次いで、これを減圧濃縮装置で、温度29〜48℃、真空度81〜25Torrにて濃縮し、梅エキス520gを得た。得られた梅エキスは淡褐色透明であった。
各加熱時間から採取された各サンプル及びろ過処理後のMF含有量のHPLC測定結果を表11に示す。
Figure 2005087015
表11に示したように、ろ過後もMFの含有量は軽減しないことが確認できた。さらに、ろ過後の梅エキスについて、官能試験を行ったところ、従来の梅肉エキスよりも舌触りがなめらかで苦み、雑味を感じないという評価を得た。
また、得られた梅エキス0.5gを取り、蒸留水で10gに希釈して、1410rpmで20分間遠心分離を実施したところ、不溶性の沈殿物は認められなかった。希釈液は、従来の梅肉エキスと比べて透明感が高く、透き通った外観で清浄な液であった。

Claims (8)

  1. 梅の液成分を所定の水分量になるまで濃縮する工程;
    得られた濃縮液をその水分量を保持したまま加熱する工程;及び
    この濃縮液から非水溶性成分を分離する工程;
    を包含する、ムメフラール高含有透明梅エキスの製造方法。
  2. 前記加熱が加圧下で行われる請求項1記載の方法。
  3. 前記加熱が糖類又はクエン酸のいずれかが添加されて行われる請求項1又は2記載の方法。
  4. 前記分離がろ過法により行われる請求項1記載の方法。
  5. 前記ろ過がフィルタとして精密ろ過膜、限外ろ過膜又はナノフィルタ膜を用いて行われる請求項4記載の方法。
  6. 前記分離が遠心分離法によって行われる請求項1記載の方法。
  7. 非水溶性成分を分離した後に残された液を脱色する工程;
    を更に包含する、請求項1記載の方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の方法により製造されたムメフラール高含有透明梅エキス。
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