JP2005083519A - ボールねじ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ナット14の外周部に形成された長孔20に端部が嵌合される略コ字状のボール循環部材が、両端部に前記長孔20に嵌合される脚部19を有し、各脚部19内にボール15をすくい上げる通路21(及び戻す通路)がそれぞれ前記脚部19の外周面に対して傾斜して形成されたサイドキャップ17であり、且つ前記長孔20が両ねじ溝11,13のリード角方向に長い長孔とされ、更に、前記すくい上げ通路21(戻し通路)を前記ねじ軸12の接線方向とすると共に、前記両ねじ溝11,13のリード角方向に傾ける。
【選択図】 図2
Description
ナット6のねじ溝4とねじ軸3のねじ溝2とは互いに対向して両者の間に螺旋状の負荷軌道を形成しており、該負荷軌道には転動体としての多数のボール5が転動可能に装填されている。そして、ねじ軸3(又はナット6)の回転により、ナット6(又はねじ軸3)がボール5の転動を介して軸方向に移動するようになっている。
ダブルナット予圧(D)では、ナットが軸方向に二つに分かれるため、締結部品のコストや組み立て作業に時間がかかることから、特に小リードの場合は、一つのナットの途中でリードを変化させたオフセットリード予圧方式がよく用いられる。
ボールねじ装置の循環方式としては、上述した循環チューブ式の他に、コマ式やエンドキャップ式と呼ばれる方式があり、これらの方式は概略表1のような特徴を持つ。
また、ボールねじ装置の高回転化に伴って、ボールが循環チューブに衝突するスピードが速くなっている。衝突スピードが速くなり、衝突エネルギーが大きくなると、循環チューブやねじ溝(ねじ溝の両肩部など含む)が破損して高速化への妨げとなるため、循環チューブによるボールのすくい上げ方向をねじ軸の略接線方向で、且つ略リード角方向に傾けたものが提案されている。
そこで、従来においては、図12に示すように、ナット6の平坦面に形成する孔7を大きく座ぐったり、斜め(接線方向)に加工するなどの方法がとられてきた(例えば特許文献1参照)。
前記ボール循環部材は、両端部に前記ナットの前記孔に嵌合される脚部を有し、各脚部内に前記ボールをすくい上げる通路及び戻す通路がそれぞれ前記脚部の外周面に対して傾斜して形成されたサイドキャップであり、且つ前記孔が前記両ねじ溝の方向に略平行な長孔とされ、更に、前記すくい上げ通路及び前記戻し通路を前記ねじ軸の略接線方向とすると共に、前記両ねじ溝の略リード角方向に傾けたことを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2において、前記ボールが前記ねじ軸の前記ねじ溝から離れるすくい上げ点の前記ねじ軸の軸中心から見た角度を見かけのすくい上げ角度とした場合に、該見かけのすくい上げ角度を20〜45°、好ましくは36°としたことを特徴とする。
また、前記孔が隣接するねじ溝に干渉する方向(軸方向)ではなく、両ねじ溝のリード角方向に長い長孔となるので、小リードや多条ねじのように小ピッチのねじ溝に対しても適応することができ、しかもナット側の孔加工が単純化され低コスト化を図ることができる。
請求項3では、請求項1又は2の発明に加えて、見かけのすくい上げ角度を20〜45°とすることで、長孔の方向がナット側のねじ溝の螺旋方向へ近づくため、長孔と負荷溝(ボールが通る溝)との干渉を回避することができ、これにより、より小リードで、より小(リード/ボール径)に対応することができる。
サイドキャップ17は、キャップ本体17aと、該キャップ本体17aの下面側に設けられてねじ軸12の軸方向に対して直角方向に延びる柱状又はブロック状等の一対の脚部19とを備えており、一対の脚部19は、ねじ軸12の軸方向に互いに離間し、且つねじ軸12の径方向に互いに離間して配置されている。
また、サイドキャップ17の各脚部19の内部には、ねじ軸12の略接線方向で、且つ両ねじ溝11,13のリード角と略一致する方向に延びるボールすくい上げ(又はボール戻し)通路21が形成され、キャップ本体17aの内部には各ボールすくい上げ通路21間を接続するボール通路22が形成されている。
そして、これらの各ボールすくい上げ通路21及びボール通路22によって、前記両ねじ溝11,13間の軸方向の一方(又は他方)の負荷軌道を転動するボール15をすくい上げて軸方向の他方(又は一方)の負荷軌道に戻すボール循環路をサイドキャップ17内に形成している。
このため、ナット14の平坦面14aには、従来の循環チューブ式ボールねじ装置のように、ねじ軸12に対して垂直方向に長孔20を加工しておき、この長孔20に単純にサイドキャップ17の脚部19をはめ込む構造としながら、脚部19内に形成したボールすくい上げ通路21のボール15の進行方向をねじ軸12の略接線方向で、且つ両ねじ溝11,13のリード角と略一致する方向に傾けることが可能となり、これにより、ナット14の加工が簡単で、且つボール15のすくい上げ通路及び戻し通路の設計的自由度の向上を図ることができる。なお、サイドキャップは樹脂成形化等によりコストダウンが可能である。
図10を参照して、脚部19内にボール15の進行方向をねじ軸12の接線方向で、且つ両ねじ溝11,13のリード角と一致する方向に直線的に傾ける理想的なすくい上げ経路(以下、接線すくい上げ経路という)を形成した場合、その経路はナット14の平坦面14aに対しては垂直ではない。従って、従来のボールねじ装置では、この経路を確保するためには加工工具を傾けてナットの平坦面に孔を穿孔する必要がある。
まず、ナット14のねじ溝13に対する接線すくい上げ経路は変えずに、ナット14の平坦面14aの角度を変えていく。
つまり、接線すくい上げの状態を保ちながら通常のすくい上げ角度を変化させると、この長孔20の形状は変化する。
この場合のすくい上げ角度を見かけのすくい上げ角度γ(ボール15がねじ軸12のねじ溝11から離れるすくい上げ点のねじ軸12の軸中心から見た角度:図2参照))とし、この見かけのすくい上げ角度γを大きくしていくことによって、長孔20が隣接するナット14のねじ溝13と干渉しづらくなることを利用して、小リードや多条ねじのように小ピッチのねじ溝に対しても適応することができる接線すくい上げを実現させる。
見かけのすくい上げ角度γが0°の場合、長孔20の方向はナット14の軸線に平行な方向に長い形状となり、当然、隣接するナット14のねじ溝13と干渉する可能性が大きくなり、現実的ではない。
見かけのすくい上げ角度γが36°の場合、長孔20の長手方向はナット14のねじ溝13とほぼ平行(リード角方向)になり、長孔20の幅を多少大きくしても隣接するナット14のねじ溝13との干渉が抑えられることが判った。この場合の長孔20の形状は、上述した理想経路を包括する最小の長孔と、ボール15を循環させるための経路とを包括する最小の経路となる。
これらのことから、見かけのすくい上げ角度γを20゜〜45°の間とすれば、小ピッチの仕様でも、隣接するねじ溝との干渉を避けた設定が可能であり、この長孔は、単純な形状となるため、加工が容易である。長孔の角度θ(図3参照)は溝と溝とのピッチが大きくなるような仕様(リード、ボール径)の場合は、溝と長孔の干渉がなければ、より加工しやすいようにθ=0でも可能である。
11 ねじ溝(ねじ軸側)
12 ねじ軸
13 ねじ溝(ナット側)
14 ナット
15 ボール
17 サイドキャップ
19 脚部
20 長孔
21 ボールすくい上げ通路(ボール戻し通路)
Claims (3)
- 外周面に螺旋状のねじ溝を有するねじ軸と、該ねじ軸のねじ溝に対応する螺旋状のねじ溝を内周面に有して前記ねじ軸に螺合されるナットと、前記両ねじ溝間に転動可能に装填された多数のボールと、前記両ねじ溝間を転動する前記ボールを途中ですくい上げた後に元の両ねじ溝間に戻して該ボールを無限循環させるべく前記ナットの外周部に形成された孔に端部が嵌合される略コ字状のボール循環部材とを備えたボールねじ装置において、
前記ボール循環部材は、両端部に前記ナットの前記孔に嵌合される脚部を有し、各脚部内に前記ボールをすくい上げる通路及び戻す通路がそれぞれ前記脚部の外周面に対して傾斜して形成されたサイドキャップであり、且つ前記孔が前記両ねじ溝の方向に略平行な長孔とされ、更に、前記すくい上げ通路及び前記戻し通路を前記ねじ軸の略接線方向とすると共に、前記両ねじ溝の略リード角方向に傾けたことを特徴とするボールねじ装置。 - 前記ボールが前記ねじ軸の前記ねじ溝から離れるすくい上げ点近傍で前記長穴の幅寸法を前記すくい上げ通路及び前記戻し通路の径と略同じにして、該長孔の側壁を前記ボールの循環経路の一部として用いることを特徴とする請求項1に記載したボールねじ装置。
- 前記ボールが前記ねじ軸の前記ねじ溝から離れるすくい上げ点の前記ねじ軸の軸中心から見た角度を見かけのすくい上げ角度とした場合に、該見かけのすくい上げ角度を20〜45°としたことを特徴とする請求項1又は2に記載したボールねじ装置。
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