JP2005082716A - メタクリル系重合体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 無色透明性に優れ、耐熱分解性にも優れたメタクリル系重合体を提供する。
【解決手段】 メタクリル酸メチル単位88〜100質量%と、炭素数が1〜8のアクリ
ル酸アルキルエステル単位0〜12質量%とを含むメタクリル系重合体であって、その重
合体末端に結合せず硫黄化学発光検出器付ガスクロマトグラフィで求められる硫黄系化合
物中の全硫黄濃度が5ppm以下であり、且つ重合体末端の結合硫黄量X(質量%)が、
下記式(1)の範囲内にあるメタクリル系重合体。
75(質量%)≦(X/32)×Mn≦100(質量%) (1)
(式中、Mnはメタクリル系重合体の数平均分子量を表す。)
【選択図】 なし

Description

本発明は、無色透明性に優れ、光学部品に好適なメタクリル系重合体に関する。
メタクリル系樹脂は、優れた光学的性質、耐候性及び高い機械的性質を有しているため
、自動車用部品、照明器具、OA機器部品などに用いられている。更に近年においては、
導光板や各種レンズにも広く用いられている。これらの部品等は、メタクリル系樹脂の押
し出し成形や射出成形によって得られるが、その際の成形温度は通常200〜280℃の
範囲で行われている。特に近年、光学部品が大型化し、それらが射出成形や押出し成形に
よって生産される機会が多くなっている。さらに、その生産性を上げるために、成形サイ
クルは短い方が好ましく、樹脂の流動性向上のために成形温度が更に高温化する傾向にあ
る。
しかしながら、メタクリル系樹脂は250℃を超えると熱分解反応が顕著になる傾向が
あり、この熱分解温度と成形温度とが同一範囲にあるため、成形温度が高くなるに伴い、
成形後の光学部品等が着色することがある。光学部品が着色すると、色調の変化、光線透
過率の低下など光学部品としての機能に悪影響を与える可能性もあり、成形加工上の問題
を引き起こす要因となり好ましくない。更に、成形加工時にジッパー反応とよばれるポリ
マー自身の熱分解が起こり、滞留劣化によって発生した単量体が成形品中に残存すること
がある。成形品中の残存単量体量が増加すると、成形品の耐熱性が低下したり、成形時に
シルバー等が発生して成形品の外観が悪化し歩留まりが低下したりすることがあって好ま
しくない。
これまで、メタクリル系樹脂の熱安定性改善を目的とした技術として、メルカプタン末
端を増加させることにより重合体の熱安定性を向上させる方法(例えば、特許文献1参照
。)、またヒンダードフェノール類やリン系抗酸化剤を少量添加することによりメタクリ
ル系樹脂の熱分解を抑制する方法が知られている。
更に、成形時の着色を少なくする方法としては、ホスファイト化合物を添加する方法(
例えば、特許文献2参照。)、黄帯色を目立たなくする方法として染顔料を添加する方法
(例えば、特許文献3参照。)などが提案されている。
特開平10−87739号公報 特開平7−331018号公報 特開平6−313114号公報
しかしながら、近年においては、より高品質化、高生産性への要求があり、射出成形の
高速化、押出成形での長時間連続運転が図られており、メタクリル系樹脂には更なる高透
明化、低黄帯色化が望まれている。また、押出成形における樹脂の滞留劣化防止を図るた
め、優れた耐熱分解性を有するメタクリル系樹脂の開発は勿論のこと、射出成形時におい
てメタクリル系樹脂の耐熱性不足に由来する異物増加や、流動性の変化の低減がさらに強
く要求されている。
一方、これらの要求に対して、特許文献1の技術は、重合にポイントを置いたものであ
り、重合後の重合体の取り出しまでを含めた後処理では必ずしも充分に対応できるもので
はなかった。また、特許文献2のようにホスファイト化合物を添加する方法においては、
その添加量によってはメタクリル系樹脂がより吸水しやすくなることや、ホスファイト系
化合物自身の分解による悪影響もあった。加えて、抗酸化剤を添加する方法では、熱着色
による透明性低下を引き起こすことがあり、この点でも改善の余地を有していた。また、
特許文献3のように染顔料を添加する方法においては、添加量によっては成形品の光線透
過率の低下を招くことがあった。
したがって、できるだけ添加剤を加えることなく、従来品と比べて高い生産性を実現す
る過酷な成形条件下においても良好な成形性を示し、無色透明性に優れ、且つ熱安定性に
優れた光学部品に適したメタクリル系樹脂を構成するメタクリル系重合体が望まれている
これらの課題を解決するため鋭意検討した結果、重合体末端に結合していない硫黄系化
合物中の全硫黄濃度と、重合体末端の結合硫黄量X(質量%)とを特定の範囲内にするこ
とによって、無色透明性に優れ、高温状態においても高分子末端が安定であり耐熱分解性
に優れたメタクリル系重合体を得て、本発明を完成するに至った。
本発明の要旨は、メタクリル酸メチル単位88〜100質量%と、炭素数が1〜8のア
クリル酸アルキルエステル単位0〜12質量%とを含むメタクリル系重合体であって、そ
の重合体末端に結合せず硫黄化学発光検出器付ガスクロマトグラフィで求められる硫黄系
化合物中の全硫黄濃度が5ppm以下であり、且つ重合体末端の結合硫黄量X(質量%)
が、下記式(1)の範囲内にあるメタクリル系重合体にある。
75(質量%)≦(X/32)×Mn≦100(質量%) (1)
(式中、Mnはメタクリル系重合体の数平均分子量を表す。)
メタクリル系重合体の数平均分子量は2万以上8万以下であることが好ましい。
また、本発明の要旨は、メタクリル酸メチル85〜100質量%と、炭素数が1〜8の
アクリル酸アルキルエステル0〜15質量%とを含む重合性原料を連続塊状重合または連
続溶液重合して、未反応の重合性原料を含む揮発性成分を190℃以上225℃以下で脱
揮する前述のメタクリル系重合体を製造する方法にある。
本発明によって、無色透明性に優れ、耐熱分解性にも優れたメタクリル系重合体が得ら
れる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のメタクリル系重合体はメタクリル酸メチル単位88〜100質量%と、炭素数
が1〜8のアクリル酸アルキルエステル単位0〜12質量%とを含む。メタクリル酸メチ
ル単位が88質量%以上であると、重合体の耐熱性が向上する。好ましくは90質量%以
上である。上限は100質量%以下である。
炭素数が1〜8のアクリル酸アルキルエステル単位を含むことで、メタクリル系重合体
の流動性や耐熱分解性が良好となる。メタクリル系重合体の耐熱性、耐薬品性の観点から
は、その含有量は少ないほうが好ましく、10質量%以下であることが好ましい。0質量
%であってもよい。
本発明のメタクリル系重合体を構成する炭素数が1〜8のアクリル酸アルキルエステル
単位となるアクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリ
ル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。
これらは併用することもできる。これらのうち、アクリル酸メチル、アクリル酸エチルお
よびアクリル酸n−ブチルのなかの少なくとも1種であることが好ましい。
本発明のメタクリル系重合体は、その重合体末端に結合せず硫黄化学発光検出器付ガス
クロマトグラフィで求められる硫黄系化合物中の全硫黄濃度が5ppm以下である。5p
pm以下であると、その成形品が黄帯色することなく無色透明性に優れた材料となる。3
ppm以下であることが好ましく、低い方がより好ましい。なお、本発明における「pp
m」は「(質量)ppm」を意味する。
本発明における重合体末端に結合せず硫黄化学発光検出器付ガスクロマトグラフィで求
められる硫黄系化合物中の全硫黄濃度とは、メタクリル系重合体をアセトンやクロロホル
ム等の良溶媒に溶解後、メタノールやn−ヘキサン等の貧溶媒にてポリマーを再沈・除去
した際に貧溶媒に抽出され、その貧溶媒において硫黄化学発光検出器付ガスクロマトグラ
フィで検出される成分を指す。
なお、硫黄化学発光検出器付ガスクロマトグラフィとは、原子発光検出器の一つであっ
て、特に有機ハロゲン化合物や有機金属化合物に高感度を示すガスクロマトグラフィに付
設される検出器の一種のことであり、SIEVERS社製のSIEVER355等が挙げ
られる。
検出される硫黄系化合物としてはジアルキルジスルフィド、メタクリル酸メチル単量体
へのメルカプタン付加物、メタクリル酸メチルのダイマー・トリマー等のオリゴマーへの
メルカプタン付加物、メルカプタン断片とメタクリル酸メチルの反応物等が挙げられる。
全硫黄濃度とは、メタクリル系重合体中の前述の硫黄系化合物中に含有される硫黄濃度の
ことである。
本発明のメタクリル系重合体は、重合体末端の結合硫黄量X(質量%)が、下記式(1
)の範囲内にある。
75(質量%)≦(X/32)×Mn≦100(質量%) (1)
(式中、Mnはメタクリル系重合体の数平均分子量を表す。)
ここで、「32」は硫黄の分子量である。(X/32)×Mnの値が100(質量%)
の場合は、分子末端に平均1個の硫黄が結合していることを意味し、末端二重結合が0で
あることを意味する。重合体中の硫黄停止末端量Xは、メタクリル系重合体をアセトンや
クロロホルム等の良溶媒に溶解後、メタノールやn−ヘキサン等の貧溶媒にて再沈させた
ポリマーを、後述する蛍光X線分析により測定することができる。
なお、上記(X/32)×Mnの値は、85(質量%)以上であれば重合体の熱安定性
がさらに向上して好ましい。重合体末端の結合硫黄量が75(質量%)未満では、メタク
リル系重合体をペレット化する場合の押出し機内や、ペレット成形加工時の成形機内シリ
ンダー部で樹脂温度は250℃以上になる場合が多いため、重合体自身の熱分解が起こり
、材料としての特性低下を引き起こす要因となり、成形品の黄帯色や外観不良等が発生し
て好ましくない。
本発明のメタクリル系重合体の数平均分子量は、2万〜8万であることが好ましく、3
万〜6万であることがより好ましい。このような範囲内とすることによって、成形性を良
好に維持しつつ充分な強度を有する成形品を得ることができる。なお数平均分子量はGP
C(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)を用いてPMMAを標準試料として測定し
た値とする。
本発明のメタクリル系重合体には、必要に応じて、離型剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤
、染顔料等の他の成分を添加することができる。その添加方法は、重合前の単量体に他の
成分を溶解して重合する方法、得られた重合体と他の成分とをブレンド後、ペレット化す
る方法などが挙げられる。
本発明のメタクリル系重合体は、光学部品に好適であるが、成形品のシルバーや発泡な
どの不具合を避けるためペレット化後、アルミニウム箔をラミネートしたポリエチレンフ
ィルムとクラフト紙とを積層した防湿袋にて梱包することが好ましい。一般の紙袋等にて
梱包すると、移送、保管中に吸湿して上述の不具合を引き起こす可能性があり好ましくな
い。更に、吸湿した水分を除去するには長時間の乾燥が必要となり成形品の黄帯色、樹脂
の物性変化にも影響を与える可能性があって好ましくない。
本発明のメタクリル系重合体からなる樹脂は無色透明であることから、光学部品に好適
である。光学部品としては映像系レンズ、光ディスク、光ファイバー、各種導光体、導光
板などが挙げられ、特にコンピューター画面やその他液晶画面等のモニター部の導光体に
好適である。また、本発明のメタクリル系重合体を光学部品に成形する方法としては、射
出成形、押出し成形など、公知の成形方法を用いることができる。
本発明のメタクリル系重合体を製造する方法としては、メタクリル酸メチル85〜10
0質量%と、炭素数が1〜8のアクリル酸アルキルエステル0〜15質量%とを含む重合
性原料を連続塊状重合または連続溶液重合し、未反応の重合性原料を含む揮発性成分を1
90℃以上225℃以下で脱揮する方法が好ましい。炭素数が1〜8のアクリル酸アルキ
ルエステルとしては、前述のものが挙げられる。
本発明の製造方法においては、重合性原料に連鎖移動剤として、たとえばアルキルメル
カプタンを用いることができる。それらの中でも、炭素数3〜12のアルキルメルカプタ
ンが好ましく、炭素数3〜5のアルキルメルカプタンが脱揮性、低臭気性からより好まし
い。このようなメルカプタンとして、n−プロピルメルカプタン、イソブチルメルカプタ
ン、n−ブチルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、n−ヘプチルメルカプタン、
n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタ
ン等が挙げられ、特にn−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン等の直鎖アル
キルメルカプタン類が好ましい。連鎖移動剤の添加量の下限は、重合性原料を構成する単
量体100質量部に対して、0.05質量部以上であることが好ましく、0.1質量部以
上であることがより好ましく、0.3質量部以上であることが更に好ましい。添加量が少
なすぎると、重合体の分子量が高くなりすぎて成形材料としての使用に支障となる場合が
ある。一方、連鎖移動剤の添加量の上限は、1.0質量部以下であることが好ましく、0
.5質量部以下であることがより好ましい。添加量が多すぎると、重合体末端の結合硫黄
量X(質量%)が増加して重合体の耐熱分解性は向上するが、その半面、重合体中の硫黄
系化合物の総量が高くなりすぎて、成形品の黄帯色が著しく悪化する原因となったり、重
合体の分子量が低くなりすぎて成形品に充分な強度が得られなくなる場合がある。
重合体末端の結合硫黄量X(質量%)が75(質量%)以上100(質量%)以下の重
合体を得るには、重合開始剤及び連鎖移動剤の使用量を調整し、更に重合温度及びその設
備全体の温度、更に、重合時間を綿密にコントロールすることが必要である。一般的には
、重合開始剤量は少なく、連鎖移動剤を多くし100〜150℃の低温にて1〜3時間程
度の長時間重合することが好ましい。特に、連鎖移動剤の使用量を適切に選択し、重合体
を得るまでの温度を適度に低くすることが重要となる。重合開始剤としては、2,2’−
アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメ
チル2,2’−アゾビスイソブチレート等のアゾ化合物、tert−ブチルパーオキシラ
ウレート、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、tert−ブチルパーオキシ2
−エチルヘキサネート、tert−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサネ
ート等の有機過酸化物等の重合開始剤が好ましい。得られた樹脂が着色しやすいことから
、金属錯体等からなる触媒を開始剤として用いることは好ましくない。
本発明のメタクリル系重合体の製造方法としては、公知のラジカル重合方法を用いるこ
とができる。その方法としては、連続塊状重合法、連続溶液重合法、バッグ重合法等が挙
げられる。特に、本発明のメタクリル系重合体を得る際には、特開昭58−88701号
公報や、特開2000−26507号公報等に記載してある連続塊状重合法で製造される
ことが物性、生産性、経済性の面からも最適である。
得られたメタクリル系重合体の重合体末端に結合せず硫黄化学発光検出器付ガスクロマ
トグラフィで求められる硫黄系化合物中の全硫黄濃度を5ppm以下とする方法としては
、連続塊状重合法や連続溶液重合法において、未反応の重合性原料を含む揮発性成分と重
合体とを含む反応液から、未反応の重合性原料を含む揮発性成分を脱揮押出機や薄膜蒸発
器によって脱揮する際に低温で脱揮する方法、高温で脱揮された重合体や他の製造方法で
重合された重合体を良溶媒で再溶解後、貧溶媒を用いて再沈する方法が挙げられる。工業
的に大量生産する場合には、低温で脱揮する方法が好ましい。
全硫黄濃度を5ppm以下とする観点からは、低温脱揮の条件として重合温度程度の低
温で脱揮することが好ましいが、脱揮する際の温度が低すぎると、高沸点の揮発性成分の
脱揮が不充分、生産性の低下等の問題が生じるため190℃以上で脱揮することが好まし
い。上限は225℃以下であることが好ましく、220℃以下であることがより好ましい
。脱揮温度が高すぎると、脱揮時に未反応のメタクリル酸メチルがダイマーやトリマーに
なりメルカプタンと結合して、得られるメタクリル系重合体中に残存することによって、
全硫黄濃度が高くなると推定される。なお、脱揮する際の温度とは、未反応の重合性原料
を含む揮発性成分と重合体と含む反応液を脱揮押出機や薄膜蒸発機によって脱揮する時に
おける、それらの装置に注入する際の反応液加熱温度のことである。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定さ
れるものではない。なお、各実施例、比較例中「部」とあるのは特にことわりのない限り
「質量部」を、「%」とあるのは特にことわりのない限り「質量%」、「ppm」は「(
質量)ppm」を示す。また、以下の実施例および比較例中の各種物性の測定および性能
評価は以下の方法により測定および評価した。
(1)重合体に占めるその重合体末端に結合せず硫黄化学発光検出器付ガスクロマトグ
ラフィで求められる硫黄系化合物中の全硫黄濃度測定
重合体の一定量をアセトンに溶解し、メタノールを用いて重合体に結合しない成分を抽
出、メタノール層をエバポーレーターにて濃縮した後、内部標準物質として、ジエチルジ
スルフィド希釈液(ジエチルジスルフィド0.25mlをアセトンで希釈し全量を100
mlとする。更にその1mlをアセトンで希釈し全量を100mlとする。)0.20m
l(硫黄として0.0026mg含有)を添加しAgilent Technologi
es製ガスクロマトグラフィHP−6890を用い、分離カラムはHP−5(0.32m
m径、30m長、0.25μm膜厚)、カラム測定温度プログラム60℃/1分→(10
℃/min)→250℃/5分→(10℃/min)→300℃/2分、キャリヤーガス
He(1.2ml/min、線速度40cm/sec)、硫黄化学発光検出器付ガスクロ
マトグラフ(GC/SCD)法にて測定した。GC/SCDで得られるピーク強度は硫黄
濃度に比例するため、検出ピークをフルスケール200μVで表示し、検出されたピーク
の中で、内部標準物質及び使用されたメルカプタンの未反応物ピークを除いた検出ピーク
の中から、ピーク面積50[μV/S]以上を全てピークと見なした。硫黄系化合物中の
全硫黄濃度の求め方は、(全ピーク面積−内部標準物質及び使用メルカプタンのピーク面
積)/内部標準物質のピーク面積=ピーク面積比(A)とし、硫黄系化合物中の全硫黄濃
度ppm=A×0.0026×1000/樹脂採取量 として求めた。
(2)重合体の数平均分子量測定
重合体をアセトンに溶解し、n−ヘキサン中で再沈、真空乾燥させた試料をテトラヒド
ロフラン(THF)に40℃で1時間かけて溶解させた後、東ソー(株)製 液体クロマ
トグラフィーHLC−8020GPCを用いた。分離カラムはTSK-GelのSupe
rHM−H2本直列、溶媒はTHF(テトラヒドロフラン)、流量0.6ml/min、
検出器は示差屈折計、測定温度40℃、注入量0.01ml、標準ポリマーとしてPMM
Aを使用した。
(3)重合体の結合硫黄量の測定及び硫黄停止末端含有量(式(1)の値)の算出
重合体の硫黄停止末端量(式(1)の値)を求めるために、試料を予めアセトンに溶解
し、n−ヘキサンにて再沈した後、60℃で24時間真空乾燥することによって重合体に
含有する未反応メルカプタン、重合体末端に結合していない硫黄系化合物、硫黄系添加剤
を完全に除去して、重合体末端に結合した硫黄のみを測定した。真空乾燥した試料を室温
で加圧成形し、理学電機工業(株)製ZSX100e型 蛍光X線分析装置を用いた測定
から重合体末端に結合した硫黄量X(質量%)を求めた。更に、(X/32)×Mnから
重合体の硫黄停止末端量(式(1)の値)を算出した。
(4)成形試験における黄帯色及び熱安定性評価
射出成型機 東芝(株)製IS220Fを用いて、200×30×10mmの金型を取
り付け、ノズル温度290℃、金型温度80℃、成形サイクル120秒の条件で射出成形
を行い、得られた成形品の外観評価(目視による黄帯色及びシルバー発生等)を行い、成
形品の黄帯色と重合体中の硫黄系化合物の総量を比較した。
[実施例1]
メタクリル酸メチル98%、アクリル酸メチル2%の単量体混合物100部に、1,1
−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.005部、
n−ブチルメルカプタン0.35部を含む重合性原料を連続的に重合反応機に供給し、重
合温度130℃、釜滞留時間3時間で連続塊状重合した。重合率は40%であった。この
反応液を重合反応機から連続的に取り出し210℃に加熱して脱揮押し出し機に注入して
、未反応の重合性原料を含む揮発性成分を脱揮しながらペレット化し、防湿梱包袋にて包
装した。得られたペレットを上述の方法で評価した結果、ポリマー中の硫黄系化合物中の
全硫黄濃度は2.1ppm、数平均分子量(Mn)は37000、また重合体中の重合体
末端の結合硫黄量Xは、0.075%、X/32×Mnで示される値は87%であった。
更に、重合体の成形で得られた試片を、長さ方向から黄帯色の目視観察を行ったところ、
無色透明で極めて良好な成形品が得られた。更に、成形品の外観評価を行ったがシルバー
や発泡は見られず熱安定性においても良好であった。
[比較例1]
メタクリル酸メチル98%、アクリル酸メチル2%の単量体混合物100部に、2,2
’−アゾビスイソブチロニトリル0.10部、n−ブチルメルカプタン0.36部を含む
重合性原料と、懸濁安定剤であるポリメタクリル酸塩0.3部と、純水150部とを重合
反応槽に仕込み、70℃で重合し約3時間後に発熱ピークを得る重合プロフィールで重合
した。重合終了後冷却、濾過洗浄、乾燥を経てビーズ状重合体を得た。更に押し出し機で
重合体をペレット化した後、上述の方法で評価した結果、重合体中の硫黄系化合物中の全
硫黄濃度は7.8ppm、数平均分子量(Mn)は40000、また重合体中の重合体末
端の結合硫黄量Xは0.070%、X/32×Mnで示される値は88%であった。重合
体の成形で得られた試験片は黄帯色が見られた。黄帯色の悪化は、重合体中の硫黄系化合
物中の全硫黄濃度が7.8ppmであったためと考えられる。しかし、成形品の外観評価
はシルバーや発泡の発生は無く、良好であった。
[比較例2]
実施例1において、脱揮押し出し機に注入する反応液を230℃に加熱すること以外は
、実施例1と同様にメタクリル系樹脂の重合を行った。得られた重合体を上述の方法で評
価した結果、重合体中の硫黄系化合物中の全硫黄濃度は6ppm、数平均分子量(Mn)
は34000、また重合体中の重合体末端の結合硫黄量Xは0.074%、X/32×M
nで示される値は78%、更に、重合体の成形で得られ試片を、白色紙をバックに黄帯色
の目視観察を行ったところ、僅かに黄帯色が見られた。しかし、シルバーや発泡は見られ
ず熱安定性においては良好であった。
[比較例3]
実施例1において、メルカプタン量を0.25部とし、実施例1とほぼ同じ分子量とな
るように重合開始剤量を調整すること以外は実施例1と同様にメタクリル系樹脂の重合を
行った。得られた重合体を上述の方法で評価した結果、重合体中の硫黄系化合物中の全硫
黄濃度は1.8ppm、数平均分子量(Mn)は43000、また重合体中の重合体末端
の結合硫黄量Xは、0.051%、X/32×Mnで示される値は68%、更に、重合体
の成形で得られた試片を、白色紙をバックに黄帯色の目視観察を行ったところ、無色透明
で黄帯色は見られなかったが、成形品に僅かにシルバーが観察され熱安定性に問題があっ
た。
[比較例4]
実施例1において、重合温度を130℃から170℃とし、実施例1とほぼ同じ分子量
となるように重合開始剤及びメルカプタン量を調整すること以外は、実施例1と同様にメ
タクリル系樹脂の重合を行った。得られた重合体を上述の方法で評価した結果、重合体中
の硫黄系化合物中の全硫黄濃度は2.3ppm、数平均分子量(Mn)は42000、ま
た重合体中の重合体末端の結合硫黄量Xは0.050%、X/32×Mnで示される値は
66%、更に、重合体の成形で得られた試片を、白色紙をバックに黄帯色の目視観察を行
ったところ、無色透明で黄帯色は見られなかったが、成形品に僅かにシルバーが観察され
熱安定性に問題があった。
本発明によって、透明性に優れ、光学部品に好適なメタクリル系樹脂を構成するメタク
リル系重合体が得られる。そのメタクリル系樹脂は、各種の光学部品、例えば、光学レン
ズ、光ディスク、光ファイバー、導光体、導光板などに使用することができる。

Claims (5)

  1. メタクリル酸メチル単位88〜100質量%と、炭素数が1〜8のアクリル酸アルキル
    エステル単位0〜12質量%とを含むメタクリル系重合体であって、その重合体末端に結
    合せず硫黄化学発光検出器付ガスクロマトグラフィで求められる硫黄系化合物中の全硫黄
    濃度が5ppm以下であり、且つ重合体末端の結合硫黄量X(質量%)が、下記式(1)
    の範囲内にあるメタクリル系重合体。
    75(質量%)≦(X/32)×Mn≦100(質量%) (1)
    (式中、Mnはメタクリル系重合体の数平均分子量を表す。)
  2. 数平均分子量が2万以上8万以下である請求項1に記載のメタクリル系重合体。
  3. 請求項1または請求項2に記載のメタクリル系重合体からなる光学部品。
  4. 請求項1または請求項2に記載のメタクリル系重合体からなる導光板。
  5. メタクリル酸メチル85〜100質量%と、炭素数が1〜8のアクリル酸アルキルエス
    テル0〜15質量%とを含む重合性原料を連続塊状重合または連続溶液重合して、未反応
    の重合性原料を含む揮発性成分を190℃以上225℃以下で脱揮する請求項1に記載の
    メタクリル系重合体を製造する方法。
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