JP2005082640A - 炭素繊維複合材料及びその製造方法、並びに炭素繊維複合成形品 - Google Patents

炭素繊維複合材料及びその製造方法、並びに炭素繊維複合成形品 Download PDF

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徹 野口
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Abstract

【課題】 カーボンナノファイバーが均一に分散された、炭素繊維複合材料およびその製造方法、並びに炭素繊維複合成形品を提供する。
【解決手段】 炭素繊維複合材料の製造方法は、カーボンナノファイバー40に対して親和性を有する不飽和結合または基を有するエラストマー30と、カップリング剤60と、カーボンナノファイバー40と、を混合し、かつ剪断力によってカーボンナノファイバーをエラストマーに分散させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、炭素繊維複合材料およびその製造方法、並びに炭素繊維複合成形品に関する。
近年、カーボンナノファイバーを用いた複合材料が注目されている。このような複合材料は、カーボンナノファイバーを含むことで、機械的強度などの向上が期待されている。
しかしながら、カーボンナノファイバーは相互に強い凝集性を有するため、複合材料の基材にカーボンナノファイバーを均一に分散させることが非常に困難とされている。そのため、現状では、所望の特性を有するカーボンナノファイバーの複合材料を得ることが難しく、また、高価なカーボンナノファイバーを効率よく利用することができない。
そこで、本発明の目的は、カーボンナノファイバーが均一に分散された、炭素繊維複合材料およびその製造方法、並びに炭素繊維複合成形品を提供することにある。
本発明にかかる炭素繊維複合材料の製造方法は、カーボンナノファイバーに対して親和性を有する不飽和結合または基を有するエラストマーと、カップリング剤と、前記カーボンナノファイバーと、を混合し、かつ剪断力によって前記カーボンナノファイバーを前記エラストマーに分散させる。
本発明の炭素繊維複合材料の製造方法においては、エラストマーの不飽和結合または基が、カーボンナノファイバーの活性な部分、特にカーボンナノファイバーの末端のラジカルと結合することにより、カーボンナノファイバーの凝集力を弱め、その分散性を高め、エラストマー中に均一に分散された炭素繊維複合材料となる。
また、カーボンナノファイバーとエラストマーとは、濡れ性すなわち付着性があまりよくないが、本発明の炭素繊維複合材料の製造方法においては、カップリング剤を用いることで、カップリング剤がカーボンナノファイバーとエラストマーとの濡れ性を改善し、かつ剪断力をかけたときの分散性を向上することができる。カップリング剤は、シラン系、チタン系及びアルミニウム系カップリング剤の少なくとも一種を用いることが好ましい。
本発明におけるエラストマーは、ゴム系エラストマーあるいは熱可塑性エラストマーのいずれであってもよい。また、ゴム系エラストマーの場合、エラストマーは架橋体あるいは未架橋体のいずれであってもよい。原料エラストマーとしては、ゴム系エラストマーの場合、未架橋体が用いられる。熱可塑性エラストマーの内、特にエチレンプロピレンゴム(EPDM)は、カーボンナノファイバーが分散されにくいが、本発明においては、カップリング剤によるカーボンナノファイバーとエチレンプロピレンゴム(EPDM)との濡れ性及び分散性を改善させることができる。
本発明にかかる炭素繊維複合材料の製造方法において、前記エラストマーに前記カーボンナノファイバーを混合させる前に、金属粒子を前記エラストマーに混合することができる。
このように金属粒子を混合することで、エラストマーに剪断力をかけたときに、金属粒子のまわりに複雑な乱流のような流れが発生するものと思われ、この流れによってエラストマーがカーボンナノファイバーをさらに分散させることができる。カップリング剤によって濡れ性の改善されたカーボンナノファイバーとエラストマーは、このエラストマーの流れによって、より分散性を向上させることができる。
前記エラストマーにカーボンナノファイバーを剪断力によって分散させる工程は、
(a)ロール間隔が0.5mm以下のオープンロール法、
(b)ロータ間隙が1mm以下の密閉式混練法、
(c)スクリュー間隙が0.3mm以下の多軸押出し混練法、などを用いて行うことができる。
また、本発明にかかる炭素繊維複合材料を、架橋するとともに成形する工程をさらに有する炭素繊維複合成形品の製造方法は、前述したようにカーボンナノファイバーが均一に分散された炭素繊維複合材料を架橋することによって、金属粒子によってカーボンナノファイバーを均一に分散させることができた炭素繊維複合成形品を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施の形態にかかる炭素繊維複合材料の製造方法は、カーボンナノファイバーに対して親和性を有する不飽和結合または基を有するエラストマーと、カップリング剤と、前記カーボンナノファイバーとを混合し、かつ剪断力によって前記カーボンナノファイバーを前記エラストマーに分散させる。
また、本発明にかかる炭素繊維複合成形品は、前記炭素繊維複合材料を、架橋するとともに成形する工程をさらに有することができる。
エラストマーは、例えば、カーボンナノファイバーと親和性が高いことの他に、分子長がある程度の長さを有すること、柔軟性を有すること、などの特徴を有することが望ましい。また、エラストマーにカーボンナノファイバーを剪断力によって分散させる工程は、できるだけ高い剪断力で混練されることが望ましい。
(a)まず、エラストマーについて説明する。
エラストマーは、分子量が好ましくは5000ないし500万、さらに好ましくは2万ないし300万である。エラストマーの分子量がこの範囲であると、エラストマー分子が互いに絡み合い、相互につながっているので、エラストマーは、凝集したカーボンナノファイバーの相互に侵入しやすく、したがってカーボンナノファイバー同士を分離する効果が大きい。エラストマーの分子量が5000より小さいと、エラストマー分子が相互に充分に絡み合うことができず、後の工程で剪断力をかけてもカーボンナノファイバーを分散させる効果が小さくなる。また、エラストマーの分子量が500万より大きいと、エラストマーが固くなりすぎて加工が困難となる。
エラストマーは、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって、30℃で測定した、未架橋体におけるネットワーク成分のスピン−スピン緩和時間(T2n/30℃)が好ましくは100ないし3000μ秒、より好ましくは200ないし1000μ秒である。上記範囲のスピン−スピン緩和時間(T2n/30℃)を有することにより、エラストマーは、柔軟で充分に高い分子運動性を有することができる。このことにより、エラストマーとカーボンナノファイバーとを混合したときに、エラストマーは高い分子運動によりカーボンナノファイバー相互の隙間に容易に侵入することができる。スピン−スピン緩和時間(T2n/30℃)が100μ秒より短いと、エラストマーが充分な分子運動性を有することができない。また、スピン−スピン緩和時間(T2n/30℃)が3000μ秒より長いと、エラストマーが液体のように流れやすくなり、カーボンナノファイバーを分散させることが困難となる。
また、エラストマーは、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって30℃で測定した、架橋体における、ネットワーク成分のスピン−スピン緩和時間(T2n)が100ないし2000μ秒であることが好ましい。その理由は、上述した未架橋体と同様である。すなわち、上記の条件を有する未架橋体を本発明の製造方法によって架橋化すると、得られる架橋体のT2nはおおよそ上記範囲に含まれる。
パルス法NMRを用いたハーンエコー法によって得られるスピン−スピン緩和時間は、物質の分子運動性を表す尺度である。具体的には、パルス法NMRを用いたハーンエコー法によりエラストマーのスピン−スピン緩和時間を測定すると、緩和時間の短い第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)を有する第1の成分と、緩和時間のより長い第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)を有する第2の成分とが検出される。第1の成分は高分子のネットワーク成分(骨格分子)に相当し、第2の成分は高分子の非ネットワーク成分(末端鎖などの枝葉の成分)に相当する。そして、第1のスピン−スピン緩和時間が短いほど分子運動性が低く、エラストマーは固いといえる。また、第1のスピン−スピン緩和時間が長いほど分子運動性が高く、エラストマーは柔らかいといえる。
パルス法NMRにおける測定法としては、ハーンエコー法でなくてもソリッドエコー法、CPMG法(カー・パーセル・メイブーム・ギル法)あるいは90゜パルス法でも適用できる。ただし、本発明にかかる炭素繊維複合材料は中程度のスピン−スピン緩和時間(T2)を有するので、ハーンエコー法が最も適している。一般的に、ソリッドエコー法および90゜パルス法は、短いT2の測定に適し、ハーンエコー法は、中程度のT2の測定に適し、CPMG法は、長いT2の測定に適している。
エラストマーは、主鎖、側鎖および末端鎖の少なくともひとつに、カーボンナノファイバー、特にその末端のラジカルに対して親和性を有する不飽和結合または基を有するか、もしくは、このようなラジカルまたは基を生成しやすい性質を有する。かかる不飽和結合または基としては、二重結合、三重結合、α水素、カルボニル基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、ニトリル基、ケトン基、アミド基、エポキシ基、エステル基、ビニル基、ハロゲン基、ウレタン基、ビューレット基、アロファネート基および尿素基などの官能基から選択される少なくともひとつであることができる。
カーボンナノファイバーは、通常、側面は炭素原子の6員環で構成され、先端は5員環が導入されて閉じた構造となっているが、構造的に無理があるため、実際上は欠陥を生じやすく、その部分にラジカルや官能基を生成しやすくなっている。本実施の形態では、エラストマーの主鎖、側鎖および末端鎖の少なくともひとつに、カーボンナノファイバーのラジカルと親和性(反応性または極性)が高い不飽和結合や基を有することにより、エラストマーとカーボンナノファイバーとを結合することができる。このことにより、カーボンナノファイバーの凝集力にうち勝ってその分散を容易にすることができる。
エラストマーとしては、天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレンプロピレンゴム(EPR,EPDM)、ブチルゴム(IIR)、クロロブチルゴム(CIIR)、アクリルゴム(ACM)、シリコーンゴム(Q)、フッ素ゴム(FKM)、ブタジエンゴム(BR)、エポキシ化ブタジエンゴム(EBR)、エピクロルヒドリンゴム(CO,CEO)、ウレタンゴム(U)、ポリスルフィドゴム(T)などのエラストマー類;オレフィン系(TPO)、ポリ塩化ビニル系(TPVC)、ポリエステル系(TPEE)、ポリウレタン系(TPU)、ポリアミド系(TPEA)、スチレン系(SBS)、などの熱可塑性エラストマー;およびこれらの混合物を用いることができる。本発明者の研究によって、特にエチレンプロピレンゴム(EPR,EPDM)においてカーボンナノファイバーを分散させにくいことが判っている。
(b)次に、金属粒子について説明する。
金属粒子は、エラストマー中に混合し、分散させておいて、カーボンナノファイバーを混合させるときにカーボンナノファイバーをさらに良好に分散させるものである。金属粒子としては、アルミニウム及びその合金、マグネシウム及びその合金、鉄及びその合金などの粒子を単体でもしくは組み合わせて用いることができる。金属粒子は、使用するカーボンナノファイバーの平均直径よりも大きい平均粒径であることが好ましい。また、金属粒子の平均粒径は500μm以下、好ましくは1〜300μmである。金属粒子の形状は、球形粒状に限らず、混合時に金属粒子のまわりに乱流状の流動が発生する形状であれば平板状、りん片状であってもよい。
(c)次に、カーボンナノファイバーについて説明する。
カーボンナノファイバーは、平均直径が0.5ないし500nmであることが好ましいく、炭素繊維複合材料の強度を向上させるためには0.5ないし30nmであることがさらに好ましい。さらに、カーボンナノファイバーは、ストレート繊維状であっても、湾曲繊維状であってもよい。
カーボンナノファイバーの配合量は、特に限定されず、用途に応じて設定できる。本実施の形態の炭素繊維複合材料は、架橋体エラストマー(炭素繊維複合成形品)、未架橋体エラストマーあるいは熱可塑性ポリマーをそのままエラストマー系材料として用いることができ、あるいは金属や樹脂の複合材料の原料として用いることができる。本実施の形態の炭素繊維複合材料を金属あるいは樹脂の複合材料の原料として用いるときは、カーボンナノファイバーを0.01〜50重量%の割合で含むことができる。かかる金属あるいは樹脂の複合材料の原料は、金属あるいは樹脂にカーボンナノファイバーを混合する際に、カーボンナノファイバーの供給源としてのいわゆるマスターバッチとして用いることができる。
カーボンナノファイバーとしては、例えば、いわゆるカーボンナノチューブなどが例示できる。カーボンナノチューブは、炭素六角網面のグラフェンシートが円筒状に閉じた単層構造あるいはこれらの円筒構造が入れ子状に配置された多層構造を有する。すなわち、カーボンナノチューブは、単層構造のみから構成されていても多層構造のみから構成されていても良く、単層構造と多層構造が混在していてもかまわない。また、部分的にカーボンナノチューブの構造を有する炭素材料も使用することができる。なお、カーボンナノチューブという名称の他にグラファイトフィブリルナノチューブといった名称で称されることもある。
単層カーボンナノチューブもしくは多層カーボンナノチューブは、アーク放電法、レーザーアブレーション法、気相成長法などによって望ましいサイズに製造される。
アーク放電法は、大気圧よりもやや低い圧力のアルゴンや水素雰囲気下で、炭素棒でできた電極材料の間にアーク放電を行うことで、陰極に堆積した多層カーボンナノチューブを得る方法である。また、単層カーボンナノチューブは、前記炭素棒中にニッケル/コバルトなどの触媒を混ぜてアーク放電を行い、処理容器の内側面に付着するすすから得られる。
レーザーアブレーション法は、希ガス(例えばアルゴン)中で、ターゲットであるニッケル/コバルトなどの触媒を混ぜた炭素表面に、YAGレーザーの強いパルスレーザー光を照射することによって炭素表面を溶融・蒸発させて、単層カーボンナノチューブを得る方法である。
気相成長法は、ベンゼンやトルエン等の炭化水素を気相で熱分解し、カーボンナノチューブを合成するもので、より具体的には、流動触媒法やゼオライト担持触媒法などが例示できる。
(d)次に、カップリング剤について説明する。
カップリング剤は、エラストマーとカーボンナノファイバーとの濡れ性を改善し、かつ分散性を向上させるものである。カップリング剤は、エラストマーに、カーボンナノファイバーと共に添加し、混合される。カップリング剤を用いることで、カップリング剤がカーボンナノファイバーとエラストマーとの濡れ性を改善し、かつ剪断力をかけたときの分散性を向上することができる。
カップリング剤としては、シラン系、チタン系及びアルミニウム系カップリング剤の少なくとも一種を用いることができる。シラン系カップリング剤は一般的にYRSiXで表すことができ、Xはケイ素原子に直接結合しているメトキシ基等の加水分解性基であり、Yはアミノプロピル基やアミノ基などの有機官能性基であり、Rはアルキル基である。シラン系カップリング剤としては、例えば、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、アミノシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸基、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−グルシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシランなどを挙げることができる。チタン系カップリング剤は、Ti−O−C型結合を持つ、アルコキシチタニウムエステル、チタニウムキレート及びチタニウムアシレートの総称である。チタン系カップリング剤としては、例えば、テトラ−I−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラステアリルチタネート、トリエタノールアミンチタネート、チタニウムアセチルアセテート、チタニウムエチルアセトアセテートなどを挙げることができる。アルミニウム系カップリング剤としては、アルミニウムエトキシサイド、アルミニウムイソプロピレート、アルミニウムイソプロピレートモノセカンダリ−ブチレート、アルミニウムセカンダリブチレートなどを挙げることができる。
(e)次に、エラストマーにカーボンナノファイバーを混合させ、かつ剪断力によって分散させる工程について説明する。
本実施の形態では、エラストマーに、金属粒子、カップリング剤及びカーボンナノファイバーを混合させる工程として、ロール間隔が0.5mm以下のオープンロール法を用いた例について述べる。
図1は、2本のロールを用いたオープンロール法を模式的に示す図である。図1において、符号10は第1のロールを示し、符号20は第2のロールを示す。第1のロール10と第2のロール20とは、所定の間隔d、好ましくは1.0mm以下、より好ましくは0.1ないし0.5mmの間隔で配置されている。第1および第2のロールは、正転あるいは逆転で回転する。図示の例では、第1のロール10および第2のロール20は、矢印で示す方向に回転している。第1のロール10の表面速度をV1、第2のロール20の表面速度をV2とすると、両者の表面速度比(V1/V2)は、好ましくは1.05ないし3.0であり、より好ましくは1.05ないし1.2である。このような表面速度比を用いることにより、所望の剪断力を得ることができる。まず、第1,第2のロール10,20が回転した状態で、第2のロール20に、エラストマー30を巻き付けると、ロール10,20間にエラストマーがたまった、いわゆるバンク32が形成される。このバンク32内に金属粒子50を加えて、さらに第1,第2のロール10,20を回転させることにより、エラストマー30と、金属粒子50と、を混合する工程が行われる。ついで、このエラストマー30と金属粒子50とが混合されたバンク32内にカップリング剤60及びカーボンナノファイバー40を加えて、第1、第2のロール10,20を回転させる。さらに、第1,第2ロール10,20の間隔を狭めて前述した間隔dとし、この状態で第1,第2ロール10,20を所定の表面速度比で回転させる。これにより、エラストマー30に高い剪断力が作用し、この剪断力によって凝集していたカーボンナノファイバーが1本づつ引き抜かれるように相互に分離し、エラストマー30に分散される。さらに、ロールによる剪断力はエラストマー内に分散された金属粒子のまわりに乱流状の流動を発生させる。この複雑な流動によってカーボンナノファイバーはさらにエラストマー30に分散される。なお、金属粒子50の混合前に、エラストマー30とカーボンナノファイバー40とを先に混合すると、カーボンナノファイバー40にエラストマー30の動きが拘束されてしまうため、金属粒子50を混合することが難しくなる。したがって、エラストマー30にカーボンナノファイバー40を加える前に金属粒子50を混合する工程を行うことが好ましい。
また、この工程では、できるだけ高い剪断力を得るために、エラストマーとカーボンナノファイバーとの混合は、好ましくは0ないし50℃、より好ましくは5ないし30℃の比較的低い温度で行われる。オープンロール法を用いた場合には、ロールの温度を上記の温度に設定することが望ましい。第1,第2ロール10,20の間隔dは、もっとも狭めた状態においても金属粒子50の平均粒径よりも広く設定することで、エラストマー30中のカーボンナノファイバー40の分散を良好に行うことができる。
このとき、エラストマーは、上述した特徴、すなわち、エラストマーの分子形態(分子長)、分子運動、カーボンナノファイバーとの化学的相互作用などの特徴を有することによってカーボンナノファイバーの分散を容易にするので、分散性および分散安定性(カーボンナノファイバーが再凝集しにくいこと)に優れた炭素繊維複合材料及び炭素繊維複合成形品を得ることができる。より具体的には、エラストマーとカーボンナノファイバーとを混合すると、分子長が適度に長く、分子運動性の高いエラストマーがカーボンナノファイバーの相互に侵入し、かつ、エラストマーの特定の部分が化学的相互作用によってカーボンナノファイバーの活性の高い部分と結合する。この状態で、エラストマーとカーボンナノファイバーとの混合物に強い剪断力が作用すると、エラストマーの移動に伴ってカーボンナノファイバーも移動し、凝集していたカーボンナノファイバーが分離されて、エラストマー中に分散されることになる。そして、一旦分散したカーボンナノファイバーは、エラストマーとの化学的相互作用によって再凝集することが防止され、良好な分散安定性を有することができる。
また、エラストマー中に所定量の金属粒子が含まれていることで、金属粒子のまわりに発生するエラストマーの乱流のような幾通りもの複雑な流動によって、個々のカーボンナノファイバー同士を引き離す方向にも剪断力が働くことになる。したがって、直径が約30nm以下のカーボンナノファイバーや湾曲繊維状のカーボンナノファイバーであっても、個々に化学的相互作用によって結合したエラストマー分子のそれぞれの流動方向へ移動するため、エラストマー中に均一に分散されることになる。本実施例においては、金属粒子をエラストマーに混合させたが、金属粒子を用いなくてもよい。
さらに、エラストマー中に所定量のカップリング剤が含まれていることで、濡れ性の悪いエラストマーとカーボンナノファイバーの濡れ性を改善すると共に、分散性を向上させることができる。特に、エチレンプロピレンゴム(EPDM)は、カーボンナノファイバーとの濡れ性が悪く、カーボンナノファイバーを分散させにくいが、カップリング剤によって濡れ性と分散性が改善される。
エラストマーにカーボンナノファイバーを剪断力によって分散させる工程は、上記オープンロール法に限定されず、既に述べたロータ間隙が1mm以下の密閉式混練法あるいはスクリュー間隙が0.3mm以下の多軸押出し混練法を用いることもできる。要するに、この工程では、凝集したカーボンナノファイバーを分離できる剪断力をエラストマーに与えることができればよい。
上述したエラストマーに、金属粒子、カップリング剤及びカーボンナノファイバーとを分散させて両者を混合させる工程(混合・分散工程)によって得られた炭素繊維複合材料は、架橋剤によって架橋させて成形するか、もしくは架橋させずに成形することができる。このときの成形方法は、例えば圧縮成形工程や押出成形工程などを行って炭素繊維複合成形品を得ることができる。圧縮成形工程は、例えば金属粒子とカーボンナノファイバーとが分散した炭素繊維複合材料を、所定温度(例えば175℃)に設定された所望形状を有する成形金型内で所定時間(例えば20分)加圧状態で成形する工程を有する。
エラストマーとカーボンナノファイバーとの混合・分散工程において、あるいは続いて、通常、ゴムなどのエラストマーの加工で用いられる配合剤を加えることができる。配合剤としては公知のものを用いることができる。配合剤としては、例えば、架橋剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫遅延剤、軟化剤、可塑剤、硬化剤、補強剤、充填剤、老化防止剤、着色剤などを挙げることができる。
(f)次に、上記方法によって得られた炭素繊維複合材料及び炭素繊維複合成形品について述べる。
本実施の形態の炭素繊維複合材料及び炭素繊維複合成形品は、基材であるエラストマーにカーボンナノファイバーが均一に分散されている。
本実施の形態の炭素繊維複合材料及び炭素繊維複合成形品は、既述したように、エラストマー系材料として用いることができ、あるいは金属や樹脂などの複合材料の原料として用いることができる。カーボンナノファイバーは、通常、相互に絡み合って媒体に分散しにくい性質を有する。しかし、本実施の形態の炭素繊維複合材料及び炭素繊維複合成形品を金属あるいは樹脂の複合材料の原料として用いると、カーボンナノファイバーがエラストマーに既に分散した状態で存在するので、この原料と金属や樹脂などの媒体とを混合することでカーボンナノファイバーを媒体に容易に分散することができる。
本実施の形態で用いたオープンロール法によるエラストマーとカーボンナノファイバーとの混練法を模式的に示す図である。
符号の説明
10 第1のロール
20 第2のロール
30 エラストマー
40 カーボンナノファイバー
50 金属粒子
60 カップリング剤

Claims (9)

  1. カーボンナノファイバーに対して親和性を有する不飽和結合または基を有するエラストマーと、カップリング剤と、前記カーボンナノファイバーと、を混合し、かつ剪断力によって前記カーボンナノファイバーを前記エラストマーに分散させた、炭素繊維複合材料の製造方法。
  2. 請求項1において、
    前記カップリング剤は、シラン系、チタン系及びアルミニウム系カップリング剤の少なくとも一種である、炭素繊維複合材料の製造方法。
  3. 請求項1または2において、
    前記エラストマーは、主鎖、側鎖および末端鎖の少なくともひとつに、二重結合、三重結合、α水素、カルボニル基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、ニトリル基、ケトン基、アミド基、エポキシ基、エステル基、ビニル基、ハロゲン基、ウレタン基、ビューレット基、アロファネート基および尿素基などの官能基から選択される少なくともひとつを有する、炭素繊維複合材料の製造方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれかにおいて、
    前記エラストマーは、エチレンプロピレンゴムである、炭素繊維複合材料の製造方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれかにおいて、
    前記エラストマーに前記カーボンナノファイバーを混合させる前に、金属粒子を前記エラストマーに混合する、炭素繊維複合材料の製造方法。
  6. 請求項1ないし5のいずれかにおいて、
    前記カーボンナノファイバーは、平均直径が0.5ないし500nmである、炭素繊維複合材料の製造方法。
  7. 請求項1ないし6のいずれかにおいて、
    前記エラストマーにカーボンナノファイバーを剪断力によって分散させる工程は、0ないし50℃で行われる、炭素繊維複合材料の製造方法。
  8. 請求項1ないし7のいずれかにおいて得られた炭素繊維複合材料。
  9. 請求項8において得られた炭素繊維複合材料を、架橋するとともに成形して得られた炭素繊維複合成形品。
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