JP2005082829A - 炭素繊維複合金属材料及びその製造方法 - Google Patents

炭素繊維複合金属材料及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 カーボンナノファイバーが均一に分散された炭素繊維複合金属材料およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 カーボンナノファイバーの表面にホウ素酸化物の被膜を形成させる工程(a)と、カーボンナノファイバーと金属とを混合させてカーボンナノファイバーが分散した炭素繊維複合金属材料を得る工程(b)と、を含むことを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、炭素繊維複合金属材料及びその製造方法に関する。
近年、カーボンナノファイバーを用いた複合材料が注目されている。このような複合材料は、カーボンナノファイバーを含むことで、機械的強度などの向上が期待されている。
しかしながら、カーボンナノファイバーは相互に強い凝集性を有するため、複合材料の基材にカーボンナノファイバーを均一に分散させることが非常に困難とされている。そのため、現状では、所望の特性を有するカーボンナノファイバーの複合材料を得ることが難しく、また、高価なカーボンナノファイバーを効率よく利用することができない。
例えば、カーボンナノファイバーを金属に複合化させる手段として、カーボンナノファイバーを金属溶湯に混合する方法を用いた場合には、カーボンナノファイバーと金属溶湯との濡れ性がよくないため、カーボンナノファイバーが互いに絡み合った状態で凝集し、カーボンナノファイバーが均一に分散された炭素繊維複合金属材料を得ることができない。
そこで、本発明の目的は、カーボンナノファイバーが均一に分散された炭素繊維複合金属材料およびその製造方法を提供することにある。
本発明にかかる炭素繊維複合金属材料の製造方法は、カーボンナノファイバーの表面にホウ素酸化物の被膜を形成させる工程(a)と、
前記カーボンナノファイバーと金属とを混合させて前記カーボンナノファイバーが分散した炭素繊維複合金属材料を得る工程(b)と、
を含む。
本発明の製造方法によれば、カーボンナノファイバーの表面に被覆されたホウ素酸化物が、炭素繊維複合金属材料のマトリックスである金属と濡れ性がよいため、カーボンナノファイバーと金属を混合させたときに、カーボンナノファイバーを良好に分散させることができる。特に、金属とカーボンナノファイバーを混合させた際に、一旦分散したカーボンナノファイバーが再凝集するのを防止することもできる。さらに、カーボンナノファイバーと金属との濡れ性がよいので、炭素繊維複合金属材料の強度を向上させることができる。
また、本発明にかかる製造方法において、前記工程(a)は、ホウ素またはホウ素酸化物を溶解させた溶液に、前記カーボンナノファイバーを加え、前記溶液から取り出した前記カーボンナノファイバーを加熱することで、カーボンナノファイバーの表面にホウ素酸化物の被膜を形成させることができる。
このようにすることで、カーボンナノファイバーの表面を金属との濡れ性がよいホウ素酸化物被膜で覆うことができるので、ホウ素酸化物が金属に対して高い親和性を有することでカーボンナノファイバーを金属中で凝集することを防止し、分散させることができる。
また、本発明にかかる製造方法において、前記溶液は、ホウ素またはホウ素酸化物を溶解させた飽和溶液とすることができる。
このようにすることで、ホウ素またはホウ素酸化物の濃度が高くなるため、カーボンナノファイバーの表面にホウ素酸化物の被膜を確実に形成させることができる。
本発明にかかる炭素繊維複合金属材料の製造方法は、前記工程(b)は、
前記カーボンナノファイバーと前記金属とを混合させる前に、前記カーボンナノファイバーに対して親和性を有する不飽和結合または基を有するエラストマーと、前記カーボンナノファイバーとを混合し、かつ剪断力によって分散させた炭素繊維複合材料を得る工程(c)と、
前記工程(c)で得られた前記炭素繊維複合材料と前記金属とを混合させることで前記カーボンナノファイバーが分散した炭素繊維複合金属材料を得る工程(d)と、
を含むことができる。
本発明の製造方法によれば、エラストマーの不飽和結合または基が、カーボンナノファイバーの活性な部分、特にカーボンナノファイバーの末端のラジカルと結合することにより、カーボンナノファイバーの凝集力を弱め、その分散性を高めることができる。
さらに、工程(c)において、金属粒子を含むエラストマーを用いることで、カーボンナノファイバーを剪断力で分散させる際に、金属粒子のまわりにエラストマーの乱流状態の流動が発生する。この流動によって、本発明の炭素繊維複合材料は、基材であるエラストマーにカーボンナノファイバーがさらに均一に分散されたものとなる。特に分散されにくいとされていた直径が約30nm以下のカーボンナノファイバーや、湾曲繊維状のカーボンナノファイバーであっても、エラストマー中に均一に分散されたものとなる。
さらに、本発明にかかる製造方法において、前記金属の溶湯に、前記カーボンナノファイバーもしくは前記炭素繊維複合材料を混入して所望の形状を有する鋳型内で鋳造することができる。金属の溶湯と濡れ性のよいカーボンナノファイバーは、炭素繊維複合金属材料の中に良好に分散されることができる。また、前述したようにカーボンナノファイバーが均一に分散された炭素繊維複合材料を鋳造に用いることによって、カーボンナノファイバーを均一に分散させることができた炭素繊維複合金属材料を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施の形態にかかる炭素繊維複合金属材料の製造方法は、カーボンナノファイバーの表面にホウ素酸化物の被膜を形成させる工程(a)と、前記カーボンナノファイバーと金属とを混合させて前記カーボンナノファイバーが分散した炭素繊維複合金属材料を得る工程(b)と、を含む。
また、本実施の形態にかかる炭素繊維複合金属材料の製造方法は、前記工程(b)は、前記カーボンナノファイバーと前記金属とを混合させる前に、前記カーボンナノファイバーに対して親和性を有する不飽和結合または基を有するエラストマーと、前記カーボンナノファイバーとを混合し、かつ剪断力によって分散させた炭素繊維複合材料を得る工程(c)と、前記工程(c)で得られた前記炭素繊維複合材料と前記金属とを混合させることで前記カーボンナノファイバーが分散した炭素繊維複合金属材料を得る工程(d)と、を含むことができる。
工程(c)で用いるエラストマーは、例えば、カーボンナノファイバーと親和性が高いことの他に、分子長がある程度の長さを有すること、柔軟性を有すること、などの特徴を有することが望ましい。また、エラストマーにカーボンナノファイバーを剪断力によって分散させる工程は、できるだけ高い剪断力で混練されることが望ましい。
さらに、本発明にかかる炭素繊維複合金属材料の製造方法は、前記金属の溶湯に、前記カーボンナノファイバーもしくは前記炭素繊維複合材料を混入して所望の形状を有する鋳型内で鋳造する工程を有する。
(A)まず、工程(a)について説明する。
工程(a)は、カーボンナノファイバーの表面にホウ素酸化物の被膜を形成させる。
カーボンナノファイバーの表面にホウ素酸化物の被膜を形成させる方法は、ホウ素またはホウ素酸化物を溶解させた溶液、好ましくは飽和溶液に、前記カーボンナノファイバーを加え、前記溶液から取り出した前記カーボンナノファイバーを加熱することでカーボンナノファイバーの表面にホウ素酸化物の被膜を形成させることができる。溶液は、水またはアルコールの溶媒に、ホウ素もしくはホウ素酸化物を溶解させて作成することができる。なお、溶液にホウ素を溶解させた場合は、溶液中から取り出されたカーボンナノファイバーを100℃程度で加熱して酸素の存在下で乾燥させることによって、カーボンナノファイバーの表面のホウ素が酸化してホウ素酸化物被膜が形成される。
工程(a)に用いられるカーボンナノファイバーは、例えば、いわゆるカーボンナノチューブなどが例示できる。カーボンナノチューブは、炭素六角網面のグラフェンシートが円筒状に閉じた単層構造あるいはこれらの円筒構造が入れ子状に配置された多層構造を有する。すなわち、カーボンナノチューブは、単層構造のみから構成されていても多層構造のみから構成されていても良く、単層構造と多層構造が混在していてもかまわない。また、部分的にカーボンナノチューブの構造を有する炭素材料も使用することができる。なお、カーボンナノチューブという名称の他にグラファイトフィブリルナノチューブといった名称で称されることもある。平均直径が0.5ないし500nmであることが好ましいく、炭素繊維複合材料の強度を向上させるためには0.5ないし30nmであることがさらに好ましい。さらに、カーボンナノファイバーは、ストレート繊維状であっても、湾曲繊維状であってもよい。
単層カーボンナノチューブもしくは多層カーボンナノチューブは、アーク放電法、レーザーアブレーション法、気相成長法などによって望ましいサイズに製造される。
アーク放電法は、大気圧よりもやや低い圧力のアルゴンや水素雰囲気下で、炭素棒でできた電極材料の間にアーク放電を行うことで、陰極に堆積した多層カーボンナノチューブを得る方法である。また、単層カーボンナノチューブは、前記炭素棒中にニッケル/コバルトなどの触媒を混ぜてアーク放電を行い、処理容器の内側面に付着するすすから得られる。
レーザーアブレーション法は、希ガス(例えばアルゴン)中で、ターゲットであるニッケル/コバルトなどの触媒を混ぜた炭素表面に、YAGレーザーの強いパルスレーザー光を照射することによって炭素表面を溶融・蒸発させて、単層カーボンナノチューブを得る方法である。
気相成長法は、ベンゼンやトルエン等の炭化水素を気相で熱分解し、カーボンナノチューブを合成するもので、より具体的には、流動触媒法やゼオライト担持触媒法などが例示できる。
(B)次に、工程(b)について説明する。
工程(b)は、カーボンナノファイバーと金属とを混合させて前記カーボンナノファイバーが分散した炭素繊維複合金属材料を得る。工程(a)でカーボンナノファイバーに被覆されたホウ素酸化物は、金属との濡れ性がよいので、カーボンナノファイバー同士の凝集を防止することができる。カーボンナノファイバーと金属との混合は、金属の溶湯にカーボンナノファイバーを直接混入してもよい。また、工程(b)は、カーボンナノファイバーと金属とを混合させる前に、カーボンナノファイバーに対して親和性を有する不飽和結合または基を有するエラストマーと、カーボンナノファイバーと、を混合し、かつ剪断力によって分散させた炭素繊維複合材料を得る工程(c)と、工程(c)で得られた炭素繊維複合材料と金属とを混合させる工程(d)と、を含んでもよい。
金属の溶湯にカーボンナノファイバーを直接混入する場合には、坩堝に金属例えばアルミニウムを溶解(650〜800℃)し、さらに溶解したアルミニウムを攪拌しながら工程(a)で得られたカーボンナノファイバーを坩堝に投入し、混合する。このとき、攪拌は、一方向の回転でもよいが、3方向(3次元)に攪拌することで混合の効果は高くなる。空気雰囲気もしくは不活性雰囲気中で混合されたアルミニウム溶湯は、例えば鋼製の鋳型内に金属溶湯を注湯して行う金型鋳造法、ダイカスト法、低圧鋳造法を採用することができる。またその他特殊鋳造法に分類される、高圧化で凝固させる高圧鋳造法(スクイズカスティング)、溶湯を攪拌するチクソカスティング、遠心力で溶湯を鋳型内へ鋳込む遠心鋳造法などを採用することができる。これらの鋳造法においては、金属溶湯の中に工程(a)で得られたカーボンナノファイバーを混合させたまま鋳型内で凝固させ、炭素繊維複合金属材料を成形する。チクソカスティングにおいては、700〜800℃でアルミニウムを溶解した後、攪拌しながら温度を下げて400〜600℃でチクソトロピー状態を得て、その状態でカーボンナノファイバーを混合することが好ましい。チクソトロピー状態においては、粘度が大きくなるので、均一な分散を可能とする。これらの鋳造工程では、不活性雰囲気例えば窒素雰囲気中、窒素に少量の水素ガスを加えた弱還元雰囲気中、あるいは減圧した真空下で行うと、金属溶湯(アルミニウム溶湯)の酸化が防止されるので望ましい。
次に、エラストマーにカーボンナノファイバーを混合させ、かつ剪断力によって分散させる工程(c)を採用する場合について説明する。
本実施の形態では、カーボンナノファイバーと金属とを混合させる前に、エラストマーにカーボンナノファイバーを混合させる工程(c)として、ロール間隔が0.5mm以下のオープンロール法を用いた例について述べる。
図1は、2本のロールを用いたオープンロール法を模式的に示す図である。図1において、符号10は第1のロールを示し、符号20は第2のロールを示す。第1のロール10と第2のロール20とは、所定の間隔d、好ましくは1.0mm以下、より好ましくは0.1ないし0.5mmの間隔で配置されている。第1および第2のロールは、正転あるいは逆転で回転する。図示の例では、第1のロール10および第2のロール20は、矢印で示す方向に回転している。第1のロール10の表面速度をV1、第2のロール20の表面速度をV2とすると、両者の表面速度比(V1/V2)は、好ましくは1.05ないし3.0であり、より好ましくは、1.05ないし1.2である。このような表面速度比を用いることにより、所望の剪断力を得ることができる。まず、第1,第2のロール10,20が回転した状態で、第2のロール20に、エラストマー30を巻き付けると、ロール10,20間にエラストマーがたまった、いわゆるバンク32が形成される。このバンク32内に金属粒子50を加えて、さらに第1,第2のロール10,20を回転させることにより、エラストマー30と、金属粒子50と、を混合する工程が行われる。ついで、このエラストマー30と金属粒子50とが混合されたバンク32内にカーボンナノファイバー40を加えて、第1、第2のロール10,20を回転させる。さらに、第1,第2ロール10,20の間隔をさらに狭めて前述した間隔dとし、この状態で第1,第2ロール10,20を所定の表面速度比で回転させる。これにより、エラストマー30に高い剪断力が作用し、この剪断力によって凝集していたカーボンナノファイバーが1本づつ引き抜かれるように相互に分離し、エラストマー30に分散される。さらに、エラストマーにカーボンナノファイバーを混合させる前に、金属粒子をエラストマーに混合することで、ロールによる剪断力はエラストマー内に分散された金属粒子のまわりに乱流状の流動を発生させる。この複雑な流動によってカーボンナノファイバーはさらにエラストマー30に分散される。なお、金属粒子50の混合前に、エラストマー30とカーボンナノファイバー40とを先に混合すると、カーボンナノファイバー40にエラストマー30の動きが拘束されてしまうため、金属粒子50を混合することが難しくなる。したがって、エラストマー30にカーボンナノファイバー40を加える前に金属粒子50を混合する工程を行うことが好ましい。
また、この工程では、できるだけ高い剪断力を得るために、エラストマーとカーボンナノファイバーとの混合は、好ましくは0ないし50℃、より好ましくは5ないし30℃の比較的低い温度で行われる。オープンロール法を用いた場合には、ロールの温度を上記の温度に設定することが望ましい。第1,第2ロール10,20の間隔dは、もっとも狭めた状態においても金属粒子50の平均粒径よりも広く設定することで、エラストマー30中のカーボンナノファイバー40の分散を良好に行うことができる。
このとき、本実施の形態のエラストマーは、上述した特徴、すなわち、エラストマーの分子形態(分子長)、分子運動、カーボンナノファイバーとの化学的相互作用などの特徴を有することによってカーボンナノファイバーの分散を容易にするので、分散性および分散安定性(カーボンナノファイバーが再凝集しにくいこと)に優れた炭素繊維複合材料を得ることができる。より具体的には、エラストマーとカーボンナノファイバーとを混合すると、分子長が適度に長く、分子運動性の高いエラストマーがカーボンナノファイバーの相互に侵入し、かつ、エラストマーの特定の部分が化学的相互作用によってカーボンナノファイバーの活性の高い部分と結合する。この状態で、エラストマーとカーボンナノファイバーとの混合物に強い剪断力が作用すると、エラストマーの移動に伴ってカーボンナノファイバーも移動し、凝集していたカーボンナノファイバーが分離されて、エラストマー中に分散されることになる。そして、一旦分散したカーボンナノファイバーは、エラストマーとの化学的相互作用によって再凝集することが防止され、良好な分散安定性を有することができる。
また、エラストマー中に所定量の金属粒子が含まれていることで、金属粒子のまわりに発生するエラストマーの乱流のような幾通りもの複雑な流動によって、個々のカーボンナノファイバー同士を引き離す方向にも剪断力が働くことになる。したがって、直径が約30nm以下のカーボンナノファイバーや湾曲繊維状のカーボンナノファイバーであっても、個々に化学的相互作用によって結合したエラストマー分子のそれぞれの流動方向へ移動するため、エラストマー中に均一に分散されることになる。
エラストマーにカーボンナノファイバーを剪断力によって分散させる工程は、上記オープンロール法に限定されず、既に述べた密閉式混練法あるいは多軸押出し混練法を用いることもできる。要するに、この工程では、凝集したカーボンナノファイバーを分離できる剪断力をエラストマーに与えることができればよい。
上述したエラストマーに金属粒子とカーボンナノファイバーとを分散させて両者を混合させる工程(混合・分散工程)によって得られた炭素繊維複合材料は、架橋剤によって架橋させて成形するか、もしくは架橋させずに成形することができる。このときの成形方法は、例えば圧縮成形工程や押出成形工程などを行って炭素繊維複合成形品を得ることができる。圧縮成形工程は、例えば金属粒子とカーボンナノファイバーとが分散した炭素繊維複合材料を、所定温度(例えば175℃)に設定された所望形状を有する成形金型内で所定時間(例えば20分)加圧状態で成形する工程を有する。
エラストマーとカーボンナノファイバーとの混合・分散工程において、あるいは続いて、通常、ゴムなどのエラストマーの加工で用いられる配合剤を加えることができる。配合剤としては公知のものを用いることができる。配合剤としては、例えば、架橋剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫遅延剤、軟化剤、可塑剤、硬化剤、補強剤、充填剤、老化防止剤、着色剤などを挙げることができる。
エラストマーは、主鎖、側鎖および末端鎖の少なくともひとつに、カーボンナノファイバー、特にその末端のラジカルに対して親和性を有する不飽和結合または基を有するか、もしくは、このようなラジカルまたは基を生成しやすい性質を有する。かかる不飽和結合または基としては、二重結合、三重結合、α水素、カルボニル基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、ニトリル基、ケトン基、アミド基、エポキシ基、エステル基、ビニル基、ハロゲン基、ウレタン基、ビューレット基、アロファネート基および尿素基などの官能基から選択される少なくともひとつであることができる。
カーボンナノファイバーは、通常、側面は炭素原子の6員環で構成され、先端は5員環が導入されて閉じた構造となっているが、構造的に無理があるため、実際上は欠陥を生じやすく、その部分にラジカルや官能基を生成しやすくなっている。本実施の形態では、エラストマーの主鎖、側鎖および末端鎖の少なくともひとつに、カーボンナノファイバーのラジカルと親和性(反応性または極性)が高い不飽和結合や基を有することにより、エラストマーとカーボンナノファイバーとを結合することができる。このことにより、カーボンナノファイバーの凝集力にうち勝ってその分散を容易にすることができる。
エラストマーとしては、天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレンプロピレンゴム(EPR,EPDM)、ブチルゴム(IIR)、クロロブチルゴム(CIIR)、アクリルゴム(ACM)、シリコーンゴム(Q)、フッ素ゴム(FKM)、ブタジエンゴム(BR)、エポキシ化ブタジエンゴム(EBR)、エピクロルヒドリンゴム(CO,CEO)、ウレタンゴム(U)、ポリスルフィドゴム(T)などのエラストマー類;オレフィン系(TPO)、ポリ塩化ビニル系(TPVC)、ポリエステル系(TPEE)、ポリウレタン系(TPU)、ポリアミド系(TPEA)、スチレン系(SBS)、などの熱可塑性エラストマー;およびこれらの混合物を用いることができる。本発明者の研究によって、特にエチレンプロピレンゴム(EPR,EPDM)においてカーボンナノファイバーを分散させにくいことが判っている。
工程(c)で用いられる金属粒子は、エラストマー中に混合し、分散させておいて、カーボンナノファイバーを混合させるときにカーボンナノファイバーをさらに良好に分散させるものである。金属粒子としては、炭素繊維複合金属材料のマトリックスとなる金属材料と同じ金属もしくはその合金であることが望ましく、アルミニウム及びその合金、マグネシウム及びその合金、チタン及びその合金、鉄及びその合金などの粒子を単体でもしくは組み合わせて用いることができる。金属粒子は、使用するカーボンナノファイバーの平均直径よりも大きい平均粒径であることが好ましい。また、金属粒子の平均粒径は500μm以下、好ましくは1〜300μmである。金属粒子の形状は、球形粒状に限らず、混合時に金属粒子のまわりに乱流状の流動が発生する形状であれば平板状、りん片状であってもよい。
本実施の形態で用いられる炭素繊維複合材料は、基材であるエラストマーにカーボンナノファイバーが均一に分散されている。また、本実施の形態の炭素繊維複合材料は、既述したように、金属などの複合材料の原料として用いることができる。カーボンナノファイバーは、通常、相互に絡み合って媒体に分散しにくい性質を有する。しかし、本実施の形態の炭素繊維複合材料及び炭素繊維複合成形品を金属の複合材料の原料として用いると、カーボンナノファイバーがエラストマーに既に分散した状態で存在するので、この原料と金属などの媒体とを混合することでカーボンナノファイバーを媒体に容易に分散することができる。
次に、工程(c)によって得られた炭素繊維複合材料と金属とを混合する工程(d)について説明する。
工程(d)は、前述した工程(b)と同様の炭素繊維複合金属材料の鋳造工程で行うことができる。鋳造工程は、上述した架橋または未架橋の炭素繊維複合材料を工程(b)のカーボンナノファイバーの代わりに、例えば金属の溶湯に混入して所望の形状を有する鋳型内で鋳造する工程によって実施することができる。このような鋳造工程は、例えば鋼製の鋳型内に金属溶湯を注湯して行う金型鋳造法、ダイカスト法、低圧鋳造法を採用することができる。またその他特殊鋳造法に分類される、高圧化で凝固させる高圧鋳造法、溶湯を攪拌するチクソカスティング、遠心力で溶湯を鋳型内へ鋳込む遠心鋳造法などを採用することができる。これらの鋳造法においては、金属溶湯の中に炭素繊維複合材料を混合させたまま鋳型内で凝固させ、炭素繊維複合金属材料を成形する。なお、この鋳造工程において、炭素繊維複合材料のエラストマーは、金属溶湯の熱によって分解され、除去される。
鋳造工程に用いる金属の溶湯は、通常の鋳造加工に用いられる金属例えば鉄及びその合金、アルミニウム及びその合金、マグネシウム及びその合金、銅及びその合金、亜鉛及びその合金などから用途に合わせて単独でもしくは組み合わせて適宜選択することができる。例えば、アルミニウムは、カーボンナノファイバーの表面に形成されたホウ素酸化物被膜と濡れ性がよいので、カーボンナノファイバーの凝集を防止し、分散させることができるので好ましい。特に金属がアルミニウムまたはアルミニウム合金であると、鋳造後の加工において有利であると共に、軽量化を図ることができる。また、金属の溶湯に用いられる金属は、炭素繊維複合材料にあらかじめ混合された金属粒子と同一の金属または同一の金属元素を含む合金とすることで、金属粒子との濡れ性を向上させ、製品である炭素繊維複合金属材料における強度を向上させることができる。
本実施の形態で用いたオープンロール法によるエラストマーとカーボンナノファイバーとの混練法を模式的に示す図である。
符号の説明
10 第1のロール
20 第2のロール
30 エラストマー
40 カーボンナノファイバー
50 金属粒子

Claims (9)

  1. カーボンナノファイバーの表面にホウ素酸化物の被膜を形成させる工程(a)と、
    前記カーボンナノファイバーと金属とを混合させて前記カーボンナノファイバーが分散した炭素繊維複合金属材料を得る工程(b)と、
    を含む、炭素繊維複合金属材料の製造方法。
  2. 請求項1において、
    前記工程(a)は、ホウ素またはホウ素酸化物を溶解させた溶液に、前記カーボンナノファイバーを加え、前記溶液から取り出した前記カーボンナノファイバーを加熱することでカーボンナノファイバーの表面にホウ素酸化物の被膜を形成させる、炭素繊維複合金属材料の製造方法。
  3. 請求項2において、
    前記溶液は、ホウ素またはホウ素酸化物を溶解させた飽和溶液である、炭素繊維複合金属材料の製造方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれかにおいて、
    前記工程(b)は、
    前記カーボンナノファイバーと前記金属とを混合させる前に、前記カーボンナノファイバーに対して親和性を有する不飽和結合または基を有するエラストマーと、前記カーボンナノファイバーとを混合し、かつ剪断力によって分散させた炭素繊維複合材料を得る工程(c)と、
    前記工程(c)で得られた前記炭素繊維複合材料と前記金属とを混合させることで前記カーボンナノファイバーが分散した炭素繊維複合金属材料を得る工程(d)と、
    を含む、炭素繊維複合金属材料の製造方法。
  5. 請求項4において、
    前記工程(c)において、前記エラストマーに前記カーボンナノファイバーを混合させる前に、金属粒子を前記エラストマーに混合する、炭素繊維複合金属材料の製造方法。
  6. 請求項4または5において、
    前記エラストマーは、主鎖、側鎖および末端鎖の少なくともひとつに、二重結合、三重結合、α水素、カルボニル基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、ニトリル基、ケトン基、アミド基、エポキシ基、エステル基、ビニル基、ハロゲン基、ウレタン基、ビューレット基、アロファネート基および尿素基などの官能基から選択される少なくともひとつを有する、炭素繊維複合金属材料の製造方法。
  7. 請求項1ないし6のいずれかにおいて、
    前記工程(b)は、前記金属の溶湯に、前記カーボンナノファイバーもしくは前記炭素繊維複合材料を混入して所望の形状を有する鋳型内で鋳造する、炭素繊維複合金属材料の製造方法。
  8. 請求項1ないし7のいずれかにおいて、
    前記金属は、アルミニウムまたはアルミニウム合金である、炭素繊維複合金属材料の製造方法。
  9. 請求項1ないし8のいずれかに記載の製造方法よって得られた炭素繊維複合金属材料。
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