JP2005082495A - 脳細胞保護のための組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 活性酸素や過酸化物の発生をおさえ、損傷又は損傷が進行中の脳細胞の構成成分を供給し神経細胞成長因子の発生を助けることで、脳細胞の損失を減らす効果を持つ成分がお互いに相乗作用又は相互補完作用をすることのできる、脳細胞保護のための組成物を提供する。
【解決手段】
緑茶カテキンまたはGABA(γ―アミノ酪酸)を配合することにより、NO誘導によるヒト神経細胞芽腫アポトーシスを防ぐことのできる脳細胞保護のための組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】
緑茶カテキンまたはGABA(γ―アミノ酪酸)を配合することにより、NO誘導によるヒト神経細胞芽腫アポトーシスを防ぐことのできる脳細胞保護のための組成物。
【選択図】 なし
Description
本発明は食品または医薬品として経口摂取できるよう工夫された、脳細胞保護のための組成物に関するものであり、より詳細にはフリーラジカル(Free radical)のような酸化的反応性が強い物質から脳細胞を保護するための組成物とその製造方法に関するものである。
脳は、身体器官の中で最も大切な器官であるため、いろんな防御壁により保護されている。血管と脳との間の関門、高濃度の抗酸化物質の存在、高効率の神経伝達物質の回収メカニズム等により自身を保護するが、このためには、充分なる神経細胞の構成成分の供給とエネルギー供給を必要とする。
神経細胞は一度死ねば、新しい細胞を補充できず残っている細胞の軸索突起を延長することで死滅した細胞間の空間を満たし情報伝達回路を復旧するが、この場合、細胞の死ぬ速度が早ければ復旧の速度がおいつかず、結果、脳機能が急速に落ちることとなる。脳細胞は神経伝達物質合成に必要な前駆物質であるコリンの供給不適により細胞の自己消化、活性酸素類及び脂質、過酸化物に対する細胞の抗酸化機構の不足による自己防御機作の減少、グルタミン酸やアスパラギン酸のように興奮性神経伝達物質過剰による細胞の過労死、脳細胞の抗酸性維持のため必要なエネルギー代謝の減少等、遺伝的な原因の他に老化が進行することにより起こりうる多くの原因のため死につながるようになる。
特に、脳細胞死の主原因を、過多に発生するラジカルなどの活性酸素とみることができる。脳は、身体の他の組織とは異なりエネルギー代謝が最も活発になされる所であり、これのため体の平均に比べて9倍の酸素を消耗するために、脳細胞の構成成分である脂質やたんぱく質の酸化を促進させる活性酸素の発生量もそれだけ高くなる。このように活性酸素や継続的に接するようになる毒性物質などが細胞内外から脳細胞を攻撃するため、正常状態でも脳細胞は死んでいくようになる。
そこで、普段の食生活を見直すことにより、脳の健康を維持するような成分を積極的に摂取することが重要となってくる。しかし、「抗酸化」や「痴呆予防」、「コリン供給」といったキーワードで、脳の健康維持を目的とした「健脳」食品は市場でみられるものの、脳細胞のリスクを総合的にとらえ、特に活性酸素による細胞死を防ぐ観点からデザインされた食品は皆無であった。
本発明は斯かる実情に鑑み、活性酸素や過酸化物の発生をおさえ、神経細胞成長因子の発生を助けることで、脳細胞の損失を減らす効果を持つ脳細胞保護のための組成物を提供しようとするものである。
上記課題を達成するため、本発明者らは鋭意研究した結果、緑茶カテキンとGABAがNOラジカル(活性酸素)誘導によるヒト神経細胞芽腫アポトーシスを防ぐことや健忘症モデルマウスの記憶障害を改善することを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の脳細胞保護のための組成物は、緑茶カテキンを配合することを特徴とする。
また、本発明の脳細胞保護のための組成物は、GABA(γ―アミノ酪酸)を配合することを特徴とする。
前記の脳細胞保護のための組成物は、NO誘導によるヒト神経細胞芽腫アポトーシスを防ぐ効果を有することが好ましい。
前記の脳細胞保護のための組成物は、緑茶カテキン構成成分であるエピガロカテキンガレートを0.01〜40質量%含有することが好ましい。
前記の脳細胞保護のための組成物は、GABA(γ―アミノ酪酸)を0.02〜40質量%含有することが好ましい。
上記の脳細胞保護のための組成物によれば、服用後30分から1時間以内に血液中に容易に運ばれるだけでなく、脳関門まで通過することにより各成分が有効な効果を発揮することができる。そして、脳細胞の破壊要因から脳細胞を保護し、記憶力を維持させるという優れた効果を奏し得る。本組成物に用いられる成分は元来食用由来の天然抽出物であり、従って本組成物は脳を保護する健康食品として最も適合するものである。
さらに、本発明の記憶力増進または脳の老化防止のための食品は、前記脳細胞保護のための組成物を含有することを特徴とする。
本発明の痴呆症又は記憶障害改善のための医薬品は、前記脳細胞保護のための組成物を含有することを特徴とする。
上記の発明によれば、脳細胞保護作用により、脳の健康に寄与する食品や医薬品を提供することができる。
以上、説明したように本発明の請求項1〜7記載の、脳細胞保護のための組成物によれば、実施例の健忘症モデルマウスを用いた実験からみられるように、記憶障害改善に寄与し、脳細胞の破壊要因から脳細胞を保護し、記憶力を維持させるという優れた効果を奏し得る。本組成物に用いられる成分は元来食用由来の天然抽出物であり、従って本組成物は脳を保護する健康食品として最も適合するものである。
本発明の脳細胞保護のための組成物の有効成分である緑茶カテキンは、緑茶に含まれるポリフェノールの1種の総称である。本発明においては、エピガロカテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピカテキンガレート、カテキンガレート、エピガロカテキン、ガロカテキン、エピカテキン、(+)カテキンから選ばれた少なくとも一種以上が好ましく用いられ、特にエピガロカテキンガレートが好ましく用いられる。
緑茶は古くから日常的に摂取されているものであり、緑茶の成分であるカテキンの安全性は非常に高い。DDYマウスに緑茶カテキンを経口投与した急性毒性試験では、LD50が雄で5g/kg体重以上、雌が3.1g/kgと報告されている
「緑茶ポリフェノール」農林水産省食品流通局委託事業 飲食料品用機能性素材有効利用シリーズ No.10,pp19,1991
「緑茶ポリフェノール」農林水産省食品流通局委託事業 飲食料品用機能性素材有効利用シリーズ No.10,pp19,1991
本発明で用いられる緑茶カテキンは、緑茶から公知の方法によって得ることができる。
特開昭59−219384号公報
特開昭60−13780号公報
特開昭61−130285号公報
例えば、緑茶を熱水で抽出して得られた抽出物を、酢酸エチル等の有機溶媒で分画することにより、エピガロカテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピカテキンガレート、カテキンガレート、エピガロカテキン、ガロカテキン、エピカテキン、(+)カテキン等の混合物を得ることができる。本発明においては、この混合物をそのまま用いてもよく、必要に応じて更に分画精製してから用いてもよい。また、例えば、商品名「PF−TP90」(株式会社ファーマフーズ研究所製)、「ポリフェノン」(株式会社東京フードテクノ製)等の市販のものを用いることもできる。
本発明の脳細胞保護のための組成物は、上記緑茶カテキンをエピガロカテキンガレートとして0.01〜40質量%含有することが好ましく、0.05〜20質量%含有することがより好ましい。
本発明におけるGABAは、食品の成分として茶、野菜類、穀類等に微量含まれているアミノ酸の一種、γ―アミノ酪酸を指す。
本発明に用いるGABAの製造方法としては、特に限定するものではなく、化学合成法、グルタミン酸脱炭酸酵素やその酵素を含有する動植物を用いる生産法、グルタミン酸脱炭酸酵素を生産する微生物を用いた発酵法など、いずれの方法を用いたものでも構わないが、大量且つ安価にGABAを得ることができる乳酸菌による発酵法が好ましい。例えば、グルタミン酸ナトリウム、ブドウ糖、酵母エキス等を含む培養液に、乳酸菌(ラクトバチルス ブレビス(IFO12005株)、ラクトバチルス ヒルガルディーK−3株(FERM P−18422)等)の培養液を添加し、20〜30℃で、1〜3日間培養し、この培養液を、加熱殺菌後、濾過して濾液を得る。なお、乳酸菌としてラクトバチルス ヒルガルディーK−3株(FERM P−18422)を用いた場合、培養液中のGABA含量は約5質量%、固形分当りに換算するとGABAは約50%を占める。 この濾液は、適宜濃縮してそのまま、又は更に乾燥して粉末として、本発明の癒し効果組成物として用いることができる。また、上記濾液をカラムクロマトグラフィー等の処理に供することにより、GABAを更に精製することもできる。例えば、イオン交換樹脂DSR−01(商品名、三菱化学株式会社製)を用いたカラムクロマトグラフィーを行なうことにより、よりGABA含量の高い(80%質量%以上)組成物を得ることができる。
本発明の脳細胞保護のための組成物は、上記GABAを0.02〜40質量%含有することが好ましく、0.05〜20質量%含有することがより好ましい。
また、本発明の脳細胞保護のための組成物のための、緑茶カテキンやGABA以外の 原料として、各種ビタミン類(例えば、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンB12、ビタミンB2、ビタミンB1、β−カロチン、アスタキサンチン等)、ミネラル類(例えば、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛等)、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、イチョウ葉エキス、ワインポリフェノール、テアフラビン、シソ油、DHA(ドコサヘキサエン酸)等の機能性成分、賦形剤(例えば、デキストリン、乳糖等)、香料、甘味料、安定剤あるいは乳化剤などを適宜含むことができる。
本発明の脳細胞保護のための組成物は、医薬品、医薬部外品、健康食品等として利用することができる。その製品形態は、特に制限はなく、例えば、粉末、顆粒、錠剤、カプセル剤、シロップ剤、ドリンク剤等の任意の形態をとることができる。また、清涼飲料、乳製品(加工乳、ヨーグルト)、菓子類(ゼリー、チョコレート、ビスケット、ガム、錠菓)等の各種飲食品に配合することもできる。
本発明の脳細胞保護のための組成物の投与量は、1日当たり100〜1000mgが好ましく、100〜600mgがより好ましく、300〜600mgが特に好ましい。投与量が少な過ぎると充分な薬理効果が期待できず、多過ぎると苦味による不快感を生じる場合がある。
なお、本発明の脳細胞保護のための組成物を飲食品に配合する場合、その配合量は、上記の好ましい投与量に基いて適宜設定すればよい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、以下の実施例において、緑茶カテキンは商品名「PF−TP90」(株式会社ファーマフーズ研究所製)、エピガロカテキンガレートは商品名「PF−EGCg90」(株式会社ファーマフーズ研究所製)、GABA(γ−アミノ酪酸)は商品名「ファーマギャバ20」(株式会社ファーマフーズ研究所製)を使用した。
(SNAPによるNOの消去能)
SNAP(S-nitroso-N-acetyl penicillamine)は、NOラジカル発生源として用いられる。0.5mMのSNAP(Sigma社製)を含むPBS(Phosphate Buffered Saline)1mLに、GABAを5mg、または緑茶カテキンを2mg(エピガロカテキンガレートとして1mg)添加し、CO2インキュベーター(二酸化炭素5%、酸素95%、37℃)にて12時間インキュベートし、その100μLにGriess溶液100μLを加え、550nmの吸光度を測定し、SNAPにより発生したNOラジカルの割合を調べた。するとGABAを5mg添加した場合は、5時間後、10時間後において、無添加と比べて各々76.2%、78.1%のNOラジカル消去能を示した。一方、緑茶カテキンを2mg添加した場合は、5時間後、10時間後において、無添加と比べて各々83.2%、85.1%のNOラジカル消去能を示した。
SNAP(S-nitroso-N-acetyl penicillamine)は、NOラジカル発生源として用いられる。0.5mMのSNAP(Sigma社製)を含むPBS(Phosphate Buffered Saline)1mLに、GABAを5mg、または緑茶カテキンを2mg(エピガロカテキンガレートとして1mg)添加し、CO2インキュベーター(二酸化炭素5%、酸素95%、37℃)にて12時間インキュベートし、その100μLにGriess溶液100μLを加え、550nmの吸光度を測定し、SNAPにより発生したNOラジカルの割合を調べた。するとGABAを5mg添加した場合は、5時間後、10時間後において、無添加と比べて各々76.2%、78.1%のNOラジカル消去能を示した。一方、緑茶カテキンを2mg添加した場合は、5時間後、10時間後において、無添加と比べて各々83.2%、85.1%のNOラジカル消去能を示した。
(NO誘導によるヒト神経細胞芽腫アポトーシスの防止)
ヒト神経芽細胞種(neuroblastoma)細胞(SK−N−MC。 200,000/ mL)を、GABAも緑茶カテキンも含まないDMEM無血清培地(A,B群)、0.5mMのGABAを含むDMEM無血清培地(C群)、または66ppm(エピガロカテキンガレートとして33ppm)の緑茶カテキンを含むDMEM無血清培地(D群)にて1時間培養し、B,C,D群において10mMのSNAPを加えNOラジカルによるアポトーシス誘導を行った。4時間の培養後、各細胞をPBSにて洗浄し、0.005%のNeutral red (Sigma社製)を加え、さらに3時間培養し、1%酢酸と50%メタノールを含むPBSを300μL加え、540nmの吸光度を測定して、細胞の生存数を調べた。すると、B群の無添加の系でNO誘導した場合は、NO誘導していない対照(A群)と比較して25±4の生存率しか示さなかったが、GABA添加でNO誘導した場合(C群)は、71±8の生存率を、緑茶カテキン添加でNO誘導した場合(D群)は、69±9の生存率を示した。
ヒト神経芽細胞種(neuroblastoma)細胞(SK−N−MC。 200,000/ mL)を、GABAも緑茶カテキンも含まないDMEM無血清培地(A,B群)、0.5mMのGABAを含むDMEM無血清培地(C群)、または66ppm(エピガロカテキンガレートとして33ppm)の緑茶カテキンを含むDMEM無血清培地(D群)にて1時間培養し、B,C,D群において10mMのSNAPを加えNOラジカルによるアポトーシス誘導を行った。4時間の培養後、各細胞をPBSにて洗浄し、0.005%のNeutral red (Sigma社製)を加え、さらに3時間培養し、1%酢酸と50%メタノールを含むPBSを300μL加え、540nmの吸光度を測定して、細胞の生存数を調べた。すると、B群の無添加の系でNO誘導した場合は、NO誘導していない対照(A群)と比較して25±4の生存率しか示さなかったが、GABA添加でNO誘導した場合(C群)は、71±8の生存率を、緑茶カテキン添加でNO誘導した場合(D群)は、69±9の生存率を示した。
(スコポラミン健忘症モデルマウス)
スコポラミンを投与されたマウスは、記憶と認識障害を誘発される。このようなマウスは学習記憶障害モデルマウス(健忘症モデルマウス)として一般にアルツハイマー型痴呆症の研究の実験系として広く利用されている
神経精神薬理12, 217-278, 1990
スコポラミンを投与されたマウスは、記憶と認識障害を誘発される。このようなマウスは学習記憶障害モデルマウス(健忘症モデルマウス)として一般にアルツハイマー型痴呆症の研究の実験系として広く利用されている
神経精神薬理12, 217-278, 1990
この系を利用して、緑茶カテキン及びGABAの記憶障害改善作用について以下の方法により調べた。
ICRマウス(4週齢、雄)40匹を4群(各群10匹)に分けて、第1群と第2群には基本飼料(オリエンタル酵母社製)を、第3群には基本飼料に緑茶カテキンを0.2%(エピガロカテキンガレートとして0.1%)添加した飼料を、第4群には基本飼料にGABAを0.4%添加した飼料を、5週間与えた。なお、摂餌及び摂水は自由とした。
5週間後、第1群のマウスの腹腔に生理食塩水を、第2〜第4群のマウスの腹腔に、スコポラミン(Sigma社製)を1mg/kg体重分注射して、以下に示す自発的交替行動試験(Y-迷路テスト)と受動的回避学習試験(passive avoidancetest)を行った。
(自発的交替行動試験)
Y字型で3つの穴に別れた迷路(図1)に各群のマウスを入れ、その動きを8分間観察した。例えば、aからbへ移ったマウスが次にaに戻らずにcに行った場合、「交替行動をとった」とカウントし、以下の式で交替行動率を示す。
Y字型で3つの穴に別れた迷路(図1)に各群のマウスを入れ、その動きを8分間観察した。例えば、aからbへ移ったマウスが次にaに戻らずにcに行った場合、「交替行動をとった」とカウントし、以下の式で交替行動率を示す。
一般に、記憶障害が起こると元の穴に戻りやすくなり、交替行動率は低下する。各群の交替行動率を比較すると、第1群(対照。スコポラミン投与無し)では、交替行動率が61.5±9.0%だったのに対し、第2群(スコポラミン投与)では、44.5±5.0%に低下した。一方、第3群(GABA添加飼料。スコポラミン投与)では、60.5±6.0%と、第1群に対して交替行動率の低下がほとんど見られず、スコポラミンによる記憶障害の影響を回避した。(第2群に対して、危険率0.05以下で有意差あり。)また、第4群(緑茶カテキン添加飼料。スコポラミン投与)でも、62.0±2.0%となり、第3群の場合と同様にスコポラミンによる記憶障害の影響を回避した。(第2群に対して、危険率0.01以下で有意差あり。)
(受動的回避学習試験)
まず1日目に各群のマウスを、照明つき部屋と暗室に別れ床面に電流が流れる箱(図2)に入れ、学習トレーニングを行う。即ち、マウスを照明つき部屋に入れ、明かりを消した状態で1分間放置する。次の2分間、明かりをつける。その後、明かりを消して1秒間0.25mAの電流を流す。マウスは生来、暗いところを好むが、このトレーニングを行うことにより、暗いところと電気ショックを結びつけて学習し、明るいところに留まろうとする。このトレーニングの次の日に明かりをつけた照明つき部屋に入れ、マウスが何秒間留まるか最大300秒で測定した。1群(対照。スコポラミン投与無し)では、8匹中4匹が最大の300秒明所に留まり、平均滞留時間は221.1±95.4秒であった。一方、第2群(スコポラミン投与)では、8匹中最も滞留時間が長いものでも150秒、平均滞留時間は69.6±48.7秒であり、記憶障害が見られた。そして、第3群(GABA添加飼料。スコポラミン投与)では8匹中3匹が最大の300秒明所に留まり、平均滞留時間は194.2±123.6秒であった。また、第4群(緑茶カテキン添加飼料。スコポラミン投与)では8匹中3匹が最大の300秒明所に留まり、平均滞留時間は159.3±128.1秒であった。即ち、GABAやカテキン添加飼料群ではスコポラミン投与にもかかわらず、あまり記憶障害がみられなかった。
まず1日目に各群のマウスを、照明つき部屋と暗室に別れ床面に電流が流れる箱(図2)に入れ、学習トレーニングを行う。即ち、マウスを照明つき部屋に入れ、明かりを消した状態で1分間放置する。次の2分間、明かりをつける。その後、明かりを消して1秒間0.25mAの電流を流す。マウスは生来、暗いところを好むが、このトレーニングを行うことにより、暗いところと電気ショックを結びつけて学習し、明るいところに留まろうとする。このトレーニングの次の日に明かりをつけた照明つき部屋に入れ、マウスが何秒間留まるか最大300秒で測定した。1群(対照。スコポラミン投与無し)では、8匹中4匹が最大の300秒明所に留まり、平均滞留時間は221.1±95.4秒であった。一方、第2群(スコポラミン投与)では、8匹中最も滞留時間が長いものでも150秒、平均滞留時間は69.6±48.7秒であり、記憶障害が見られた。そして、第3群(GABA添加飼料。スコポラミン投与)では8匹中3匹が最大の300秒明所に留まり、平均滞留時間は194.2±123.6秒であった。また、第4群(緑茶カテキン添加飼料。スコポラミン投与)では8匹中3匹が最大の300秒明所に留まり、平均滞留時間は159.3±128.1秒であった。即ち、GABAやカテキン添加飼料群ではスコポラミン投与にもかかわらず、あまり記憶障害がみられなかった。
本発明の脳細胞保護のための組成物は、緑茶カテキンやGABAといった食品に含まれる成分を用いているため、痴呆症又は記憶障害改善のための医薬品のみならず、脳の老化や痴呆の予防のための、または記憶力低下の抑制のための食品に用いることができる。具体的には、サプリメントや健康ドリンクなどの健康食品だけでなく、日常食する食品に添加することにより、従来の食品の風味を楽しみながら、脳の健康増進を図ることができる。
Claims (7)
- 緑茶カテキンを配合することを特徴とする脳細胞保護のための組成物。
- GABA(γ―アミノ酪酸)を配合することを特徴とする脳細胞保護のための組成物。
- NO誘導によるヒト神経細胞芽腫アポトーシスを防ぐことを特徴とする請求項1または2に記載の脳細胞保護のための組成物。
- 緑茶カテキン構成成分であるエピガロカテキンガレートを0.01〜40質量%含有することを特徴とする請求項1から3いずれかに記載の脳細胞保護のための組成物。
- GABA(γ―アミノ酪酸)を0.02〜40質量%含有することを特徴とする請求項1から4いずれかに記載の脳細胞保護のための組成物。
- 請求項1から5いずれかに記載の脳細胞保護のための組成物を含有することを特徴とする記憶力増進または脳の老化防止のための食品。
- 請求項1から5いずれかに記載の脳細胞保護のための組成物を含有することを特徴とする痴呆症又は記憶障害改善のための医薬品。
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