JP2000166502A - 呈味改善食品素材とその製造方法および同素材を含有する飲食品 - Google Patents

呈味改善食品素材とその製造方法および同素材を含有する飲食品

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JP2000166502A
JP2000166502A JP10350533A JP35053398A JP2000166502A JP 2000166502 A JP2000166502 A JP 2000166502A JP 10350533 A JP10350533 A JP 10350533A JP 35053398 A JP35053398 A JP 35053398A JP 2000166502 A JP2000166502 A JP 2000166502A
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acid
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glutamic acid
cucumber
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Mayumi Ikemoto
真由美 池本
Masayoshi Uzawa
昌好 鵜澤
Saneho Nakada
実穂 中田
Ryoji Sato
良二 佐藤
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Lotte Co Ltd
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Lotte Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】消化吸収性がよく、蛋白質に起因するアレルギ
ーの心配がなく、γ−アミノ酪酸を多量に含むことによ
り動脈硬化等の疾病の予防が可能であり、かつ、呈味が
改善され、栄養学的にも利用価値の高い食品素材を得
る。 【解決手段】食品蛋白の分解物として、乳、トウモロコ
シまたはカカオ豆の分解物を使用し、それに、カボチャ
および/またはキュウリの磨砕物、あるいは同カボチャ
および/またはキュウリから抽出したグルタミン酸脱炭
酸酵素を作用させ、上記分解物中のグルタミン酸をγ−
アミノ酪酸に変換した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食品蛋白の分解物
に含まれるアミノ酸類、特にグルタミン酸に由来する強
い呈味が改善された呈味改善食品素材とその製造方法お
よび同素材を含有する飲食品に関する。
【0002】
【従来の技術】蛋白質は摂取された後、体内の酸または
酵素によって分解され、アミノ酸として体内に吸収され
る。このため必要な栄養素を効率よく摂取するために
は、蛋白質の代わりにアミノ酸を用いることが従来から
良く行われている。また、近年、蛋白質の分解物である
ペプチドは、アミノ酸に比較して速やかに吸収されるこ
とが明らかとなり、例えばトウモロコシ蛋白質のように
消化しにくいものであっても、ペプチドに分解すること
で消化吸収の良い栄養素として利用できるようになっ
た。このように、蛋白質の分解物である消化吸収性の良
いアミノ酸やペプチドは、食品や飲料の素材として注目
され、特に運動後の疲労回復や、病中、病後の効率的な
栄養補給のための食品素材として期待されている。
【0003】しかしながら、アミノ酸やペプチドには独
特の強い呈味を有するものが多く、その中でもグルタミ
ン酸は特に大きな要因を占めており、それらの摂取に対
して種々の問題が生じている。例えば、米国では、グル
タミン酸の塩であるグルタミン酸ナトリウムを多量に摂
取すると、顔が赤くなったり、興奮状態になったり、発
汗作用を引き起こすアレルギー(チャイニーズレストラ
ンシンドローム)が、調味料を大量使用する中華料理を
食した時に多発しており問題となっている。また、ペプ
チドは、分解率を高めるほど室温での吸湿性が高くな
り、取り扱いに不便である。
【0004】そのため、アミノ酸やペプチドの持つ強い
呈味を低減させるために、種々の方法が提案されてい
る。例えば、茶または茶の風味成分を添加する方法(特
開平2−128669号公報)、香料またはハーブ系、
フルーツ系、ミント系の香辛料を添加する方法(特開平
2−128670号公報)、カカオまたはコーヒーの風
味を付与する方法(特開平3−47829号公報)、カ
プサイシンまたは唐辛子エキスを添加する方法(特開平
6−14747号公報)等がそれである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの方法
では、アミノ酸またはペブチド含有食品の風味が添加さ
れる成分によって画一化されてしまい、また、蛋白質の
分解率を上げた場合にはアミノ酸の含量が増加し、その
ため、特にグルタミン酸の強い呈味を低減することは難
しく、広く様々な食品に応用するのが困難であった。
【0006】一方、グルタミン酸より変換されるγ−ア
ミノ酪酸は、生体では神経伝達物質として中枢神経にお
いて重要な役割を果たしているほか、動物の血圧を下げ
る作用があることが知られ、かつ、脳の新陳代謝促進作
用、動脈硬化の予防、二日酔いの防止、皮膚の活性化等
に効果がある物質として注目されている。
【0007】本発明は、乳、トウモロコシまたはカカオ
豆に含まれるグルタミン酸を、カボチャおよび/または
キュウリに含まれるグルタミン酸脱炭酸酵素の作用によ
りγ−アミノ酪酸に変換させることによって、消化吸収
性がよく、蛋白質に起因するアレルギー(チャイニーズ
レストランシンドローム)の心配がなく、さらにγ−ア
ミノ酪酸を多量に含むことにより動脈硬化等の疾病の予
防が可能であって、かつ、呈味が改善され、栄養学的に
も利用価値の高い食品素材を得ることができるとの知見
のもとに完成したものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明呈味改善食品素材
は、食品蛋白の分解物として、乳、トウモロコシまたは
カカオ豆の分解物を使用し、それに、カボチャおよび/
またはキュウリの磨砕物、あるいは同カボチャおよび/
またはキュウリから抽出したグルタミン酸脱炭酸酵素を
作用させ、上記分解物中のグルタミン酸をγ−アミノ酪
酸に変換したものである。
【0009】本発明呈味改善食品素材の製造方法は、食
品蛋白の分解物として、乳、トウモロコシまたはカカオ
豆の分解物を使用し、それに、カボチャおよび/または
キュウリの磨砕物、あるいは同カボチャおよび/または
キュウリから抽出したグルタミン酸脱炭酸酵素を作用さ
せ、上記分解物中のグルタミン酸をγ−アミノ酪酸に変
換することを内容とする。
【0010】上記において、磨砕物またはグルタミン酸
脱炭酸酵素を、温度20〜50℃の下であって、かつ、
塩酸または硫酸等の酸、好ましくはクエン酸、酢酸、リ
ンゴ酸、酒石酸、コハク酸から選ばれる1種または2種
以上の酸によるpH5.5〜6.2好ましくは5.8の
下で作用させることが効果的である。
【0011】食品蛋白の分解物として使用する、乳、ト
ウモロコシまたはカカオ豆の分解物は、グルタミン酸含
量が高く、また、酸また酵素によりほぼ完全に加水分解
されてアミノ酸を豊富に含んでいる状態であることが好
ましい。その分解物の性状としては、水溶液、懸濁液ま
たは乳化物等の液状、粉末等の固形状、またはペースト
状であってもよい。
【0012】また、カカオ豆は、カカオ豆全体を使用し
てもよいし、それからカカオニブ(胚乳)、カカオシェ
ル(外皮)またはカカオジャーム(胚芽)を分離して使
用してもよい。
【0013】グルタミン酸をγ−アミノ酪酸に変換させ
るグルタミン酸脱炭酸酵素源として使用するカボチャま
たはキュウリの磨砕物は、そのカボチャまたはキュウリ
に1〜2倍量の水を加えて一般的な磨砕機により作成で
きる。また、グルタミン酸脱炭酸酵素を抽出するには、
カボチャまたはキュウリの可食部をリン酸緩衝溶液中で
ホモゲナイズした後遠心分離し、その上清液をイオン交
換処理、塩析および脱塩処理を行うことによって得るこ
とができる。そのグルタミン酸脱炭酸酵素は、一般的に
は凍結乾燥処理した粉末の形態をとることができる。
【0014】本発明において、乳、トウモロコシまたは
カカオ豆の分解物にグルタミン酸脱炭酸酵素または磨砕
物を作用させる条件としては、上記のように、20〜5
0℃の温度で、酸によりpHを5.5〜6.2、好まし
くは5.6に調整しながら行なうことが好ましく、これ
によって、蛋白分解物における主要な呈味成分であるグ
ルタミン酸を呈味性の低いγ−アミノ酪酸に効率よく変
換することができ、グルタミン酸に起因する強い呈味を
緩和することができるものである。20℃より低い温度
では著しい変換率の低下をきたし、50℃以上では酵素
の失活により反応が低下してしまう。
【0015】本発明において、pHを調整する酸とし
て、クエン酸、酢酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸から
1種または2種以上を使用することが好ましいとしたの
は、これらの酸を使用することにより、本発明呈味改善
食品素材は、グルタミン酸以外のアミノ酸の呈味も改善
され、爽やかな呈味を有するとともに、極めて低吸湿性
の食品素材となるからである。
【0016】本発明呈味改善食品素材は、そのまま食品
そのものとして食することができるとともに、飲料、菓
子類等の食品に添加して使用することが可能にしたもの
で、従来、グルタミン酸に起因する強い呈味のために、
食品への使用が制限されていた食品蛋白の分解物の利用
性を高めるのに寄与する。すなわち、本発明呈味改善食
品素材は、乳、トウモロコシまたはカカオ豆を使用して
いるので、従来、牛乳、全脂粉乳、脱脂粉乳等の粉乳、
乳製品を使用していたチョコレート、キャラメル、ビス
ケット等の菓子、アイスクリーム、シャーベット等の冷
菓または、ヨーグルト、粉末ミルク、プリン、乳飲料
等、あるいは、スナック、朝食用シリアルに添加して、
呈味が優れ、かつ栄養価の高いものとすることができ
る。
【0017】
【発明の実施の形態】以下には、本発明を実施例と比較
例を挙げてさらに詳細に説明するが、本発明はこれによ
って制限されるものではない。
【0018】〔グルタミン酸脱炭酸酵素源によるγ−ア
ミノ酪酸生成試験〕カボチャ、キュウリ、ニンジン、ダ
イコン、トマトおよび花粉(オレンジのビーポーレン花
粉)のそれぞれに1.5倍量の水を加え、フードプロセ
ッサを用いて各々の磨砕物を作製し、それぞれをグルタ
ミン酸脱炭酸酵素源とし、グルタミン酸溶液を使用し
て、γ−アミノ酪酸生成量を比較した。さらに具体的に
は、上記各磨砕物を20gずつを、各別に用意した0.
1%グルタミン酸溶液100gに加え、40℃、pH
5.8にし2時間振とうした後、グルタミン酸残存量お
よびγ−アミノ酪酸生成量を比較した。グルタミン酸お
よびγ−アミノ酪酸の測定はアミノ酸分析計(日本電子
JLC−300)を用いて行った。結果を表1に示す。
【0019】
【表1】
【0020】これより明らかなように、カボチャおよび
キュウリの磨砕物によるγ−アミノ酪酸の生成率は、ニ
ンジン、ダイコン、トマトおよび花粉の磨砕物のそれよ
り高く、したがって、グルタミン酸脱炭酸酵素源として
は、前二者が後四者より勝っていることがわかる。
【0021】実施例1,2,比較例1〜4(乳蛋白分解
物) 上記同様、カボチャ、キュウリ、ニンジン、ダイコン、
トマトおよび花粉(オレンジのビーポーレン花粉)のそ
れぞれに1.5倍量の水を加え、フードプロセッサを用
いて各々の磨砕物を作製し、それぞれをグルタミン酸脱
炭酸酵素源とし、2%乳蛋白分解物溶液100gに、上
記各磨砕物を20gずつ加え、40℃、pH5.8にし
2時間振とうした(実施例1,2および比較例1〜4)
後、グルタミン酸残存量およびγ−アミノ酪酸生成量を
比較した。結果を表2に示す。
【0022】
【表2】
【0023】表2に示すように、カボチャ、キュウリの
各磨砕物を使用した実施例1,2は、ニンジン、ダイコ
ン、トマト、花粉の各磨砕物を使用した比較例1〜4と
比べて高いγ−アミノ酪酸生成率を示した。
【0024】〔pHの調整試験〕0.1%グルタミン酸
溶液100gに、実施例1,2におけると同じカボチャ
磨砕物20gを混合し、40℃、pH5.8の条件下
で、カボチャ磨砕物のグルタミン酸脱炭酸酵素によるグ
ルタミン酸のγ−アミノ酪酸への変換を、pHの調整を
以下の方法で行い、20時間振とうした後のグルタミン
酸の残存率を比較した。結果を表3に示す。 1.100mMクエン酸でpH5.8に調整し、上記グ
ルタミン酸溶液およびカボチャ磨砕物を加え、反応中も
100mMクエン酸でpH5.8を維持し続ける(以下
「pHスタット法」という)。 2.100mM酢酸ナトリウム緩衝液でpH5.8に調
整した溶液に、上記グルタミン酸溶液およびカボチャ磨
砕物を加える。
【0025】
【表3】
【0026】100mMクエン酸を用いてpH5.8を
維持するpHスタット法においては、グルタミン酸は全
て反応し、その残存率は0%であったが、100mM酢
酸ナトリウム緩衝液反応系においては、グルタミン酸の
残存率は85%であった。これより、上記緩衝溶液では
グルタミン酸の変換は不十分であるが、pHスタット法
を用いた場合はグルタミン酸の変換効率が飛躍的に向上
し、存在するグルタミン酸を全てγ−アミノ酪酸に変換
できることが明らかとなった。
【0027】さらに、前出表1に示した各磨砕物の反応
を、上記pHスタット法によって行なった場合、同量の
グルタミン酸をγ−アミノ酪酸に変換するためにニンジ
ン、ダイコン、トマトおよび花粉は、カボチャ、キュウ
リに比べて、多量の磨砕物が必要となり、処理後の蛋白
加水分解物の呈味に磨砕物本来の味が大きく影響して呈
味の改善は認められなかった。また、ニンジン、ダイコ
ン、トマトおよび花粉からグルタミン酸脱炭酸酵素を抽
出し、それを使用した場合にも、同様に多量の酵素量を
必要とし、同じ結果になった。
【0028】実施例3〜9,比較例5(乳蛋白分解物) 乳蛋白分解物(グルタミン酸含有率5%)20%溶液5
0mlに、カボチャより抽出したグルタミン酸脱炭酸酵
素0.1g、ビタミンB6 0.01gを混合し、37〜
40℃で、塩酸、硫酸、クエン酸、酢酸、リンゴ酸、酒
石酸およびコハク酸の各々によりpH5.8に調整しな
がら24時間反応させ、反応後凍結乾燥し粉体を得た
(実施例3〜9)。同様に、乳蛋白分解物(グルタミン
酸含有率5%)20%溶液50mlに、カボチャより抽
出したグルタミン酸脱炭酸酵素0.1g、ビタミンB6
0.01gを混合し、37〜40℃で、pH調整するこ
と無く、24時間反応させ、反応後凍結乾燥し粉体を得
た(比較例5)。これら実施例3〜9および比較例5の
呈味性を、男女計15名のパネラーにより官能評価し
た。その結果を表4に示す。
【0029】
【表4】
【0030】これによると、酸として実施例5,6,
7,8および9のクエン酸、酢酸、リンゴ酸、酒石酸お
よびコハク酸を使用した場合は、実施例3および4の塩
酸および硫酸を使用した場合に比較して、乳蛋白分解物
の塩味、苦味、渋味などの呈味が緩和され、爽やかな呈
味を有するようになった。なお、比較例5のpH無調整
品は、塩味、苦味、渋味の強いものであった。
【0031】実施例10〜16,比較例6(トウモロコ
シ蛋白分解物) 同様の方法で、トウモロコシ蛋白分解物(グルタミン酸
含有率8%)20%溶液50mlに、カボチャより抽出
したグルタミン酸脱炭酸酵素0.1g、ビタミンB
6 0.01gを混合し、37〜40℃で、塩酸、硫酸、
クエン酸、酢酸、リンゴ酸、酒石酸およびコハク酸の各
々によりpH5.8に調整しながら24時間反応させ、
反応後凍結乾燥し粉体を得た(実施例10〜16)。同
じく、トウモロコシ蛋白分解物(グルタミン酸含有率8
%)20%溶液50mlに、カボチャより抽出したグル
タミン酸脱炭酸酵素0.1g、ビタミンB60.01g
を混合し、37〜40℃で、pH調整をすること無く、
24時間反応させ、反応後凍結乾燥し粉体を得た(比較
例6)。これら実施例10〜16および比較例6の呈味
性を、男女計15名のパネラーにより官能評価した。そ
の結果を表5に示す。
【0032】
【表5】
【0033】これによると、酸として実施例12,1
3,14,15および16のクエン酸、酢酸、リンゴ
酸、酒石酸およびコハク酸を使用した場合は、実施例1
0および11の塩酸および硫酸を使用した場合に比較し
て、トウモロコシ蛋白分解物の塩味、苦味、渋味などの
呈味が緩和され、爽やかな呈味を有するようになった。
なお、比較例6のpH無調整品は、塩味、苦味、渋味の
強いものであった。
【0034】実施例17〜23,比較例7(カカオ豆蛋
白分解物) カカオ豆蛋白分解物(グルタミン酸含有率5%)20%
溶液50mlに、カボチャより抽出したグルタミン酸脱
炭酸酵素0.1g、ビタミンB6 0.01gを混合し、
37〜40℃で、塩酸、硫酸、クエン酸、リンゴ酸、酢
酸、酒石酸およびコハク酸の各々によりpH5.8を維
持しながら24時間反応させ、反応後凍結乾燥し粉体を
得た(実施例17〜23)。同じく、カカオ豆蛋白分解
物(グルタミン酸含有率5%)20%溶液50mlに、
カボチャより抽出したグルタミン酸脱炭酸酵素0.1
g、ビタミンB6 0.01gを混合し、37〜40℃
で、pH調整をすること無く、24時間反応させ、反応
後凍結乾燥し粉体を得た(比較例7)。これら実施例1
7〜23および比較例7の呈味性を、男女計15名のパ
ネラーにより官能評価した。その結果を表6に示す。
【0035】
【表6】
【0036】これによると、酸として実施例19,2
0,21,22および23のクエン酸、酢酸、リンゴ
酸、酒石酸およびコハク酸を使用した場合は、実施例1
7および18の塩酸および硫酸を使用した場合に比較し
て、グルタミン酸の減少により、カカオ豆蛋白分解物の
塩味、苦味、渋味などの呈味が緩和され、爽やかな呈味
を有するようになった。なお、比較例7のpH無調整品
は、塩味、苦味、渋味の強いものであった。
【0037】実施例24〜30,比較例8(乳蛋白分解
物) 乳蛋白分解物(グルタミン酸含有率5%)20%溶液5
0mlに、キュウリより抽出したグルタミン酸脱炭酸酵
素0.8g、ビタミンB6 0.01gを混合し、37〜
40℃で、塩酸、硫酸、クエン酸、リンゴ酸、酢酸、酒
石酸およびコハク酸の各々によりpH5.8に調整しな
がら24時間反応させ、反応後凍結乾燥し粉体を得た
(実施例24〜30)。同様にして、乳蛋白分解物(グ
ルタミン酸含有率5%)20%溶液50mlに、キュウ
リより抽出したグルタミン酸脱炭酸酵素0.8g、ビタ
ミンB6 0.01gを混合し、37〜40℃で、pH調
整をすること無く、24時間反応させ、反応後凍結乾燥
し粉体を得た(比較例8)。これら実施例24〜30お
よび比較例8の呈味性を、男女計15名のパネラーによ
り官能評価した。その結果を表7に示す。
【0038】
【表7】
【0039】これにより、酸として実施例26,27,
28,29および30のクエン酸、酢酸、リンゴ酸、酒
石酸およびコハク酸を使用した場合は、実施例24およ
び25の塩酸および硫酸を使用した場合に比較して、乳
蛋白分解物の塩味、苦味、渋味などの呈味が緩和され、
爽やかな呈味を有するようになった。なお、比較例8の
pH無調整は、塩味、苦味、渋味の強いものであった。
【0040】〔吸湿性試験〕実施例3,5,6,7,8
の乳蛋白分解物の酵素処理品および比較例5のpH無調
整品の吸湿性を比較するため、アルミカップに各々0.
5g採取し、室温で24時間放置後の重量の変化を測定
した。結果は表8に示すとおりであった。
【0041】
【表8】
【0042】この結果から、吸湿性は、pH調整剤とし
てクエン酸、酢酸、リンゴ酸および酒石酸などの有機酸
を用いた実施例5,6,7および8の酵素処理品が、塩
酸を用いた実施例3および比較例5のpH無調整の蛋白
分解物より低減し吸湿性に関する素材特性が優れている
ことがわかる。
【0043】実施例31,32,比較例9(緑茶飲料) 実施例3,5および比較例5で作製した乳蛋白分解物の
酵素処理品を、緑茶飲料195g中に0.025%混合
して緑茶飲料を作製した(実施例31,32、比較例
9)。その官能評価を男女計15名のパネラーにより官
能評価した結果を表9に示す。
【0044】
【表9】
【0045】比較例5のpH無調整品で作製した比較例
9の緑茶飲料に比べて実施例3および5の酵素処理品で
作製した実施例31および32の緑茶飲料は、その味を
損なわず飲用レベルに問題がないことが分かった。特に
pH調整剤にクエン酸を使用した実施例5の酵素処理品
で作製した実施例32の緑茶飲料は、未処理の緑茶飲料
そのものより味に爽快感が出た。
【0046】実施例33,34,比較例10(紅茶飲
料) 実施例10,12および比較例6で作製したトウモロコ
シ蛋白分解物の酵素処理品を、紅茶飲料195g中に
0.025%混合して紅茶飲料を作成した(実施例3
3,34および比較例10)。その紅茶飲料の官能評価
を男女計15名のパネラーにより官能評価した結果を表
10に示す。
【0047】
【表10】
【0048】比較例10の紅茶飲料に比べて実施例3
3,34の紅茶飲料は、その味を損なわず飲用レベルに
問題がないことが分かった。特にpH調整剤にクエン酸
を使用した実施例12の酵素処理品で作製した実施例3
4の紅茶飲料は、未処理の紅茶飲料そのものより味に爽
快感が出た。
【0049】
【発明の効果】以上述べたところから明らかなとおり、
本発明によれば次の効果を奏する。乳、トウモロコシま
たはカカオ豆に含まれるグルタミン酸を、カボチャおよ
び/またはキュウリに含まれるグルタミン酸脱炭酸酵素
の作用によりγ−アミノ酪酸に変換させることによっ
て、消化吸収性がよく、蛋白質に起因するアレルギー
(チャイニーズレストランシンドローム)の心配がな
く、さらにγ−アミノ酪酸を多量に含むことにより動脈
硬化等の疾病の予防が可能であって、かつ、呈味が改善
され、栄養学的にも利用価値の高い呈味改善食品素材ま
たはそれを含有する飲食品を提供できる。
【0050】特に、クエン酸、酢酸、リンゴ酸、酒石
酸、コハク酸によりpHを5.5〜6.2、好ましくは
5.8に調整しながら作用させた場合の効果は著しく、
乳、トウモロコシまたはココア豆蛋白分解物の塩味、苦
味、渋味等が顕著に緩和され、爽やかな呈味を有し、し
かも、低吸湿性の呈味改善食品素材またはそれを含有す
る飲食品となる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年1月5日(1999.1.5)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正内容】
【0014】本発明において、乳、トウモロコシまたは
カカオ豆の分解物にグルタミン酸脱炭酸酵素または磨砕
物を作用させる条件としては、上記のように、20〜5
0℃の温度で、酸によりpHを5.5〜6.2、好まし
くは5.8に調整しながら行なうことが好ましく、これ
によって、蛋白分解物における主要な呈味成分であるグ
ルタミン酸を呈味性の低いγ−アミノ酪酸に効率よく変
換することができ、グルタミン酸に起因する強い呈味を
緩和することができるものである。20℃より低い温度
では著しい変換率の低下をきたし、50℃以上では酵素
の失活により反応が低下してしまう。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正内容】
【0025】
【表3】
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // A23F 3/16 A23F 3/16 A61P 9/10 A61K 31/00 609G A61K 31/195 31/195

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】食品蛋白の分解物として、乳、トウモロコ
    シまたはカカオ豆の分解物を使用し、それに、カボチャ
    および/またはキュウリの磨砕物、あるいは同カボチャ
    および/またはキュウリから抽出したグルタミン酸脱炭
    酸酵素を作用させ、上記分解物中のグルタミン酸をγ−
    アミノ酪酸に変換したことを特徴とする呈味改善食品素
    材。
  2. 【請求項2】上記磨砕物またはグルタミン酸脱炭酸酵素
    を、温度20〜50℃、酸によるpH5.5〜6.2好
    ましくは5.8の条件の下で作用させたことを特徴とす
    る請求項1記載の呈味改善食品素材。
  3. 【請求項3】クエン酸、酢酸、リンゴ酸、酒石酸、コハ
    ク酸から選ばれる1種または2種以上の酸によりpH調
    整を行ったことを特徴とする請求項1または2記載の呈
    味改善食品素材。
  4. 【請求項4】請求項1,2または3に記載の呈味改善食
    品素材を含有することを特徴とする飲食品。
  5. 【請求項5】食品蛋白の分解物として、乳、トウモロコ
    シまたはカカオ豆の分解物を使用し、それに、カボチャ
    および/またはキュウリの磨砕物、あるいは同カボチャ
    および/またはキュウリから抽出したグルタミン酸脱炭
    酸酵素を作用させ、上記分解物中のグルタミン酸をγ−
    アミノ酪酸に変換することを特徴とする呈味改善食品素
    材の製造方法。
  6. 【請求項6】上記磨砕物またはグルタミン酸脱炭酸酵素
    を、温度20〜50℃、酸によるpH5.5〜6.2好
    ましくは5.8の条件の下で作用させることを特徴とす
    る請求項5記載の呈味改善食品素材の製造方法。
  7. 【請求項7】クエン酸、酢酸、リンゴ酸、酒石酸、コハ
    ク酸から選ばれる1種または2種以上の酸を使用してp
    H調整を行うことを特徴とする請求項5または6記載の
    呈味改善食品素材の製造方法。
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