JP2003153665A - 香料および香味改善剤の製造法およびこれらを含有する飲食品 - Google Patents
香料および香味改善剤の製造法およびこれらを含有する飲食品Info
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Abstract
よび飲食品をまろやかな風味に改善する香味改善剤を提
供する。 【解決手段】乳脂肪、糖、アミノ酸および水を含有する
組成物を、pH3.5〜4.5の条件下で熟成する。好
ましくは、アミノ酸を乳タンパク質の酵素分解物とし、
さらに好ましくは、乳タンパク質の酵素分解と熟成を並
行しておこなう。
Description
料および香味改善剤の製造法、およびその製造法により
製造された香料またはおよび香味改善剤を含有する飲食
品に関するものである。
クなどの乳風味を有する香料の製造法については、以下
に列記した方法などで製造されている。
う方法(特開昭58−98039号公報、特開昭60−
78582号公報、特開昭61−135541号公報な
ど)、2)乳原料にリパーゼやプロテアーゼ、あるいは
ラクターゼ、リポキシゲナーゼなどの精製酵素を作用さ
せる方法(特開昭57−41898号公報、特開昭59
−66856号公報、特開昭62−181752号公報
など)、3)乳原料の酵素処理物を加熱反応する方法
(特開昭58−43755号公報、特開昭62−181
752号公報など)や、これらの製法の組み合わせによ
る方法(特開昭61−21069号公報、特開昭62−
96039号公報など)などが提案されている。
やラクトン化合物などの香料化合物を添加したり(特開
昭55−43742号公報など)、乳脂肪をリパーゼや
アルカリなどで分解して、高濃度の脂肪酸を含有させる
ことなど(特開昭57−38226号公報、特開昭62
−62140号公報など)により、力価が高く、持続性
に優れたフレーバーの製法が提案されている。
つ独特の熟成感やボディー感、クリーミィー感が、乳製
品フレーバーに望まれる風味を代表していることから、
多くがチーズの製法を模して製造される。また、チーズ
フレーバーの製造法としては、特開昭61−21069
号公報、特開昭62−181752号公報などチーズを
基質の一部に使用する例が多数提案されている。
料とするフレーバーでは、常法である乳原料のリパーゼ
分解を行うと、分解によって生ずる低級脂肪酸臭が刺激
的であったり、石鹸臭の発生によって、乳原料の天然感
や微妙な香気バランスを崩してしまうことが問題であっ
た。
ため、チーズを原料として使用することが行われている
が、通常チーズはカード状態のため、磨砕・液状化する
必要があり、製法が煩雑となり、製造工程に時間を要し
てしまう課題があった。
含量や乳固形分が少なく、反応基質としては十分な香気
が得られない。また、特許第2801376号公報のよ
うに、全乳の限外ろ過による濃縮乳を用いた場合、反応
基質としては十分であるが、前処理が複雑になり製造に
時間を要してしまう。さらに、中性から弱酸性のpH範囲
で長時間反応することは、原料や酵素由来の腐敗微生物
が繁殖する危険性があり、品質安定な製品供給が難し
い。
は、加熱処理によりミルク風味フレーバーを生成するこ
とが例示されているが、いまだに優れたミルク風味フレ
ーバーは生成されていない。このことは加熱温度が高温
であるが故に、天然のミルク風味を壊してしまうことが
原因と考えられる。
し、風味に優れた香料の製造法について鋭意研究を行っ
てきた結果、乳脂肪、糖、アミノ酸および水を含有する
原料を特定のpH範囲に調整して熟成を行うことで、極
めて良好な、かつ所望の風味を有する香料および香味改
善剤を得られることを見いだし本発明を完成した。
風味を付与する香料および飲食品をまろやかな風味に改
善する香味改善剤の製造法を提供することにある。
改善剤の製造法は、乳脂肪、糖、アミノ酸および水を含
有する組成物を、pH3.5〜4.5の条件下で熟成す
ることを特徴とする香料および香味改善剤の製造法であ
る。
の温度で35時間以上行うことが好ましい一つの態様で
ある。また、本発明においては、アミノ酸が、乳タンパ
ク質のタンパク質分解酵素処理物由来のアミノ酸であ
り、タンパク質分解酵素が、アスペルギルス・オリゼ
(Aspergillus oryzae)を起源とする酵素であること
が好ましい態様である。また、本発明においては、乳タ
ンパク質の酵素分解と熟成を並行して行うことが好まし
い態様である。
改善剤は、飲食物に添加配合される。
善剤は、乳脂肪、糖、アミノ酸および水を含有する組成
物を、pH3.5〜4.5の条件下で熟成することで、
容易に得ることが出来る。その原料比率は、乳脂肪が3
0〜50重量%、糖が1〜5重量%、アミノ酸源となる
乳タンパク質が1〜5重量%、もしくはアミノ酸が0.0
05〜1重量%、水が40〜60重量%となるように調
製した組成物が好ましく用いられる。
製品もしくはこれらの分画物など乳由来のものであれ
ば、いずれのものでも使用することができる。例えば、
牛乳などの獣乳、クリーム、練乳、全脂粉乳、チーズ、
バターなどを使用することができる。
ど食品加工で用いる一般的な糖類を示す。例えば、ショ
糖、グラニュー糖、グルコース、果糖、乳糖などを使用
することができる。
または加工乳製品もしくはこれらの分画物など乳由来タ
ンパク質をタンパク質分解酵素により処理し得ることが
できる。特に、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus
oryzae )由来のタンパク質分解酵素を用いることによ
って、極めて良好な香味を有する香料および香味改善剤
を製造することができる。本発明の香料および香味改善
剤には、ロイシン、グルタミン酸、プロリン、チロシ
ン、アラニン、シスチン、アスパラギン酸、イソロイシ
ン、バリン、リジンなどのアミノ酸が含まれる。
ノ酸および水を含有する組成物(乳原料)は、pH3.
5〜4.5の極めて限定された範囲に調整される。pH
の調整には、乳酸、クエン酸あるいは酢酸など、食品加
工で一般的に用いられる有機酸類を添加することで調整
可能である。このpH範囲に調製することで、天然感を
増幅でき、かつ腐敗防止効果も有している。
0℃〜40℃にて約3〜約80時間、より好ましくは約
35時間〜約64時間、さらに好ましくは35℃〜37
℃で約40〜45時間処理する条件を例示することがで
きる。
改善剤(処理組成物)は、遠心分離器などで分離するこ
とにより、水相部を水溶性形態として、油相部を油溶性
形態としてそれぞれ使用することができる。また、乳化
機などで均質化して、乳化形態としたり、スプレードラ
イヤーなどで粉末形態に調製することもできる。
10℃以下の冷暗所保管により長期間一定の効果が保持
される。
の配合量としては、好ましくは0.001〜10重量
%、より好ましくは0.01〜2重量%の範囲を例示す
ることができる。
または他の香料と組み合わせて、種々の飲食品に添加す
ることが可能である。
その他の茶類などの茶葉系飲料、ジャスミン茶などの植
物茶飲料、ハトムギ、玄米等の穀物茶飲料、果汁・果実
・野菜等を含有する飲料類、炭酸飲料類、機能性飲料・
栄養ドリンク類、スポーツドリンク類、ゼリー状栄養補
助食品類、果実酒類、乳飲料・乳酸菌飲料・乳入り清涼
飲料などその他乳性飲料類、アイスクリーム、シャーベ
ット、ゼリー、プリン、ヨーグルトなどの冷菓類、マー
ガリン、ショートニング、練乳、ホイップクリーム、コ
ーヒーホワイトナーなどの乳加工品類、洋菓子類、ジャ
ム類、パン類、チューインガム類、キャンディー・グミ
類、スープ類、カレー・シチューなどのレトルト食品
類、マヨネーズ・ドレッシング等の風味調味料、コーヒ
ー・ココアやスープなどの粉末状インスタント飲料、カ
ップ麺類などのインスタント食品類、スナック菓子類な
どに利用することができる。
合、顕著な香味改善効果が得られる。
が、本発明はこれにより制限されるものではない。
(脂肪含量47重量%、糖質2.5重量%、乳タンパク
質含量1.6重量%、水48重量%)400gに90重
量%乳酸1.8gを添加してpH4.0に調整して、8
5℃、30分加熱殺菌して37℃に冷却後、アスペルギ
ルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)由来のプロテアー
ゼM(天野製薬株式会社製)0.2g添加して、37℃
で42時間撹拌しながら酵素処理と熟成を並行して行っ
た。85℃、30分加熱して酵素失活させ、静置分液し
て、回収した水相部にアルコールを添加して20重量%
濃度とした。入冷ろ過後、本発明品1を230g得た。
ンパク処理・遠心分離・ろ過を行った。得られた本発明
品1について、HITACI L−8500Aアミノ酸
分析計(日立製作所株式会社製)を用いてアミノ酸量を
測定した。その結果、遊離のアミノ酸(15種類)量は
0.06重量%であった。
とを示すため、下記条件によりたんぱく質分解未処理の
反応を行った。市販生クリーム(脂肪含量47重量%、
糖質2.5重量%、乳タンパク質含量1.6重量%)4
00gに90重量%乳酸1.8gを添加してpH4.0
に調整して、85℃、30分加熱殺菌して37℃に冷却
後、37℃で42時間撹拌した。85℃、30分加熱し
て、冷却後、アルコールを添加して20重量%濃度とし
た。静置分液して水相部を回収して入冷ろ過後、比較品
1を50g得た。
販緑茶飲料に0.05重量%添加して、それぞれ緑茶
1、2とした。これらの緑茶飲料は、よく訓練された2
0名の官能検査員(20歳代〜30歳代前半)によって
官能評価を行った。官能評価は各評価項目に対して良否
を判定した。その結果を表1に示す。
使用した緑茶1は、比較品1を使用した緑茶2に比べ、
緑茶の旨味が引き立ち、苦味を抑えて、緑茶のまろやか
さを引き出し、嗜好性に優れたナチュラルなフレーバー
であった。
(脂肪含量47重量%、糖質2.5重量%、乳タンパク
質含量1.6重量%、水48重量%)1kgに90重量
%乳酸4.5gを添加してpH4.0に調整して、85
℃、30分加熱殺菌して37℃に冷却後、アスペルギル
ス・オリゼ(Aspergillus oryzae)由来のパンチターゼ
NP−2(ヤクルト薬品工業株式会社製)0.5g添加
して、37℃で42時間撹拌しながら酵素処理と熟成を
並行して行った。85℃、30分加熱して酵素失活さ
せ、加温状態で静置分液して、回収した油相部を遠心分
離して、得られた油相に5重量%となるように無水硫酸
マグネシウムを添加して、40℃で1時間撹拌して脱水
後にろ過して、本発明品2を450g得た。回収した水
相部は実施例1と同様にして調製した。さらに実施例1
と同様にしてアミノ酸分析を行った結果、遊離のアミノ
酸(15種類)量は0.035重量%であった。
件に従い、タンパク質分解反応後に加熱反応を行った。
市販生クリーム(脂肪含量47重量%、糖質2.5重量
%、乳タンパク質含量1.6重量%、水48重量%)4
00gに90重量%乳酸1.8gを添加してpH4.0
に調整して、85℃、30分加熱殺菌して37℃に冷却
後、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)由
来のプロテアーゼM(天野製薬株式会社製)0.2g添
加して、37℃で42時間撹拌しながら酵素処理を行っ
た。さらに90℃で1時間加熱した後、加温状態で静置
分液して、油相部を回収した。さらに遠心分離して得ら
れた油相に5重量%となるように無水硫酸マグネシウム
を添加して、40℃で1時間撹拌して脱水後にろ過し
て、比較品2を165g得た。
マーガリンに0.5重量%添加して、それぞれマーガリ
ン1,2とした。これらのマーガリンは前記の20名の
官能検査員によって官能検査を行った。その結果を表2
に示す。
使用したマーガリン1は比較品2を使用したマーガリン
2に比べ、天然感や新鮮なバター風味に近く、嗜好性に
優れたナチュラルなバターフレーバーであった。
岩井乳業株式会社製)188gとラクトース10g、カ
ザミノ酸(DIFCO社製)2gと水198.2gを乳
化混合して、90%乳酸を1.8g添加してpH4.0
に調整した。この組成物のアミノ酸量は0.022重量
%であった。続いて85℃、30分加熱殺菌して37℃
に冷却後、37℃で42時間撹拌しながら熟成した。8
5℃、30分加熱殺菌して、得られた処理物に対して、
5重量%となるように大豆多糖類ソヤファイブ−S−E
N 100(不二製油株式会社製)を添加して、ホモミ
キサーを用いて9000rpm、5分間で予備乳化し
た。続いて、ピストンホモジナイザーを用いて、150
kgf/cm2、2パスで均質化を行い、本発明品3を
390g得た。
十分であり、乳脂肪も必須であることを示すため、下記
条件に従い、2gの酵素未分解のタンパク質を含む合成
クリームを以下のように調製した。中鎖トリグリセライ
ド(ODO:日清製油株式会社製)188gと脱脂粉乳
(森永乳業株式会社製)6gとラクトース7.6g、水
194.6gを混合して乳化して、90%乳酸1.8g
を添加してpH4.0に調整した。続いて85℃、30
分加熱殺菌して37℃に冷却後、Aspergillu
s oryzae 由来のプロテアーゼM(天野製薬株
式会社製)0.2gを添加して、37℃で42時間撹拌
しながら酵素処理を行った。85℃、30分加熱して酵
素失活させ、得られた処理物に対して、5重量%となる
ように大豆多糖類ソヤファイブ−S−EN 100(不
二製油株式会社製)を添加して、ホモミキサーを用いて
9000rpm、5分間で予備乳化した。続いて、ピス
トンホモジナイザーを用いて、150kgf/cm2、
2パスで均質化を行い、比較品3を385gを得た。
レに0.1重量%添加してたときの官能評価を、それぞ
れカフェオーレ1,2とした。これらのカフェオーレは
前記の20名の官能検査員によって官能検査を行った。
その結果を表3に示す。
カフェオーレ1は、比較品3を添加したカフェオーレ2
に比べ、新鮮な乳風味を有し、嗜好性にも優れていた。
法により調製したドリンクタイプのヨーグルトに、0.
1重量%となるように加えて混合したものを添加区とし
た。一方、本発明品1を添加しないものを対照区として
飲み比べた。これらのドリンクヨーグルトは、前記の2
0名の官能検査員によって試飲評価を行った。その結
果、20名全員が添加区では酸味が抑制され、乳味感が
増して、対照と比較して良好な風味を有し、香味が改善
されたことを認めた。
のプレーンヨーグルトに0.1重量%となるように加え
て混合したものを添加区とした。一方、本発明品2を添
加しないものを対照区として食べ比べた。これらのヨー
グルトは、前記の20名の官能検査員によって試食評価
した。その結果、20名全員が添加区では酸味が抑制さ
れ、乳味感が増して、対照区と比較して良好な風味を有
し、香味が改善されたことを認めた。
の野菜ジュース100gに0.1重量%となるように加
え混合したものを添加区とした。また、本発明品を添加
しないものを対照区として飲み比べた。これらの野菜ジ
ュースは前記の20名の官能検査員により試飲評価し
た。その結果、20名全員が添加区では青臭みが低減さ
れすっきりした飲み心地となり、対照区に比較して良好
な風味を有し、香味が改善されたことを認めた。
造法は、乳原料をpH3.5〜4.5のpH範囲に調整
することで、腐敗微生物の繁殖を防御することが可能
で、品質安定な製品を形成できる。さらには、タンパク
質分解酵素による反応組成物により良好な香味を生成す
ることが可能である。以上述べたように、本発明の香料
および香味改善剤は乳脂肪、糖、アミノ酸および水を含
有する組成物を、pH3.5〜4.5の条件下で熟成す
ることで、容易に得ることが出来き、様々な飲食品に配
合することにより、乳風味の賦与および香味の改善が可
能である。
Claims (7)
- 【請求項1】 乳脂肪、糖、アミノ酸および水を含有す
る組成物を、pH3.5〜4.5の条件下で熟成するこ
とを特徴とする香料および香味改善剤の製造法。 - 【請求項2】 熟成を30℃〜40℃の温度で行うこと
を特徴とする請求項1記載の香料および香味改善剤の製
造法。 - 【請求項3】 熟成を35時間以上行うことを特徴とす
る請求項1または2記載の香料および香味改善剤の製造
法。 - 【請求項4】 アミノ酸が、乳タンパク質のタンパク質
分解酵素処理物由来のアミノ酸であることを特徴とする
請求項1〜3のいずれかに記載の香料および香味改善剤
の製造法。 - 【請求項5】 タンパク質分解酵素が、アスペルギルス
・オリゼ(Aspergillus oryzae)を起源とする酵素で
あることを特徴とする請求項4記載の香料および香味改
善剤の製造法。 - 【請求項6】 乳タンパク質の酵素分解と熟成を並行し
て行うことを特徴とする請求項4または5記載の香料お
よび香味改善剤の製造法。 - 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載の製造法
により製造された香料または香味改善剤を含有する飲食
品。
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- 2001-11-19 JP JP2001353187A patent/JP3834733B2/ja not_active Expired - Fee Related
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