JP2010111608A - 筋損傷抑制剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】カテキン類を有効成分とする筋損傷抑制剤および筋損傷に伴う筋力低下回復促進剤を提供する。
【選択図】なし
Description
このように運動をする人、特に運動愛好者やアスリートにおいて、より効率的にパフォーマンス向上を図るため、機能性組成物や飲食品の開発が進められている。これらの技術は、筋力や持久力の向上等を目的としており、例えばカプサイシノイド様物質による持久力向上効果(特許文献1)、乳ホエイ蛋白による筋力向上効果(特許文献2)等が開示されている。
しかしながら、運動人口の増加に伴い、運動愛好者やアスリートによる過度の運動が、筋肉の障害を引き起こすことが問題視されている。また、日ごろ運動量の少ない者やスポーツ等を始めた者も、スポーツや筋力トレーニング等といった運動は日常生活での身体運動(軽い運動)よりも強度の運動となるため、同様に筋肉の障害を引き起こし易い。ここで、強度の運動による障害の一つとして、その運動に用いられた筋の損傷が考えられる。
かかる観点から、筋損傷抑制効果や筋損傷回復効果を有する成分の探索が行われている。例えば、カカオマスによる筋損傷抑制効果(特許文献3)が報告されている。運動による健康増進効果を効率よく享受するためには、筋肉の損傷を軽減することは重要であり、さらなる有効成分の開発が望まれる。
(1)カテキン類を有効成分とする筋損傷抑制剤。
(2)カテキン類を有効成分とする筋損傷回復剤。
(3)カテキン類を有効成分とする、筋損傷に伴う筋力低下抑制剤。
(4)カテキン類を有効成分とする、筋損傷に伴う筋力低下回復促進剤。
「一過性/強度の運動」とは、不慣れな運動や久しぶりに行う運動、更には、定期的な運動トレーニングのレベルを超える強い負荷の運動を指す。
また「筋損傷回復」とは、損傷した筋の回復力が高まることを云う。
また「筋損傷に伴う筋力低下」とは、一過性/強度の運動負荷による筋の損傷によって筋が構造的又は質的に変化し、筋力、筋瞬発力が低下することを云う。
このカテキン類は茶カテキンが好ましい。
当該茶抽出は、Camellia属、例えばC. sinensis、C. assamica、またはそれらの雑種から得られる茶葉から製茶された茶葉から、水又は熱水やこれらに抽出助剤を添加し、攪拌抽出など従来の方法により行うことができる。また、煮沸脱気や窒素ガスなどの不活性ガスを通気して溶存酸素を除去しつつ、いわゆる非酸化的雰囲気下で抽出する方法を併用してもよい。
当該製茶された茶葉には、(1)煎茶、番茶、玉露、てん茶、釜煎り茶などの緑茶類;(2)総称して烏龍茶と呼ばれる鉄観音、色種、黄金桂、武夷岩茶などの半発酵茶;(3)紅茶と呼ばれるダージリン、ウバ、キーマンなどの発酵茶が含まれる。
抽出助剤としては、アスコルビン酸ナトリウムなどの有機酸、又はこれら有機酸塩類が挙げられる。
例えば、当該茶抽出物は、特開昭59-219384号、特開平4-20589号、特開平5-260907号、特開平5-306279号等に詳細に例示されている方法で調製することができる。また、市販品を用いることもでき、斯かる市販品としては、三井農林(株)「ポリフェノン」、(株)伊藤園「テアフラン」、太陽化学(株)「サンフェノン」、サントリー(株)「サンウーロン」等が挙げられる。
当該茶抽出物中のカテキン類は、非重合体で存在し、かつ液に溶解しているもの又は茶の微細粉末の懸濁物に吸着若しくは包含された固形状のものとして存在する。
また、当該抽出物中のカテキン類の含有量は、30〜98質量%、好ましくは40〜90質量%である。また、これらの総ポリフェノール中のカテキン類の含有率は、製造直後で10質量%以上、好ましくは20質量%以上である。
また、茶葉中のカテキン類の大部分はエピ体カテキン類として存在しており、このエピ体カテキン類を用いて熱や酸やアルカリ等の処理により立体異性体である非エピ体に変化させることができる。従って、非エピ体カテキン類を使用する場合には、緑茶類、半発酵茶類又は発酵茶類からの抽出液や茶抽出液の濃縮物を水溶液にして、例えば40〜140℃、0.1分〜120時間加熱処理して得ることができる。また非エピカテキン類含有量の高い茶抽出液の濃縮物を使用してもよい。それらは単独又は併用してもよい。
なお、経口用固形製剤を調製する場合には、カテキン類に賦形剤、必要に応じて結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、矯臭剤等を加えた後、常法により錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤等を製造することができる。また、経口用液体製剤を調製する場合は、矯味剤、緩衝剤、安定化剤、矯味剤等を加えて常法により内服液剤、シロップ剤、エリキシル剤等を製造することができる。
このうち飲料の形態が好ましく、例えば、烏龍茶、緑茶や紅茶等の茶系飲料、ソフトドリンクである炭酸飲料、果実エキス入り飲料、野菜エキス入りジュースやニアウォーター、スポーツドリンク、アイソトニック飲料、ダイエット飲料等の非茶系飲料とすることができ、これらは容器に詰めた容器詰飲料の形態とするのが好ましい。
尚、茶系飲料とは、茶本来の風味や香りがあるものを茶系飲料とし、非茶系飲料とは、茶系飲料以外のものを意味する。
また、飲食品を製造する場合には、カテキン類(茶抽出物)と一般飲食品に用いられる種々の原料を配合し、常法により当該飲食品を加工製造することがきできる。
飲料の場合、例えば一般に抽出された茶類抽出液等のカテキン類に、水の他、炭酸水等により溶解又は希釈して用いてもよい。斯かる容器詰飲料としては、例えば、特許公報3742094号、公報記載の非茶系容器詰飲料、特開2002−272373号公報記載の茶系容器詰飲料がある。
尚、飼料を製造する場合には、カテキン類の他に、牛、豚、羊等の肉類、蛋白質、穀物類、ぬか類、粕類、糖類、野菜、ビタミン類、ミネラル類等一般に用いられる飼料原料、更に一般的に飼料に使用されるゲル化剤、保型剤、pH調整剤、調味料、防腐剤、栄養補強剤等を必要に応じて配合し、常法により当該飼料を加工製造することがきできる。
投与のタイミングは、筋使用(運動)前が好ましい。また、本発明の筋損傷抑制剤等は、単回投与でもよいが、継続投与によってより強い効果を発揮する。投与期間は、筋使用の強弱によって異なるが、3〜5日以上が好ましく、1〜2週間以上がより好ましく、3〜8週間以上が特に好ましい。
緑茶抽出物は、Hattoriらの方法(Chem Pharm Bull 1990; 38: 717-720)に従って調製した。すなわち、緑茶葉1kgの沸騰水抽出液をスプレードライし、緑茶粉末を得た。この粉末を熱水350mlに再溶解し、同容量のクロロホルムを加えて振とう混和した。この水層に3倍容量の酢酸エチルを加え、カテキン類を抽出した。酢酸エチル層を減圧濃縮後、凍結乾燥し、緑茶抽出物115gを得た。得られた抽出物中の総カテキン含量は、89%であった。
実験動物には、55週齢の雄性老化促進マウス(SAMP1:日本SLC)14匹を使用し、ノーマルマウス群(Normal群)4匹、コントロールマウス群(Cont群)5匹、茶カテキンマウス群(Cat群)5匹に分けた。
ノーマルマウス群及びコントロールマウス群にコントロール食、茶カテキンマウス群に0.35%茶カテキン食を、それぞれ8週間、自由摂食させた。
茶カテキンマウス群、コントロールマウス群に8週間の試験食給餌の後、ダウンヒル走行運動(傾斜角度:-16°、13m/min、60分間)を負荷した。
走行運動負荷直後、コントロールマウス群及び茶カテキンマウス群のマウスを解剖に供した。全採血後、左後肢よりひらめ筋を摘出し、電気刺激による筋力測定用とした。
血液は、採取後、抗凝固剤を含むチューブを用いて遠心分離し、血漿CPK活性検出用の血漿を得た。得られたサンプルは、窒素置換後、-80℃で保存した。
また、ノーマルマウス群は、走行運動を負荷せず、コントロールマウス群と同様にして、ひらめ筋摘出、血漿採取を行なった。
各群からのひらめ筋、血漿を用いて、各群の筋力測定、血漿CPK活性の検出を行なった。
また、筋力測定の結果、茶カテキンマウス群のひらめ筋筋力は、コントロールマウス群のものに対して有意な高値を示した(図2)。
本結果より、茶カテキンは、運動による筋損傷に伴う筋力低下の抑制に有効であることが明らかとなった。
実験動物には、雄性C57BL/6Jマウス(6週齢、日本チャールスリバー)24匹を使用し、ノーマルマウス群(Normal群)8匹、コントロールマウス直後解剖群(Cont-0群)8匹、茶カテキンマウス直後解剖群(Cat-0群)8匹、コントロールマウス24時間後解剖群(Cont-24群)8匹、茶カテキンマウス24時間後解剖群(Cat-24群)8匹に分けた。
ノーマルマウス群及びコントロールマウス群にコントロール食、茶カテキンマウス群に0.5%茶カテキン配合食を、それぞれ3週間、自由摂食させた。
飼育開始2週目と3週目に、短時間のトレッドミル走行運動(2回/週、傾斜角度:+20°、6 → 21 m/min、計10分間)を負荷し、走行馴化を行った。
茶カテキンマウス群、コントロールマウス群に3週間の試験食給餌の後、走行運動(傾斜角度:+20°、21m/min、30分×5セット、計150分間、セット間で5分休憩)を負荷した。
走行運動負荷直後及び24時間後、コントロールマウス群及び茶カテキンマウス群のマウスを解剖に供した。全採血後、左後肢よりひらめ筋を摘出し、試験例1と同様の方法にて、筋力および血漿CPK活性を測定した。
また、筋力測定の結果、本実験条件では運動直後の筋力にはコントロールマウス群と茶カテキンマウス群間に差は認められなかったものの、運動負荷24時間後の茶カテキンマウス群のひらめ筋筋力は、コントロールマウス群のものに対して有意な高値を示し、またノーマルマウス群のものに対して、ほぼ同等の値を示した(図4)。
以上より、茶カテキンは、筋損傷に伴う筋力低下の回復促進剤として有効であることが明らかとなった。
カラギーナンとローカストビーンガムの混合ゲル化剤0.65質量%、グレープフルーツの50%の濃縮果汁5.0質量%、クエン酸0.05質量%、ビタミンC0.05質量%、エピガロカテキンガレート(テアビゴ:DSMニュートリショナル・プロダクツ)0.54質量%を混合し、これに水を加えて100質量%に調整し、65℃で溶解した。更に少量のグレープフルーツフレーバーを添加して85℃で5分間保持して殺菌処理後、100mLの容器に分注した。8時間静置して徐冷しながら5℃に冷却して、ゲル化させ、口に含んだ時に口溶け性が良好で、果実風味を有し食感良好な茶カテキンを含有するゼリー食品を得た。
タウリン800mg、ショ糖11000mg、カラメル50mg、安息香酸ナトリウム30mg、ビタミンB1硝酸塩5mg、ビタミンB2 20mg、ビタミンB6 20mg、ビタミンC 2000mg、ビタミンE 100mg、ビタミンD3 2000IU、ニコチン酸アミド20mg、茶カテキン(花王)540mgを適量の精製水に加えて溶解し、リン酸水溶液でpH3に調節した後、更に精製水を加えて全量を50mLとした。これを80℃で30分滅菌して、茶カテキンを含有する飲料を得た。
アスコルビン酸180mg、クエン酸50mg、アスパルテーム12mg、ステアリン酸マグネシウム24mg、結晶セルロース120mg、乳糖274mg、テアフラン90S(伊藤園)540mgなる処方(1日量1200mg)で、日本薬局方(製剤総則「錠剤」)に準じて錠剤を製造し、茶カテキンを含有するチュアブル錠剤を得た。
下記処方に基づいて、常法により錠剤を調製した。成分配合量(質量%):ポリフェノン70S(三井農林)20、リンゴ酸ナトリウム20、パラチノース20、アスコルビン酸20、ビタミンミックス(日本香料薬品社製)5、結晶セルロース5、ショ糖エステル4、二酸化ケイ素1、卵殻カルシウム5。
表2に示した配合および条件で、老化抑制用容器詰飲料を調製した。また、本容器詰飲料における茶抽出物(茶カテキン)の組成を表3に示す。本飲料の保存安定性および風味は良好であった。
表4に示した配合で、本発明品を常法に従いレトルトに密封後、高圧蒸気滅菌し、調製した。ミネラル類は、Na、K、Ca、Mg、P、C1、Fe等の有機又は無機塩混合物、ビタミン類は、ビタミンA、D、E、ビタミンB1、B2、B6、B12、C、ナイアシン、パントテン酸等の混合物を、国民栄養所要量に合致した量用いた。
Claims (4)
- カテキン類を有効成分とする筋損傷抑制剤。
- カテキン類を有効成分とする筋損傷回復促進剤。
- カテキン類を有効成分とする、筋損傷に伴う筋力低下抑制剤。
- カテキン類を有効成分とする、筋損傷に伴う筋力低下回復促進剤。
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