JP2005075945A - 感エネルギー線酸発生剤、酸の発生方法、および感エネルギー線硬化性組成物 - Google Patents

感エネルギー線酸発生剤、酸の発生方法、および感エネルギー線硬化性組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】
増感剤を併用しなくとも、エネルギー線、特に300から450nmの波長領域の光に高い感度を有し、酸を触媒とする重合反応、架橋反応、分解反応などを利用した各種用途に効果的に使用しうる、感エネルギー線酸発生剤を提供することを目的とする。
【解決手段】
下記一般式(1)で表される感エネルギー線酸発生剤。
一般式(1)
【化1】
Figure 2005075945

(ただし、R01、R02、R03、R04およびR05は、水素原子などを表すが、少なくとも1つは−SR31である。
31はアルキル基などを表す。
11およびR12は、水素原子などを表す。
21およびR22は、アルキル基などを表す。
-は任意のアニオンを表す。)



Description

本発明は、感エネルギー線酸発生剤と該酸発生剤からの酸の発生方法、さらにはそれらを利用した感エネルギー線硬化性組成物および硬化物の製造方法に関する。さらに詳しくは、エネルギー線、特に光の照射により酸を発生し、発生した酸を触媒とした重合反応あるいは架橋反応により硬化性化合物を短時間に確実に重合させて良好な物性を有する硬化物を得ることが可能な材料と方法に関し、さらには、成形樹脂、注型樹脂、光造形用樹脂、封止剤、歯科用重合材料、印刷インキ、塗料、印刷版用感光性樹脂、印刷用カラープルーフ、カラーフィルター用レジスト、ブラックマトリクス用レジスト、プリント基板用レジスト、半導体製造用レジスト、マイクロエレクトロニクス用レジスト、マイクロマシン用部品製造用レジスト、絶縁材、ホログラム材料、導波路用材料、オーバーコート剤、接着剤、粘着剤、粘接着剤、剥離コート剤等の分野で良好な物性を有する硬化物を得るための感エネルギー線酸発生剤、感エネルギー線硬化性組成物および該硬化性組成物を使用した硬化物の製造方法に関する。さらに、本発明はエネルギー線、特に光の照射により酸を発生し、発生した酸を触媒とする他の用途にも関し、具体的には、発生した酸を触媒とする色素前駆体の発色反応を利用した画像形成製、偽造防止、エネルギー線量検出のための材料と方法に関し、さらには、発生した酸を触媒とする分解反応を利用した半導体製造用、TFT製造用、カラーフィルター製造用、マイクロマシン部品製造用等のポジ型レジスト材料に関する。
オニウム塩類はその反応性の高さ故に、光に代表されるエネルギー線の照射により容易に分解して様々な活性種を生成することが知られており、これらの活性種により開始される重合や分解反応を利用した硬化材料やレジスト材料など様々な用途も提案されている(非特許文献1)。
下記化合物(1)で表記されるカチオンに代表されるフェナシルスルホニウムカチオンを有する塩類は安定性と反応性を兼ね備えた代表的なオニウム塩類の1つであり、エネルギー線の照射に感応して酸発生剤やラジカル発生剤として機能することが知られている。
化合物(1)
Figure 2005075945
感エネルギー線酸発生剤としてフェナシルスルホニウム塩類を使用する場合、カウンターアニオン部位はエネルギー線の照射により酸発生剤から発生する酸の強さ、求核性、拡散性などを決定する要因となる。具体的なアニオンの例としては、求核性が低い強酸を発生する材料としてBF4 -、PF6 -、SbF6 -、AsF6 -等が挙げられる(特許文献1、特許文献2、非特許文献2、非特許文献3)。また、酸発生剤自身の溶解度や安全衛生性および、エネルギー線の照射により酸発生剤から発生する酸の強さを改善したアニオンとして、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートに代表される電子吸引基で置換されたアリールボレート系材料を使用した例が知られている(特許文献3、非特許文献4)。さらに、レジスト材料の分野ではエネルギー線の照射により酸発生剤から発生する酸のレジスト樹脂に対する反応性や拡散性を制御して感度、解像度、レジストパターン形状を改善する目的で、各種スルホン酸系アニオンやスルホニルイミド系のアニオンの利用も提案されている(特許文献4,特許文献5、特許文献6、特許文献7など)。
一方、カチオン部位はエネルギー線の照射によって酸発生剤から発生する酸の量、すなわち感エネルギー線酸発生剤の感度を決定する要因となっている場合が多い。具体的には感エネルギー線酸発生剤中のカチオン部位のエネルギー線に対する吸収特性や酸化還元電位、化学結合の強さや向きなどの総合的な要因として酸発生の効率が決定されると考えられる。
ところで、感エネルギー線酸発生剤に照射して酸を発生するために使用されるエネルギー線はX線、紫外線、可視光線、赤外線、電子線など多岐にわたっている。これらの中でも、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプなどは最も一般的な光源に属し、これらの光源を利用する場合300nmから450nmの波長領域に主波長を有する光が照射されることとなる(非特許文献1)。これらの光源に対応すべく、上記波長領域のエネルギー線照射に対して酸発生剤の感度を向上させるための検討も行われている。
化合物(1)で表記されるフェナシルスルホニウムカチオンを有する酸発生剤は通常、300nmから450nmの波長領域の光照射では良好な感度が期待できず、特に上記波長領域の長波長側には全く吸収を有さないため酸発生剤としては機能しない。この点を改良するため、化合物(1)で表記されるカチオン構造のベンゼン環部位を上記波長領域に吸収を有する芳香環、すなわちナフタレン環やアントラセン環などのクロモフォアに置き換えて、光の吸収特性を改善することが提案されている(特許文献3、非特許文献5)。また、上記波長に好適な吸収を有し、フェナシルスルホニウム塩の増感剤として機能しうる材料を併用する方法も提案されており、そのような増感剤としてはアントラセン類やフェノチアジン類などが知られている(特許文献3、非特許文献6、非特許文献7、非特許文献8)。
米国特許4069055号明細書 米国特許4250311号明細書 特開平09−176112号公報 特開2003−35948号公報 特開2003−140331号公報 特開平10−226658号公報 特開2001−109155号公報 ラドテック研究会編「UV・EB硬化技術の現状と展望」シーエムシー出版 (2002年) Macromolecules誌 第33巻 825−832頁(2000年) Macromolecules誌 第33巻 833−842頁(2000年) Macromolecules誌 第32巻 3209−3215頁(1999年) Journal of Polymer Science :Part A :Polymer Chemistry誌 第38巻 1433−1442頁(2000年) Journal of Photoscience 第5巻 111−120頁(1999年) Journal of Polymer Science :Part A :Polymer Chemistry誌 第39巻 1187−1197頁(2001年) Journal of Polymer Science :Part A :Polymer Chemistry誌 第38巻 982−987頁(2000年)
上述した検討を通じて、フェナシルスルホニウム塩類の感エネルギー線酸発生剤としての特性は向上しているものの、300nmから450nmの波長領域の光照射に対する酸発生感度の面では、酸発生剤単独で十分な特性を有する材料が見出されていない状況である。
先に述べたように、エネルギー線の照射による酸発生量すなわち酸発生感度は、カチオン部位に依存するため、この波長領域に特に有効なフェナシルスルホニウム塩系のカチオンが見出されていないと言い換えることができる。例えば、先に述べたように、化合物(1)で表記されるフェナシルスルホニウムカチオンは上記波長領域の光照射に対して、有効な感度を有していない。また、吸収特性を改善するために化合物(1)で表記されるカチオンのベンゼン環をナフタレン環やアントラセン環などに置き換えることも提案されているが、吸収特性の改良が必ずしも感度の向上に結びつくとは限らず、具体的な分子設計に対する指針は著しく乏しい。実際、アントラセン環やナフタレン環を有するフェナシルスルホニウム塩は、上記波長領域に対する感度は改善されているものの、光を吸収しても蛍光発光して失活するなどの理由から大幅な感度向上ではなく、生産性の向上のために更なるエネルギー線に対する感度の向上が求められる現状の中にあっては、十分なものとは言い難い。また、フェナシルスルホニウム塩のカウンターアニオンとして様々なアニオンを使用した酸発生剤も提案されているが、これらは発生した後の酸の性質に影響を与えるものであって、本質的に300nmから450nmの波長領域の光照射に対する酸発生反応の効率を向上させるものではない。
また、フェナシルスルホニウム塩類と増感剤の併用により300nmから450nmの波長領域に感度を発現させる方法も提案されているが、適切な増感剤を選択した上で適切な配合比率を決定するといった煩雑な手順が必要である。また、これらの波長領域に好適な吸収を有する増感剤は着色している場合が多く、用途によっては添加量が制限されため十分な感度を発現することができない場合も多い。実際に、アントラセン類やフェノチアジン類で増感することによりフェナシルスルホニウム塩類の300nmから450nmの波長領域の光照射時における感度向上が認められるが、生産性の向上のために更なる感エネルギー線に対する感度の向上が求められる現状にあっては、十分なものではない。
本発明者らは、以上の問題点を考慮し解決すべく鋭意研究を重ねた結果、増感剤を用いなくともエネルギー線、特に300nmから450nmの波長領域の光照射に対する酸発生の効率、すなわち、感度が、従来公知のフェナシルスルホニウム塩類に比較して革新的に向上した材料を見出すに至った。すなわち本発明は、下記一般式(1)で表記される感エネルギー線酸発生剤に関する。
一般式(1)
Figure 2005075945
(ただし、R01、R02、R03、R04およびR05は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アシル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、ハロゲン原子または−SR31を表すが、少なくとも1つは−SR31である。
31はアルキル基またはアリール基を表す。
11およびR12は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシル基またはアルケニル基を表す。
21およびR22は、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基またはアルケニル基を表す。ただし、R01、R02、R03、R04、R05、R12、R22、R21およびR11は、一体となって、環を形成してもよい。
-は任意のアニオンを表す。)
また、本発明は、R03が、−SR31である上記感エネルギー線酸発生剤に関する。
また、本発明は、R01、R02、R04およびR05が、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アシル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、またはハロゲン原子である上記感エネルギー線酸発生剤に関する。
さらに、本発明は、アニオンX-が、下記一般式(2)で表記されるボレートである上記感エネルギー線酸発生剤に関する。
一般式(2)
Figure 2005075945
(ただし、Yはフッ素または塩素原子、
Zは、フッ素原子、シアノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基の中から選ばれる基で2つ以上置換されたフェニル基、
mは0から3の整数、nは1から4の整数を表し、m+n=4である。)
さらに、本発明は、上記感エネルギー線酸発生剤に300nmから450nmの波長領域の光を照射して酸を発生させる、酸の発生方法に関する。
さらに、本発明は、上記感エネルギー線酸発生剤(A)と、酸硬化性化合物(B)とを含む感エネルギー線硬化性組成物に関する。
さらに、本発明は、上記感エネルギー線硬化性組成物に300nmから450nmの波長領域の光を含むエネルギー線を照射して硬化させる、硬化物の製造方法に関する。
本発明の感エネルギー線酸発生剤は、フェナシルスルホニウムカチオンのベンゼン環に特定の置換基、すなわちチオ基を導入することにより、エネルギー線、特に300nmから450nmの波長領域に良好な吸収特性を有するようになるとともに、該波長領域の光照射に対して、増感剤を併用しなくとも非常に高感度な光酸発生剤として機能することが可能となっている。そのため、本発明の感エネルギー線酸発生剤を使用すれば、従来公知のフェナシルスルホニウム塩系の感エネルギー線酸発生剤から発生する酸を触媒とする重合反応、架橋反応、分解反応、発色反応などをより短時間に確実に実現することが可能となり、結果としてこれらの反応を応用した各種用途の大幅な高感度化や特性の向上を実現することが可能となる。
以下、詳細にわたって本発明の実施形態を説明する。
まず、本発明の感エネルギー線酸発生剤について説明する。本発明の感エネルギー線酸発生剤の特徴はカチオン部位に特定の構造を有することにより、エネルギー線、特に300nmから450nmの波長領域の光照射に対する大幅な高感度化を実現している。そのため、本発明の感エネルギー線酸発生剤は、アニオン種が同一であれば、従来公知のフェナシルスルホニウム塩系の感エネルギー線酸発生剤に比較して大幅な高感度化を実現することが可能であり、原理的にアニオン種は任意のものを使用することが可能である。
本発明の感エネルギー線酸発生剤は一般式(1)で表記される構造を有しており、フェナシルスルホニウムカチオンのベンゼン環部位に少なくとも1つのチオ基である−SR31を置換基として有していることが特徴である。この置換基を導入することにより、フェナシルスルホニウムカチオンに300nmから450nmの波長領域に好適な光の吸収特性を付与することができる。また、このチオ基を有することにより、本発明のフェナシルスルホニウムカチオンは該波長領域の光照射に対して、増感剤を併用しなくとも非常に効率的に分解するため、その結果、多量の酸を効率的に発生する高感度な材料として機能することが可能となっている。
一般式(1)
Figure 2005075945
(ただし、R01、R02、R03、R04およびR05は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アシル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、ハロゲン原子または−SR31を表すが、少なくとも1つは−SR31である。
31はアルキル基またはアリール基を表す。
11およびR12は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシル基またはアルケニル基を表す。
21およびR22は、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基またはアルケニル基を表す。ただし、R01、R02、R03、R04、R05、R12、R22、R21およびR11は、一体となって、環を形成してもよい。
-は任意のアニオンを表す。)
本発明の感エネルギー線酸発生剤の具体例の1つを化合物(2)として示した。
化合物(2)
Figure 2005075945
また、化合物(2)のアセトニトリル中の吸収スペクトルを図(1)に示した。また、比較化合物としてチオ基を有さない化合物(3)の吸収スペクトルも併せて図(1)に示した。
化合物(3)
Figure 2005075945
図1からわかるように、化合物(3)は300nm以上の波長領域に好適な吸収を有していないが、化合物(2)は320nmにモル吸光係数21200の吸収極大を有し、300から450nmの波長領域に好適な吸収を有している。
また、本発明の感エネルギー線酸発生剤である化合物(2)は、例えば水銀ランプの輝線の1つに相当する365nmにおいてはモル吸光係数が800である非常に透明な材料であるが、該波長の光を照射した場合、同一のアニオンを有する従来公知のフェナシルスルホニウム系酸発生剤である化合物(3)を単独または増感剤を併用して使用した場合を大幅に凌駕する酸発生剤としての感度を有しており、非常に高い透明性を有しつつも非常に高感度であるという革新的な機能を有する材料である。
現時点では、この光照射による酸発生の反応機構の詳細は明らかではないが、チオ基を有するフェナシルスルホニウムカチオンが、エネルギー線を吸収することにより分子内での水素引き抜き反応を経てカチオン部位からプロトンを発生し、アニオンX-をカウンターアニオンとする酸、すなわちH+-を発生していると考えられる。その際、チオ基の導入により、好適なエネルギー線吸収特性が付与されると同時に、励起状態における置換基効果により分解が効率的に進行していると考えられる。
本発明の感エネルギー線酸発生剤から酸を発生するために使用するエネルギー線源は特に限定されないが、特に好適な感度を発現する300nmから450nmの波長領域の光を照射できる光源が好ましく、上記波長領域の光と同時に他のエネルギー線を発していても良い。特に好ましい光源としては、300nmから450nmの波長領域に発光の主波長を有する光源であり、具体例としては、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、水銀キセノンランプ、メタルハライドランプ、ハイパワーメタルハライドランプ、キセノンランプ、パルス発光キセノンランプ等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、Nd−YAG3倍波レーザー、He−Cdレーザー、窒素レーザー、Xe−Clエキシマレーザー、Xe−Fエキシマレーザー、半導体励起固体レーザー等の300nmから450nmの波長領域に発光波長を有するレーザーも好適なエネルギー線源として使用することができる。また、電子線も好適なエネルギー線源として使用することが可能である。本発明の感エネルギー線酸発生剤(A)はいずれも300nmから450nmの波長領域に好適な吸収を有しており置換基によって吸収特性がやや異なるが、上記した光源を適宜選択することにより、非常に高感度な感エネルギー線酸発生剤として機能することが可能である。また、これらの光源は適宜、フィルター、ミラー、レンズ等の光学機器を介して照射することが可能である。
次に、本発明の感エネルギー線酸発生剤の構造について詳細に説明する。
本発明の感エネルギー線酸発生剤はその特性を阻害しない範囲において、一般式(1)に示したように、チオ基の置換位置を変化させたり、その他の置換基を導入することが可能である。置換基の導入により、本発明の感エネルギー線酸発生剤は吸収極大波長や透過率などのエネルギー線の吸収特性、併用する樹脂や溶剤に対する溶解度を適当に調整して用いることができる。
一般式(1)における置換基R01、R02、R03、R04およびR05は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アシル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、ハロゲン原子または−SR31で表記されるチオ基を表すが、少なくとも1つは−SR31で表記されるチオ基である。
一般式(1)中の置換基R01、R02、R03、R04およびR05におけるアルキル基としては、炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルキル基が挙げられ、具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、sec−ペンチル基、t−ペンチル基、t−オクチル基、ネオペンチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、ボロニル基、4−デシルシクロヘキシル基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
一般式(1)中の置換基R01、R02、R03、R04およびR05におけるアリール基としては、ヘテロ原子を含んでよい炭素数4〜18の単環または縮合多環アリールオキシ基が挙げられ、具体例としては、フェニル基、1ーナフチル基、2−ナフチル基、9−アンスリル基、9−フェナントリル基、1−インデニル基、9−フルオレニル基、2−フリル基、2−チエニル基、2−インドリル基、3−インドリル基、2−ベンゾフリル基、2−ベンゾチエニル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基等が挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
一般式(1)中の置換基R01、R02、R03、R04およびR05におけるアルケニル基としては、炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルケニル基が挙げられ、それらは構造中に複数の炭素−炭素二重結合を有していてもよく、具体例としては、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、イソプロペニル基、イソブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、1,3−ブタジエニル基、シクロヘキサジエニル基、シクロペンタジエニル基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
一般式(1)中の置換基R01、R02、R03、R04およびR05におけるアシル基としては、水素原子または炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状の脂肪族基が結合したカルボニル基、あるいは、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数4から18の単環状あるいは縮合多環状芳香族が結合したカルボニル基が挙げられ、それらは構造中に不飽和結合を有していてもよく、具体例としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、シクロペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、イソクロトノイル基、オレオイル基、ベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基、シンナモイル基、3−フロイル基、2−テノイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
一般式(1)中の置換基R01、R02、R03、R04およびR05におけるアルコキシル基としては、炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルコキシル基があげられ、具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、イソペンチルオキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、sec−ペンチルオキシ基、t−ペンチルオキシ基、t−オクチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、アダマンチルオキシ基、ノルボルニルオキシ基、ボロニルオキシ基、4−デシルシクロヘキシルオキシ基、2−テトラヒドロフラニルオキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
一般式(1)中の置換基R01、R02、R03、R04およびR05におけるアリールオキシ基としては、ヘテロ原子を含んでよい炭素数4〜18の単環または縮合多環アリールオキシ基が挙げられ、具体例としては、フェノキシ基、1ーナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、9−アンスリルオキシ基、9−フェナントリルオキシ基、1−ピレニルオキシ基、5−ナフタセニルオキシ基、1−インデニルオキシ基、2−アズレニルオキシ基、1−アセナフチルオキシ基、9−フルオレニルオキシ基、2−フラニルオキシ基、2−チエニルオキシ基、2−インドリルオキシ基、3−インドリルオキシ基、2−ベンゾフリルオキシ基、2−ベンゾチエニルオキシ基、2−カルバゾリルオキシ基、3−カルバゾリルオキシ基、4−カルバゾリルオキシ基、9−アクリジニルオキシ基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
一般式(1)中の置換基R01、R02、R03、R04およびR05におけるアシルオキシ基としては、水素原子または炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状の脂肪族基が結合したカルボニルオキシ基、あるいは、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数4から18の単環状あるいは縮合多環状芳香族が結合したカルボニルオキシ基が挙げられ、具体例としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、バレリルオキシ基、イソバレリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ラウロイルオキシ基、ミリストイルオキシ基、パルミトイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、シクロペンチルカルボニルオキシ基、シクロヘキシルカルボニルオキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、クロトノイルオキシ基、イソクロトノイルオキシ基、オレオイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、1−ナフトイルオキシ基、2−ナフトイルオキシ基、シンナモイルオキシ基、3−フロイルオキシ基、2−テノイルオキシ基、ニコチノイルオキシ基、イソニコチノイルオキシ基、9−アンスロイルオキシ基、5−ナフタセノイルオキシ基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
一般式(1)中の置換基R01、R02、R03、R04およびR05におけるアルコキシカルボニルオキシ基としては、炭素数1から12の炭酸エステル基が挙げられ、具体例としてはt−ブトキシカルボニルオキシ基、t−ペンチルオキシカルボニルオキシ基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニルオキシ基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニルオキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニルオキシ基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニルオキシ基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
上述した一般式(1)中の置換基R01、R02、R03、R04およびR05におけるアルキル基、アリール基、アルケニル基、アシル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基は、さらに他の置換基で置換されていてもよく、そのような他の置換基としては、ヒドロキシル基、メルカプト基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、等を挙げることができる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
アルキル基としては炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルキル基が挙げられ、具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、sec−ペンチル基、t−ペンチル基、t−オクチル基、ネオペンチル基、シクロプロピル基、シクロブチル、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、ボロニル基、4−デシルシクロヘキシル基などが挙げられる。
アリール基としては、ヘテロ原子を含んでよい炭素数4〜18の単環または縮合多環アリール基が挙げられ、具体例としては、フェニル基、1ーナフチル基、2−ナフチル基、9−アンスリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、5−ナフタセニル基、1−インデニル基、2−アズレニル基、1−アセナフチル基、9−フルオレニル基、2−フラニル基、2−チエニル基、2−インドリル基、3−インドリル基、2−ベンゾフリル基、2−ベンゾチエニル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基、4−カルバゾリル基、9−アクリジニル基等が挙げられる。
アシル基としては、水素原子または炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状の脂肪族が結合したカルボニル基、あるいは、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数4から18の単環状あるいは縮合多環状芳香族が結合したカルボニル基が挙げられ、
それらは構造中に不飽和結合を有していてもよく、具体例としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、シクロペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、イソクロトノイル基、オレオイル基、ベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基、シンナモイル基、3−フロイル基、2−テノイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基、9−アンスロイル基、5−ナフタセノイル基などを挙げられる。
アルコキシル基としては、炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルコキシル基があげられ、具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、イソペンチルオキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、sec−ペンチルオキシ基、t−ペンチルオキシ基、t−オクチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、アダマンチルオキシ基、ノルボルニルオキシ基、ボロニルオキシ基、4−デシルシクロヘキシルオキシ基、2−テトラヒドロフラニルオキシ基、2−テトラヒドロフラニルオキシ基、等を挙げることができる。
アリールオキシ基としては、ヘテロ原子を含んでよい炭素数4〜18の単環または縮合多環アリールオキシ基が挙げられ、具体例としては、フェノキシ基、1ーナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、9−アンスリルオキシ基、9−フェナントリルオキシ基、1−ピレニルオキシ基、5−ナフタセニルオキシ基、1−インデニルオキシ基、2−アズレニルオキシ基、1−アセナフチルオキシ基、9−フルオレニルオキシ基、2−フラニルオキシ基、2−チエニルオキシ基、2−インドリルオキシ基、3−インドリルオキシ基、2−ベンゾフリルオキシ基、2−ベンゾチエニルオキシ基、2−カルバゾリルオキシ基、3−カルバゾリルオキシ基、4−カルバゾリルオキシ基、9−アクリジニルオキシ基等が挙げられる。
アシルオキシ基としては、水素原子または炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状の脂肪族が結合したカルボニルオキシ基、あるいは、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数4から18の単環状あるいは縮合多環状芳香族が結合したカルボニルオキシ基が挙げられ、具体例としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、バレリルオキシ基、イソバレリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ラウロイルオキシ基、ミリストイルオキシ基、パルミトイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、シクロペンチルカルボニルオキシ基、シクロヘキシルカルボニルオキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、クロトノイルオキシ基、イソクロトノイルオキシ基、オレオイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、1−ナフトイルオキシ基、2−ナフトイルオキシ基、シンナモイルオキシ基、3−フロイルオキシ基、2−テノイルオキシ基、ニコチノイルオキシ基、イソニコチノイルオキシ基、9−アンスロイルオキシ基、5−ナフタセノイルオキシ基などを挙げることができる。
アルキルチオ基としては、炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルキルチオ基が挙げられ、具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、デシルチオ基、ドデシルチオ基、オクタデシルチオ基等が挙げられる。
アリールチオ基としては、ヘテロ原子を含んでよい炭素数4〜18の単環または縮合多環アリールチオ基が挙げられ、具体例としては、フェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基、9−アンスリルチオ基、9−フェナントリルチオ基、2−フリルチオ基、2−チエニルチオ基、2−ピロリルチオ基、6−インドリルチオ基、2−ベンゾフリルチオ基、2−ベンゾチエニルチオ基、2−カルバゾリルチオ基、3−カルバゾリルチオ基、4−カルバゾリルチオ基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
一般式(1)中の置換基R01、R02、R03、R04およびR05におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。
一般式(1)中の置換基R01、R02、R03、R04およびR05におけるそれぞれの置換基は同一である必要は無く、上記した置換基を任意に組み合わせて用いることができる。ただし、置換基R01、R02、R03、R04およびR05のうちの少なくとも1つは、−SR31で表記されるチオ基であることが必須である。また、R01、R02、R03、R04およびR05から選ばれる隣接する2つの置換基は、2価の有機残基を介して互いに結合し、環状構造を形成していてもよい。ここでいう2価の有機残基とは、炭素数1〜4の置換基を有してもよいアルキレン基、置換を有しても良いアリーレン基、アリールアルキレン基、もしくは−C=C−、−O−、−S−、−NH−、−SO2−、−CO−、−COO−、−OCOO−、−CONH−、−SO2−O−及びこれらの結合を一部に有するような置換基を有しても良いアルキレン基を意味する。
次に、一般式(1)中の置換基R01、R02、R03、R04およびR05における−SR31で表記されるチオ基について説明する。−SR31で表記されるチオ基は、硫黄原子を介して置換基R31がフェナシル基のベンゼン環のいずれかの位置に結合している状態にあり、該置換基R31はアルキル基またはアリール基を表す。
一般式(1)中の置換基R31におけるアルキル基としては、炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルキル基が挙げられ、具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、sec−ペンチル基、t−ペンチル基、t−オクチル基、ネオペンチル基、シクロプロピル基、シクロブチル、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、ボロニル基、4−デシルシクロヘキシル基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
一般式(1)中の置換基R31におけるアリール基としては、ヘテロ原子を含んでよい炭素数4〜18の単環または縮合多環アリール基が挙げられ、具体例としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アンスリル基、9−フェナントリル基、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピロリル基、6−インドリル基、2−ベンゾフリル基、2−ベンゾチエニル基、4−キノリニル基、4−イソキノリル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基、4−カルバゾリル基、9−アクリジニル基、3−フェノチアジニル基、2−フェノキサチイニル基、3−フェニキサジニル基、3−チアントレニル基等を挙げることがでるが、これらに限定されるものではない。また、これらのアリール基は上記以外の置換位置で硫黄原子と結合していてもよく、それらも本発明の−SR31で表記されるチオ基の範疇に含まれる。
上記したR31で表記されるアルキル基およびアリール基は、さらに他の置換基で置換されていてもよく、そのような他の置換基としては、ヒドロキシル基、メルカプト基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基等を挙げることができる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、
アルキル基としては炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルキル基が挙げられ、具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、sec−ペンチル基、t−ペンチル基、t−オクチル基、ネオペンチル基、シクロプロピル基、シクロブチル、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、ボロニル基、4−デシルシクロヘキシル基などが挙げられ、
アリール基としては、ヘテロ原子を含んでよい炭素数4〜18の単環または縮合多環アリール基が挙げられ、具体例としては、フェニル基、1ーナフチル基、2−ナフチル基、9−アンスリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、5−ナフタセニル基、1−インデニル基、1−アセナフチル基、9−フルオレニル基、2−フラニル基、2−チエニル基、2−インドリル基、3−インドリル基、2−ベンゾフリル基、2−ベンゾチエニル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基、4−カルバゾリル基、9−アクリジニル基等が挙げられ、
アシル基としては、水素原子または炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状の脂肪族が結合したカルボニル基、あるいは、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数4から18の単環状あるいは縮合多環状芳香族が結合したカルボニル基が挙げられ、それらは構造中に不飽和結合を有していてもよく、具体例としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、シクロペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、イソクロトノイル基、オレオイル基、ベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基、シンナモイル基、3−フロイル基、2−テノイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基、9−アンスロイル基、5−ナフタセノイル基などを挙げることができ、
アルコキシル基としては、炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルコキシル基があげられ、具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、イソペンチルオキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、sec−ペンチルオキシ基、t−ペンチルオキシ基、t−オクチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、アダマンチルオキシ基、ノルボルニルオキシ基、ボロニルオキシ基、4−デシルシクロヘキシルオキシ基、2−テトラヒドロフラニルオキシ基、2−テトラヒドロフラニルオキシ基、等を挙げることができ、
アリールオキシ基としては、ヘテロ原子を含んでよい炭素数4〜18の単環または縮合多環アリールオキシ基が挙げられ、具体例としては、フェノキシ基、1ーナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、9−アンスリルオキシ基、9−フェナントリルオキシ基、1−ピレニルオキシ基、5−ナフタセニルオキシ基、1−インデニルオキシ基、2−アズレニルオキシ基、1−アセナフチルオキシ基、9−フルオレニルオキシ基、2−フラニルオキシ基、2−チエニルオキシ基、2−インドリルオキシ基、3−インドリルオキシ基、2−ベンゾフリルオキシ基、2−ベンゾチエニルオキシ基、2−カルバゾリルオキシ基、3−カルバゾリルオキシ基、4−カルバゾリルオキシ基、9−アクリジニルオキシ基等が挙げられ、
アシルオキシ基としては、水素原子または炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状の脂肪族が結合したカルボニルオキシ基、あるいは、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数4から18の単環状あるいは縮合多環状芳香族が結合したカルボニルオキシ基が挙げられ、具体例としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、バレリルオキシ基、イソバレリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ラウロイルオキシ基、ミリストイルオキシ基、パルミトイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、シクロペンチルカルボニルオキシ基、シクロヘキシルカルボニルオキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、クロトノイルオキシ基、イソクロトノイルオキシ基、オレオイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、1−ナフトイルオキシ基、2−ナフトイルオキシ基、シンナモイルオキシ基、3−フロイルオキシ基、2−テノイルオキシ基、ニコチノイルオキシ基、イソニコチノイルオキシ基、9−アンスロイルオキシ基、5−ナフタセノイルオキシ基などが挙げられ、
アルキルチオ基としては、炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルキルチオ基が挙げられ、具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、デシルチオ基、ドデシルチオ基、オクタデシルチオ基等が挙げられ、アリールチオ基としては、ヘテロ原子を含んでよい炭素数4〜18の単環または縮合多環アリールチオ基が挙げられ、具体例としては、フェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基、9−アンスリルチオ基、9−フェナントリルチオ基、2−フリルチオ基、2−チエニルチオ基、2−ピロリルチオ基、6−インドリルチオ基、2−ベンゾフリルチオ基、2−ベンゾチエニルチオ基、2−カルバゾリルチオ基、3−カルバゾリルチオ基、4−カルバゾリルチオ基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
一般式(1)中の−SR31で表記されるチオ基は、R01ないしR05のうちの少なくとも1つとしてフェナシル基のベンゼン環に結合し、その数は1つから5つのいずれであってもよいが、合成の難易度や光の吸収特性の面から、R01ないしR05のうちのいずれか1つまたは2つが−SR31で表記されるチオ基である場合が好ましく、R01ないしR05のうちのいずれか1つだけが−SR31で表記されるチオ基である場合が最も好ましい。また、R01ないしR05のうちのいずれか複数が−SR31で表記されるチオ基である場合は、それらは同一である必要はなく、それぞれ独立に置換基R31を選択することができる。
一般式(1)中の−SR31で表記されるチオ基の置換位置はR01ないしR05のいずれの位置でもよい。−SR31で表記されるチオ基が複数ある場合は、R01ないしR05のうちから任意の置換位置の組み合わせが可能である。R01ないしR05のいずれか1つのみが−SR31で表記されるチオ基の場合の置換位置は、好ましくはR01、R03あるいはR05であり、特にR03がチオ基である場合、合成難易度が低く、良好な吸収特性と酸発生感度が実現できるため好ましい。
また、−SR31で表記されるチオ基は隣接する置換基R01ないしR05、R11、R12、R21あるいはR22と2価の有機残基を介して互いに結合し、環状構造を形成していてもよい。ここでいう2価の有機残基とは、炭素数1〜4の置換基を有してもよいアルキレン基、置換を有しても良いアリーレン基、アリールアルキレン基、もしくは−C=C−、−O−、−S−、−NH−、−SO2−、−CO−、−COO−、−OCOO−、−CONH−、−SO2−O−及びこれらの結合を一部に有するような置換基を有しても良いアルキレン基を意味する。
一般式(1)中の置換基R11およびR12おけるアルキル基、アリール基、アルコキシル基およびアルケニル基、R21およびR22におけるアルキル基、アリール基およびアルケニル基としては、置換基R01、R02、R03、R04およびR05におけるアルキル基、アリール基、アルコキシル基およびアルケニル基として例示したものと同一の置換基を挙げることができる。
置換基R21は2価の有機残基を介してR22、R11、R12、R01またはR05のいずれかと互いに結合し、環構造を形成していてもよい。また、置換基R11は2価の有機残基を介してR01またはR05と結合し、環構造を形成してもよい。ここでいう2価の有機残基とは、炭素数1〜4の置換基を有してもよいアルキレン基、置換を有しても良いアリーレン基、アリールアルキレン基、もしくは−C=C−、−O−、−S−、−NH−、−SO2−、−CO−、−COO−、−OCOO−、−CONH−、−SO2−O−及びこれらの結合を一部に有するような置換基を有しても良いアルキレン基を意味する。
次に、一般式(1)中のアニオンX-について説明する。
一般式(1)中のアニオンX-は原理的に特に限定されるものではないが、非求核性アニオンが好ましい。アニオンX-が非求核性アニオンの場合、分子内に共存するカチオンや併用される各種材料における求核反応が起こりにくいため、結果として一般式(1)で表記される酸発生剤自身やそれを用いた組成物の経時安定性を向上させることが可能である。ここでいう非求核性アニオンとは、求核反応を起こす能力が低いアニオンを指す。このようなアニオンとしては、BF4 -、PF6 -、SbF6 -、AsF6 -、SbCl6 -、BiCl5 -、SnCl6 -、ClO4 -、ジチオカルバメートアニオン、SCN-などが挙げられる。
また、アニオンX-としては、アルキルカルボン酸アニオン、アリールカルボン酸アニオン、アラルキルカルボン酸アニオン、アルキルスルホン酸アニオン、アリールスルホン酸アニオン、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチルアニオン、ビス(アルコキシスルホニル)イミドアニオン等も挙げることができる。
アニオンX-として使用できるアルキルカルボン酸アニオンとは、アルキル基がカルボキシル基に結合した構造を有するカルボン酸が解離したカルボキシレートアニオンを意味し、上記アルキル基としては、炭素数1〜30の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルキル基が挙げられ、具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、sec−ペンチル基、t−ペンチル基、t−オクチル基、ネオペンチル基、シクロプロピル基、シクロブチル、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、ボロニル基、4−デシルシクロヘキシル基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
アニオンX-として使用できるアリールカルボン酸アニオンとは、アリール基がカルボキシル基に結合した構造を有するカルボン酸が解離したカルボキシレートアニオンを意味し、上記アリール基としては、ヘテロ原子を含んでよい炭素数4〜18の単環または縮合多環アリール基が挙げられ、具体例としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アンスリル基、9−フェナントリル基、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピロリル基、6−インドリル基、2−ベンゾフリル基、2−ベンゾチエニル基、4−キノリニル基、4−イソキノリル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基、4−カルバゾリル基、9−アクリジニル基、3−フェノチアジニル基、2−フェノキサチイニル基、3−フェニキサジニル基、3−チアントレニル基等を挙げることがでるが、これらに限定されるものではない。
アニオンX-として使用できるアラルキルカルボン酸アニオンとは、アラルキル基がカルボキシル基に結合した構造を有するカルボン酸が解離したカルボキシレートアニオンを意味し、上記アラルキル基としては、炭素数6から18のアラルキル基が挙げられ、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、アンスリルメチル基、ナフチルエチル基、アンスリルエチル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
さらにアニオンX-として使用できるアルキルカルボン酸アニオンにおけるアルキル基や、アリールカルボン酸アニオンにおけるアリール基、アラルキルカルボン酸アニオンにおけるアラルキル基は、さらに他の置換基を有していてもよく、そのような他の置換基としては、ヒドロキシル基、メルカプト基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基等を挙げることができる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、
アルキル基としては炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルキル基が挙げられ、具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、sec−ペンチル基、t−ペンチル基、t−オクチル基、ネオペンチル基、シクロプロピル基、シクロブチル、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、ボロニル基、4−デシルシクロヘキシル基などを挙げられ、
アリール基としては、ヘテロ原子を含んでよい炭素数4〜18の単環または縮合多環アリール基が挙げられ、具体例としては、フェニル基、1ーナフチル基、2−ナフチル基、9−アンスリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、5−ナフタセニル基、1−インデニル基、1−アセナフチル基、9−フルオレニル基、2−フラニル基、2−チエニル基、2−インドリル基、3−インドリル基、2−ベンゾフリル基、2−ベンゾチエニル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基、4−カルバゾリル基、9−アクリジニル基等が挙げられ、
アシル基としては、水素原子または炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状の脂肪族が結合したカルボニル基、あるいは、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数4から18の単環状あるいは縮合多環状芳香族が結合したカルボニル基が挙げられ、それらは構造中に不飽和結合を有していてもよく、具体例としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、シクロペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、イソクロトノイル基、オレオイル基、ベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基、シンナモイル基、3−フロイル基、2−テノイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基、9−アンスロイル基、5−ナフタセノイル基などを挙げることができ、
アルコキシル基としては、炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルコキシル基があげられ、具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、イソペンチルオキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、sec−ペンチルオキシ基、t−ペンチルオキシ基、t−オクチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、アダマンチルオキシ基、ノルボルニルオキシ基、ボロニルオキシ基、4−デシルシクロヘキシルオキシ基、2−テトラヒドロフラニルオキシ基、2−テトラヒドロフラニルオキシ基等が挙げられ、
アリールオキシ基としては、ヘテロ原子を含んでよい炭素数4〜18の単環または縮合多環アリールオキシ基が挙げられ、具体例としては、フェノキシ基、1ーナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、9−アンスリルオキシ基、9−フェナントリルオキシ基、1−ピレニルオキシ基、5−ナフタセニルオキシ基、1−インデニルオキシ基、2−アズレニルオキシ基、1−アセナフチルオキシ基、9−フルオレニルオキシ基、2−フラニルオキシ基、2−チエニルオキシ基、2−インドリルオキシ基、3−インドリルオキシ基、2−ベンゾフリルオキシ基、2−ベンゾチエニルオキシ基、2−カルバゾリルオキシ基、3−カルバゾリルオキシ基、4−カルバゾリルオキシ基、9−アクリジニルオキシ基等が挙げられ、
アシルオキシ基としては、水素原子または炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状の脂肪族が結合したカルボニルオキシ基、あるいは、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数4から18の単環状あるいは縮合多環状芳香族が結合したカルボニルオキシ基が挙げられ、具体例としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、バレリルオキシ基、イソバレリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ラウロイルオキシ基、ミリストイルオキシ基、パルミトイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、シクロペンチルカルボニルオキシ基、シクロヘキシルカルボニルオキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、クロトノイルオキシ基、イソクロトノイルオキシ基、オレオイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、1−ナフトイルオキシ基、2−ナフトイルオキシ基、シンナモイルオキシ基、3−フロイルオキシ基、2−テノイルオキシ基、ニコチノイルオキシ基、イソニコチノイルオキシ基、9−アンスロイルオキシ基、5−ナフタセノイルオキシ基などを挙げることができ、
アルキルチオ基としては、炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状アまたは縮合多環状アルキルチオ基が挙げられ、具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、デシルチオ基、ドデシルチオ基、オクタデシルチオ基等が挙げられ、アリールチオ基としては、ヘテロ原子を含んでよい炭素数4〜18の単環または縮合多環アリールチオ基が挙げられ、具体例としては、フェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基、9−アンスリルチオ基、9−フェナントリルチオ基、2−フリルチオ基、2−チエニルチオ基、2−ピロリルチオ基、6−インドリルチオ基、2−ベンゾフリルチオ基、2−ベンゾチエニルチオ基、2−カルバゾリルチオ基、3−カルバゾリルチオ基、4−カルバゾリルチオ基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
アニオンX-として使用できるアルキルスルホン酸アニオンとはアルキル基がスルホン酸基に結合した構造を有するアルキルスルホン酸が解離したスルホン酸アニオンを意味し、上記アルキル基としては、炭素数1〜30の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルキル基が挙げられ、具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、sec−ペンチル基、t−ペンチル基、t−オクチル基、ネオペンチル基、シクロプロピル基、シクロブチル、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、ボロニル基、4−デシルシクロヘキシル基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、カンファースルホン酸が解離したスルホン酸アニオンもアニオンX-として使用できるアルキルスルホン酸アニオンに含まれる。
アニオンX-として使用できるアリールスルホン酸アニオンとはアリール基がスルホン酸基に結合した構造を有するアリールスルホン酸が解離したスルホン酸アニオンを意味し、上記アリール基としては、ヘテロ原子を含んでよい炭素数4〜18の単環または縮合多環アリール基が挙げられ、具体例としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アンスリル基、9−フェナントリル基、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピロリル基、6−インドリル基、2−ベンゾフリル基、2−ベンゾチエニル基、4−キノリニル基、4−イソキノリル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基、4−カルバゾリル基、9−アクリジニル基、3−フェノチアジニル基、2−フェノキサチイニル基、3−フェニキサジニル基、3−チアントレニル基等を挙げることがでるが、これらに限定されるものではない。
さらにアニオンX-として使用できるアルキルスルホン酸アニオンにおけるアルキル基や、アリールスルホン酸アニオンにおけるアリール基は、さらに他の置換基を有していてもよく、そのような他の置換基としては、ヒドロキシル基、メルカプト基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基等を挙げることができる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、
アルキル基としては炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルキル基が挙げられ、具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、sec−ペンチル基、t−ペンチル基、t−オクチル基、ネオペンチル基、シクロプロピル基、シクロブチル、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、ボロニル基、4−デシルシクロヘキシル基などを挙げられ、
アリール基としては、ヘテロ原子を含んでよい炭素数4〜18の単環または縮合多環アリール基が挙げられ、具体例としては、フェニル基、1ーナフチル基、2−ナフチル基、9−アンスリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、5−ナフタセニル基、1−インデニル基、1−アセナフチル基、9−フルオレニル基、2−フラニル基、2−チエニル基、2−インドリル基、3−インドリル基、2−ベンゾフリル基、2−ベンゾチエニル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基、4−カルバゾリル基、9−アクリジニル基等が挙げられ、
アシル基としては、水素原子または炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状の脂肪族が結合したカルボニル基、あるいは、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数4から18の単環状あるいは縮合多環状芳香族が結合したカルボニル基が挙げられ、それらは構造中に不飽和結合を有していてもよく、具体例としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、シクロペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、イソクロトノイル基、オレオイル基、ベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基、シンナモイル基、3−フロイル基、2−テノイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基、9−アンスロイル基、5−ナフタセノイル基などを挙げることができ、
アルコキシル基としては、炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルコキシル基があげられ、具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、イソペンチルオキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、sec−ペンチルオキシ基、t−ペンチルオキシ基、t−オクチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、アダマンチルオキシ基、ノルボルニルオキシ基、ボロニルオキシ基、4−デシルシクロヘキシルオキシ基、2−テトラヒドロフラニルオキシ基、2−テトラヒドロフラニルオキシ基、等を挙げることができ、
アリールオキシ基としては、ヘテロ原子を含んでよい炭素数4〜18の単環または縮合多環アリールオキシ基が挙げられ、具体例としては、フェノキシ基、1ーナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、9−アンスリルオキシ基、9−フェナントリルオキシ基、1−ピレニルオキシ基、5−ナフタセニルオキシ基、1−インデニルオキシ基、2−アズレニルオキシ基、1−アセナフチルオキシ基、9−フルオレニルオキシ基、2−フラニルオキシ基、2−チエニルオキシ基、2−インドリルオキシ基、3−インドリルオキシ基、2−ベンゾフリルオキシ基、2−ベンゾチエニルオキシ基、2−カルバゾリルオキシ基、3−カルバゾリルオキシ基、4−カルバゾリルオキシ基、9−アクリジニルオキシ基等が挙げられ、
アシルオキシ基としては、水素原子または炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状の脂肪族が結合したカルボニルオキシ基、あるいは、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数4から18の単環状あるいは縮合多環状芳香族が結合したカルボニルオキシ基が挙げられ、具体例としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、バレリルオキシ基、イソバレリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ラウロイルオキシ基、ミリストイルオキシ基、パルミトイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、シクロペンチルカルボニルオキシ基、シクロヘキシルカルボニルオキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、クロトノイルオキシ基、イソクロトノイルオキシ基、オレオイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、1−ナフトイルオキシ基、2−ナフトイルオキシ基、シンナモイルオキシ基、3−フロイルオキシ基、2−テノイルオキシ基、ニコチノイルオキシ基、イソニコチノイルオキシ基、9−アンスロイルオキシ基、5−ナフタセノイルオキシ基などが挙げられ、
アルキルチオ基としては、炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状アまたは縮合多環状アルキルチオ基が挙げられ、具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、デシルチオ基、ドデシルチオ基、オクタデシルチオ基等が挙げられ、アリールチオ基としては、ヘテロ原子を含んでよい炭素数4〜18の単環または縮合多環アリールチオ基が挙げられ、具体例としては、フェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基、9−アンスリルチオ基、9−フェナントリルチオ基、2−フリルチオ基、2−チエニルチオ基、2−ピロリルチオ基、6−インドリルチオ基、2−ベンゾフリルチオ基、2−ベンゾチエニルチオ基、2−カルバゾリルチオ基、3−カルバゾリルチオ基、4−カルバゾリルチオ基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
上記した例示アニオンの中で、一般式(1)中のアニオンX-として特に好ましいものとしては、スルホン酸基が結合する炭素原子がフッ素化されたアルキルスルホン酸アニオン、フッ素原子またはフッ素原子を有する基で置換されたアリールスルホン酸アニオンが挙げられ、特に好ましくは、炭素数1から8の直鎖アルキル基の水素原子がすべてフッ素原子で置換されたパーフルオロアルカンスルホン酸アニオン挙げられ、さらに具体的にはパーフルオロオクタンスルホン酸アニオン、ノナフルオロブタンスルホン酸アニオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオンが挙げられる。
アニオンX-として使用できるビス(アルキルスルホニル)イミドアニオンにおけるアルキル基としては、炭素数1から6の直鎖状、分岐鎖状または環状アルキル基が挙げられ、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソプロピル基、s−ブチル基、t−ブチル基、s−ペンチル基、t−ペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらのアルキル基はさらに置換基を有していてもよく、そのような置換基としてはハロゲン原子、アルキル基、アルコキシル基、アルキルチオ基等を挙げることができ、特にフッ素原子で置換されているアルキル基が好ましい。アニオンX-として使用できるビス(アルキルスルホニル)イミドアニオンにおけるフッ素原子で置換されたアルキル基の具体例としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基が挙げられる。
アニオンX-として使用できるトリス(アルキルスルホニル)メチルアニオンにおけるアルキル基としては、炭素数1から6の直鎖状、分岐鎖状または環状アルキル基が挙げられ、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソプロピル基、s−ブチル基、t−ブチル基、s−ペンチル基、t−ペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらのアルキル基はさらに置換基を有していてもよく、そのような置換基としてはハロゲン原子、アルキル基、アルコキシル基、アルキルチオ基等を挙げることができ、特にフッ素原子で置換されたアルキル基が好ましい。アニオンX-として使用できるトリス(アルキルスルホニル)メチルアニオンにおけるフッ素原子で置換されたアルキルの基の具体例としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基が挙げられる。
アニオンX-として使用できるビス(アルコキシスルホニル)イミドアニオンとは、ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロポキシスルホニル)イミドアニオン等を挙げることができる。また、特開2003−215791号公報に記載のイミドアニオンも本発明のビス(アルコキシスルホニル)イミドアニオンの範疇に含まれる。
一般式(1)中のアニオンX-としては、以下の一般式(2)で示されるボレートアニオンも、比較的容易に合成でき、発生する酸が非常に強く、高い溶解度と高い安全衛生性を有するため、特に好ましく使用できる。
一般式(2)
Figure 2005075945
(ただし、Yはフッ素または塩素原子、
Zは、フッ素原子、シアノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基の中から選ばれる基で2つ以上置換されたフェニル基、
mは0から3の整数、nは1から4の整数を表し、m+n=4である。)
一般式(2)における置換基Zとしては、3,5−ジフルオロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基、2,3,4,6−テトラフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2,4−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基、2,4,6−トリフルオロ−3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基、3,5−ジニトロフェニル基、2,4,6−トリフルオロ−3,5−ジニトロフェニル基、2,4−ジシアノフェニル基、4−シアノ−3,5−ジニトロフェニル基、4−シアノ−2,6−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基等があげられるが、これらに限定されるものではない。
したがって、一般式(2)で表記されるのボレートアニオンの構造として、具体的には、ペンタフルオロフェニルトリフルオロボレート、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルトリフルオロボレート、ビス(ペンタフルオロフェニル)ジフルオロボレート、ビス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ジフルオロボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)フルオロボレート、トリス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]フルオロボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート等があげられる。
この内、一般式(2)で表記されるアニオンとして特に好ましいものは、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレートである。
また、一般式(2)で表記されるアニオンの中心元素であるホウ素をガリウムに置き換えたアニオン、すなわち、ガレートアニオンも一般式(1)中のアニオンX-として使用することが可能であり、そのようなアニオンの中では、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ガレートが好ましいアニオンとして挙げられる。
本発明の一般式(1)で表記される感エネルギー線酸発生剤は上記で例示したチオ基を有するフェナシルスルホニウムカチオンと各種アニオンの組み合わせからなる。
以下に具体的な構造を示すが、本発明の感エネルギー線酸発生剤の構造はそれらに限定されるものではない。
Figure 2005075945
Figure 2005075945
Figure 2005075945
Figure 2005075945
Figure 2005075945
Figure 2005075945
Figure 2005075945
Figure 2005075945
Figure 2005075945
Figure 2005075945
ただし、上記構造式中のX−はBF4 -、PF6 -、SbF6 -、SCN-および以下に示した構造から選ばれるアニオンいずれであってもよい。
Figure 2005075945
本発明の感エネルギー線酸発生剤を得るための合成方法は特に限定されず、従来公知の化学反応、後処理方法、精製方法および分析方法を適宜、組み合わせることにより、容易に合成して構造確認することが可能である。フェナシルスルホニウム塩の合成方法としては、Journal of Polymer Science :Part A :Polymer Chemistry誌 第38巻 1433−1442頁(2000年)、Macromolecules誌 第33巻 825−832頁(2000年)などに記載の方法等が挙げられ、これらに記載の合成に使用されている原料をチオ基を有するものに置き換えることにより、本発明の感エネルギー線酸発生剤を合成することが可能である。
合成方法の一例を挙げると、ベンゼン環上にチオ基を有するアセトフェノン誘導体を出発原料として合成する。チオ基を有するアセトフェノンが入手できない場合は、チオ基を有するベンゼン誘導体に対して、フリーデル−クラフツ反応によるアセチル化により、対応するアセトフェノン誘導体を得ることができる。上記したチオ基を有するアセトフェノン誘導体のアセチル基を臭素などの臭素化試薬によって臭素化することによりチオ基を有するフェナシルブロマイド誘導体を得ることができる。このフェナシルブロマイド誘導体とスルフィドを反応させることにより、本発明の感エネルギー線酸発生剤のカチオン部位に相当する、チオ基を有するフェナシルスルホニウムのブロマイド塩を得ることができる。このようにして得られたチオ基を有するフェナシルスルホニウム・ブロマイド塩は、アニオンX-を有する金属塩と容易にイオン交換を行うことができ、本発明の感エネルギー線酸発生剤を得ることができる。
本発明の感エネルギー線酸発生剤はエネルギー線、特に300nmから450nmの波長領域の光照射により、非常に高感度な光酸発生剤として機能するため、従来公知の感エネルギー線酸発生剤から発生する酸を触媒とする重合反応、架橋反応、分解反応、発色反応などをより短時間に確実に実現することが可能となり、結果としてこれらの反応を応用した各種用途の大幅な高感度化や特性の向上を実現することが可能となる。以下に本発明の感エネルギー線酸発生剤の利用方法について記述する。
以下に述べる本発明の感エネルギー線酸発生剤を含有する各種機能を有する組成物は、そのエネルギー線に対する感度をさらに向上させるために、必要に応じて公知の酸増殖剤を併用して用いることができる。酸増殖剤とは、酸発生剤から発生した酸を触媒とした熱分解反応によりさらなる酸を発生する材料であり、さらに、酸増殖剤から発生する酸自身も他の酸増殖剤を分解しうるため、酸増殖剤を用いることにより飛躍的に酸の濃度を向上させることが可能となる。そのような酸増殖剤は特に限定されないが、具体例としては特開平8−248561号公報、特開平10−1508号公報、特開平5−297576号公報に記載の材料が挙げられる。
本発明の感エネルギー線酸発生剤(A)と酸硬化性化合物(B)とを含む組成物はエネルギー線、特に300nmから450nmの波長領域の光照射により、迅速かつ確実に硬化し、良好な特性を有する硬化物を得ることが可能な感エネルギー線硬化性組成物として使用することができる。
本発明の感エネルギー線硬化性組成物に用いる酸硬化性化合物(B)について説明する。ここで、酸硬化性化合物(B)とは、本発明の感エネルギー線酸発生剤(A)との共存下、エネルギー線の照射、特に300nmから450nmの波長領域の光照射の作用によって、重合もしくは架橋反応によって高分子量物質に変換可能な化合物を意味し、以下に示す化合物またはそれらの混合物がこれに含まれる。
まず、感エネルギー線酸発生剤(A)から発生する酸触媒のもとで、あるいは加熱との併用のもとで、架橋または重合反応により高分子量化する化合物が酸硬化性化合物(B)としてあげられる。典型的な例として、ホルムアルデヒドプレカーサーとしてのメチロール基、あるいは置換されたメチロール基を有する化合物として、下記一般式(3)で表される構造の化合物があげられる。
一般式(3)

(QOCH2r−A−(CH2OQ’)s
(ただし、一般式(3)中、Aは、GまたはG−H−Gで示される基であり、Gは置換もしくは非置換の単核もしくは縮合多核芳香族炭化水素基、または酸素、硫黄、窒素含有の複素環基を意味する。Hは単結合、または炭素数1〜4の置換基を有してもよいアルキレン基、置換を有しても良いアリーレン基、アリールアルキレン基、もしくは−O−、−S−、−SO2−、−CO−、−COO−、−OCOO−、−CONH−、−SO2−O−及びこれらの結合を一部に有するような置換基を有しても良いアルキレン基を意味する。またAはフェノール樹脂のような重合体であってもよい。Q及びQ’は、互いに独立して、水素、炭素数1〜4のアルキル基、シクロアルキル基、置換基を有しても良いアリール基、アリールアルキル基、またはアシル基を意味する。rは1〜3の整数、sは0〜3の整数である。)
ここで、一般式(3)のGないしHで表される、置換もしくは非置換の単核もしくは縮合多核芳香族炭化水素基としては、o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基、4−メチル−1,2−フェニレン基、4−クロロ−1,2−フェニレン基、4−ヒドロキシ−1,2−フェニレン基、2−メチル−1,4−フェニレン基、p,p’−ビフェニリレン基、1,2−ナフチレン基、9,10−アンスリレン基、2,7−フェナンスリレン基等が、
酸素、硫黄、窒素含有の複素環基としては、2,5−フリレン基、2,5−チエニレン基、2,4−オキサゾリレン基、2,4−チアゾリレン基、2,5−ベンゾフリレン基、2,5−ベンゾチエニレン基、2,6−ピリジレン基、5,8−キノリレン基等が、
炭素数1〜4の置換基を有してもよいアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、プロピレン基、エチルメチレン基、クロロメチレン基、ジメチルメチレン基、ビス(トリフルオロメチル)メチレン基等が、
置換基を有しても良いアリーレン基としては、o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基、4−メチル−1,2−フェニレン基、4−クロロ−1,2−フェニレン基、4−ヒドロキシ−1,2−フェニレン基、2−メチル−1,4−フェニレン基、p,p’−ビフェニリレン基、1,2−ナフチレン基、9,10−アンスリレン基、2,7−フェナンスリレン基等が、アリールアルキレン基としては、ベンジリデン基、p−トリルメチレン基、2−ナフチルメチレン基等が、
さらに、もしくは−O−、−S−、−SO2−、−CO−、−COO−、−OCOO−、−CONH−、−SO2−O−結合を一部に有するような置換基を有しても良いアルキレン基としては、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基、プロピレンジオキシ基、ジエチレンジオキシ基、トリエチレンジオキシ基、メチレンジチオ基、エチレンジチオ基、プロピレンジチオ基、ジエチレンジチオ基、トリエチレンジチオ基、メチレンジスルホニル基、エチレンジスルホニル基、マロニル基、スクシニル基、グルタリル基、アジポイル基、−OOC−CH2−COO−基、−OOC−(CH22−COO−基、−CH2−OCOO−CH2−基、−CH2−(OCOO−CH22−基等があげられる。
また、一般式(3)のQおよびQ’で表される炭素数1から4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が、
シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が、
置換基を有しても良いアリール基としては、フェニル基、p−トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、p−メトキシフェニル基、ビフェニリル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナントリル基、p−シアノフェニル基、p−ニトロフェニル基、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基、p−フルオロフェニル基、p−クロロフェニル基、p−ジメチルアミノフェニル基、p−フェニルチオフェニル基等が、アリールアルキル基としては、ベンジル基、2−ナフチルメチル基、9−アンスリルメチル基、フェニチル基、スチリル基、シンナミル基等が、
アシル基としては、アセチル基、ヘキサノイル基、ベンゾイル基、シクロヘキサノイル基、メトキサリル基、サリチロイル基等があげられる。
このような酸硬化性化合物(B)の具体例としては、様々なアミノプラスト類またはフェノプラスト類、すなわち尿素−ホルムアルデヒド、メラミン−ホルムアルデヒド、ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド、グリコールウリル−ホルムアルデヒド樹脂やそれらの単量体、もしくはオリゴマーがある。これらは、塗料用のベヒクル等の用途に多くのものが市販されている。例えば、アメリカンサイアナミッド社が製造するCymel(登録商標)300、301、303、350、370、380、1116、1130、1123、1125、1170等、あるいは三和ケミカル社製ニカラック(登録商標)Mw30、Mw30M、Mw30HM、Mx45、Bx4000等のシリーズをその典型例としてあげることができる。これらは1種類でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、別の酸硬化性化合物(B)の具体例としては、ホルムアルデヒドプレカーサーとなり得るようなメチロール化またはアルコキシジメチル化されたフエノール誘導体がある。これらは単量体として用いても、レゾール樹脂、ベンジルエーテル樹脂のように樹脂化されたものを用いてもよい。
さらに、酸硬化性化合物(B)の別な系統として、シラノール基を有する化合物、例えば特開平2−154266号、特開平2−173647号に開示されている化合物をあげることができる。
また、ポリエンとポリチオールの混合物、例えばポリエンとして、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルマレエート、ジアリルカーボネート、トリアリルイソシアヌレート、ポリイソシアネートとアリルアルコールから製造されるウレタン系ポリエン(例えばヘキサメチレンジイソシアネートとアリルアルコールの重縮合反応によって得られるウレタン化合物など)などから選択される化合物と、例えばポリチオールとして、トリメチロールプロパントリチオールグリコレート、ペンタエリスリトール−テトラ−3−メルカプトプロピオネートなどから選択される化合物との混合物も、酸硬化性化合物(B)として例示することができる。
また、以下に示すアルコキシシラン類も酸硬化性化合物(B)としてあげることができる。具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類や、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等のアルコキシシリル基を有する化合物、さらに詳しくは、東レ・ダウコーニング社製品カタログ、59頁もしくは、信越シリコーンシランカップリング剤製品カタログ(昭和62年9月発行)記載の「シランカップリング剤」、あるいは東レ・ダウコーニング社製品カタログ、61頁もしくは、東芝シリコーン社総合カタログ、27頁(1986年4月発行)記載の「シラン化合物」として業界で知られるアルコキシシリル基を有する化合物が、アルコキシシラン類としてあげることができる。
さらに、酸硬化性化合物(B)として、カチオン重合可能な化合物あるいはその混合物をあげることができる。ここでいうカチオン重合可能な化合物とは、例えば、エポキシ化合物、スチレン類、ビニル化合物、ビニルエーテル類、スピロオルソエステル類、ビシクロオルソエステル類、スピロオルソカーボナート類、環状エーテル類、ラクトン類、オキサゾリン類、アジリジン類、シクロシロキサン類、ケタール類、環状酸無水物類、ラクタム類およびアリールジアルデヒド類などがあげられる。また、これらの重合性基を測鎖に有する重合性あるいは架橋性ポリマーおよびオリゴマーも酸硬化性化合物(B)に含まれる。
まず、エポキシ化合物としては、従来、公知の芳香族エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物、更にはエポキシド単量体、エピサルファイト単量体類があげられる。芳香族エポキシ化合物の例としては、フェニルグリシジルエーテルなどの単官能エポキシ化合物や、少なくとも1個の芳香族核を有する多価フェノールまたはそのアルキレンオキサイド付加体のポリグリシジルエーテルであって、例えばビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール化合物またはビスフェノール化合物のアルキレンオキサイド(例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等)付加体とエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるグリシジルエーテル類、ノボラック型エポキシ樹脂類(例えば、フェノール・ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾール・ノボラック型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂等)、トリスフェノールメタントリグリシジルエーテル等があげられる。
脂環式エポキシ化合物としては、4−ビニルシクロヘキセンモノエポキサイド、ノルボルネンモノエポキサイド、リモネンモノエポキサイド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサノン−メタ−ジオキサン、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、2,2−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロヘキシル]ヘキサフルオロプロパン、BHPE−3150(ダイセル化学工業(株)製、脂環式エポキシ樹脂(軟化点71℃)等があげられる。
脂肪族エポキシ化合物としては、例えば1,4−ブタンジオールジクリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールモノグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールモノグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグルコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグルコールモノグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、グルセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンモノグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリセロールトリグリシジルエーテル、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル等があげられる。
スチレン類としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロメチルスチレン等があげられる。ビニル化合物としては、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドンなどがあげられる。
ビニルエーテル類としては、例えばn−(またはiso−、t−)ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、1,4ブタンジオールジビニルエーテル、エチレングリゴールジビニルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールモノビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルグリコール、ネオペンチルグリコールモノビニルグリコール、グリセロールジビニルエーテル、グリセロールトリビニルエーテル、トリメチロールプロパンモノビニルエーテル、トリメチロールプロパンジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ジグリセロールトリビニルエーテル、ソルビトールテトラビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル2,2−ビス(4−シクロヘキサノール)プロパンジビニルエーテル、2,2−ビス(4−シクロヘキサノール)トリフルオロプロパンジビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル類、アリルビニルエーテルなどのアルケニルビニルエーテル類、エチニルビニルエーテル、1−メチル−2−プロペニルビニルエーテルなどのアルキニルビニルエーテル類、4−ビニルエーテルスチレン、ハイドロキノンジビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、p−メトキシフェニルビニルエーテル、ビスフェノールAジビニルエーテル、テトラブロモビスフェノールAジビニルエーテル、ビスフェノールFジビニルエーテル、フェノキシエチレンビニルエーテル、p−ブロモフェノキシエチレンビニルエーテルなどのアリールビニルエーテル類、1,4−ベンゼンジメタノールジビニルエーテル、N−m−クロロフェニルジエタノールアミンジビニルエーテル、m−フェニレンビス(エチレングリコール)ジビニルエーテル等のアラルキルジビニルエ一テル類、ウレタンポリビニルエーテル(例えば、ALLIED−SIGNAL社製、VECtomer2010)等をあげることができる。
スピロオルソエステル類としては、1,4,6−トリオキサスピロ(4,4)ノナン、2−メチル−1,4,6−トリオキサスピロ(4,4)ノナン、1,4,6−トリオキサスピロ(4,5)デカンなどが、ビシクロオルソエステル類としては、1−フェニル−4−エチル−2,6,7−トリオキサビシクロ(2,2,2)オクタン、1−エチル−4−ヒドロキシメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ(2,2,2)オクタンなどが、スピロオルソカーボナート類としては、1,5,7,11−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、3,9−ジベンジル−1,5,7,11−テトラオキサスピロ(5、5)ウンデカンなどのような環状エ一テル類があげられる。
環状エーテル類としては、オキセタン、フェニルオキセタンなどのオキセタン類、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどのテトラヒドロフラン類、テトラヒドロピラン、3−プロピルテトラヒドロピランなどのテトラヒドロピラン類およびトリメチレンオキサイド、s−トリオキサンなどがあげられる。ラクトン類としては、β−プロピオラクトン、γ−ブチルラクトン、δ−カプロラクトン、δ−バレロラクトンなどがあげられる。オキサゾリン類としては、オキサゾリン、2−フェニルオキサゾリン、2−デシルオキサゾリンなどがあげられる。
アジリジン類としては、アジリジン、N−エチルアジリジンなどがあげられる。シクロシロキサン類としては、ヘキサメチルトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、トリフェニルトリメチルシクロトリシロキサンなどがあげられる。ケタール類としては、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン、2−フェニル−1,3−ジオキサン、2,2−ジオクチル−1,3−ジオキソランなどがあげられる。
環状酸無水物類としては、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸などが、ラクタム類としてはβ−プロピオラクタム、γ−ブチロラクタム、δ−カプロラクタムなどがあげられる。またアリールジアルデヒド類としては1,2−ベンゼンジカルボキシアルデヒド、1,2−ナフタレンジアルデヒドなどがあげられる。
以上のような感エネルギー線硬化性組成物における、各成分配合比に特別な限定はないが、酸硬化性化合物(B)100重量部に対して、感エネルギー線酸発生剤(A)を0.01〜40重量部、好ましくは0.1〜25重量部の比率で用いることが好ましい。
本発明の感エネルギー線硬化性組成物は、液状性または流動性であればそのままの形態で粘着剤、接着剤、粘接着剤、封止剤、塗料、表面コート剤、光造形樹脂、光形成シートなどに、また染料や顔料などを添加することによりプルーフ材料、印刷インキ、インキジェット用インキなどに、水酸化アパタイトなどのフィラーを添加することにより歯科用レジンなどに使用することができる。
顔料としては、無機顔料および有機顔料のどちらもを使用することができる。無機顔料としてはカーボンブラック、酸化チタンなど、有機顔料としては、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ペリレン系、ペリノン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、ジオキサジン系、アントラキノン系、インジゴ系、メチン系、ジケトピロロピロール系など従来より使用されているものが使用可能である。これらの顔料は、色相を最適化するために、複数組み合わせて使用することも可能である。また、これらの顔料は均一性、経時安定性や透明性を高めるために、適当な分散器を用いて微粒子状に分散して使用することも可能である。また、顔料誘導体などの分散剤を併用して用いることも可能である。
染料としては油溶性染料及び塩基性染料がある。具体的にはオイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルプラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上、オリエント化学工業株式会社製)、クリスタルバイオレット(CI−42555)、メチルバイオレット(CI−42535)、ローダミンB(CI−45170B)、マラカイトグリーン(CI−42000)、メチレンブルー(CI−52015)などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
また各種高分子重合体をバインダーとして併用し、溶剤に混合溶解し、ガラス板、アルミニウム板、シリコンウェハ、金属板、ポリマーフィルム(板)、紙などに塗布し、膜を形成して使用することも可能である。
本発明の感エネルギー線硬化性組成物と混合して使用可能なバインダーは本発明の感エネルギー線酸発生剤(A)および酸硬化性化合物(B)が分離することなく均一に溶解することができれば、特に限定はされない。具体例としては、ポリアクリレート類、ポリ−α−アルキルアクリレート類、ポリアミド類、ポリビニルアセタール類、ポリホルムアルデヒド類、ポリウレタン類、ポリカーボネート類、ポリスチレン類、ポリビニルエステル類等の重合体あるいは共重合体等があげられ、さらに具体的には、ポリメタクリル酸、ポリメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセテート、ノボラック樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂その他、赤松清監修、「新・感光性樹脂の実際技術」、(シーエムシー、1987年)や「10188の化学商品」、657〜767頁(化学工業日報社、1988年)記載の業界公知の有機高分子重合体があげられる。また、これらのバインダー自身が酸を触媒とする架橋反応に関与しうる官能基を有していても良い。また、これらの高分子重合体がフェノール性水酸基やカルボン酸基に代表される置換基によりアルカリ現像性などの機能が付与されている場合には、アルカリ現像液に対する溶解性が付与され、後述するネガ型レジストとして応用することも可能である。
本発明の感エネルギー線硬化性組成物は、酸発生剤(A)を使用した効果により、増感剤を用いなくともエネルギー線、特に300nmから450nmの波長領域の光照射に対して非常に迅速かつ確実に硬化することが可能であるが、必要に応じて増感剤を併用して用いてもよい。
本発明と併用することができる増感剤の例としては、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、ピレン誘導体、ナフタセン誘導体、ペリレン誘導体、ペンタセン誘導体等の縮合多環芳香族誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、カルコン誘導体やジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン類、ベンジルやカンファーキノン等に代表される1,2−ジケトン誘導体、ベンゾイン誘導体、フルオレン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ケトクマリン誘導体、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、オキソノール誘導体等のポリメチン色素、アクリジン誘導体、アジン誘導体、チアジン誘導体、フェノチアジン誘導体、オキサジン誘導体、インドリン誘導体、アズレン誘導体、アズレニウム誘導体、スクアリリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラフェニルポルフィリン誘導体、トリアリールメタン誘導体、テトラベンゾポルフィリン誘導体、テトラピラジノポルフィラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、テトラアザポルフィラジン誘導体、テトラキノキサリロポルフィラジン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、ピリリウム誘導体、チオピリリウム誘導体、テトラフィリン誘導体、アヌレン誘導体、スピロピラン誘導体、スピロオキサジン誘導体、チオスピロピラン誘導体、カルバゾール誘導体、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体等があげられ、その他さらに具体的には大河原信ら編、「色素ハンドブック」(1986年、講談社)、大河原信ら編、「機能性色素の化学」(1981年、シーエムシー)、池森忠三朗ら編、「特殊機能材料」(1986年、シーエムシー)、フォトポリマー懇話会編、「感光材料リストブック」(1996年、ぶんしん出版)に記載の色素および増感剤があげられるがこれらに限定されるものではなく、これらは必要に応じて任意の比率で二種以上用いてもかまわない。
これらの増感剤のうち、好ましいものとしては、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体の縮合多環芳香族誘導体および、フェノチアジン誘導体、カルバゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体があげられ、中でも特に好ましいものとして、アントラセン誘導体があげられる。
これらの具体例としては、アントラセン、1−アントラセンカルボン酸、2−アントラセンカルボン酸、9−アントラセンカルボン酸、9−アントラアルデヒド、9,10−ビス(クロロメチル)アントラセン、9,10−ビス(フェニルエチニル)アントラセン、9−ブロモアントラセン、1−クロロ−9,10−ビス(フェニルエチニル)アントラセン、9−シアノアントラセン、9,10−ジブロモアントラセン、9,10−ジシアノアントラセン、9,10−ジメチルアントラセン、9,10−ジブチルアントラセン、9,10−ジフェニルアントラセン、9,10−ジ−p−トリルアントラセン、9,10−ビス(p−メトキシフェニル)アントラセン、2−ヒドロキシメチルアントラセン、9−ヒドロキシメチルアントラセン、9−メチルアントラセン、9−フェニルアントラセン、9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ジフェノキシアントラセン、9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホン酸ナトリウム、1,4,9,10−テトラヒドロキシアントラセン、2,2,2−トリフルオロー1−(9−アンスリル)エタノール、1,8,9−トリヒドロキシアントラセン、1,8−ジメトキシ−9,10−ビス(フェニルエチニル)アントラセン、9−ビニルアントラセン、9−アントラセンメタノール、9−アントラセンメタノールのトリメチルシロキシエーテル、フェノチアジン、N−エチルカルバゾール、N−フェニルカルバゾール、1−メトキシナフタレン、2−メトキシナフタレン。1,4−ジメトキシナフタレンなどが挙げられる。
上記増感剤を併用する場合の添加量は特に限定されないが、本発明の感エネルギー線酸発生剤100重量部に対し、0〜100重量部が好ましい。
本発明の感エネルギー線酸発生剤(A)は酸発生剤として十分高い感度を有しているが、他の酸発生剤と併用して用いることも可能である。感エネルギー線酸発生剤(A)と併用することが可能な酸発生剤は特に限定されず、「PAG」、「酸発生剤」、「光酸発生剤」、「光重合開始剤」、「カチオン重合開始剤」、「重合触媒」等の名称で業界公知の材料を適宜選択して使用することできる。また、他の酸発生剤を使用する場合は、単独または複数組み合わせて使用することも可能である。
本発明の感エネルギー線酸発生剤と併用することが可能な他の感エネルギー線酸発生剤としては、まず、オニウム塩系化合物が挙げられる。このようなオニウム塩系化合物の例としては、スルホニウム塩系、ヨードニウム塩系、ホスホニウム塩系、ジアゾニウム塩系、ピリジニウム塩系、ベンゾチアゾリウム塩系、スルホキソニウム塩系、フェロセン系の化合物が挙げられ、これらの構造は特に限定されず、ジカチオンなどの多価カチオン構造を有していてもよく、カウンターアニオンも公知のものを適宜、選択して使用することができる。
また、本発明の感エネルギー線酸発生剤と併用することが可能なオニウム塩以外の感エネルギー線酸発生剤としては、ニトロベンジルスルホナート類、アルキルまたはアリール−N−スルホニルオキシイミド類、ハロゲン化されていてもよいアルキルスルホン酸エステル類、1,2−ジスルホン類、オキシムスルホナート類、ベンゾイントシラート類、β−ケトスルホン類、β−スルホニルスルホン類、ビス(アルキルスルホニル)ジアゾメタン類、イミノスルホナート類、イミドスルホナート類、トリハロメチルトリアジン類などのトリハロアルキル基を有する化合物等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明の感エネルギー線酸発生剤(A)と併用する他の酸発生剤の比率は特に限定されないが、本発明の酸発生剤(A)100重量部に対して0〜99重量部の範囲で使用することが好ましい。
本発明の感エネルギー線酸発生剤を使用した硬化性組成物は、上記各成分を溶解する溶媒に溶かして支持体上に塗布して用いることができる。ここで使用する溶媒は、本発明の感エネルギー線硬化性組成物を均一に溶解できるものであれば特に限定されない。具体例としては1,1,2,2−テトラクロロエタン、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、γ−ブチロラクトン、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルメトキシプロピオナート、エチルエトキシプロピオナート、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、エチレングリコールモノエチルエ一テルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエ一テル、プロピレングリコールモノメチルエ一テルアセテート、トルエン、酢酸エチル、酢酸イソアミル、乳酸メチル、乳酸エチル、エトキシプロピオン酸エチル、N,N一ジメチルホルムアミド、N,N一ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドンなどが好ましく、これらの溶媒を単独あるいは混合して使用する。
また、さらに、上記溶媒に界面活性剤、ハレーション防止剤、帯電防止剤、レベリング剤、消泡剤などの添加剤を適宜混合して使用することも可能である。
本発明の感エネルギー線硬化性組成物含む溶液は、ロールコーター、スピンコーター、グラビアコーター、コンマコーター、バーコーター、カーテンコーター、ダイコーター、インクジェットプリンターなどを用いてシート状基材上に塗布され、これを乾燥することによって皮膜を形成することができる。シート状基材として、本発明で用いられるものに制限はないが、紙、不織布、布地、多孔質ガラスシートなどの多孔質性基材、あるいは合成紙、コート紙、高分子フィルム、金属箔などの基材等を使用することが可能である。これらの基材は単独でも良いし、積層された複合基材の形態でも使用できる。また、この様にして形成された硬化物層の皮膜を保護する目的で、さらに高分子フィルムなどの保護膜を設けることも可能である。
本発明の感エネルギー線酸発生剤(A)と酸硬化性化合物(B)とを含む感エネルギー線硬化性組成物は、エネルギー線、特に300nmから450nmの波長領域の光を照射した場合、感エネルギー線酸発生剤(A)から効率的に発生する酸により、容易に硬化することが可能であり、良好な特性を持った硬化物を得ることができる。
本発明の酸硬化性組成物を硬化させるために使用するエネルギー線源は特に限定されないが、感エネルギー線酸発生剤(A)が特に好適な感度を発現する300nmから450nmの波長領域の光を照射できる光源が好ましく、上記波長領域の光と同時に他のエネルギー線を発していても良い。特に好ましい光源としては、300nmから450nmの波長領域に発光の主波長を有する光源であり、具体例としては、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、水銀キセノンランプ、メタルハライドランプ、ハイパワーメタルハライドランプ、キセノンランプ、パルス発光キセノンランプ等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、Nd−YAG3倍波レーザー、He−Cdレーザー、窒素レーザー、Xe−Clエキシマレーザー、Xe−Fエキシマレーザー、半導体励起固体レーザー等の300nmから450nmの波長領域に発光波長を有するレーザーも好適なエネルギー線源として使用することができる。また、電子線も好適なエネルギー線源として使用することが可能である。本発明の感エネルギー線酸発生剤(A)はいずれも300nmから450nmの波長領域に好適な吸収を有しており置換基によって吸収特性がやや異なるが、上記した光源を適宜選択することにより、非常に高感度な感エネルギー線酸発生剤として機能することが可能である。また、これらの光源は適宜、フィルター、ミラー、レンズ等の光学機器を介して本発明の感エネルギー線硬化性組成物に照射することが可能である。
本発明の感エネルギー線硬化性組成物は、上記エネルギー線源からのエネルギー線照射と同時、あるいはエネルギー線照射後に加熱することにより硬化を促進させ、良好な特性を有する硬化物を得ることも可能である。
本発明の感エネルギー線硬化性組成物を硬化した場合、エネルギー線を照射した部分は有機溶剤やアルカリ現像液に対する溶解性が低下することとなる。そのため、部分的にエネルギー線を透過する特性を有するパターンマスクを介して露光したり、レーザーにより直接パターンを描画した後に、有機溶剤やアルカリ現像液等で現像すれば、エネルギー線が照射された部分のみ不溶化したパターンとして残存させることができ、いわゆるネガ型レジスト材料として使用することも可能である。このようなレジストの用途としては、例えば、感光性印刷版や、カラーフィルター用レジスト、ブラックマトリクス用レジスト、半導体レジスト、ソルダーレジスト、回路基板用レジスト等のネガ型フォトレジストが挙げられる。
上記のようなネガ型のレジストを用いてパターン形成を行うに当たっては、精密集積回路素子の製造に使用されるような基板(例:シリコン/二酸化シリコン被覆、ガラス基板上に形成されたシリコン層など)、プリント回路用に使用されるような基板(例:銅張り積層板)、カラーフィルターに用いられるようなガラス板(またはプラスチック板)、あるいは平版印刷版に使用されるような基板(例:陽極酸化されたAl板)上に、スピナー、コーター等の適当な塗布方法により塗布した後、制御された条件のもとでプリベークし、所定のマスクを介してエネルギー線照射したり、あるいはレーザー(あるいは電子線)による直接描画をした後、制御された条件のもとで、エネルギー線の未照射領域を現像液により選択的に除去することにより、良好なパターン画像を形成することができる。
また、発生した酸を系中に拡散せしめる目的のため、あるいは発生した酸による硬化反応を促進せしめる目的のために、エネルギー線による照射を行った後に、加熱(ポストベーク)することも可能である。加熱方法は特に限定されないが、例としては加熱オーブン、ホットプレートの使用等が挙げられる。加熱温度は、酸発生剤の種類、使用する高分子化合物の種類によって適宜選択することが望ましいが、酸発生剤の分解温度以下が好ましい。
また、上記ネガ型レジストを現像するための現像液としては有機溶媒あるいはアルカリ現像液が挙げられる。有機溶媒としては先に述べた本発明の感エネルギー線硬化性組成物を均一に溶解するために使用可能な溶媒と同一のものが挙げられる。また、アルカリ現像液とは、以下に示す無機もしくは有機塩基の溶液があげられ、これらは、本発明の硬化性組成物に使用する酸硬化性化合物あるいは併用するバインダーがカルボン酸基やフェノール性水酸基などのアルカリ可溶性基を有する場合に有効である。
アルカリ現像液としては、具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第四扱アンモニウム塩、ピロール、ピペリジン等の環状アミン類、等のアルカリ類の水溶液を使用することが望ましい。更に、上記アルカリ類の水溶液にアルコール類、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
本発明の感エネルギー線硬化性組成物を上記と同様の方法で部分的に硬化した場合、硬化した部分と未硬化の部分で屈折率に代表される光学特性にも差が生じる。この原理を利用すれば、通信用の導波路や、ホログラムなどの画像形成材料として使用することも可能である。
本発明の感エネルギー線酸発生剤および該酸発生剤から発生する酸触媒の他の用途としては、酸による触媒反応を利用したポジ型レジスト材料を挙げることができ、特に化学増幅型のポジ型レジスト材料が有効である。
すなわち、本発明の感エネルギー線酸発生剤(A)と酸を触媒とする反応によりアルカリ現像液に対する溶解性が増加する化合物(C)とを含む組成物は、エネルギー線、特に300nmから450nmの波長領域の光の照射により、良好な感度と溶解コントラストを有する感エネルギー線ポジ型レジスト組成物として使用することができる。
本発明で使用する酸を触媒とする反応によりアルカリ現像液に対する溶解性が増加する化合物(C)について説明する。
本発明で使用する、酸を触媒とする反応によりアルカリ現像液に対する溶解性が増加する化合物(C)とは、例えば、カルボン酸のエステル、炭酸のエステル、フェノール性水酸基のエーテル、アルコキシシラン等があげられ、これらはいずれも、そのエステル結合や、炭素−酸素結合、シロキシ結合が、酸を触媒とする反応により、カルボキシル基、水酸基、シラノール基へと変化する分解反応あるいは脱保護反応を経て、アルカリ現像液に対する溶解性が増加する化合物である。すなわち、酸を触媒とする反応によりアルカリ現像液に対する溶解性が増加する化合物(C)とは、カルボキシル基、アルコール性水酸基、フェノール性水酸基、シラノール基等の酸性基を有するアルカリ現像液に対して可溶な化合物の、該酸性基の水素原子を、酸の存在下では容易に分解される保護基により保護し、アルカリ現像液に対する溶解性を抑止したアルカリ難溶性化合物と言い換えることができ、「化学増幅型レジスト」用の材料として、業界公知のものがこれに含まれる。
上記したカルボキシル基、アルコール性水酸基、フェノール性水酸基、シラノール基等の酸性基を有するアルカリ現像液に対して可溶な代表的な化合物としては、ポリ−o−ヒドロキシスチレン、ポリ−m−ヒドロキシスチレン、ポリ−p−ヒドロキシスチレンが挙げられる。また、p−ヒドロキシスチレンをN−置換マレイミド、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、スチレン、シクロオレフィン、ビニルエーテルから選ばれるモノマーを共重合した高分子重合体などもアルカリ現像液に可溶な化合物として挙げることができるが、これらに限定されるものではなく、業界公知のポジ型レジスト材料であれば、いずれも使用可能である。
化合物(C)の原料となるアルカリ現像液に可溶な化合物の分子量は、特に限定されないが、GPCによるポリスチレン換算重量平均分子量で1000から100000の範囲が好ましく、成膜性や塗工適性の観点からは2000から50000の範囲が特に好ましい。
上記したアルカリ現像液に対して可溶な化合物のアルカリ現像液の溶解性を抑止するために用いる、酸の存在化で容易に分解される保護基としては、メトキシメチル基、エトキシエチル基、t−ブトキシメチル基、イソプロポキシメチル基、1−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、1−イソプロポキシエチル基、1−エトキシエチル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基に代表されるアルコキシアルキル基、t−ブトキシカルボニルオキシメチル基、1−メチル1−フェニルエトキシカルボニルオキシメチル基に代表されるアルコキシカルボニルオキシアルキル基、t−ブチル基、t−ペンチル基、1−メチル−1−フェニルエチル基等に代表される3級アルキル基、トリメチルシリル基、エチルジメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基など代表されるトリアルキルシリル基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
アルカリ現像液に対して可溶な化合物中に存在する酸性基を、酸の存在化で容易に分解される保護基により保護する場合、該酸性基の全てを保護しなくとも十分なアルカリ現像液に対する溶解抑止の効果を得ることができるが、保護基の導入率としては、アルカリ現像液に対して可溶な化合物中に存在する酸性基の数を100%とした場合、10%から100%の酸性基を保護基により保護することが好ましい。保護基の導入率が10%より小さければ、アルカリ現像液に対する十分な溶解抑止効果を得ることができず、本発明の酸を触媒とする反応によりアルカリ現像液に対する溶解性が増加する化合物(C)として十分機能しない。
これらの酸を触媒とする反応によりアルカリ現像液に対する溶解性が増加する化合物(C)は単独または複数併用して用いることができる。また、他のアルカリ可溶性樹脂、例えばフェノール性ノボラック樹脂と混合して使用することもできる。
本発明の感エネルギー線酸発生剤(A)と、酸を触媒とする反応によりアルカリ現像液に対する溶解性が増加する化合物(C)とを含む組成物は、エネルギー線、特に300nmから450nmの波長領域の光照射により、酸発生剤(A)から効率的に酸が発生し、この酸を触媒として、エネルギー線の照射前にはアルカリ現像液に対して低い溶解度を有していた化合物(C)の構造中にある保護基が容易に分解され、その結果、アルカリ現像液に対する化合物(C)の溶解度が大幅に増加することとなる。従って、部分的にエネルギー線が照射する特性を有するマスクを介してエネルギー線を照射したり、あるいは、レーザーなどでパターンを直接描画した場合、エネルギー線が付与された部分のみがアルカリ現像液に対する溶解度が大幅に増加するため、アルカリ現像液で現像した場合にいわゆるポジ型レジストのパターンを形成することが可能である。本発明を利用したポジ型レジスト組成物は、酸発生剤(A)から効率的に発生する酸により、良好なレジスト感度を実現するとともに、エネルギー線を照射した部分と照射しない部分に高い溶解度の差、すなわち溶解コントラストを生じさせることが可能である。
酸を触媒とする反応によりアルカリ現像液に対する溶解性が増加する化合物(C)に対する感エネルギー線酸発生剤(A)の配合比は特に限定されないが、化合物(C)100重量部に対して、感エネルギー線酸発生剤(A)を0.01〜20重量部、好ましくは0.1〜10重量部の比率で用いることが好ましい。
本発明を利用したポジ型レジスト組成物には、芳香族化合物類のt−ブチルエステル、t−ブチルカーボネート、t−ブチルエーテル類〔Proc.SPIE,920,p60(1988年)、Polym.Eng.Sci.,第29巻,846頁(1989年)〕、テトラヒドロピラニル基で保護したポリヒドロキシ化合物類〔特開平1−67500号〕、その他アセタール化合物類〔Polym.Eng.Sci.,第29巻,874頁(1989年)〕等の低分子の溶解性抑制剤も使用することができる。また、本発明を利用したポジ型レジスト組成物には耐環境性の向上やパターン形状の制御のためにアミン系化合物を添加することも可能である。
この様なポジ型レジスト組成物には、着色などの目的で、必要に応じて更に染料などを含有させることができる。好適な染料としては油溶性染料及び塩基性染料がある。具体的にはオイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルプラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上、オリエント化学工業株式会社製)、クリスタルバイオレット(CI−42555)、メチルバイオレット(CI−42535)、ローダミンB(CI−45170B)、マラカイトグリーン(CI−42000)、メチレンブルー(CI−52015)などを挙げることができる。
以上の様な、本発明の感エネルギー線酸発生剤を使用したポジ型レジスト組成物は、上記各成分を均一に溶解する溶媒に溶かして支持体上に塗布して用いることができる。ここで使用する溶媒としては、ポジ型レジスト組成物を均一に溶解できるものであれば特に限定されない。具体例としては1,1,2,2−テトラクロロエタン、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、γ−ブチロラクトン、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルメトキシプロピオナート、エチルエトキシプロピオナート、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、エチレングリコールモノエチルエ一テルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエ一テル、プロピレングリコールモノメチルエ一テルアセテート、トルエン、酢酸エチル、酢酸イソアミル、乳酸メチル、乳酸エチル、エトキシプロピオン酸エチル、N,N一ジメチルホルムアミド、N,N一ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドンなどが好ましく、これらの溶媒を単独あるいは混合して使用する。
また、さらに、上記溶媒に界面活性剤、ハレーション防止剤、帯電防止剤、レベリング剤、消泡剤、吸光度を調整するための光吸収剤などの添加剤を適宜混合して使用することも可能である。
本発明を利用したポジ型レジスト組成物は、感エネルギー線酸発生剤(A)を使用することにより十分な感度を有しているが、他の酸発生剤や増感剤を併用して用いることも可能である。そのような、他の酸発生剤や増感剤としては、本発明の感エネルギー線硬化性組成物の項で説明した材料と同様のものを挙げることができる。
上記の様なポジ型レジスト組成物を用いてパターン形成を行うに当たっては、精密集積回路素子の製造に使用されるような基板(例:シリコン/二酸化シリコン被覆、ガラス基板上に形成されたシリコン層など)、プリント回路用に使用されるような基板(例:銅張り積層板)、カラーフィルターに用いられるようなガラス板(またはプラスチック板)、あるいは平版印刷版に使用されるような基板(例:陽極酸化されたAl板)上に、スピナー、コーター等の適当な塗布方法により塗布した後、制御された条件のもとでプリベークし、所定のマスクを介して光(あるいは電子線)照射したり、あるいはレーザー(あるいは電子線)による直接描画をした後、制御された条件のもとで、照射領域を現像処理して選択的に除去することにより、良好なパターン画像を形成することができる。
本発明を利用したポジ型レジスト組成物に照射する、エネルギー線源としては、先に本発明の硬化性組成物の説明の際に列挙したものと同様のエネルギー線源を使用することができる。また、ステッパーを使用した縮小投影露光も可能である。
また、発生した酸を系中に拡散せしめる目的のため、あるいは発生した酸による脱保護反応を促進せしめる目的のために、エネルギー線による照射を行った後に、加熱することも可能である。加熱方法としては、加熱オーブン、ホットプレートなどの使用が可能である。該方法により、いわゆる化学増幅が可能となる。加熱温度は、酸発生剤の種類、使用する高分子化合物の種類によって適宜選択することが望ましいが、一般的には40℃〜160℃の範囲で行う。
また、本発明を利用したポジ型レジスト組成物を現像するためのアルカリ現像液とは、以下に示す無機もしくは有機塩基の溶液があげられ、これは、先に説明した、酸を触媒とする反応によりアルカリ現像液に対する溶解性が増加する化合物(C)が、酸を触媒とする反応により、カルボキシル基や水酸基、シラノール基等へと変化したものを、溶解させ、除去するために用いられる。
それに相応しい現像液としては、具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第四扱アンモニウム塩、ピロール、ピペリジン等の環状アミン類、等のアルカリ類の水溶液を使用することが望ましい。更に、上記アルカリ類の水溶液にアルコール類、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
本発明の感エネルギー線酸発生剤を利用した他の用途としては、酸による発色反応を利用した発色材料が挙げられる。
本発明の感エネルギー線酸発生剤(A)と酸との反応により発色する色素前駆体(D)とを含む組成物は、エネルギー線、特に300nmから450nmの波長領域の光照射により、迅速かつ良好な発色濃度を有する感エネルギー線発色性組成物として機能することができる。
本発明で使用する酸との反応により発色する色素前駆体(D)について説明する。本発明に使用可能な色素前駆体としては、既に公知の色素前駆体、例えば、トリフェニルメタン系色素、トリメタンフタリド系色素、フェノチアジン色素、フェノキサジン色素、フルオラン色素、インドリルフタリド色素、アザフタリド色素、ジフェニルメタン系色素、クロメノピラゾール系色素、ロイコオーラミン色素、ローダミンラクタム系色素、アゾメチン系色素およびロイコキサンテン系色素など挙げられる。
これら色素前駆体(D)の具体的な例としては、特開昭59−190891号公報、特開昭60−202155号公報、特開昭62−167086号公報、特開昭61−51381号公報、特開昭60−184878号公報、特開昭50−195173号公報、特開昭62−27171号公報、特開昭62−106964号公報、特開昭62−4752号公報、特開昭61−230981号公報、特開昭61−101556号公報、特開昭62−84157号公報、特開昭56−52759号公報、特開昭60−196177号公報、特開昭58−7453号公報、特開昭58−76458号公報、特開昭59−135254号公報、特開昭55−265号公報、特開昭52−82243号公報、特開昭57−195155号公報、特開昭62−74961号公報、特開昭63−236679号公報、特開昭号公報、特開昭58−209589号公報、特開昭62−179983号公報、特開昭63−317558号公報、特開昭49−103710号公報、特開昭63−251278号公報、特開昭63−251279号公報、特開昭63−251280号公報、特開昭51−8012号公報、特開昭58−192887号公報、特開昭58−192885号公報、特開昭62−77132号公報、特開昭54−126114号公報、特開昭64−251148号公報、特開昭47−460110号公報、特開昭61−195164号公報、特開昭61−230981号公報、特開昭63−270662号公報、特開昭53−90255号公報、特開昭63−199268号公報、特開昭51−121035号公報、特開昭55−115448号公報、特開昭58−157779号公報、特開昭61−87758号公報、特開昭62−243652号公報、特開昭61−113589号公報、特開昭62−176881号公報、特開昭60−230890号公報、特開昭48−95420号公報、特開昭59−162086号公報、特開昭62−198495号公報、特開昭59−199757号公報、特開昭64−51978号公報、特開昭62−127353号公報、特開昭62−292859号公報、特開昭50−124930号公報、特開昭54−111528号公報、特開昭49−59127号公報、特開昭52−92618号公報、特開昭50−137549号公報、特開昭54−61637号公報、特開昭59−25393号公報、特開昭53−97512号公報、特開昭62−94841号公報、特開昭62−198494号公報、特開昭64−3176特公昭46−16052号公報、特公昭51−92207号公報、特公昭48−43296号公報、特公昭51−23204号公報、特公昭52−10871号公報、特公昭58−40991号公報、特公昭51−15445号公報、特公昭60−27692号公報、特公昭54−26929号公報、特公昭55−49086号公報、特公昭56−162690号公報、特公昭46−4614号公報、特公昭47−20479号公報、特公昭47−42364号公報、特公昭60−1341号公報、特公昭59−30748号公報、特公昭47−1179号公報、特公昭45−4698号公報、特公昭46−16053号公報、特公昭49−3047号公報、特公昭45−8557号公報、特公昭61−12952号公報、特公昭56−12515号公報、特公昭64−2589号公報、特公昭46−22649号公報、特公昭54−25445号公報、特公昭47−19799号公報、特公昭51−23202号公報、特公昭55−7473号公報、特公昭56−11596号公報、特公昭57−24233号公報、特公昭60−25275号公報、特公昭60−23991号公報、特公昭51−92207号公報、特公昭48−18725号公報、特公昭61−25745号公報、特公昭51−16807号公報、特公昭63−43398号公報、特公昭42−25654号公報、特公昭59−3279号公報、特公昭60−6794号公報、特公昭50−14532号公報、特公昭37−4041号公報、特公昭46−12248号公報、特開平4−224990号公報、特開平4−225982号公報、特開平4−18060号公報、特開平2−26789号公報、特開平3−143680号公報、特開平3−294280号公報、特開平2−58574号公報、特開平3−127794号公報、特開平1−190484号公報、特開平2−26783号公報、特開平4−223467号公報、特開平1−213636号公報、特開平1−160979号公報、特開平1−264889号公報、特開平2−135264号公報、特開平2−39987号公報、特開平2−26782号公報、特公平4−60035号公報、米国特許第4444591号明細書、米国特許第4515971号明細書、米国特許第4341403号明細書、米国特許第3560229号明細書、米国特許第4436920号明細書、米国特許第4390616号明細書、米国特許第4775656号明細書、米国特許第3514310号明細書、米国特許第2417897号明細書、米国特許第2548366号明細書、米国特許第2505472号明細書、米国特許第4220356号明細書、米国特許第4057562号明細書、米国特許第4316036号明細書、米国特許第4505093号明細書、米国特許第4562449号明細書、米国特許第3873573号明細書、米国特許第4119777号明細書、米国特許第4795736号明細書、米国特許第4794069号明細書、米国特許第3787412号明細書、米国特許第4820841号明細書、米国特許第4598150号明細書、米国特許第4446321号明細書、英国特許第1339316号明細書、英国特許第1160940号明細書、欧州特許第433024号公報等の公知文献にて開示されている材料を用いることができる。
本発明の感エネルギー線発色性組成物には、高分子バインダーをさらに添加して用いることが好ましい。その様な高分子バインダーには特に制限はなく、本発明の感エネルギー線酸発生剤(A)、色素前駆体(D)との相溶性を有し、かつ適当な溶媒によって溶解され塗布可能であり、また望ましくは熱可塑性の高分子化合物であれば特に問題はないが、色素前駆体(D)の発色を誘起しうるカルボキシル基、スルホン酸基、フェノール性水酸基、シラノール基などの残基を有しない高分子化合物が好ましい。これら官能基の最低含有量については、適宜選択することが望まれる。
具体的な高分子バインダーの例としては、ポリスチレン、スチレン/アクリル酸エステル共重合体、スチレン/メタクリル酸エステル共重合体、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチルなどのポリアクリル酸エステル類、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチルなどのポリメタクリル酸エステル類、ポリ酢酸ビニル、エチレン/酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、ビスフェノールA(または、テトラブロモビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど)型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、セルロースアセテート、セルロースアセテートサクシネート、メチルセルロース、エチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂などを挙げることができる。
本発明を利用した感エネルギー線発色性組成物は、感エネルギー線酸発生剤(A)を使用することにより十分な感度を有しているが、他の酸発生剤や増感剤を併用して用いることも可能である。そのような、他の酸発生剤や増感剤としては、本発明の感エネルギー線硬化性組成物の項で説明した材料と同様のものを挙げることができる。
この様にして得られた感エネルギー線発色性組成物を、シート状基材の上に膜形成された感エネルギー線発色性組成物とするに当たっては、該組成物を溶媒に溶解して基材上に塗布する方法をとることができる。ここで使用する溶媒としては、特に限定はないが、例えばMEK、MIBK、シクロヘキサノン、シクロペンタノンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸アミル(またはイソアミル)、酢酸ブチルなどの酢酸エステル系溶媒、乳酸メチル、乳酸エチルなどの乳酸エステル類、1,1,2,2−テトラクロロエタン、エチレンジクロライドなどのハロゲン系溶媒、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエ一テルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエ一テルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエ一テルなどのグリコール誘導体系溶媒、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒、N,N一ジメチルホルムアミド、N,N一ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどが好ましく、これらの溶媒を単独あるいは混合して使用する。また、一旦基材上に形成した該組成物を、熱転写方式などにより他の基材に転写して発色性組成物を作成する方法も選択できる。
またさらに、上記溶媒に界面活性剤、ハレーション防止剤、帯電防止剤、レベリング剤、消泡剤などの添加剤を適宜混合して使用することも可能である。
上記の感エネルギー線発色性組成物の配合比に特に制限はないが、好ましくは、該組成物中、感エネルギー線酸発生剤(A)の含有率は0.1〜40重量%の範囲、色素前駆体(D)の含有率は0.1〜40重量%の範囲、また高分子バインダーを使用するに当たっては、その含有率を10〜95重量%の範囲で配合することができる。特に色素前駆体(D)の含有率は、最大発色濃度が、光学濃度(Optical Density)で少なくとも0.5以上、より好ましくは1.0以上になるように調整することにより、視認性が高まるために望ましい。
この様にして調製した、本発明の感エネルギー線発色性組成物を含む溶液は、ロールコーター、スピンコーター、グラビアコーター、コンマコーター、バーコーター、カーテンコーター、ダイコーター、インクジェットプリンターなどを用いてシート状基材上に塗布され、これを乾燥することによって皮膜を形成することができる。シート状基材として、本発明で用いられるものに制限はないが、紙、不織布、布地、多孔質ガラスシートなどの多孔質性基材、あるいは合成紙、コート紙、高分子フィルム、金属箔などの基材等を使用することが可能である。これらの基材は単独でも良いし、積層された複合基材の形態でも使用できる。また、この様にして形成された感エネルギー線発色性組成物層の皮膜を保護する目的で、さらに高分子フィルムなどの保護膜を設けることも可能である。
以上の様にして作成された本発明の感エネルギー線発色性組成物は、所定のマスク(ネガマスク)を通してエネルギー線を照射したり、あるいはレーザー光(あるいは電子線ビーム)を用いて直接描画することにより、部分的に発色させ、迅速に高い発色濃度を有する良好なパターン画像を得ることができる。また、酸発生剤(A)から発生した酸を十分拡散させ、色素前駆体(D)との反応を促進するために、エネルギー線の照射と同時、あるいはエネルギー線照射後に加熱することも可能である。
本発明の感エネルギー線発色性組成物を発色させるために使用するエネルギー線源は特に限定はされないが、先に述べた感エネルギー線硬化性組成物および感エネルギー線ポジ型レジスト組成物の説明で列挙したものと同様のエネルギー線源を使用することが可能である。
本発明の実施例および比較例に使用した感エネルギー線酸発生剤および増感剤の構造を以下に示した。
Figure 2005075945
Figure 2005075945
Figure 2005075945
Figure 2005075945
(合成例1)
化合物(2)の合成
p−(フェニルチオ)アセトフェノンの合成
ジフェニルスルフィド50.0gを二硫化炭素70mlに溶解し、さらに塩化アルミニウム35.2gを添加して0℃にて攪拌下、アセチルクロライド20.95gを二硫化炭素30mlに溶解した溶液を30分かけて添加した。添加終了後、25℃で4時間攪拌した。反応液を氷水500gにあけ、ジエチルエーテルにて抽出した。有機層を硫酸マグネシウムにて乾燥し、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、得られた固体をメタノールから再結晶し、p−(フェニルチオ)アセトフェノンを37.3g得た(収率61%)。
p−(フェニルチオ)フェナシルブロマイドの合成
p−(フェニルチオ)アセトフェノン20.0gをジクロロメタン500mlとメタノール100mlの混合溶媒に溶解し、テトラブチルアンモニウムトリブロマイドを41.4g添加し、室温にて3時間攪拌した。この溶液の溶媒を溜去して、得られた固体を水−エーテルにて抽出洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムにて乾燥した後、溶媒を溜去して、黄色油状物を得た。この油状物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、クロロホルム−ヘキサン混合溶媒にて展開)にて精製することにより、p−(フェニルチオ)フェナシルブロマイドを24.8g得た(収率92%)。
ジメチル((p−フェニルチオ)フェナシル)スルホニウム・ブロマイドの合成
p−(フェニルチオ)フェナシルブロマイド24.8gをジクロロメタン200mlに溶解して、ジメチルスルフィド10.1gを添加し、室温にて24時間攪拌した。この溶液にジエチルエーテル100ml添加し、溶液中に析出した結晶をろ過し、得られた結晶をジエチルエーテルにて洗浄した後、乾燥し、白色結晶としてジメチル((p−フェニルチオ)フェナシル)スルホニウム・ブロマイド24.9gを得た(収率83%)。
ジメチル((p−フェニルチオ)フェナシル)スルホニウム・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(化合物(2))の合成
ジメチル((p−フェニルチオ)フェナシル)スルホニウム・ブロマイド24.9gをイオン交換水3000mlに溶解し、ナトリウム・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート水溶液(重量濃度4.00%)1151gを室温にて40分かけて滴下した。析出物を酢酸エチル600mlにて抽出し、硫酸マグネシウムにて乾燥した後、溶媒を溜去して淡黄色の油状物を得た。この油状物をジクロロメタン200mlに溶解し、0℃にてヘキサン1000mlを2時間かけて滴下して、生成した析出物をろ過し、ヘキサンで洗浄後、乾燥して、ジメチル((p−フェニルチオ)フェナシル)スルホニウム・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(化合物(2))を淡黄色固体として49.1g得た(収率77%)。
(合成例2)
化合物(4)の合成
ジメチル((p−フェニルチオ)フェナシル)スルホニウム・ヘキサフルオロホスファート(化合物(4))の合成
遮光下、化合物(2)の合成の項で合成したp−(フェニルチオ)フェナシルブロマイド10.0gをアセトン50mlに溶解し、ジメチルスルフィド4.0gを添加し0℃に冷却した。0℃のまま、この溶液に、AgPF6(ヘキサフルオロホスファートの銀塩)8.0gをアセトン100mlに加えた溶液を1時間かけて滴下し、室温まで昇温後、24時間遮光のまま攪拌した。生成した固体をろ過により除去し、得られた溶液の溶媒を溜去して固体を得た。この固体をアセトン−ヘキサンにて再沈し、白色結晶としてジメチル((p−フェニルチオ)フェナシル)スルホニウム・ヘキサフルオロホスファート(化合物(4))を8.9g得た(収率63%)。
(合成例3)
化合物(5)の合成
ジメチル((p−フェニルチオ)フェナシル)スルホニウム・ヘキサフルオロアンチモネート(化合物(5))の合成
遮光下、化合物(2)の合成の項で合成したp−(フェニルチオ)フェナシルブロマイド10.0gをアセトン50mlに溶解し、ジメチルスルフィド4.0gを添加し0℃に冷却した。0℃のまま、この溶液に、AgSbF6(ヘキサフルオロアンチモネートの銀塩)をアセトン100mlに加えた溶液を1時間かけて滴下し、室温まで昇温後、24時間遮光のまま攪拌した。生成した固体をろ過により除去し、得られた溶液の溶媒を溜去して固体を得た。この固体をアセトン−ヘキサンにて再沈し、白色結晶としてジメチル((p−フェニルチオ)フェナシル)スルホニウム・ヘキサフルオロアンチモネート(化合物(5))を9.4g得た(収率55%)。
(合成例4)
化合物(7)の合成
ジメチル(p−(フェニルチオ)フェナシル)スルホニウム・パーフルオロブタンスルホネート(化合物(7))の合成
化合物(2)の合成の項で合成したジメチル(p−(フェニルチオ)フェナシル)スルホニウム・ブロマイド15.0gをイオン交換水2500mlに溶解し、室温にて攪拌下、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム13.6gをイオン交換水300mlに溶解した溶液を30分かけて滴下した。滴下終了後の溶液を室温にてさらに6時間攪拌し、析出した結晶をろ過してイオン交換水でよく洗浄した。この結晶をメチルイソブチルケトン500mlに溶解し、イオン交換水に抽出洗浄後、有機層を硫酸マグネシウムにて乾燥し、乾燥剤を除去後、ヘキサン2000mlを室温にて滴下し、得られた結晶をろ過し、ヘキサンで洗浄して乾燥することにより、ジメチル(p−(フェニルチオ)フェナシル)スルホニウム・パーフルオロブタンスルホネート(化合物(7))を12.4g得た(収率52%)。
(合成例5)
ジメチル(p−(メチルチオ)フェナシル)スルホニウム・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(化合物(10))の合成
(合成例1)の出発原料であるジフェニルスルフィドをメチルフェニルスルフィドに置き替えた他は(合成例1)とほぼ同様の方法で、p−(メチルチオ)フェナシルブロマイドを良好な収率で得ることができた。このp−(メチルチオ)フェナシルブロマイド10.0gをジクロロメタン100mlに溶解した後、ジメチルスルフィド5.1gを添加して室温にて24時間攪拌した。生成した結晶をろ過し、ジクロロメタンにて洗浄して乾燥することにより、ジメチル(p−(メチルチオ)フェナシル)スルホニウム・ブロマイド7.5gを得た(収率60%)。
このジメチル(p−(メチルチオ)フェナシル)スルホニウム・ブロマイド7.5gをイオン交換水350mlに溶解し、ナトリウム・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート水溶液(重量濃度4.00%)415gを室温にて40分かけて滴下した。析出物をジクロロメタン500mlにて抽出し、この有機層をさらにイオン交換水で抽出洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムにて乾燥して乾燥剤をろ過した後、ヘキサン1000mlを室温にて滴下して白色結晶を得た。この結晶をろ過し、ヘキサンで洗浄後、乾燥し、白色結晶としてジメチル(p−(メチルチオ)フェナシル)スルホニウム・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(化合物(10))を16.2g得た(収率73%)。
(合成例6から合成例10)
上記した合成例1から合成例5の方法を応用することにより、本発明の感エネルギー線酸発生剤である化合物(6)、化合物(8)、化合物(9)、化合物(11)、化合物(12)も得ることができた。上記合成例1から合成例10で合成した本発明の感エネルギー線酸発生剤の元素分析の結果を表1として示した。
Figure 2005075945
(実施例1)
感エネルギー線酸発生剤(A)として化合物(2)を0.6mmol、酸硬化性化合物(B)として3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ダウ・ケミカル日本株式会社製、脂環式エポキシモノマー、製品名UVR−6110)を10gからなる感エネルギー線酸硬化性組成物をドクターブレードを用いて約10μmの厚みでアルミ板上に塗布し、メタルハライドランプを使用した光照射装置(3kW、2灯)にて15m/minのコンベア速度でエネルギー線を照射したところ、タックフリーの良好な硬化膜が得られた。
(実施例2から実施例7、比較例1から比較例7)
実施例1の感エネルギー線酸発生剤(A)0.6mmolを、表2に示した酸発生剤それぞれ0.6mmolに置き替えた他は、実施例1と全く同一の所作にて光照射を実施し、光照射後の膜のタックを評価した。タックは3段階にて評価し、表2に併せて示した。
Figure 2005075945
(実施例8)
感エネルギー線酸発生剤(A)として化合物(2)を0.08mmol、酸硬化性化合物(B)として3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ダウ・ケミカル日本株式会社製、脂環式エポキシモノマー、製品名UVR−6110)を1g、バインダー樹脂としてポリメチルメタクリレート(Aldrich社製試薬、分子量c.a.996000)1g、溶剤としてシクロヘキサノン16g、増感剤0mmol(無添加)からなる均一な塗液を調整し、この塗液を#600にて研磨したステンレス板上にスピンコーターにて塗布した後、40℃のオーブン中で15分間加熱して溶媒を除去し2μmの膜厚の塗工膜を形成した。この塗工膜にウシオ電気株式会社製の水銀−キセノンランプUXM−200YAの光を365nmの光のみを選択的に透過するバンドパスフィルターおよび光量調節のためのNDフィルターを介して6mW/cm2の強度にて照射した。この光照射の間、反射式のIR(サーモニコレー社製 Magna560FTIR、ラピッドスキャンモード)を使用して、ステンレス板上の塗工膜のエポキシ基の特性吸収に相当する789cm-1の吸収強度をモニターした。この吸収強度の経時変化から、光照射前の上記特性吸収の強度を基準とした場合のエポキシモノマーの消費率を算出したところ、光照射10秒後ではエポキシモノマー消費率7%、光照射30秒後では同32%の消費率であった。
(実施例9から実施例14、および比較例8から比較例21)
実施例8における感エネルギー線酸発生剤(A)0.08mmolを表3に示した酸発生剤0.08mmol、増感剤を表3に示した化合物および添加量に置き替えた他は実施例8と全く同一の操作にて実験を行い、エポキシモノマーの消費率を算出した。結果も表3に併せて示した。
Figure 2005075945
(実施例15)
酸を触媒とする反応によりアルカリ現像液に対する溶解性が増加する化合物(C)としてポリ−p−ヒドロキシスチレン(分子量8000)中のフェノール水酸基の74%を1−エトキシエチル基で保護(アセタール化)した樹脂1g、感エネルギー線酸発生剤(A)として化合物(2)を0.05mmol、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)9gを均一になるまで混合し、ポジ型レジスト用の塗液を調整した。この塗液を#600にて研磨したステンレス板上にスピンコーターを用いて塗布し、90℃のホットプレート上で90秒間加熱して、0.5μmの膜を形成した。この塗工膜にウシオ電気株式会社製の水銀−キセノンランプUXM−200YAの光を365nmの光のみを選択的に透過するバンドパスフィルターおよび光量調節のためのNDフィルターを介して照射した。光照射の間、反射式のIR(サーモニコレー社製 Magna560FTIR、ラピッドスキャンモード)を使用して、この光照射により発生した酸によるアセタール基の脱保護反応の進行を、ステンレス板上の塗工膜のアセタール基の特性吸収に相当する947cm-1の減衰としてモニターした。この特性吸収強度の経時変化から、光照射前の上記特性吸収の強度を基準とした場合のアセタール基の脱保護率を算出したところ、光照射10秒後ではアセタール基の脱保護率12%、光照射30秒後では同49%の脱保護率であった。
(実施例16から実施例24、および比較例22から比較例31)
実施例15における感エネルギー線酸発生剤(A)0.05mmolを表4に示した酸発生剤0.05mmolに置き換えた他は実施例15と全く同一の操作で実験をおこない、アセタール基の脱保護率を評価した。結果を表4に示した。
Figure 2005075945
(実施例25)
感エネルギー線酸発生剤(A)として化合物(2)を0.08mmol、増感剤を0mmol(無添加)、酸硬化性化合物(B)として3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ダウ・ケミカル日本株式会社製、脂環式エポキシモノマー、製品名UVR−6110)を1g、バインダー樹脂としてポリメチルメタクリレート(Aldrich社製試薬、分子量c.a.996000)1g、溶剤としてシクロヘキサノン16gからなる均一な塗液を調整した。この塗液をガラス板上にスピンコーターにて、塗工して40℃で10分間乾燥し、1.5μmの膜厚の塗工膜を形成した。この塗工膜上に21√2ステップタブレット(大日本スクリーン社製グレイスケールフィルム)を置き、ウシオ電機社製500mWの高圧水銀ランプの光を熱線カットフィルターを介して30秒間露光した後、トルエン中に60秒間含浸させて現像処理を行い、ステップタブレットに対応した完全に硬化して不溶化した段数を感度として評価したところ、感度は14段であった。
(実施例26から実施例31および比較例32から比較例45)
実施例25の感エネルギー線酸発生剤(A)0.08mmolを表5に示した酸発生剤0.08mmol、増感剤を表5に示した化合物および添加量に置き替えた他は実施例25と全く同一の操作で感度段数を評価した。実験結果も併せて表5に示した。
Figure 2005075945
(実施例32)
感エネルギー線酸発生剤(A)として化合物(2)を0.04mmol、増感剤を0mmol(無添加)、酸により発色する色素前駆体(D)としてクリスタルバイオレットラクトン0.04mmol、バインダーとしてポリメチルメタクリレート(Aldrich社製試薬、分子量c.a.996000)1g、溶剤としてシクロヘキサノン9gを混合し均一な塗液を調製した。この塗液をガラス板上スピンコーターにて塗工して40℃で15分間乾燥して、6μmの膜厚の塗工膜を形成した。この塗工膜に対して、ウシオ電気株式会社製の水銀−キセノンランプUXM−200YAの光を365nmの光のみを選択的に透過するバンドパスフィルターおよび光量調節のためのNDフィルターを介して54mW/cm2の強度にて3秒間照射したところ、光照射された部分に青色の発色が認められた。光照射後の塗工膜の吸収スペクトルを測定し、発色した色素の吸収極大波長に相当する608nmの吸光度を測定したところ、吸光度は0.11であった。
(実施例33から実施例38および比較例46から比較例59)
実施例32における感エネルギー線酸発生剤(A)0.04mmolを表6に示した酸発生剤0.04mmolに、増感剤を表6に示した化合物および添加量に変更した他は、実施例32と全く同一の実験をおこない、光照射後の608nmにおける色素の発色濃度を評価した。結果を表6に示した。
Figure 2005075945
本発明はエネルギー線の照射、特に300から450nmの光の照射に対して非常に高感度な酸発生剤として機能する感エネルギー線酸発生剤を提供するものである。従って本発明の酸発生剤は、従来より用いられてきたエネルギー線の照射により発生する酸を触媒とした重合、架橋、分解、発色反応などを迅速かつ確実に進行させることができ、その結果として各種用途のエネルギー線に対する高感度化、あるいは反応が十分進行することによる各種用途の特性向上等が期待できる。本発明により、高感度化や特性向上が期待できる用途の例としては、重合あるいは架橋反応を利用した成形樹脂、注型樹脂、光造形用樹脂、封止剤、歯科用重合材料、印刷インキ、塗料、印刷版用感光性樹脂、印刷用カラープルーフ、カラーフィルター用レジスト、ブラックマトリクス用レジスト、プリント基板用レジスト、半導体製造用レジスト、マイクロエレクトロニクス用レジスト、マイクロマシン用部品製造用レジスト、絶縁材、ホログラム材料、導波路用材料、オーバーコート剤、接着剤、粘着剤、粘接着剤、剥離コート剤等、あるいは発生した酸を触媒とする色素前駆体の発色反応を利用した画像形成方法、偽造防止方法、エネルギー線量検出方法など、さらには、発生した酸を触媒とする分解反応を利用した半導体製造用、TFT製造用、カラーフィルター製造用、マイクロマシン部品製造用等のポジ型レジスト材料等が挙げられる。
化合物(2)、化合物(3)の吸収スペクトル(アセトニトリル、10-5M)

Claims (7)

  1. 下記一般式(1)で表記される感エネルギー線酸発生剤。
    一般式(1)
    Figure 2005075945
    (ただし、R01、R02、R03、R04およびR05は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アシル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、ハロゲン原子または−SR31を表すが、少なくとも1つは−SR31である。
    31はアルキル基またはアリール基を表す。
    11およびR12は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシル基またはアルケニル基を表す。
    21およびR22は、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基またはアルケニル基を表す。ただし、R01、R02、R03、R04、R05、R12、R22、R21およびR11は、一体となって、環を形成してもよい。
    -は任意のアニオンを表す。)
  2. 03が、−SR31である請求項1記載の感エネルギー線酸発生剤。
  3. 01、R02、R04およびR05が、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アシル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、またはハロゲン原子である請求項2記載の感エネルギー線酸発生剤。
  4. アニオンX-が、下記一般式(2)で表記されるボレートである請求項1〜3いずれか記載の感エネルギー線酸発生剤。
    一般式(2)
    Figure 2005075945
    (ただし、Yはフッ素または塩素原子、
    Zは、フッ素原子、シアノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基の中から選ばれる基で2つ以上置換されたフェニル基、
    mは0から3の整数、nは1から4の整数を表し、m+n=4である。)
  5. 請求項1〜4いずれかに記載の感エネルギー線酸発生剤に300nmから450nmの波長領域の光を照射して酸を発生させる、酸の発生方法。
  6. 請求項1〜4いずれかに記載の感エネルギー線酸発生剤(A)と、酸硬化性化合物(B)とを含む感エネルギー線硬化性組成物。
  7. 請求項6記載の感エネルギー線硬化性組成物に300nmから450nmの波長領域の光を含むエネルギー線を照射して硬化させる、硬化物の製造方法。
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