JP2005068553A - 熱処理装置及び鋼材の製造方法 - Google Patents

熱処理装置及び鋼材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 鋼材の表面温度、内部温度を精度よく目標に一致させ、鋼材が目的の性質をもつような熱処理を行うことができる熱処理装置及び鋼材の製造方法を提供する。
【解決手段】 誘導加熱装置(6)と、矯正装置(5)と、鋼材のサイズ・搬送速度・加熱目標温度・加熱前の鋼材の予定温度とに基づいて誘導加熱装置に供給する電力を演算する演算装置(14)と、演算された電力を供給する電源装置(12)とを有する熱処理装置であって、演算装置は、加熱中の鋼材の表面温度が第1の目標温度以下で、加熱終了時の鋼材厚み方向内部の所定位置における温度と第2の目標温度との差が所定範囲内になるように加熱するための電力、または加熱終了時の鋼材の表面温度が第3の目標温度以上となり、加熱中の鋼材厚み方向内部の所定位置における温度が第4の目標温度以下となるように加熱するための電力を演算する。
【選択図】 図7

Description

本発明は、誘導加熱装置を用いて鋼材を熱処理する技術に関する。
鉄鋼プロセスにおいては、製品となる鋼材の強度、靭性等の性質を向上させ、より強く粘り強い鋼材を製造するため、焼き入れ、焼き戻し、焼きなまし等さまざまな熱処理が行われている。これらの熱処理は一般的に加熱過程と冷却過程に分けられる。このうち加熱過程では鋼材の成分に応じた変態点温度が基準となる。例えば、焼入れの場合は変態点よりも高温に加熱し、焼き戻しおよび焼きなましでは変態点に達しないように加熱を行わねばならない。
よって、熱処理の目的に応じて精度良く加熱することが必要である。また、同一部材内での品質のばらつきを抑えるためには、鋼材の内部にわたり均一に加熱する必要がある。この熱処理方法を均一加熱という。
また、一般に製造されている焼入れ、焼き戻しの熱処理を施された鋼材は、主に表面から冷却を受けるため、表面の硬度が内部に比べて高くなりがちである。このような板厚方向の硬度分布を持った鋼材は、腐食環境に弱く、石油、天然ガスのパイプライン等に使用されると硫化水素による応力腐食割れ(HIC)を起こしやすいことがわかっている。
そこで、表層部を高温で加熱することにより軟化させ、表層部と内部の硬度差を少なくする処理が行われることもある。この熱処理方法を表層加熱という。
従来、これらの加熱条件を実現する加熱方法として、誘導加熱装置を用い、鋼材を誘導加熱炉内で昇温させる加熱段階と、加熱段階よりも周波数を高くし、かつ投入電力を下げて加熱する均熱段階との間に、加熱段階での誘導加熱と同一の周波数で、かつ加熱段階よりも投入電力を下げて誘導加熱する準加熱段階を設ける誘導加熱方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平9−170021号公報
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、加熱時間が数十分を要するため効率的ではない。また、鋼材の加熱途中において誘導加熱装置の周波数を変更するものであるため、周波数を切り替える機構を装備する必要がある。従って装置が高価になり、さらに装置の構造が複雑になる。また、鋼材を加熱するための投入電力計算において、精度良い温度制御を実現する上で必要な要素である鋼材内部における誘導電流分布、大気による抜熱、加熱装置の効率、鋼材の比熱等が考慮されていない。
そのため、誘導加熱装置を用いた圧延ライン上での熱処理のアイデアは従来から存在していたが、実用化には至らなかった。この理由には、誘導加熱能力の不足などのハード面の問題以外にも、熱処理方法を具体的にどのように問題を解けばよいのかという問題解決手法等のソフト面での問題もあった。熱処理を行うためには、長手方向・厚み方向で温度差をつけないで均一に加熱することが必要となる。このためには、誘導加熱時の鋼材の内部温度を精度よく推定する必要があり、この温度推定モデルを用いて加熱のための電力を求める必要がある。さらには、加熱前の温度により加熱時の電力も異なるため、これらの処理をオンラインで行う必要がある。しかしながら、これらの問題に対して明確な解答を与えるような、電力の計算方法や搬送速度の決め方について検討した文献はほとんどなかった。
本発明は係る事情に鑑みてなされたものであって、鋼材の表面温度、内部温度を精度よく目標に一致させ、鋼材が目的の性質をもつような熱処理を行うことができる熱処理装置及び鋼材の製造方法を提供することにある。特に、上記問題を解決するために、計算処理の負荷をかけずに、熱処理能率に影響を与えないようにしたものである。
本発明に係る請求項1に記載の熱処理装置は、鋼材の圧延ライン上に設置され、圧延された前記鋼材を急速に冷却する加速冷却装置の後段に配された複数台の誘導加熱装置と、前記鋼材を矯正するための矯正装置と、前記圧延ライン上に設置され前記鋼材の温度を検出する少なくとも1つの温度検出器と、前記鋼材のサイズと、前記鋼材の搬送速度と、前記鋼材の加熱目標温度と、前記誘導加熱装置の前段における前記鋼材の前記温度検出器で測定した実測温度とに基づいて、前記誘導加熱装置に供給する供給予定電力を演算する演算装置と、前記演算装置により演算された供給予定電力を前記誘導加熱装置に供給する電源装置とを有し、前記演算装置は、前記誘導加熱装置による加熱中の前記鋼材の表面温度が第1の目標温度以下で、加熱終了時の鋼材厚み方向内部の所定位置における温度と第2の目標温度との差が所定範囲内になるように加熱するために前記誘導加熱装置に供給する供給予定電力、または前記誘導加熱装置による加熱終了時の前記鋼材の表面温度が第3の目標温度以上となり、加熱中の鋼材厚み方向内部の所定位置における温度が第4の目標温度以下となるように加熱するために前記誘導加熱装置に供給する供給予定電力を演算する。
また本発明に係る請求項2に記載の熱処理装置は、上記記載の発明である熱処理装置において、前記演算装置は、前記搬送速度と前記温度検出器で測定した鋼材温度に基づいて加熱後の鋼材温度を推定する推定手段と、推定した鋼材温度が所定温度範囲内にない場合には、前記搬送速度を変更して前記推定手段を繰り返えして実行させる繰り返し手段と、推定した鋼材温度が所定温度範囲内にある場合には、該搬送速度に基づいて前記鋼材を目標温度に加熱するために前記誘導加熱装置に供給する供給予定電力を演算する電力演算手段とを有する。
また本発明に係る請求項3に記載の熱処理装置は、上記記載の発明である熱処理装置において、前記演算装置は、前記鋼材の搬送速度と前記供給予定電力を含むデータから誘導加熱後における前記鋼材の表面温度と厚み方向の内部温度とを推定する温度推定手段と、前記鋼材の表面温度と厚み方向の内部温度とが所定の温度条件に適合するかどうかを判定する適合判定手段と、前記温度条件に適合しない場合は、前記供給予定電力を修正して前記温度推定手段と前記適合判定手段とを繰り返して実行する判定処理手段と、前記温度条件に適合する場合は、その演算に用いられた供給予定電力を前記誘導加熱装置に供給する電力とする電力決定手段とを有する。
また本発明に係る請求項4に記載の熱処理装置は、上記記載の発明である熱処理装置において、前記演算装置は、前記鋼材の搬送速度と前記供給予定電力を含むデータから誘導加熱後における前記鋼材の表面温度と厚み方向の内部温度とを推定する温度推定手段と、前記鋼材の表面温度と厚み方向の内部温度とが所定の温度条件に適合するかどうかを判定する適合判定手段と、前記温度条件に適合しない場合は、前記供給予定電力を修正して前記温度推定手段と前記適合判定手段とを繰り返して実行する判定処理手段と、前記温度条件に適合する場合は、その演算に用いられた供給予定電力に基づいて、前記鋼材の加熱に使用されるそれぞれの誘導加熱装置の電力量の合計値が所定の値以下である電力条件に適合するかどうかを判定する電力量判定手段と、前記電力条件に適合する場合は、その演算に用いられた供給予定電力を前記誘導加熱装置に供給する電力とする電力決定手段とを有する。
また本発明に係る請求項5に記載の熱処理装置は、上記記載の発明である熱処理装置において、前記演算装置は、前記鋼材の搬送速度と前記供給予定電力を含むデータから誘導加熱後における前記鋼材の表面温度と厚み方向の内部温度とを推定する温度推定手段と、前記鋼材の表面温度と厚み方向の内部温度とが所定の温度条件に適合するかどうかを判定する適合判定手段と、前記温度条件に適合する供給予定電力の内、前記鋼材の加熱に使用されるそれぞれの誘導加熱装置の電力量の合計値が最小になる供給予定電力を前記誘導加熱装置に供給する電力とする電力決定手段とを有する。
また本発明に係る請求項6に記載の熱処理装置は、上記記載の発明である熱処理装置において、前記演算装置は、前記誘導加熱装置による加熱後の前記鋼材の厚み方向の温度分布を推定する温度分布推定手段を更に備える。
また本発明に係る請求項7に記載の熱処理装置は、上記記載の発明である熱処理装置において、前記温度分布推定手段は、前記鋼材の搬送速度に基づいて、前記誘導加熱装置内における前記鋼材の厚み方向の誘導電流分布を求めて前記鋼材内部の発生熱量を算出する発生熱量算出手段と、前記誘導加熱装置外における前記鋼材から大気への放散熱量を算出する放散熱量算出手段と、前記発生熱量と前記放散熱量とを境界条件として前記鋼材の内部への熱伝導を演算して前記鋼材の表面温度と厚み方向の内部温度とを推定する温度演算手段とを有する。
また本発明に係る請求項8に記載の熱処理装置は、上記記載の発明である熱処理装置において、前記温度分布推定手段は、矯正装置による前記鋼材の厚み方向の温度降下量を推定する冷却温度推定手段を有する。
また本発明に係る請求項9に記載の熱処理装置は、上記記載の発明である熱処理装置において、前記演算装置は、前記鋼材の長手方向の各位置に対応して前記鋼材の加熱に使用された加熱電力と前記鋼材の温度検出値との履歴を管理する加熱履歴管理手段を更に有する。
また本発明に係る請求項10に記載の熱処理装置は、上記記載の発明である熱処理装置において、初段の誘導加熱装置の入り側に設けられた前記温度検出器で検出された前記鋼材の先頭部分の温度と後端部分の実測温度または推定温度と前記鋼材の搬送速度とに基づいて、前記鋼材の先頭部分と後端部分についてそれぞれの誘導加熱装置毎の加熱目標温度を算出する目標温度算出手段と、前記鋼材の先頭部分と後端部分においては、前記加熱目標温度に基づいてそれぞれの誘導加熱装置に供給する電力を算出し、前記鋼材の先頭部分と後端部分の移動に合わせて前記電力を制御して前記電源装置に供給する電力供給手段と、前記鋼材の先頭部分と後端部分に挟まれた中間部分においては、前記鋼材の先頭部分の実測温度と、後端部分の実測温度または推定温度と、当該中間部分の実測温度または推定温度とに基づいて、前記鋼材の先頭部分と後端部分の誘導加熱装置毎の加熱目標温度を補正して前記中間部分の誘導加熱装置毎の加熱目標温度を算出する中間部分目標温度算出手段と、前記中間部分の誘導加熱装置毎の加熱目標温度に基づいてそれぞれの誘導加熱装置に供給する中間電力を算出し、前記鋼材の中間部分の移動に合わせて前記中間電力を制御して前記電源装置に供給する中間電力制御手段とを備える。
また本発明に係る請求項11に記載の熱処理装置は、上記記載の発明である熱処理装置において、少なくとも1つの前記誘導加熱装置の前後に前記温度検出器を有し、前記演算装置は、前記誘導加熱装置に供給した電力と前記温度検出器で測定した前記鋼材の上昇温度とに基づいて前記誘導加熱装置の加熱効率を推定する加熱効率推定手段と、次に熱処理予定の前記鋼材に対して求めた電力を前記加熱効率を用いて補正演算する補正演算手段と
を有する。
また本発明に係る請求項12に記載の熱処理装置は、上記記載の発明である熱処理装置において、前記演算装置は、前記圧延ラインにおける前記鋼材の大気への放散熱量を実績温度によって修正する温度降下量修正手段と、次に熱処理予定の前記鋼材に対して、前記修正された放散熱量によって推定された温度降下量に基づいて、前記鋼材を目標温度に加熱するための供給予定電力を演算する冷却補正電力演算手段と有する。
また本発明に係る請求項13に記載の熱処理装置は、上記記載の発明である熱処理装置において、前記演算装置は、前記圧延ラインにおける前記鋼材の前記矯正装置による温度降下量を、前記矯正装置の前後に設置された温度検出器によって測定された実測温度によって修正する温度降下量修正手段と、次に熱処理予定の前記鋼材に対して、前記修正された矯正装置での温度降下量に基づいて、前記鋼材を目標温度に加熱するための供給予定電力を演算する冷却補正電力演算手段とを有する。
また本発明に係る請求項14に記載の熱処理装置は、上記記載の発明である熱処理装置において、前記誘導加熱装置間に前記温度検出器を少なくとも1つ有し、前記温度検出器で測定した鋼材温度と、予め与えられたその位置での目標温度との差に基づいて前段の誘導加熱装置に供給する電力を制御するフィードバック制御手段と、前記温度検出器で測定した鋼材温度と、予め与えられたその位置での目標温度との差に基づいて後段の誘導加熱装置に供給する電力を制御するフィードフォワード制御手段とを更に備えた。
また本発明に係る請求項15に記載の熱処理装置は、上記記載の発明である熱処理装置において、前記鋼材の長手方向の各位置に対応して前記温度検出器で測定した鋼材温度と、予め与えられたその位置での目標温度との差に基づいて前段の誘導加熱装置に供給する電力を制御する。
また本発明に係る請求項16に記載の熱処理装置は、上記記載の発明である熱処理装置において、前記フィードフォワード制御手段は、前記鋼材の長手方向の各位置に対応して前記温度検出器で測定した鋼材温度と、予め与えられたその位置での目標温度との差に基づいて後段の誘導加熱装置に供給する加熱電力を制御する。
また本発明に係る請求項17に記載の熱処理装置は、鋼材を加熱する複数台の誘導加熱装置と、前記鋼材を矯正するための矯正装置と、前記鋼材のサイズと、前記鋼材の搬送速度と、前記鋼材の加熱目標温度と、前記誘導加熱装置の前段における前記鋼材の予定温度とに基づいて、前記誘導加熱装置に供給する供給予定電力を演算する演算装置と、前記演算装置により演算された供給予定電力を前記誘導加熱装置に供給する電源装置とを有し、前記演算装置は、前記誘導加熱装置による加熱中の前記鋼材の表面温度が第1の目標温度以下で、加熱終了時の鋼材厚み方向内部の所定位置における温度と第2の目標温度との差が所定範囲内になるように加熱するために前記誘導加熱装置に供給する供給予定電力、または前記誘導加熱装置による加熱終了時の前記鋼材の表面温度が第3の目標温度以上となり、加熱中の鋼材厚み方向内部の所定位置における温度が第4の目標温度以下となるように加熱するために前記誘導加熱装置に供給する供給予定電力を演算する。
また本発明に係る請求項18に記載の熱処理装置は、上記記載の発明である熱処理装置において、前記誘導加熱装置は、前記鋼材の圧延ライン上に設置されて、圧延後に加速冷却装置によって急速に冷却された前記鋼材を加熱する。
また本発明に係る請求項19に記載の熱処理装置は、上記記載の発明である熱処理装置において、前記鋼材の搬送速度は、前記鋼材のサイズに基づいて予め定められた搬送速度である。
また本発明に係る請求項20に記載の熱処理装置は、上記記載の発明である熱処理装置において、前記演算装置は、前記鋼材の搬送速度と前記供給予定電力を含むデータから誘導加熱後における前記鋼材の表面温度と厚み方向の内部温度とを推定する温度推定手段と、前記鋼材の表面温度と厚み方向の内部温度とが所定の温度条件に適合するかどうかを判定する適合判定手段と、前記温度条件に適合しない場合は、前記供給予定電力を修正して前記温度推定手段と前記適合判定手段とを繰り返して実行する判定処理手段と、前記温度条件に適合する場合は、その演算に用いられた供給予定電力を前記誘導加熱装置に供給する電力とする電力決定手段とを有する。
また本発明に係る請求項21に記載の熱処理装置は、上記記載の発明である熱処理装置において、前記演算装置は、前記鋼材の搬送速度と前記供給予定電力を含むデータから誘導加熱後における前記鋼材の表面温度と厚み方向の内部温度とを推定する温度推定手段と、前記鋼材の表面温度と厚み方向の内部温度とが所定の温度条件に適合するかどうかを判定する適合判定手段と、前記温度条件に適合しない場合は、前記供給予定電力を修正して前記温度推定手段と前記適合判定手段とを繰り返して実行する判定処理手段と、前記温度条件に適合する場合は、その演算に用いられた供給予定電力に基づいて、前記鋼材の加熱に使用されるそれぞれの誘導加熱装置の電力量の合計値が所定の値以下である電力条件に適合するかどうかを判定する電力量判定手段と、前記電力条件に適合する場合は、その演算に用いられた供給予定電力を前記誘導加熱装置に供給する電力とする電力決定手段とを有する。
また本発明に係る請求項22に記載の熱処理装置は、上記記載の発明である熱処理装置において、前記演算装置は、前記鋼材の搬送速度と前記供給予定電力を含むデータから誘導加熱後における前記鋼材の表面温度と厚み方向の内部温度とを推定する温度推定手段と、前記鋼材の表面温度と厚み方向の内部温度とが所定の温度条件に適合するかどうかを判定する適合判定手段と、前記温度条件に適合する供給予定電力の内、前記鋼材の加熱に使用されるそれぞれの誘導加熱装置の電力量の合計値が最小になる供給予定電力を前記誘導加熱装置に供給する電力とする電力決定手段とを有する。
また本発明に係る請求項23に記載の熱処理装置は、上記記載の発明である熱処理装置において、前記演算装置は、前記誘導加熱装置による加熱後の前記鋼材の厚み方向の温度分布を推定する温度分布推定手段を更に備えた。
また本発明に係る請求項24に記載の熱処理装置は、上記記載の発明である熱処理装置において、前記温度分布推定手段は、前記誘導加熱装置内における前記鋼材の厚み方向の誘導電流分布を求めて前記鋼材内部の発生熱量を算出する発生熱量算出手段と、前記誘導加熱装置外における前記鋼材から大気への放散熱量を算出する放散熱量算出手段と、前記発生熱量と前記放散熱量とを境界条件として前記鋼材の内部への熱伝導を演算して前記鋼材の表面温度と厚み方向の内部温度とを推定する温度演算手段とを有する。
また本発明に係る請求項25に記載の熱処理装置は、上記記載の発明である熱処理装置において、前記温度分布推定手段は、矯正装置による前記鋼材の厚み方向の温度降下量を推定する冷却温度推定手段を有する。
また本発明に係る請求項26に記載の熱処理装置は、上記記載の発明である熱処理装置において、前記演算装置は、前記鋼材の長手方向に仮想的に複数の区画に分割し、この区画単位で前記鋼材の加熱に使用された加熱電力と前記鋼材の温度検出値との履歴を管理する加熱履歴管理手段を更に有する。
また本発明に係る請求項27に記載の熱処理装置は、上記記載の発明である熱処理装置において、前記演算装置は、前記鋼材の搬送速度と前記供給予定電力を含むデータから誘導加熱後における前記鋼材の表面温度と厚み方向の内部温度とを推定する温度推定手段と、前記鋼材の表面温度と厚み方向の内部温度とが所定の温度条件に適合するかどうかを判定する適合判定手段と、前記温度条件に適合する供給予定電力の内、前記鋼材の搬送速度が最大になる供給予定電力を前記誘導加熱装置に供給する電力とする電力決定手段とを有する。
また本発明に係る請求項28に記載の熱処理装置は、上記記載の発明である熱処理装置において、前記演算装置は、前記鋼材の搬送速度と前記供給予定電力を含むデータから誘導加熱後における前記鋼材の表面温度と厚み方向の内部温度とを推定する温度推定手段と、前記鋼材の表面温度と厚み方向の内部温度とが所定の温度条件に適合するかどうかを判定する適合判定手段と、前記温度条件に適合しない場合は、前記供給予定電力を修正して前記温度推定手段と前記適合判定手段とを繰り返して実行する判定処理手段と、前記温度条件に適合する場合は、その演算に用いられた供給予定電力に基づいて、前記鋼材の加熱に使用されるそれぞれの誘導加熱装置の電力量の合計値が所定の値以下である電力条件に適合するかどうかを判定する電力判定手段と、前記電力条件に適合する場合は、前記搬送速度を増加した新たな搬送速度を用いて前記温度推定手段、前記適合判定手段、前記判定処理手段、前記電力判定手段を前記温度条件に適合しなくなるまで繰り返して実行し、前記温度条件と前記電力条件に適合する最終の演算に用いられた搬送速度を新たな搬送速度として獲得する搬送速度演算手段とを有する。
また本発明に係る請求項29に記載の熱処理装置は、鋼材の圧延ライン上に設置され、圧延された前記鋼材を急速に冷却する加速冷却装置の後段に配された複数台の誘導加熱装置と、前記鋼材を矯正するための矯正装置と、前記圧延ライン上に設置され前記鋼材の温度を検出する少なくとも1つの温度検出器と、前記鋼材のサイズと、前記鋼材の搬送速度と、前記鋼材の加熱目標温度と、前記誘導加熱装置の前段における前記鋼材の予定温度とに基づいて、前記誘導加熱装置に供給する第1の供給予定電力を演算する第1の演算装置と、前記鋼材のサイズと、前記鋼材の搬送速度と、前記鋼材の加熱目標温度と、前記誘導加熱装置の前段における前記鋼材の前記温度検出器で測定した実測温度とに基づいて、前記誘導加熱装置に供給する第2の供給予定電力を演算する第2の演算装置と、前記鋼材の予定温度と前記鋼材の実績温度との差が所定の範囲内にあれば前記第1の供給予定電力を供給予定電力として選択し、前記鋼材の予定温度と前記鋼材の実績温度との差が所定の範囲内になければ前記第2の供給予定電力を供給予定電力として選択する電力選択装置と、前記電力選択装置により選択された供給予定電力を前記誘導加熱装置に供給する電源装置とを有し、前記第1及び第2の演算装置は、前記誘導加熱装置による加熱中の前記鋼材の表面温度が第1の目標温度以下で、加熱終了時の鋼材厚み方向内部の所定位置における温度と第2の目標温度との差が所定範囲内になるように加熱するために前記誘導加熱装置に供給する供給予定電力、または前記誘導加熱装置による加熱終了時の前記鋼材の表面温度が第3の目標温度以上となり、加熱中の鋼材厚み方向内部の所定位置における温度が第4の目標温度以下となるように加熱するために前記誘導加熱装置に供給する供給予定電力を演算する。
また本発明に係る請求項30に記載の鋼材の製造方法は、上記記載の発明である熱処理装置を用いて、熱処理を行うことによって製造する。
本発明によれば、鋼材の表面温度、内部温度を精度よく目標に一致させ、鋼材が目的の性質をもつような熱処理を行うことができる。また、鋼板長手方向で均一な温度分布を付与することが可能となる。さらに、電力の最小化、搬送速度の最大化を図ることにより、経済的かつ高効率の熱処理を行うことが可能となる。
一般に、鋼材は加熱炉で1200℃前後に加熱された後、圧延機により所定の寸法に熱間圧延される。圧延後、強度、靭性を向上させるために、加速冷却装置によって急速冷却される場合が増えている。急速冷却された鋼板は、必要に応じて、ガス熱処理炉で焼き戻し熱処理された後、切断され出荷される。
図1は、本発明が適用される鋼材の製造ラインの概略構成を示す側面図である。この鋼材製造ラインは、鋼材1を加熱する加熱炉2、粗圧延・仕上げ圧延を行う圧延機3、加速冷却装置4、矯正装置5、誘導加熱装置6及び鋼材1の温度を測定する温度検出器7で構成されている。
この鋼材製造ラインでは、圧延過程と冷却過程の後に、矯正装置5を用いて鋼材1の反りや曲がりを矯正した後、ライン上に設置された誘導加熱装置6で焼き戻し処理を行う。
この鋼材製造ラインでは、従来のオフラインに設置されたガス燃焼炉による熱処理の代わりに、ライン上に設置された誘導加熱装置6を用いて熱処理する。従って、オンラインで焼き入れ処理後に焼き戻し処理を行うことができるため、能率を飛躍的に向上させることができる。また、誘導加熱装置6を使用することにより、ガス燃焼炉を使用した場合に比べて加熱温度の精度を上げることができる。従って、厚み方向の温度分布をも精度良く制御することが可能となる。
誘導加熱装置6は、鋼材1を所定の温度に加熱できる能力を有することが必須である。誘導加熱装置6を用いて圧延ライン上での熱処理を行う場合、誘導加熱装置6の搬送速度制約により熱処理能率が圧延能率に劣り、結果的に生産性が阻害される場合が生じる。そこで、搬送速度を上げるためには誘導加熱装置6の台数を増やす必要があるが、設備が大掛かりになり、設備コストと設置スペースのコストが増えるとともに、消費電力も大きくなり、運転コストも増えて、実機への適用は困難となる。そこで,本願発明では、誘導加熱装置6が少ない台数でも、鋼材1を複数回往復させて加熱することで、圧延能率に劣らず、生産性を阻害しないとともに、コスト抑制を実現する加熱方法を行う。
この場合、圧延を含めた鋼材製造ラインの能率を悪化させることを避けることのみならず、鋼材1の温度制御精度を向上する必要がある。従って、往復回数(パス数)と搬送速度を適切に選択することが必要である。
また、加熱方法には、対象となる鋼材1によって表層加熱と均一加熱がある。
どちらの場合にも、鋼材1の表面温度と内部温度をそれぞれ別の目標温度に加熱する。内部温度とは、板厚方向の平均温度(平均温度)の場合もあるし、板厚中心部の温度(中心温度)の場合や、板表面から任意の深さ(たとえば、板厚1/3、1/4深さ)等の場合がある。
表層加熱の場合は、加熱終了時の表面温度を目標温度以上に加熱を行う。その場合に、加熱過程中の内部温度が上限温度を超えないように加熱を行う。このような表層加熱を行うことにより、表面の硬度を内部と同じにでき、パイプライン等の用途での問題を回避できるとともに、内部温度の過度の上昇による材質劣化を抑制することができる。
均一加熱の場合は、加熱過程中の表面温度が所定の値(例えば、Ac1変態点)を超えないようにしながら、加熱終了時に鋼材全体(内部)の温度が目標温度範囲になるように加熱を行う。このような均一加熱により、所望の特性を確保し、同一部材での品質ばらつきを抑えることを実現するとともに、表層過加熱による材質変化を抑制することができる。
表層加熱を行うためには、誘導加熱装置6からの加熱された表面から内部への熱伝達や表面からの放熱により、表面と内部の温度が均一になる前に、表面を目標温度に加熱することが必要である。逆に、均一加熱を行うためには、誘導加熱装置6を複数台用意して加熱過程と冷却過程を繰り返しながら徐々に加熱をする必要がある。たとえば、パス数を複数回として鋼材を誘導加熱装置内を通過させた後に、反対方向に搬送させて再度加熱する工程を指定パス数回分繰り返す。このとき、誘導加熱装置内を通過している間は表面付近が表皮効果により加熱されて、誘導加熱装置6を出た後、反転するまでは冷却過程となって表面からの放熱と内部への伝熱によって、表面と内部の温度が均一になっていく。
本願発明では、表層加熱、均一加熱ともに、A.鋼材内部の誘導加熱電流分布モデルB.熱伝導方程式に基く伝熱モデルC.大気との輻射と対流に基く熱伝達モデルD.加熱効率を推定し次材に反映させる学習機能を備えた効率推定モデルを作成して、鋼材内部の温度変化をモデル化し、熱処理方法の精度を向上させた。
なお、本願発明では、熱処理精度を向上させるため、3つのバリエーションの熱処理方法を用いている。以下の実施の形態の説明において、適宜この3つの熱処理方法の内容に言及する。
なお、第1の熱処理方法は請求項1〜請求項16の発明に対応し、第2の熱処理方法は請求項17〜請求項28の発明に対応し、第3の熱処理方法は請求項29の発明に対応している。
(1)第1の熱処理方法
上記演算を行うにあたって、同じ製造条件でも、鋼材一つ一つは、加速冷却後の鋼材温度が操業条件により異なる。このため、加速冷却後、あるいは加熱前の鋼材温度を鋼材の一つ一つに対して実測し、その値により加熱電力、搬送速度などを、オンラインで求めて決定し、加熱温度を目標温度に一致させる。第1の熱処理方法では、この方式を用いて精度をより向上させるような仕組みを構築する。
第1の熱処理方法では、下記点に特徴を有している。
(i)鋼材の製造条件にもとづき、圧延や加速冷却等を行った後、誘導加熱装置の入り口
まで鋼材を搬送する。
(ii)加熱前の鋼材温度を実測し、その値により誘導加熱装置6に与える加熱用電力、鋼
材の搬送速度などを決定する
さらに、実用化にあたっては次の内容を考慮する。
(iii)消費電力は、なるべく小さいほうが望ましい。
(iv)操業を阻害しない搬送速度で熱処理を行うことが必要となる。
(2)第2の熱処理方法
上記演算を行うにあたって、演算処理装置等の処理能力が十分でなく、計算負荷、すなわち計算処理時間がかかりすぎる場合がある。そのような場合には、加熱開始直前に鋼材の温度を計測したのち、演算処理をすることは、熱処理能率が悪くなり、他のオンライン処理である圧延能率に劣ることになり、オンライン全体の能率を低下させる問題が発生する。これを回避するために、第2の熱処理方法では、事前に加熱電力、搬送速度などを、決定するような仕組みを構築する。
第2の熱処理方法では、下記点に特徴を有している。
(i)鋼材の圧延や冷却条件等の誘導加熱装置までの製造条件から、鋼材の誘導加熱の開始温度を推定する。
(ii)加熱温度の目標、制限を満たす、電力と搬送速度を求める。
さらに、実用化にあたっては次の内容を考慮する。
(iii)消費電力は、なるべく小さいほうが望ましい。
(iv)操業を阻害しない搬送速度で熱処理を行うことが必要となる。
(3)第3の熱処理方法
上記演算を行うにあたって、演算処理装置等の処理能力が十分でなく、計算負荷、すなわち計算処理時間がかかりすぎる場合がある。そのような場合には、加熱開始直前に鋼材の温度を計測したのち、演算処理をすることは、演算処理に時間がかかりすぎるために、熱処理能率が悪くなり、他のオンライン処理である圧延能率に劣ることになり、オンライン全体の能率を低下させる問題が発生する。これを回避するために、事前に加熱電力、搬送速度などを、決定するような仕組みを構築すればよいが、そのためには加熱処理直前の鋼材温度を計測しなくとも、鋼材の圧延や冷却条件等の誘導加熱装置までの製造条件から、鋼材の誘導加熱の開始温度を推定しておく必要がある。
しかし、同じ製造条件でも、鋼材一つ一つは、加速冷却後の鋼材温度が操業条件により異なる場合がある。このため、電力をテーブル等であらかじめ用意しておくよりは、加速冷却後、あるいは加熱前の鋼材温度を鋼材の一つ一つに対して実測し、その値により加熱電力、搬送速度などを、オンラインで求めて決定し、加熱温度を目標温度に一致させるための精度をより向上させるような仕組みを構築する必要がある。したがって、第3の熱処理方法では、より効率的に、より精度よく演算を実行するために、事前にあらかじめ温度を予測しておき、予測温度は実測温度と異なる場合には補正するという手順を組み合せた仕組みを構築する。
第3の熱処理方法では、下記点に特徴を有している。
(i)鋼材の圧延や冷却条件等の誘導加熱装置までの製造条件から、鋼材の誘導加熱の開始温度を推定する。
(ii)加熱温度の目標、制限を満たす、電力と搬送速度を求める。
(iii)加熱前の鋼材温度を実測し、事前に予測した温度と加熱直前に実測した温度との差に基づき、誘導加熱装置6に与える加熱用電力、鋼材の搬送速度などを修正し、決定する。
さらに、実用化にあたっては次の点を考慮する。
(iv)消費電力は、なるべく小さいほうが望ましい。
(v)操業を阻害しない搬送速度で熱処理を行うことが必要となる。
本発明の実施の形態に係る熱処理装置は以下の機能を備えている。
1)誘導加熱時の鋼材1の内部温度を精度良く推定するため、厚み方向の差分式を採用して、鋼材温度、電力により透磁率と浸透深さを推定し、鋼材1の厚み方向の誘導電流分布を求め、発熱量を推定する。
2)加熱電力設定を求めるために、温度条件が複数あり、操作量(電力)も複数あり、モデルが非線形であるため、非線形計画法で算出する。その結果、表面温度と内部温度は独立変数ではないが、複数台加熱により、ある程度独立と見なせ、別々に目標設定をすることが可能とした。
3)非線形計画法の目的関数を消費電力の和として、温度条件を満たす中で消費電力が最小となる電力を求める。
4)ある速度で電力設定を求めたのち、加熱可能な範囲で、搬送速度を変更しながら繰り返し計算を行い、温度条件を満たす中で、操業を阻害しない搬送速度を求める。
5)第1の熱処理方法では、温度制御の精度をより向上させるために、加速冷却終了時、あるいは、誘導加熱処理直前に温度計で測定した鋼材の実測温度により電力と速度を計算する。
6)第2の熱処理方法では、オンラインで電力と速度を求めるために、初期設定において圧延や鋼材の冷却条件等の誘導加熱装置までの製造条件から、鋼材の誘導加熱の開始温度を推定し、事前に電力と搬送速度の設定をする枠組みを用意する。
7)第3の熱処理方法では、オンラインで電力と速度を求めるために、初期設定において圧延や鋼材の冷却条件等の誘導加熱装置までの製造条件から、鋼材の誘導加熱の開始温度を推定し、事前に電力設定をし、さらに、加熱温度制御の精度を向上させるために、加速冷却終了時、あるいは、誘導加熱処理直前に温度計で測定した鋼材の実測温度により電力と速度の修正計算をする枠組みを用意する。
以下に具体的な処理内容を記載する。
(1)設定計算機能
鋼材1を加熱するための搬送速度及び電力は以下の3つの処理、A.事前処理方式、B.実測処理方式、C.事前計算後、実測修正する組合せ方式の内のいずれかの処理によって決定される。なお、上述の第1の熱処理方式はB.実測処理方式を採用しており、上述の第2の熱処理方式は、A.事前処理方式を採用しており、上述の第3の熱処理方式はC.事前計算後、実測修正する組合せ方式を採用している。
A.事前処理方式
予め、鋼材1のサイズと誘導加熱装置に至る前の加熱炉、圧延機、冷却装置、矯正機での操業条件や過去の実績等に基づいて設定されている鋼材1の加熱開始予定温度と加熱目標温度とから、搬送速度とパス数を決め、その値をもとに加熱に必要な電力を計算する。鋼材1は、求めた搬送速度で搬送されつつ、誘導加熱装置6によって設定した電力で加熱される。鋼材1の温度を測定しなくとも、精度良く推定温度を求めることによって、計算負荷の膨大な処理を事前に実行することで熱処理に演算時間を含むことなく能率よく処理が可能となる。
B.実測処理方式
鋼材1の加熱開始前温度を実測し、実測された加熱開始前温度と、搬送速度とに基づいて加熱に必要な電力を計算する。鋼材1の実測温度に基いて、計算を行うことで精度のよい電力値を算出することができる。
C.事前計算後、実測し修正する組合せ方式
上記A、Bを組合わせた方式である。前述したように、製造条件に基づいて、事前に加熱用電力と搬送速度をあらかじめ計算しておき、さらに冷却完了後、あるいは誘導加熱装置直前に設定された温度計によって鋼材1の加熱開始前温度を実測する。そして、実測した温度が加熱開始予定温度に近い場合は、a.事前処理方式にて計算した搬送速度と電力で加熱を行う。実測した温度が予定温度と異なる場合は、b.実測処理方式にて求めた搬送速度と電力にて修正し、加熱を行う。この方式によれば、精度のよい演算を短時間で処理をすることが可能となる。
(2)トラッキング処理機能
鋼材1を長手方向の仮想的な部分に分割し、設定計算機能で算出した加熱電力をその仮想的な部分ごとに設定し、電力供給装置において鋼材1の搬送に応じて出力する。これによって、鋼材1の長手方向の温度不均一を解消でき、鋼材1の全ての位置で材質が同一のものができる。
(3)加熱電力補正機能
誘導加熱装置6の前後に設けた温度検出器7で鋼材1の温度を測定する。その実測温度により、加熱電力を補正する。FF(フィードフォワード)制御とFB(フィードバック)制御が設けられている。
(4)モデル学習機能
加熱電力を求めるための鋼材の伝熱モデル、誘導加熱による効率推定モデル、矯正装置での温度降下モデル等を実測した温度で修正する。これは、上記(1)〜(3)で処理した結果として得られる温度を測定して、目標温度との温度差を比較して、その温度差がなくなるように、次の鋼材1での処理から演算処理に補正を行い、より精度向上を図ろうとするものである。
以下、これらの機能について説明する。
I.設定計算機能
まず、鋼材1の加熱開始温度、搬送速度が与えられた場合の電力の計算方法について説明する。
図2は、本発明に係る第1の実施の形態の熱処理装置の概略構成を示す側面図である。
鋼材1は、誘導加熱装置6の中を移動しながら加熱される。それぞれの誘導加熱装置6の入り口には鋼材の温度を検出する温度検出器7が備えられている。上記温度検出器7で得られた温度信号は、制御装置10に入力される。制御装置10は、鋼材1の実測温度若しくは加熱開始の予定温度と搬送速度とに基づいて誘導加熱装置6に供給する電力を計算し、その値を電力供給装置12に出力する。
なお、第1〜第3の熱処理方式によって、電力の計算方法が異なる。
第1の熱処理方式では、前述の温度のうち、加熱開始の実測温度を使用して演算を行う。電力供給装置12は、供給電力が制御装置6から与えられた値になるように誘導加熱装置6の出力を制御する。
第2の熱処理方式では、前述の温度のうち、加熱開始の予定温度を使用して演算を行う。電力供給装置12は、供給電力が制御装置6から与えられた値になるように誘導加熱装置6の出力を制御する。
第3の熱処理方式では、前述の温度のうち、加熱開始の予定温度を使用して、事前に計算しておき、実測温度を使用して、予定温度との温度差に基き、補正、修正演算を行う。電力供給装置12は、供給電力が制御装置6から与えられた値になるように誘導加熱装置6の出力を制御する。
誘導加熱装置6で鋼材1を加熱すると、誘導電流は鋼材表面に集中して流れるため、主に表面が加熱される。そして、鋼材内部は、主として表面からの熱伝達で加熱される。
そこで、誘導加熱装置6で加熱を行う場合の鋼材内部の誘導電流分布を求める。鋼材内部の電流分布は、浸透深さで表現される。浸透深さは周波数、比透磁率で異なり、式(1)で表される。
Figure 2005068553
浸透深さδが大きい場合には誘導電流が鋼材内部まで流れる。浸透深δが小さい場合には、誘導電流が表面に集中するため加熱も表面に集中し、鋼材内部は表面からの熱伝導により加熱される。したがって、同じ電力を投入しても、浸透深さが異なれば表面の加熱温度は変わってくる。そこで、式(1)に基づいて浸透深さを求めて鋼材内部での電流密度分布を決定する。この電流分布から、誘導加熱装置6への加熱電力を決定する。
一般的に鋼材表面からの距離zと、その位置での誘導電流I(z)の関係は式(2)で表される。αは定数である。
Figure 2005068553
よって、鋼材表面から距離zの位置での消費電力の比は式(3)で表される。
Figure 2005068553
すなわち、式(3)は誘導加熱の際の電力分布を表わしていると考えることができる。
次に、誘導加熱装置6を用いた加熱中における鋼材の温度変化を数式で表す。熱伝導方程式の差分式から、式(4)〜(6)を得る。
Figure 2005068553
式(4)から(6)を書き換えると、鋼材を厚み方向に三分割した温度差分式は式(7)になる。
Figure 2005068553
式(4)のQは境界条件である大気との熱伝達と、加熱装置から供給される熱量からなり、式(8)で表わされる。
Figure 2005068553
ここで、式(9)をxi,jについて線形化する。鋼材の温度をxとし、xを中心に式(9)にあるxi,j の項をテーラ展開の一次の項までを使用して線形近似する。1次までのテーラ展開は式(11)で表される。
Figure 2005068553
式(11)を利用して、式(12)を得る
Figure 2005068553
よって、式(9)は、式(14)となる。
Figure 2005068553
式(14)を用い、式(7)を整理して式(15)を得る。
Figure 2005068553
式(15)において、行列Eの逆行列を左側から掛けることにより、式(20)を得る。
Figure 2005068553
である。
式(20)が鋼材2の温度変化の基本式となる。尚、この式でub=0とすると、大気による冷却過程時の温度変化を表す式となる。
次に、誘導加熱装置6の手前に設置した温度検出器7の位置から、誘導加熱装置出側の温度検出器7の位置までの温度変化を表す式を作成する。
図3は、温度変化を表す式に用いられる記号を表す図である。
誘導加熱装置6の手前の温度検出器7の位置から、誘導加熱装置6の出側の温度検出器位置までのそれぞれの誘導加熱装置6の長さをli、誘導加熱装置同士の間隔をsi、それぞれの誘導加熱装置6への投入電力をuiと表す。そして、鋼材1の誘導加熱装置入り側温度をx0、誘導加熱装置出側温度をx で表し、それぞれの誘導加熱装置前後の温度をx、x’と表す。
誘導加熱装置の長さをli、間隔をsi、搬送速度をvとして差分方程式での刻み数を求める。
ni=li/(v×dt) …(24)
mi=si/(v×dt) …(25)
ただし、dt:刻み時間、ni、mi:刻み数
すると鋼材2が誘導加熱装置によって順次加熱されていくときの各位置の温度は式(26)で表される。
Figure 2005068553
とおく。
誘導加熱装置間の温度変化は、たとえばx0―x1間の温度変化は、式(27)で表わされる。
Figure 2005068553
また、一番目の誘導加熱装置で加熱された結果の温度、即ち誘導加熱装置の出側温度x’は、式(28)で表される。
Figure 2005068553
式(28)に式(27)を代入して、式(29)を得る。
Figure 2005068553
この計算を次々と繰り返していくと、N台目誘導加熱装置の出側温度計位置での鋼材1の温度分布は式(30)のように表される。
Figure 2005068553
これを整理すると式(31)、(32)のように、u1、…、uNの一次式になる。
Figure 2005068553
式(32)を使用することによって、加熱電力u1、…、uNにより、誘導加熱後の温度分布x1、…、x*を計算で求めることができる。
また、被加熱材の温度範囲によっては、比熱や熱伝導率の温度変化により加熱温度が影響される場合がある。図23に、被加熱材の比熱が温度によって変化する例を示し、図24に、被加熱材の熱伝導率が温度によって変化する例を示す。このような場合には、比熱cpや熱伝導率λや温度をパラメータとする変数として扱い、式(4)〜(7)を用いて差分計算を行うことにより、加熱後の鋼材の温度分布x1、…、x*を求めることができる。
図25は、被加熱材の温度を推定するための手順を示すフロー図である。
式(4)〜(7)の差分計算により、一定時間dt毎に温度計算を行い、加熱開始から加熱終了時までの温度推定を行う。この際、被加熱材は与えられた速度で移動しながら複数の誘導加熱装置による加熱を受ける。この条件を組み込んで被加熱材の温度変化を逐次計算する。そして、鋼材が誘導加熱装置を抜けたところで計算終了となる。
なお、本計算における被加熱材の分割数を多くすると温度推定の精度は良くなるが計算時間がかかってしまい、少なくすると計算時間は短くなるが温度推定の精度が悪くなるため、被加熱材の厚みに応じて分割数を決定する。
以上説明した計算方法は、制御装置10内において実現することができる。図4は、加熱電力から加熱後の鋼材温度分布を求める概略の手順を示すフロー図である。
ステップT1では、加熱しようとする鋼材内部における電力分布を式(3)により求める。ステップT2では、その電力分布に基づいて誘導加熱装置6から供給される熱量分布を式(8)〜(10)により求める。ステップT3では、大気への放散熱量を式(14)により求める。ステップT4では、これらの求めた結果を用いて、鋼材内部の温度変化を求めるための式(21)、(22)、(23)で表される係数を算出する。
ステップT5では、誘導加熱装置6の台数、該装置の長さ、該装置間の間隔、鋼材の搬送速度を用い、誘導加熱装置6が供給する電力から鋼材1の温度分布を求める。この際、式(27)〜(30)を適用して鋼材1の温度分布を求めても良く、また式(32)を適用して鋼材1の温度分布を求めても良い。
次に、この計算方法を用いて所望の熱処理を行う方法、即ち鋼材1が目標とする温度分布となるような加熱電力を決定する手順について説明する。この手順は、上記計算手順を備えた制御装置10内において実現することができる。
図5は、加熱電力を求める電力演算処理の概略のフローを示す図である。
ステップS1では、適当な初期値電力u1、…、uNを決定する。ステップS2では、上記の計算手順(ステップT1〜T4)に従って誘導加熱装置出側の加熱温度分布x1、…、x*を計算する。ステップS3では、各誘導加熱装置での加熱温度と目標とする温度範囲である温度条件とを比較し、温度条件を満たしているかどうかの判定を行う。
ステップS4でYesの場合、即ち、温度条件に適合していれば、その加熱電力を最終的な加熱電力として計算を終了する。ステップS4でNoの場合、即ち、適合していない場合は、新たな誘導加熱電力u1、…、uNを与えて温度計算のやり直しを行う。
以上の処理を繰り返し行うことで、誘導加熱装置出側での目標温度分布x*を与えれば、それを実現する電力u1、…、uNを求めることができる。尚、新しい加熱電力u1、…、uNを与える方法は、線形計画法、非線形計画法など一般的な方法を適用すれば良い。温度条件が実現可能であるならば、有限回の計算で解を求めることができる。
本実施の形態では、任意台数の誘導加熱装置6を用いて鋼材内部の温度を計算することが可能である。したがって、熱処理ライン内の誘導加熱装置一台毎に鋼材1の内部温度を求めることも、また誘導加熱装置複数台毎に鋼材1の内部温度を求めることも可能となる。
これにより、誘導加熱装置6を通過させる回数を複数回にして最適なパス数やパス毎に搬送速度を変更したり、パスごとに使用する誘導加熱装置6の台数を変更したりすることができる。
従って、加熱中における鋼材1の表面温度を目標表面温度以下に加熱し、加熱終了時における鋼材1の内部の所定位置の温度を目標内部温度に対して所定範囲に納まるように制御することのできる電力設定値、即ち均一加熱処理のための電力設定値を定めることができる。また、加熱中における鋼材1の表面温度を目標表面温度以上に加熱し、加熱終了時における鋼材1の内部の所定位置の温度を目標内部温度以下となるように制御することのできる電力設定値、即ち表層加熱処理のための電力設定値を定めることができる。
次に、第2の実施の形態の熱処理装置について説明する。本実施形態では、第1の実施形態の電力演算処理において消費電力量が最小になるような加熱電力を求める点に特徴がある。従って、それ以外の構成については第1の実施形態と同一であるため、詳細の説明を省略する。
図6は、第2の実施形態に係る、加熱電力を求める電力演算処理の概略のフローを示す図である。
ステップS11では、適当な初期値電力u1、…、uNを決定する。ステップS12では、ステップT1〜T4の計算手順に従って誘導加熱装置出側の加熱温度分布x1、…、x*を計算する。ステップS13では、各誘導加熱装置での加熱温度と目標とする温度範囲である温度条件とを比較し、温度条件を満たしているかどうかの判定を行う。
ステップS14でNoの場合、即ち、適合していない場合は、新たな誘導加熱電力u1、…、uNを与えて温度計算のやり直しを行う。ステップS14でYesの場合、即ち、温度条件に適合していれば、ステップS15では、各誘導加熱装置6での消費電力量の和である合計消費電力量を求め、合計消費電力量が最少になるかどうかの判定を行う。すなわち、誘導加熱装置6での合計消費電力量が最少になるような加熱電力を求める。
ステップS16でNoの場合、即ち、合計消費電力量が所定量以下の条件に適合していない場合は、新たな誘導加熱電力を与えて温度計算のやり直しを行う。ステップS16でYesの場合、即ち、合計消費電力量が所定量以下の条件に適合していれば、その加熱電力を最終的な加熱電力として計算を終了する。
この加熱電力が最小値になるように処理する条件は式(33)で表される。
Figure 2005068553
すなわち、これら条件を満たすu(i)とは、加熱工程中の全ての時点での鋼材1の表面温度が上限温度を超えず、加熱工程終了後の内部温度を内部温度目標範囲内に加熱する、均一加熱処理の電力設定のうち、最も消費電力の少ない加熱電力である。
また、加熱工程中の全ての時点での鋼材1の表面温度を目標表面温度以上に加熱し、加熱工程終了後の内部温度を目標内部温度以下に加熱する表層加熱処理の電力設定のうち、最も消費電力の少ない加熱電力である。
尚、新しい加熱電力u1、…、uNを与える方法は、線形計画法、非線形計画法など一般的な方法で良く、また遺伝子アルゴリズムなどの最適化手法を適用しても良い。
次に、第3の実施の形態の熱処理装置について説明する。本実施形態では、第2の実施形態で求める最適な加熱電力を逐次二次計画法等の制約条件付き非線形計画法を用いて処理を行う点に特徴がある。従って、それ以外の構成については第2の実施形態と同一であるため、詳細の説明を省略する。
まず、第1の実施形態、第2の実施形態における鋼材1の加熱条件等を数式で表現する。
目標温度に関する条件式は、式(34)、式(35)で表現される。
Figure 2005068553
中心温度は加熱目標であるため等式の条件で表される。表面温度は、誘導加熱装置出側で最も高くなるため、誘導加熱装置出側の温度を用いる。また、加熱上限値であるため不等式で表される。ただし、中心温度目標においては、式(36)のように範囲を指定することも可能である。
Figure 2005068553
式(34)〜式(36)に基き、表層加熱の場合には、目標温度を表面温度とし、上限温度を内部温度とするため、
表面温度条件:│Ts−Tr│<c cは定数
内部温度条件:Tu−Ti>0
但し、Ts:表面温度最大値、Tr:加熱目標温度、Tu:上限温度、Ti:内部温度最大値、v:搬送速度
一方、均一加熱の場合には、目標温度を内部温度とし、上限温度を表面温度とするため、
内部温度条件:│Ti−Tr│<c cは定数
表面温度条件:Tu−Ts>0
これらは、各誘導加熱装置6の電力を求める際の制約条件となる。さらに、誘導加熱装置6の能力にも制限があるので、これを式(37)、(38)で表して制約条件とする。
Figure 2005068553
さらに、式(34)、式(35)の制約条件において、制約条件中の温度TN、T1sは、誘導加熱装置6の加熱電力u1、…、uNを用いて表すことができる。すなわち、式(32)を用いて、制約条件式(34)、(35)を加熱電力u1、…、uNで表す。
まず、等式の加熱条件である式(34)は式(39)、(40)で表わされる。
Figure 2005068553
さらに、不等式の制約条件は、式(41)〜(44)で表すことができる。
Figure 2005068553
これらより、目的関数、制約条件がすべて加熱電力u1、…、uNで表現されるため、最適化手法の逐次2次計画法を適用することができる。以上整理し直すと以下のようになる。
Figure 2005068553
この問題設定を、逐次二次計画法を用いて最適化を行うと、温度条件を満たす、最少の加熱電力分布が求められる。すなわち、加熱時の表面温度、内部温度の目標を、必要最低限の電力で実現することができる。
次に設定計算機能である搬送速度と電力の決定方法について説明する。
鋼材1を加熱するための搬送速度及び電力は以下の3つの処理、A.事前処理方式、B.実測処理方式、C.事前計算後、実測修正する組合せ方式の内のいずれかの処理によって決定される。なお、上述の第1の熱処理方式はB.実測処理方式を採用しており、上述の第2の熱処理方式は、A.事前処理方式を採用しており、上述の第3の熱処理方式はC.事前計算後、実測修正する組合せ方式を採用している。
A.事前処理方式
図7は、事前処理方式を実現するシステムの構成図である。鋼材1の製造ラインの構成は上述の構成と同一であるため、同一符号を付して詳細の説明は省略する。
生産管理コンピュータ13からは、製造する予定の鋼材1に関するデータが事前処理演算装置14に送信されてくる。データは、鋼材1のサイズ(幅、厚み、長さ)、加熱方法、加熱開始予定温度、加熱目標温度などである。ここで、事前処理演算装置14は制御装置10内に設けられている。
事前処理演算装置14は、このデータに基づいて加熱時の搬送速度とパス数、及び電力を決定する。そして、決定した搬送速度を搬送速度設定装置15に出力し、決定した電力を電力供給装置12に出力する。
ここで、搬送速度を決定する方法には、テーブルから抽出する方法と収束計算による方法がある。
a.テーブルから搬送速度を抽出する方法
図8は、鋼材1のサイズと搬送速度とパス数の対応テーブルを示す図である。
事前処理演算装置14は、このテーブルに基づいて、鋼材1のサイズである幅、厚さ、長さから搬送速度とパス数を抽出する。尚、諸元の値が表の項目値に一致しない場合は、前後の表の値を内挿して求める。
また、鋼材1のサイズである幅、厚さ、長さの内少なくとも1つの諸元に基づいて搬送速度とパス数を抽出するようにテーブルを構成しても良い。
b.収束計算によって搬送速度を決定する方法
図9は、収束計算によって搬送速度を決定する概略の手順を示すフロー図である。この方法では、加熱温度の条件を満たす加熱電力の内、熱処理に要する時間が最も短くなるように搬送速度を定める点に特徴がある。
尚、誘導加熱装置群を複数回往復させて鋼材1を加熱する場合には、そのパスごとに搬送速度を設定することが可能である。従って、搬送速度は以下の式で定義する。
V0=[V01,V02,V03,・・・,V0n]
但し、V0:搬送速度初期値、
V0i(i=1〜n):iパス目搬送速度初期値
ステップS20では、搬送速度として初期値を設定する。ここで、初期値V0は任意の値であっても良く、また実績値に基づいて決定しても良い。
ステップS21では、その搬送速度を用いて上述の図5、6に示す電力演算を行い加熱電力を求める。ステップS22では、この加熱条件で鋼材1の加熱後温度が制約条件を充足するかどうかを調べる。この制約条件は、図5のステップS3、図6のステップS13の温度判定条件と同一であり、鋼材1の表面温度、内部温度がそれぞれ所定温度範囲内にあるかどうかを調べるものである。
ステップS22でYesの場合、即ち、制約条件を充足している場合は、電力演算が適正に実行されたことを意味しているため、搬送速度を速くした条件であっても適切な電力量が求められる可能性がある。従って、ステップS23では、搬送速度を所定量だけ速くする。尚、搬送速度は所定量でなく、所定割合で速くしても良く、また予め定めた関数に基づいて搬送速度を増速しても良い。
ステップS24では、増速した搬送速度を用いて再度電力演算を行い、ステップS25では、鋼材1の加熱後温度が制約条件を充足するかどうかを調べる。ステップS25でYesの場合、即ち、制約条件を充足する場合は、更にステップS23〜25を繰り返す。これによってより速い搬送速度を設定することができる。
ステップS25でNoの場合、即ち、制約条件を充足しない場合は、後に説明する、搬送速度を減速するステップS26からの処理を実行するが、この処理に進まずに前回の計算に用いた制約条件を充足する搬送速度を採用しても良い。
ステップS22でNoの場合、即ち、鋼材1の表面温度、内部温度がそれぞれ所定温度範囲にない場合は、電力演算が正しく行われなかったことを意味している。ここで、電力演算が正しく行われない場合は、搬送速度が速すぎるために鋼材1の温度が低くなっている場合である。何故ならば、鋼材1の温度が高い場合は、電力量を低下させることによって温度を下げることが可能なため、必ず電力量を求めることができるからである。
従ってこの場合には、鋼材1の温度加熱が不十分であるため、ステップS26では、搬送速度を所定量だけ遅くする。尚、搬送速度は所定量でなく、所定割合で遅くしても良く、また予め定めた関係式または関数に基づいて減速しても良い。
そして、ステップS27では、減速した搬送速度を用いて再度電力演算を行い、ステップS28では、鋼材1の加熱後温度が制約条件を充足するかどうかを調べる。
ステップS28でNoの場合、即ち、制約条件を充足しない場合は、更にステップS26〜28を繰り返す。ステップS28でYesの場合、即ち、制約条件を充足する場合は、ステップS29では、この搬送速度を採用する。
本方式によれば、所定の制約条件を満たす電力の内、最も搬送速度の速い加熱条件を最終結果として得ることができ、従って、最も処理時間が短くなる熱処理条件を求めることができる。
尚、本方式では、搬送速度初期値から収束演算を行ったが、複数の搬送速度値に基づいて電力演算を行い、制約条件を満たす搬送速度の内、最速の搬送速度を求めても良い。また、過去の搬送速度実績値と鋼材1の諸元(例えば、厚み、幅等)の組合せに基づいて、加熱しようとする鋼材1の諸元に対応する搬送速度を内分点法によって算出しても良い。
複数パスの場合の搬送速度決定方法を示す。
(1)第1の方式は、予め各パスの搬送速度の比率を決めておき、それに沿った形で収束計算を行う方法である。
たとえば、3パスの場合は以下の式で示されるように、予めパス毎の速度比率を決めておく。
v(2)=1.5×v(1)
v(3)=1.2×v(1)
そして加熱の諸条件が与えられて速度を決定する際には、係数αを求め、下式で示すようにその係数αで補正した値を搬送速度とする。
V’(i)=α×V(i)
図26は、係数αを求める手順を示すフロー図である。先ずαに初期値を与え、電力演算結果が制約条件を充足する範囲で、αが大きい値となるように逐次、値を変更しつつ繰り返して計算する。これにより、電力制約条件の内、搬送速度が大きい条件を決定することができる。
(2)第2の方式は、各パスの搬送速度をそれぞれ変更し、もっとも速度の速い組み合わせを選択する。
3パスの場合を例に説明する。速度の最大値をVmax、速度変更の刻み幅を△Vとし、v(1)、v(2)、v(3)を以下の式で定義する。
v(1)=Vmax−i×△V、i=1,…
v(2)=Vmax−j×△V、j=1,…
v(3)=Vmax−k×△V、k=1,…
そしてi、j、kをそれぞれ1から増加しつつ、制約条件を満たしながら、もっとも早い速度を最終的に抽出する。
図27は、搬送速度を求める手順を示すフロー図である。i,j,kを1から増加して、所定の最小速度(Vmin)以上の範囲でそれぞれのパスの速度を変更しつつ電力計算の制約条件を充足する組合せを求める。そして、そのうち最も速い速度を与える組合せを選択する。ここで、最も速い速度を判定する基準として、v(1)+v(2)+v(3)が最も大きい組合せを選ぶことができる。あるいは、それぞれの速度に重み係数を掛けて加算した値が最も大きい組合せを選ぶことができる。
そして、ここで決まった搬送速度をもとに、上述の電力設定計算を行って加熱電力を求める。そして、求めた加熱電力を電力供給装置12へ、搬送速度を搬送速度設定装置15へ送り、鋼材1の加熱を実行させる。
さらに、a.テーブルから搬送速度を抽出する方法、b.収束計算によって搬送速度を決定する方法、いずれの方法においても、パス数の異なる搬送速度の組み合わせを求めておき、加熱直前に決定することも出来る。例えば、1パスの場合の搬送速度、3パスの場合の搬送速度、5パスの場合の搬送速度を予め求めておき、現在の能率等の基準から加熱直前にその内の一つを選択することもできる。
次に、加熱開始予定温度、加熱目標温度が変更になった場合の搬送速度の影響係数を求める方法について説明する。
図10は、加熱開始予定温度が変更されたときの影響係数を求める手順を示すフロー図である。この手順によって、加熱開始予定温度をTi、加熱開始予定温度の変更量をΔTiとし、加熱開始予定温度がTi+ΔTiの場合に、上記で求めた搬送速度をどれだけ変更すれば良いのかの係数を求める。
この手順は図9に示した搬送速度を決定する手順と同様である。影響係数を1として処理を開始し、加熱可能で最も処理時間が短くなるように影響係数を調整する。
こうして求めた影響係数の値をqとすると、実際の加熱開始予定温度がTi+ΔTの場合の搬送速度v’は、式(45)で求められる。
Figure 2005068553
同様に、加熱目標温度が変更になった場合の速度変更係数も求める。
図11は、加熱目標温度が変更されたときの影響係数を求める手順を示すフロー図である。この手順によって、加熱目標温度をTr、加熱目標温度の変更量をΔTrとし、加熱目標温度がTr+ΔTrの場合に、上記で求めた搬送速度をどれだけ変更すればよいのかの係数を求める。
この手順は図9に示した搬送速度を決定する手順と同様である。影響係数を1として処理を開始し、加熱可能で最も処理時間が短くなるように影響係数を調整する。
こうして求めた影響係数の値をqとすると、実際の加熱開始温度がTr+ΔTの場合の搬送速度v’は、下式(46)で求められる。
Figure 2005068553
尚、この影響係数は、後述する処理である、B.実測処理方式とC.組合せ処理方式で使用される。
B.実測処理方式
図12は、実測処理方式に係るシステムの構成を示す図である。鋼材1の製造ラインの構成は上述の構成と同一であるため、同一符号を付して詳細の説明は省略する。
本処理は加速冷却後の鋼材1の加熱開始温度を実測し、その温度により搬送速度の決定、加熱電力の算出を行う処理である。
これは、以下の手順によって行う。
(i)加熱開始温度の取得と加熱目標温度の決定
鋼材1の加熱開始温度は、冷却装置出側から誘導加熱装置入り側までに設置された少なくとも1つの温度検出器で実測により求める。また、生産管理コンピュータ13からのデータに基づいて実測処理演算装置16が加熱目標温度を決定する。
(ii)搬送速度の決定
次に搬送速度を決定する。搬送速度は、前述の図8に示すテーブル値を補間することにより求めることもできる。また前述のb.収束計算において、加熱開始予定温度を加熱開始実測温度に置き換えることで算出することができる。なお、事前に加熱開始予定温度に基づき、あらかじめ、b.収束計算において記載した方法で得られた搬送速度を使用する場合には、その加熱開始予定温度と加熱開始温度の実測結果との温度差に基づいて、式(45)または式(46)を用いて補正して決定することで、演算時間の短縮化を図ることができる。
さらに、a.テーブルから搬送速度を抽出する方法、b.収束計算によって搬送速度を決定する方法、いずれの方法においても、パス数の異なる搬送速度の組み合わせを求めておき、加熱直前に決定することも出来る。例えば、1パスの場合の搬送速度、3パスの場合の搬送速度、5パスの場合の搬送速度を予め求めておき、現在の能率等の基準から加熱直前にその内の一つを選択することもできる。
(iii)鋼材1の先端部と尾端部の加熱電力の計算
加熱電力は、先端部と尾端部では異なるため、上述の方法、即ち、図4〜6に示す電力を求める手順に従って、先端と尾端の加熱電力をそれぞれ演算する。
(iv)鋼材1の先端部と尾端部の各誘導加熱装置6での到達温度の計算
さらに、この電力で加熱した場合の各誘導加熱装置6の入り側と出側での到達温度も先端と尾端について保存しておく。この到達温度はFF、FB制御を行う際の目標値となる。
(v)電力と温度の補間
そして、鋼材1の中間部の加熱電力と到達温度を、既に求めた先端部と尾端部の加熱電力と到達温度を補間して求める。
C.組合せ処理方式
図13は、組合せ処理方式に係るシステムの構成を示す図である。鋼材1の製造ラインの構成は上述の構成と同一であるため、同一符号を付して詳細の説明は省略する。
まず事前処理演算装置14が事前処理方式を実行する。即ち、鋼材1の加熱開始予定温度に基づいて、搬送速度と電力を求める。この求められた搬送速度と電力は実測処理演算装置16に送られる。
一方、温度検出器7は、冷却過程を終えた後の鋼材1の誘導加熱装置手前での加熱開始温度を実測する。そしてこの実測温度は、実測処理演算装置16に入力される。
実測した加熱開始温度が加熱予定温度に近いとき、例えば、式(47)が成立するときは、事前処理で求めた搬送速度と加熱電力で加熱を行う。
|Tr0-Tr1|<=α (47)
Tr0:加熱開始予定温度、Tr1:加熱開始実測温度、αは所定の値で例えば、10℃
一方、式(48)が成立するときは、実測処理演算装置16は、上述の実測処理計算を行って、搬送速度を修正し、修正された搬送速度を新たな搬送速度として加熱電力を電力設定計算により求める。
|Tr0-Tr1|> α 式(48)
このようにして求めた搬送速度と電力をそれぞれ、搬送速度設定装置15、電力供給装置12へ伝送し、鋼材1の加熱を行う。
このように、事前処理と実測処理による修正処理を組み合わせることにより、効率的で最適な搬送速度と加熱電力を用いて加熱を行うことができる。さらには、事前に処理負荷がかかる計算を、初期設定において事前に電力設定をしておき、初期設定と異なる場合のみ、加速冷却終了時に実測温度により補正計算しておくことができるのでオンラインでの処理が実現できる。
II.トラッキング処理機能
冷却後の鋼材1は、長手方向に温度差があるため、長手方向で電力設定を変更する必要がある。また、長手方向位置での加熱後の冷却状況の違いにより、加熱目標温度をあえて鋼材1の長手方向で変更可能とする場合がある。以下に本願発明でオンライン処理を可能とする方法を記載する。長手方向の各位置の温度を推定、あるいは実測して、各位置についてそれぞれに位置で上述の設定電力計算を行うことでもよいが、それでは演算処理の負荷が大きくなりすぎて、オンラインの処理は現実的ではない。この処理では、鋼材1を長手方向の位置に対応して、電力設定とFF制御、FB制御を行う。図14は、トラッキング処理の動作を説明する図である。
トラッキング処理では、搬送ロールから入力される回転速度信号、温度検出器7の温度検出信号を元に、鋼材1の長手方向の現在位置を随時推定する。そして、鋼材1の長手方向の該当位置が各誘導加熱装置6に入った時点で、その位置に対応する電力を各誘導加熱装置6に出力する。
算出の手順には、以下の3通りがある。
(1)先端と後端の温度を測定し、その実績温度を基き電力計算を行い、中間部の電力を補間する。
手順を以下に示す
(i)図20に示すように、鋼材1が誘導加熱装置に入る前に、あるいは冷却装置を出たときに、温度検出器7により鋼材1の先端部(進行方向)の温度を測定する。ここで温度検出器7は、鋼材1の先端が誘導加熱装置6に入るまでに尾端の温度を測定できる位置に設置されている。
(ii)前記測定した鋼材1の先端部の実測温度に基き、先端部の加熱電力を計算する。
(iii)図21に示すように、鋼材1が搬送されて、鋼材1の長手位置が変化していくのにあわせて、鋼材1の長手方向の各位置の温度を測定して、長手方向の位置に対応した実測温度を保存する。
(iv)図22に示すように、鋼材1の後端部の温度を測定する。
(v)前記測定した鋼材1の尾端部の実測温度に基き、尾端部の加熱電力を計算する。
(vi)鋼材1の長手方向の中間部の加熱電力は、先端部と尾端部との実測温度と長手方向中間部の各々の実測温度により、先端と尾端の電力を補間して求める。
Pi=(Pt-Pb)/(Tt-Tb)*(Ti-Tt)+Pt
Pt:先端電力、Pb:後端電力、Pi:中間部電力
Tt:先端温度、Tb:後端温度、Ti:中間部温度、
(vii)鋼材1が誘導加熱装置6に進入する前に、前記(v)の電力算出が完了しており、鋼材1が誘導加熱装置6に進入したら、鋼材1の部位により該当する電力を変更して、与える。
この方法によれば、先端部から尾端部までの実績温度に基づくため、精度がよい利点があるが、先端部、尾端部の温度を測定するためには、温度検出器7の設置位置は、鋼材長さよりも誘導加熱装置から離れている必要があり、長い鋼材1まで対応させるためには設置スペースの制約もある。別の方法としては、
(2)先端部の温度を実測し、それ以降は、先端との温度差により電力を補正する。
(i)鋼材1が誘導加熱装置6に入る前に、あるいは冷却装置を出たときに、温度検出器7により鋼材1の先端部(進行方向)の温度を測定する。
(ii)測定した鋼材1の先端部の実測温度に基づき、先端部の加熱電力を計算する。
(iii)鋼材1が搬送されて、鋼材1の長手位置が変化していくのにあわせて、鋼材1の長手方向の各位置の温度を測定して、保存する。
(iv)測定した鋼材1の中間部の実測温度に基き、中間部それぞれの位置の加熱電力を計算する。
Pi=Pt+ΔPi
ΔPiはΔT=Ti-Ttの昇温量を与える電力
Pt:先端電力、Pb:後端電力、Pi:中間部電力
Tt:先端温度、Tb:後端温度、Ti:中間部温度、
(v)鋼材1が誘導加熱装置6に進入する前に、(iv)の電力算出が完了しており、鋼材1が誘導加熱装置6に進入したら、鋼材1の部位により該当する電力を変更して、与える。
この方法によれば、先端部と中間部の実績温度に基づくため、設置スペースの制約はないものの、長手方向の温度変化が大きい鋼材1の時には、尾端部位置になるにつれて算出誤差が大きくなり問題が発生する。さらに、別の方法として
(3)先端と後端の温度を実測して電力計算を行い、中間部の電力を補間する。
(i)鋼材1が誘導加熱装置6に入る前に、あるいは冷却装置を出たときに、温度検出器7により鋼材1の先端部(進行方向)の温度を測定する。
(ii)鋼材1の後端部の温度を推定する。尾端部の温度推定方法は、同じ時刻であれば冷却後の先端部と尾端部の温度が同じものであるとして、同じ位置、すなわち誘導加熱装置6に入るまでの先端部と尾端部の時間差から冷却されて温度降下がどれくらいを推定する。なお、より精度を上げるためには、過去に同じ条件の鋼材1の先端部と尾端部の温度差を記憶しておき、その値に基づいて、先端部から尾端部の温度推定を行う場合もある。
(iii)先端部、後端部の電力を計算する。
(iv)鋼材1が搬送されて、鋼材1の長手位置が変化していくのにあわせて、鋼材1の長手方向の各位置の温度を測定して、保存する。
(v)鋼材1の長手方向の中間部の加熱電力は、先端部の実測温度と尾端部の推定温度と長手方向中間部の各々の実測温度により、先端と尾端の電力を補間して求める。
Pi=(Pt-Pb)/(Tt-Tb)*(Ti-Tt)+Pt
Pt:先端電力、Pb:後端電力、Pi:中間部電力
Tt:先端温度、Tb:尾端推定温度、Ti:中間部温度、
この方法によれば、先端部と中間部の実績温度と、先端部の実績温度から推定した尾端部の温度に基き算出するので、設置スペースの制約を受けることなく、さらに算出する設定電力計算の精度も確保できる。
(4)先端部の温度は実測し、尾端部は、テーブル設定値(定数)または、前工程(圧延、または急速冷却)終了時の先尾端温度差から推定する。
(i)鋼材1が誘導加熱装置6に入る前に、あるいは冷却装置を出たときに、温度検出器7により鋼材1の先端部(進行方向)の温度を測定する。
(ii)測定した鋼材1の先端部の実測温度に基づき、先端部の加熱電力を計算する。
(iii)尾端部をあらかじめサイズ、鋼種等により設定したテーブル値、または前工程(圧延、または急速冷却)終了時の先尾端温度差から推定する。
(iv)推定した尾端部温度により、尾端部の加熱電力を計算する。
(v)中間部それぞれの位置の加熱電力を先端と尾端部の電力を下の式を用いて補間により求める。
Pi=(Pt−Pb)/(ni−1)*(i−1)十Pt
i=1,…,ni
Pi:先頭からi番目の電力、Pt:先端電力、Pb:尾端電力、
ni:鋼材の長手方向ブロック数
(vi)鋼材1が誘導加熱装置6に進入する前に、(v)の電力算出が完了しており、鋼材1が誘導加熱装置6に進入したら、鋼材1の部位により該当する電力を変更して、与える。
この方法によれば、尾端部が温度検出器7の通過を待たずに鋼材全体の電力設定計算ができるため、温度検出器7と誘導加熱装置6の距離が比較的短い場合にも適用することができる。
上記説明では実測温度に基づいて説明したが、設定計算機能における、A.事前処理機能で行った場合には、実績温度でなくとも、加熱開始予定温度、加熱目標温度等に基づいて、上記トラッキング処理機能を実現することも可能である。
上述した4つの方法は、どれを使用してもよく、装置構成のレイアウトや演算装置の能力や鋼材1の種類に合わせて、各々のメリット、デメリットを考慮した上で選択すればよい。
III.加熱電力補正機能(FF制御とFB制御)
上記のように数式モデルを使って温度推定や電力設定を行う際は、数式モデルの誤差により、温度に誤差が生じる場合がある。このため、誘導加熱装置入り側及び出側に設置された温度検出器7で測定した鋼材1の実測温度により、電力を補正する。
図15、16は、FF制御の構成を示す図である。FF制御電力演算装置18は、各誘導加熱装置6の入り側に設置された温度検出器7の測定信号に基づいて、電力を補正する。
鋼材1の先端からi番目の部分のj台目誘導加熱装置6の電力補正値は、式(51)で与えられる。
Figure 2005068553
尚、FF制御電力演算装置18は、誘導加熱装置6毎に設けても良く、また全誘導加熱装置6を統括して1台で制御しても良い。
図17、18は、FB制御の構成を示す図である。FB制御電力演算装置19は、各誘導加熱装置6の出側に設置された温度検出器7の測定信号に基づいて、電力を補正する。この電力補正値は、式(52)で求められる。
Figure 2005068553
尚、FB制御電力演算装置19は、誘導加熱装置6毎に設けても良く、また全誘導加熱装置6を統括して1台で制御しても良い。
さらに、後述する加熱効率を逐次推定し、FF制御やFB制御の結果に反映させることも有効である。この場合の加熱補正電力は、それぞれ、
Figure 2005068553
このように、誘導加熱装置6の前後に備え付けられた温度検出器7による実績温度により補正を行うことにより、温度制御精度を向上させることができる。
IV.モデル学習機能
図19は、学習機能の全体を説明する図である。本モデル学習機能は、以下の3つの学習機能を備えている。
A.誘導加熱装置6の加熱効率を推定する加熱効率の学習
B.空冷による温度降下量を推定する空冷学習
C.矯正装置5における温度降下量を推定する矯正装置での温度降下推定量とモデル学習
以下、これらの学習方法について説明する。
A.加熱効率の学習
図2における区間1、区間2、区間3の距離をそれぞれ、l1、l2、l3、またそれぞれの区間の通過速度をそれぞれ、v1、v2、v3とする。そして、鋼材1の内部の温度分布x(k)を下式で定義する。
Figure 2005068553
区間1の終端での温度は、式(56)で表される。
Figure 2005068553
誘導加熱装置6での供給電力量をuとすると、区間2の終端での温度は、式(58)で表される。
Figure 2005068553
さらに区間3の終端での温度は、式(61)で表される。
Figure 2005068553
これが目標温度Tに等しくなるようにuを決めればよいので、学習に関する式(62)が求められる。
Figure 2005068553
学習式(62)により、目標温度Tに加熱するための誘導加熱装置6への供給電力量は式(63)で与えられる。
Figure 2005068553
しかしながら、誘導加熱装置6での電力損失、また供給された電力量が鋼材1を昇温させる際の加熱損失などのため、式(63)で与えられる電力量を誘導加熱装置6に供給しても、鋼材1の昇温量が目標昇温量に達しない場合が多い。
このため、供給電力量が鋼材1の温度上昇に及ぼす加熱効率を、実昇温量を求めることにより算出し、誘導加熱装置6の加熱効率を考慮した上で、目標昇温量を得るための供給電力量を算出することにする。
鋼材1の搬送速度と、誘導加熱装置6の入り側と出側に設置された温度検出器7の設置間隔から、被加熱材のある部分が温度検出器間を通過する時間が求められる。
図2に示すように、先端からi番目の区間1、区間2、区間3における移動速度をそれぞれ、ν1(i)、ν2(i)、ν3(i)とすると温度検出器間の通過時間は以下の式(64)で求められる。
Figure 2005068553
したがって、誘導加熱装置6の入側および出側の温度検出器7では、時間差tb(i)をもって、鋼材1の同じ位置の温度が検出される。そして、その際の温度検出器7の検出した温度差が鋼材1の実昇温量となる。さらに、温度検出器7の検出を周期的に行うことにより、鋼材1全体の昇温量を検出することができる。
尚、鋼材1の先端からi番目の区間の検出温度をTbi(i)として、入り側温度検出器位置での温度分布は一様であると仮定する。
Figure 2005068553
式(30)で、i番目の効率をβ(i)として、供給電力量ub(i)を与えた場合、出側温度検出器位置での温度Tb0(i)は式(66)となる。
Figure 2005068553
加熱効率は、与えられた電力供給量のうち実際に加熱に使用される電力量の割合であり、式(66)を変形して、式(67)で表わされる。
Figure 2005068553
そして、推定された加熱効率を用いて、次段の誘導加熱装置6への供給電力量は以下の式(68)で与えられる。
Figure 2005068553
図2の制御装置10は、周期ごとに上記の計算を行い、誘導加熱装置6へ目標電力量として与える。
すなわち、温度検出器7での計測を周期的に行い、加熱効率を推定する。そして、この加熱効率の推定結果を現鋼材1が次に通過する誘導加熱装置6での投入電力計算に反映させる。それにより、鋼材1の温度制御の精度を向上させることができる。
また、上で求めた効率β(i)を当該誘導加熱装置6における次ブロックの投入電力を計算する際に使用することもできる。すなわち、加熱効率と投入電力は、以下の式(69)、(70)で表される。
Figure 2005068553
鋼材1の温度分布を考慮した効率推定を行い、その結果を次ブロックに反映させて行くため、温度制御の精度を向上させることができる。
B.空冷学習
式(9)に示す温度推定計算の中で、大気との対流や熱伝達による抜熱の量を推定することにより、鋼材の伝熱計算の学習を行う。
式(71)に示すように、熱量Qに調整係数γを乗じたQ'を大気の抜熱量とする。この調整係数γを変更しながら温度計算を行い、実績温度と推定温度が近くなるように収束計算を行う。
Figure 2005068553
γは、鋼材のサイズや鋼種により分類して保存しておくことも考えられる。
C.矯正装置での温度降下量推定とモデル学習
矯正装置5での温度降下量は、矯正装置5のロールによる抜熱、矯正装置内での大気による抜熱と冷却水による抜熱を考慮することにより、式(72)で求めることができる。
Figure 2005068553
しかしながら、これらの温度推定値は、実計測に伴う計測誤差や、ロールの磨耗、冷却水のかかり具合などの経年変化による影響が大きくなっている。そこで、矯正装置5の前後で実績した温度を用いて、これらの推定式に補正を加える。補正式は式(77)で与える。
Figure 2005068553
式(78)で求めた調整係数を用いれば、矯正装置5の温度推定式の誤差を補正し、温度降下量の経年変化を補正することができる。
このようにして求めた調整係数αは、次材以降の加熱電力を決定する際に使用する。また、鋼材1の厚みや幅や昇温量ごとに分類して保存しておき、次材以降、同様の加熱条件の鋼材に使用することができる。
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
本発明が適用される鋼材の製造ラインの概略構成を示す側面図。 本発明に係る第1の実施の形態の熱処理装置の概略構成を示す側面図。 温度変化を表す式に用いられる記号を表す図。 加熱電力から加熱後の鋼材温度分布を求める概略の手順を示すフロー図。 加熱電力を求める電力演算処理の概略のフローを示す図。 他の実施形態に係る、加熱電力を求める電力演算処理の概略のフローを示す図。 事前処理方式を実現するシステムの構成図。 鋼材のサイズと搬送速度とパス数の対応テーブルを示す図。 収束計算によって搬送速度を決定する概略の手順を示すフロー図。 加熱開始温度が変更されたときの影響係数を求める手順を示すフロー図。 加熱目標温度が変更されたときの影響係数を求める手順を示すフロー図。 修正処理方式に係るシステムの構成を示す図。 組合せ処理方式に係るシステムの構成を示す図。 トラッキング処理の動作を説明する図。 FF制御の構成を示す図。 FF制御の構成を示す図。 FB制御の構成を示す図。 FB制御の構成を示す図。 学習機能の全体を説明する図。 鋼材の測定温度による電力の補間手順を説明する図。 鋼材の測定温度による電力の補間手順を説明する図。 鋼材の測定温度による電力の補間手順を説明する図。 被加熱材の比熱と温度との関係を示す図。 被加熱材の熱伝導率と温度との関係を示す図。 被加熱材の温度を推定するための手順を示すフロー図。 係数αを求める手順を示すフロー図。 搬送速度を求める手順を示すフロー図。
符号の説明
1…鋼材、2…加熱炉、3…圧延機、4…加速冷却装置、5…矯正装置、6…誘導加熱装置、7…温度検出器、10…制御装置、11…、12…電力供給装置、13…生産管理コンピュータ、14…事前処理演算装置、15…搬送速度設定装置、16…修正処理演算装置、18…FF制御電力演算装置、19…FB制御電力演算装置。

Claims (30)

  1. 鋼材の圧延ライン上に設置され、圧延された前記鋼材を急速に冷却する加速冷却装置の後段に配された複数台の誘導加熱装置と、
    前記鋼材を矯正するための矯正装置と、
    前記圧延ライン上に設置され前記鋼材の温度を検出する少なくとも1つの温度検出器と、
    前記鋼材のサイズと、前記鋼材の搬送速度と、前記鋼材の加熱目標温度と、前記誘導加熱装置の前段における前記鋼材の前記温度検出器で測定した実測温度とに基づいて、前記誘導加熱装置に供給する供給予定電力を演算する演算装置と、
    前記演算装置により演算された供給予定電力を前記誘導加熱装置に供給する電源装置とを有し、
    前記演算装置は、
    前記誘導加熱装置による加熱中の前記鋼材の表面温度が第1の目標温度以下で、加熱終了時の鋼材厚み方向内部の所定位置における温度と第2の目標温度との差が所定範囲内になるように加熱するために前記誘導加熱装置に供給する供給予定電力、または前記誘導加熱装置による加熱終了時の前記鋼材の表面温度が第3の目標温度以上となり、加熱中の鋼材厚み方向内部の所定位置における温度が第4の目標温度以下となるように加熱するために前記誘導加熱装置に供給する供給予定電力を演算すること
    を特徴とする熱処理装置。
  2. 前記演算装置は、
    前記搬送速度と前記温度検出器で測定した鋼材温度に基づいて加熱後の鋼材温度を推定する推定手段と、
    推定した鋼材温度が所定温度範囲内にない場合には、前記搬送速度を変更して前記推定手段を繰り返えして実行させる繰り返し手段と、
    推定した鋼材温度が所定温度範囲内にある場合には、該搬送速度に基づいて前記鋼材を目標温度に加熱するために前記誘導加熱装置に供給する供給予定電力を演算する電力演算手段と
    を有することを特徴とする請求項1に記載の熱処理装置。
  3. 前記演算装置は、
    前記鋼材の搬送速度と前記供給予定電力を含むデータから誘導加熱後における前記鋼材の表面温度と厚み方向の内部温度とを推定する温度推定手段と、
    前記鋼材の表面温度と厚み方向の内部温度とが所定の温度条件に適合するかどうかを判定する適合判定手段と、
    前記温度条件に適合しない場合は、前記供給予定電力を修正して前記温度推定手段と前記適合判定手段とを繰り返して実行する判定処理手段と、
    前記温度条件に適合する場合は、その演算に用いられた供給予定電力を前記誘導加熱装置に供給する電力とする電力決定手段と
    を有することを特徴とする請求項1に記載の熱処理装置。
  4. 前記演算装置は、
    前記鋼材の搬送速度と前記供給予定電力を含むデータから誘導加熱後における前記鋼材の表面温度と厚み方向の内部温度とを推定する温度推定手段と、
    前記鋼材の表面温度と厚み方向の内部温度とが所定の温度条件に適合するかどうかを判定する適合判定手段と、
    前記温度条件に適合しない場合は、前記供給予定電力を修正して前記温度推定手段と前記適合判定手段とを繰り返して実行する判定処理手段と、
    前記温度条件に適合する場合は、その演算に用いられた供給予定電力に基づいて、前記鋼材の加熱に使用されるそれぞれの誘導加熱装置の電力量の合計値が所定の値以下である電力条件に適合するかどうかを判定する電力量判定手段と、
    前記電力条件に適合する場合は、その演算に用いられた供給予定電力を前記誘導加熱装置に供給する電力とする電力決定手段と
    を有することを特徴とする請求項1に記載の熱処理装置。
  5. 前記演算装置は、
    前記鋼材の搬送速度と前記供給予定電力を含むデータから誘導加熱後における前記鋼材の表面温度と厚み方向の内部温度とを推定する温度推定手段と、
    前記鋼材の表面温度と厚み方向の内部温度とが所定の温度条件に適合するかどうかを判定する適合判定手段と、
    前記温度条件に適合する供給予定電力の内、前記鋼材の加熱に使用されるそれぞれの誘導加熱装置の電力量の合計値が最小になる供給予定電力を前記誘導加熱装置に供給する電力とする電力決定手段と
    を有することを特徴とする請求項1に記載の熱処理装置。
  6. 前記演算装置は、
    前記誘導加熱装置による加熱後の前記鋼材の厚み方向の温度分布を推定する温度分布推定手段を更に備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の熱処理装置。
  7. 前記温度分布推定手段は、
    前記鋼材の搬送速度に基づいて、前記誘導加熱装置内における前記鋼材の厚み方向の誘導電流分布を求めて前記鋼材内部の発生熱量を算出する発生熱量算出手段と、
    前記誘導加熱装置外における前記鋼材から大気への放散熱量を算出する放散熱量算出手段と、
    前記発生熱量と前記放散熱量とを境界条件として前記鋼材の内部への熱伝導を演算して前記鋼材の表面温度と厚み方向の内部温度とを推定する温度演算手段と
    を有することを特徴とする請求項6に記載の熱処理装置。
  8. 前記温度分布推定手段は、矯正装置による前記鋼材の厚み方向の温度降下量を推定する冷却温度推定手段を有することを特徴とする請求項6または7に記載の熱処理装置。
  9. 前記演算装置は、
    前記鋼材の長手方向の各位置に対応して前記鋼材の加熱に使用された加熱電力と前記鋼材の温度検出値との履歴を管理する加熱履歴管理手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の熱処理装置。
  10. 初段の誘導加熱装置の入り側に設けられた前記温度検出器で検出された前記鋼材の先頭部分の温度と後端部分の実測温度または推定温度と前記鋼材の搬送速度とに基づいて、前記鋼材の先頭部分と後端部分についてそれぞれの誘導加熱装置毎の加熱目標温度を算出する目標温度算出手段と、
    前記鋼材の先頭部分と後端部分においては、前記加熱目標温度に基づいてそれぞれの誘導加熱装置に供給する電力を算出し、前記鋼材の先頭部分と後端部分の移動に合わせて前記電力を制御して前記電源装置に供給する電力供給手段と、
    前記鋼材の先頭部分と後端部分に挟まれた中間部分においては、前記鋼材の先頭部分の実測温度と、後端部分の実測温度または推定温度と、当該中間部分の実測温度または推定温度とに基づいて、前記鋼材の先頭部分と後端部分の誘導加熱装置毎の加熱目標温度を補正して前記中間部分の誘導加熱装置毎の加熱目標温度を算出する中間部分目標温度算出手段と、
    前記中間部分の誘導加熱装置毎の加熱目標温度に基づいてそれぞれの誘導加熱装置に供給する中間電力を算出し、前記鋼材の中間部分の移動に合わせて前記中間電力を制御して前記電源装置に供給する中間電力制御手段と
    を備えることを特徴とする請求項9記載の熱処理装置。
  11. 少なくとも1つの前記誘導加熱装置の前後に前記温度検出器を有し、
    前記演算装置は、
    前記誘導加熱装置に供給した電力と前記温度検出器で測定した前記鋼材の上昇温度とに基づいて前記誘導加熱装置の加熱効率を推定する加熱効率推定手段と、
    次に熱処理予定の前記鋼材に対して求めた電力を前記加熱効率を用いて補正演算する補正演算手段と
    を有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の熱処理装置。
  12. 前記演算装置は、
    前記圧延ラインにおける前記鋼材の大気への放散熱量を実績温度によって修正する温度降下量修正手段と、
    次に熱処理予定の前記鋼材に対して、前記修正された放散熱量によって推定された温度降下量に基づいて、前記鋼材を目標温度に加熱するための供給予定電力を演算する冷却補正電力演算手段と
    を有することを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の熱処理装置。
  13. 前記演算装置は、
    前記圧延ラインにおける前記鋼材の前記矯正装置による温度降下量を、前記矯正装置の前後に設置された温度検出器によって測定された実測温度によって修正する温度降下量修正手段と、
    次に熱処理予定の前記鋼材に対して、前記修正された矯正装置での温度降下量に基づいて、前記鋼材を目標温度に加熱するための供給予定電力を演算する冷却補正電力演算手段と
    を有することを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の熱処理装置。
  14. 前記誘導加熱装置間に前記温度検出器を少なくとも1つ有し、
    前記温度検出器で測定した鋼材温度と、予め与えられたその位置での目標温度との差に基づいて前段の誘導加熱装置に供給する電力を制御するフィードバック制御手段と、
    前記温度検出器で測定した鋼材温度と、予め与えられたその位置での目標温度との差に基づいて後段の誘導加熱装置に供給する電力を制御するフィードフォワード制御手段と
    を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の熱処理装置。
  15. 前記フィードバック制御手段は、
    前記鋼材の長手方向の各位置に対応して前記温度検出器で測定した鋼材温度と、予め与えられたその位置での目標温度との差に基づいて前段の誘導加熱装置に供給する電力を制御することを特徴とする請求項14記載の熱処理装置。
  16. 前記フィードフォワード制御手段は、
    前記鋼材の長手方向の各位置に対応して前記温度検出器で測定した鋼材温度と、予め与えられたその位置での目標温度との差に基づいて後段の誘導加熱装置に供給する加熱電力を制御することを特徴とする請求項14記載の熱処理装置。
  17. 鋼材を加熱する複数台の誘導加熱装置と、
    前記鋼材を矯正するための矯正装置と、
    前記鋼材のサイズと、前記鋼材の搬送速度と、前記鋼材の加熱目標温度と、前記誘導加熱装置の前段における前記鋼材の予定温度とに基づいて、前記誘導加熱装置に供給する供給予定電力を演算する演算装置と、
    前記演算装置により演算された供給予定電力を前記誘導加熱装置に供給する電源装置とを有し、
    前記演算装置は、
    前記誘導加熱装置による加熱中の前記鋼材の表面温度が第1の目標温度以下で、加熱終了時の鋼材厚み方向内部の所定位置における温度と第2の目標温度との差が所定範囲内になるように加熱するために前記誘導加熱装置に供給する供給予定電力、または前記誘導加熱装置による加熱終了時の前記鋼材の表面温度が第3の目標温度以上となり、加熱中の鋼材厚み方向内部の所定位置における温度が第4の目標温度以下となるように加熱するために前記誘導加熱装置に供給する供給予定電力を演算することを特徴とする熱処理装置。
  18. 前記誘導加熱装置は、前記鋼材の圧延ライン上に設置されて、圧延後に加速冷却装置によって急速に冷却された前記鋼材を加熱することを特徴とする請求項17記載の熱処理装置。
  19. 前記鋼材の搬送速度は、前記鋼材のサイズに基づいて予め定められた搬送速度であることを特徴とする請求項17または18に記載の熱処理装置。
  20. 前記演算装置は、
    前記鋼材の搬送速度と前記供給予定電力を含むデータから誘導加熱後における前記鋼材の表面温度と厚み方向の内部温度とを推定する温度推定手段と、
    前記鋼材の表面温度と厚み方向の内部温度とが所定の温度条件に適合するかどうかを判定する適合判定手段と、
    前記温度条件に適合しない場合は、前記供給予定電力を修正して前記温度推定手段と前記適合判定手段とを繰り返して実行する判定処理手段と、
    前記温度条件に適合する場合は、その演算に用いられた供給予定電力を前記誘導加熱装置に供給する電力とする電力決定手段と
    を有することを特徴とする請求項17乃至19のいずれかに記載の熱処理装置。
  21. 前記演算装置は、
    前記鋼材の搬送速度と前記供給予定電力を含むデータから誘導加熱後における前記鋼材の表面温度と厚み方向の内部温度とを推定する温度推定手段と、
    前記鋼材の表面温度と厚み方向の内部温度とが所定の温度条件に適合するかどうかを判定する適合判定手段と、
    前記温度条件に適合しない場合は、前記供給予定電力を修正して前記温度推定手段と前記適合判定手段とを繰り返して実行する判定処理手段と、
    前記温度条件に適合する場合は、その演算に用いられた供給予定電力に基づいて、前記鋼材の加熱に使用されるそれぞれの誘導加熱装置の電力量の合計値が所定の値以下である電力条件に適合するかどうかを判定する電力量判定手段と、
    前記電力条件に適合する場合は、その演算に用いられた供給予定電力を前記誘導加熱装置に供給する電力とする電力決定手段と
    を有することを特徴とする請求項17乃至19のいずれかに記載の熱処理装置。
  22. 前記演算装置は、
    前記鋼材の搬送速度と前記供給予定電力を含むデータから誘導加熱後における前記鋼材の表面温度と厚み方向の内部温度とを推定する温度推定手段と、
    前記鋼材の表面温度と厚み方向の内部温度とが所定の温度条件に適合するかどうかを判定する適合判定手段と、
    前記温度条件に適合する供給予定電力の内、前記鋼材の加熱に使用されるそれぞれの誘導加熱装置の電力量の合計値が最小になる供給予定電力を前記誘導加熱装置に供給する電力とする電力決定手段と
    を有することを特徴とする請求項17乃至19のいずれかに記載の熱処理装置。
  23. 前記演算装置は、
    前記誘導加熱装置による加熱後の前記鋼材の厚み方向の温度分布を推定する温度分布推定手段を更に備えたことを特徴とする請求項17乃至22のいずれかに記載の熱処理装置。
  24. 前記温度分布推定手段は、
    前記誘導加熱装置内における前記鋼材の厚み方向の誘導電流分布を求めて前記鋼材内部の発生熱量を算出する発生熱量算出手段と、
    前記誘導加熱装置外における前記鋼材から大気への放散熱量を算出する放散熱量算出手段と、
    前記発生熱量と前記放散熱量とを境界条件として前記鋼材の内部への熱伝導を演算して前記鋼材の表面温度と厚み方向の内部温度とを推定する温度演算手段とを有することを特徴とする請求項23記載の熱処理装置。
  25. 前記温度分布推定手段は、矯正装置による前記鋼材の厚み方向の温度降下量を推定する冷却温度推定手段を有することを特徴とする請求項23記載の熱処理装置。
  26. 前記演算装置は、
    前記鋼材の長手方向に仮想的に複数の区画に分割し、この区画単位で前記鋼材の加熱に使用された加熱電力と前記鋼材の温度検出値との履歴を管理する加熱履歴管理手段を更に有することを特徴とする請求項17乃至25のいずれかに記載の熱処理装置。
  27. 前記演算装置は、
    前記鋼材の搬送速度と前記供給予定電力を含むデータから誘導加熱後における前記鋼材の表面温度と厚み方向の内部温度とを推定する温度推定手段と、
    前記鋼材の表面温度と厚み方向の内部温度とが所定の温度条件に適合するかどうかを判定する適合判定手段と、
    前記温度条件に適合する供給予定電力の内、前記鋼材の搬送速度が最大になる供給予定電力を前記誘導加熱装置に供給する電力とする電力決定手段とを有することを特徴とする請求項17または18に記載の熱処理装置。
  28. 前記演算装置は、
    前記鋼材の搬送速度と前記供給予定電力を含むデータから誘導加熱後における前記鋼材の表面温度と厚み方向の内部温度とを推定する温度推定手段と、
    前記鋼材の表面温度と厚み方向の内部温度とが所定の温度条件に適合するかどうかを判定する適合判定手段と、
    前記温度条件に適合しない場合は、前記供給予定電力を修正して前記温度推定手段と前記適合判定手段とを繰り返して実行する判定処理手段と、
    前記温度条件に適合する場合は、その演算に用いられた供給予定電力に基づいて、前記鋼材の加熱に使用されるそれぞれの誘導加熱装置の電力量の合計値が所定の値以下である電力条件に適合するかどうかを判定する電力判定手段と、
    前記電力条件に適合する場合は、前記搬送速度を増加した新たな搬送速度を用いて前記温度推定手段、前記適合判定手段、前記判定処理手段、前記電力判定手段を前記温度条件に適合しなくなるまで繰り返して実行し、前記温度条件と前記電力条件に適合する最終の演算に用いられた搬送速度を新たな搬送速度として獲得する搬送速度演算手段と
    を有することを特徴とする請求項17または18に記載の熱処理装置。
  29. 鋼材の圧延ライン上に設置され、圧延された前記鋼材を急速に冷却する加速冷却装置の後段に配された複数台の誘導加熱装置と、
    前記鋼材を矯正するための矯正装置と、
    前記圧延ライン上に設置され前記鋼材の温度を検出する少なくとも1つの温度検出器と、
    前記鋼材のサイズと、前記鋼材の搬送速度と、前記鋼材の加熱目標温度と、前記誘導加熱装置の前段における前記鋼材の予定温度とに基づいて、前記誘導加熱装置に供給する第1の供給予定電力を演算する第1の演算装置と、
    前記鋼材のサイズと、前記鋼材の搬送速度と、前記鋼材の加熱目標温度と、前記誘導加熱装置の前段における前記鋼材の前記温度検出器で測定した実測温度とに基づいて、前記誘導加熱装置に供給する第2の供給予定電力を演算する第2の演算装置と、
    前記鋼材の予定温度と前記鋼材の実績温度との差が所定の範囲内にあれば前記第1の供給予定電力を供給予定電力として選択し、前記鋼材の予定温度と前記鋼材の実績温度との差が所定の範囲内になければ前記第2の供給予定電力を供給予定電力として選択する電力選択装置と、
    前記電力選択装置により選択された供給予定電力を前記誘導加熱装置に供給する電源装置とを有し、
    前記第1及び第2の演算装置は、
    前記誘導加熱装置による加熱中の前記鋼材の表面温度が第1の目標温度以下で、加熱終了時の鋼材厚み方向内部の所定位置における温度と第2の目標温度との差が所定範囲内になるように加熱するために前記誘導加熱装置に供給する供給予定電力、または前記誘導加熱装置による加熱終了時の前記鋼材の表面温度が第3の目標温度以上となり、加熱中の鋼材厚み方向内部の所定位置における温度が第4の目標温度以下となるように加熱するために前記誘導加熱装置に供給する供給予定電力を演算することを特徴とする熱処理装置。
  30. 請求項1乃至29のいずれかに記載の熱処理装置を用いて、熱処理を行うことによって製造することを特徴とする鋼材の製造方法。
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