JP7207335B2 - 板温制御方法、加熱制御装置、及び金属板の製造方法 - Google Patents

板温制御方法、加熱制御装置、及び金属板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、金属板を誘導加熱で加熱する際の、板温制御方法及び加熱制御装置、及びそれを用いた金属板の製造方法に関する。本発明は、特に、高精度に金属板を目標温度に急速加熱するのに好適な技術である。
圧延後の金属板の板温を、連続焼鈍炉にて焼鈍する前に目標板温に加熱する方式を採用する場合がある。焼鈍前の加熱方法としては、連続焼鈍炉の前段(上流側)に設置した誘導加熱装置(誘導加熱炉)を用いて金属板が目標板温となるように加熱制御する方法がある。ここで、焼鈍炉で金属板を加熱する際に、板温が目標板温の管理範囲を外れると、材料の引張強度や磁気特性など製品品質に影響を及ぼす。このため、加熱帯で加熱する金属板の板温制御の精度を向上させることは重要である。
連続焼鈍炉の入側で誘導加熱装置を用いて金属板を目標板温に加熱制御する方法として、例えば、特許文献1に記載された方法がある。
特許文献1では、ライン速度などの焼鈍炉での操業条件が変動した場合に、加熱帯出側板温の変動を抑制するために、加熱帯での板温変動量を板温モデル式に基づいて算出する。そして、加熱帯の上流側(連続焼鈍炉の入側)に設置された誘導加熱装置の出力を変更することで、連続焼鈍炉における加熱帯出側の板温制御の精度、及び応答性を改善する。
特開2018-123364号公報
特許文献1では、連続焼鈍炉の操業条件が変動した場合に、誘導加熱装置を用いることで温度制御の応答性を改善することが開示されている。しかし、特許文献1では、誘導加熱装置出側での板温の精度については考慮されていない。
ここで、誘導加熱装置出側の板温が、連続焼鈍炉で要求される目標板温に至っていない場合、加熱帯出側での板温制御に影響を及ぼす可能性がある。誘導加熱装置の出力は、誘導加熱装置の入側における板温と誘導加熱装置の出側における目標板温に基づいて決定されるが、従来にあっては、誘導加熱装置の入側における板温は固定値とされている。このため、大気温(外気の雰囲気温度)の低下などに起因して誘導加熱装置入側での金属板の板温が変動すると、誘導加熱装置出側での板温を高精度に制御することができないおそれがある。
本発明は、上記のような課題に着目してなされたもので、誘導加熱炉出側での金属板の板温を高精度に制御可能な技術を提供することを目的とする。
課題を解決するために、本発明の一態様は、複数の誘導加熱装置が金属板の搬送方向に沿って配置された誘導加熱炉によって、上記金属板の板温が所定の目標板温となるように加熱制御する板温制御方法であって、上記複数の誘導加熱装置から選択した1又は2以上の誘導加熱装置の出力値を、上記目標板温及び上記誘導加熱炉外の外気の雰囲気温度に基づき設定することを要旨とする。
また、本発明の一態様は、複数の誘導加熱装置が金属板の搬送方向に沿って配置された誘導加熱炉によって、上記金属板の板温が所定の目標板温となるように加熱制御する加熱制御装置であって、上記誘導加熱炉外の外気の雰囲気温度を測定する外気温度測定部と、上記複数の誘導加熱装置から選択した1又は2以上の第1の誘導加熱装置の出力値を、上記目標板温及び上記誘導加熱炉外の外気の雰囲気温度に基づき設定する出力値設定部と、を備えることを要旨とする。
本発明の態様によれば、複数の誘導加熱装置からなる誘導加熱炉出側での金属板の板温をより高精度に制御することが可能となる。この結果、本発明の態様によれば、安定して目的とする金属板を製造することが可能となる。
本発明に基づく実施形態に係る設備構成を説明する図である。 本発明に基づく実施形態に係る誘導加熱炉の構成を説明する概念図である。 加熱制御装置の構成例を説明する図である。 板温制御処理の例を説明するフローチャートである。 中間炉体の影響を説明する図である。 実施例におけるパターン1の遷移図を示す図である。 実施例におけるパターン2の遷移図を示す図である。 実施例におけるパターン3の遷移図を示す図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
本実施形態では、誘導加熱炉で加熱する金属板の例として、薄鋼板を想定して説明する。本発明が適用可能な金属板は、薄鋼板に限定されず、厚鋼板であってもよいし、アルミニウム板などの鋼以外の金属材料からなる金属板であっても良い。
(構成)
本実施形態における金属板を製造する設備は、図1に示すように、圧延設備1、前処理設備2、誘導加熱炉3、及び連続焼鈍炉4を、備える。そして、本実施形態では、この設備順に、搬送される金属板に対し、連続して処理が施される。
<圧延設備1>
本実施形態の圧延設備1は、冷間圧延工程を実行する圧延機を備える圧延設備である。
本実施形態では、先行する金属板50の尾端部と後行する金属板50の先端部を溶接機により順次、溶接により接続しつつ、金属板50に対し連続して冷間圧延を実行する。
圧延設備1は、熱間圧延工程を実行する圧延設備であっても良い。
圧延後の金属板50は連続焼鈍の工程に向けて搬送される。
<前処理設備2>
前処理設備2は、圧延された金属板50の表面を脱脂処理する洗浄装置である。前処理設備2では、搬送されてきた金属板50に対し、連続的に液剤を吹き付けたり液剤の浴槽に浸漬させたりすることで、脱脂処理を実行する。
本実施形態では、前処理設備2の出側での金属板50の板温を取得して加熱制御装置10に出力する。
前処理設備2の出側での金属板50の板温の取得方法は特に限られない。例えば、脱脂後の金属板50の板温は、液剤とほぼ同じ温度となることから、その液剤の管理されている液温が加熱制御装置10に出力される。或いは、前処理設備2出側での金属板50の板温を板温計で測定し、加熱制御装置10に出力してもよい。予め液剤の温度を取得する方が、早期に、前処理設備2出側での金属板50の板温を取得することができるという利点がある。
ここで、本願において、測定される金属板50の板温は、金属板の表面温度である。ただし、薄い金属板(板厚:2mm以下)の場合、表面温度と板の内部温度とは同じ温度であるので、薄い金属板(板厚:2mm以下)の場合には、金属板50の板温として板の内部温度を測定しても構わない。
なお、前処理設備2の出側から誘導加熱炉3までの板温は、例えば50℃未満である。
<誘導加熱炉3>
本実施形態では、圧延後の金属板50を、誘導加熱炉3にて急速加熱してから、焼鈍炉4にて焼鈍する構成となっている。焼鈍炉4での焼鈍は所定の焼鈍温度で所定時間行う必要があり、本実施形態では、誘導加熱炉3を使用することで早期に(短時間で)焼鈍前の金属板50を目標板温まで昇温し、その後焼鈍炉4にて焼鈍温度まで昇温させて焼鈍することができる。例えば、生産性向上のために焼鈍ラインにおける金属板50の搬送速度を増速させた場合に、焼鈍炉4のみでは金属板50の板温が焼鈍温度に至るまでに時間を要し、十分に焼鈍することができないおそれがある。そこで、誘導加熱炉3を焼鈍炉4に併用することで、生産性を向上させながら、焼鈍前の金属板50の板温を目標板温まで昇温させ、その後、加熱炉4にて焼鈍温度まで昇温することで所定の焼鈍温度にて所定時間焼鈍することが確保可能となる。
本実施形態の誘導加熱炉3は、複数の誘導加熱装置が直列に(金属板50の搬送方向に沿って)配置され、隣り合う誘導加熱装置間が中間炉体13(13a,13b)で連結されている。また、誘導加熱炉3の入側及び出側にそれぞれ上流炉体12及び下流炉体14が配されて構成される。
ここで、1台の誘導加熱装置で可能な加熱には出力限界がある。このため、本実施形態にあっては、誘導加熱炉として、直列に配置(連結)した複数の誘導加熱装置によって、金属板を目標温度に加熱する構成を採用している。
直列に配置する誘導加熱装置31の台数に特に限定はないが、本実施形態は、図2に示すように、3台の誘導加熱装置31a、31b、31cが配される構成である。本実施形態では、金属板50の搬送方向上流側から順に、誘導加熱装置31a、31b、31cの3台の誘導加熱装置が配されている。
ここで、誘導加熱装置31a、31b、31cを区別する必要がないときは、単に誘導加熱装置31とも記載する。また、誘導加熱装置31aが、最上流側に配置される誘導加熱装置(最上流位置の誘導加熱装置)であり、誘導加熱装置31cが最下流に配置された誘導加熱装置(最下流位置の誘導加熱装置)である。また、誘導加熱装置31bが、中間位置に配置された誘導加熱装置である。
誘導加熱炉3は、各誘導加熱装置31(31a~31c)によって、金属板50の板温を目標板温まで急速加熱する。ここで、焼鈍炉4の加熱帯41による金属板50の加熱速度(昇温速度)は、各誘導加熱装置31による金属板50の加熱速度より低速度である。夫々の加熱速度は特に限られるものではないが、例えば誘導加熱装置31は金属板50を100℃/s以上の速度で加熱し、加熱帯41は金属板50を30℃/s以下の速度で加熱する。
誘導加熱炉3について更に詳説する。
誘導加熱炉3で金属板50を短時間で急速加熱するには、隣接する誘導加熱装置31a~31c同士を可能な限り接近して配置することが望ましい。その一方で、誘導加熱装置31a~誘導加熱装置31cの間に、金属板50の搬送を支持する支持部材(後述する搬送ロール)を配することが出来ない場合、搬送される金属板50が撓んで誘導加熱装置31に接触してしまう恐れがある。このため、金属板50を適切に搬送するには各誘導加熱装置31の上流側及び下流側の空間(誘導加熱装置間)に搬送ロールを設ける必要がある。
以上のことから、実施形態の誘導加熱炉3では、誘導加熱装置31aの上流側(入側)に上流炉体12を設けて内部に搬送ロール6を配置している。同様に、誘導加熱装置31aと誘導加熱装置31bの間、並びに、誘導加熱装置31bと誘導加熱装置31cの間に中間炉体13a、13bを設けて、その中間炉体13a、13bの内部に搬送ロール6を配置している。更に、誘導加熱装置31cの下流側に下流炉体14を設けて内部に搬送ロール6を配置している。
また、上流炉体12、中間炉体13b及び下流炉体14には、本実施形態を実現すべく各炉体内の雰囲気温度を測定する炉温計5が配置されている。すなわち、最上流位置の誘導加熱装置31aの入側、及び最下流位置の誘導加熱装置31cの入側及び出側の炉体内の雰囲気温度を炉温計5で測定する。他の中間炉体13aにも炉温計を配置しても良い。各炉温計が測定した雰囲気温度は、加熱制御装置10に出力される。
また本実施形態では、中間炉体13bに排気装置15が取り付けられ、排気装置15によって、誘導加熱炉3内の炉内ガスを排気する。また、下流炉体14には配管16が取り付けられ、配管16によって、誘導加熱炉3内に炉内ガス(例えばHN)を注入する。ここで、炉体13b、14に排気装置15や配管16が取り付けられると、これに伴って炉体13b、14の炉長が長くなる。そして、金属板50が中間炉体13bや下流炉体14を通過する際に金属板50の板温が下がる可能性がある。そこで本実施形態では、中間炉体13b及び下流炉体14にヒーター7が配置され、金属板50が各炉体13b、14を通過する際に金属板50の板温が低下することを抑制している。
また、下流炉体14には、炉温計5とは別に、板温計8が配置されている。板温計8は、下流炉体14を通過する金属板50の板温を計測する。板温計8により測定された金属板50の板温を示す情報は加熱制御装置10に出力される。
<加熱制御装置10>
加熱制御装置10は、各誘導加熱装置31の出力を制御して、金属板50を目標板温に加熱する制御装置である。
加熱制御装置10は、図3に示すように、外気温度測定部10A、出力値設定部10B、出力値再補正部10C、及びFB制御部10Dを備える。
<外気温度測定部10A>
外気温度測定部10Aは、大気温度計9が測定した、誘導加熱炉3外の外気の雰囲気温度を取得する。大気温度計9は、誘導加熱炉3は設置された工場の建屋内の雰囲気温度が測定可能であればよい。測定した雰囲気温度は、後述するように、誘導加熱炉3の入側における金属板50の板温に影響を与える要素として取得されるため、その測定位置は、前処理設備2と誘導加熱炉3の間の外気の雰囲気温度であることがより好ましい。
なお、本明細書において「大気」と「外気」は同義である。
<出力値設定部10B>
出力値設定部10Bは、誘導加熱炉3の目標板温に基づき、複数の誘導加熱装置での各出力値をそれぞれ設定する処理を実行する。
出力値設定部10Bは、出力値設定本体部10Baと、第1補正部10Bbとを備える。
[出力値設定本体部10Ba]
本実施形態の出力値設定本体部10Baは、予め設定した誘導加熱炉3入側での板温である設定入側温度と、誘導加熱炉3出側での目標板温とに基づき、設定入側温度の金属板50を目標板温に加熱するための、各誘導加熱装置31での入側設定温度と出側設定温度とをそれぞれ、公知の手法で演算する。そして、出力値設定部10Bは、各誘導加熱装置31毎に、入側設定温度の金属板50を出側設定温度とする誘導加熱装置の出力値を算出(設定)する。算出した出力値は、各誘導加熱装置31の制御部に出力する。
[第1補正部10Bb]
第1補正部10Bbは、外気温度測定部10Aが測定した誘導加熱炉3外の外気の雰囲気温度に基づき誘導加熱炉3入側での金属板50の板温を予測する。そして、第1補正部10Bbは、予測した板温によって、複数の誘導加熱装置31から選択した1又は2以上の誘導加熱装置の出力値を変更する。
本実施形態では、第1補正部10Bbは、最上流位置の誘導加熱装置31aの出力値を設定変更する。例えば出力値設定本体部10Baは、最上流位置の誘導加熱装置31aでの入側設定温度を、第1補正部10Bbが予測した誘導加熱炉3入側での金属板50の板温に変更して、最上流位置の誘導加熱装置31aの出力値を再計算する。
仮に、設定入側温度が20℃であり、目標板温が700℃である場合、例えば、まず、最上流位置の誘導加熱装置31aでの入側設定温度と出側設定温度とを、20℃と200℃とし、中間位置の誘導加熱装置31bでの入側設定温度と出側設定温度とを、200℃と500℃とし、最下流位置の誘導加熱装置31cでの入側設定温度と出側設定温度とを、500℃と700℃と設定する。次に、第1補正部10Bbが求めた誘導加熱炉3入側での金属板50の板温が40℃であれば、最上流位置の誘導加熱装置31aでの入側設定温度を、20℃から40℃に変更した後、最上流位置の誘導加熱装置31aでの出力値を再計算する。なお、誘導加熱炉3入側での予測した金属板50の板温と、予め設定した初期値としての最上流位置の誘導加熱装置31aでの入側設定温度(設定入側温度)との温度差を、最上流位置の誘導加熱装置31a以外の誘導加熱装置の出力を設定変更することで補償しても良いし、複数の誘導加熱装置31の出力値を設定変更して補償しても良い。
なお、設定入側温度と、第1補正部10Bbが求めた誘導加熱炉3入側での金属板50の板温との温度差が適正範囲内にある場合には、最上流位置の誘導加熱装置31aでの入側設定温度の変更を実行しない。すなわち、最上流位置の誘導加熱装置31aの出力値を再計算しない。
また、出力値の設定処理はこれに限定されない。例えば、上記の設定入側温度を、第1補正部10Bbが予測した誘導加熱炉3入側での金属板50の板温として設定する。その後、出力値設定本体部10Baは、再設定した設定入側温度と、誘導加熱炉3出側での目標板温とに基づき、再設定した設定入側温度の金属板50を目標板温に加熱するための、各誘導加熱装置31での入側設定温度と出側設定温度とを求める。この場合には、誘導加熱装置31での出力値を変更(補正)するのではなく、外気温度測定部10Aでの測定値を加味して誘導加熱装置31での出力値を直接求めることになる。
[誘導加熱炉3入側での金属板50の板温の予測について]
第1補正部10Bbで実行される、外気温度測定部10Aが測定した誘導加熱炉3外の外気の雰囲気温度に基づき誘導加熱炉3入側での金属板50の板温を予測する方法について補足説明する。
誘導加熱炉3入側での金属板50の板温T[℃]の予測は、前処理設備2の出側から誘導加熱装置31aの入側に到達するまでの板温降下量を求め、求めた板温降下量分だけ前処理設備2の出側での板温から減算することで求めることが出来る。この演算は、例えば、(1)式によって計算される。
Figure 0007207335000001
ここで、
Ta:外気温度測定部10Aが測定した外気の温度[℃]
T0:前処理設備2出側の板温[℃]
α:金属板50の熱伝達係数[kcal/(m・h・℃)]
c:金属板50の比熱[cal/(kg・K)]
ρ:金属板50の比重[kg/m
D:金属板50の板厚[m]
t:前処理設備2から誘導加熱炉3の入側までを通過する時間[sec]
である。
上述の通り、前処理設備2の出側板温Toは、板温計等を用いて計測してもよいが、本実施形態では、前処理設備2で使用される前処理剤の液温であるものとする。
本実施形態では、誘導加熱炉3入側から最上流位置の誘導加熱装置31aまでの距離が短いため、誘導加熱炉3入側での金属板50の板温T[℃]を、最上流位置の誘導加熱装置31aの入側での板温と見なした。
第1補正部10Bbは、誘導加熱炉3入側から最上流位置の誘導加熱装置31aの入側までの板温の温度変化部も考慮して板温を求めても良い。すなわち、第1補正部10Bbは、上記求めた誘導加熱炉3入側での金属板50の板温T[℃]と、炉温計5で測定した上流炉体12の炉内の温度[℃]とに基づき、(1)式によって、最上流位置の誘導加熱装置31aの入側での板温を求めるようにしても良い。このとき、上記求めたT[℃]をT0とし、Taを上流炉体12の炉内の温度[℃]とし、tを誘導加熱炉3入側から誘導加熱装置31aの入側までを通過する時間[sec]とする。
[誘導加熱装置の出力値の算出について]
誘導加熱装置31の出力値(目標出力)は、例えば、下記(2)式に基づき算出すればよい。
Figure 0007207335000002
ここで、
P:誘導加熱装置31aの目標出力[kW]
D:金属板50の板厚[m]
W:金属板50の板幅[m]
LS:金属板の搬送速度[m/s]
ρ:金属板50の比重[kg/m
:誘導加熱装置31a入側の金属板50のエンタルピー[kJ/kg]
:誘導加熱装置31a出側の金属板50のエンタルピー[kJ/kg]
A:補正係数
である。
すなわち、誘導加熱装置31aの入側における板温(入側設定温度)と出側における目標板温(出側設定温度)との温度差に相当するエンタルピーと誘導加熱装置31aを通過する金属板50の単位時間あたりの質量に基づいて、誘導加熱装置31aの目標出力を決定すればよい。
<出力値再補正部10C>
出力値再補正部10Cは、複数の誘導加熱装置31から選択した1又は2以上の誘導加熱装置出側における誘導加熱装置間の炉内温度に基づき、複数の誘導加熱装置31から選択した1又は2以上の誘導加熱装置の出力値を補正する。
本実施形態の出力値再補正部10Cは、第1出力値再補正部10Caと、第2出力補正部とを備える。
[第1出力値再補正部10Ca]
第1出力値再補正部10Caは、炉温計5aによって測定された最下流位置の誘導加熱装置31cと、中間位置の誘導加熱装置31bとの間の誘導加熱装置間の中間炉体13b内の炉内温度とに基づいて、最下流位置の誘導加熱装置31c及び中間位置の誘導加熱装置31bの少なくとも一方の出力値を補正する。
具体的には、第1出力値再補正部10Caは、中間位置の誘導加熱装置31bの出側設定温度と、炉温計5aが測定した中間炉体13b内の炉内温度と、中間炉体13bを金属板50が通過する時間とから、上記の(1)式に基づき、中間炉体13bでの板温降下量を求める。次に、第1出力値再補正部10Caは、求めた板温降下量が適正範囲内でないと判定した場合、中間位置の誘導加熱装置31bの出側設定温度を板温降下量分だけ大きく補正して、中間位置の誘導加熱装置31bの出力値を再計算して、中間位置の誘導加熱装置31bの制御部に出力するか、最下流位置の誘導加熱装置31cの入側設定温度を板温降下量分だけ小さく補正して、最下流位置の誘導加熱装置31cの出力値を再計算して、最下流位置の誘導加熱装置31cの制御部に出力する。
ここで、中間位置の誘導加熱装置31bの出側設定温度の代わりに、中間位置の誘導加熱装置31bの出側の板温を測定して用いても良い。
中間位置の誘導加熱装置31bと最下流位置の誘導加熱装置31cにおける、出力値を補正する誘導加熱装置の選定は、例えば、両者31b、31cの出力の余裕が大きい方に設定する。又は、板温降下量分を、中間位置の誘導加熱装置31bと最下流位置の誘導加熱装置31cの両方に分配し、両誘導加熱装置31b、31cの出力を補正しても良い。
本実施形態の第1出力値再補正部10Caでは、出力値を補正する誘導加熱装置を、最下流位置の誘導加熱装置31cとする。これは、制御の簡素化のため出力値を補正する誘導加熱装置を1台に限定する意図と、誘導加熱炉3の最下流(出側に最も近い位置)に配置された誘導加熱装置31cにて板温を制御することで、誘導加熱炉3の出側における金属板50の板温を高精度に目標板温に制御するためである。
[第2出力値再補正部10Cb]
第2出力値再補正部10Cbは、炉温計5bによって測定された最下流位置の誘導加熱装置31cの出側である下流炉体14内の炉内温度に基づいて最下流位置の誘導加熱装置31cの出力値を補正する。
具体的には、第2出力値再補正部10Cbは、最下流位置の誘導加熱装置31cの出側設定温度と、炉温計5bが測定した下流炉体14内の炉内温度と、下流炉体14を金属板50が通過する時間とから、上記の(1)式に基づき、下流炉体14での板温降下量を求める。次に、第2出力値再補正部10Cbは、求めた板温降下量が適正範囲内でないと判定した場合、最下流位置の誘導加熱装置31cの出側設定温度を板温降下量分だけ大きく補正してから、最下流位置の誘導加熱装置31cの出力値を再計算して、再計算後の出力値を最下流位置の誘導加熱装置31cの制御部に出力する。
ここで、最下流位置の誘導加熱装置31cの出側設定温度の代わりに、最下流位置の誘導加熱装置31cの出側の板温を直接測定して用いても良い。
<FB制御部10D>
FB制御部10Dは、最下流位置の誘導加熱装置31c出側の下流炉体14内で測定した金属板50の板温に基づき、最下流位置の誘導加熱装置31cの出力値をフィードバック制御で補正する。
具体的には、FB制御部10Dは、板温計8により測定された金属板50の板温と目標板温との温度差が適正範囲内であるか否かを判定する。そして、FB制御部10Dは、適正範囲内でないと判定した場合には、フィードバック制御を実行し、上記温度差を解消するように、最下流位置の誘導加熱装置31cの出力を変更する。誘導加熱装置31cの目標出力の算出方法は、最下流位置の誘導加熱装置31c出側の金属板50のエンタルピーHを、温度の差分を解消するように変更する以外は、上述の誘導加熱装置の出力値の算出と同様な方法で算出可能である。
<板温制御の例>
以下、加熱制御装置10での板温制御の処理例を、図4を参照して説明する。
図4は、本実施形態の加熱制御装置10が実行する板温制御処理の流れを示すフローチャートである。この板温制御処理は、誘導加熱処理中に、所定のサンプリング周期で実行される。
ステップS10では、加熱制御装置10は、最上流位置の誘導加熱装置31aの入側に設定した板温である入側設定温度が適正温度であるか、言い換えれば、最上流位置の誘導加熱装置31aの入側に設定された入側設定温度が、目標温度に対して適正範囲であるか否かを判定する。
具体的には、外気温度測定部10Aが取得した外気温度に基づき算出した最上流位置の誘導加熱装置31a入側での予測板温と、最上流位置の誘導加熱装置31a入側での予め設定した入側設定温度とを比較し、その温度差が閾値範囲内であるか否か、例えば予測板温が入側設定温度に対して閾値以上低温ではないか判定する。その結果、適正温度でないと判定した場合にはステップS20に移行し、適正温度であると判定した場合にはステップS30に移行する。
ステップS20では、加熱制御装置10は、最上流位置の誘導加熱装置31aの入側設定温度を、外気温度測定部10Aが取得した外気温度に基づき算出した板温に変更して、最上流位置の誘導加熱装置31aの出力値を再計算し、その再計算した出力値に、最上流位置の誘導加熱装置31aの目標出力を変更する。その後、ステップS30に移行する。
ここで、本実施形態では、入側設定温度が外気温に基づき適宜、更新されることとなる。そして、一度、外気温に基づき入側設定温度が再設定されると、外気温の変動が小さい場合(外気温度測定部10Aが取得した外気温度に基づき算出した板温が再設定後の入側設定温度に対して適正温度の範囲内にある場合)には、このステップS20の処理は実行されることはない。
ステップS30では、加熱制御装置10は、誘導加熱炉3の出側における金属板50の板温を予測し、その予測した板温が適正温度であるか、言い換えれば、誘導加熱炉3の出側において、予測した板温が、誘導加熱炉3の目標温度に対して適正範囲であるか否かを判定する。
適正範囲と判定した場合には、ステップS50に移行する。一方、適正範囲でないと判定した場合には、ステップS40に移行する。
ここで、誘導加熱炉3の出側における金属板50の板温の予測を用いた処理は、次のように実行する。
まず、中間位置の誘導加熱装置31bの出側設定温度と、中間位置の誘導加熱装置31b出側の中間炉体内の測定した雰囲気温度とから、中間位置の誘導加熱装置31bの出側から最下流位置の誘導加熱装置31cの入側までの第1の温度降下分を、(1)式に基づき算出する。
同様にして、最下流位置の誘導加熱装置31cの出側設定温度と、最下流位置の誘導加熱装置31c出側の下流炉体14内の測定した雰囲気温度とから、最下流位置の誘導加熱装置31cの出側から誘導加熱炉3の出側までの第2の温度降下分を、(1)式に基づき算出する。
そして、第1の温度降下分と第2の温度降下分との和の温度を、誘導加熱炉3の目標板温に対する温度の差分とする。
そして、求めた温度の差分が、予め設定した閾値範囲内であるか否か、すなわち、予測板温が目標板温に対して閾値以上低温ではないかに基づいて予測板温が適正温度であるか否かを判定する。その結果、適正温度でない場合はステップS40に移行する。一方、適正温度である場合は、ステップS50に移行する。
ステップS40では、加熱制御装置10は、ステップS30にて求めた温度の差分だけ、最下流位置の誘導加熱装置31cで目標とする入側設定温度と出側設定温度との温度差が高くなるように設定して、(2)式に基づき、最下流位置の誘導加熱装置31cの目標とする出力値を再計算する。
すなわち、最下流位置の誘導加熱装置31cの入側設定温度と出側設定温度の温度差に相当するエンタルピーと、最下流位置の誘導加熱装置31cを通過する金属板50の単位時間あたりの質量に基づいて、誘導加熱装置31cの目標出力を決定する。
ステップS50では、加熱制御装置10は、下流炉体14内に設置した板温計8により測定された金属板50の板温が適正温度であるか否かを判定する。適正温度であれば、処理を終了し、ステップS10から再度、板温制御処理を繰り返す。一方、板温計8により測定された金属板50の板温が適正温度でなければ、ステップS60に移行する。
ステップS60では、加熱制御装置10は、上述したフィードバック制御を実行し、温度の差分を解消するように誘導加熱装置31cの出力を変更する。誘導加熱装置31cの目標出力の算出方法は、誘導加熱装置31c出側の金属板50のエンタルピーHを、温度の差分を解消するように変更する以外は、ステップS40と同様である。
<連続焼鈍炉4>
連続焼鈍炉4は、誘導加熱炉3で予め目標板温まで加熱処理をされた金属板50を、連続して焼鈍のための加熱処理を実行する。
(動作その他)
下流炉体14内で測定した金属板50の板温に基づくフィードバック制御は、板温計8により測定された金属板50の板温と誘導加熱炉3の目標板温との差が製品品質に影響を与えない程度の差であって、誘導加熱装置31の出力を微調整するには有用である。しかしながら、このフィードバック制御は、板温計8により測定された金属板50の板温と目標板温との差が製品品質に影響を与える差である場合、誘導加熱装置31の出力の修正が間に合わず、歩留まりが低下するおそれがある。製品品質に影響を与えるような温度差は特に、大気温度が低温である場合や、焼鈍ラインの立ち上げ時、ヒーター7の故障時などに顕著に現れる。
図5はシミュレーションにおける中間炉体での板温変動を示す図である。本シミュレーションは、誘導加熱装置にて所望の板温まで加熱した後、中間炉体13bの炉温が誘導加熱装置出側板温よりも50℃低い場合に、中間炉体13bにてどの程度板温が変動するかを計算したものである。このとき、同シミュレーションでは金属板50を、100mpmで搬送した場合と、200mpmで搬送した場合の2つのパターンで板温変動量を計算した。最終的な板温目標値を710℃±15℃とし、100mpmで金属板50を搬送した場合、誘導加熱装置31b出側では目標板温に到達しているものの、中間炉体13bで板温が降下し、中間炉体13b出側においては板温外れとなった。このことから、中間炉体13b出側板温を目標板温とするためには、中間炉体での板温変動量を計算し、誘導加熱装置の出力にて補正することが必要であることが分かる。なお、上記の[mpm]は、「m/min」である。
これに対し、本実施形態では、大気温度計9の測定結果を用いて、誘導加熱炉3の所定位置における金属板50の板温を予測し、その予測値と当該位置における金属板50の目標板温(想定板温)との差が適正範囲内であるか否かを判定する。そして、適正範囲外である場合に、加熱制御装置10は、選択した誘導加熱装置31の出力を変更する、いわゆるフィードフォワード制御を実行する。
すなわち、本実施形態では、例えば、上記板温制御処理により、誘導加熱炉3の入側における金属板50の板温を予測した上で、誘導加熱装置31aの出側における目標板温となるように誘導加熱装置31aの出力を計算し、誘導加熱装置31aの出力が変更される。
また、誘導加熱炉3の中途部(誘導加熱装置31cの入側)における金属板50の板温を予測し、且つ、誘導加熱炉3の出側における金属板50の板温を予測した上で、誘導加熱炉3の出側における目標板温となるように誘導加熱装置31cの出力を再計算し、誘導加熱装置31cの出力が変更される。
その結果、誘導加熱炉3の出側における金属板50の板温が高精度に目標温度に制御される。
ところで誘導加熱炉3における金属板50の板温変動が小さい場合には、上述したように誘導加熱炉3の入側における板温をモデル計算により算出することで、誘導加熱炉3の出側における金属板50の板温を高精度に目標板温とすることができるが、誘導加熱炉3における金属板50の板温変動が大きい場合には、当該板温変動を考慮して、各誘導加熱装置31の出力を計算する必要がある。
<変形例>
ここで、本実施形態において中間炉体13aの炉長が短く、金属板50の板温の低下が僅かであることから中間炉体13aに炉温計を配置しなかったが、中間炉体13aに炉温計を配置し、且つ、誘導加熱装置31bの出力を上記フィードフォワード制御により変更可能に構成してもよい。
また、本実施形態では、下流側に配置された炉体13b、14にヒーター7を配置し、上流側に配置された炉体12、13aにはヒーター7が配置されていないが、上流側の炉体12、13aにもヒーター7を配置してもよい。また、排気装置15は複数設けてもよく、その場合、例えば上流側の炉体12、13aのいずれか1の炉体に第1の排気装置を設け、下流側の炉体13b、14のいずれか1の炉体に第2の排気装置を設けてもよい。
また、本実施形態では、金属板50の板温が目標より低いと予想されるときに直近の誘導加熱装置の出力を変更して目標板温に対する追従性を高めているが、誘導加熱炉3内に複数の誘導加熱装置が存在する場合において直近ではない他の誘導加熱装置の出力を変更してもよい。例えば、図4のステップS10においてNoと判定された場合に、誘導加熱装置31b又は31cの出力値を変更してもよいし、図4のステップS20やS30においてNoと判定された場合に、誘導加熱装置31a又は31bの出力値を変更してもよい。
また、各ステップにおいてNoと判定された場合に、複数の誘導加熱装置の内、1の誘導加熱装置の出力値を変更することとしているが、複数の誘導加熱装置の出力値を変更することとしてもよい。
(効果)
本発明は、次のような効果を奏する。
(1)本実施形態は、複数の誘導加熱装置が金属板50の搬送方向に沿って配置された誘導加熱炉3によって、金属板50の板温が所定の目標板温となるように加熱制御する板温制御方法であって、複数の誘導加熱装置から選択した1又は2以上の誘導加熱装置の出力値を、目標板温及び誘導加熱炉外の外気の雰囲気温度に基づき設定する。
本実施形態は、例えば、複数の誘導加熱装置31が金属板50の搬送方向に沿って配置された誘導加熱炉3によって、金属板の板温が所定の目標板温となるように加熱制御する加熱制御装置であって、誘導加熱炉外の外気の雰囲気温度を測定する外気温度測定部10Aと、複数の誘導加熱装置から選択した1又は2以上の第1の誘導加熱装置の出力値を、目標板温及び誘導加熱炉外の外気の雰囲気温度に基づき設定する出力値設定部10Bと、を備える。
この構成によれば、複数の誘導加熱装置からなる誘導加熱炉出側での金属板の板温をより高精度に制御することが可能となる。この結果、本発明の態様によれば、安定して目的とする金属板を製造することが可能となる。
ここで、1台の誘導加熱装置で可能な加熱には出力限界がある。このため、本実施形態にあっては、誘導加熱炉として、直列に配置(連結)した複数の誘導加熱装置によって、金属板を目標温度に加熱する構成を採用している。
(2)このとき、誘導加熱炉の上流側に、金属板に対して所定の前処理を施す前処理装置2が配置され、雰囲気温度は、前処理装置2と誘導加熱炉3の間の外気の雰囲気温度であることが好ましい。
この構成によれば、誘導加熱炉外の外気の雰囲気温度に基づき、複数の誘導加熱装置から選択した1又は2以上の第1の誘導加熱装置の出力値を高精度に設定可能となる。
(3)また、上記予測した板温に基づき上記出力値を求める誘導加熱装置は、複数の誘導加熱装置のうちの最上流に配置された誘導加熱装置31aを含むことが好ましい。
この構成によれば、外気温に対する一番大きな影響を有する誘導加熱装置31aの出力をより確実に高精度に制御することが可能となる。
(4)また、本実施形態では、上記雰囲気温度に基づき、誘導加熱炉の入側での金属板の板温を予測し、誘導加熱炉入側における設定温度と予測した金属板の板温との差分を算出し、目標板温及び上記差分に基づいて1又は2以上の誘導加熱装置の出力値を設定する。
この構成によれば、1又は2以上の誘導加熱装置の出力値をより確実に高精度に設定可能となる。
(5)また、本実施形態では、1又は2以上の誘導加熱装置とその下流側の誘導加熱装置との間に配された第1の炉体の炉内温度にも基づいて、1又は2以上の誘導加熱装置の出力値を設定する。
この構成によれば、1又は2以上の誘導加熱装置の出力値をより確実に高精度に設定可能となる。
(6)また、本実施形態では、複数の誘導加熱装置の内、最下流に配置された誘導加熱装置の下流側に配置された第2の炉体の炉内温度と、目標板温に基づき、最下流に配置された誘導加熱装置の出力値を設定する。
この構成によれば、誘導加熱炉3の目標板温に一番大きな影響を有する誘導加熱装置31cで調整することで、金属板の板温をより高精度に制御することが容易となる。
(7)また、本実施形態では、上記第2の炉体の炉内における金属板の板温を測定し、測定した板温に基づき、 最下流に配置された誘導加熱装置の出力値を設定する。
この構成よれば、誘導加熱装置31の出力を微調整することが可能となる。
(8)本実施形態では、上記の板温制御方法を用いて板温制御方法を用いて上記金属板50を加熱する工程を含む。
この構成によれば、安定して金属板を製造することが可能となる。
本発明法の有効性をシミュレーションにより検証した。図6~図8はシミュレーションにおける焼鈍ラインでの板温変動を示す図である。
本シミュレーションでは、実施形態で説明した、誘導加熱炉3の構成として誘導加熱装置が3台と誘導加熱装置前後に炉体が計4ゾーンの炉体がある場合を想定している。
金属板50は、板厚0.2mm、比重7500kg/m、比熱0.15kcal/(kg・K)と仮定している。
また、フィードバック制御機能は不使用であることを前提としている(FB制御部10Dの処理をオフとした)。
<パターン1>
図6のパターン1では、誘導加熱炉3入側の板温が想定(予め設定した最上流値の誘導加熱装置の入側設定温度相当)よりも10℃低い場合における、誘導加熱炉3内での金属板50の昇温過程を表している。
例えばパターン1では、最上流位置の誘導加熱装置31aにて30℃から250℃に昇温し、中間位置の誘導加熱装置31bにて250℃から500℃に昇温し、最下流位置の誘導加熱装置31cにて500℃から700℃に昇温することを目標とした。また、誘導加熱炉では、誘導加熱炉入側と出側の板温設定値を用いて必要な出力を決定している。
最上流位置の誘導加熱装置31a入側の予め設定した入側設定温度は30℃であるが、実際の板温は10℃低い20℃である場合、最上流位置の誘導加熱装置31aにて目標板温の250℃まで精度よく昇温することができない。後段の誘導加熱装置も板温設定値を基に出力を計算するため、最上流位置の誘導加熱装置31aで発生した目標ずれは、最下流位置の誘導加熱装置31c出側まで埋まることなく板温外れが発生する。
これに対し、本発明に基づく場合、最上流位置の誘導加熱装置31a入側板温をモデル式にて算出し利用することで、最上流位置の誘導加熱装置31a出側板温の目標ずれが低減し、誘導加熱炉3としての最終的な板温目標値へ精度よく制御することが可能となることが分かった。
<パターン2>
図7のパターン2では、誘導加熱装置31の間にある第2の中間炉体13bの温度が想定(目標)より50℃低温である場合における、誘導加熱炉3内での金属板50の昇温過程を表している。
例えばパターン2では、最上流位置の誘導加熱装置31aにて30℃から250℃に昇温し、中間位置の誘導加熱装置31bにて250℃から500℃に昇温し、最下流位置の誘導加熱装置31cにて500℃から700℃に昇温することを目標としている。
中間位置の誘導加熱装置31b出側と最下流位置の誘導加熱装置31c出側に設置される炉体13b、14には、ヒーターが設置されており各誘導加熱装置31b、31cの出側板温と同等の炉温となるように制御される。しかし、設備休止明けなどでは、炉温が目標温度に到達するまでに長時間を要するため、炉温が目標から外れる期間が発生する。上記の炉体の炉温が目標よりも50℃低い場合、中間炉体13bで板温が低下し最終的な板温目標値との間に目標ずれが発生する。これに対して本発明に基づく場合では、中間炉体での板温変動量を算出し最下流位置の誘導加熱装置31cの出力を補正することで、誘導加熱炉3としての最終的な板温目標値へ精度よく制御することが可能となることが分かった。
<パターン3>
図8のパターン3では、上記パターン1とパターン2の現象が同時に生じた場合における、誘導加熱炉3での金属板50の昇温過程を表している。本発明方法では、図8に示すように、上記パターン1とパターン2で説明した本発明例をともに適用することで、誘導加熱炉3としての最終的な板温目標値に対して精度よく制御することができることが分かった。
以上のように、本発明は、誘導加熱炉3入側の金属板50の板温を、外気温度を用いたモデル計算で予測するようにすることで、誘導加熱炉3での加熱制御をより高精度に行うことができるようになった。この結果、板温管理値上下限外れとなる部分を削減することができ、製造する金属板50について、加工性や磁性といった特性不良の発生を抑制することができることが分かった。
1 圧延設備
2 前処理設備
3 誘導加熱炉
4 連続焼鈍炉
5、5a、5b 炉温計
6 搬送ロール
7 ヒーター
8 板温計
9 大気温度計
10 加熱制御装置
10A 外気温度測定部
10B 出力値設定部
10Ba 出力値設定本体部
10Bb 第1補正部
10C 出力値再補正部
10Ca 第1出力値再補正部
10Cb 第2出力値再補正部
10D FB制御部
12 上流炉体
13a、13b中間炉体
14 下流炉体
15 排気装置
16 配管
31 誘導加熱装置
31a 最上流位置の誘導加熱装置
31b 中間位置の誘導加熱装置
31c 最下流位置の誘導加熱装置
41 加熱帯
50 金属板

Claims (8)

  1. 複数の誘導加熱装置が金属板の搬送方向に沿って配置された誘導加熱炉によって、上記金属板の板温が所定の目標板温となるように加熱制御する板温制御方法であって、
    上記複数の誘導加熱装置から選択した1又は2以上の誘導加熱装置の出力値を、上記目標板温及び上記誘導加熱炉外の外気の雰囲気温度に基づき設定し、その際に、上記目標板温及び外気の雰囲気温度に基づき、外気の雰囲気温度を用いた(1)式により、誘導加熱装置よりも上流の前処理設備の出側から誘導加熱装置の入側に到達するまでの板温降下量を求め、求めた板温降下量分だけ前処理設備の出側での板温から減算して、誘導加熱炉入側での金属板の板温を求め、誘導加熱装置の入側における金属板の板温と出側における目標板温との温度差に相当するエンタルピーに基づいて、上記誘導加熱装置の目標とする出力値を決定する、
    ことを特徴とする板温制御方法。
    ここで、
    Figure 0007207335000003
    ただし、
    Ta:外気の雰囲気温度[℃]
    T0:前処理設備出側の板温[℃]
    α:金属板の熱伝達係数[kcal/(m ・h・℃)]
    c:金属板の比熱[cal/(kg・K)]
    ρ:金属板の比重[kg/m
    D:金属板の板厚[m]
    t:前処理設備から誘導加熱炉の入側までを通過する時間[sec]
    である。
  2. 上記誘導加熱炉の上流側に、上記金属板に対して所定の前処理を施す前処理装置が配置され、
    上記雰囲気温度は、上記前処理装置と上記誘導加熱炉の間の外気の雰囲気温度であることを特徴とする請求項1に記載の板温制御方法。
  3. 上記1又は2以上の誘導加熱装置は、上記複数の誘導加熱装置のうちの最上流に配置された誘導加熱装置を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した板温制御方法。
  4. 上記1又は2以上の誘導加熱装置とその下流側の誘導加熱装置との間に配された第1の炉体の炉内温度にも基づいて、上記1又は2以上の誘導加熱装置の出力値を設定する、
    ことを特徴とする請求項1~請求項のいずれか1項に記載の板温制御方法。
  5. 上記複数の誘導加熱装置の内、最下流に配置された誘導加熱装置の下流側に配置された第2の炉体の炉内温度と、上記目標板温とに基づき、上記最下流に配置された誘導加熱装置の出力値を設定する、ことを特徴とする請求項1~請求項のいずれか1項に記載した板温制御方法。
  6. 上記複数の誘導加熱装置の内、最下流に配置された誘導加熱装置の下流側に配置された第2の炉体の炉内における上記金属板の板温を測定し、測定した板温に基づき、上記最下流に配置された誘導加熱装置の出力値を設定する、ことを特徴とする請求項1~請求項のいずれか1項に記載した板温制御方法。
  7. 請求項1~請求項のいずれか1項に記載の板温制御方法を用いて上記金属板を加熱する工程を含む金属板の製造方法。
  8. 複数の誘導加熱装置が金属板の搬送方向に沿って配置された誘導加熱炉によって、上記金属板の板温が所定の目標板温となるように加熱制御する加熱制御装置であって、
    上記誘導加熱炉外の外気の雰囲気温度を測定する外気温度測定部と、
    上記複数の誘導加熱装置から選択した1又は2以上の第1の誘導加熱装置の出力値を、上記目標板温及び上記誘導加熱炉外の外気の雰囲気温度に基づき設定する出力値設定部と、
    を備え
    上記出力値設定部は、上記目標板温及び外気の雰囲気温度に基づき、外気の雰囲気温度を用いた(1)式により、誘導加熱装置よりも上流の前処理設備の出側から誘導加熱装置の入側に到達するまでの板温降下量を求め、求めた板温降下量分だけ前処理設備の出側での板温から減算して、誘導加熱炉入側での金属板の板温を求め、誘導加熱装置の入側における金属板の板温と出側における目標板温との温度差に相当するエンタルピーに基づいて、上記誘導加熱装置の目標とする出力値を決定する、
    ことを特徴とする加熱制御装置。
    ここで、
    Figure 0007207335000004
    ただし、
    Ta:外気の雰囲気温度[℃]
    T0:前処理設備出側の板温[℃]
    α:金属板の熱伝達係数[kcal/(m ・h・℃)]
    c:金属板の比熱[cal/(kg・K)]
    ρ:金属板の比重[kg/m
    D:金属板の板厚[m]
    t:前処理設備から誘導加熱炉の入側までを通過する時間[sec]
    である。
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